JP2023040905A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法 Download PDF

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宏平 阿部
Kohei Abe
正人 宮武
Masato Miyatake
秀行 片木
Hideyuki Kataki
憂子 今野
Yuko Konno
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【課題】優れた誘電正接を発現する感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及びその製造方法、並びに半導体パッケージを提供すること。【解決手段】(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)下記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、JPEG2023040905000013.jpg2649(式中、RC1は、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。*は、他の構造への結合部位である。)を含有する、感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに多層プリント配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化が進み、多層プリント配線板は、回路層数の増加、配線の微細化による高密度化が進行している。特に、半導体チップが搭載されるBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)等の半導体パッケージ基板の高密度化は著しく、配線の微細化に加え、絶縁層の薄膜化及び層間接続用のビア(ビアホールとも称される)のさらなる小径化が求められている。
従来から採用されてきたプリント配線板の製造方法として、層間絶縁層と導体回路層を順次積層して形成するビルドアップ方式(例えば、特許文献1参照)による多層プリント配線板の製造方法が挙げられる。多層プリント配線板では、回路の微細化に伴い、回路をめっきにより形成する、セミアディティブ工法が主流となっている。
従来のセミアディティブ工法では、例えば、(1)導体回路上に熱硬化性樹脂フィルムをラミネートし、当該熱硬化性樹脂フィルムを加熱によって硬化させて「層間絶縁層」を形成する。(2)次に、層間接続用のビアをレーザ加工により形成し、アルカリ過マンガン酸処理等によってデスミア処理及び粗化処理を行う。(3)その後、基板に無電解銅めっき処理を施し、レジストを用いてパターン形成後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層を形成する。(4)次いで、レジストを剥離し、無電解層のフラッシュエッチングを行うことにより、銅の回路が形成されてきた。
前述のように、熱硬化性樹脂フィルムを硬化することによって形成された層間絶縁層にビアを形成する方法としてはレーザ加工が主流となっているが、レーザ加工機を用いたレーザ照射によるビアの小径化は限界に達しつつある。さらに、レーザ加工機によるビアの形成では、それぞれのビアホールを一つずつ形成する必要があり、高密度化によって多数のビアを設ける必要がある場合、ビアの形成に多大な時間を要し、製造効率が悪いという問題がある。
このような状況下、多数のビアを一括で形成可能な方法として、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、無機充填材、及びシラン化合物を含有し、且つ、無機充填材の含有量が10~80質量%である感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によって、複数の小径ビアを一括で形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2では、層間絶縁層又は表面保護層の材料として、従来の熱硬化性樹脂組成物の代わりに感光性樹脂組成物を用いることに起因する銅めっきとの接着性の低下の抑制を課題の1つとし、さらに、ビアの解像性、シリコン素材の基板及びチップ部品との密着性も課題とし、これらを解決したとしている。
特開平7-304931号公報 特開2017-116652号公報
近年、基板材料は、高周波数帯の電波が使用される第五世代移動通信システム(5G)アンテナ及びさらに高周波数帯の電波が使用されるミリ波レーダーへの適用が要求されている。そのためには、10GHz帯以上における誘電正接がより一層改善された樹脂組成物の開発が必要である。しかしながら、特許文献2の技術では、誘電正接に改善の余地がある。
そこで、本開示の目的は、優れた誘電正接を発現する感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂フィルム、多層プリント配線板及びその製造方法、並びに半導体パッケージを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本開示によって上記目的を達成できることを見出した。
本開示は、下記の実施形態[1]~[16]を含む。
[1](A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)下記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、
Figure 2023040905000001

(式中、RC1は、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。*は、他の構造への結合部位である。)
を含有する、感光性樹脂組成物。
[2]前記(C)成分が、前記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個~6個有する、上記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記(C)成分が、ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートである、上記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記(A)成分が、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023040905000002

(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、前記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。mは0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。)
[5]前記(A)成分の酸性置換基と、前記(B)成分のエポキシ基との当量比[エポキシ基/酸性置換基]が、0.5~6.0である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]さらに、(D)エラストマを含有し、該(D)エラストマとして、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有するエラストマを含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]さらに、(E)無機充填材を、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、10~80質量%含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8]さらに、(H)光重合開始剤を含有する、上記[1]~[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[9]前記(H)成分を2種以上含む、上記[8]に記載の感光性樹脂組成物。
[10]さらに、(I)光増感剤を含有する、上記[1]~[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[11]前記(I)成分を2種以上含む、上記[10]に記載の感光性樹脂組成物。
[12]フォトビア及び層間絶縁層からなる群から選択される1種以上の形成に用いられる、上記[1]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[13]上記[1]~[12]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
[14]上記[1]~[12]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物、又は上記[13]に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
[15]上記[14]に記載の多層プリント配線板と、半導体素子と、を含む半導体パッケージ。
[16]下記(1)~(4)を有する、多層プリント配線板の製造方法。
(1):上記[13]に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートすること。
(2):前記(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成すること。
(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理すること。
(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成すること。
本開示によれば、優れた誘電正接を発現する感光性樹脂組成物を提供することができる。また、当該感光性樹脂組成物を用いて形成される感光性樹脂フィルムを提供することができる。そして、当該感光性樹脂組成物又は当該感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板を提供することができ、且つ、当該多層プリント配線板の製造方法も提供することができる。そしてさらに、当該多層プリント配線板と半導体素子とを含む半導体パッケージを提供することができる。
本実施形態の感光性樹脂フィルムを表面保護層及び層間絶縁層の少なくとも一方の材料として用いる多層プリント配線板の製造工程の一態様を示す模式図である。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。数値範囲「AA~BB」という表記においては、両端の数値AA及びBBがそれぞれ下限値及び上限値として数値範囲に含まれる。
本明細書において、例えば、「10以上」という記載は、10及び10を超える数値を意味し、数値が異なる場合もこれに準ずる。また、例えば、「10以下」という記載は、10及び10を未満の数値を意味し、数値が異なる場合もこれに準ずる。
本明細書において、感光性樹脂組成物中の各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、感光性樹脂組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において「環形成炭素数」とは、環を形成するのに必要な炭素原子の数であり、環が有する置換基の炭素原子の数は含まれない。例えば、シクロヘキサン骨格及びメチルシクロヘキサン骨格のいずれも、環形成炭素数は6である。
「(メタ)アクリルXX」という表記は、アクリルXX及びそれに対応するメタクリルXXの一方又は双方を意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方又は双方を意味する。
本明細書において、「誘電正接」は、特に説明がなくとも、10GHz帯における誘電正接のことである。
また、本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本実施形態に含まれる。
[感光性樹脂組成物]
本開示の一実施形態に係る(以下、単に本実施形態と称する場合がある。)の感光性樹脂組成物は、
(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)下記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、
Figure 2023040905000003

(式中、RC1は、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。*は、他の構造への結合部位である。)
を含有する、感光性樹脂組成物である。
なお、本明細書において、上記成分はそれぞれ、(A)成分、(B)成分、(C)成分等と省略して称することがあり、その他の成分についても同様の略し方をすることがある。
本明細書において、「樹脂成分」とは、前記(A)成分、及び(B)成分等であり、必要に応じて含有してもよい他の成分(例えば、(C)、(D)、(F)、(G)、(H)及び(I)成分等)も含まれるが、(E)無機充填材及び顔料等の無機化合物は含まれない。また、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水及び溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、当該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、また25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、誘電正接に優れると共に、フォトリソグラフィーによるビア形成(フォトビア形成とも称する。)に適しているため、フォトビア及び層間絶縁層からなる群から選択される1種以上の形成に好適である。そのため、本開示は、本実施形態の感光性樹脂組成物からなるフォトビア形成用感光性樹脂組成物、及び、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層間絶縁層用感光性樹脂組成物も提供する。ここで、本開示において、例えば層間絶縁層等の様に「層」と表記されている場合、ベタ層である態様の他、ベタ層ではなく、少なくとも一部が島状となっている態様、穴が開いている態様、及び隣接層との界面が不明確になっている場合等も「層」に含まれる。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物に好適である。
以下、感光性樹脂組成物が含有し得る各成分について詳述する。
<(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物を含有する。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、エチレン性不飽和基を有するため、ラジカル重合性を発現する化合物である。
(A)成分が有するエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等の光重合性を示す官能基が挙げられる。これらの中でも、反応性及びビアの解像性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分は、アルカリ現像を可能とする観点から、酸性置換基を有するものである。
(A)成分が有する酸性置換基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性の観点から、カルボキシ基が好ましい。
(A)成分の酸価は、好ましくは20~200mgKOH/g、より好ましくは40~180mgKOH/g、さらに好ましくは70~150mgKOH/g、特に好ましくは90~120mgKOH/gである。(A)成分の酸価が上記下限値以上であると、感光性樹脂フィルムの希アルカリ溶液への溶解性が優れる傾向にあり、上記上限値以下であると、誘電正接が優れる傾向にある。(A)成分の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、酸価が異なる2種以上の(A)成分を併用してもよく、その場合、上記2種以上の(A)成分の酸価の荷重平均の酸価が、上記いずれかの範囲内となることが好ましい。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは600~30,000、より好ましくは800~25,000、さらに好ましくは1,000~18,000、よりさらに好ましくは1,000~8,000、特に好ましくは1,200~5,000、最も好ましくは1,200~3,500である。(A)成分の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、銅めっきとの接着強度、耐熱性及び絶縁信頼性が優れる傾向にある。ここで、本明細書において、重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレン換算で求めた値であり、詳細には、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
(A)成分は、誘電正接の観点から、脂環式骨格を含むことが好ましい。
(A)成分が有する脂環式骨格としては、ビアの解像性、銅めっきとの接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、環形成炭素数5~20の脂環式骨格が好ましく、環形成炭素数5~18の脂環式骨格がより好ましく、環形成炭素数6~18の脂環式骨格がさらに好ましく、環形成炭素数8~14の脂環式骨格が特に好ましく、環形成炭素数8~12の脂環式骨格が最も好ましい。
また、上記脂環式骨格は、ビアの解像性、銅めっきとの接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、2環以上からなることが好ましく、2~4環からなることがより好ましく、3環からなることがさらに好ましい。2環以上の脂環式骨格としては、ノルボルナン骨格、デカリン骨格、ビシクロウンデカン骨格、飽和ジシクロペンタジエン骨格等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性、銅めっきとの接着強度及び電気絶縁信頼性の観点から、飽和ジシクロペンタジエン骨格が好ましい。
同様の観点から、(A)成分は、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含むものが好ましい。
Figure 2023040905000004

(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。mは0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。)
上記一般式(A-1)中、RA1が表す炭素数1~12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
は0~6の整数であり、0~2の整数が好ましく、0がより好ましい。
が2~6の整数である場合、複数のRA1はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、複数のRA1は、可能な範囲で同一炭素原子上に置換していてもよいし、異なる炭素原子上に置換していてもよい。
*は他の構造への結合部位であり、脂環式骨格上のいずれの炭素原子で結合されていてもよいが、下記一般式(A-1’)中の1又は2で示される炭素原子と、3又は4のいずれかで示される炭素原子にてそれぞれ結合されていることが好ましい。
Figure 2023040905000005

(式中、RA1、m及び*は、一般式(A-1)中のものと同じである。)
(A)成分は、ビアの解像性及び銅めっきとの接着強度の観点から、(a1)エポキシ樹脂を(a2)エチレン性不飽和基含有有機酸で変性した化合物[以下、(A’)成分と称することがある。]に、(a3)飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させてなる酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂であることが好ましい。ここで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の「酸変性」とは酸性置換基を有することを意味し、「ビニル基」とはエチレン性不飽和基を意味し、「エポキシ樹脂」とは原料としてエポキシ樹脂を用いたことを意味し、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂は、必ずしもエポキシ基を有する必要はなく、エポキシ基を有していなくてもよい。
以下、(a1)エポキシ樹脂、(a2)エチレン性不飽和基含有有機酸及び(a3)飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物から得られる(A)成分の好適な態様について説明する。
((a1)エポキシ樹脂)
(a1)エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。
(a1)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a1)エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
(a1)エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類することができ、脂環式骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、その他のエポキシ樹脂等に分類することができる。これらの中でも、脂環式骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
-脂環式骨格を有するエポキシ樹脂-
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂が有する脂環式骨格については、前述した(A)成分が有する脂環式骨格と同様に説明され、好ましい態様も同じである。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂としては、下記一般式(A-2)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。
Figure 2023040905000006

(式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、上記脂環式骨格中のどこに置換していてもよい。RA2は炭素数1~12のアルキル基を表す。mは0~6の整数、mは0~3の整数である。nは0~50の数である。)
一般式(A-2)中、RA1は一般式(A-1)中のRA1と同じであり、好ましい態様も同じである。
一般式(A-2)中のRA2が表す炭素数1~12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(A-2)中のmは一般式(A-1)中のmと同じであり、好ましい態様も同じである。
一般式(A-2)中のmは0~3の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
一般式(A-2)中のnは丸括弧内の構造単位の繰り返し数を表し、0~50の数である。通常、エポキシ樹脂は丸括弧内の構造単位の繰り返し数が異なるものの混合物となっているため、その場合、nはその混合物の平均値で表される。nとしては、0~30の数が好ましい。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂としては、市販品を使用してもよく、市販品としては、XD-1000(日本化薬株式会社製、商品名)、EPICLON(登録商標)HP-7200(DIC株式会社製、商品名)等が挙げられる。
-ノボラック型エポキシ樹脂-
ノボラック型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、下記一般式(A-3)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
Figure 2023040905000007

(式中、RA3は水素原子又はメチル基を示し、YA1はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。2つのRA3はそれぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。2つのYA1のうちの少なくとも一方はグリシジル基を示す。)
A3は、ビアの解像性及び銅めっきとの接着強度の観点から、いずれも水素原子であることが好ましい。また、これと同様の観点から、YA1は、いずれもグリシジル基であることが好ましい。
一般式(A-3)で表される構造単位を有する(a1)エポキシ樹脂中の該構造単位の構造単位数は1以上の数であり、好ましくは10~100の数、より好ましくは15~80の数、さらに好ましくは15~70の数である。構造単位数が上記範囲内であると、銅めっきとの接着強度、耐熱性及び絶縁信頼性が向上する傾向にある。
一般式(A-3)において、RA3がいずれも水素原子であり、YA1がいずれもグリシジル基のものは、EXA-7376シリーズ(DIC株式会社製、商品名)として、また、RA3がいずれもメチル基であり、YA1がいずれもグリシジル基のものは、EPON SU8シリーズ(三菱ケミカル株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルメタン等が挙げられる。
アラルキル型エポキシ樹脂としては、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他のエポキシ樹脂としては、スチルベン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
((a2)エチレン性不飽和基含有有機酸)
(a2)エチレン性不飽和基含有有機酸としては、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸が好ましい。
(a2)成分が有するエチレン性不飽和基としては、(A)成分が有するエチレン性不飽和基として挙げられたものと同じものが挙げられる。
(a2)成分としては、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、β-スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α-シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体;水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物;ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物などが挙げられる。
(a2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル及びビニル基含有モノグリシジルエステルからなる群から選択される1種以上のエチレン性不飽和基含有化合物と、二塩基酸無水物と、を反応させることで得られる。該反応は、エチレン性不飽和基含有化合物と二塩基酸無水物とを等モルで反応させることが好ましい。
上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル基含有モノグリシジルエーテルとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記半エステル化合物の合成に用いられる二塩基酸無水物としては、飽和基を含有するものであってもよいし、不飽和基を含有するものであってもよい。二塩基酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
(a1)成分と(a2)成分との反応において、(a1)成分のエポキシ基1当量に対して、(a2)成分の使用量は、好ましくは0.6~1.05当量、より好ましくは0.7~1.02当量、さらに好ましくは0.8~1.0当量である。(a1)成分と(a2)成分とを上記比率で反応させることで、(A)成分の光重合性が向上し、得られる感光性樹脂組成物のビアの解像性が向上する傾向にある。
(a1)成分と(a2)成分は、有機溶剤に溶解させて反応させることが好ましい。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a1)成分と(a2)成分との反応には、反応を促進させるための触媒を用いることが好ましい。該触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等のアミン系触媒;メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド等の第四級アンモニウム塩触媒;トリフェニルホスフィン等のホスフィン系触媒などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン系触媒が好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒を使用する場合、その使用量は、適度な反応速度を得る観点から、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部である。
(a1)成分と(a2)成分との反応には、反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、(a1)成分と(a2)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.8質量部、さらに好ましくは0.1~0.5質量部である。
(a1)成分と(a2)成分との反応温度は、十分な反応性を得ながら均質に反応を進行させるという観点から、好ましくは60~150℃、より好ましくは80~120℃、さらに好ましくは90~110℃である。
このように、(a1)成分と(a2)成分とを反応させてなる(A’)成分は、(a2)成分としてエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸を用いる場合には、(a1)成分のエポキシ基と(a2)成分のカルボキシ基との開環付加反応により形成される水酸基を有するものとなる。次に、該(A’)成分に、さらに(a3)成分を反応させることにより、(A’)成分の水酸基((a1)成分中に元来存在する水酸基も含む)と(a3)成分の酸無水物基とが半エステル化された、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂を得ることができる。
((a3)多塩基酸無水物)
(a3)成分としては、飽和基を含有するものであってもよいし、不飽和基を含有するものであってもよい。(a3)成分としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性の観点から、テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。(a3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A’)成分と(a3)成分との反応において、例えば、(A’)成分中の水酸基1当量に対して、(a3)成分を0.1~1.0当量反応させることで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価を調整することができる。
(A’)成分と(a3)成分との反応温度は、十分な反応性を得ながら均質に反応を進行させるという観点から、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~120℃、さらに好ましくは70~100℃である。
本実施形態の感光性樹脂組成物中における(A)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性、誘電正接及び耐薬品性の観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは10~80質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは15~45質量%、特に好ましくは15~35質量%であり、15~30質量%であってもよく、20~30質量%であってもよい。
<(B)エポキシ樹脂>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)成分として、エポキシ樹脂を含有する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)エポキシ樹脂を含有することで、銅めっきとの接着強度及び絶縁信頼性の向上に加えて、優れた耐熱性が得られる。
(B)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
また、エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに次の様に分類される。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール系エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等の、前記ビスフェノール系ノボラック型エポキシ樹脂以外のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂;飽和ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;脂肪族鎖状エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;などに分類される。
これらの中でも、(B)エポキシ樹脂は、特に、耐熱性、電気絶縁信頼性、現像性及び銅めっきとの接着強度の観点から、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂及び飽和ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種以上であることが好ましく、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂及び飽和ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
(B)成分としては、現像性、プリント配線板製造時のハンドリング性の観点から、エポキシ当量220g/eq超のエポキシ樹脂とエポキシ当量220g/eq以下のエポキシ樹脂とを併用することが好ましい。この場合、併用する両者の含有比率(エポキシ当量220g/eq超のエポキシ樹脂/エポキシ当量220g/eq以下のエポキシ樹脂)は、現像性、プリント配線板製造時のハンドリング性の観点から、質量比で、好ましくは95/5~40/60であり、85/15~50/50であってもよく、75/25~50/50であってもよく、65/35~50/50であってもよい。なお、前記エポキシ当量220g/eq超のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは240g/eq以上、より好ましくは250g/eq以上であり、上限値としては、好ましくは600g/eq以下、より好ましくは500g/eq以下、さらに好ましくは400g/eq以下、特に好ましくは350g/eq以下である。また、前記エポキシ当量220g/eq以下のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは210g/eq以下、より好ましくは200g/eq以下であり、下限値としては、好ましくは50g/eq以上、より好ましくは80g/eq以上、さらに好ましくは120g/eq以上、特に好ましくは150g/eq以上である。
本実施形態の感光性樹脂組成物中における(A)成分の酸性置換基と、(B)成分のエポキシ基の当量比[エポキシ基/酸性置換基]は、特に制限されるものではないが、絶縁信頼性、誘電正接、耐熱性及び銅めっきとの接着強度の観点から、好ましくは0.5~6.0、より好ましくは0.7~4.0、さらに好ましくは0.8~2.0、特に好ましくは0.9~1.2である。
本実施形態の感光性樹脂組成物中における(B)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、絶縁信頼性、誘電正接、耐熱性及び銅めっきとの接着強度の観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。
<(C)一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)成分として、下記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤(以下、単に「(C)架橋剤」と称することがある)を含有する。(C)架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023040905000008

(式中、RC1は、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。*は、他の構造への結合部位である。)
(C)架橋剤は、(A)成分が有するエチレン性不飽和基と反応して硬化物の架橋密度を高めるものである。従って、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)架橋剤を含有することにより、耐熱性及び誘電正接がより向上する傾向にある。
(C)架橋剤が前記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を有することによって、誘電正接が低くなることの正確な理由は不明であるが、一般式(C-1)中の置換基RC1の存在によって架橋剤の主鎖が剛直となり、その結果、双極子の振動が抑制されたためと推察する。
さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物は、当該(C)成分を含有することによって、デスミア耐性も向上する傾向にある。そのため、微細配線の膜厚方向における寸法精度の向上及びビア開口径の寸法精度の向上が期待できる。
前記一般式(C-1)中、RC1が表す炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等の炭素数1~4の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等の炭素数3又は4の分岐鎖状アルキル基;が挙げられる。炭素数1~4のアルキル基としては、誘電正接及びデスミア耐性の観点から、炭素数1~4の直鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
C1が表す炭素数1~4のフルオロアルキル基としては、前記炭素数1~4のアルキル基にフッ素原子が1つ以上置換した基が挙げられる。具体的には、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。炭素数1~4のフルオロアルキル基において、フッ素原子は、1個~3個置換していることが好ましい。
特に制限されるものではないが、RC1としては、誘電正接、デスミア耐性及び架橋反応性の観点から、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、より好ましくはメチル基である。
(C)架橋剤は、耐熱性、誘電正接及びデスミア耐性の観点から、前記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個~6個有することが好ましく、2個~4個有することがより好ましく、2個又は3個有することがさらに好ましい。
(C)架橋剤の具体例としては、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の脂肪族ジメタクリレート;ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート等の脂環式骨格を有するジメタクリレート;2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート等の芳香族ジメタクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有するメタクリレート化合物;テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有するメタクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有するメタクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有するメタクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有するメタクリレート化合物;ジグリセリン由来の骨格を有するメタクリレート化合物などが挙げられる。また、これら例示化合物のメタクリレート基が有するメチル基が、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基に置き換わった構造を有する化合物も挙げることができる。
これらの中でも、誘電正接及びデスミア耐性の観点から、脂環式骨格を有するジメタクリレート、トリメチロールプロパン由来の骨格を有するメタクリレート化合物、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有するメタクリレート化合物が好ましく、ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートがより好ましく、ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートがさらに好ましい。
ここで、上記「XXX由来の骨格を有するメタクリレート化合物」(但し、XXXは化合物名である。)とは、XXXとメタクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C’)成分として、前記(C)成分以外の架橋剤(以下、「(C’)架橋剤」と称することがある)を含有してもよいし、含有していなくてもよい。
(C’)架橋剤としては、前記(C)成分を含まないことを前提として、2個のエチレン性不飽和基を有する二官能モノマー、及び3個以上のエチレン性不飽和基を有する多官能モノマーが挙げられる。(C’)架橋剤が有するエチレン性不飽和基としては、(A)成分が有するエチレン性不飽和基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
(C’)架橋剤としての上記二官能モノマーとしては、トリメチロールプロパンジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の脂肪族ジアクリレート;ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の脂環式骨格を有するジアクリレート;2,2-ビス(4-アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート等の芳香族ジアクリレートなどが挙げられる。
(C’)架橋剤としての上記多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有するアクリレート化合物;テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有するアクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有するアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有するアクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有するアクリレート化合物;ジグリセリン由来の骨格を有するアクリレート化合物などが挙げられる。
ここで、上記「XXX由来の骨格を有するアクリレート化合物」(但し、XXXは化合物名である。)とは、XXXとアクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。
本実施形態の感光性樹脂組成物における(C)架橋剤の含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性、誘電正接及びデスミア耐性の観点から、(A)成分100質量部に対して、好ましくは5~70質量部、より好ましくは10~60質量部、さらに好ましくは25~55質量部、特に好ましくは35~55質量部、最も好ましくは40~55質量部である。
<(D)エラストマ>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(D)成分として、エラストマを含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は(D)エラストマを含有することで、銅めっきとの接着強度がより向上する傾向にある。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)エラストマを含有することによって、上記(A)成分の硬化収縮によって生じ得る硬化物内部の歪み(内部応力)に起因する「可とう性及び銅めっきとの接着強度の低下」を抑制する効果が得られる傾向にある。
(D)エラストマは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)エラストマは、分子末端又は分子鎖中に反応性官能基を有するものであってもよい。
反応性官能基としては、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性及び銅めっきとの接着強度の観点から、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基が好ましく、酸無水物基、エポキシ基がより好ましく、酸無水物基がさらに好ましい。
酸無水物基としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等に由来する酸無水物基であることが好ましく、無水マレイン酸に由来する酸無水物基であることがより好ましい。
(D)エラストマが酸無水物基を有する場合、ビアの解像性及び誘電正接の観点から、1分子中に有する酸無水物基の数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは2~5である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(D)エラストマとして、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有するエラストマを含有することが好ましい。
酸性置換基及びエチレン性不飽和基としては、(A)成分が有する酸性置換基及びエチレン性不飽和基と同じものが挙げられる。これらの中でも、(D)エラストマは、酸性置換基として、上述の通り、酸無水物基を有し、エチレン性不飽和基として、後述する1,2-ビニル基を有するものが好ましい。
(D)エラストマとしては、ポリブタジエン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、スチレン系エラストマ、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、アクリル系エラストマ、シリコーン系エラストマ、これらのエラストマの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、銅めっきとの接着強度の向上、さらには樹脂成分との相容性、溶解性の向上の観点から、ポリブタジエン系エラストマが好ましい。
ポリブタジエン系エラストマは、1,2-ビニル基を含む、1,4-トランス体と1,4-シス体との構造体からなるものが好適に挙げられる。
上記の通り、ポリブタジエン系エラストマは、ビアの解像性の観点から、酸無水物で変性されている、酸無水物基を有するポリブタジエン系エラストマであることが好ましく、無水マレイン酸に由来する酸無水物基を有するポリブタジエン系エラストマであることがより好ましい。
ポリブタジエン系エラストマは、市販品として入手可能であり、その具体例としては、「POLYVEST(登録商標)MA75」、「POLYVEST(登録商標)EP MA120」(以上、エボニック社製、商品名)、「Ricon(登録商標)130MA8」、「Ricon(登録商標)131MA5」、「Ricon(登録商標)184MA6」(以上、クレイバレー社製、商品名)等が挙げられる。
ポリブタジエン系エラストマは、銅めっきとの接着強度の観点から、エポキシ基を有するポリブタジエン[以下、エポキシ化ポリブタジエンと称することがある。]であってもよく、エポキシ基を有するポリブタジエンであることが好ましい。
エポキシ化ポリブタジエンは、銅めっきとの接着強度及び柔軟性の観点から、下記一般式(D-1)で表されるエポキシ化ポリブタジエンであることが好ましい。
Figure 2023040905000009

(式中、a、b及びcはそれぞれ、丸括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05~0.40、bは0.02~0.30、cは0.30~0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、角括弧内の構造単位の数を表し、10~250の整数である。)
上記一般式(D-1)において角括弧内の各構造単位の結合順序は順不同である。つまり、左に示された構造単位と、中心に示された構造単位と、右に示された構造単位とは、入れ違っていてもよく、それぞれを、(a)、(b)、(c)で表すと、-[(a)-(b)-(c)]-[(a)-(b)-(c)-]-、-[(a)-(c)-(b)]-[(a)-(c)-(b)-]-、-[(b)-(a)-(c)]-[(b)-(a)-(c)-]-、-[(a)-(b)-(c)]-[(c)-(b)-(a)-]-、-[(a)-(b)-(a)]-[(c)-(b)-(c)-]-、-[(c)-(b)-(c)]-[(b)-(a)-(a)-]-など、種々の結合順序があり得る。
銅めっきとの接着強度及び柔軟性の観点から、aは好ましくは0.10~0.30、bは好ましくは0.10~0.30、cは好ましくは0.40~0.80である。また、これと同様の観点から、yは好ましくは30~180の整数である。
上記一般式(D-1)において、a=0.20、b=0.20、c=0.60、及びy=10~250の整数となるエポキシ化ポリブタジエンの市販品としては、「エポリード(登録商標)PB3600」(株式会社ダイセル製)等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマとしては、例えば、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子が、メチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
ジオール化合物としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、レゾルシン等の芳香族ジオールなどが挙げられる。
また、ポリエステル系エラストマとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体が好適に挙げられる。マルチブロック共重合体は、ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いにより様々なグレードのものがある。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(D)エラストマを含有する場合、(D)エラストマの含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性及び銅めっきとの接着強度の観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1.0~10質量%、さらに好ましくは1.0~7質量%、特に好ましくは1.0~5質量%である。
<(E)無機充填材>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(E)成分として、無機充填材を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)無機充填材を含有することで、より低い誘電正接及び優れた低熱膨張性が得られる傾向にある。
(E)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)無機充填材としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化ケイ素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al/5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO・Al)、イットリア含有ジルコニア(Y・ZrO)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボン(C)等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、低熱膨張性及び誘電正接の観点から、シリカが好ましい。
(E)無機充填材は、感光性樹脂組成物中における分散性を向上させる観点から、シランカップリング剤等のカップリング剤で表面処理されたものであってもよい。シランカップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤、アルキルシラン系カップリング剤、アルケニルシラン系カップリング剤、アルキニルシラン系カップリング剤、ハロアルキルシラン系カップリング剤、シロキサン系カップリング剤、ヒドロシラン系カップリング剤、シラザン系カップリング剤、アルコキシシラン系カップリング剤、クロロシラン系カップリング剤、(メタ)アクリルシラン系カップリング剤、イソシアヌレートシラン系カップリング剤、ウレイドシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、スルフィドシラン系カップリング剤、イソシアネートシラン系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材の分散性、感光性樹脂組成物のポットライフ、塗膜の信頼性の観点から、アルケニルシラン系カップリング剤が好ましく、当該アルケニルシラン系カップリング剤としてビニルシラン系カップリング剤を使用することがより好ましい。
(E)無機充填材は、1種のカップリング剤で表面処理した無機充填材のみを使用してもよく、異なるカップリング剤で表面処理した2種以上の無機充填材を併用してもよい。
カップリング剤を使用する場合、その添加方式は、感光性樹脂組成物中に(E)無機充填材を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいし、配合前の(E)無機充填材に対して予めカップリング剤を乾式又は湿式で表面処理する方式であってもよい。
(E)無機充填材の平均粒径は、ビアの解像性の観点から、好ましくは0.01~5μm、より好ましくは0.05~3μm、さらに好ましくは0.1~1μm、特に好ましくは0.15~0.7μmである。
(E)無機充填材は、銅めっきとの接着力の向上、ビアの解像性の観点から、平均粒径が異なる2種以上の無機充填材を併用してもよい。
(E)無機充填材の平均粒径は、体積平均粒子径を意味し、サブミクロン粒子アナライザ(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5)を用いて、国際標準規格ISO13321に準拠して、屈折率1.38で、溶剤中に分散した粒子を測定し、粒度分布における積算値50%(体積基準)に相当する粒子径として求めることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(E)無機充填材を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、好ましくは10~80質量%、より好ましくは20~65質量%、さらに好ましくは30~55質量%、特に好ましくは35~50質量%である。(E)無機充填材の含有量が上記下限値以上であると、より低い誘電正接及び熱膨張係数が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より優れた銅めっきとの接着強度及びビアの解像性が得られる傾向にある。
<(F)エポキシ樹脂硬化剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(F)成分として、エポキシ樹脂硬化剤を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(F)エポキシ樹脂硬化剤を含有することで、耐熱性、誘電正接等をより向上できる傾向にある。
(F)エポキシ樹脂硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)エポキシ樹脂硬化剤としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン;これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック、トリアジン環含有フェノールノボラック樹脂等のポリフェノールなどが挙げられる。前記ポリフェノールは、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン等で変性された、変性ポリフェノールであってもよい。前記ポリフェノールの水酸基当量は、特に制限されるものではないが、好ましくは40~300g/eqであり、40~250g/eqであってもよく、60~200g/eqであってもよく、80~160g/eqであってもよく、100~140g/eqであってもよい。ここで、水酸基当量(g/eq)は、無水酢酸によるアセチル化法を利用して滴定によって求めることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(F)エポキシ樹脂硬化剤を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性及び誘電正接をより向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
<(G)硬化促進剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(G)成分として、硬化促進剤を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(G)硬化促進剤を含有することで、耐熱性、誘電正接等をより向上できる傾向にある。
(G)硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(G)硬化促進剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1-ベンジル-1H-イミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、イソシアネートマスクイミダゾール(ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2-エチル-4-メチルイミダゾールの付加反応物)等のイミダゾール系化合物;トリメチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等の第三級アミン;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスニウムクロライド等のホスホニウム塩;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;上記の多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
これらの中でも、優れた硬化作用を得るという観点から、イミダゾール、イミダゾール誘導体が好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(G)硬化促進剤を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、耐熱性及び誘電正接をより向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
<(H)光重合開始剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに、(H)成分として、光重合開始剤を含有することが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)光重合開始剤を含有することで、ビアの解像性がより向上する傾向にある。
(H)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ビアの解像性の観点から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)成分を2種以上含むことが好ましい。
(H)光重合開始剤としては、エチレン性不飽和基を光重合させることができるものであれば、特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
(H)光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-[O-(エトキシカルボニル)オキシム]等のオキシムエステル系化合物などが挙げられる。
これらの中でも、アセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。アセトフェノン系化合物は、揮発しにくく、アウトガスになり難いという利点があり、アシルホスフィンオキサイド系化合物は、紫外線等の活性光線の吸収を低減させることによって感光性樹脂フィルムの底部にまで活性光線が十分に到達し易くなり、その結果、露光部の底部の硬化性が高くなるという利点がある。アセトフェノン系化合物とアシルホスフィンオキサイド系化合物とを併用することで、より一層、ビアの解像性が高まる傾向にある。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(H)光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは0.2~5質量%、特に好ましくは0.3~2質量%である。(H)光重合開始剤の含有量が上記下限値以上であると、露光される部位が現像中に溶出することを低減できる傾向にあり、上記上限値以下であると、耐熱性が向上する傾向にある。
<(I)光増感剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、(I)成分として光増感剤を含有させてもよい。
(I)光増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ビアの解像性の観点から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(I)成分を2種以上含むことが好ましい。
(I)光増感剤としては、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;トリアルキルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン;N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸アミル等のジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン;トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;N,N-ジメチルトルイジン等のトルイジン系化合物;9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン等のアントラセン系化合物;ペリレン系化合物;クマリン系化合物などが挙げられる。
(I)光増感剤としては、ビアの解像性、活性光線に対する感度の観点から、好ましくはビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン系化合物であり、より好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4-ジエチルチオキサントンである。
本実施形態の感光性樹脂組成物が(I)光増感剤を含有する場合、その含有量は、特に制限されるものではないが、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~1.5質量%、特に好ましくは0.1~1.0質量%である。(I)光増感剤の含有量が上記下限値以上であると、感光性樹脂フィルムの未露光部も硬化し易くなるため、露光部がテーパー形状になったり、フッティングが生じ易くなったりする傾向にあり、上記上限値以下であると、露光部における底部の硬化度が小さくなることで、アンダーカット形状が形成され易くなる傾向にある。ここで、フッティングとは、非レジスト部においてトップ(活性光線を照射する側)の幅よりも底部の幅のほうが狭くなる現象のことである。
<(J)添加剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の顔料;メラミン等の接着助剤;シリコーン化合物等の整泡剤;重合禁止剤;増粘剤;難燃剤;等の公知慣用の各種添加剤を含有させてもよい。
これらの(J)添加剤の含有量は、各々の目的に応じて適宜調整すればよいが、各々について、感光性樹脂組成物の樹脂成分全量基準で、好ましくは0.01~5質量%であり、0.05~3質量%であってもよく、0.1~1質量%であってもよい。
<希釈剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて希釈剤を含有していてもよい。希釈剤としては、例えば、有機溶剤等が使用できる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。希釈剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物が希釈剤を含有する場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量の濃度を、好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%の範囲に調整する目的で適宜選択すればよい。希釈剤の使用量を上記範囲に調整することで、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、より高精細なパターンの形成が可能となる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、各成分をロールミル、ビーズミル等で混練及び混合することにより得ることができる。
ここで、本実施形態の感光性樹脂組成物は、液状として使用してもよいし、フィルム状として使用してもよい。
液状として使用する場合、本実施形態の感光性樹脂組成物の塗布方法は特に制限はないが、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、浸漬塗布法等の各種塗布方法が挙げられる。これらの中でも、感光層をより容易に形成する観点から、印刷法、スピンコート法が好ましい。
また、フィルム状として用いる場合は、例えば、後述する感光性樹脂フィルムの形態で用いることができ、この場合はラミネーター等を用いてキャリアフィルム上に積層することで所望の厚さの感光層を形成することができる。なお、フィルム状として使用する方が、多層プリント配線板の製造効率が高くなるために好ましい。
[感光性樹脂フィルム]
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されるものである。当該感光性樹脂フィルムは、層間絶縁層を形成するための感光層として有用である。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、キャリアフィルム上に設けられている態様であってもよい。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、例えば、キャリアフィルム上に、本実施形態の感光性樹脂組成物を、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工装置で塗布及び乾燥することにより形成することができる。
キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。キャリアフィルムの厚さは、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~60μm、さらに好ましくは15~45μmである。
また、本実施形態の感光性樹脂フィルムは、キャリアフィルムと接する面とは反対側の面に保護フィルムを設けることもできる。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどを用いることができる。また、上述するキャリアフィルムと同様の重合体フィルムを用いてもよく、異なる重合体フィルムを用いてもよい。
感光性樹脂組成物を塗布して形成される塗膜の乾燥は、熱風乾燥、遠赤外線、又は、近赤外線を用いた乾燥機等を用いることができる。乾燥温度としては、好ましくは60~150℃、より好ましくは70~120℃、さらに好ましくは80~100℃である。また、乾燥時間としては、好ましくは1~60分間、より好ましくは2~30分間、さらに好ましくは5~20分間である。乾燥後における感光性樹脂フィルム中の残存希釈剤の含有量は、多層プリント配線板の製造工程において希釈剤が拡散するのを避ける観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
感光性樹脂フィルム(感光層)の厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に制限されるものではないが、多層プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは1~100μm、より好ましくは3~50μm、さらに好ましくは5~40μmである。
本実施形態の感光性樹脂フィルムは、ビアの解像性、銅めっきとの接着強度及び絶縁信頼性に優れているため、多層プリント配線板の層間絶縁層として適している。
[多層プリント配線板及びその製造方法]
本実施形態の多層プリント配線板は、上記の本実施形態の感光性樹脂組成物又は本実施形態の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなるものである。ここで、「層間絶縁層を含有してなる」という表現には、層間絶縁層をそのまま含有する場合と、層間絶縁層に例えばビア形成等の加工、粗化処理等の各種処理、及び配線形成、などが施された後の状態で含有する場合も含まれる。
本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物又は感光性樹脂フィルムを用いて層間絶縁層を形成する工程を有していればその製造方法には特に制限はなく、例えば、以下の本実施形態の多層プリント配線板の製造方法により容易に製造することができる。
本実施形態の感光性樹脂フィルムを用いて、多層プリント配線板を製造する方法について、適宜図1を参照しながら説明する。
多層プリント配線板100Aは、例えば、下記(1)~(4)を含む製造方法により製造することができる。
(1):本実施形態の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートすること(以下、「ラミネート工程(1)」と称する)。
(2):工程(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成すること(以下、「フォトビア形成工程(2)」と称する)。
(3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理すること(以下、「粗化処理工程(3)」と称する)。
(4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成すること(以下、「回路パターン形成工程(4)」と称する)。
ここで、本明細書において、上記の様に、便宜上、所定の操作について「XX工程」と称することがあるが、XX工程は、本明細書に具体的に記載された態様のみに限定されるものではない。
(ラミネート工程(1))
ラミネート工程(1)は、真空ラミネーターを用いて、本実施形態の感光性樹脂フィルム(層間絶縁層用感光性樹脂フィルム)を回路基板(回路パターン102を有する基板101)の片面又は両面にラミネートする工程である。真空ラミネーターとしては、ニチゴー・モートン株式会社製のバキュームアップリケーター、株式会社名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、株式会社日立製作所製のロール式ドライコーター、昭和電工マテリアルズ・エレクトロニクス株式会社製の真空ラミネーター等が挙げられる。
感光性樹脂フィルムに保護フィルムが設けられている場合には、保護フィルムを剥離又は除去した後、感光性樹脂フィルムが回路基板と接する状態で、加圧及び加熱しながら回路基板に圧着してラミネートすることができる。
該ラミネートは、例えば、感光性樹脂フィルム及び回路基板を必要に応じて予備加熱してから、圧着温度70~130℃、圧着圧力0.1~1.0MPa、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することができるが、特にこの条件に制限されるものではない。また、ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。
最後に、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルムを室温付近に冷却し、層間絶縁層103とする。感光性樹脂フィルムがキャリアフィルムを有する場合、キャリアフィルムはここで剥離してもよいし、後述する通り、露光後に剥離してもよい。
(フォトビア形成工程(2))
フォトビア形成工程(2)では、回路基板にラミネートされた感光性樹脂フィルムの少なくとも一部に対して露光し、次いで現像を行う。露光によって、活性光線が照射された部分が光硬化してパターンが形成される。露光方法に特に制限はなく、例えば、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを介して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)を採用してもよいし、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により、活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができる。光源としては、具体的には、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ;YAGレーザ等の固体レーザ;半導体レーザ等の紫外線又は可視光線を有効に放射するものなどが挙げられる。露光量は、使用する光源及び感光層の厚さ等によって適宜選定されるが、例えば高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、感光層の厚さ1~100μmでは、通常、10~1,000mJ/cm程度が好ましく、50~700mJ/cmがより好ましく、150~550mJ/cmがさらに好ましく、250~500mJ/cmが特に好ましい。
現像においては、感光層の未硬化部分が基板上から除去されることで、光硬化部分が層間絶縁層として基板上に形成される。
感光層上にキャリアフィルムが存在している場合には、該キャリアフィルムを除去してから、未露光部分の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像があり、いずれを採用してもよいが、ウェット現像が広く用いられており、本実施形態においてもウェット現像を採用できる。
ウェット現像の場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられる。これらの中でも、ビアの解像性向上の観点からは、スプレー方式が好ましく、スプレー方式の中でも高圧スプレー方式がより好ましい。現像は、1種の方法で実施すればよいが、2種以上の方法を組み合わせて実施してもよい。
現像液の構成は、感光性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等が挙げられ、これらの中でもアルカリ性水溶液が好ましい。
フォトビア形成工程(2)では、露光及び現像をした後、0.2~10J/cm程度(好ましくは0.5~5J/cm)の露光量のポストUVキュア、及び60~250℃程度(好ましくは120~200℃)の温度のポスト熱キュアを必要に応じて行うことにより、層間絶縁層をさらに硬化させてもよく、また、そうすることが好ましい。
以上のようにして、ビア104を有する層間絶縁層が形成される。ビアの形状に特に制限はなく、断面形状で説明すると、四角形、逆台形(上辺が下辺より長い)等が挙げられ、正面(ビア底が見える方向)から見た形状で説明すると、円形、四角形等が挙げられる。本実施形態におけるフォトリソ法によるビアの形成では、断面形状が逆台形(上辺が下辺より長い)のビアを形成することができ、この場合、銅めっきのビア壁面への付き回り性が高くなるために好ましい。
本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)は、40μm未満にすることができ、さらには、35μm以下又は30μm以下にすることも可能であり、レーザ加工によって作製するビアのサイズよりも小径化することができる。本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)の下限値に特に制限はないが、15μm以上であってもよいし、20μm以上であってもよい。
但し、本工程によって形成されるビアのサイズ(直径)は40μm未満に限定されるものではなく、例えば、15~300μmの範囲で任意に選択してもよい。
(粗化処理工程(3))
粗化処理工程(3)では、ビア及び層間絶縁層の表面を粗化液により粗化処理を行う。なお、上記フォトビア形成工程(2)においてスミアが発生した場合には、該スミアを上記粗化液によって除去してもよい。粗化処理と、スミアの除去(デスミア)とは同時に行うことができる。
上記粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液(例えば、過マンガン酸ナトリウム粗化液等)、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液等が挙げられる。
粗化処理により、ビア及び層間絶縁層の表面に凹凸のアンカーが形成される。
(回路パターン形成工程(4))
回路パターン形成工程(4)は、上記粗化処理工程(3)の後に、上記層間絶縁層上に回路パターンを形成する工程である。
回路パターンの形成は微細配線形成の観点から、セミアディティブプロセスにより実施することが好ましい。セミアディティブプロセスにより回路パターンの形成と共にビアの導通が行われる。
セミアディティブプロセスにおいては、まず、上記粗化処理工程(3)後のビア底、ビア壁面及び層間絶縁層の表面全体にパラジウム触媒等を用いた上で無電解銅めっき処理を施してシード層105を形成する。該シード層は電気銅めっきを施すための給電層を形成するためのものであり、好ましくは0.1~2.0μm程度の厚さで形成される。該シード層の厚さが0.1μm以上であれば、電気銅めっき時の接続信頼性が低下するのを抑制できる傾向にあり、2.0μm以下であれば、配線間のシード層をフラッシュエッチングする際のエッチング量を大きくする必要がなく、エッチングの際に配線に与えるダメージを抑えられる傾向にある。
上記無電解銅めっき処理は、銅イオンと還元剤の反応により、ビア及び層間絶縁層の表面に金属銅を析出させて行う。
上記無電解めっき処理方法及び上記電解めっき処理方法は公知の方法を適用すればよく、特に制限されるものではない。
無電解銅めっき液としては市販品を使用することができ、市販品としては、アトテックジャパン株式会社製の「MSK-DK」、上村工業株式会社製の「スルカップ(登録商標)PEAシリーズ」等が挙げられる。
上記無電解銅めっき処理を施した後、無電解銅めっき上に、ロールラミネーターによってドライフィルムレジストを熱圧着する。ドライフィルムレジストの厚さは電気銅めっき後の配線高さよりも高くしなければならず、この観点から、5~30μmの厚さのドライフィルムレジストが好ましい。ドライフィルムレジストとしては、昭和電工マテリアルズ株式会社製の「フォテック(登録商標)」シリーズ等が用いられる。
ドライフィルムレジストの熱圧着後、例えば、所望の配線パターンが描画されたマスクを通してドライフィルムレジストの露光を行う。露光は、上記感光性樹脂フィルムにビアを形成する際に使用し得るものと同様の装置及び光源で行うことができる。露光後、アルカリ水溶液を用いてドライフィルムレジストの現像を行い、未露光部分を除去し、レジストパターン106を形成する。この後、必要に応じてプラズマ等を用いてドライフィルムレジストの現像残渣を除去する作業を行ってもよい。
現像後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層107の形成及びビアフィリングを行う。
電気銅めっき後、アルカリ水溶液又はアミン系剥離剤を用いてドライフィルムレジストの剥離を行う。ドライフィルムレジストの剥離後、配線間のシード層の除去(フラッシュエッチング)を行う。フラッシュエッチングは、硫酸と過酸化水素等の酸性溶液と酸化性溶液とを用いて行われる。フラッシュエッチング後、必要に応じて配線間の部分に付着したパラジウム等の除去を行う。パラジウムの除去は、好ましくは、硝酸、塩酸等の酸性溶液を用いて行うことができる。
上記ドライフィルムレジストの剥離後又はフラッシュエッチング工程の後、好ましくはポストベーク処理を行う。ポストベーク処理は、未反応の熱硬化成分を十分に熱硬化し、さらにそれによって絶縁信頼性、硬化特性及び銅めっきとの接着強度を向上させる。熱硬化条件は樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度が150~240℃、硬化時間が15~100分間であることが好ましい。ポストベーク処理により、一通りのフォトビア法による多層プリント配線板の製造工程が完成するが、必要な層間絶縁層の数に応じて、本プロセスを繰り返して基板を製造する。そして、最外層には好ましくはソルダーレジスト層108を形成する。
以上、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いてビアを形成する多層プリント配線板の製造方法について説明したが、本実施形態の感光性樹脂組成物は、パターン解像性に優れるものであるため、例えば、チップ又は受動素子等を内蔵するためのキャビティーを形成するのにも好適である。キャビティーは、例えば、上記した多層プリント配線板の説明において、感光性樹脂フィルムに露光してパターン形成する際の描画パターンを、所望するキャビティーを形成できるものとすることで好適に形成することができる。
[半導体パッケージ]
本開示は、本実施形態の多層プリント配線板と、半導体素子と、を含む半導体パッケージも提供する。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態の多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
以下、実施例により本実施形態をさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、(A)成分の重量平均分子量は下記方法に従って測定した。また、各例で得られた感光性樹脂組成物は、以下に示す方法により特性を評価した。
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量は、下記のGPC測定装置及び測定条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値を重量平均分子量とした。また、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP-H」及び「PStQuick B」、東ソー株式会社製)を用いた。
(GPC測定装置)
GPC装置:高速GPC装置「HCL-8320GPC」、検出器は示差屈折計又はUV、東ソー株式会社製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ-H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー株式会社製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35ml/分
試料濃度 :10mg/THF5ml
注入量 :20μl
[1.誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の評価]
保護フィルムを剥がした感光性樹脂フィルム2枚を貼り合せ、両面のキャリアフィルムを有したまま、平面露光機で400mJ/cm(波長365nm)、UVコンベア式露光機にて2J/cm(波長365nm)照射した。これを温風循環式乾燥機にて170℃で1時間加熱処理したものを、7cm×10cmのサイズに切断して評価サンプルとした。
得られた評価サンプルを温風循環式乾燥機にて105℃で10分間乾燥し、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)にて、10GHz帯で誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。
[2.デスミア耐性の評価]
実施例及び比較例で製造した「キャリアフィルム及び保護フィルムを貼り合わせた感光性樹脂フィルム」から保護フィルムを剥離しながら、厚さ1.0mmの銅張積層基板上にプレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP-500」)を用いて、圧着圧力0.4MPa、プレス熱板温度75℃、真空引き時間20秒間、ラミネートプレス時間20秒間、気圧4kPa以下でラミネートを行い、積層体を得た。
得られた積層体について、超高圧水銀ランプを光源とした平行光露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM-1201」)を用いて400mJ/cm(波長365nm)で全面露光した。次に、紫外線露光装置を用いて2,000mJ/cm(波長365nm)の露光量で露光し、170℃で1時間加熱し、銅張積層基板上に硬化物を形成した評価用積層体を得た。
次いで、得られた評価用積層体について、膨潤液としてジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液:500ml/L、水酸化ナトリウム:3g/Lの水溶液を調製し、70℃に加温した後、評価用積層体を5分間浸漬処理した。次に、粗化液として、過マンガン酸ナトリウム:115g/L、水酸化ナトリウム:40g/Lの水溶液を調製し、70℃に加温した後、評価用積層体を15分間浸漬処理した。引き続き、中和液(硫酸ヒドロキシルアミン水溶液:100mL/L、硫酸:47ml/L)の水溶液を調製し、50℃に加温した後、評価用積層体を5分間浸漬処理し、過マンガン酸ナトリウムを還元した。以上の様にして、デスミア処理を行った。
デスミア耐性は、デスミア処理前の乾燥重量に対するデスミア処理後の単位面積当たりの重量減少量(g/m)を算出した。当該重量減少量が少ないほど、デスミア耐性に優れる。
[感光性樹脂組成物の調製]
実施例1~2、比較例1~3
(1)感光性樹脂組成物の製造
表1に示す配合組成(表中の数値の単位は質量部であり、溶液又は分散液の場合は固形分換算量である。)に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練した。その後、固形分濃度が65質量%になるようにメチルエチルケトンを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
(2)感光性樹脂フィルムの製造
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名「G2-16」)をキャリアフィルムとし、該キャリアフィルム上に、各例で調製した感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて75℃で30分間乾燥し、感光性樹脂フィルム(感光層)を形成した。続いて、該感光性樹脂フィルム(感光層)のキャリアフィルムと接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF-15」)を保護フィルムとして貼り合わせ、キャリアフィルム及び保護フィルムを貼り合わせた感光性樹脂フィルムを作製した。
作製した感光性樹脂フィルムを用いて、上記方法に従って各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023040905000010
表1で使用した各成分は以下の通りである。
[(A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物]
・「ZXR-1807H」(日本化薬株式会社製、重量平均分子量;1,500)
[(B)エポキシ樹脂]
・「YSLV-80XY」(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、ビスフェノール系エポキシ樹脂、エポキシ当量;192g/eq)
・「エポトート(登録商標)ESN-475V」(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、ナフトール型エポキシ樹脂、エポキシ当量;325g/eq)
・「EPICLON(登録商標)HP-7200」(DIC株式会社製、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ当量;259g/eq)
・「EP4088L」(株式会社ADEKA製、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、エポキシ当量;165g/eq)
[(C)一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤]
<メタクリレート系化合物>
・「DCP」;ジシクロペンタジエンジメタクリレート
・「TMPT」;トリメチロールプロパントリメタクリレート
[(C’)(C)成分以外の架橋剤]
<アクリレート系化合物>
・「DPHA」;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・「A-CDP」;ジシクロペンタジエンジアクリレート
・「TMPTA」;トリメチロールプロパントリアクリレート
[(D)エラストマ]
・「エポリード(登録商標)PB3600」(ダイセル化学株式会社製、エポキシ化ポリブタジエン)
[(E)無機充填材]
・E1;平均粒子径0.5μmの溶融球状シリカ(ビニルシラン系カップリング剤処理品)
[(F)エポキシ樹脂硬化剤]
・「フェノライト(登録商標)LA7052」(DIC株式会社製、メラミン、ベンゾグアナミン等で変性されたノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量;120g/eq)
[(G)硬化促進剤]
・G1;2-フェニル-1-ベンジル-1H-イミダゾール(イミダゾール系化合物)
[(H)光重合開始剤]
・H1;2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(アセトフェノン系化合物)
・H2;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(アシルホスフィンオキサイド系化合物)
[(I)光増感剤]
・I1;2,4-ジエチルチオキサントン(チオキサントン系化合物)
・I2;4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
[(J)添加剤]
・4-t-ブチルカテコール;重合禁止剤
・「SH-193」(ダウ・東レ株式会社製、シリコーン系整泡剤)
表1から、本実施形態の実施例1及び2の感光性樹脂組成物は、(C)成分以外の架橋剤を用いた比較例1~3の感光性樹脂組成物と比べると、誘電正接を低減できていることが分かる。
さらに、本実施形態の実施例1及び2の感光性樹脂組成物は、(C)成分以外の架橋剤を用いた比較例1~3の感光性樹脂組成物と比べて、デスミア耐性も向上したことが分かる。当該デスミア耐性の向上によって、微細配線の膜厚方向における寸法精度の向上及びビア開口径の寸法精度の向上が期待できる。
100A 多層プリント配線板
101 基板
102 回路パターン
103 層間絶縁層
104 ビア(ビアホール)
105 シード層
106 レジストパターン
107 銅の回路層
108 ソルダーレジスト層

Claims (16)

  1. (A)エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有する光重合性化合物、
    (B)エポキシ樹脂、及び
    (C)下記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、
    Figure 2023040905000011

    (式中、RC1は、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である。*は、他の構造への結合部位である。)
    を含有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(C)成分が、前記一般式(C-1)で表されるエチレン性不飽和基を2個~6個有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分が、ジシクロペンタジエンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分が、下記一般式(A-1)で表される脂環式構造を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023040905000012

    (式中、RA1は炭素数1~12のアルキル基を表し、前記脂環式構造中のどこに置換していてもよい。mは0~6の整数である。*は他の構造への結合部位である。)
  5. 前記(A)成分の酸性置換基と、前記(B)成分のエポキシ基との当量比[エポキシ基/酸性置換基]が、0.5~6.0である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに、(D)エラストマを含有し、該(D)エラストマとして、エチレン性不飽和基及び酸性置換基を有するエラストマを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. さらに、(E)無機充填材を、感光性樹脂組成物の固形分全量基準で、10~80質量%含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. さらに、(H)光重合開始剤を含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(H)成分を2種以上含む、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
  10. さらに、(I)光増感剤を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記(I)成分を2種以上含む、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. フォトビア及び層間絶縁層からなる群から選択される1種以上の形成に用いられる、請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる、感光性樹脂フィルム。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は請求項13に記載の感光性樹脂フィルムを用いて形成される層間絶縁層を含有してなる多層プリント配線板。
  15. 請求項14に記載の多層プリント配線板と、半導体素子と、を含む半導体パッケージ。
  16. 下記(1)~(4)を有する、多層プリント配線板の製造方法。
    (1):請求項13に記載の感光性樹脂フィルムを、回路基板の片面又は両面にラミネートすること。
    (2):前記(1)でラミネートされた感光性樹脂フィルムに対して露光及び現像することによって、ビアを有する層間絶縁層を形成すること。
    (3):前記ビア及び前記層間絶縁層を粗化処理すること。
    (4):前記層間絶縁層上に回路パターンを形成すること。
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