A.実施例
A-1.システム1000の構成
図1は、システム1000の構成を示すブロック図である。システム1000は、プリンタ100A、100Bと、管理サーバ300と、配送サーバ400と、を備える。プリンタ100A、100Bは、ローカルエリアネットワークNTに接続されている。管理サーバ300と、配送サーバ400と、ローカルエリアネットワークNTとは、インターネットITに接続されている。プリンタ100A、100Bと管理サーバ300とは、ローカルエリアネットワークNTとインターネットITとを介して通信可能である。管理サーバ300と配送サーバ400とは、インターネットITを介して通信可能である。
プリンタ100Aとプリンタ100Bとは同じ構成を備えるので、プリンタ100Aの構成についてのみ説明する。プリンタ100Aは、プリンタ100AのコントローラとしてのCPU110と、DRAMなどの揮発性記憶装置120と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置130と、画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示部140と、ユーザによる操作を取得するためのボタンやタッチパネルなどの操作部150と、印刷実行部160と、インク供給部170と、通信インタフェース(IF)180と、を備えている。
通信IF180は、ローカルエリアネットワークNTを介して外部装置(例えば、管理サーバ300)に接続するためのインタフェースである。通信IF180は、一例として、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースであり、一例として、Wi-Fi規格(IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格又はそれに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従った規格)に準拠した無線のインタフェースである。
CPU110は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置120は、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置130には、プリンタを制御するためのコンピュータプログラムPG1と、後述する情報データベースIBと、が格納されている。
コンピュータプログラムPG1は、本実施例では、プリンタ100Aの製造時に不揮発性記憶装置130に予め格納されて提供され得る。これに代えて、コンピュータプログラムPG1は、例えば、インターネットITを介して接続されたサーバからダウンロードされる形態、あるいは、CD-ROMなどに記録された形態で提供され得る。
CPU110は、コンピュータプログラムPG1を実行することによって、印刷実行部160を制御して、印刷実行部160に画像を印刷させる印刷処理を実行する。また、CPU110は、コンピュータプログラムPG1を実行することによって、管理サーバ300や配送サーバ400と協働して、後述するカートリッジ管理処理を実行する。さらに、CPU110は、コンピュータプログラムPG1を実行することによって、インクカートリッジ200が取り外された状態で、印刷を許容するか否かを制御する印刷管理処理Aと、インクカートリッジ200が装着された状態で印刷を許容するか否かを制御する印刷管理処理Bと、を実行する。カートリッジ管理処理と、印刷管理処理A、Bと、については、後述する。
印刷実行部160は、CPU110の制御に従って、印刷を実行する。インク供給部170は、印刷実行部160に印刷材としてのインクIkを供給する。図2は、印刷実行部160とインク供給部170との構成を示す概略図である。
印刷実行部160は、インクカートリッジ200から供給されるインクIkを印刷材として用いて、印刷媒体としての用紙上に画像を印刷するインクジェット方式の印刷機構である。具体的には、印刷実行部160は、図示しない印刷ヘッドのノズルからインクIkを吐出して用紙上にドットを形成することによって、用紙上に画像を形成する。本実施例では、印刷実行部160は、1色のインクIk(例えば、ブラック(K))が用いられるモノクロの印刷機構である。
図2(A)、図2(B)に示すように、インク供給部170は、インクカートリッジ200が装着される装着部172と、インク供給口174と、収容部の一例としての中間タンク175と、インク流路部177と、を備えている。
インクカートリッジ200には、インクIkを収容する主収容室210と、連通口220と、インク出口230と、が形成されている。連通口220は、主収容室210と外気とを連通する開口である。インク出口230は、主収容室210内のインクIkをインク供給部170に供給するための開口である。インク出口230は、主収容室210内の全てのインクIkをインク供給部170に供給できるように、主収容室210の鉛直方向の下端近傍に設けられている。
インクカートリッジ200の外面には、ICチップ250が装着されている。ICチップ250のメモリには、インクカートリッジ200に関する各種の情報が格納されている。本実施例では、ICチップ250のメモリに格納される情報には、新品のインクカートリッジ200に収容されているインクIkの量である初期インク量IVを示す情報と、インクカートリッジ200を識別する情報である識別番号(シリアルナンバー)が含まれる。
装着部172は、例えば、インクカートリッジ200を着脱可能に装着することができるホルダである。インク供給口174は、装着部172に装着されたインクカートリッジ200のインク出口230と連通される。インク供給口174から主収容室210内のインクIkがインク供給部170に供給される。装着部172には、装着部172に装着されるインクカートリッジ200のICチップ250の電極に接触する接点CMを有している。接点CMを介して、プリンタ100A(CPU110)は、ICチップ250のメモリに格納される情報の読み出しや、該メモリへの情報の書き込みを実行できる。
装着部172には、インクカートリッジ200が装着部172に装着されているか否かを検出する装着センサASが装着されている。例えば、装着センサASは、光を射出する発光部と、該光を受光する受光部と、を備える。インクカートリッジ200が172に装着されると、インクカートリッジ200の筐体に形成されたリブ(図示省略)が、発光部から受光部に至る光を遮るように配置される。装着センサASの受光部は、受光の有無を示す電気信号をCPU110に出力する。受光していることを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていないことを示す信号(非装着信号とも呼ぶ)である。受光していないことを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていることを示す信号(装着信号とも呼ぶ)である。装着センサASには、他の様々な構成、例えば、接点CMとICチップ250の電極との接触を検出する構成が採用され得る。
中間タンク175には、インクIkを収容する副収容室179と、連通口178と、が形成されている。連通口178は、副収容室179と外気とを連通する開口である。副収容室179は、インク供給口174と連通しており、インク供給口174を介してインクカートリッジ200から供給されるインクIkを収容する。
インク流路部177の上流端は、中間タンク175の副収容室179の底面の近傍に接続され、副収容室179と連通している。インク流路部177の下流端は、印刷実行部160の図示しない印刷ヘッドに接続されている。これによって、インク流路部177を介して副収容室179に収容されるインクIkが印刷実行部160に供給される。
以上の説明から解るように、中間タンク175は、装着部172に装着されるインクカートリッジ200から印刷実行部160に至るインクIkの流動経路に配置されている。
ここで、プリンタ100Aのインク供給部170のように、インクカートリッジから印刷機構に至るインクIkの経路に中間タンクを備えるタイプのインクIkの供給方式を二室供給方式とも呼ぶ。図2(A)には、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存し、かつ、中間タンク175内(副収容室179内)にインクIkが残存する第1の収容状態S1にあるインク供給部170が図示されている。図2(B)には、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存せず、かつ、中間タンク175内(副収容室179内)にインクIkが残存する第2の収容状態S2にあるインク供給部170が図示されている。
インクカートリッジ200の主収容室210は、連通口220によって外部と連通し、中間タンク175の副収容室179は、連通口178によって外部と連通している。そして、中間タンク175の副収容室179は、インクカートリッジ200の主収容室210の鉛直方向の下端(以下、単に、下端とも呼ぶ)よりも鉛直下方(図2の下側)に位置する部分と、主収容室210の鉛直方向の下端よりも鉛直上方に位置する部分と、を含んでいる。このために、新品のインクカートリッジ200が装着されると、インクカートリッジ200内のインクIkの一部は、インク供給口174から副収容室179内に移動する。そして、主収容室210内のインクIkの液面ISmと、副収容室179内のインクIkの液面ISsと、の高さが一致した状態となる(図2(A))。
印刷実行部160によって印刷が行われてインクIkが消費されると、2つの液面ISm、ISsが一致した状態を維持したまま、液面ISm、ISsが低下していく。そして、液面ISm、ISsが、インクカートリッジ200の主収容室210の下端の位置EL(エンプティレベルELとも呼ぶ)に到達すると、インクカートリッジ200の主収容室210内にインクIkは、残存しなくなり、インクIkの収容状態は、第1の収容状態S1(図2(A))から第2の収容状態S2(図2(B))に遷移する。ここで、インクカートリッジ200の主収容室210内にインクIkが残存しない状態とは、主収容室210から副収容室179へのインクIkの移動が無くなる状態を意味し、主収容室210の内壁に多少のインクIkが付着している状態を含む。
第2の収容状態S2に遷移した後であっても、副収容室179にインクIkが残存している限り、印刷実行部160は、印刷を継続できる。第2の収容状態S2に遷移した後に、インクカートリッジ200が交換されれば、インクカートリッジ200にインクIkが残存しない状態で、インクカートリッジ200を交換できるので、インクIkの無駄が発生しない。印刷を継続できる状態で、インクIkの無駄を発生することなく、インクカートリッジ200を交換できる点が、二室供給方式の利点である。
二室供給方式では、中間タンク175に、副収容室179内のインクIkの液面ISsがエンプティレベルELに到達したか否かを検出する液面センサSSが備えられている。これによって、インクカートリッジ200内にインクIkが残存するか否かを検出することができる。液面センサSSとしては、例えば、インクIkよりも比重が小さなフロート(図示省略)の位置を検出する構成が採用される。この構成では、液面ISsがエンプティレベルEL以下になると、該フロートの位置が鉛直下方に移動する。液面センサSSは、該フロートの移動を検出することによって、インクIkの液面ISsがエンプティレベルELに到達したか否かを検出する。液面センサSSは、インクカートリッジ200内のインクIkの残量に応じた信号を出力する。例えば、液面センサSSは、インクIkの液面ISsがエンプティレベルEL以上である場合に、OFF信号を出力し、インクIkの液面ISsがエンプティレベルELより下方である場合に、ON信号を出力する。換言すれば、液面センサSSは、インクの収容状態が、第1の収容状態S1であるか第2の収容状態S2であるかを検出するセンサである。液面センサSSには、他の公知の方式、例えば、インクIkの電気抵抗を測定する方式、あるいは、光の屈折の変化を利用したプリズム方式が採用されても良い。本実施例の二室供給方式では、インクカートリッジ200に、液面センサSSを備える必要がないので、インクカートリッジ200の構成をシンプルにできる利点がある。
ここで、第1の収容状態S1と第2の収容状態S2との境界に対応するインク量を境界インク量BVとも呼ぶ。本実施例の境界インク量BVは、副収容室179において、液面ISがエンプティレベルELに位置しているときの副収容室179におけるインク量とも言うことができる。また、境界インク量BVは、第2の収容状態S2における最大のインク量とも言うことができる。境界インク量BVは、中間タンク175の構造やサイズに依存する値であり、プリンタの機種ごとに固有な値である。
図3は、情報データベースIBと管理データベースPD(後述)との一例を示す図である。図3(A)の情報データベースIBは、プリンタ100Aに関するプリンタ情報が格納されたデータベースである。プリンタ情報は、例えば、プリンタ100Aのシリアルナンバーと、モデル名と、プリンタ100Aに割り当てられたIPアドレスを含む。プリンタ情報は、現在使用中のインクカートリッジ200の識別番号(現在のカートリッジ識別番号とも呼ぶ)と、発注された次に使用予定のインクカートリッジ200の識別番号(次のカートリッジ識別番号とも呼ぶ)と、を含む。プリンタ情報は、インクIkの残量を示す情報を含む。インクIkの残量は、現在のカートリッジ識別番号を有するインクカートリッジ200に残存するインクIkと、中間タンク175に残存するインクIkと、の合計である。インクIkの残量は、インクカートリッジ200の交換時から現在までのインクIkの消費量を、インクカートリッジ200の初期インク量IVから減じることによって、算出される。プリンタ100A(CPU110)は、例えば、印刷を実行する度に、情報データベースIBに格納されるインクIkの残量を更新する。情報データベースIBには、他の種々の情報、例えば、印刷の履歴を示す情報を含んでいるが、図3(A)では、本実施例の説明に用いる情報が選択的に図示されている。
管理サーバ300は、管理対象のプリンタ、例えば、プリンタ100A、100Bを管理するための計算機である。管理サーバ300は、管理サーバ300のコントローラとしてのCPU310と、DRAMなどの揮発性記憶装置320と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置330と、通信インタフェース(IF)380と、を備えている。
通信IF380は、インターネットITを介して外部装置(例えば、プリンタ100A、100Bや配送サーバ400)と接続するためのインタフェースである。通信IF380は、通信IF180と同様に、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースや、Wi-Fi規格又はそれに準ずる規格に準拠した無線のインタフェースである。
CPU310は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置320は、CPU310が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置330には、コンピュータプログラムPG2と、管理データベースPDと、が格納されている。
コンピュータプログラムPG2は、例えば、システム1000を管理する事業者やプリンタ100A、100Bを製造する事業者のサーバからダウンロードされる形態で提供されるアプリケーションプログラムである。これに代えて、コンピュータプログラムPG2は、CD-ROMなどに記録された形態で提供されても良く、管理サーバ300の製造時に不揮発性記憶装置330に予め格納されて提供されても良い。
管理サーバ300(CPU310)は、コンピュータプログラムPG2を実行することによって、プリンタ100A、100Bおよび配送サーバ400と、協働して、後述するカートリッジ管理処理を実行する。
管理データベースPDは、管理サーバ300によって収集されたプリンタ情報が記録されるデータベースである。図3(B)には、実施例の管理データベースPDの一例が示されている。図3(B)に示すように、管理データベースPDは、管理対象のプリンタ100A、200Bに対応するエントリEN1、EN2を含む。
プリンタ100Aに対応するエントリEN1は、プリンタ100Aのプリンタ情報の複数個の項目、一例として、シリアルナンバーと、モデル名と、IPアドレスと、インクIkに関するインク関連情報と、を含む。インク関連情報は、一例として、上述した現在のカートリッジ識別番号と、上述した次のカートリッジ識別番号と、発注予定日と、インク履歴情報と、を含む。
発注予定日は、次に使用予定のインクカートリッジ200を発注する発注処理を実行すべき日である。インク履歴情報は、プリンタ100Aから取得されるインクIkの残量が、該インクIkの残量が取得された日(取得日)と対応付けて記録された情報である。インク履歴情報は、インクIkの残量を示す複数個の情報と、対応する取得日を示す複数個の情報と、を含む。
配送サーバ400は、インクカートリッジ200の配送業者によって運用されるサーバである。配送サーバ400は、後述するカートリッジ管理処理において、インクカートリッジ200の発注情報の受信や、発注済みのインクカートリッジ200の識別番号の送信などを実行する。
A-2.システム1000の動作
A-2-1.カートリッジ管理処理
カートリッジ管理処理は、プリンタ100A、100BにおけるインクIkの残量に応じて、カートリッジの発注や配送に関する処理である。プリンタ100A、100Bと、管理サーバ300と、配送サーバ400と、は、協働して、カートリッジ管理処理を実行する。
先ず、管理サーバ300(CPU310)の処理について説明する。管理サーバ300は、管理対象のプリンタ100A、100Bから定期的に送信されるインク残量情報を受信する。例えば、インク残量情報は、1日に1回、予め定められた時刻に送信される。これに代えて、インク残量情報は、一定量の印刷が実行される度に送信されても良い。インク残量情報は、例えば、プリンタ100Aのシリアルナンバーと、上述した現在のカートリッジ識別番号と、上述した情報データベースIBに記録された現在のインク残量(図3(A))と、を含む。
管理サーバ300は、インク残量情報に基づいて、管理対象の各プリンタのために、インクカートリッジ200の発注予定日を決定する残量管理処理を実行する。図4は、残量管理処理のフローチャートである。残量管理処理は、例えば、管理サーバ300が起動されている間は、常に、繰り返し(例えば、数秒ごと)実行されている。
図4のS110では、管理サーバ300は、インク残量情報を受信したか否かを判断する。管理サーバ300は、インク残量情報を受信した場合には(S110:YES)、S120~S150の処理を実行する。管理サーバ300は、インク残量情報を受信しない場合には(S110:NO)、残量管理処理を終了する。これによって、インク残量情報を受信する度に、S120~S150の処理が実行される。
S120では、管理サーバ300は、インク残量情報に含まれるカートリッジ識別番号を確認する。例えば、管理サーバ300は、インク残量情報に含まれるシリアルナンバーとインク残量情報の送信元のIPアドレスとに基づいて、管理データベースPDを参照して、インク残量情報の送信元のプリンタを特定する。以下では、送信元のプリンタは、プリンタ100Aであるとして説明する。管理サーバ300は、管理データベースPDに記録されたプリンタ100Aの現在または次のカートリッジ識別番号と、インク残量情報に含まれるカートリッジ識別番号と、が一致していることを確認する。プリンタ100Aの現在または次のカートリッジ識別番号と、インク残量情報に含まれるカートリッジ識別番号と、が一致しない場合には、図示は省略するが、例えば、所定のエラー処理を実行して残量管理処理を終了する。エラー処理は、例えば、プリンタ100Aにエラーの通知を送信する処理である。管理サーバ300は、現在のカートリッジ識別番号とインク残量情報に含まれるカートリッジ識別番号とが一致する場合には、S130に処理を進める。管理サーバ300は、次のカートリッジ識別番号とインク残量情報に含まれるカートリッジ識別番号とが一致する場合には、インクカートリッジ200の交換が行われたと考えられる。したがって、この場合には、管理サーバ300は、管理データベースPDにおいて、次のカートリッジ識別番号を、新たな現在のカートリッジ識別番号として記録し、次のカートリッジ識別番号の記録領域を空領域として、S130に処理を進める。
S130では、管理サーバ300は、インク残量情報に示されるインクIkの残量を、取得日と対応付けて、管理データベースPDのプリンタ100AのエントリEN1に記録する。取得日は、インク残量情報が受信された日である。
S140では、管理サーバ300は、発注予定日を決定する。図5は、発注予定日の決定の一例について説明する図である。図5のグラフの縦軸は、インクの残量であり、横軸は、インクIkの残量の取得日である。このグラフ上の複数個の黒丸Pは、現在までにプリンタ100Aから取得された複数個のインクIkの残量を示す。管理サーバ300は、現在までに取得された複数個のインクIkの残量に基づいて、時間の経過に対するインクIkの残量の推移を示す近似直線L1を決定する。管理サーバ300は、近似直線L1に基づいて、インクIkの残量が、上述した境界インク量BVになる日を、インク交換予定日BDとして決定する。インクIkの残量が境界インク量BVになる日は、インクIkの収容状態が、図2(A)の第1の収容状態S1から第2の収容状態S2に遷移すると推定される日と言うことができる。管理サーバ300は、インク交換予定日BDよりも所定日数ΔDだけ前の日を、発注予定日ODとして決定する。所定日数ΔDは、インクカートリッジ200の発注から、インクカートリッジ200がプリンタ100Aのユーザに配送されるまでに要する標準的な日数に基づいて決定される。
S150では、管理サーバ300は、発注予定日を、管理データベースPDに記録して、残量管理処理を終了する。以上の説明から解るように、発注予定日は、インク残量情報が取得される度に、更新され得る。
管理サーバ300は、インクカートリッジ200の発注に関する処理である発注管理処理を実行する。図6は、発注管理処理のフローチャートである。発注管理処理は、例えば、管理サーバ300が起動されている間は、常に、繰り返し(例えば、数秒ごと)実行されている。
図6のS210では、管理サーバ300は、管理対象のプリンタについて決定され、管理データベースPDに記録されている発注予定日ODが到来したか否かを判断する。管理サーバ300は、発注予定日ODが到来した場合には(S210:YES)、S220~S260の処理を実行する。管理サーバ300は、発注予定日ODが到来しない場合には(S210:NO)、発注管理処理を終了する。これによって、発注予定日ODが到来する度に、S220~S260の処理が実行される。
S220では、管理サーバ300は、インクカートリッジ200を発注するための発注情報を配送サーバ400に送信する。発注情報は、例えば、発注するインクカートリッジ200の種類を示すコードと、発注するインクカートリッジ200の配送先を示す情報と、を含む。配送サーバ400は、発注情報を受信すると、配送処理を実行する。具体的には、配送サーバ400は、配送すべきインクカートリッジ200の識別番号を決定して、該識別番号を管理サーバ300に送信する。配送すべきインクカートリッジ200の識別番号は、例えば、配送サーバ400が管理しているインクカートリッジ200の在庫リストから選択される。配送サーバ400は、配送すべきインクカートリッジ200の識別番号と配送先とを含む配送指示を、例えば、配送担当者宛のメールアドレスに送信する。これによって、配送担当者によって、該識別番号を有するインクカートリッジ200が、配送先、すなわち、プリンタ100Aのユーザに届けられる。他の一例として、配送サーバ400は、梱包担当者が、配送すべきインクカートリッジ200を梱包する際に、インクカートリッジ200に対応付けられたバーコードを読み取って得られる識別番号を受信し、該識別情報を管理サーバ300に送信してもよい。
S230では、管理サーバ300は、配送サーバ400から、配送すべきインクカートリッジ200の識別番号を、上述した次のカートリッジ識別番号として受信する。S240では、受信した次のカートリッジ識別番号を、管理データベースPDに記録する。
なお、新たなインクカートリッジ200が届けられて、インクカートリッジ200の交換が行われた後に、使用済みのインクカートリッジ200は、配送担当者によって回収される。回収済みのインクカートリッジ200の識別番号は、配送車によって配送サーバ400が管理する回収リストに登録される。配送サーバ400は、回収リストに登録された回収済みのインクカートリッジ200の識別番号を、管理サーバ300に送信する。S260では、管理サーバ300は、回収済みのインクカートリッジ200の識別番号を配送サーバ400から受信する。S250の実行からS260の実行までの間には、相当の時間(例えば、数日から数週間)が経過し得る。S270では、管理サーバ300は、回収済みのインクカートリッジ200の識別番号が、S220の発注処理が実行された時点におけるプリンタ100Aのインクカートリッジ200の識別番号と一致するか否かを確認して、発注管理処理を終了する。S250の実行から所定の期間が過ぎてもS260の実行がされない場合には、使用済みのインクカートリッジ200は回収されなかったと判断できる。
以上説明した処理を含むカートリッジ管理処理の全体を、シーケンス図を参照して説明する。図7は、カートリッジ管理処理のシーケンス図である。
S10は、プリンタ100A(CPU110)は、登録情報を、管理サーバ300に送信する。登録情報は、例えば、上述した情報データベースIBに記録されたプリンタ情報のうちのシリアルナンバーと、モデル名と、IPアドレスと、を含む。
管理サーバ300が登録情報を受信すると、S14では、管理サーバ300は、管理対象のプリンタを登録する登録処理を実行する。具体的には、CPU310は、管理データベースPDに、新たなエントリを作成し、該エントリに、受信された登録情報(シリアルナンバー、モデル名、IPアドレス)を記録する。S10、S14は、カートリッジ管理処理の最初に、管理対象のプリンタごとに原則として1回だけ実行される。
S16、S18では、管理対象として登録されたプリンタ100Aは、上述したように、定期的に、インク残量情報を管理サーバ300に送信する。管理サーバ300は、インク残量情報を受信する度に、図4の残量管理処理を実行するので、S17、S19に示すように、管理サーバ300によって、発注予定日の記録が行われる(図4のS150)。
その後、発注予定日が到来すると、S20にて、管理サーバ300は、発注予定日が到来したと判断する(図6のS210にてYES)。S22にて、管理サーバ300は、発注情報を、配送サーバ400に送信する(図6のS250)。配送サーバ400は、発注情報を受信すると、S26にて、次のカートリッジ識別番号(配送済みのインクカートリッジ200の識別番号)を管理サーバ300に送信する。管理サーバ300は、次のカートリッジ識別番号を受信すると(図6のS230)、S28にて、管理サーバ300は、当該次のカートリッジ識別番号をプリンタ100Aに送信する(図6のS250)。
プリンタ100Aは、次のカートリッジ識別番号を管理サーバ300から受信すると、S30にて、当該次のカートリッジ識別番号を、情報データベースIBに記録する(図3(A))。例えば、図3(A)では、次のカートリッジ識別番号の記録領域に、識別番号が記録されていないが、本ステップにて、該記録領域に次のカートリッジ識別番号が記録される。
その後に、次に使用すべきインクカートリッジ200が、プリンタ100Aのユーザに届けられると、ユーザによってプリンタ100Aのインクカートリッジ200が交換される。インクカートリッジ200が交換されると、S32では、プリンタ100Aは、当該インクカートリッジ200の交換を検出する。インクカートリッジ200の交換が検出されると、S34では、プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録された現在のカートリッジ識別番号を更新する。具体的には、プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録された次のカートリッジ識別番号を、新たに現在のカートリッジ識別番号として記録する。プリンタ100Aは、情報データベースIBの次のカートリッジ識別番号の記録領域を空領域とする。
その後に、使用済みのインクカートリッジ200が配送サーバ400を運用する事業者によって回収されると、回収済みのインクカートリッジ200の識別番号が配送サーバ400の回収リストに記録される。S36では、配送サーバ400は、回収済みのインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号を管理サーバ300に送信する。
以上の説明したシステム1000では、プリンタ100Bと、管理サーバ300と、配送サーバ400とに、よっても、同様のカートリッジ管理処理が実行される。システム1000によれば、インクカートリッジ200が適切なタイミングで、プリンタ100Aのユーザに届けられる。この結果、プリンタ100Aのユーザが過剰なインクカートリッジ200の在庫を抱えることを抑制しつつ、プリンタ100Aがインク切れによって印刷できなくなることを抑制することができる。
A-2-2.プリンタ100A、100Bの処理
ここで、プリンタ100A、100Bは、上述したように二室供給方式のプリンタである。このために、仮に、プリンタ100A、100Bによる印刷の実行が何ら制限されなければ、インクカートリッジ200が取り外された状態でも、中間タンク175に残存するインクIkを用いて印刷を行うことができる。このために、プリンタ100A、100Bでは、インクカートリッジ200が安易に取り外され得る。本実施例のプリンタ100A、100Bでは、インクカートリッジ200が安易に取り外されることを抑制するための工夫が成されている。以下では、そのためにプリンタ100Aが実行する印刷管理処理A、および、印刷管理処理Bについて説明する。プリンタ100Bの処理の説明は省略するが、プリンタ100Bも同様の処理を実行する。
図8は、印刷管理処理Aのフローチャートである。印刷管理処理Aは、例えば、プリンタ100Aが起動されている間は、プリンタ100A(CPU110)によって、常に、繰り返し(例えば、0.1秒ごと)実行されている。
S310では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が取り外されたか否かを判断する。プリンタ100Aは、装着センサASが出力する電気信号が、装着信号から非装着信号に遷移したことを検出した場合に、インクカートリッジ200が取り外されたと判断する。インクカートリッジ200が取り外されたと判断する場合には(S310:YES)、プリンタ100Aは、S320に処理を進める。インクカートリッジ200が取り外されたと判断しない場合には(S310:NO)、プリンタ100Aは、印刷管理処理Aを終了する。これによって、インクカートリッジ200が取り外される度に、S320以降の処理が実行される。
S320では、プリンタ100Aは、液面センサSSの出力信号がON信号であるか否かを判断する。液面センサSSの出力信号がON信号であることは、上述したように、インクIkの収容状態が第2の収容状態S2であること、すなわち、インクIkの残量が境界インク量BV以下であることを意味する。インクIkの残量が境界インク量BV以下であることは、取り外されたインクカートリッジ200にインクIkが残存していないこと、すなわち、インクカートリッジ200のインクIkの残量が0であることを意味する。
液面センサSSの出力信号がON信号である場合には(S320:YES)、S330にて、プリンタ100Aは、次のカートリッジ識別番号が受信済みであるか否かを判断する。具体的には、情報データベースIBの次のカートリッジ識別番号の記録領域に、識別番号が記録されている場合には、次のカートリッジ識別番号は受信済みであると判断され、該記録領域に、識別番号が記録されていない場合には、次のカートリッジ識別番号は受信済みでないと判断される。
次のカートリッジ識別番号が受信済みである場合には(S330:YES)、S340にて、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が取り外された状態での印刷を許容して印刷管理処理Aを終了する。具体的には、プリンタ100Aは、第1印刷制御フラグをONに設定する。
液面センサSSの出力信号がOFF信号である場合(S320:NO)、あるいは、次のカートリッジ識別番号が受信済みでない場合(S330:NO)に、S350にて、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が取り外された状態での印刷を禁止して印刷管理処理Aを終了する。具体的には、プリンタ100Aは、第1印刷制御フラグをOFFに設定する。
第1印刷制御フラグがOFFに設定されている状態では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が取り外された状態で印刷指示を取得したとしても、該印刷指示に従う印刷を実行せず、エラーメッセージを表示部140に表示する。エラーメッセージは、例えば、インクカートリッジ200の装着を促すメッセージである。第1印刷制御フラグがONに設定されている状態では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が取り外された状態で印刷指示を取得した場合に、該印刷指示に従って印刷実行部160を制御して、印刷を実行する。
次に、印刷管理処理Bについて説明する。図9は、印刷管理処理Bのフローチャートである。印刷管理処理Bは、印刷管理処理Aと同様に、例えば、プリンタ100Aが起動されている間は、プリンタ100A(CPU110)によって、常に、繰り返し(例えば、0.1秒ごと)実行されている。
S410では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が装着されたか否かを判断する。プリンタ100Aは、装着センサASが出力する電気信号が、非装着信号から装着信号に遷移したことを検出した場合に、インクカートリッジ200が装着されたと判断する。インクカートリッジ200が装着されたと判断する場合には(S410:YES)、プリンタ100Aは、S420に処理を進める。インクカートリッジ200が装着されたと判断しない場合には(S410:NO)、プリンタ100Aは、印刷管理処理Bを終了する。これによって、インクカートリッジ200が装着される度に、S420以降の処理が実行される。
S420では、プリンタ100Aは、装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号を、該インクカートリッジ200のICチップ250から取得する。S430では、プリンタ100Aは、装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、情報データベースIBに記録された現在のカートリッジ識別番号と一致するか否かを判断する。装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、現在のカートリッジ識別番号と一致する場合には(S430:YES)、インクカートリッジ200が再装着されたとして、プリンタ100Aは、S460に処理を進める。
装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、現在のカートリッジ識別番号と一致しない場合には(S430:NO)、S440にて、プリンタ100Aは、装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、情報データベースIBに記録された次のカートリッジ識別番号と一致するか否かを判断する。
装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、次のカートリッジ識別番号と一致する場合には(S440:YES)、インクカートリッジ200が交換されたと判断できる。すなわち、この場合には、インクカートリッジ200の交換が検出される(図7のS32に相当)。したがって、この場合には、S450にて、プリンタ100Aは、次のカートリッジ識別番号を現在のカートリッジ識別番号に設定する。すなわち、情報データベースIBの現在のカートリッジ識別番号の記憶領域に、次のカートリッジ識別番号が記録される。さらに、S455にて、プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録された次のカートリッジ識別番号を消去して、S460に処理を進める。すなわち、情報データベースIBの次のカートリッジ識別番号の記録領域は空領域とされる。S450、S455は、図7のS34の現在の識別番号の更新に相当する。
装着されたインクカートリッジ200のカートリッジ識別番号が、次のカートリッジ識別番号とも一致しない場合には(S440:NO)、S470にて、プリンタ100Aは、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が装着された状態での印刷を禁止して印刷管理処理Bを終了する。具体的には、プリンタ100Aは、第2印刷制御フラグをOFFに設定する。
S460では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が装着された状態での印刷を許容して、印刷管理処理Bを終了する。具体的には、プリンタ100Aは、第2印刷制御フラグをONに設定する。
第2印刷制御フラグがOFFに設定されている状態では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が装着された状態で印刷指示を取得したとしても、該印刷指示に従う印刷を実行せず、エラーメッセージを表示部140に表示する。エラーメッセージは、例えば、装着されたインクカートリッジが適切なカートリッジでないことを示すメッセージである。第2印刷制御フラグがONに設定されている状態では、プリンタ100Aは、インクカートリッジ200が装着された状態で印刷指示を取得した場合に、該印刷指示に従って印刷実行部160を制御して、印刷を実行する。
ここで、情報データベースIBに記録された現在のカートリッジ識別番号を有するインクカートリッジ200を第1のカートリッジと呼ぶ。また、情報データベースIBに記録された次のカートリッジ識別番号を有するインクカートリッジ200を第2のカートリッジと呼ぶ。第2のカートリッジは、第1のカートリッジの次に使用されるべきインクカートリッジである。上記実施例によれば、プリンタ100Aは、液面センサSSの出力信号に基づいて判断される第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下(本実施例では、0)であり(図8のS320にてYES)、かつ、第2のカートリッジの識別番号(次のカートリッジ識別番号)が取得されている場合に(図8のS330にてYES)、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態で印刷実行部160によって印刷が実行されることを許容する(図8のS340)。プリンタ100Aは、液面センサSSの出力信号に基づいて判断される第1のカートリッジのインクIkの残量が基準より大きい場合(図8のS320にてNO)、若しくは、第2のカートリッジの識別番号が取得されていない場合に(図8のS330にてNO)、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態で印刷実行部160によって印刷が実行されることを禁止する。
ここで、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下である場合には、第1のカートリッジを第2のカートリッジに交換する必要性が高い。第2のカートリッジの識別番号が取得されている場合には、第2のカートリッジを入手可能であり、第1のカートリッジを第2のカートリッジに交換できる可能性が高い。本実施例によれば、第1のカートリッジを第2のカートリッジに交換する必要性が高く、かつ、第1のカートリッジを第2のカートリッジに交換できる可能性が高い場合に、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態での印刷が許容される。この結果、第1のカートリッジが安易にプリンタ100Aから取り外されることを抑制できる。これによって、例えば、カートリッジ交換の必要性や可能性が低いにも拘わらずに、第1のカートリッジが安易に取り外されることに起因する不具合を抑制することができる。
例えば、第1のカートリッジにインクIkが基準より大きい(本実施例では0より大きい)にも拘わらずに、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容されると、この時点で第1のカートリッジが取り外される可能性や、取り外されたままとなる可能性が高くなる。この時点で第1のカートリッジが取り外されると、第1のカートリッジにインクIkが基準より大きいにも拘わらずに、第1のカートリッジを紛失する不具合や、第1のカートリッジが誤って廃棄される不具合が発生し得る。この場合には、インクIkを無駄なく利用できないことになる。また、この時点で、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容されると、中間タンク175に残存するインクIkが印刷によって全て消費された場合に、第1のカートリッジにインクIkが残存しているにも拘わらずに、印刷を継続できなくなる不具合が発生し得る。上記実施例によれば、このような不具合を抑制できる。
また、第1のカートリッジにインクIkが基準以下(本実施例では0)であっても、第2のカートリッジのカートリッジ識別番号が取得されていない場合に、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容されると、この時点で第1のカートリッジが取り外されたままとなる可能性が高くなる。この時点で第1のカートリッジが取り外されると、第2のカートリッジの準備が整っていないために、第2のカートリッジとの交換ができないにも拘わらずに、第1のカートリッジが取り外されることになる。この場合には、第2のカートリッジとの交換前に、第1のカートリッジの紛失が発生して、第1のカートリッジの回収ができない不都合が発生し得る。上記実施例によれば、このような不具合を抑制できる。
さらには、第1のカートリッジにインクIkが基準以下であり、かつ、第2のカートリッジのカートリッジ識別番号が取得されている場合には、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容される。したがって、この時点で、第1のカートリッジを取り外しても中間タンク175に残存したインクIkを用いて印刷が実行できる。この結果、第2のカートリッジが届けられる前の適切な時期に第1のカートリッジを取り外して、例えば、予め決められた場所に第1のカートリッジを保管しておけば、プリンタ100Aでの印刷が制限されることなく、配送担当者によって第1のカートリッジがスムーズに回収される。この結果、第1のカートリッジの回収率が向上し得る。
さらに、上記実施例によれば、インクカートリッジ200が装着された場合に、該インクカートリッジ200の識別番号が、情報データベースIBに記録された現在のカートリッジ識別番号および次のカートリッジ識別番号のいずれとも一致しない場合には(図9のS430にてNO、かつ、S440にてNO)、インクカートリッジ200が装着された状態であっても、印刷の実行が禁止される(図9のS470)。この結果、例えば、装着されるべきプリンタ100Aとは異なるプリンタ(例えば、インクカートリッジの交換の必要がないプリンタ)に、インクカートリッジ200が装着されることを抑制できる。
さらに、本実施例では、印刷管理処理Aにて、第2のカートリッジの準備に関する情報として、第2のカートリッジを識別する識別番号が用いられる。第2のカートリッジの識別番号が決定されている場合には、第2のカートリッジが適切な期間内に配送されて入手できる可能性が高い。このために、プリンタ100Aは、第2のカートリッジを適切な期間内に入手可能である場合に限って、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態での印刷を許容することができる。したがって、第1のカートリッジが安易に取り外されることをさらに効果的に抑制できる。
さらに、本実施例では、プリンタ100Aは、通信IF180を介して、管理サーバ300から第2のカートリッジの識別番号を取得する(図7のS28)。この結果、例えば、ユーザが第2のカートリッジの識別番号を入力する場合と比較して、ユーザに負担をかけることなく、容易に第2のカートリッジの識別番号を取得できる。
プリンタ100Aは、第1のカートリッジのインクIkの残量を示すインク残量情報を、管理サーバ300に送信する(図7のS16、S17)。プリンタ100Aは、該インク残量情報に基づいて決定されるタイミング(本実施例では発注予定日OD)で、管理サーバ300から第2のカートリッジの識別番号を取得する(図7のS28)。この結果、管理サーバ300は、適切なタイミングで(本実施例では、インク交換予定日BDよりも所定日数ΔDだけ早いタイミング)で、第2のカートリッジの識別番号を取得できる。この結果、第1のカートリッジが安易に取り外されることをさらに効果的に抑制できる。例えば、仮に、第2のカートリッジの識別番号が過度に早いタイミングで取得されると、第2のカートリッジを交換できるタイミングよりも過度に早い時点で、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容され得る。この場合には、第1のカートリッジが安易に取り外され得る。
さらに、上記実施例では、上述したように、第1のカートリッジから第2のカートリッジへの交換が検出されると(図9のS440にてYES)、プリンタ100Aは、第1のカートリッジの識別番号に代えて、第2のカートリッジの識別番号を現在のカートリッジ識別番号に設定し(S450)、次のカートリッジ識別番号の記録領域を空領域とする(S455)。これによって、次のカートリッジ識別番号は受信されていない状態となるので、第2のカートリッジが取り外された場合には、図8の印刷管理処理Aにおいて、第2のカートリッジが取り外された状態での印刷が禁止される(図8のS330にてNO、S350)。すなわち、表記実施例では、プリンタ100Aは、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態での印刷が許容されている状態で、第2のカートリッジの装着部への装着が検出される場合に、すなわち、第1のカートリッジが第2のカートリッジに交換された場合に、第2のカートリッジが取り外されている状態での印刷を禁止する。この結果、第1のカートリッジが第2のカートリッジに交換された後は、第2のカートリッジが安易に取り外されることを抑制できる。
さらに、上記実施例では、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態で、取り外されていた第1のカートリッジが装着部172に再度装着される場合には、図9のS430にて、装着された第1のカートリッジの識別番号と、情報データベースIBに記録された現在のカートリッジ識別番号と、が一致する(図9のS430にてYES)。このために、この場合には、プリンタ100Aは、第1のカートリッジが装着された状態での印刷を許容する(図9のS460)。この結果、第1のカートリッジが装着部172から取り外されている状態での印刷が禁止されていても、第1のカートリッジが再度装着される場合には、印刷の実行が許容される。したがって、印刷が過剰に制限される不都合を抑制できる。
さらに、上記実施例では、図8の印刷管理処理Aから解るように、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下になること(図8のS320)と、第2のカートリッジの識別情報が受信されること(図8のS330)、との両方が満たされるまでは、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が禁止される。すなわち、プリンタ100Aは、第2のカートリッジが取得された時点で、第1のカートリッジのインクIkの残量より大きい場合には、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下になるまで、第1のカートリッジが取り外されている状態での印刷を禁止し、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下になった後に、第1のカートリッジが取り外されている状態での印刷を許容する。この結果、第2のカートリッジを入手可能であり、第1のカートリッジを第2のカートリッジに交換できる可能性が高い場合であっても、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下になるまでは、第1のカートリッジが安易に取り外されることを抑制できる。したがって、第1のカートリッジ内に未消費のインクIkが残存したまま、第1のカートリッジが取り外されることを抑制できる。
さらに、上記実施例では、管理サーバ300は、プリンタ100Aから送信されるインク残量情報に基づいて、第2のカートリッジの識別番号をプリンタ100Aに送信するタイミング(具体的には発注予定日OD)を決定する(図4のS140、図5)。管理サーバ300は、決定済みのタイミングで第2のカートリッジの識別番号をプリンタ100Aに送信する(図6のS210にてYES、S240)。この結果、適切なタイミングで、第2のカートリッジの識別番号が管理サーバ300からプリンタ100Aに送信されるので、第1のカートリッジが安易に取り外されることをさらに効果的に抑制できる。
さらに、上記実施例では、管理サーバ300は、第1のカートリッジがプリンタ100Aのユーザから回収された場合に、第1のカートリッジの識別情報を受信する(図6のS270)。この結果、管理サーバ300の運用者は、第1のカートリッジの回収の成功を確認できる。
以上の説明から解るように、液面センサSSの出力信号は、第1の情報の例であり、情報データベースIBに記録される第1のインクカートリッジのインクIkの残量を示す情報は、第3の情報の例である。第2のカートリッジの識別情報は、第2の情報の例である。管理サーバ300による第2のカートリッジの発注情報を配送サーバ400へ送信する処理(図6のS220)は、第2のカートリッジの準備に関する準備処理の例である。
B.変形例
(1)図10は、変形例の印刷管理処理Aのフローチャートである。図10の印刷管理処理Aが、実施例の印刷管理処理A(図8)と異なる点は、図8のS320に代えて、S320Bが実行される点である。図10の他の処理は、図8の処理と同じであるので、図10において他の処理には、図8と同じ符号が付されている。
S32OBでは、プリンタ100Aは、情報データベースIBを参照して、情報データベースIBに記録されているインクIkの残量が境界インク量BV以下であるか否かを判断する。プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録されているインクIkの残量が境界インク量BV以下である場合に(S320B:YES)、S330に処理を進める。プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録されているインクIkの残量が境界インク量BVより大きい場合に(S320B:NO)、S350に処理を進める。
このように、インクIkの残量が境界インク量BV以下であるか否かの判断は、液面センサSSを用いた判断に限られない。また、上記実施例では、S320が実行される時点での液面センサSSの出力信号に基づいているが、プリンタ100Aは、例えば、印刷が行われる度に、液面センサSSの出力信号の検出結果を情報データベースIBに記録しても良い。そして、プリンタ100Aは、S320では、情報データベースIBに記録済みの検出結果に基づいて、インクIkの残量が境界インク量BV以下であるか否かを判断しても良い。
(2)上記実施例では、図8に示すように、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下になること(図8のS320)と、第2のカートリッジの識別情報が受信されること(図8のS330)、との両方が満たされる場合に限って、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容される。これに代えて、プリンタ100Aは、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準より多い場合には、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷を禁止し、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下である場合には、第2のカートリッジの識別情報が受信されていなくても、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷を許容しても良い。この場合には、例えば、第1のカートリッジに基準以上のインクIkが残存しているにも拘わらずに、第1のカートリッジが安易に取り外されることを抑制することができる。さらに、この場合には、第1のカートリッジに基準以下になった場合には、第2のカートリッジの識別情報を受信していなくても、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容されるので、例えば、第2のカートリッジとは別のインクカートリッジがある場合に、該別のインクカートリッジと第1のカートリッジとを交換するために、第1のカートリッジが取り外されたとしても、プリンタ100Aは、印刷を行うことができる。この場合には、例えば、印刷管理処理Bにて、装着されたインクカートリッジの識別番号が、情報データベースIBに記録される次のカートリッジ識別番号と一致しなくても(図9のS440にてNO)、カートリッジが装着された状態での印刷が許容されることが好ましい。この場合には、管理サーバ300は、第2のカートリッジの識別情報をプリンタ100Aに送信しなくても良い。また、プリンタ100Aは、情報データベースIBに第2のカートリッジの識別情報を記録しなくても良い。また、プリンタ100Aは、図8のS330の判断を行わなくても良い。
(3)また、プリンタ100Aは、第2のカートリッジの識別情報が受信されない場合には、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷を禁止し、第2のカートリッジの識別情報が受信された場合には、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準より多くても、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷を許容しても良い。第2のカートリッジの識別情報が受信されていないにも拘わらずに(本実施例では、第2のカートリッジが発注されていないにも拘わらずに)、第1のカートリッジが安易に取り外されることを抑制することができる。さらに、この場合には、第2のカートリッジの識別情報が受信されている場合には、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準より多くても、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容される。この結果、例えば、第2のカートリッジが届けられる際に、交換のために第1のカートリッジが取り外された場合に、該第1のカートリッジにインクIkがある程度残っていたとしても、プリンタ100Aは印刷を実行できる。
(4)上記実施例では、第2のカートリッジの準備に関する情報として、第2のカートリッジの識別番号が用いられる。これに代えて、第2のカートリッジの準備に関する情報は、第2のカートリッジの識別番号を含まない情報であって、第2のカートリッジが発注されたことを示す情報であっても良い。また、第2のカートリッジの準備に関する情報は、第2のカートリッジが配送(発送)されたことを示す情報であっても良いし、第2のカートリッジの発注日、配送日を示す情報であっても良い。
(5)上記実施例では、プリンタ100Aは、第2のカートリッジの識別番号を管理サーバ300から取得する。これに代えて、プリンタ100Aは、第2のカートリッジの識別番号を配送サーバ400から管理サーバ300を経ないで取得しても良い。また、プリンタ100Aは、第2のカートリッジの識別番号を、操作部150を介して取得しても良い。この場合には、例えば、第2のカートリッジの識別番号は、例えば、ユーザの端末装置に送信され、ユーザが、該第2のカートリッジの識別番号を、操作部150を介してプリンタ100Aに入力しても良い。
(6)上記実施例では、プリンタ100Aは、インクIkの残量を示すインク残量情報を、管理サーバ300に送信する(図7のS16、S18)。これに代えて、管理サーバ300に送信される情報は、インクIkの残量に関する他の情報、例えば、第1のカートリッジのインクIkの残率を示す情報であっても良く、第1のカートリッジに残存するインクIkを用いて印刷可能な印刷物の枚数を示す情報であっても良い。あるいは、管理サーバ300に送信される情報は、インクカートリッジの交換から現在までに印刷された累積印刷枚数を示す情報であっても良く、インクカートリッジの交換から現在までに消費されたインクIkの量を示す情報であっても良い。これらの情報であっても、管理サーバ300は、例えば、これらの情報と、予め定められた第1のカートリッジのインクIkの初期量と、に基づいて、第1のカートリッジのインクIkの残量を特定できる。
(7)上記実施例では、プリンタ100Aは、情報データベースIBに記録されたインクIkの残量に基づいて、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下であるか否かを判断している(図8のS320)。これに代えて、プリンタ100Aは、インクIkの残量に関する他の情報、例えば、上記変形例(6)に列記した情報のいずれかに基づいて、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下であるか否かを判断しても良い。この場合には、情報データベースIBに、インクIkの残量に代えて用いるべき情報が記録されても良いし、情報データベースIBに記録されたインクIkの残量を用いて、用いるべき情報が算出されても良い。また、第1のカートリッジのインクIkの残量が基準以下であるか否かを判断するために用いられるインクIkの残量に関する情報と、管理サーバ300に送信されるインクIkの残量に関する情報とは、異なる種類の情報であっても良い。
(8)上記実施例では、管理サーバ300は、プリンタ100Aから送信されるインク残量情報に基づいて、発注予定日ODを決定している。これに代えて、例えば、プリンタ100AにおけるインクIkの消費量が安定している場合には、管理サーバ300は、予め定められた日(例えば、月に一度の定められた日)を発注予定日ODとして決定しても良い。
(9)上記実施例では、第1のカートリッジが取り外された状態での印刷が許容されている場合に、取り外されていた第1のカートリッジが装着部172に再度装着される場合には、第1のカートリッジが装着される状態での印刷は許容される。これに代えて、一度取り外された第1のカートリッジが装着部172に再度装着された場合に、第1のカートリッジが装着される状態での印刷が禁止されても良い。こうすれば、第1のカートリッジが安易に取り外されることを、より効果的に抑制できる。
(10)上記実施例では、説明の煩雑を避けるために、プリンタ100Aは、1色のインク(例えば、ブラック(K))を用いるモノクロの印刷実行部160を備えるとして説明している。これに代えて、プリンタ100Aは、複数色のインクIkを用いる印刷機構、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用いてカラー画像を印刷する印刷実行部を備えても良い。この場合には、プリンタ100Aには、4色のインクに対応する4個のインクカートリッジ200を装着可能である。プリンタ100Aは、4個のインクカートリッジ200のそれぞれについて、独立して、インクIkの残量やカートリッジ識別番号を管理し、独立して、図8、図9の印刷管理処理A、Bを実行する。また、管理サーバ300は、4個のインクカートリッジ200のそれぞれについて、独立して、インクIkの残量やカートリッジ識別番号や発注予定日ODを管理し、独立して、図4の残量管理処理や図6の発注管理処理を実行する。
(11)上記実施例では、処理対象のプリンタ、例えば、プリンタ100Aは、インクジェット式の印刷実行部160を備える。これに代えて、プリンタ100Aは、トナーを印刷材として用いて画像を印刷する電子写真式(例えば、レーザ式)の印刷機構を備えても良い。この場合には、プリンタは、トナーカートリッジを装着可能な供給部と、供給部に装着されるトナーカートリッジから供給されるトナーを収容する収容部としての中間タンク(例えば、トナーが一時的に貯留されるサブタンク)と、中間タンクに収容されるトナーを用いて印刷を実行する印刷実行部と、を備えても良い。このような二室供給方式のトナー供給方式を備えるプリンタが採用される場合にも、本実施例の処理を適用することができる。
(12)上記実施例では、管理サーバ300と配送サーバ400とは別々の装置であるが、1個のサーバであっても良い。この場合には、図7に示す管理サーバ300と配送サーバ400との間の通信を省略できる。
(13)上記実施例では、管理サーバ300は、インターネットITに接続されている。これに代えて、管理サーバ300は、ローカルエリアネットワークNTに接続されていても良い。この場合には、例えば、管理サーバ300は、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて、プリンタ100A、100Bに、インク残量情報を要求することによって、定期的に、インク残量情報を取得しても良い。
(14)管理サーバ300や配送サーバ400は、ネットワークを介して互いに通信可能な複数個の計算機を含む、いわゆるクラウドサーバであっても良い。
(15)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
(16)本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。