JP2020157732A - 塗装物 - Google Patents
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Abstract
Description
このような塗装により模様を表出させた塗装物としては、例えば、特許文献1、2に記載されている。
特許文献1記載の塗装物は、素材の表面に塗装された着色ベース塗料層と、着色塗料を斑点状に塗装した多彩模様層とを備えて構成されている。ここで、着色ベース塗料層は、斑点模様層と共色、具体的には、着色ベース塗料層の色調が斑点模様層に比べて淡色なものとされている。
また、特許文献2には、金属やガラス等の表面に、透明な塗料を塗布した上で高粘度の塗料をスプレーガンで強制的に吹き付けて、細かな線と点が混ざった不規則な模様付けを行った塗装物が示されている。
しかしながら、この塗装物にあっては、着色ベース塗料層にライトグレーやライトブラウン等の色を用いる一方、着色多彩模様層にホワイト、アイボリー、グレー、ダークグレー等の色を用いて上述の淡色となる関係を満たす共色としているだけのものである。そのため、斑点模様と、斑点間の着色ベース塗料層との見え方に相違が見られることにはなるが、全体としての意匠性は単調なものとならざるを得ない。特許文献1のように、ベース塗料層と斑点模様とを共色にするとともに、斑点模様を透かして着色ベース塗料層を見えるようにしただけで、高質感を付与する奥行感や深み感を得るために十分なものとは言い難い。このような奥行感等は塗装物の厚み方向において認められるものであるため、基材をも含めて考察されるべきところ、特許文献1は係る考察を欠いたものとなっている。
本発明の目的は、奥行感や深み感を得ることのできる塗装物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、斑点模様が、被塗装物に溶け込むように見える高質感を伴う意匠性を付与することのできる塗装物を提供することにある。
前記被塗装物は、可視領域における全光線透過率が5〜50%である、という構成を採っている。全光線透過率が5%未満では被塗装物に斑点模様が貼り付いたように見え、奥行感、深み感が得られなくなる。また、50%を超えると隠蔽性が少なすぎて斑点模様が浮いたように見え、つまり、ガラス板に模様を付しただけのようになり、高い質感が得られない。なお、全光線透過率は、10%〜40%がより好ましい。
斑点模様の全光線透過率が50%を超えると、例えば、斑点模様と被塗装物との色差ΔEが10以下となる同系色の場合、斑点模様がよく見えない状態となって高質感が得られなくなる。
斑点模様の全光線透過率は、上記範囲の中でも10%〜40%がより好ましい。
図1に示されるように、模様付きの塗装物10は、板状の被塗装物11と、当該被塗装物11の表面に塗装された凸状の斑点模様12と、これら被塗装物11及び斑点模様12の表面に塗装された透明層14とを構成されている。なお、図1に示す塗装物の各層厚みは、明細書の理解を容易にする目的で示したものであり、実際の厚みは、以下に説明する数値の範囲内で決定されるものである。
人造大理石は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を染料や顔料によって着色するとともに、プラスチック材等を粉砕して様々な色、形状、大きさとされた粒体の他、人造大理石、天然石等を粉砕して得られる粒体、各種添加剤を配合することにより形成されている。熱硬化性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、熱硬化ビニルエステル樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
被塗装物11の好ましい板厚としては、1mm〜50mmのもの、さらに好ましくは3mm〜20mmが例示できる。
斑点模様12は、図示例では、凸部が一つずつ独立したものが示されているが、実際には、凸部が重なり合う場合や面方向につながる場合もある。また、斑点模様12は、2色以上の多色であってもよい。
なお、斑点模様12は、スプレーガンを用いて塗布することが好ましいものとされるが、これに限定されるものではなく、ローラー等を用いた他の塗装手段を用いることもできる。例えば、凸部に対応する多数の穴を備えたマスキングシートを被塗装物11上に配置し、塗料を含浸したローラーをシート上で転動させた後、当該シートを除去する方法等も採用できる。この場合には、斑点模様12の位置が共通化ないしは規格化された塗装物を提供でき、スプレー塗布に要求される熟練度を必要とすることはない。
斑点模様12の塗料の粘度は、アネスト岩田株式会社製の粘度カップNK−2にて滴下時間が9秒〜12秒になるように調整する。これにより、スプレーガンを用いて斑点模様12を塗布した際に、上記大きさ、高さを有する凸部を無理なく形成することができる。なお、凸部を大きく形成するためには12秒〜18秒に調整することが好ましい。
板厚10mmの人造大理石を#240のペーパー研磨で荒らしたものを被塗装物(基材)として用いた。その全光線透過率(Tt)を求めるために、以下の表1に示されるように、厚みt5mm成形品で、配合の異なる人造大理石サンプル6種を作成し、JIS−K7361−1に準拠した濁度計NDH−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、可視領域における全光線透過率を測定した。
スプレーガンのエア量を調整することで大きさ2mm2〜20mm2、高さ(厚み)は5μm〜70μmの斑点模様を形成した。この大きさの斑点模様は、カップ粘度を8秒〜18秒程度に調整して得ることができた。
表2に示されるように、塗装物の外観評価用に、被塗装物1〜6に全光線透過率(Tt)の異なる斑点模様を、上記塗料A及びBで塗装したサンプル36種と、斑点模様の全光線透過率を測定するために、厚さ0.2mmのPETフィルムに斑点模様の塗装条件を再現したテストピース36種とを同時に作成し、塗装物の外観評価と合わせて、JIS−K7361−1に準拠した濁度計NDH−2000(日本電色工業株式会社製)を用いて、可視領域における斑点模様の全光線透過率を測定した。
全光線透過率測定対象はPETフィルム+塗膜(斑点模様)。PETフィルムの全光線透過率は83.7%であった。
斑点模様の乾燥硬化後、カシュー株式会社製ストロンTXL No30 クリアーに、メジアン径が10〜50μmのガラスビーズを1重量部添加し、粘度10秒程度に調整してスプレーガンで塗装して透明層を形成した。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
また、上記に開示した塗装物の塗装条件すなわち材料、色、大きさ、厚み、高さなどは、任意に、或いは、それらの相互関係において変化し得るものであり、これらに関する上記の限定は、本発明の目的を達成することができるかぎり変更することを妨げない。
Claims (4)
- 光透過性を有する被塗装物の表面に、光透過性を有する斑点模様を備え、
前記被塗装物は、可視領域における全光線透過率が5〜50%であることを特徴とする塗装物。 - 前記斑点模様は、可視領域における全光線透過率が5〜50%であることを特徴とする請求項1記載の塗装物。
- 前記斑点模様の表面に透明層を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装物。
- 前記塗装物は、キッチン、浴室、洗面台、家具の天板、壁面材若しくは扉面材であることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の塗装物。
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