JP2006205528A - 液体供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メインタンクから供給されサブタンク内に貯留される液体の液面位置の安定化を図り、サブタンク内に安定的に一定量の液体を貯留する。
【解決手段】 メインタンク101は、サブタンク102に接続される接続部106を有する。また、サブタンク102は、接続部106に連通されメインタンク101からインクが供給されるインク供給管123と、接続部106に連通されメインタンク101に空気を導入する空気導入管124と、記録ヘッドにインクを供給するためのインク排出部140と、大気に連通された大気開放口126とを有し、空気導入管124は、下端がサブタンク102内に延ばされ、インク供給管123の長さ以下に形成されている。そして、空気導入管124の流路抵抗は、インク供給管123の流路抵抗よりも小さくされている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えばインク等の液体を吐出する吐出ヘッドに液体を供給するための液体供給装置に関し、特に、液体が収容されたメインタンクから供給された液体をサブタンクに貯留し、このサブタンクから吐出ヘッドに液体を供給する液体供給装置ならびにインクジェット記録装置に関する。
従来のインクジェット記録装置では、インクを吐出する記録ヘッドの吐出口を有するノズル内部を負圧に保つことで、ノズル内にインクのメニスカスを生じさせ、ノズルからのインクの漏れや、大気からノズル内への空気の進入を防いでいる。
この種の従来のインクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出口にメニスカスを発生させる構成の1つとして、インクが収容されるメインタンクと、このメインタンクから供給されたインクを貯留し記録ヘッドにインクを供給するサブタンクとを備え、記録ヘッドよりも鉛直下方にサブタンクが配置され、サブタンクと記録ヘッドとの間の水頭差によって、サブタンクから記録ヘッドにインクの供給を行うインク供給装置がある。そして、従来のインク供給装置では、メインタンクからサブタンクへのインクの供給方式としては、いわゆるチキンフィード方式が簡素な構成として用いられることがある。
従来のチキンフィード方式のインク供給装置としては、インクが収容され気密にされて交換可能に設けられたメインタンクを、インクジェット記録装置内のタンク装着部に装着することによって、メインタンクからインク供給チューブを介してサブタンク内にインクを供給する構成が開示されている(特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来のインク供給装置では、メインタンクのインク供給口に、インクジェット記録装置内への装着時に開閉されるバネ付勢された開閉弁が設けられており、この開閉弁が、例えばメインタンクの落下時の衝撃で開放しインク漏れを発生させる虞がある。
このようなインク漏れの対策として、図7に示すように、従来のチキンフィード方式のインク供給装置700には、インクが気密に収容されて交換可能に設けられたメインタンク701からサブタンク702にインクを供給するためのインク供給針703と、気液交換時にメインタンク701に空気を導入するための空気導入針704との2本の中空針が設けられた供給ベース705を備えているものがある。
メインタンク701は、供給ベース705に接続される接続部の開口がゴム栓706で気密に閉じられ、供給ベース705に接続された際に、インク供給針703および空気導入針704がゴム栓706を貫通してメインタンク701内に連通され、これら2本の針を介してメインタンク701から供給ベース705にインクを供給し、この供給ベース705からインク供給チューブ707を介してサブタンク702にインクの供給を行うように構成されている。
このように、メインタンク701の接続部に、弾性力を有するゴム栓706が設けられることで、供給ベース705側のインク供給針703および空気導入針704からメインタンク701を引き抜いた際にも、ゴム栓706の弾性で貫通穴が気密に閉塞されるので、メインタンク701の接続部の密閉性が良好に確保され、メインタンク701の落下時に接続部からインクが飛散することが良好に防止されている。そして、インク供給針703および空気導入針704が貫通されるゴム栓706は、貫通時に亀裂が生じて破損するのを防ぐために、これら2本の中空針の内径を大きくすることには限界があり、インク供給針703および空気導入針704の内径がφ1.6mm程度にされているものが一般的である。
また、着脱可能で密閉されたメインタンクを、接続部において中空管で連通し、記録ヘッドとの水頭差を確保するチキンフィード供給構成が特許文献2に開示されている。
さらに、第1インクタンクと、密閉された第2インクタンクのインク供給において、複数の連通管を設けるチキンフィード構成が特許文献3に開示されている。
特開平3−247460号公報(第1図) 特開2002―234180号公報 特開2004―142442号公報
ところで、中空針である空気導入針を用いる構成を採る従来のチキンフィード供給装置は、上述したように、内径φ1.6mm程度の細径の空気導入針を用いた場合、大気に開放される空気導入針の内部または空気導入針の下端部に、インクによるメニスカスが生じてしまうことが多く、またこのようなメニスカスの状態が不確定であった。このため、この従来の液体供給装置では、水頭差により発生する密閉されたメインタンク内部の負圧力がメニスカス力よりも小さくなり、メインタンクのインクがサブタンクに供給されず、吐出ヘッドによる記録状態が悪くなることがあった。
特許文献2のチキンフィード方式インク供給構成では、安定した水頭の維持を実現するための、具体的構成が開示されていない。
特許文献3の構成では、第1インクタンクと、密閉された第2インクタンクのインク供給において、複数の連通管を設け、連通路の内径が異なる構成が開示されている。しかし、第1タンクが大気に開放された状態で、第2インクタンクが密閉された構成となっている。従って水頭差を維持するために、インク供給の条件に応じて、複数の連通管がそれぞれ気体流路となったり、液体流路となったり、場合によって流通させる中身を変える構成になっている。更に第2インクタンク内には負圧を発生させるためのバネ部材が設けられている。インクの液面は変動する構成となっており、常に一定位置で安定した液面を維持する構成にはなっていない。
このように従来のインクジェット記録装置では、インク供給装置のメインタンク内のインク残量に応じて、メインタンク内部の負圧力が変化することで、サブタンク内に貯留されるインクの液面位置(水位)が変動しやすく不安定であるという不都合があった。
また、従来のインクジェット記録装置のインク供給装置は、メインタンク内のインクが無くなったとき、あるいは何らかの理由でメインタンクが外されてしまった場合、サブタンク内に貯留されているインク量にバラツキがあり、継続して記録を行える時間や記録用紙の枚数を保証することが困難であると言う課題があった。
そこで、本発明は、メインタンクから供給されサブタンク内に貯留される液体の液面位置の安定化を図り、サブタンク内に必用な一定量の液体を貯留することができるインクジェット記録装置ならびに液体供給装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、液体を吐出し、吐出ヘッドによって記録を行なう記録部と、
メインタンクを装着可能な装着部と、
前記メインタンクから供給された液体を貯留し、前記吐出ヘッドに供給可能なサブタンクを備えるインクジェット記録装置において、
前記サブタンクが、前記メインタンクと連通可能な2本の流路と、
大気連通口と、前記吐出ヘッドへの液体排出部を備えた構成となっており、
前記2本の流路のうち、一方の流路が、他の流路に比べて流路抵抗が低ことを特徴とする。
上述したように本発明によれば、メインタンクから供給されサブタンク内に貯留される液体の液面位置を一定に保ち、サブタンク内に安定的に一定量の液体を貯留することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置全体を説明する説明図である。外装の一部を取り払った斜視図としている。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置10は、着脱可能なメインタンク101を保持し、サブタンク102を備え、吐出ヘッドに対してインクを排出するインク供給部であるところのインク供給ユニット100と、インク供給ユニット100から供給されたインクを吐出する記録ヘッド(不図示)が搭載され、この記録ヘッドを記録位置に移動させるキャリッジユニット300と、インクの不吐出等、不具合の際に記録ヘッドの吐出特性を回復するための回復系ユニット400と、これら各ユニットを支持するフレームユニット500とを備えて構成されている。
インク供給ユニット100は、交換可能な密閉容器であるメインタンク101が着脱自在に装着されるタンク装着部が形成されたタンクホルダ204と、タンク装着部を覆うタンクカバー202と、サブタンク102とを有している。
詳細は後述するが、タンク装着部にメインタンク101が装着された時に、メインタンク101の接続部106を構成するキャップ部材115内にある封止栓113が、サブタンク102側に設けられた中空針であるインク供給ピン131および空気導入ピン133と接続されることで、メインタンク101内に収容されているインクがサブタンク102に供給される。サブタンク102と、キャリッジユニット300に搭載された記録ヘッドとは、インク供給チューブ306によって連結されており、インクの供給路が形成されている。
キャリッジユニット300は、記録ヘッドが搭載されたキャリッジ301が、スライド軸302とスライドレール303とに跨って支持されており、キャリッジモータ305の駆動力が駆動ベルト304を介して伝達されることで、キャリッジ301上の記録ヘッドを記録位置502に向けて移動させる。
回復系ユニット400は、キャリッジ300に搭載された記録ヘッドの不具合を解消するために、記録ヘッドの吐出口に当接させて吐出口部を覆うキャップ部材や吸引ポンプ、およびインク拭き取り用のブレード等を有して構成されるが、本発明の要部には直接関係がないので詳細な説明を省略する。
インクジェット記録装置10のフレームユニット500は、左右側板に支持された保護板501を有している。この保護板501には、記録ヘッドによる記録位置502に、開口が形成されている。
キャリッジ300はスライド軸302とスライドレール303で姿勢を保持されたまま、キャリッジモータ305の駆動力をベルト304に伝達し、図1の前面にある記録位置502に向かって記録ヘッドを移動させ、記録を行なう。
図2に、インクジェット記録装置10のインク供給ユニット100の断面図を示す。図3に、メインタンクとサブタンとが分離された状態の断面図を示す。
図2および図3に示すように、インク供給ユニット100は、いわゆるチキンフィード方式によってインク供給を行うように構成され、インクを吐出する記録ヘッド350に供給するインクが気密に収容されたメインタンク101と、このメインタンク101に接続されメインタンク101から供給されたインクを貯留して記録ヘッド350に供給するサブタンク102とを備えている。
メインタンク101は、タンクホルダ204のタンク装着部に対して着脱自在に設けられ、インク消耗時に交換可能にされている。メインタンク101は、インクを収容するインク収容部をなすタンク本体105と、このタンク本体105の底面部に設けられ、サブタンク102に接続される接続部106と、この接続部106を覆うキャップ部材115を有している。
この接続部106は、サブタンク102にインクを供給するためのインク供給口111と、サブタンクから空気を導入するための空気導入口112と、これらインク供給口111および空気導入口112をそれぞれ気密に閉じる封止栓113と、この封止栓113を固定するための固定部材114と、これら各部材を覆うキャップ部材115とを有し、インクタンクを密閉した構造となっている。
封止栓113は、例えばゴム等の弾性材料によって形成され、メインタンクをインクジェット記録装置に対して装着することによって、後述するサブタンク102側のインク供給ピンおよび空気導入ピンによって、厚み方向に貫通される。
サブタンク102は、メインタンク101からインクを記録ヘッド350に供給する流路の途中に配置されており、大気開放口126を持つ単一のインク収容部である。
このサブタンク102は、メインタンク101からインクが供給されるインク供給管123と、メインタンク101に空気を導入するための空気導入管124と、記録ヘッド350にインク供給チューブ306を介してインクを供給するためのインク排出部140と、大気に連通された大気開放口126とを有している。
インク供給管123は、メインタンク101のインク供給口111に連通されるインク供給ピン131と、このインク供給ピン131と連結した流路であるされた連結管部132とを有している。空気導入管124は、メインタンク101の空気導入口112に連通される空気導入ピン133と、この空気導入ピン133と連結された太管部134とを有している。空気導入管124は、下端がサブタンク102内に延ばされ、インク供給管123の長さ以下に形成されている。
本実施形態のインク供給管123は、インク供給ピン131とこれに連結された連結管部132の2部材で構成されているが、連続した1部材であっても構わない。同様に空気導入管124も、連続した1部材で構成されていても良い。
インク供給ピン131および空気導入ピン133は、両端が開口された中空針であり、メインタンク101側に位置されて、抜け止めのカシメ部材と共にサブタンク102の上部121に、インサート成型で一体に設けられている。これらインク供給ピン131および空気導入ピン133は、上端部が、メインタンク101の封止栓113を円滑に貫通するように円錐状に形成され、閉塞され、上端近傍の周面に、インクや空気を通す開口が設けられている。この開口がメインタンク101内に露出することで、インクおよび空気の流路が形成されている。インク供給ピン205および空気導入ピン204の下端の開口は、サブタンク203の上部121にそれぞれ形成された連結管部132および太管部134がなす各流路にそれぞれ連結されている。
この連結管部132内の流路は、中空針であるインク供給ピン131の内径とほぼ等しく形成されている。
同様に、太管部134内の流路は、中空針である空気導入ピン133の内径よりも大きく形成され、インクによるメニスカスが張らない程度に、流路の内径、つまりメインタンクとサブタンク間の空気の流れ方向に対して垂直方向の断面積が大きくされている。この構成をとることによって、空気導入ピン133および太管部134の流路抵抗が、インク供給ピン131および連結管部132の流路抵抗よりも小さくされている。太管部134の下端は、サブタンク102内の深さ方向へ延長された構成となっている。
そして、空気導入ピン133と太管部134とが連結されてなる空気導入管124は、サブタンク102からメインタンク101に空気を供給するための流路を構成し、太管部134の下端面が、サブタンク102内に貯留されるインクの液面位置(水位)138となり、この液面位置138が常に一定に保たれている。すなわち、この太管部134内の流路が、液面水位位置保持機能を作用させている。
安定した位置で液面を保持するためには、太管部134の鉛直方向の長さを、空気導入ピン133の流路抵抗とメニスカス力を超える水頭差に確保する必要がある。
このため、空気導入管124は、上述したように太管部134の断面積が、太管部134の流路内部にメニスカスを生じさせない大きさに形成され、太管部134の鉛直方向の水頭差による圧力[mmAq]をH、空気導入ピン133全体の流路抵抗[mmAq]をR、空気導入ピン133のメニスカス力[mmAq]をMとしたとき、
H>R+M ・・・式1
を満たしている。これによって、サブタンク102内に貯留されるインクの液面位置を一定に安定して保つことが可能となる。
なお、メニスカス力M[mmAq]は、表面張力の式で表され、
M=2γ・cosθ/r ・・・式2
となる。但し、γは表面張力、θは接触角、rは空気導入ピン133内の流路の半径である。
また、空気導入ピン133全体の流路抵抗R[mmAq]は、損失水頭の式で表され、
R=32μLV/Cd2 ・・・式3
となる。但し、μは粘性係数、LはJ型流路の長さ、Vは平均流速、Cは流体(インク)の単位体積当たりの重量、dは流路の直径とする。
式1を満たすことで、インク供給管123と空気導入管124とによる流路の一部に生じる水頭差によって、メインタンク101とサブタンク102との間で気液交換される動作について説明する。
図4に、メインタンクとサブタンクを連通させるインク供給管と空気導入管とによる流路の模式図を示す。図5に、メインタンクがサブタンクに接続され、サブタンク内のインクの液面位置が一定に保たれている状態の断面図を示す。
メインタンク101内は気密にされているので、図4および図5に示すように、空気導入ピン133の下端からメインタンク101内の液面位置までがU字管の部分の高さHuに相当し、サブタンク102内のインクに浸されている連結管部132の下端部分が高さHdに相当している。そして、太管部134の流路内の空間が高さHに相当し、この高さHの水頭差である圧力が作用する。
メインタンク101からサブタンク102にインクを供給するために気液交換が行われるときには、図4に示したJ型管の流路全てで、高さ(H+Hu+Hd)による流路抵抗がインクにかかることになる。なぜなら、気液交換時には、太管部134内を満たすインクが空気導入ピン133側に流動すると共に、空気導入ピン133の流路内のインクが、メインタンク101内へ還流され、インク供給ピン131の流路から、サブタンク102にインクが供給されるからである。
図4に示したJ型管の流路の上端口、つまり空気導入管124の下端でメニスカスが張り、釣り合った場合には、流速が無いので、流路抵抗R=0となる。このように流速が無い状態では、メインタンク101からサブタンク102にインクが流れず、このとき、H=Mとなる。
記録ヘッド350の記録動作に伴って、サブタンク102内に貯留されたインクが消費され、液面位置138が下降すると、空気が太管部134の流路内に入り込み、空気導入ピン133の下端部に到達する。空気導入ピン133の下端部が大気圧となることで、H=Mのバランスが破られ、上述の式1の関係を満たすことになり、流速が発生して、メインタンク101とサブタンク102との間で気液交換が行われる。
また、実験では、表面張力が2[mN/m]程度のインクを用いて、空気導入管124が、内径がφ1.6mm程度の空気導入ピン133に太管部134が連結されて構成された場合、上述の水位保持機能を作用させるのに必要な構成は、太管部134の流路内にメニスカスが張らない程度の内径がφ8mm程度必要であり、太管部134の鉛直方向の長さ(水頭差)を10mm以上に形成したときに、サブタンク102内に貯留されたインクの液面位置138が安定的に維持された。
なお、太管部が上述と同一の内径で、鉛直方向の長さが10mm未満に形成された場合には、空気導入ピンによるメニスカス力が、この太管部による水頭差と釣り合った状態で、メインタンク101への空気の導入が停止されてしまい、空気導入ピンの下端まで液面位置が上昇しなかった。
そして、サブタンク102内で一定に維持された液面位置138は、記録ヘッド350の吐出口の位置よりも鉛直方向の下方に位置され、吐出口と液面位置138とによる水頭差によって、吐出口にインクによる所望のメニスカスを発生させ、インクの吐出動作が良好に行われる。
また、サブタンク102の一側端には、貯留されたインクを記録ヘッド350に供給するためのインク排出部140が設けられている。このインク排出部140は、下端にインク排出口142が形成されたインク排出管141を有している。インク排出管141は、上端に、記録ヘッド350にインクを供給するインク供給チューブ306が接続されるチューブ差込口143が形成されており、上端部がサブタンク102の上部121に支持されている。したがって、メインタンク101から供給されてサブタンク102内に一時的に貯留されたインクは、インク排出口142から排出され、インク供給チューブ306を介してキャリッジ301上の記録ヘッド350にインクが供給される。
また、サブタンク102の底面部には、インク供給管123側からインク排出部140側に向かって、鉛直方向の深さを次第に大きくする傾斜面が形成され、インク排出口142が最も下方の最深部に位置されており、サブタンク102内に貯留されたインクがインク排出口142から円滑に排出され、インクを使い切ることが良好に行われる。また、空気導入管124は、インク供給管123よりもインク排出口142に近接する位置に設けられている。
近年、顔料からなる色材がインクとして用いられているが、インクの顔料成分がインク中で沈降し、分離した状態のままで記録が行われると、記録された画像に濃度差が発生するおそれがある。このため、本発明に係るインク供給ユニットでは、サブタンク102内に貯留されたインク全体の攪拌を目的として、メインタンク101からのインク供給管123をなす連結管部132の流路と、記録ヘッド350にインクを供給するためのインク排出部140のインク排出口142とを離間させた位置に配置し、かつ、サブタンク102の底面部に傾斜面145を形成し、この傾斜面145の上流側に、連結管部132の流路が設けられることで、沈降した顔料成分を全体的に充分に攪拌することが可能となり、インクの濃度差を発生することなく、良好な記録を実現することが可能にされている。
また、サブタンク102の上部121の天面には、インク供給ピン131と空気導入ピン133との間に位置して、突出部147が一体に形成されている。この突出部147には、鉛直方向に沿って形成された通気路が形成されており、この通気路の上端に大気開放口126が形成されている。サブタンクの大気開放口が、突出部147の先端にある構成となっているため、インク供給ピンや空気導入ピンの間で突出部が壁の役目を果たし、インク漏れが生じた場合でも漏れたインクが広がる領域を狭くできている。また、空気導入管124の太管部134は、大気開放口126に隣接する位置に設けられている。
また、サブタンク102の上部121には、電気的に導通可能な2つのインク検知板148が間隔をあけて設けられている。これらインク検知板148の下端部は、サブタンク102内で一定に保たれる液面位置138よりもやや下方まで延ばされてインク中に浸漬されている。また、インク検知板148は、サブタンク102の外側に露出された上端部が、インクジェット記録装置が備える制御回路部(不図示)に電気的に接続されている。
インク供給ユニットは、メインタンク101内のインクが無くなったとき、メインタンク101からのインクの供給が停止したサブタンク102内のインク残量が減少し、サブタンク102内のインクの液面位置138が下降する。このようにサブタンク102内のインクの液面位置138が下降することで、2つのインク検知板148は、インクに浸されていた下端部がインク中から出て、空気中に露出して電気的に不導通になることで、制御回路部がこの状態を検知し、液面位置138の下降が検出される。
また、サブタンク102のインク収容部は、空気導入管124の太管部124の流路の下端(液面位置138)に対して、上方空間151と下方空間152とで、インクを収容するための異なる機能をもつ。
上方空間260は、密閉されたメインタンク101内の気体が周囲環境の温度変化に伴って体積変化を起こした場合、メインタンク101内のインクが記録ヘッド350のインク消費量以上にサブタンク102内に押し出されたときに、この過剰に供給されたインクを一時的に収容するためのインク収容部として機能する。
通常の使用で生じる温度変化程度であれば、メインタンク101から過剰に流出したインクは、サブタンク102の上方空間151をインク収容部として使用し、温度変化が元に戻ったときに、メインタンク101の内圧が下がることで、サブタンク102内に流出したインクが再度メインタンク101内に戻される。なお、通常の使用を超える過度の温度変化が生じた場合には、メインタンク101からサブタンク102に流出したインクが、上方空間151を満たした後、大気開放口126からインクを排出する。
サブタンク102の下方空間152は、サブタンク102内に一定量のインクを収容するためのインク収容部であり、メインタンク101内のインクが無くなった後、メインタンク101からのインクの供給が停止し、メインタンク101がタンク装着部から取り外された状態であっても、継続して記録を可能にするためのインク収容部として機能する。
そして、インク供給ユニットは、メインタンク101内のインクが無くなったとき、メインタンク101からインクが供給されなくなるため、記録ヘッド350によるインクの吐出動作に伴ってサブタンク102内の液面位置が徐々に下降し、やがてインク検知板148の下端部もインク中から空気中に露出する。
制御回路部は、インク検知板148によって液面位置138が下降したことを検出し、ここでメインタンク101のインクが無くなったことを示す表示等の警告を発し、メインタンク101の交換をユーザーに促す。しかしながら、インクジェット記録装置は、制御回路部が、サブタンク102内の液面位置138を電気的に検出する構成であって、メインタンク101側からは電気的信号を何ら授受していないので、メインタンク101が装置内から取り外されても、インクジェット記録装置の制御システムには影響が及ぼされない。
このため、インクジェット記録装置は、タンク装着部からメインタンク101が取り外された状態であっても、液面位置138の下方空間に貯留されている一定量のインクを使用して記録動作を継続させ、サブタンク102の最下点となるインク排出口142に液面位置が達するまで記録動作を続行できるので、記録動作の途中で記録ヘッド350からインクが吐出されないで記録不良が生じることが防止される。
メインタンクが外された時、インク切れによって、インクジェット記録装置の記録が突然中断する場合がある。連続印刷や大判印刷を行なっている状態だと、1紙面の記録途中で印刷が中断されてしまうことがある。このような場合であっても、サブタンクのインク供給管あるいは空気導入管の流路抵抗や、長さを予め決められた一定の記録が継続可能な量に等しいインク量が確保されるように定め、水位保持位置を決定することができる。例えば、メインタンクが外された後メインタンクの交換に必要な時間を予め決めておき、その時間内は記録動作が継続して行なわれるように、水位保持位置を決めサブタンク下方空間内にインクを保持するように決める方法がある。あるいは、メインタンクが外された後、予め決められた一定枚数の記録が継続可能なインク量を定め、サブタンクの水位保持位置を決めても良い。
上述したように、本実施形態のインク供給ユニットによれば、空気導入管124の太管部134が、この太管部134の流路内にメニスカスを生じさせないような大きさに形成されたことで、空気導入ピン133と太管部134とに流路抵抗の差を常に生じさせて、サブタンク102内に貯留されるインクの液面位置138を一定に保つことが可能となる。また、サブタンク102内で一定に保たれた液面位置138と記録ヘッド350の吐出口との水頭差で、記録ヘッド350に所望のメニスカスを発生させることができる。
すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置のインク供給ユニットでは、メインタンク101からサブタンク102へのインクの供給方式としてチキンフィード方式を採用し、空気導入ピン133として比較的細径の中空針を用いた構成であっても、中空針が細くなるほどに発生しやすくなるメニスカスによる影響を受けずに、所望の液面位置138を一定に保ち、メインタンク101からサブタンク102へのインクの供給が停滞するのを防ぎ記録ヘッド350へのインクの供給を円滑に行うことができる。したがって、このインク供給ユニットによれば、記録ヘッド350のノズル内のメニスカスを維持するための水頭差が安定し、記録ヘッド350へのインクの供給動作の信頼性を向上することができる。
また、サブタンク102内の液面保持位置138を、予め決められた一定の記録継続が可能な量のインクを確保する位置に決めることによって、メインタンク101内のインクが無くなった後や、メインタンク101がサブタンク102から取り外された状態であっても、サブタンク102内に一定量のインクが貯留されているので、この一定量のインクを消費するまで、一定の時間または一定の枚数の記録用紙に記録を継続して行うことができる。そして、このインク供給ユニットによれば、単一のサブタンク102が、温度変化でメインタンク101から流出したインクを収容するための上方空間151と、メインタンク101のインクが無くなった後も継続的に記録動作を行うために一定量のインクを貯留するための下方空間152として機能を果たすことによって、単一のインク収容部で、インクジェット記録装置としての複数の機能が向上されるので、装置全体の小型化を実現することができる。
(他の実施形態)
次に、他の実施形態のインク供給ユニットについて、図面を参照して説明する。なお、他の実施形態のインク供給ユニットは、メインタンク101とサブタンク102とが離間させて配置される構成のみが異なり、基本構成が上述した実施形態とほぼ同一であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、他の実施形態のインク供給ユニットが備えるサブタンク102は、インク供給ピン131の下端と連結管部132の上端とが、インク供給チューブ161を介して連結されている。同様に、このサブタンク102は、空気導入ピン133の下端と太管部134の上端とが、空気導入チューブ162を介して連結されている。これらインク供給チューブ161および空気導入チューブ162の内径は、インク供給ピン131および空気導入ピン133の内径とほぼ等しく形成されている。
このように構成されたインク供給ユニットは、メインタンク101からサブタンク102内にインクを供給する際、インク供給チューブ161および空気導入チューブ162を介して、上述した実施形態のインクの挙動と同様に気液交換が行われ、サブタンク102内に貯留されたインクの液面位置が一定に保たれる。
本実施形態のインク供給ユニットによれば、メインタンク101とサブタンク102とがインク供給チューブ161および空気導入チューブ162を介して連結されることによって、インクジェット記録装置内でのメインタンク101およびサブタンク102の配置位置の自由度を向上することができる。
なお、上述した各実施形態では、水位保持機能を作用させる空気導入管124の太管部134が円筒状に形成されたが、円筒状に限定されるものでなく、太管部内にインクによるメニスカスを生じさせない形状であれば、例えば、長さ方向に沿って内径が次第に変化する円錐状や、流路の内壁面が鉛直方向に対して傾斜された傾斜面にされる構成が採られても良く、一定の液面位置138を安定して保つ効果が同様に得られる。
また、上述した実施形態のインク供給ユニットでは、空気導入管124が、流路の内径が異なる空気導入ピン133と太管部134とを連結して構成されたが、長さ方向に亘って内径が変化しない直管状の空気導入管が用いられても、上述した効果が同様に得られる。この構成の場合には、空気導入管が、全長に亘ってメニスカスが生じない横断面積に形成され、空気導入管全体の鉛直方向の水頭差をH、インク供給管の横断面積によるメニスカス力をM、インク供給管の流路抵抗をRとしたとき、上述の式1を満たすように構成される。
また、サブタンクが備えているメインタンクと連通可能な2本の流路のうち、空気導入流路のサブタンク内開口下面を斜め形状にすることによって、メニスカスが形成されない充分な大きさの端面形状としても良い。
実施形態に係るインクジェット記録装置全体を一部分解して示す斜視図である。 実施形態に係るインク供給ユニットを示す断面図である。 メインタンクとサブタンクとが分離されている状態を示す断面図である。 メインタンクとサブタンクとの間で気液交換が行われる動作を説明するための模式図である。 メインタンクがサブタンクに接続され、サブタンク内のインクの液面位置が一定に保たれている状態を示す断面図である。 他の実施形態に係るインク供給ユニットを示す断面図である。 従来のインク供給装置の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
100 インク供給ユニット
101 メインタンク
102 サブタンク
106 接続部
111 インク供給口
112 空気導入口
123 インク供給管
124 空気導入管
126 大気開放口
131 インク供給ピン
132 連結管部
133 空気導入ピン
134 太管部
140 インク排出部
142 インク排出口
350 記録ヘッド

Claims (13)

  1. 液体を吐出し、吐出ヘッドによって記録を行なう記録部と、
    メインタンクを装着可能な装着部と、
    前記メインタンクから供給された液体を貯留し、前記吐出ヘッドに供給可能なサブタンクと、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記サブタンクが、前記メインタンクと連通可能な2本の流路と、大気連通部と、前記吐出ヘッドへの液体排出部を備えた構成となっており、
    前記2本の流路のうち、一方の流路が、他方の流路に比べて流路抵抗が低いことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記流路抵抗が低い流路は、当該流路を介してメインタンクに空気を取り込む空気導入流路であり、他方の流路は、メインタンクからサブタンクにインクを供給するインク供給路であることを特徴とした請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記空気導入流路の、
    該流路内の空気流通方向に対して垂直方向の断面積が、
    前記インク供給路の供給路内のインク流通方向に対して垂直方向の断面積よりも大きいことを特徴とした請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記空気導入流路の、
    前記断面積が、空気流通方向長さの途中で変化していることを特徴とした請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記空気導入流路の、
    空気流通方向長さが、前記インク供給路の液体流通方向長さよりも短いことを特徴とした請求項2から4に記載されたインクジェット記録装置。
  6. 前記サブタンクが備える2本の流路が、各々、2つの流路部材が連結したものであることを特徴とする請求項1から3に記載されたインクジェット記録装置。
  7. 前記サブタンクの前記空気導入流路が、前記インク供給路に対して, 吐出ヘッドへの液体排出部に近い構成であることを特徴とした請求項2から5に記載されたインクジェット記録装置。
  8. 前記サブタンクの底面部が、前記吐出ヘッドへの液体排出部に向かって次第に深さが深くなる斜面形状であり、該液体排出部が、サブタンク内の最深部近傍に形成されていることを特徴とした請求項1から7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記空気導入流路の前記断面積が大きい流路部の断面積は、インクによるメニスカスが張らない充分に大きい断面積であり、かつ前記断インクジェット記録装置面積の大きい流路部の鉛直方向水頭差をH、断面積の細い流路部の、断面積によるメニスカス力をM、前記空気導入路および前記インク供給路の断面積が細い部分全体の流路抵抗をRとしたとき、
    H>M+R
    を満たしている請求項4または6に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記サブタンクの前記空気導入流路下端位置が、予め決められた液面保持位置であり、前記液面保持位置によって確保されるサブタンク内の液体保持量が、予め決められた一定の記録が継続可能な一定量の液体であることを特徴とした請求項2に記載されたインクジェット記録装置。
  11. 前記一定量の液体が、予め決められた時間、継続記録可能な量であることを特徴とした請求項10に記載されたインクジェット記録装置。
  12. 前記一定量の液体が、予め決められた記録枚数、継続記録可能な量であることを特徴とした請求項10に記載されたインクジェット記録装置。
  13. メインタンクから供給された液体を貯留し、吐出ヘッドに供給可能なサブタンクを備える液体供給装置において、
    前記サブタンクは、メインタンクの装着によって連通可能な複数の流路と、大気連通口と、前記吐出ヘッドへの液体排出部を備えた構成となっており、
    前記複数の流路のうち、流路方向に垂直な断面積を大きくすることによって、他の流路よりも流路抵抗を低くした流路を少なくとも備えることを特徴とする液体供給装置。
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