JP2020166032A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 Download PDF

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翔太 岡出
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Abstract

【課題】ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性に優れた感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)アリル基含有ナジイミド化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する、感光性樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化が進み、多層プリント配線板は、回路層数の増加、配線の微細化による高密度化が進行している。特に、半導体チップが搭載されるBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)等の半導体パッケージ基板の高密度化は著しく、配線の微細化に加え、絶縁膜の薄膜化及び層間接続用のビア(ビアホールとも称される)のさらなる小径化が求められている。
従来から採用されてきたプリント配線板の製造方法として、層間絶縁層と導体回路層を順次積層して形成するビルドアップ方式(例えば、特許文献1参照)による多層プリント配線板の製造方法が挙げられる。多層プリント配線板では、回路の微細化に伴い、回路をめっきにより形成する、セミアディティブ工法が主流となっている。
従来のセミアディティブ工法では、例えば、(1)導体回路上に熱硬化性樹脂フィルムをラミネートし、該熱硬化性樹脂フィルムを加熱によって硬化させて「層間絶縁層」を形成する。(2)次に、層間接続用のビアをレーザ加工により形成し、アルカリ過マンガン酸処理等によってデスミア処理及び粗化処理を行う。(3)その後、基板に無電解銅めっき処理を施し、レジストを用いてパターン形成後、電解銅めっきを行うことにより、銅の回路層を形成する。(4)次いで、レジスト剥離をし、無電解層のフラッシュエッチングを行うことにより、銅の回路が形成されてきた。
前述の様に、熱硬化性樹脂フィルムを硬化して形成された層間絶縁層にビアを形成する方法としてはレーザ加工が主流となっており、レーザ加工機を用いたレーザ照射によるビアの小径化は限界に達している。さらに、レーザ加工機によるビアの形成では、それぞれのビアホールを一つずつ形成する必要があり、高密度化によって多数のビアを設ける必要がある場合、ビアの形成に多大な時間を要し、製造効率が悪いという問題がある。
このような状況下、多数のビアを一括で形成可能な方法として、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機充填材、及び(E)シラン化合物を含有し、(D)無機充填材の含有量が10〜80質量%である感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によって、複数の小径ビアを一括で形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−304931号公報 特開2017−116652号公報
特許文献2では、層間絶縁層又は表面保護層の材料として、従来の熱硬化性樹脂組成物の代わりに感光性樹脂組成物を用いることに起因するめっき銅との接着強度の低下の抑制を課題の1つとし、さらに、ビアの解像性、シリコン素材の基板及びチップ部品との密着性も課題とし、これらを解決したとしている。
同様に、層間絶縁層の材料として、従来のソルダーレジストの材料である感光性樹脂組成物等を転用することも考えられるが、層間絶縁層にはソルダーレジストには不要であった特性又は重視されていなかった特性(例えば、複数回の加熱に耐え得る高い耐熱性、低熱膨張性)が求められる。特に、従来の層間絶縁層には、熱硬化性樹脂を使用することで十分な耐熱性を付与できたが、感光性樹脂組成物を用いた層間絶縁層は、従来のものよりも相対的に耐熱性に劣る問題がある。
そこで、本発明の課題は、ビアの解像性、耐熱性及び低熱膨張性に優れた感光性樹脂組成物、フォトビア形成用感光性樹脂組成物及び層間絶縁層用感光性樹脂組成物を提供することにある。また、前記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂フィルム及び層間絶縁層用感光性樹脂フィルムを提供すること、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供すること、並びに前記多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の[1]〜[15]に関する。
[1](A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、
(B)アリル基含有ナジイミド化合物、及び
(C)光重合開始剤、
を含有する、感光性樹脂組成物。
[2]前記(A)成分が、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基を有する光重合性化合物を含有する、上記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記(B)成分が、下記一般式(b1)で表される化合物である、上記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。

(式中、Rb1は、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
[4]前記(B)成分の含有量が、感光性樹脂組成物中の樹脂成分全量基準で、1〜50質量%である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]さらに(D)無機充填材を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]さらに(E)熱硬化性樹脂を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記(E)成分が、エポキシ樹脂である、上記[6]に記載の感光性樹脂組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、フォトビア形成用感光性樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、層間絶縁層用感光性樹脂組成物。
[10]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
[11]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、層間絶縁層用感光性樹脂フィルム。
[12]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
[13]上記[10]に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
[14]上記[12]又は[13]に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
[15]下記工程(1)〜(4)を有する、多層プリント配線板の製造方法。
工程(1):上記[10]に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程。
工程(2):前記工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルム上に対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程。
工程(3):ビア及び層間絶縁層を粗化処理する工程。
工程(4):層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程。
本発明によれば、ビアの解像性、耐熱性及び低熱膨張性に優れた感光性樹脂組成物、フォトビア形成用感光性樹脂組成物及び層間絶縁層用感光性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、前記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂フィルム及び層間絶縁層用感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに前記多層プリント配線板の製造方法を提供することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物を表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方として用いる多層プリント配線板の製造工程の一態様を示す模式図である。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。さらに、本明細書において、感光性樹脂組成物中の各成分の含有率は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、感光性樹脂組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
また、本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
[感光性樹脂組成物、フォトビア形成用感光性樹脂組成物及び層間絶縁層用感光性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係る(以下、単に本実施形態と称する場合がある。)の感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(B)アリル基含有ナジイミド化合物、及び(C)光重合開始剤、を含有する、感光性樹脂組成物である。
なお、本明細書において、前記成分はそれぞれ、(A)成分、(B)成分、(C)成分等と称することがあり、その他の成分についても同様の略し方をすることがある。本明細書において、「樹脂成分」とは、後述する必要に応じて含有させてもよい無機充填材及び希釈剤を含まない成分の総量を意味する。また、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水及び溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、また25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。
該感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィーによるビア形成(フォトビア形成とも称する。)に適しているため、本発明は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなるフォトビア形成用感光性樹脂組成物も提供する。また、該感光性樹脂組成物はビアの解像性、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性に優れており、多層プリント配線板の層間絶縁層として有用であるため、本発明は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層間絶縁層用感光性樹脂組成物も提供する。本明細書において感光性樹脂組成物という場合には、フォトビア形成用感光性樹脂組成物及び層間絶縁層用感光性樹脂組成物も含まれている。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物として有用である。
以下、感光性樹脂組成物が含有し得る各成分について詳述する。
<(A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分としてエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を含む。
(A)成分は、光重合性を示す官能基として、例えば、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基を有する化合物である。光重合性を示す官能基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分としては、(Ai)1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する一官能ビニルモノマー、(Aii)2つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する二官能ビニルモノマー及び(Aiii)少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む態様が好ましく、(Aiii)成分を含む態様がより好ましい。(Ai)〜(Aiii)成分としては、分子量が1,000以下のものが好ましい。
((Ai)一官能ビニルモノマー)
(Ai)一官能ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステル等が挙げられる。(Ai)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((Aii)二官能ビニルモノマー)
(Aii)二官能ビニルモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(Aii)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((Aiii)多官能ビニルモノマー)
(Aiii)多官能ビニルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。これらの中でも、光硬化後の耐薬品性向上の観点から、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましい。(Aiii)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記「XXX由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物」(但し、XXXは化合物名である。)とは、XXXと(メタ)アクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。
((A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基を有する光重合性化合物)
また、(A)成分は、アルカリ現像が可能であり、且つビアの解像性及びめっき銅との接着強度の観点から、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基を有する光重合性化合物を含む態様も好ましい。ここで、酸性置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。
該(A1)成分としては、アルカリ現像が可能であり、且つビアの解像性及びめっき銅との接着強度の観点から、(a1)エポキシ樹脂を(a2)ビニル基含有有機酸で変性した化合物[以下、(A’)成分と称することがある。]に、(a3)飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させてなる、「(A1−1)酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体」を使用することができる。
−(a1)エポキシ樹脂−
(a1)エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
また、(a1)エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに次の通りに分類される。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール系エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等の、前記ビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂以外のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;脂肪族鎖状エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂などに分類される。
これらの中でも、半導体実装時の信頼性の観点から、ビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。(a1)エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a1)エポキシ樹脂としては、下記一般式(I)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂であることも好ましい。
一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Yはそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。2つのRはそれぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。2つのYのうちの少なくとも一方はグリシジル基を示す。
は、ビアの解像性及びめっき銅との接着強度の観点から、いずれも水素原子であることが好ましい。また、これと同様の観点から、Yは、いずれもグリシジル基であることが好ましい。
一般式(I)で表される構造単位を有する(a1)エポキシ樹脂中の該構造単位の構造単位数は1以上の数であり、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、さらに好ましくは15〜70である。構造単位数が上記範囲内であると、接着強度、耐熱性及び絶縁信頼性が向上する傾向にある。
一般式(I)において、Rがいずれも水素原子であり、Yがいずれもグリシジル基のものは、EXA−7376シリーズ(DIC株式会社製、商品名)として、また、Rがいずれもメチル基であり、Yがいずれもグリシジル基のものは、EPON SU8シリーズ(三菱ケミカル株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
−(a2)ビニル基含有有機酸−
(a2)ビニル基含有有機酸としては、特に制限されるものではないが、ビニル基含有モノカルボン酸が好ましい。該ビニル基含有モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体;水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;などが挙げられる。
前記半エステル化合物は、例えば、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。(a2)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a2)成分の一例である前記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル及びビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
前記半エステル化合物の合成に用いられる二塩基酸無水物としては、飽和基を含有するものであってもよいし、不飽和基を含有するものであってもよい。二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
(a1)成分と(a2)成分との反応において、(a1)成分のエポキシ基1当量に対して、(a2)成分が0.6〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、0.8〜1.0当量となる比率で反応させてもよい。このような比率で反応させることで、光重合性が向上する、すなわち光感度が大きくなり、ビアの解像性が向上する傾向にある。
(a1)成分と(a2)成分は、有機溶剤に溶かして反応させることができる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。
さらに、(a1)成分と(a2)成分との反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。該触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等のアミン系触媒;メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド等の第四級アンモニウム塩触媒;トリフェニルホスフィン等のホスフィン系触媒などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン系触媒が好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。
触媒の使用量は、適度な反応速度を得る観点から、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。
また、反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.02〜0.8質量部、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部である。
(a1)成分と(a2)成分との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃である。
このように、(a1)成分と(a2)成分とを反応させてなる(A’)成分は、(a1)成分のエポキシ基と(a2)成分のカルボキシル基との開環付加反応により形成される水酸基を有するものとなる。
−(a3)多塩基酸無水物−
(a3)成分としては、飽和基を含有するものであってもよいし、不飽和基を含有するものであってもよい。(a3)成分としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性の観点から、好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸である。
上記で得られた(A’)成分に、さらに飽和又は不飽和基含有の(a3)成分を反応させることにより、(A’)成分の水酸基((a1)成分中に元来存在する水酸基も含む)と(a3)成分の酸無水物基とが半エステル化された、(A1−1)酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体が得られる。
(A’)成分と(a3)成分との反応において、例えば、(A’)成分中の水酸基1当量に対して、(a3)成分を0.1〜1.0当量反応させることで、(A1−1)酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体の酸価を調整することができる。
(A1−1)酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体の酸価は、好ましくは20〜150mgKOH/g、より好ましくは30〜120mgKOH/g、さらに好ましくは40〜90mgKOH/gである。酸価が20mgKOH/g以上であると感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性に優れる傾向にあり、150mgKOH/g以下であると硬化膜の電気特性が向上する傾向にある。
(A’)成分と(a3)成分との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃である。
(A1)成分としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂(A1−2)を使用することもできる。また、(A1−1)成分と共に(A1−2)を併用することもできる。(A1−2)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、(A1)成分としては、(a1)エポキシ樹脂を(a2)ビニル基含有有機酸で変性した化合物、つまり(A’)成分と、イソシアネート化合物とを反応させて得られる、エポキシ系ポリウレタン樹脂(A1−3)を使用することもできる。(A1−3)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基を有する光重合性化合物の分子量)
(A1)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜30,000、より好ましくは2,000〜25,000、さらに好ましくは3,000〜18,000である。この範囲内であると、めっき銅との接着強度、耐熱性及び絶縁信頼性が向上する。特に、(A1−1)酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体の重量平均分子量(Mw)が前記範囲であることが好ましい。ここで、本明細書において、重量平均分子量は以下の方法に従って測定した値である。
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量は、下記のGPC測定装置及び測定条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値を重量平均分子量とした。また、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP−H」及び「PStQuick B」、東ソー株式会社製)を用いた。
(GPC測定装置)
GPC装置:高速GPC装置「HCL−8320GPC」、検出器は示差屈折計又はUV、東ソー株式会社製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ−H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー株式会社製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35ml/分
試料濃度 :10mg/THF5ml
注入量 :20μl
なお、上述した酸変性エポキシアクリレート化合物としては、例えば、CCR−1218H、CCR−1159H、CCR−1222H、PCR−1050、TCR−1335H、ZAR−1035、ZAR−2001H、UXE−3024、ZFR−1185及びZCR−1569H、ZCR−6000、ZCR−8000(以上、日本化薬株式会社製、商品名)、UE−9000、UE−EXP−2810PM、UE−EXP−3045(以上、DIC株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
カルボキシル基を有さない光重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとその類似構造体のものがあり、商業的には、KAYARAD DPHA、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、30、KAYARAD DPCA−60、120(いずれも日本化薬株式会社製、商品名)、アロニックスM400、アロニックスM−402、アロニックスM−408(いずれも東亞合成株式会社製、商品名)、等が入手可能である。エチレン性不飽和基を1分子内に3つ以上有する多官能光重合化合物としては、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート(SR−454、日本化薬株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
また、ビスフェノールA構造を有する光重合性化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンであるFA−321M(日立化成株式会社製、商品名)又はBPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
(A)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性、電気特性及び耐薬品性の観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜85質量%、さらに好ましくは50〜80質量%である。
(A)成分としては、特に制限されるものではないが、感光特性の観点から、(A1)成分と(Aiii)成分とを併用することが好ましい。この場合、(A1)成分と(Aiii)成分の含有割合[(A1)/(Aiii)](質量比)は、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは3〜7である。
<(B)アリル基含有ナジイミド化合物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分として、アリル基含有ナジイミド化合物を含有する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は(B)成分を含有することにより、ビアの解像性を良好に保ちつつ、耐熱性及び低熱膨張性に優れたものとなる。その原因については定かではないが、次のように推測される。(B)成分は、アリル基とナジイミド骨格という複数種のエチレン性不飽和基を有するため、(A)成分が重合して形成される三次元網目構造中に組み込まれると共に、その架橋点ともなり、得られる硬化物は緻密な架橋構造を有するものとなる。また、(B)成分は、分子間相互作用及び凝集力が高いイミド骨格を有するものであるため、得られる硬化物の耐熱性はより一層高くなる。更には、(B)成分は、剛直なノルボルネン骨格を有すると共に、アリル基とナジイミド基とが縮合反応することで、分子間力が強く働くイミド骨格が形成され、これにより硬化物が非常に剛直な構造となるため、熱膨張係数が低くなったものと考えられる。
(B)アリル基含有ナジイミド化合物が1分子中に有するアリル基の数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは2個である。
(B)アリル基含有ナジイミド化合物としては、下記一般式(b1)で表される化合物が好ましい。

(式中、Rb1は、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
b1で表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
b1としては、これらの中でも、アルキレン基又はアリーレン基が好ましい。
b1で表される炭素数1〜20の2価の有機基の炭素数は、好ましくは2〜18、より好ましくは4〜16、さらに好ましくは6〜14である。
また、Rb1としては、下記一般式(b1−1)で表される2価の有機基、下記一般式(b1−2)で表される2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(b1−1)で表される2価の有機基であることがより好ましい。

(Rb2、Rb3及びRb4は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基である。*は結合部位を示す。)
b2、Rb3及びRb4で表される炭素数1〜10のアルキレン基としては、Rb1の説明で例示されたものと同じものが挙げられる。これらの中でも、メチレン基が好ましい。
b2、Rb3及びRb4で表される炭素数1〜10のアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。
(B)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは15〜30質量%である。(B)成分の含有量が上記範囲内であると、より一層、ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性に優れた感光性樹脂組成物となる。
<(C)光重合開始剤>
本実施形態で用いられる(C)成分としては、エチレン性不飽和基を重合させることができるものであれば、特に制限はなく、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
(C)成分としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[O−(エトキシカルボニル)オキシム]等のオキシムエステル類などが挙げられる。これらの中でも、アセトフェノン類、チオキサントン類が好ましく、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2,4−ジエチルチオキサントンがより好ましい。アセトフェノン類は、揮発しにくく、アウトガスとして発生しにくいという利点があり、チオキサントン類は、可視光域での光硬化が可能という利点がある。
(C)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、アセトフェノン類とチオキサントン類とを併用することが好ましく、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノンと2,4−ジエチルチオキサントンとを併用することがより好ましい。
(C)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは0.3〜2質量%である。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、感光性樹脂組成物を用いて形成される層間絶縁層において、露光される部位が現像中に溶出するおそれを低減する傾向にあり、上記上限値以下であると、耐熱性が向上する傾向にある。
<(D)無機充填材>
本実施形態の感光性樹脂組成物は(D)成分として、無機充填材を含有することが好ましい。無機充填材を含有することで、低熱膨張化することができ、反りが発生するおそれが少なくなる。多層プリント配線板の層間絶縁層として従来使用されてきた熱硬化性樹脂組成物では無機充填材を含有させることによって低熱膨張化が図られてきたが、感光性樹脂組成物に無機充填材を含有させると、無機充填材が光の散乱の原因となって現像の障害になるために多量に含有させて低熱膨張化を図ることは困難であった。このように、無機充填材を含有させることに対して、感光性樹脂組成物ならではの新しい課題が存在するが、本実施形態の感光性樹脂組成物は、多量の無機充填材を含有させたとしても、ビアの解像性が高いものとなる。そのため、低熱膨張化と共にビアの高解像性を達成することができる。
(D)成分としては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化ケイ素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al/5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO・Al)、イットリア含有ジルコニア(Y・ZrO)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボン(C)等が挙げられる。(D)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性及び低熱膨張化の観点から、シリカが好ましい。
これらの無機充填材は、感光性樹脂組成物中における分散性を向上させる観点から、アルミナ又は有機シラン系化合物で表面処理されているものを使用してもよい。
(D)成分の平均粒径は、ビアの解像性の観点から、好ましくは0.005〜5μm、より好ましくは0.01〜3μm、さらに好ましくは0.05〜2μmである。
ここで、(D)成分の平均粒径は、感光性樹脂組成物中に分散した状態での無機充填材の平均粒径であり、以下のように測定して得られる値とする。まず、感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンで1,000倍(体積比)に希釈(又は溶解)させた後、サブミクロン粒子アナライザ(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5)を用いて、国際標準規格ISO13321に準拠して、屈折率1.38で、溶剤中に分散した粒子を測定し、粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を体積平均粒子径とする。また、キャリアフィルム上に設けられる感光性樹脂フィルム及び層間絶縁層に含まれる(D)成分についても、上述のように溶剤を用いて1,000倍(体積比)に希釈(又は溶解)をした後、上記サブミクロン粒子アナライザを用いて測定できる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。(D)成分の含有量が上記範囲内であると、機械的強度、耐熱性及びビアの解像性等を向上させることができる。但し、所望する性能に応じて、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)成分を含有しないものであってもよい。
<(E)熱硬化性樹脂>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記(A)成分〜(D)成分に加えて、さらに(E)熱硬化性樹脂を含有することができる。(E)熱硬化性樹脂を含有することにより、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性の向上に加えて、耐熱性が向上する。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、特にこれらに制限されず、公知の熱硬化性樹脂を使用できる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で、又は複数種を併用して用いることができる。これらの中でも、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂には(A)成分及び(B)成分に相当するものは含まれず、その点で、(E)成分として用いられるエポキシ樹脂はエチレン性不飽和基を有さないものと言える。また、当該条件を満たした上でエポキシ基を有する物質は、(E)成分に包含される。
(E)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
(E)成分のエポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに次の通りに分類される。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール系エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等の、前記ビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂以外のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;脂肪族鎖状エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;などに分類される。
これらの中でも、特に、耐熱性、絶縁信頼性及びめっき銅との接着強度の観点から、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
これらは市販品を使用することもでき、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER828EL」、「YL980」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER806H」、「YL983U」)、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「HP4032D」、「HP4710」)、ナフタレン骨格含有多官能エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「NC7000」)、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製「ESN−475V」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「NC3000H」、「NC3500」)、三菱ケミカル株式会社製「YX4000HK」、「YL6121」)、アントラセン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「YX8800」)、グリセロール型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学株式会社製「ZX1542」)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EXA7311−G4」)等が挙げられる。
(E)成分のエポキシ樹脂としては、前記例示以外にも、エポキシ変性ポリブタジエン(以下、「エポキシ化ポリブタジエン」ともいう)を使用することができる。特に、(E)成分としては、プリント配線板搬送時の割れ防止の観点から、室温で固体状の芳香族系エポキシ樹脂と室温で液状のエポキシ樹脂とを併用してもよく、この観点から、好ましいものとして例示した前記エポキシ樹脂(室温で固体状の芳香族系エポキシ樹脂)と、エポキシ変性ポリブタジエン(室温で液状のエポキシ樹脂)とを併用してもよい。この場合、併用する両者の含有比率(室温で固体状の芳香族系エポキシ樹脂/室温で液状のエポキシ樹脂)は、質量比で、例えば、0.5〜1.5である。
前記エポキシ変性ポリブタジエンは、分子末端に水酸基を有するものが好ましく、分子両末端に水酸基を有することがより好ましく、分子両末端にのみ水酸基を有することがさらに好ましい。また、前記エポキシ変性ポリブタジエンが有する水酸基の数は1つ以上であれば特に制限はないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは2である。
前記エポキシ変性ポリブタジエンは、めっき銅との接着強度、耐熱性、熱膨張係数及び柔軟性の観点から、下記一般式(E−1)で表されるエポキシ変性ポリブタジエンであることが好ましい。

(上記式(E−1)中、a、b及びcはそれぞれ、丸括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、角括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
前記一般式(E−1)において角括弧内の各構造単位の結合順序は順不同である。つまり、左に示された構造単位と、中心に示された構造単位と、右に示された構造単位とは、入れ違っていてもよく、それぞれを、(a)、(b)、(c)で表すと、−[(a)−(b)−(c)]−[(a)−(b)−(c)−]−、−[(a)−(c)−(b)]−[(a)−(c)−(b)−]−、−[(b)−(a)−(c)]−[(b)−(a)−(c)−]−、−[(a)−(b)−(c)]−[(c)−(b)−(a)−]−、−[(a)−(b)−(a)]−[(c)−(b)−(c)−]−、−[(c)−(b)−(c)]−[(b)−(a)−(a)−]−など、種々の結合順序があり得る。
めっき銅との接着強度、耐熱性、熱膨張係数及び柔軟性の観点から、aは好ましくは0.10〜0.30、bは好ましくは0.10〜0.30、cは好ましくは0.40〜0.80である。また、これと同様の観点から、yは好ましくは30〜180の整数である。
前記一般式(E−1)において、a=0.20、b=0.20、c=0.60、及びy=10〜250の整数となるエポキシ化ポリブタジエンの市販品としては、「エポリード(登録商標)PB3600」(株式会社ダイセル製)等が挙げられる。
(E)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは4〜12質量%である。(E)成分の含有量が上記下限値以上であると、感光性樹脂組成物の十分な架橋が得られ、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性が向上する傾向にある。一方、上記上限値以下であると、ビアの解像性が良好となる傾向にある。
<(F)顔料>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、感光特性を調整する目的で、(F)成分として顔料を含有してもよい。(F)成分としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、ーボンブラック、ナフタレンブラック等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜3質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%である。
<(G)エポキシ樹脂硬化剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、さらに、得られる絶縁層の耐熱性、密着性、耐薬品性等の諸特性を更に向上させる目的でエポキシ樹脂硬化剤を併用することができる。
(G)成分の具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等の第三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類;前記の多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(G)成分を含有する場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
<希釈剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて希釈剤を使用することができる。希釈剤としては、例えば、有機溶剤等が使用できる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。希釈剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
希釈剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量の濃度が、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは65〜75質量%となるように適宜選択すればよい。希釈剤の使用量をこのように調整することで、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、より高精細なパターンの形成が可能となる。
<その他の添加剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;各種エラストマー;シランカップリング剤;などの公知慣用の各種添加剤を含有させることができる。さらに、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤を含有させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、各成分をロールミル、ビーズミル等で混練及び混合することにより得ることができる。
ここで、本実施形態の感光性樹脂組成物は、液状として使用してもよいし、フィルム状として使用してもよい。
液状として使用する場合、本実施形態の感光性樹脂組成物の塗布方法は特に制限はないが、例えば、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、浸漬塗布法等の各種塗布方法が挙げられる。これらの中でも、感光層をより容易に形成する観点から、印刷法、スピンコート法から適宜選択すればよい。
また、フィルム状として用いる場合は、例えば、後述する感光性樹脂フィルムの形態で用いることができ、この場合はラミネーター等を用いてキャリアフィルム上に積層することで所望の厚みの感光層を形成することができる。なお、フィルム状として使用する方が、多層プリント配線板の製造効率が高くなるために好ましい。
[感光性樹脂フィルム、層間絶縁層用感光性樹脂フィルム]
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、後に層間絶縁層となる感光層であって、本実施形態の感光性樹脂組成物からなるものである。キャリアフィルム上に感光性樹脂フィルムが設けられている態様であってもよい。
感光性樹脂フィルム(感光層)の厚み(乾燥後の厚み)は、特に制限されるものではないが、多層プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜40μmである。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、例えば、キャリアフィルム上に、本実施形態の感光性樹脂組成物を、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工装置で塗布及び乾燥することにより、後に層間絶縁層となる感光層を形成することで得られる。
キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。キャリアフィルムの厚みは、5〜100μmの範囲から適宜選択すればよいが、好ましくは5〜60μm、より好ましくは15〜45μmである。
また、本実施形態の感光性樹脂フィルムは、感光層の面のうち、キャリアフィルムと接する面とは反対側の面に保護フィルムを設けることもできる。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどを用いることができる。また、上述するキャリアフィルムと同様の重合体フィルムを用いてもよく、異なる重合体フィルムを用いてもよい。
感光性樹脂組成物を塗布して形成される塗膜の乾燥は、熱風乾燥、遠赤外線、又は、近赤外線を用いた乾燥機等を用いることができる。乾燥温度としては、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは80〜100℃である。また、乾燥時間としては、好ましくは1〜60分間、より好ましくは2〜30分間、さらに好ましくは5〜20分間である。乾燥後における感光性樹脂フィルム中の残存希釈剤の含有量は、多層プリント配線板の製造工程において希釈剤が拡散するのを避ける観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び絶縁信頼性に優れているため、多層プリント配線板の層間絶縁層として適している。つまり、本発明は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層間絶縁層用感光性樹脂フィルムも提供する。なお、層間絶縁層用感光性樹脂フィルムは、層間絶縁感光フィルムと称することもできる。
[多層プリント配線板及びその製造方法]
本実施形態の多層プリント配線板は、上記の本実施形態の感光性樹脂組成物又は本実施形態の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなるものである。本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた層間絶縁層を形成する工程を有していればその製造方法には特に制限はなく、例えば、以下の本実施形態の多層プリント配線板の製造方法により容易に製造することができる。
本実施形態の感光性樹脂フィルム(層間絶縁層用感光性樹脂フィルム)を用いて、多層プリント配線板を製造する方法について、適宜図1を参照しながら説明する。
多層プリント配線板100Aは、例えば、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法により製造することができる。
工程(1):本実施形態の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程[以下、ラミネート工程(1)と称する]。
工程(2):工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程[以下、フォトビア形成工程(2)と称する]。
工程(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理する工程[以下、粗化処理工程(3)と称する]。
工程(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程[以下、回路パターン形成工程(4)と称する]。
(ラミネート工程(1))
ラミネート工程(1)は、真空ラミネーターを用いて、本実施形態の感光性樹脂フィルム(層間絶縁層用感光性樹脂フィルム)を回路基板(回路パターン102を有する基板101)の片面又は両面にラミネートする工程である。真空ラミネーターとしては、ニチゴー・モートン株式会社製のバキュームアップリケーター、株式会社名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、株式会社日立製作所製のロール式ドライコーター、日立化成エレクトロニクス株式会社製の真空ラミネーター等が挙げられる。
感光性樹脂フィルムに保護フィルムが設けられている場合には、保護フィルムを剥離又は除去した後、感光性樹脂フィルムが回路基板と接するように、加圧及び加熱しながら回路基板に圧着してラミネートすることができる。
該ラミネートは、例えば、感光性樹脂フィルム及び回路基板を必要に応じて予備加熱してから、圧着温度70〜130℃、圧着圧力0.1〜1.0MPa、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することができるが、特にこの条件に制限されるものではない。また、ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。
最後に、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルム(以下、感光層と称することがある。)を室温付近に冷却し、層間絶縁層103とする。キャリアフィルムをここで剥離してもよいし、後述するように露光後に剥離してもよい。
(フォトビア形成工程(2))
フォトビア形成工程(2)では、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルムの少なくとも一部に対して露光し、次いで現像を行う。露光によって、活性光線が照射された部分が光硬化してパターンが形成される。露光方法に特に制限はなく、例えば、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを介して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)を採用してもよいし、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により、活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができる。光源としては、具体的には、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ;YAGレーザ等の固体レーザ;半導体レーザ等の紫外線又は可視光線を有効に放射するもの;などが挙げられる。露光量は、使用する光源及び感光層の厚み等によって適宜選定されるが、例えば高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、感光層の厚み1〜100μmでは、通常、10〜1,000J/m程度が好ましく、15〜500J/mがより好ましい。
現像においては、前記感光層の未硬化部分が基板上から除去されることで、光硬化した硬化物からなる層間絶縁層が基板上に形成される。
感光層上にキャリアフィルムが存在している場合には、該キャリアフィルムを除去してから、未露光部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像があり、いずれを採用してもよいが、ウェット現像が広く用いられており、本実施形態においてもウェット現像を採用できる。
ウェット現像の場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられる。これらの中でも、解像性向上の観点からは、スプレー方式が好ましく、スプレー方式の中でも高圧スプレー方式がより好ましい。現像は、1種の方法で実施すればよいが、2種以上の方法を組み合わせて実施してもよい。
現像液の構成は、感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液及び有機溶剤系現像液が挙げられ、これらの中でもアルカリ性水溶液が好ましい。
フォトビア形成工程(2)では、露光及び現像をした後、0.2〜10J/cm程度(好ましくは0.5〜5J/cm)の露光量のポストUVキュア、及び60〜250℃程度(好ましくは120〜200℃)の温度のポスト熱キュアを必要に応じて行うことにより、層間絶縁層をさらに硬化させてもよく、また、そうすることが好ましい。
以上のようにして、ビア104を有する層間絶縁層が形成される。ビアの形状に特に制限はなく、断面形状で説明すると、例えば、四角形、逆台形(上辺が下辺より長い)等が挙げられ、正面(ビア底が見える方向)から見た形状で説明すると、円形、四角形等が挙げられる。本実施形態におけるフォトリソ法によるビアの形成では、断面形状が逆台形(上辺が下辺より長い)のビアを形成することができ、この場合、めっき銅のビア壁面への付き回り性が高くなるために好ましい。
本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)は、40μm未満にすることができ、さらには、35μm以下又は30μm以下にすることも可能であり、レーザ加工によって作製するビアのサイズよりも小径化することができる。本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)の下限値に特に制限はないが、15μm以上であってもよいし、20μm以上であってもよい。
但し、本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)は40μm未満に限定されるものではなく、例えば、15〜300μmの範囲で任意に選択してもよい。
(粗化処理工程(3))
粗化処理工程(3)では、ビア及び層間絶縁層の表面を粗化液により粗化処理を行う。なお、前記フォトビア形成工程(2)においてスミアが発生した場合には、該スミアを前記粗化液によって除去してもよい。粗化処理と、スミアの除去は同時に行うことができる。
前記粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液(例えば、過マンガン酸ナトリウム粗化液等)、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液等が挙げられる。
粗化処理により、ビア及び層間絶縁層の表面に凹凸のアンカーが形成する。
(回路パターン形成工程(4))
回路パターン形成工程(4)は、前記粗化処理工程(3)の後に、前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程である。
回路パターンの形成は微細配線形成の観点から、セミアディティブプロセスにより実施することが好ましい。セミアディティブプロセスにより回路パターンの形成と共にビアの導通が行われる。
セミアディティブプロセスにおいては、まず、前記粗化処理工程(3)後のビア底、ビア壁面及び層間絶縁層の表面全体にパラジウム触媒等を用いた上で無電解銅めっき処理を施してシード層105を形成する。該シード層は電解銅めっきを施すための給電層を形成するためのものであり、好ましくは0.1〜2.0μm程度の厚みで形成される。該シード層の厚みが0.1μm以上であれば、電解銅めっき時の接続信頼性が低下するのを抑制できる傾向にあり、2.0μm以下であれば、配線間のシード層をフラッシュエッチする際のエッチング量を大きくする必要がなく、エッチングの際に配線に与えるダメージを抑えられる傾向にある。
前記無電解銅めっき処理は、銅イオンと還元剤の反応により、ビア及び層間絶縁層の表面に金属銅が析出することで行われる。
前記無電解めっき処理方法及び前記電解めっき処理方法は公知の方法でよく、特に限定されるものではないが、無電解めっき処理工程の触媒は、好ましくはパラジウム−スズ混合触媒であり、該触媒の1次粒子径は好ましくは10nm以下である。また、無電解めっき処理工程のめっき組成としては、次亜リン酸を還元剤として含有することが好ましい。
無電解銅めっき液としては市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、アトテックジャパン株式会社製の「MSK−DK」、上村工業株式会社製「スルカップ(登録商標)PEAシリーズ」等が挙げられる。
前記無電解銅めっき処理を施した後、無電解銅めっき上に、ロールラミネーターにてドライフィルムレジストを熱圧着する。ドライフィルムレジストの厚みは電気銅めっき後の配線高さよりも高くしなければならず、この観点から、5〜30μmの厚みのドライフィルムレジストが好ましい。ドライフィルムレジストとしては、日立化成株式会社製の「フォテック」シリーズ等が用いられる。
ドライフィルムレジストの熱圧着後、例えば、所望の配線パターンが描画されたマスクを通してドライフィルムレジストの露光を行う。露光は、前記感光性樹脂フィルムにビアを形成する際に使用し得るものと同様の装置及び光源で行うことができる。露光後、ドライフィルムレジスト上のキャリアフィルムを剥離し、アルカリ水溶液を用いて現像を行い、未露光部分を除去し、レジストパターン106を形成する。この後、必要に応じてプラズマなどを用いてドライフィルムレジストの現像残渣を除去する作業を行ってもよい。
現像後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層107の形成及びビアフィリングを行う。
電気銅めっき後、アルカリ水溶液又はアミン系剥離剤を用いてドライフィルムレジストの剥離を行う。ドライフィルムレジストの剥離後、配線間のシード層の除去(フラッシュエッチング)を行う。フラッシュエッチングは、硫酸と過酸化水素等の酸性溶液と酸化性溶液とを用いて行われる。フラッシュエッチング後、必要に応じて配線間の部分に付着したパラジウム等の除去を行う。パラジウムの除去は、好ましくは、硝酸、塩酸等の酸性溶液を用いて行うことができる。
前記ドライフィルムレジストの剥離後又はフラッシュエッチング工程の後、好ましくはポストベーク処理を行う。ポストベーク処理は、未反応の熱硬化成分を十分に熱硬化し、さらにそれによって絶縁信頼性、硬化特性及びめっき銅との接着強度を向上させる。熱硬化条件は樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度が150〜240℃、硬化時間が15〜100分であることが好ましい。ポストベーク処理により、一通りのフォトビア法による多層プリント配線板の製造工程が完成するが、必要な層間絶縁層の数に応じて、本プロセスを繰り返して基板を製造する。そして、最外層には好ましくはソルダーレジスト層108を形成する。
以上、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いてビアを形成する多層プリント配線板の製造方法について説明したが、本実施形態の感光性樹脂組成物は、パターン解像性に優れるものであるため、例えば、チップ又は受動素子等を内蔵するためのキャビティーを形成するのにも好適である。キャビティーは、例えば、上記した多層プリント配線板の説明において、感光性樹脂フィルムに露光してパターン形成する際の描画パターンを、所望するキャビティーを形成できるものとすることで好適に形成することができる。
[半導体パッケージ]
本発明は、本実施形態の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージも提供する。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態の多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、各例で得られた感光性樹脂組成物は、以下に示す方法により特性を評価した。
[1.ビアの解像性の評価]
(1)評価用積層体の作製
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(日立化成株式会社製、商品名「MCL−E−679」)の銅箔表面を、粗化前処理液(メック株式会社製、商品名「CZ−8100」)で処理した後、水洗及び乾燥して、粗化前処理済のプリント配線板用基板を得た。次に、各実施例及び比較例で製造したキャリアフィルム及び保護フィルム付き感光性樹脂フィルムから保護フィルムを剥離除去し、露出した感光性樹脂フィルムを、上記粗化前処理済のプリント配線板用基板の銅箔と当接するように載置した後、プレス式真空ラミネーター(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて、ラミネート処理を施した。なお、ラミネートの条件は、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaとした。ラミネート処理後、室温で1時間以上放置して、プリント配線板用基板の銅箔表面上に、感光性樹脂フィルム及びキャリアフィルムがこの順に積層された評価用積層体を得た。
(2)感光性樹脂フィルムの感度測定
上記で得た評価用積層体のキャリアフィルムを剥離及び除去してから41段ステップタブレットを配置し、超高圧水銀ランプを光源としたダイレクトイメージング露光装置「DXP−3512」(株式会社オーク製作所製)を用いて露光を行った。露光パターンは、ドットが格子状に配列したパターン(ドットの直径:ドットの中心間の距離=1:2)を用いた。ドットの直径はφ30〜100μmの範囲で直径を5μm刻みで変化させた。
露光後、室温で30分間放置した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、未露光部の感光性樹脂組成物を60秒間スプレー現像した。現像後、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が7.0となる露光エネルギー量を感光性樹脂フィルムの感度(単位;mJ/cm)とした。この感度で露光したパターンを用いて、下記評価基準に従って感光性樹脂フィルムに設けたビアの解像性の評価を行った。
(3)解像性の評価
解像性の評価は、ステップ段数が7.0となる露光エネルギー量で露光し、次いでスプレー現像した後に、光学顕微鏡を用いてビアパターンを観察し、下記基準に従って評価した。下記の「開口」という状態は、光学顕微鏡を用いてドットパターンのビア部分を観察した際に、プリント配線板用基材の銅箔を確認できる状態を指す。「A」の判定が良好な特性を示す。
A:ドットパターンのマスク径がφ50μm以下のビア部分が開口している。
B:ドットパターンのマスク径がφ50μm以下のビア部分は開口していないが、φ50μmより大きく、φ70μm以下のビア部分が開口している。
C:ドットパターンのマスク径がφ70μm以下のビア部分は開口していないが、φ70μmより大きいビア部分が開口している。
[2.タック性の評価]
各実施例及び比較例で製造したキャリアフィルム及び保護フィルム付き感光性樹脂フィルムから、保護フィルムを剥離する際に、引っかかりが感じられない場合を「A」とし、引っかかりが感じられる場合を「C」と評価した。評価結果を表1に示す。
[3.ガラス転移温度、及び、4.熱膨張係数の評価]
各実施例及び比較例で製造したキャリアフィルム及び保護フィルム付き感光性樹脂フィルムを、i線露光装置(UX−2240SM―XJ−01、ウシオ株式会社製、品番)を用いて500mJ/cmで全面露光し、常温(25℃)で1時間静置した後、保護フィルムを剥離した。その後、紫外線照射装置(株式会社オーク製作所製)を使用して2J/cmの紫外線照射を行い、更に220℃、60分間で加熱処理した。次いで、カッターナイフで、幅3mm、長さ30mmに切り出した後、キャリアフィルムを剥離し、熱膨張係数評価用の硬化物を得た。
上記得られた硬化物を試験片として、TMA装置(SS6000、セイコー・インスツルメンル株式会社製、品番)を用いて、引張りモードでの熱膨張係数の測定を行った。引張り荷重は5g、スパン(チャック間距離)は15mm、昇温速度は10℃/分とした。まず、試験片を装置に装着し、室温(25℃)から160℃まで加熱し、15分間放置した。その後、−60℃まで冷却し、−60℃から250℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、熱膨張係数、ガラス転移温度を算出し、以下の基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
<ガラス転移温度の評価基準>
A:160℃以上
B:160℃未満150℃以上
C:150℃未満
<熱膨張係数の評価基準>
A:0.02以下
B:0.02超、0.03以下
C:0.03超
[酸変性ビニル基含有エポキシ誘導体の製造]
合成例1
(酸変性エポキシアクリレート樹脂(A−1)の合成)
ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EXA−7376」)350質量部、アクリル酸70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を反応容器に仕込み、90℃に加熱して撹拌することにより反応させた。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸98質量部とカルビトールアセテート85質量部とを加え、80℃に加熱して約6時間反応させた後に冷却し、固形分濃度が73質量%である(A)成分としての酸変性エポキシアクリレート樹脂(A−1)の溶液を得た。
<実施例1〜6、比較例1〜3>
(感光性樹脂組成物の調製)
表1に示す配合組成に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練して感光性樹脂組成物を調製した。各例において、適宜、カルビトールアセテートを加えて濃度を調整し、固形分濃度が60質量%の感光性樹脂組成物を得た。
(感光性樹脂フィルムの作製)
厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)をキャリアフィルムとし、該キャリアフィルム上に、各例で調製した感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で10分間乾燥し、感光性樹脂フィルム(感光層)を形成した。続いて、該感光性樹脂フィルム(感光層)のキャリアフィルムと接している側とは反対側の表面上に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(MA−411、王子エフテックス株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、キャリアフィルム及び保護フィルムを貼り合わせた感光性樹脂フィルムを作製した。
作製した感光性樹脂フィルムを用いて、前記方法に従って各評価を行った。結果を表1に示す。
各例で使用した各成分は以下の通りである。
[(A)成分]
・酸変性エポキシアクリレート樹脂(A−1):合成例1で調製した酸変性エポキシアクリレート樹脂(A−1)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
[(B)成分]
・アリル基含有ナジイミド化合物(B−1):下記一般式(b2)で表される化合物
・アリル基含有ナジイミド化合物(B−2):下記一般式(b3)で表される化合物

[(C)成分]
・2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]モルフォリノ−1−プロパノン、アセトフェノン類
・2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン類
[(D)成分]
・球状シリカ(平均粒子径0.5μm)
[(E)成分]
・エポキシ樹脂:(新日鉄住金化学株式会社製、商品名「YDF−8170C」)
・エポキシ化ポリブタジエン:(ダイセル化学株式会社製、商品名「PB3600」)
[(F)成分]
・フタロシアニン系顔料
表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜6の感光性樹脂組成物は、優れたビアの解像度を損なうことなく、タックの発生が抑制されると共に、優れた耐熱性及び低熱膨張性を有するものであることが確認された。
一方、(C)成分を使用しなかった比較例1〜3の感光性樹脂組成物は、いずれもガラス転移温度が低く、耐熱性に劣っていた。また、(D)成分を使用しなかった実施例1〜3と、比較例1とを対比すると、実施例1〜3の感光性樹脂組成物は、比較例1の感光性樹脂組成物よりも、低い熱膨張係数が得られていることが分かる。このことから、本実施形態の感光性樹脂組成物は、特に低熱膨張性に優れたものであることが確認された。
100A 多層プリント配線板
102 回路パターン
103 層間絶縁層
104 ビア(ビアホール)
105 シード層
106 レジストパターン
107 銅の回路層
108 ソルダーレジスト層

Claims (15)

  1. (A)エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、
    (B)アリル基含有ナジイミド化合物、及び
    (C)光重合開始剤、
    を含有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分が、(A1)エチレン性不飽和基と共に酸性置換基を有する光重合性化合物を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分が、下記一般式(b1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。

    (式中、Rb1は、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
  4. 前記(B)成分の含有量が、感光性樹脂組成物中の樹脂成分全量基準で、1〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. さらに(D)無機充填材を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに(E)熱硬化性樹脂を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(E)成分が、エポキシ樹脂である、請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、フォトビア形成用感光性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、層間絶縁層用感光性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、層間絶縁層用感光性樹脂フィルム。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
  13. 請求項10に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
  14. 請求項12又は13に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
  15. 下記工程(1)〜(4)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
    工程(1):請求項10に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程。
    工程(2):前記工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程。
    工程(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理する工程。
    工程(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程。
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WO2022107380A1 (ja) * 2020-11-17 2022-05-27 昭和電工マテリアルズ株式会社 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法

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