JP2020162471A - 釣糸ガイドの固定構造及び該固定構造を有する釣竿 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定作業を煩雑にすることなく、外観を損なうことなく、釣糸ガイドと竿杆との間で接着剤(合成樹脂)の充填及び/又は浸潤の度合いを高めて釣糸ガイドと竿杆との固着強度を高めることができる(十分な抜け強度を有する)釣糸ガイドの固定構造及び釣竿を提供する。【解決手段】釣糸ガイド7の固定構造は、固定糸18が脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって巻回されて成る上糸巻回層30と、固定糸18が脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって巻回されて成る下糸巻回層40とを有し、上糸巻回層30及び下糸巻回層40にはそれぞれ、脚部16が固定される固定側S1で固定糸18の巻回部同士の間に隙間cが形成されるとともに、釣竿1の長手中心軸Oに対して固定側S1とは反対の反固定側S2で固定糸18が密に巻回される密巻き部50が形成される。【選択図】図2
Description
本発明は、釣竿に固定されて釣糸を案内する釣糸ガイドの固定構造、及び、そのような固定構造を有する釣竿に関する。
一般に、釣竿に取り付け固定される釣糸ガイドは、竿先端方向への引張力に対する強度が十分ではなく、一定以上の負荷が作用すると釣竿から抜けてしまう虞がある。そのため、釣糸ガイドを抜け難くし、負荷に十分耐え得る強度を有する釣糸ガイド固定構造が従来から様々に提案されてきた。
例えば、釣糸ガイドの抜け強度を増強させる手法としては、釣糸ガイドを固定するための固定糸の巻回方法の改変、巻回された固定糸に浸潤される接着剤の改質、或いは、釣糸ガイドと釣竿の竿杆との間にカーボンシートを挟むなどの手法を挙げることができる。
特に、固定糸の巻回方法の改変に関連し、特許文献1では、釣竿の竿杆上に釣糸ガイドの脚部を安定載置するための下糸層を形成し、この下糸層上に前記脚部を載置した後、脚部上から下糸層上にわたって脚部を固定する上糸層を形成するようにしている。
一方、特許文献2及び特許文献3は、下糸層を設けることなく、上糸層のみによって釣糸ガイドを釣竿に対して固定する固定構造を開示している。この場合、特許文献2は、隣接した糸条体間に隙間を形成し、この隙間に合成樹脂を侵入させる固定形態を採用している。また、特許文献3は、糸材に間隔を形成し、この間隔に接着剤を充填する固定形態を採用している。
前述した特許文献1に開示される釣糸ガイド固定構造によれば、下糸層を形成することにより、釣糸ガイドの脚部を安定的に載置でき、釣糸ガイドの抜け強度を高めることができる。しかしながら、この特許文献1では、下糸層が小径で密に巻かれているため、下糸層の糸間や、下糸層と竿杆との間に合成樹脂(接着剤)が入り込み難い(釣糸ガイドと竿杆との間で接着剤の浸潤(充填)が不十分となる)。また、下糸層が釣糸ガイドの脚部よりも長く延在するとともに、上糸層の糸の外径が下糸層の糸の外径よりも大きいため、外観が損なわれる虞があり、したがって、上糸層の使用範囲を制限せざるを得なくなる場合もある。更に、下糸層と上糸層とで別糸を使用するため、糸の掛け替えが必要となり、工程数が増えてしまう。
一方、特許文献2及び特許文献3に開示される釣糸ガイド固定構造は、下糸層が存在しないため、釣糸ガイドの抜け強度が不十分であり、釣糸ガイドが抜け易いとともに、釣糸ガイドと竿杆との間に接着剤が入り込むことも困難である。特に、特許文献2では、糸条体間の隙間に侵入した合成樹脂が環状に露出しているため、特に釣糸ガイド取付部反対側が外部から衝撃を直接に受け易く破損し易い。また、特許文献3では、糸止め材の塗布とは別途に接着剤の充填も行なわれるため、作業が煩雑であり、糸止め材の存在に起因して接着剤を充填できない虞もある。
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、固定作業を煩雑にすることなく、外観を損なうことなく、釣糸ガイドと竿杆との間で接着剤(合成樹脂)の充填及び/又は浸潤の度合いを高めて釣糸ガイドと竿杆との固着強度を高めることができる(十分な抜け強度を有する)釣糸ガイドの固定構造及び釣竿を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明は、釣糸を挿通して案内するガイドリングを保持するリング保持部と、リング保持部から延びて釣竿の外表面に固定される脚部とを有する釣糸ガイドの固定構造において、固定糸が前記脚部の外面上と前記釣竿の外周面上とにわたって巻回されて成る上糸巻回層と、固定糸が前記脚部と前記釣竿との間を通るように前記釣竿の外周面上にわたって巻回されて成る下糸巻回層とを有し、前記上糸巻回層及び前記下糸巻回層にはそれぞれ、前記脚部が固定される固定側で固定糸の巻回部同士の間に隙間が形成されるとともに、前記釣竿の長手中心軸に対して前記固定側とは反対の反固定側で固定糸が密に巻回される密巻き部が形成されることを特徴とする。
上記構成によれば、釣糸ガイドの脚部を釣竿に対して固定する上糸巻回層のみならず、釣糸ガイドの脚部と釣竿との間に下糸巻回層も設けられているため、脚部と釣竿との間に間隙が生じ、この間隙の存在により、その後の固定側での接着剤の塗布に際してその接着剤が下糸巻回層のそれぞれの巻回部に達するまでの時間が短縮されて接着剤が各巻回部に速やかに浸潤するようになる。しかも、接着剤が塗布される固定側で下糸巻回層の巻回部同士の間に隙間が形成されているため、これらの隙間に接着剤が充填される(樹脂溜りが形成される)ことにより、下糸巻回層で接着剤の充填度合いが高くなり、したがって、釣糸ガイド(脚部)と釣竿との固着強度が接着剤(樹脂層)により格段に高まる。それに加えて、上糸巻回層にも固定側で固定糸の巻回部同士の間に隙間が形成されているため、それらの隙間に接着剤が充填されることにより固着強度が一層高まり、全体として釣糸ガイドの抜け強度が格段に向上される。
このような高い固着強度は、図5に示されるガイド抜け強度試験結果からも裏付けられる。すなわち、本発明者は、上記構成の本発明の釣糸ガイドの固定構造と、下糸巻回層が無く且つ上糸巻回層の巻回部同士の間に隙間が無い釣糸ガイドの固定構造とを、抜け強度の観点から比較する試験を行ない、図5に示される試験結果を得た。この試験では、釣糸ガイドの脚部の先端よりも7mm先から固定糸を釣竿の周囲に巻回し始めて脚部の根元(屈曲部への移行領域)に至るまで更に脚部上にもわたって固定糸を巻回した(屈曲部の前方側に回り込む2周巻回分(2プライ分)の枕巻きを含む)隙間のない上糸巻回層のみの釣糸ガイド固定構造(「比較例」)と、釣糸ガイドの脚部の先端付近から固定糸を脚部の外面上と釣竿の外周面上とにわたって10周分(10プライ分)だけ巻回することにより上糸巻回層の第1の巻回部を形成した後、固定糸を脚部と釣竿との間を通るように釣竿の外周面上にわたって1プライ分だけ巻回することにより下糸巻回層の第1の巻回部を形成し、その後、順に、5プライ分の上糸巻回層の第2の巻回部、2プライ分の下糸巻回層の第2の巻回部、5プライ分の上糸巻回層の第3の巻回部、3プライ分の下糸巻回層の第3の巻回部を形成して成る(屈曲部の前方側に回り込む2プライ分の枕巻きを含む)釣糸ガイド固定構造(「本発明」)とを、釣糸ガイド抜け時の荷重に関して比較した。具体的には、前述した「比較例」及び「本発明」の釣糸ガイド固定構造を伴う釣竿の部分を万力で挟持した状態で釣糸ガイドに引張り荷重を作用させ、釣糸ガイドが釣竿から抜けた時点の荷重を記録した。図5はその記録結果である。この結果から分かるように、「比較例」及び「本発明」のそれぞれに対して10回試験を行なった際の荷重平均値は、「比較例」が10.8kgであったのに対し、「本発明」が16.5kgであった。すなわち、「本発明」は、「比較例」と比べて約1.5倍の抜け強度を有していた。
また、本発明の釣糸ガイドの固定構造は、このようにして高い固定強度(抜け強度)が得られることから、前述した特許文献1のように下糸巻回層を長く延在させる必要がなく且つ下糸巻回層の固定糸の外径と上糸巻回層の固定糸の外径とを異ならせる必要もなく、したがって、釣糸ガイドの外観(特に背面側(反固定側)から見た外観)に悪影響を及ぼすこともない。
また、上記構成では、上糸巻回層と下糸巻回層とが共通の1本の固定糸によって形成され、固定側では、釣竿の軸方向に沿って下糸巻回層の巻回部と上糸巻回層の巻回部とが交互に配置されることが好ましい。このような構成によれば、上糸巻回層及び下糸巻回層のそれぞれの巻回部同士の隙間が必然的に且つ効率的に形成されるため、作業性が良いとともに、上糸巻回層と下糸巻回層とを同じ1本の糸で構成しているため、前述した特許文献1のように糸の掛け替えも不要となり、固定作業全体の工程数を減らすこともできる(固定作業が容易となる)。
また、上記構成では、リング保持部と脚部との間に屈曲部を有し、屈曲部に最も近い下糸巻回層の巻回部における固定糸の巻回数が、それ以外の巻回部における固定糸の巻回数よりも多いことが好ましい。このような構成によれば、屈曲部に最も近い下糸巻回層の巻回部で固着強度を増大させて屈曲部付近の上糸巻回層の部位での破壊を防止できる。すなわち、本発明者は、前述した試験において、「比較例」の固定構造で釣糸ガイドの抜けが起きる原因が、屈曲部付近の上糸巻回層の巻回部(及び枕巻き部分)での破壊であることを見出した。そのため、屈曲部に最も近い下糸巻回層の巻回部における固定糸の巻回数をそれ以外の巻回部における固定糸の巻回数よりも多くして、屈曲部に最も近い下糸巻回層の巻回部への接着剤の浸潤度を増すことにより、この部位で固着強度が上がり、屈曲部付近の上糸巻回層の巻回部への負荷を低減させることができる(したがって、屈曲部付近の上糸巻回層の巻回部での破壊を防止できる)。
また、本発明は、上記構成の釣糸ガイドの固定構造を有する釣竿も提供する。
本発明によれば、固定作業を煩雑にすることなく、外観を損なうことなく、釣糸ガイドと竿杆との間で接着剤(合成樹脂)の充填及び/又は浸潤の度合いを高めて釣糸ガイドと竿杆との固着強度を高めることができる(十分な抜け強度を有する)釣糸ガイドの固定構造及び釣竿が得られる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について具体的に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、元竿3、中竿5、及び、穂先竿10を備えており、各竿は、並継ぎ式によって継合されている。また、釣竿1には、元竿3にリールシート4が設けられており、元竿3、中竿5、及び、穂先竿10には、リールシート4に装着されるリールRから繰り出される釣糸を案内する釣糸ガイド7(7A,7B,7C)が適所に取着される。図1では、元竿3に設けられる釣糸ガイドが7Aで示され、中竿5に設けられる釣糸ガイドが7Bで示され、穂先竿10に設けられる釣糸ガイドが7Cで示される。また、穂先竿10の先端には、トップガイド8が取着されている。この場合、各釣糸ガイド7A,7B,7C及びトップガイド8は、後述するように、竿杆の外周面に糸巻き及び接着剤によって取着されている。
図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、元竿3、中竿5、及び、穂先竿10を備えており、各竿は、並継ぎ式によって継合されている。また、釣竿1には、元竿3にリールシート4が設けられており、元竿3、中竿5、及び、穂先竿10には、リールシート4に装着されるリールRから繰り出される釣糸を案内する釣糸ガイド7(7A,7B,7C)が適所に取着される。図1では、元竿3に設けられる釣糸ガイドが7Aで示され、中竿5に設けられる釣糸ガイドが7Bで示され、穂先竿10に設けられる釣糸ガイドが7Cで示される。また、穂先竿10の先端には、トップガイド8が取着されている。この場合、各釣糸ガイド7A,7B,7C及びトップガイド8は、後述するように、竿杆の外周面に糸巻き及び接着剤によって取着されている。
なお、図1に示される釣竿1は、並継ぎ式として構成されるが、各竿の継合構造は、振出方式、逆並継方式、インロー方式であってもよい。また、中竿5は複数本(2本以上)あってもよく、無くてもよい。また、全体として1本竿で構成されていてもよい。
元竿3及び中竿5は、好ましくは、繊維強化樹脂製の管状体(中空竿杆)で構成されており、例えば、強化繊維(主に炭素繊維やガラス繊維等)にエポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回して加熱工程を経た後、脱芯する等、定法にしたがって所定寸法の管状に形成されている。
図2及び図3には、釣竿1の竿杆5,10に対して釣糸ガイド7(7A,7B,7C)を固定するための固定構造の第1の実施形態が拡大して示されている。図示のように、釣糸ガイド7は、釣糸を挿通して案内するガイドリング20を保持するリング保持部15と、リング保持部15から延びて釣竿1の外表面に固定される脚部16とを有する。また、釣糸ガイド7は、リング保持部15と脚部16との間に、上方に立ち上がってリング保持部15を釣竿1の外表面から離間させる屈曲部17を有する。
釣竿1に対して釣糸ガイド7を固定するための本実施形態の固定構造は、固定糸18が脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって巻回されて成る上糸巻回層30と、固定糸18が脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって巻回されて成る下糸巻回層40とを有する。この場合、上糸巻回層30には、脚部16が固定される固定側S1で固定糸18の巻回部30A,30B,30C,30D同士の間に隙間cが形成されている。また、下糸巻回層40にも、脚部16が固定される固定側S1で固定糸18の巻回部40A,40B,40C同士の間に隙間cが形成されている。また、このようにして形成される上糸巻回層30及び下糸巻回層40は、協働して、釣竿1の長手中心軸Oに対して固定側S1とは反対の反固定側S2で、固定糸18が密に巻回される密巻き部50を形成している。
特に、本実施形態では、上糸巻回層30と下糸巻回層40とが共通の1本の固定糸18によって形成されており、そのため、固定側S1では、釣竿1の軸方向に沿って下糸巻回層40の巻回部40A,40B,40Cと上糸巻回層30の巻回部30A,30B,30C,30Dとが交互に配置されている。
具体的には、このような形態の上糸巻回層30及び下糸巻回層40は、以下のように固定糸18を巻回することによって形成される。なお、図2及び図3における固定糸18の巻回数は、図示を簡単にするために、以下の説明における固定糸18の巻回数と必ずしも一致していない。
図2及び図3に示されるように、まず最初に、釣糸ガイド7の脚部16の先端(図2の左端)付近から固定糸18を脚部16の外面上と釣竿の外周面上とにわたって10周分(10プライ分)以上巻回することにより上糸巻回層30の第1の巻回部30Aを形成する。その後、第1の巻回部30Aを形成した固定糸18をそのまま脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって1プライ分だけ巻回することにより下糸巻回層40の第1の巻回部40Aを形成する。次に、再び、その固定糸18を脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって5プライ分だけ巻回することにより上糸巻回層30の第2の巻回部30Bを形成し、そのまま、その固定糸18を脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって2プライ分だけ巻回することにより下糸巻回層40の第2の巻回部40Bを形成する。
その後、下糸巻回層40の第2の巻回部40Bを形成したその固定糸18を脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって5プライ分だけ巻回することにより上糸巻回層30の第3の巻回部30Cを形成した後、そのまま、その固定糸18を脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって3プライ分だけ巻回することにより下糸巻回層40の第3の巻回部40Cを形成し(したがって、屈曲部17に最も近いこの巻回部40Cにおける固定糸18の巻回数は、それ以外の巻回部40A,40Bにおける固定糸18の巻回数よりも多い)、最後に、その固定糸18を脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって屈曲部17の根元まで巻回することにより上糸巻回層30の第4の巻回部30Dを形成して、屈曲部17の前方側に回り込む枕巻きを2プライ分施して完了する。これにより、脚部16が固定される固定側S1では、釣竿1の軸方向に沿って下糸巻回層40の巻回部40A,40B,40Cと上糸巻回層30の巻回部30A,30B,30C,30Dとがそれぞれ隙間cを伴って交互に配置されて成る巻回形態が得られる。また、このような巻回形態において、反固定側S2では、隙間を形成することなく固定糸18を密に巻回して密巻き部50を形成する。そして、このような巻回形態が得られたら、巻回層30,40上に接着剤を塗布する。
以上説明したように、本実施形態によれば、釣糸ガイド7の脚部16を釣竿1に対して固定する上糸巻回層30のみならず、釣糸ガイド7の脚部16と釣竿1との間に下糸巻回層40も設けられているため、脚部16と釣竿1との間に間隙cが生じ、この間隙cの存在により、その後の固定側S1での接着剤の塗布に際してその接着剤が下糸巻回層40のそれぞれの巻回部40A,40B,40Cに達するまでの時間が短縮されて接着剤が各巻回部40A,40B,40Cに速やかに浸潤するようになる。しかも、接着剤が塗布される固定側S1で下糸巻回層40の巻回部40A,40B,40C同士の間に隙間cが形成されているため、これらの隙間cに接着剤が充填される(樹脂溜りが形成される)ことにより、下糸巻回層40で接着剤の充填度合いが高くなり、したがって、釣糸ガイド7(脚部16)と釣竿1との固着強度が接着剤(樹脂層)により格段に高まる。それに加えて、上糸巻回層30にも固定側S1で固定糸18の巻回部30A,30B,30C,30D同士の間に隙間cが形成されているため、それらの隙間cに接着剤が充填されることにより固着強度が一層高まり、全体として釣糸ガイド7の抜け強度が格段に向上される。
また、本実施形態の釣糸ガイド7の固定構造は、このようにして高い固定強度(抜け強度)が得られることから、前述した特許文献1のように下糸巻回層40を長く延在させる必要がなく且つ下糸巻回層40の固定糸18の外径と上糸巻回層30の固定糸18の外径とを異ならせる必要もなく、したがって、釣糸ガイド7の外観(特に背面側(反固定側)から見た外観)に悪影響を及ぼすこともない。
また、本実施形態では、上糸巻回層30と下糸巻回層40とが共通の1本の固定糸18によって形成されるとともに、固定側S1では、釣竿1の軸方向に沿って下糸巻回層40の巻回部40A,40B,40Cと上糸巻回層30の巻回部30A,30B,30C,30Dとが交互に配置されている。このような構成によれば、上糸巻回層30及び下糸巻回層40のそれぞれの巻回部同士の隙間cが必然的に且つ効率的に形成されるため、作業性が良いとともに、上糸巻回層30と下糸巻回層40とを同じ1本の糸で構成しているため、前述した特許文献1のように糸の掛け替えも不要となり、固定作業全体の工程数を減らすこともできる(固定作業が容易となる)。
また、本実施形態の釣糸ガイド7は、リング保持部15と脚部16との間に屈曲部17を有し、屈曲部17に最も近い下糸巻回層40の巻回部40Cにおける固定糸18の巻回数が、それ以外の巻回部40A,40Bにおける固定糸18の巻回数よりも多くなっている。このような構成によれば、屈曲部17に最も近い下糸巻回層40の巻回部40Cで固着強度を増大させて屈曲部17付近の上糸巻回層30の部位での破壊を防止できる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る釣糸ガイドの固定構造を示している。図示のように、この実施形態に係る釣糸ガイド7の固定構造も、第1の実施形態と同様に、固定糸18が脚部16の外面上と釣竿1の外周面上とにわたって巻回されて成る上糸巻回層30(巻回部30A,30B,30C,30D;巻回部の数はこれに限らない)と、固定糸18が脚部16と釣竿1との間を通るように釣竿1の外周面上にわたって巻回されて成る下糸巻回層40(この図では、第1の実施形態よりも2つ多い巻回部40A,40B,40C,40D,40E;巻回部の数はこれに限らない)とを有している。そして、同様に、上糸巻回層30及び下糸巻回層40にはそれぞれ、固定側S1で固定糸18の巻回部同士の間に隙間cが形成されている。
しかしながら、本実施形態の釣糸ガイド7の固定構造は、上糸巻回層30と下糸巻回層40とが別糸によって形成されている点が第1の実施形態と異なる。これらの巻回層30,40が別糸により形成されていることから、反固定側S2では下糸巻回層40の密巻き部40’上に上糸巻回層30の密巻き部30’が積層された状態となっている。この場合、固定側S1における下糸巻回層40の延在長さX1は、隙間cを伴う分だけ、反固定側S2における下糸巻回層40の密巻き部40’の延在長さX2よりも長くなっている。同様に、固定側S1における上糸巻回層30の延在長さY1は、隙間cを伴う分だけ、反固定側S2における上糸巻回層30の密巻き部30’の延在長さY2よりも長くなっている。
このような本実施形態の釣糸ガイド固定構造においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以上、添付図面に関連して本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述の実施形態では、釣糸ガイドが1つの脚部を有していたが、脚部の数が複数であっても構わない。その場合には、各脚部に対してそれぞれ前述した固定構造を適用できる。また、固定糸の巻回数、巻回部の数なども前述した実施形態のそれに限定されない。
1 釣竿
7 釣糸ガイド
15 リング保持部
16 脚部
18 固定糸
20 ガイドリング
30 上糸巻回層
30A,30B,30C,30D 巻回部
40 下糸巻回層
40A,40B,40C,40D,40E 巻回部
c 隙間
30’,40’,50 密巻き部
7 釣糸ガイド
15 リング保持部
16 脚部
18 固定糸
20 ガイドリング
30 上糸巻回層
30A,30B,30C,30D 巻回部
40 下糸巻回層
40A,40B,40C,40D,40E 巻回部
c 隙間
30’,40’,50 密巻き部
Claims (4)
- 釣糸を挿通して案内するガイドリングを保持するリング保持部と、リング保持部から延びて釣竿の外表面に固定される脚部とを有する釣糸ガイドの固定構造において、
固定糸が前記脚部の外面上と前記釣竿の外周面上とにわたって巻回されて成る上糸巻回層と、固定糸が前記脚部と前記釣竿との間を通るように前記釣竿の外周面上にわたって巻回されて成る下糸巻回層とを有し、前記上糸巻回層及び前記下糸巻回層にはそれぞれ、前記脚部が固定される固定側で固定糸の巻回部同士の間に隙間が形成されるとともに、前記釣竿の長手中心軸に対して前記固定側とは反対の反固定側で固定糸が密に巻回される密巻き部が形成されることを特徴とする釣糸ガイドの固定構造。 - 前記上糸巻回層と前記下糸巻回層とが共通の1本の固定糸によって形成され、前記固定側では、前記釣竿の軸方向に沿って前記下糸巻回層の巻回部と前記上糸巻回層の巻回部とが交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の釣糸ガイドの固定構造。
- 前記リング保持部と前記脚部との間に屈曲部を有し、前記屈曲部に最も近い前記下糸巻回層の巻回部における固定糸の巻回数は、それ以外の巻回部における固定糸の巻回数よりも多いことを特徴とする請求項2に記載の釣糸ガイドの固定構造。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の釣糸ガイドの固定構造を有する釣竿。
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