JP7354664B2 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7354664B2 JP7354664B2 JP2019148812A JP2019148812A JP7354664B2 JP 7354664 B2 JP7354664 B2 JP 7354664B2 JP 2019148812 A JP2019148812 A JP 2019148812A JP 2019148812 A JP2019148812 A JP 2019148812A JP 7354664 B2 JP7354664 B2 JP 7354664B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- photosensitive resin
- group
- resin composition
- epoxy resin
- composition according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Materials For Photolithography (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Description
従来のセミアディティブ工法では、例えば、(1)導体回路上に熱硬化性樹脂フィルムをラミネートし、該熱硬化性樹脂フィルムを加熱によって硬化させて「層間絶縁層」を形成する。(2)次に、層間接続用のビアをレーザ加工により形成し、アルカリ過マンガン酸処理等によってデスミア処理及び粗化処理を行う。(3)その後、基板に無電解銅めっき処理を施し、レジストを用いてパターン形成後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層を形成する。(4)次いで、レジストを剥離し、無電解層のフラッシュエッチングを行うことにより、銅の回路が形成されてきた。
すなわち、本発明は、下記の[1]~[18]に関する。
[1](A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、及び
(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、
を含有する、感光性樹脂組成物。
[2]前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物が、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含む、上記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、前記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。m1は0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。)
[3]前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物の酸価が、20~200mgKOH/gである、上記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4](B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が、N-置換マレイミド基を2個以上有する芳香族マレイミド化合物である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物と、前記(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物との含有量比[(A)/(B)]が、質量基準で、1~10である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]さらに、(C)エポキシ樹脂を含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記(C)エポキシ樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂を含有する、上記[6]に記載の感光性樹脂組成物。
[8]さらに、(D)2個以上のエチレン性不飽和基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤を含有する、上記[1]~[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[9]前記(D)架橋剤として、(D1)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤を含有する、上記[8]に記載の感光性樹脂組成物。
[10]前記(D)架橋剤として、(D2)2個以上のアリル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤を含有する、上記[8]又は[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11]さらに、(E)エラストマを含有し、該(E)エラストマとして、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有するエラストマを含有する、上記[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[12]さらに、(F)光重合開始剤を含有する、上記[1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[13]さらに、(G)無機充填材を、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、10~70質量%含有する、上記[1]~[12]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[14]フォトビア及び層間絶縁層からなる群から選択される1種以上の形成に用いられる、上記[1]~[13]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[15]上記[1]~[14]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
[16]上記[1]~[14]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、又は上記[15]に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
[17]上記[16]に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
[18]下記工程(1)~(4)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
工程(1):上記[15]に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程。
工程(2):前記工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程。
工程(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理する工程。
工程(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程。
また、本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
また、本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水及び溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、また25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。
本発明の一実施形態に係る(以下、単に本実施形態と称する場合がある。)の感光性樹脂組成物は、
(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、及び
(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、
を含有する、感光性樹脂組成物である。
なお、本明細書において、上記成分はそれぞれ、(A)成分、(B)成分等と省略して称することがあり、その他の成分についても同様の略し方をすることがある。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物に好適である。
以下、感光性樹脂組成物が含有し得る各成分について詳述する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物を含有する。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分が有するエチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等の光重合性を示す官能基が挙げられる。これらの中でも、反応性及びビアの解像性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分が有する酸性置換基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性の観点から、カルボキシ基が好ましい。
(A)成分の酸価は、好ましくは20~200mgKOH/g、より好ましくは40~180mgKOH/g、さらに好ましくは70~150mgKOH/g、特に好ましくは90~120mgKOH/gである。(A)成分の酸価が上記下限値以上であると、感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性が優れる傾向にあり、上記上限値以下であると、硬化物の誘電特性が優れる傾向にある。(A)成分の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、酸価が異なる2種以上の(A)成分を併用してもよく、その場合、上記2種以上の(A)成分の酸価の荷重平均の酸価が、上記いずれかの範囲内となることが好ましい。
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量は、下記のGPC測定装置及び測定条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値を重量平均分子量とした。また、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP-H」及び「PStQuick B」、東ソー株式会社製)を用いた。
(GPC測定装置)
GPC装置:高速GPC装置「HCL-8320GPC」、検出器は示差屈折計又はUV、東ソー株式会社製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ-H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー株式会社製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35ml/分
試料濃度 :10mg/THF5ml
注入量 :20μl
(A)成分が有する脂環式骨格としては、ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、環形成炭素数5~20の脂環式骨格が好ましく、環形成炭素数5~18の脂環式骨格がより好ましく、環形成炭素数6~18の脂環式骨格がさらに好ましく、環形成炭素数8~14の脂環式骨格が特に好ましく、環形成炭素数8~12の脂環式骨格が最も好ましい。
また、上記脂環式骨格は、ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、2環以上からなることが好ましく、2~4環からなることがより好ましく、3環からなることがさらに好ましい。2環以上の脂環式骨格としては、例えば、ノルボルナン骨格、デカリン骨格、ビシクロウンデカン骨格、ジシクロペンタジエン骨格等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性、めっき銅との接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、ジシクロペンタジエン骨格が好ましい。
同様の観点から、(A)成分は、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含むものが好ましい。
(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。m1は0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。)
m1は0~6の整数であり、0~2の整数が好ましく、0がより好ましい。
m1が2~6の整数である場合、複数のRA1はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、複数のRA1は、可能な範囲で同一炭素原子上に置換していてもよいし、異なる炭素原子上に置換していてもよい。
*は他の構造への結合部位であり、脂環式骨格上のいずれの炭素原子で結合されていてもよいが、下記一般式(A-1’)中の1又は2で示される炭素原子と、3又は4のいずれかで示される炭素原子にて結合されていることが好ましい。
(式中、RA1、m1及び*は、一般式(A-1)中のものと同じである。)
以下、(a1)エポキシ樹脂、(a2)エチレン性不飽和基含有有機酸及び(a3)飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物から得られる(A)成分の好適な態様について説明する。
(a1)エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。
(a1)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a1)エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂が有する脂環式骨格については、前述した(A)成分が有する脂環式骨格と同様に説明され、好ましい態様も同じである。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂としては、下記一般式(A-2)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。
(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式骨格中のどこに置換していてもよい。RA2は炭素数1~12のアルキル基を表す。m1は0~6の整数、m2は0~3の整数である。nは0~50の数である。)
一般式(A-2)中のRA2が表す炭素数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(A-2)中のm1は一般式(A-1)中のm1と同じであり、好ましい態様も同じである。
一般式(A-2)中のm2は0~3の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
一般式(A-2)中のnは丸括弧内の構造単位の繰り返し数を表し、0~50の数である。通常、エポキシ樹脂は丸括弧内の構造単位の繰り返し数が異なるものの混合物となっているため、その場合、nはその混合物の平均値で表される。nとしては、0~30の数が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、下記一般式(A-3)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
(式中、RA3は水素原子又はメチル基を示し、YA1はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。2つのRA3はそれぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。2つのYA1のうちの少なくとも一方はグリシジル基を示す。)
一般式(A-3)で表される構造単位を有する(a1)エポキシ樹脂中の該構造単位の構造単位数は1以上の数であり、好ましくは10~100の数、より好ましくは15~80の数、さらに好ましくは15~70の数である。構造単位数が上記範囲内であると、接着強度、耐熱性及び絶縁信頼性が向上する傾向にある。
一般式(A-3)において、RA3がいずれも水素原子であり、YA1がいずれもグリシジル基のものは、EXA-7376シリーズ(DIC株式会社製、商品名)として、また、RA3がいずれもメチル基であり、YA1がいずれもグリシジル基のものは、EPON SU8シリーズ(三菱ケミカル株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他のエポキシ樹脂としては、例えば、スチルベン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
(a2)エチレン性不飽和基含有有機酸としては、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸が好ましい。
(a2)成分が有するエチレン性不飽和基としては、(A)成分が有するエチレン性不飽和基として挙げられたものと同じものが挙げられる。
(a2)成分としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、β-スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α-シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体;水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物などが挙げられる。
(a2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル基含有モノグリシジルエーテルとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒を使用する場合、その使用量は、適度な反応速度を得る観点から、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部である。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.8質量部、さらに好ましくは0.1~0.5質量部である。
(a3)成分としては、飽和基を含有するものであってもよいし、不飽和基を含有するものであってもよい。(a3)成分としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性の観点から、テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。(a3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物を含有する。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分を含有することにより、硬化物の優先正接を低くすることができる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、例えば、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等の分子内に2つのN-置換マレイミド基を有する芳香族ビスマレイミド化合物;ポリフェニルメタンマレイミド、ビフェニルアラルキル型マレイミド等の分子内に3つ以上のN-置換マレイミド基を有する芳香族ポリマレイミド化合物;1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ピロリロン酸バインダ型長鎖アルキルビスマレイミド等の脂肪族マレイミド化合物などが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性及び誘電特性の観点から、N-置換マレイミド基を2個以上有する芳香族マレイミド化合物が好ましく、芳香族ポリマレイミド化合物がより好ましい。
(式中、XB1は2価の有機基である。)
(式中、RB1は、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。p1は0~4の整数である。)
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
p1は0~4の整数であり、入手容易性の観点から、0~2の整数であってもよく、0又は1であってもよく、0であってもよい。p1が2以上の整数である場合、複数のRB1同士は同一であっても異なっていてもよい。
(式中、RB2及びRB3は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。XB2は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合、又は下記一般式(B-3-1)で表される2価の基である。p2及びp3は、各々独立に、0~4の整数である。)
XB2が表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、他の樹脂との相容性、導体との接着性、耐熱性、低熱膨張性及び機械特性の観点から、炭素数1~3のアルキレン基であってもよく、メチレン基であってもよい。
XB2が表す炭素数2~5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、他の樹脂との相容性、導体との接着性、耐熱性、低熱膨張性及び機械特性の観点から、イソプロピリデン基であってもよい。
XB2としては、上記選択肢の中でも、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基であってもよい。
p2及びp3は、各々独立に、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、0~2の整数であってもよく、0又は2であってもよい。p2又はp3が2以上の整数である場合、複数のRB2同士又はRB3同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、XB2が表す一般式(B-3-1)で表される2価の基は以下のとおりである。
(式中、RB4及びRB5は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。XB3は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。p4及びp5は、各々独立に、0~4の整数である。)
XB3が表す炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基としては、XB2が表す炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基と同じものが挙げられる。
XB3としては、上記選択肢の中から、炭素数2~5のアルキリデン基を選択してもよい。
p4及びp5は、各々独立に、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、0~2の整数であってもよく、0又は1であってもよく、0であってもよい。p4又はp5が2以上の整数である場合、複数のRB4同士又はRB5同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
(式中、p6は0~10の整数である。)
(式中、p7は0~5の数ある。)
(式中、RB6及びRB7は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基である。p8は1~8の整数である。)
p8は1~8の整数であり、1~3の整数であってもよく、1であってもよい。
p8が2以上の整数である場合、複数のRB6同士又はRB7同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(C)成分として、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)エポキシ樹脂を含有することで、めっき銅との接着性及び絶縁信頼性の向上に加えて、耐熱性がより向上する傾向にある。
(C)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルメタン等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
アラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他のエポキシ樹脂としては、例えば、スチルベン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
(C)エポキシ樹脂は、絶縁信頼性、誘電特性、耐熱性及びめっき銅との接着性の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ノボラック型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂とを併用することが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂を含有することがより好ましく、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルメタン及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を含有することがさらに好ましい。
(C)エポキシ樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂を含有する場合、両者の含有比率[ビスフェノール型エポキシ樹脂/ノボラック型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂]は、特に限定されないが、好ましくは1.0~4.0、より好ましくは1.5~3.0、さらに好ましくは2.0~2.5である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(D)成分として、2個以上のエチレン性不飽和基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤[以下、単に(D)架橋剤と称することがある。]を含有することが好ましい。(D)架橋剤は、(A)成分が有するエチレン性不飽和基、(B)成分が有するN-置換マレイミド基等と反応し硬化物の架橋密度を高めるものである。したがって、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)架橋剤を含有することにより、耐熱性及び誘電特性がより向上する傾向にある。
(D)架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。エチレン性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤は、主に(A)成分の架橋剤として機能し、エチレン性不飽和基としてアリル基を有する架橋剤は、主に(B)成分の架橋剤として機能する。
すなわち、(D)架橋剤としては、(D1)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤、及び(D2)2個以上のアリル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。
(D1)成分としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有する二官能(メタ)アクリレートモノマー、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレート;2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、より低い誘電正接を得るという観点から、脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレートが好ましく、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートがより好ましい。
ここで、上記「XXX由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物」(但し、XXXは化合物名である。)とは、XXXと(メタ)アクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。
(D2)成分としては、2個以上のアリル基を有するナジイミド化合物が好ましく挙げられる。2個以上のアリル基を有するナジイミド化合物は、下記一般式(D-1)で表されるビスアリルナジイミド化合物が好ましい。
(式中、XD1は、炭素数1~20の2価の有機基を示す。)
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
アルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
XD1としては、これらの中でも、アルキレン基又はアリーレン基が好ましい。
XD1で表される炭素数1~20の2価の有機基の炭素数は、好ましくは2~18、より好ましくは4~16、さらに好ましくは6~14である。
(XD2、XD3及びXD4は、各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基である。*は結合部位を示す。)
XD2、XD3及びXD4で表される炭素数1~10のアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(E)成分として、エラストマを含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は(E)エラストマを含有することで、めっき銅との接着性がより向上する傾向にある。また、(E)エラストマによって、上記(A)成分の硬化収縮による、硬化物内部の歪み(内部応力)に起因した、可とう性及びめっき銅との接着性の低下を抑制する効果が得られる。
(E)エラストマは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応性官能基としては、例えば、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性及びめっき銅との接着性の観点から、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基が好ましく、酸無水物基、エポキシ基がより好ましく、酸無水物基がさらに好ましい。
酸無水物基としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等に由来する酸無水物基であることが好ましく、無水マレイン酸に由来する酸無水物基であることがより好ましい。
(E)エラストマが酸無水物基を有する場合、ビアの解像性及び誘電特性の観点から、1分子中に有する酸無水物基の数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは2~5である。
酸性置換基及びエチレン性不飽和基としては、(A)成分が有する酸性置換基及びエチレン性不飽和基と同じものが挙げられる。これらの中でも、(E)エラストマは、酸性置換基として、上述の通り、酸無水物基を有し、エチレン性不飽和基として、後述する1,2-ビニル基を有するものが好ましい。
上記の通り、ポリブタジエン系エラストマは、ビアの解像性の観点から、酸無水物で変性されている、酸無水物基を有するポリブタジエン系エラストマであることが好ましく、無水マレイン酸に由来する酸無水物基を有するポリブタジエン系エラストマであることがより好ましい。
ポリブタジエン系エラストマは、市販品として入手可能であり、その具体例としては、例えば、「POLYVEST(登録商標)MA75」、「POLYVEST(登録商標)EP MA120」(以上、エボニック社製、商品名)、「Ricon(登録商標)130MA8」、「Ricon(登録商標)131MA5」、「Ricon(登録商標)184MA6」(以上、クレイバレー社製、商品名)等が挙げられる。
エポキシ化ポリブタジエンは、めっき銅との接着性及び柔軟性の観点から、下記一般式(E-1)で表されるエポキシ化ポリブタジエンであることが好ましい。
(式中、a、b及びcはそれぞれ、丸括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05~0.40、bは0.02~0.30、cは0.30~0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、角括弧内の構造単位の数を表し、10~250の整数である。)
めっき銅との接着性及び柔軟性の観点から、aは好ましくは0.10~0.30、bは好ましくは0.10~0.30、cは好ましくは0.40~0.80である。また、これと同様の観点から、yは好ましくは30~180の整数である。
上記一般式(E-1)において、a=0.20、b=0.20、c=0.60、及びy=10~250の整数となるエポキシ化ポリブタジエンの市販品としては、「エポリード(登録商標)PB3600」(株式会社ダイセル製)等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子が、メチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、レゾルシン等の芳香族ジオールなどが挙げられる。
また、ポリエステル系エラストマとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体が好適に挙げられる。マルチブロック共重合体は、ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いにより様々なグレードのものがある。その具体例としては、「ハイトレル(登録商標)」(デュポン・東レ株式会社製)、「ペルプレン(登録商標)」(東洋紡績株式会社製)、「エスペル(登録商標)」(日立化成株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(F)成分として、光重合開始剤を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(F)光重合開始剤を含有することで、ビアの解像性がより向上する傾向にある。
(F)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-[O-(エトキシカルボニル)オキシム]等のオキシムエステル類などが挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(G)成分として、無機充填材を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(G)無機充填材を含有することで、より低い誘電正接及び優れた低熱膨張性が得られる傾向にある。
(G)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤を使用する場合、その添加方式は、感光性樹脂組成物中に(G)無機充填材を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいし、配合前の(G)無機充填材に対して予めカップリング剤を乾式又は湿式で表面処理する方式であってもよい。
(G)無機充填材は、平均粒径が異なる2種以上の無機充填材を併用してもよい。
(G)無機充填材の平均粒径は、体積平均粒子径を意味し、サブミクロン粒子アナライザ(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5)を用いて、国際標準規格ISO13321に準拠して、屈折率1.38で、溶剤中に分散した粒子を測定し、粒度分布における積算値50%(体積基準)に相当する粒子径として求めることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)エポキシ樹脂を含有する場合、さらに、(H)エポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)エポキシ樹脂硬化剤を含有することで、得られる硬化物の耐熱性、誘電特性等がより向上する傾向にある。
(H)エポキシ樹脂硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリフェノール類が好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(H)エポキシ樹脂硬化剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、耐熱性及び誘電特性をより向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~1質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の顔料;イミダゾール及びその誘導体、第三級アミン類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩類、第四級アンモニウム塩類、多塩基酸無水物等の硬化促進剤;メラミン等の接着助剤;4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等の増感剤;シリコーン化合物等の整泡剤;重合禁止剤、増粘剤、難燃剤等の公知慣用の各種添加剤を含有させてもよい。
これらの(I)添加剤の含有量は、各々の目的に応じて適宜調整すればよいが、各々について、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて希釈剤を使用することができる。希釈剤としては、例えば、有機溶剤等が使用できる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。希釈剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、本実施形態の感光性樹脂組成物は、液状として使用してもよいし、フィルム状として使用してもよい。
液状として使用する場合、本実施形態の感光性樹脂組成物の塗布方法は特に制限はないが、例えば、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、浸漬塗布法等の各種塗布方法が挙げられる。これらの中でも、感光層をより容易に形成する観点から、印刷法、スピンコート法が好ましい。
また、フィルム状として用いる場合は、例えば、後述する感光性樹脂フィルムの形態で用いることができ、この場合はラミネーター等を用いてキャリアフィルム上に積層することで所望の厚さの感光層を形成することができる。なお、フィルム状として使用する方が、多層プリント配線板の製造効率が高くなるために好ましい。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、本実施形態の感光性樹脂組成物からなるものであり、後に層間絶縁層となる感光層を形成する用途に好適である。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、キャリアフィルム上に設けられている態様であってもよい。
感光性樹脂フィルム(感光層)の厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に限定されないが、多層プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは1~100μm、より好ましくは3~50μm、さらに好ましくは5~40μmである。
キャリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。キャリアフィルムの厚さは、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~60μm、さらに好ましくは15~45μmである。
本実施形態の多層プリント配線板は、上記の本実施形態の感光性樹脂組成物又は本実施形態の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなるものである。本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた層間絶縁層を形成する工程を有していればその製造方法には特に制限はなく、例えば、以下の本実施形態の多層プリント配線板の製造方法により容易に製造することができる。
多層プリント配線板100Aは、例えば、下記工程(1)~(4)を含む製造方法により製造することができる。
工程(1):本実施形態の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程[以下、ラミネート工程(1)と称する]。
工程(2):工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程[以下、フォトビア形成工程(2)と称する]。
工程(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理する工程[以下、粗化処理工程(3)と称する]。
工程(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程[以下、回路パターン形成工程(4)と称する]。
ラミネート工程(1)は、真空ラミネーターを用いて、本実施形態の感光性樹脂フィルム(層間絶縁層用感光性樹脂フィルム)を回路基板(回路パターン102を有する基板101)の片面又は両面にラミネートする工程である。真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン株式会社製のバキュームアップリケーター、株式会社名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、株式会社日立製作所製のロール式ドライコーター、日立化成エレクトロニクス株式会社製の真空ラミネーター等が挙げられる。
該ラミネートは、例えば、感光性樹脂フィルム及び回路基板を必要に応じて予備加熱してから、圧着温度70~130℃、圧着圧力0.1~1.0MPa、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することができるが、特にこの条件に制限されるものではない。また、ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。
最後に、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルムを室温付近に冷却し、層間絶縁層103とする。感光性樹脂フィルムがキャリアフィルムを有する場合、キャリアフィルムはここで剥離してもよいし、後述するように露光後に剥離してもよい。
フォトビア形成工程(2)では、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルムの少なくとも一部に対して露光し、次いで現像を行う。露光によって、活性光線が照射された部分が光硬化してパターンが形成される。露光方法に特に制限はなく、例えば、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを介して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)を採用してもよいし、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により、活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができる。光源としては、具体的には、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ;YAGレーザ等の固体レーザ;半導体レーザ等の紫外線又は可視光線を有効に放射するものなどが挙げられる。露光量は、使用する光源及び感光層の厚さ等によって適宜選定されるが、例えば高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、感光層の厚さ1~100μmでは、通常、10~1,000mJ/cm2程度が好ましく、15~500mJ/cm2がより好ましい。
感光層上にキャリアフィルムが存在している場合には、該キャリアフィルムを除去してから、未露光部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像があり、いずれを採用してもよいが、ウェット現像が広く用いられており、本実施形態においてもウェット現像を採用できる。
ウェット現像の場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられる。これらの中でも、解像性向上の観点からは、スプレー方式が好ましく、スプレー方式の中でも高圧スプレー方式がより好ましい。現像は、1種の方法で実施すればよいが、2種以上の方法を組み合わせて実施してもよい。
現像液の構成は、感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等が挙げられ、これらの中でもアルカリ性水溶液が好ましい。
以上のようにして、ビア104を有する層間絶縁層が形成される。ビアの形状に特に制限はなく、断面形状で説明すると、例えば、四角形、逆台形(上辺が下辺より長い)等が挙げられ、正面(ビア底が見える方向)から見た形状で説明すると、円形、四角形等が挙げられる。本実施形態におけるフォトリソ法によるビアの形成では、断面形状が逆台形(上辺が下辺より長い)のビアを形成することができ、この場合、めっき銅のビア壁面への付き回り性が高くなるために好ましい。
但し、本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)は40μm未満に限定されるものではなく、例えば、15~300μmの範囲で任意に選択してもよい。
粗化処理工程(3)では、ビア及び層間絶縁層の表面を粗化液により粗化処理を行う。なお、上記フォトビア形成工程(2)においてスミアが発生した場合には、該スミアを上記粗化液によって除去してもよい。粗化処理と、スミアの除去は同時に行うことができる。
上記粗化液としては、例えば、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液(例えば、過マンガン酸ナトリウム粗化液等)、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液等が挙げられる。
粗化処理により、ビア及び層間絶縁層の表面に凹凸のアンカーが形成される。
回路パターン形成工程(4)は、上記粗化処理工程(3)の後に、上記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程である。
回路パターンの形成は微細配線形成の観点から、セミアディティブプロセスにより実施することが好ましい。セミアディティブプロセスにより回路パターンの形成と共にビアの導通が行われる。
セミアディティブプロセスにおいては、まず、上記粗化処理工程(3)後のビア底、ビア壁面及び層間絶縁層の表面全体にパラジウム触媒等を用いた上で無電解銅めっき処理を施してシード層105を形成する。該シード層は電気銅めっきを施すための給電層を形成するためのものであり、好ましくは0.1~2.0μm程度の厚さで形成される。該シード層の厚さが0.1μm以上であれば、電気銅めっき時の接続信頼性が低下するのを抑制できる傾向にあり、2.0μm以下であれば、配線間のシード層をフラッシュエッチングする際のエッチング量を大きくする必要がなく、エッチングの際に配線に与えるダメージを抑えられる傾向にある。
上記無電解めっき処理方法及び上記電解めっき処理方法は公知の方法を適用すればよく、特に限定されるものではない。
無電解銅めっき液としては市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、アトテックジャパン株式会社製の「MSK-DK」、上村工業株式会社製の「スルカップ(登録商標)PEAシリーズ」等が挙げられる。
ドライフィルムレジストの熱圧着後、例えば、所望の配線パターンが描画されたマスクを通してドライフィルムレジストの露光を行う。露光は、上記感光性樹脂フィルムにビアを形成する際に使用し得るものと同様の装置及び光源で行うことができる。露光後、アルカリ水溶液を用いてドライフィルムレジストの現像を行い、未露光部分を除去し、レジストパターン106を形成する。この後、必要に応じてプラズマ等を用いてドライフィルムレジストの現像残渣を除去する作業を行ってもよい。
現像後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層107の形成及びビアフィリングを行う。
本発明は、本実施形態の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージも提供する。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態の多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
酸価は各合成例で得られた樹脂を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
溶解性は、各例で得られた感光性樹脂フィルムを、30±2℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、感光性樹脂フィルムが完全に溶けるまでに要した時間を溶解時間として計測し、以下の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:溶解時間が20秒未満
B:溶解時間が20秒以上、40秒未満
C:溶解時間が40秒以上
厚さ1.0mmの銅張積層基板(日立化成株式会社製、商品名「MCL-E-67」)を準備し、各例で製造したキャリアフィルム及び保護フィルム付き感光性樹脂フィルムから保護フィルムを剥離除去し、露出した感光性樹脂フィルムを、上記の銅張積層基板上に、プレス式真空ラミネーター(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP-500」)を用いて、所定のラミネート条件(圧着圧力:0.4MPa、プレス熱板温度:80℃、真空引き時間:25秒間、ラミネートプレス時間:25秒間、気圧:4kPa以下)でラミネートして、感光層を有する積層体を得た。
次に、所定サイズの開口径を有するビアパターンが形成されたマスク(開口マスク径サイズ:5、8、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、及び100μmφ)を有するネガマスクを介して、i線露光装置(ウシオ株式会社製、品番「UX-2240SM―XJ-01」)を用いて、ステップタブレット段数(ST)が7となる露光量で露光した。
その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃での最短現像時間(感光層の未露光部が除去される最短時間)の4倍に相当する時間、1.765×105Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。
次に、紫外線露光装置を用いて、2,000mJ/cm2の露光量で露光した後、160℃で1時間加熱して、銅張積層基板上に、所定サイズのビアパターンを有する感光性樹脂組成物の硬化物を有する試験片を作製した。
上記試験片を、金属顕微鏡を用いて観察し、開口が確認されたビアパターンのうち、最も小さいビアパターンのトップとボトムを測長し、トップとボトムの長さの比(トップ/ボトム)を算出して、以下の基準に基づいて評価した。
<評価基準>
A:2.0未満
B:2.0以上、2.5未満
C:2.5以上
保護フィルムを剥がした感光性樹脂フィルム2枚を貼り合せ、両面のキャリアフィルムを有したまま、平面露光機で400mJ/cm2(365nm)、UVコンベア式露光機にて2J/cm2(365nm)照射した。これを温風循環式乾燥機にて170℃で1時間、さらに180℃で1時間加熱処理したものを、7cm×10cmのサイズに切断して評価サンプルとした。
得られた評価サンプルを温風循環式乾燥機にて105℃で10分間乾燥し、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)にて誘電正接を測定した。
(酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-1の合成)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「EXA-7376」)500質量部、アクリル酸72質量部、ハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート150質量部を反応容器に仕込み、90℃に加熱して撹拌することにより混合物を溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム2質量部を仕込み、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸230質量部とカルビトールアセテート85質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度が60質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-1を得た。
(酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-2の合成)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名「XD-1000」、上記一般式(A-2)で表される構造を有するエポキシ樹脂)250質量部、アクリル酸70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を反応容器に仕込み、90℃に加熱して撹拌することにより混合物を溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸98質量部とカルビトールアセテート850質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度が65質量%になるように溶剤を留去して、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-2を得た。
実施例1~3、参考例1、比較例1
(1)感光性樹脂組成物の製造
表1に示す配合組成(表中の数値の単位は質量部であり、溶液の場合は固形分換算量である。)に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練した。その後、固形分濃度が65質量%になるようにメチルエチルケトンを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
(2)感光性樹脂フィルムの製造
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名「G2-16」)をキャリアフィルムとし、該キャリアフィルム上に、各例で調製した感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて75℃で30分間乾燥し、感光性樹脂フィルム(感光層)を形成した。続いて、該感光性樹脂フィルム(感光層)のキャリアフィルムと接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF-15」)を保護フィルムとして貼り合わせ、キャリアフィルム及び保護フィルムを貼り合わせた感光性樹脂フィルムを作製した。
[(A)光重合性化合物]
・酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-1:合成例1で調製した酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-1
・酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-2:合成例2で調製した酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂A-2
・ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬株式会社製、商品名「MIR-3000-70MT」、マレイミド基当量275g/eq)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量184g/eq)
・ナフトールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名「NC-7000-L」、エポキシ当量234g/eq)
・ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名「NC-3000-L」、エポキシ当量273g/eq)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
・ビスアリルナジイミド化合物1:下記一般式(D-4)で表される化合物
・ビスアリルナジイミド化合物2:下記一般式(D-5)で表される化合物
・ポリエステル系エラストマ(日立化成株式会社製、商品名「SP1108」)
・エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学株式会社製、商品名「PB3600」)
・無水マレイン酸変性ポリブタジエン(クレイバレー社製、商品名「Ricon(登録商標)130MA8」、無水マレイン酸変性基数:2個、1,4-トランス体+1,4-シス体:72%)
・光重合開始剤1:2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]モルフォリノ-1-プロパノン(アセトフェノン類)
・光重合開始剤2:2,4-ジエチルチオキサントン(チオキサントン類)
・シリカ1:平均粒子径0.5μmの溶融球状シリカ(カップリング剤処理品)
・シリカ2:平均粒子径0.18μmの溶融球状シリカ(カップリング剤処理品)
・トリアジン環含有フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名「LA7052」)
・4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン
・1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン
・シリコーン系整泡剤
・顔料
101 基板
102 回路パターン
103 層間絶縁層
104 ビア(ビアホール)
105 シード層
106 レジストパターン
107 銅の回路層
108 ソルダーレジスト層
Claims (18)
- (A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、
(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、及び
(D)2個以上のエチレン性不飽和基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤
を含有し、
前記(D)2個以上のエチレン性不飽和基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤として、下記一般式(D-1)で表されるビスアリルナジイミド化合物を含有する、感光性樹脂組成物。
(式中、X D1 は、下記一般式(D-2)で表される2価の有機基、又は下記一般式(D-3)で表される2価の有機基である。)
(式中、X D2 、X D3 及びX D4 は、各々独立に、炭素数1~10のアルキレン基である。*は結合部位を示す。) - 前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物が、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、前記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。m1は0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。) - 前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物の酸価が、20~200mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- (B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が、N-置換マレイミド基を2個以上有する芳香族マレイミド化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物と、前記(B)N-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物との含有量比[(A)/(B)]が、質量基準で、1~10である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(C)エポキシ樹脂を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)エポキシ樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂を含有する、請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(D-1)中のX D1 が、前記一般式(D-3)で表される2価の有機基である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)架橋剤として、さらに、(D1)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D1)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、酸性置換基を有さない架橋剤が、脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレートである、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(E)エラストマを含有し、該(E)エラストマとして、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有するエラストマを含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(F)光重合開始剤を含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、(G)無機充填材を、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、10~70質量%含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- フォトビア及び層間絶縁層からなる群から選択される1種以上の形成に用いられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は請求項15に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
- 請求項16に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
- 下記工程(1)~(4)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
工程(1):請求項15に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートする工程。
工程(2):前記工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成する工程。
工程(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理する工程。
工程(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019148812A JP7354664B2 (ja) | 2019-08-14 | 2019-08-14 | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019148812A JP7354664B2 (ja) | 2019-08-14 | 2019-08-14 | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021032916A JP2021032916A (ja) | 2021-03-01 |
JP7354664B2 true JP7354664B2 (ja) | 2023-10-03 |
Family
ID=74677437
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019148812A Active JP7354664B2 (ja) | 2019-08-14 | 2019-08-14 | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7354664B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023281692A1 (ja) * | 2021-07-08 | 2023-01-12 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 樹脂組成物、樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ |
WO2023031986A1 (ja) * | 2021-08-30 | 2023-03-09 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 |
WO2023136084A1 (ja) * | 2022-01-11 | 2023-07-20 | 太陽ホールディングス株式会社 | 基板上における樹脂硬化物の製造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010204298A (ja) | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Hitachi Chem Co Ltd | 感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、ソルダーレジスト及びプリント配線用基板 |
JP2018021978A (ja) | 2016-08-01 | 2018-02-08 | 南亞塑膠工業股▲分▼有限公司 | プリント基板用の低Dk/Dfのソルダーレジスト組成物 |
JP2019066793A (ja) | 2017-10-05 | 2019-04-25 | 日立化成株式会社 | 感光性樹脂組成物、感光性エレメント及びプリント配線板 |
-
2019
- 2019-08-14 JP JP2019148812A patent/JP7354664B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010204298A (ja) | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Hitachi Chem Co Ltd | 感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、ソルダーレジスト及びプリント配線用基板 |
JP2018021978A (ja) | 2016-08-01 | 2018-02-08 | 南亞塑膠工業股▲分▼有限公司 | プリント基板用の低Dk/Dfのソルダーレジスト組成物 |
JP2019066793A (ja) | 2017-10-05 | 2019-04-25 | 日立化成株式会社 | 感光性樹脂組成物、感光性エレメント及びプリント配線板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021032916A (ja) | 2021-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7354664B2 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2013539072A (ja) | 感光性樹脂組成物、ドライフィルムソルダーレジスト及び回路基板 | |
JP2024028474A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2024036371A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2023083323A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板、半導体パッケージ、及び多層プリント配線板の製造方法 | |
WO2020241595A1 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージ、並びにプリント配線板の製造方法 | |
EP3979002A1 (en) | Photosensitive resin composition, photosensitive resin film, multilayer printed wiring board, semiconductor package, and method for producing multilayer printed wiring board | |
JP7251323B2 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板、半導体パッケージ、及び多層プリント配線板の製造方法 | |
JP7240009B2 (ja) | 感光性樹脂組成物、ドライフィルム、及びプリント配線板 | |
TWI784125B (zh) | 感光性樹脂組成物、乾膜及印刷線路板 | |
KR102208828B1 (ko) | 감광성 수지 조성물, 드라이 필름, 및 프린트 배선판 | |
JP2020166032A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
WO2022107380A1 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2018163207A (ja) | 感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法 | |
JP2019066511A (ja) | 感光性樹脂組成物、並びに、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、ソルダーレジスト、層間絶縁膜、層間絶縁膜の形成方法、プリント配線板の製造方法及びプリント配線板 | |
WO2023031986A1 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
CN114509919B (zh) | 层间绝缘膜的制造方法和层间绝缘膜 | |
WO2023031987A1 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2023040905A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP7255285B2 (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法及び感光性樹脂組成物の製造方法 | |
JP2023038643A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2024040191A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
TW202225204A (zh) | 層間絕緣膜的製造方法及層間絕緣膜 | |
JP2021179522A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 | |
JP2021179520A (ja) | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220707 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230411 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230425 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230526 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230822 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230904 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7354664 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |