JP2020162423A - プロセスチーズ類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カビにより熟成されたナチュラルチーズを含有し、製造時の充填適性が良好なプロセスチーズ類の製造方法を提供すること。【解決手段】 カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、原料組成物を調製する第1溶融工程と、前記原料組成物及びナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して溶融チーズを調製する第2溶融工程と、を含む、プロセスチーズ類の製造方法。【選択図】なし

Description

本技術は、プロセスチーズ類の製造方法に関する。より詳しくは、カビにより熟成されたナチュラルチーズを用いたプロセスチーズ類の製造方法に関する。
プロセスチーズ類は、一般的に、1種又は2種以上のナチュラルチーズに、水、溶融塩などを配合して加熱溶融し、乳化した後、所定の形状に成形して冷却、固化することにより製造される。成形前の溶融物の粘度が高すぎたり低すぎたりすると、製造ラインでの輸送や充填などに支障をきたす場合があるため、プロセスチーズ類を製造する際には原料の配合を工夫するなどにより溶融物の粘度を調整する必要がある。
例えば、特許文献1には、プレクックドチーズを含有するプロセスチーズ類を製造するにあたり溶融塩及び乳化剤を原料に添加することで、加熱溶融時の粘度上昇を抑制する技術が記載されている。特許文献2には、プロセスチーズ類の製造において、溶融塩とHLBが3以上12以下の乳化剤とを配合する技術が記載されている。これにより、乳化後において80℃の粘度が300dPa・s以下であり、製造適性を有するプロセスチーズ類が得られる旨が開示されている。
特開平9−154486号公報 特開2017−225420号公報
ところで、カビにより熟成されたナチュラルチーズは、カビが産生する酵素や代謝産物の働きによって醸し出される独特の風味が人気のチーズであるが、プロセスチーズほど日持ちがしない。そこで、カビにより熟成されたナチュラルチーズの風味を有するプロセスチーズが開発され、現在は市販品が流通している。しかしながら、当該市販品の多くはチーズを粉末状に加工したパウダーや香料などを用いて風味を出していると考えられ、風味に改善の余地があった。本発明者は、従来品の風味を改善すべく、カビにより熟成されたナチュラルチーズ自体を原料として配合したプロセスチーズ類の製造を試みた。これにより、風味は改善可能であるものの、充填適性が低下するという問題、すなわち、充填機を用いて溶融物を容器に連続充填する際に充填機のノズルから糸曳きが発生したり、溶融物が容器外にはみ出す等の問題が発生し、充填製造が困難になるという問題があった。
そこで、本技術は、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含有し、製造時の充填適性が良好なプロセスチーズ類の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、全ての原料を一度に加熱溶融するのではなく、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融して原料組成物を調製する第1溶融工程と、原料組成物を含む原料を加熱溶融する第2溶融工程と、の2段階に分けることで、充填適性が良好なプロセスチーズ類が得られることを見出し、本技術を完成させるに至った。
すなわち、本技術は、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、原料組成物を調製する第1溶融工程と、前記原料組成物及びナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、溶融チーズを調製する第2溶融工程と、を含む、プロセスチーズ類の製造方法を提供する。
前記溶融チーズは、80℃における粘度が5000mPa・s以上であってもよい。
前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、軟質チーズを含んでもよい。
前記軟質チーズは、クリームチーズ、カッテージチーズ、マスカルポーネ、クワルク、フロマージュ・ブラン、フィオレッロ、フェタ、リコッタ、モッツァレラ、ブルソー、ブルサン、サン・マルセラン、ブリア・サヴァラン及びプティ・スイスからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
前記溶融チーズは、前記軟質チーズを10〜55質量%含んでもよい。
前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、半硬質チーズ及び/又は硬質チーズを含んでもよい。
前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズと、前記原料組成物の質量比(第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズ/原料組成物)が2〜30であってもよい。
前記カビにより熟成されたナチュラルチーズは、白カビにより熟成されたナチュラルチーズであってもよい。
前記白カビにより熟成されたナチュラルチーズは、牛乳が主原料であってもよい。
前記プロセスチーズ類の製造方法は、前記溶融チーズを容器に充填する充填工程を含んでもよい。
前記プロセスチーズ類は、ポーションタイプのプロセスチーズ類であってもよい。
本技術によれば、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含有しつつ、製造時の充填適性が良好なプロセスチーズ類を製造することができる。なお、本技術により奏される効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
本明細書において「プロセスチーズ類」とは、日本の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)及び公正競争規約で定めるプロセスチーズ、チーズフード又は乳等を主要原料とする食品の規格のうちいずれかに該当するものであって、一般にプロセスチーズ類又はプロセスチーズ様食品とされるものをすべて包含する。
本技術に係るプロセスチーズ類の製造方法は、第1溶融工程及び第2溶融工程を含むことを特徴とする。以下、それぞれの工程について、原料及び製造手順を説明する。
<I.プロセスチーズ類の製造方法>
[1.第1溶融工程]
第1溶融工程は、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、原料組成物を調製する工程である。
(1)原料
(A)カビにより熟成されたナチュラルチーズ
第1溶融工程で用いられるカビにより熟成されたナチュラルチーズは、公知のものであればよく特に限定されないが、例えば、白カビにより熟成されたナチュラルチーズ及び青カビにより熟成されたナチュラルチーズが挙げられる。白カビにより熟成されたナチュラルチーズとしては、例えば、カマンベール、ブリーなどの牛乳を主原料とするチーズと、ヴァランセ、サントモールなどの山羊乳を主原料とするチーズが挙げられる。青カビにより熟成されたナチュラルチーズとしては、例えば、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、ロックフォールなどが挙げられる。これらの中でも、風味の観点から、好ましくは白カビにより熟成されたナチュラルチーズであり、より好ましくは牛乳が主原料である白カビにより熟成されたナチュラルチーズであり、さらに好ましくはカマンベールチーズである。
第1溶融工程において調製される原料組成物は、カビにより熟成されたナチュラルチーズを5質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。このような範囲とすることで、カビにより熟成されたナチュラルチーズの風味が良好に感じられるプロセスチーズ類が得られうる。
(B)その他原料
第1溶融工程では、上記ナチュラルチーズを加熱する際に溶融塩を使用してもよい。すなわち、上記原料組成物は溶融塩を含んでいてもよく、該溶融塩は、チーズの分野において公知の溶融塩であればよい。溶融塩としては、例えば、ナチュラルチーズを加熱溶融する際に一般的に用いられるものを使用することができる。具体的には、例えば、クエン酸三ナトリウムなどのクエン酸塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどのオルソリン酸ナトリウム;ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどの縮合リン酸塩などが挙げられる。溶融塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
原料組成物は、溶融塩を0.01〜5質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.1〜4質量%である。0.1質量%以上とすることでチーズの溶融性が向上し、4質量%以下とすることで溶融塩の過剰添加による風味低下を抑制することができる。
上記原料組成物は、水を含んでいてもよい。原料組成物の調製において用いられる水の量は、特に限定されず、第2溶融工程における原料組成物の取り扱い易さなどを考慮して適宜設定されればよい。
第1溶融工程では、上記以外に、プロセスチーズ類の製造に用いられる公知の原料、例えば、調味料、増粘安定剤、日持ち向上剤、乳化剤、pH調整剤、保存料、香料などを、本技術の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
調味料としては、食塩、糖質類、香辛料などが挙げられる。増粘安定剤としては、寒天、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガムなどが挙げられる。日持ち向上剤としては、グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、ローズマリー抽出物などが挙げられる。乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類などが挙げられる。pH調整剤としては、重曹、乳酸などが挙げられる。保存料としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイシンなどが挙げられる。
(2)製造手順
第1溶融工程では、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化する。具体的には、例えば、カビにより熟成されたナチュラルチーズをカッターなどで粉砕し、溶融塩、水などの他の原料とともにミキサーなどで混合する。その後、乳化機を用いて原料を加熱溶融し、乳化すればよい。乳化機としては、例えば、閉式乳化釜、水平型チーズクッカー、高速乳化釜、直接加熱式連続乳化機(ショックステリライザー)、間接加熱式連続乳化機(コンビネーター、ボテーター)などの公知の乳化装置を用いることができる。また、加熱殺菌専用の装置と乳化専用の装置とを組み合わせた装置を使用してもよい。加熱溶融及び乳化の条件は特に限定されず、例えば、70〜100℃の温度で撹拌しながら溶融し、乳化させればよい。
上記手順により調製された原料組成物は、後述する第2溶融工程で使用される。原料組成物は、調製後直ちに第2溶融工程に供されてもよいが、一時保存された後に第2溶融工程に供されてもよい。原料組成物を保存する場合、保存性を高めるために冷蔵で保存することが好ましく、例えば0〜10℃で保存する。
[2.第2溶融工程]
第2溶融工程は、上記原料組成物及びナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、溶融チーズを調製する工程である。上記溶融チーズは、80℃における粘度が5000mPa・s以上であることが好ましい。
(1)原料
(A)原料組成物
第2溶融工程で用いられる原料組成物は、第1溶融工程で調製されたものである。第2溶融工程において調製される溶融チーズは、原料組成物を1〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。このような範囲とすることで、溶融チーズを充填により適した粘度に調整することができ、また、カビにより熟成されたナチュラルチーズの風味が良好に感じられ、滑らかで口どけのよいプロセスチーズ類が得られうる。
(B)ナチュラルチーズ
第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、公知のものであればよく特に限定されない。ナチュラルチーズは、チーズから脂肪を除いた重量中の水分含量(MFFB)に基づいて、軟質チーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ及び特別硬質チーズに分類されるが、これらのうちのいずれのナチュラルチーズを使用してもよい。
軟質チーズとしては、例えば、クリームチーズ、カッテージチーズ、マスカルポーネ、クワルク、フロマージュ・ブラン、フィオレッロ、フェタ、リコッタ、モッツァレラ、ブルソー、ブルサン、サン・マルセラン、ブリア・サヴァラン及びプティ・スイスからなる群より選択される1種又は複数のナチュラルチーズを使用することができる。軟質チーズを用いることで、滑らかさと口どけが良好なプロセスチーズ類が得られうる。すなわち、良好な滑らかさと口どけを有するプロセスチーズ類を得る観点から、本技術においては軟質チーズを用いることがより好ましく、クリームチーズを用いることがさらに好ましい。
半硬質チーズとしては、例えば、ゴーダ、カンタル、サムソー、マリボー及びエダム(ハードエダム)からなる群より選択される1種又は複数のナチュラルチーズを使用することができる。また、硬質チーズとしては、例えば、チェダー、パルメザン、パルミジャーノ・レッジャーノ、グラナ・パダーノ、ミモレット、エメンタール、グリュイエール、コンテ、ボーフォール及びプロボローネからなる群より選択される1種又は複数のナチュラルチーズを使用することができる。半硬質チーズ及び/又は硬質チーズは、軟質チーズと併用することにより、溶融チーズを充填に適した粘度に調整しやすくなる。これらの半硬質チーズ及び硬質チーズの中でも、充填適性と風味の観点からチェダーチーズ及び/又はゴーダチーズがより好ましく、チェダーチーズがさらに好ましい。
溶融チーズは、軟質チーズを10〜55質量%含むことが好ましい。プロセスチーズ類の滑らかさと口どけを向上させるためには、軟質チーズの含有量の下限を15質量%以上とすることがより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。充填適性を向上させるためには、軟質チーズの含有量の上限を60質量%以下とすることがより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
溶融チーズは、半硬質チーズ及び/又は硬質チーズを20〜70質量%含むことが好ましい。溶融チーズを充填により適した粘度に調整するためには、半硬質チーズ及び/又は硬質チーズの含有量の下限を30質量%以上とすることがより好ましい。プロセスチーズ類の滑らかさと口どけを向上させるためには、半硬質チーズ及び/又は硬質チーズの含有量の上限を60質量%以下とすることがより好ましく、55質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
充填適性とプロセスチーズ類の食感とのバランスを取る観点からは、溶融チーズに含まれる軟質チーズと半硬質チーズ及び硬質チーズとの質量比(軟質チーズ/半硬質チーズ及び硬質チーズ)は、0.01〜3.0であることが好ましく、0.1〜2.0がより好ましく、0.1〜1.5がさらに好ましい。このような質量比で配合することにより、充填に好適な粘度を確保しつつ、滑らかさと口どけがより良好なプロセスチーズ類を得ることができる。なお、半硬質チーズを使用し硬質チーズを使用しない場合、上記質量比は「軟質チーズ/半硬質チーズ」であり、硬質チーズを使用し半硬質チーズを使用しない場合、上記質量比は「軟質チーズ/硬質チーズ」である。
第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズと、上記原料組成物の質量比(第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズ/原料組成物)は、2〜30であることが好ましく、3〜15がより好ましい。このような質量比で配合することにより、溶融チーズを充填により適した粘度に調整し、充填適性を向上させることができる。
第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、カビにより熟成されたナチュラルチーズを含んでもよい。しかしながら、第2溶融工程の製造設備に死滅していないカビを持ち込むことになるため、製造設備が汚染される可能性をより低減するためには、繁殖可能なカビが付着したナチュラルチーズを第2溶融工程で用いないことが好ましい。一方で、汚染可能性を低減しつつ、カビにより熟成されたナチュラルチーズの風味がより強いプロセスチーズ類を得たい場合には、例えば、カビにより熟成されたナチュラルチーズを粉末状に加工したパウダーを第2溶融工程で配合してもよい。当該パウダーは、一般的に、加工過程において殺菌されているため、第2溶融工程に繁殖可能なカビを持ち込むおそれがない。
本技術では、上述したように、第1溶融工程においてカビにより熟成されたナチュラルチーズを用いる。第2溶融工程の製造設備に死滅していないカビが混入することを防止するため、第1溶融工程と第2溶融工程とで製造設備を物理的に隔離することが好ましい。例えば、それぞれの工程を別の工場で実施したり、同一工場内の別室にて実施したりすればよい。
(C)その他原料
第2溶融工程では、加熱溶融のために溶融塩を用いることができる。溶融塩の種類は、第1溶融工程で説明した溶融塩と同様であるため、ここでは説明を省略する。溶融塩の含有量は、溶融チーズ中0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましい。0.1質量%以上とすることでチーズの溶融性が向上し、4質量%以下とすることで、溶融塩の過剰添加による風味低下を抑制することができる。
第2溶融工程では、水を添加することができる。溶融チーズの調製において用いられる水の量は、特に限定されず、目的とするプロセスチーズ類の水分量に応じて適宜設定されればよい。
第2溶融工程では、上記以外の原料を本技術の効果を損なわない範囲で使用してもよい。詳細は、第1溶融工程で説明した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(2)製造手順
第2溶融工程では、上記原料組成物及びナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化することで、溶融チーズを調製する。具体的には、例えば、原料をミキサーなどで混合した後、乳化機を用いて原料を加熱溶融し、乳化すればよい。加熱溶融及び乳化の条件は特に限定されず、例えば、70〜100℃の温度で撹拌しながら溶融し、乳化させればよい。
第2溶融工程で調製される溶融チーズは、80℃における粘度が5000mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは6000mPa・s以上であり、さらに好ましくは8000mPa・s以上である。このような粘度の溶融チーズは、充填適性が良好である。80℃における粘度の上限は、好ましくは30000mPa・s以下であり、より好ましくは20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは15000mPa・s以下である。粘度の上限をこのような範囲とすることで、得られるプロセスチーズ類の滑らかさと口どけが向上する。溶融チーズの粘度は、食品分野で通常用いられている粘度測定機を用いて測定することができ、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明者は、本技術を完成させるにあたり、第1溶融工程及び第2溶融工程で使用される原料を全て一時に加熱溶融し乳化しても、充填に適した粘度の溶融チーズを得ることができないことを確認した。つまり、本技術の特徴は、上述したように第1溶融工程と第2溶融工程に分けて原料を加熱溶融することにある。
[3.充填工程]
本技術により得られるプロセスチーズ類は、製造のしやすさ、保存性の高さ、喫食のしやすさなどの観点から、定量で分割されたポーションタイプであることが好ましい。このため、本技術の製造方法は、第2溶融工程で調製された溶融チーズを容器に充填する充填工程を含むことが好ましい。充填工程では、例えば、充填機を用いて溶融チーズを充填機のノズルから吐出して容器に充填する。充填工程で用いられる容器は、限定されないが、アルミ箔で形成されたポーション容器であることが好ましい。
[4.冷却工程]
本技術の製造方法は、充填工程後、容器を冷却して溶融チーズを固化させる冷却工程を含むことが好ましい。これにより、容器の形状に成形されたポーションタイプのプロセスチーズ類が得られる。冷却の温度及び時間は特に限定されず、溶融チーズが固化する条件であればよい。冷却工程後、得られたプロセスチーズ類を冷蔵保存する工程を設けてもよい。
<II.プロセスチーズ類>
本技術のプロセスチーズ類は、上記製造方法により得られるものである。プロセスチーズ類の形状は、特に限定されないが、ポーションタイプであることが好ましい。
本技術のプロセスチーズ類は、破断強度試験における最大荷重が0.5〜8.0Nであることが好ましく、より好ましくは1.0〜7.0N、さらに好ましくは2.0〜6.0Nである。上記破断強度試験は、本技術のプロセスチーズ類を厚さ10mmに成形した試験体に対して、クリープメーター(RE2−33005C、株式会社山電社製)で直径8mmの円柱型プランジャーを1.0mm/sの速度で押し込むことにより実施する。最大荷重は、上記破断強度試験において試験体を2.5mmまで圧縮した際の圧力であり、数値が大きいほど硬いプロセスチーズ類であることを意味する。本技術のプロセスチーズ類は、最大荷重が大きいほど充填適性が良好になる傾向が見られるが、最大荷重が過度に大きいと充填適性に劣る場合がある。また、最大荷重が小さいほど軟らかく好ましい食感となるが、最大荷重が過度に小さいと充填適性に劣る場合がある。このため、充填製造を可能にしつつ、軟らかな食感のプロセスチーズ類を得るためには、最大荷重を0.5〜8.0Nの範囲とすることが好ましい。
本技術のプロセスチーズ類は、水分含有量が40〜60質量%であることが好ましく、43〜57質量%がより好ましく、45〜55質量%がさらに好ましい。水分含有量の値は、常圧加熱・乾燥助剤法により測定した値である。試料の採取量を3gとし、乾燥温度105℃で乾燥させて恒量(乾燥後の質量)を得て、下記式によって水分含有量(単位:質量%)を求めることができる。
水分含有量={(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量}×100
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<プロセスチーズの製造>
[第1溶融工程]
カマンベールチーズ700g、ポリリン酸ナトリウム25g及び水30gを高速乳化釜に投入し、1500rpmで攪拌し加熱水蒸気を注入しながら90℃まで加熱し、1分間保持することにより、原料組成物を調製した。
[第2溶融工程]
下記表1に示す配合の原料を高速乳化釜に投入し、700rpmで攪拌し加熱水蒸気を注入しながら87℃まで加熱して、1分間保持することにより溶融チーズを調製した。
[充填工程及び冷却工程]
充填機を用いて、アルミ箔で形成された複数のポーション容器に溶融チーズを連続充填した後、5℃で冷却し、ポーションタイプのプロセスチーズを得た。
<溶融チーズの粘度の測定>
第2溶融工程で得られた溶融チーズの粘度は、粘度計(ビスコテスタVT−06、リオン株式会社製)により測定した。具体的には、80℃の溶融チーズを1号ローター(リオン株式会社製)を用いて測定した。
<プロセスチーズの水分含有量の測定>
プロセスチーズの水分含有量は、常圧加熱・乾燥助剤法により測定した。試料の採取量を3gとし、乾燥温度105℃で乾燥させて恒量(乾燥後の質量)を得て、下記式によって水分含有量(単位:質量%)を求めた。
水分含有量={(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量}×100
<破断強度試験>
プロセスチーズを厚さ10mmに成形して、試験体を用意した。当該試験体を用いて、以下の手順で破断強度試験を実施し、最大荷重(単位:N)を測定した。
クリープメーター(RE2−33005C、株式会社山電社製)で直径8mmの円柱型プランジャーを1.0mm/sの速度で押し込むことにより、破断強度試験を実施した。最大荷重は、上記破断強度試験において試験体を2.5mmまで圧縮した際の圧力とした。
<官能評価>
少なくとも2年以上の製品開発経験を有し、定期的な製品の官能評価試験を通じて評価基準の摺合せを実施している評価者(パネル)10名がプロセスチーズの食感の官能評価を行った。具体的には、以下の基準にしたがって、滑らかさと口どけを5段階で評価した。
[滑らかさ]
5:滑らか
4:やや滑らか
3:どちらでもない
2:やや滑らかではない
1:滑らかではない
[口どけ]
5:良い
4:やや良い
3:どちらでもない
2:やや悪い
1:悪い
結果を下記表1に示す。表1において、官能評価の結果は10名のパネルが付与した評価点の平均点である。各パネルの個別の評価点は、下記表2に示す。
例1〜4は、ポーション容器に溶融チーズを連続充填する際に、充填機のノズルからの糸曳きや溶融チーズの容器外へのはみ出しが発生せず、充填適性が良好であった。これらの結果から、本技術の製造方法によれば充填適性が良好なプロセスチーズ類が得られることが確認された。一方、例5については、溶融チーズの粘度が2900mPa・sとやや低く、軟らかいために充填時に容器からのはみ出しが若干発生した。
例1〜5は、軟質チーズ(クリームチーズ)と硬質チーズ(チェダーチーズ)の配合量が異なっている。その中でも例3及び4は充填適性と食感のバランスが特に良好であった。充填適性に加えてプロセスチーズ類の食感(滑らかさ及び口どけ)を向上させるためには、第2溶融工程で使用する軟質チーズ及び硬質チーズの量を調整することが好ましいことが示唆された。
<比較例>
上記例4と同様の配合で、溶融工程を2つに分けずに、全ての原料を一度に高速乳化釜に投入し、700rpmで攪拌し加熱水蒸気を注入しながら87℃まで加熱して、1分間保持することにより溶融チーズを調製した。該溶融チーズは、軟らかいために充填時に容器からのはみ出しが発生し、求められる充填適性を有していなかった。

Claims (11)

  1. カビにより熟成されたナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、原料組成物を調製する第1溶融工程と、
    前記原料組成物及びナチュラルチーズを含む原料を加熱溶融し、乳化して、溶融チーズを調製する第2溶融工程と、
    を含む、プロセスチーズ類の製造方法。
  2. 前記溶融チーズは、80℃における粘度が5000mPa・s以上である、請求項1に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  3. 前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、軟質チーズを含む、請求項1又は2に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  4. 前記軟質チーズは、クリームチーズ、カッテージチーズ、マスカルポーネ、クワルク、フロマージュ・ブラン、フィオレッロ、フェタ、リコッタ、モッツァレラ、ブルソー、ブルサン、サン・マルセラン、ブリア・サヴァラン及びプティ・スイスからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  5. 前記溶融チーズは、前記軟質チーズを10〜55質量%含む、請求項3又は4に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  6. 前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズは、半硬質チーズ及び/又は硬質チーズを含む、請求項3から5のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  7. 前記第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズと、前記原料組成物の質量比(第2溶融工程で用いられるナチュラルチーズ/原料組成物)が2〜30である、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  8. 前記カビにより熟成されたナチュラルチーズは、白カビにより熟成されたナチュラルチーズである、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  9. 前記白カビにより熟成されたナチュラルチーズは、牛乳が主原料である、請求項8に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  10. 前記溶融チーズを容器に充填する充填工程を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  11. 前記プロセスチーズ類は、ポーションタイプのプロセスチーズ類である、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
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