JP2020148477A - 熱分析装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、重量検出器が加熱炉からの熱影響を受けて検出精度が低下するという問題がある。そこで、重量検出器をヒータで一定温度に保つ技術が開発されている(特許文献1)。
しかしながら、重量検出器の温調用の抵抗加熱式のヒータに通電電流が流れると磁界が生じ、重量検出器の検出にノイズとして影響を与えることが判明した。
を備えた熱分析装置であって、前記重量検出器を覆って配置され、6A以下の電流を通電する抵抗加熱式のヒータと、前記ヒータの通電状態を制御し、前記重量検出器を一定温度に保持するヒータ制御部と、をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、ヒータを通電電流が6A以下に設定することで、比較的低電流でヒータを加熱できるので、ヒータの回路に流れる電流に起因する磁場が低減する。これにより、この磁場が、レバーが水平になるように制御(コイルに流れる電流を測定)する際のノイズとなることを抑制し、測定精度をさらに向上させることができる。
ヒータによる重量検出器の加熱保持温度が50℃以下であれば、室温付近での重量測定も行えるからである。
通常、レバーは非磁性材料(例えばステンレス鋼)を用いて形成されるが、切削等の加工の影響で結晶構造が変化する等の理由によって、実際のレバーはわずかな磁性を帯びることがある。そこで、レバーが有する固有のTG信号ノイズ幅が0.2μg以下となるようにすると、レバー自身によるノイズを抑制し、重量検出器の測定精度をさらに向上させることができる。
これにより、加熱炉の熱が重量検出器側に伝わることを抑制し、重量検出器を一定温度により確実に保持して測定精度を向上させることができる。又、重量検出器をより低温で保持できるので、重量検出器を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
これにより、加熱炉の熱が重量検出器側に伝わることを抑制すると共に、開口から外気を重量検出器の周囲に出入させることができる。その結果、ヒータの加熱温度と、重量検出器の周囲温度との差を大きくし、ヒータにより重量検出器を一定温度により確実に保持できる。又、重量検出器をより低温で保持できるので、重量検出器を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
これにより、接続部の少なくとも一部が露出するので、接続部を放冷し易く、加熱炉の熱が接続部を介して重量検出器側に伝わることを抑制できる。その結果、重量検出器を一定温度により確実に保持して測定精度を向上させることができる。又、重量検出器をより低温で保持できるので、重量検出器を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
これにより、接続部をより一層放冷することができる。
これにより、第1の開口部からファーナスチューブを介して熱分析中の試料の変化を観察することができる。
これにより、加熱炉カバーを覆った状態であっても、第2の開口部および第1の開口部からファーナスチューブを介して熱分析中の試料の変化を観察することができる。
図1は本発明の実施形態に係る熱分析装置100の構成を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
熱分析装置100は熱重量測定(TG)装置を構成し、筒状のファーナスチューブ9と、ファーナスチューブ9を外側から取り囲む筒状の加熱炉3と、ファーナスチューブ9の内部に配置されて試料S1、S2をそれぞれ保持する試料ホルダ(特許請求の範囲の「試料保持部」に相当)41,42と、第1の支持台12と、第1の支持台12の上面に載置された第2の支持台14と、ファーナスチューブ9の軸方向Oの後端部9dに接続される測定室30と、測定室30内に配置されて試料S1、S2の重量変化を測定する重量検出器32と、第1の支持台12及び測定室30を自身の上面に載置する基台10と、を備えている。
さらに、加熱炉3を覆う加熱炉カバー62と、重量検出器を覆う重量検出器カバー64が設けられている。
又、第2の支持台14は、例えば第1の支持台12に埋設されたリニアアクチュエータ24等によって第1の支持台12に対して軸方向Oに進退可能になっている。
外筒3aに適宜調整孔(図示せず)を設けて加熱炉3の温度調整を行うこともできる。
又、ファーナスチューブ9は透明材料により形成され、試料S1、S2をファーナスチューブ9の外側から観察可能である。ここで、透明材料とは、可視光を所定の光透過率で透過する材料であり、半透明材料も含む。又、透明材料としては石英ガラス又はサファイアガラスを好適に用いることができる。
但し、ファーナスチューブ9が非透明の例えばセラミック等から形成されてもよい。
具体的には、制御部80は加熱炉ヒータ3bを通電制御し、所定の加熱パターンでファーナスチューブ9(各試料ホルダ41、42)を加熱すると共に、そのときの試料S1、S2の温度変化及び重量変化を重量検出器32から取得する。
又、制御部80はヒータ52a、52bを通電制御し、重量検出器32を一定温度に保持する。
又、制御部80はリニアアクチュエータ22,24の動作を制御して、後述する測定位置、試料セット位置、及び試料観察位置に加熱炉3及びファーナスチューブ9を移動させる。
制御部80が特許請求の範囲の「ヒータ制御部」に相当する。
又、図4に示すように、加熱炉カバー62の後端面は開口して空気取入口62aを形成している。
図2に示すように、加熱炉カバー62は少なくとも軸方向Oに加熱炉3を覆うように延びている。そして、加熱炉カバー62の下端側が第2の支持台14に取り付けられ、第2の支持台14又は第1の支持台12が軸方向Oに進退すると共に、加熱炉カバー62も重量検出器カバー64に対して軸方向Oに進退する(図3参照)。
又、図4に示すように、重量検出器カバー64の後端面はルーバ状の開口64aを形成している。
図2に示すように、重量検出器カバー64は少なくとも軸方向Oに重量検出器32を覆うと共に、先端面64bが重量検出器32の先端側の外部空間(重量検出器カバー64の内面と断熱部材50の外面との間の空間)を閉塞している。
そして、加熱炉カバー62と重量検出器カバー64との間の間隙Gに、ベローズ34の少なくとも一部が露出している。さらに、この間隙Gに重なる基台10上に、送風用の第2のファン10fが設けられている。基台10における第2のファン10fが設置される部位は上下に貫通し、第2のファン10fは基台10の下方から空気を取り入れることができる。
なお、図3に示すように、制御部80を含むコンピュータが加熱炉カバー62と重量検出器カバー64とに接して配置されている。
図5の位置状態を試料セット位置と称する。
具体的には、図1に示す測定位置にて加熱炉3によって試料S1、S2を加熱した後、ファーナスチューブ9内に載置された熱分析中の試料S1、S2を観察することができる。つまり、加熱炉3の外側の加熱炉カバー62の第1の開口部W1の直下に露出したファーナスチューブ9の上方に撮像手段(例えば、カメラ、光学顕微鏡等)90を配置し、熱分析中の試料S1、S2を観察できる。
まず、ヒータ52a、52bを通電して一定温度になるように(周囲温度よりも)加熱することで、重量検出器32を一定温度に保持することができ、測定精度を向上させることができる。
さらに、ヒータ52a、52bを通電電流が6A以下に設定することで、比較的低電流でヒータ52a、52bを加熱できるので、ヒータ52a、52bの回路に流れる電流に起因する磁場が低減する。これにより、この磁場が、天秤アーム43、44が水平になるようにコイル32aに流れる電流を測定する際のノイズとなることを抑制し、測定精度をさらに向上させることができる。
直流又は交流にかかわらず、ヒータ52a、52bを通電電流が6A以下であると好ましく、5A以下がより好ましい。通電電流が小さい程、当該電流により発生した磁場も小さくなる。抵抗加熱の場合、目的の温度領域と電気容量の関係から交流電源が好適である。又、交流としては、例えば50Hz以上が例示される。
なお、ヒータの容量(W)=電圧(V)×電流(A)であるので、同じヒータ容量で電流値を小さくするためには電圧を大きくする交流が好ましい。
通常、天秤アーム43、44は非磁性材料(例えばステンレス鋼)を用いて形成されるが、切削等の加工の影響で結晶構造が変化する等の理由によって、実際の天秤アーム43、44はわずかな磁性を帯びることがある。
そこで、天秤アーム43、44が有する固有のTG信号ノイズ幅が0.2μg以下となるようにすると、天秤アーム43、44自身によるノイズを抑制し、重量検出器32の測定精度をさらに向上させることができる。
測定温度は室温、重量検出器32の温度は35℃、計測時間は4分間とし、その4分間で取得できたバックグラウンドの変動幅の個数のうち、時間的に中央の連続した10個の平均とする。例えば、4分間で15個取得した場合、時間的に1番、2番、又は1〜3番のデータを捨て、3〜12番、又は4〜13番のデータの平均とする。
これにより、加熱炉3の熱が重量検出器32側に伝わることを抑制し、重量検出器32を一定温度により確実に保持して測定精度を向上させることができる。又、重量検出器32をより低温で保持できるので、重量検出器32を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
これにより、先端面64bが加熱炉3の熱が重量検出器32側に伝わることを抑制すると共に、開口64aから外気F3を重量検出器32の周囲に出入させることができる。その結果、ヒータ52a、52bの加熱温度と、重量検出器32の周囲温度との差を大きくし、ヒータ52a、52bにより重量検出器32を一定温度により確実に保持できる。又、重量検出器32をより低温で保持できるので、重量検出器32を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
その結果、重量検出器32を一定温度により確実に保持して測定精度を向上させることができる。又、重量検出器32をより低温で保持できるので、重量検出器32を50℃以下に保持することを実現し易くなる。
特に、間隙Gからベローズ34に向かって気流F1を生じさせる第2のファン10fを設けると、ベローズ34をより一層放冷することができる。
なお、予め天秤アーム43、44を消磁してTG信号ノイズ幅を約0.15μgに抑えたものを使用した。ただし、7Aだと0.2μgを超え、これ以上の電流ではさらにノイズ幅の増加が予想された。さらに、7Aを超える電流では、天秤アーム以外の、例えば天秤コイル等が外部磁場の影響を受けたものと考えられる。」
交流電流の場合は、汎用的な単相100V、三相200Vなどの電源を鑑みれば、直流電流の場合と同じヒータ効率を得るための交流電流値が1/10程度となるため、生じる磁場の強さも相当に小さくなる。従って、TG信号ノイズ幅に対しては、直流電流を用いる場合に比して、交流電流を利用する方が好ましい。
上記実施形態では、加熱炉の内部にファーナスチューブを挿入し、ファーナスチューブの内部に試料保持部を配置したが、加熱炉の内部に直接試料保持部を配置してもよい。
また、第2のファン10fは、図2の場合は間隙Gの底部に配置されているが、側面部あるいは上面部でも良い。
ヒータの設置個数や設置位置も上記に限定されない。
3 加熱炉
10f 第2のファン
32 重量検出器
34 ベローズ(接続部)
41、42 試料保持部(試料ホルダ)
43、44 レバー(天秤アーム)
52a、52b ヒータ
62 加熱炉カバー
62f ファン
62a 加熱炉カバーの空気取入口
64 重量検出器カバー
64a 重量検出器カバーの開口
80 ヒータ制御部(制御部)
O 軸方向
S1、S2 試料
G 間隙
Claims (9)
- 軸方向に伸びる筒状の加熱炉と、
前記加熱炉の前記軸方向の後端側に配置され、前記軸方向に延びて重量を検出するレバーを備えた重量検出器と、
前記加熱炉と前記重量検出器との間を接続し、前記加熱炉の内部空間と前記重量検出器の内部空間とを連通させ、前記重量検出器から前記加熱炉の内部に向かって前記レバーを配置する接続部と、
前記レバーの先端に接続されて前記加熱炉の内部に配置され、試料を保持する試料保持部と、
を備えた熱分析装置であって、
前記重量検出器を覆って配置され、6A以下の電流を通電する抵抗加熱式のヒータと、
前記ヒータの通電状態を制御し、前記重量検出器を一定温度に保持するヒータ制御部と、をさらに備えたことを特徴とする熱分析装置。 - 前記ヒータ制御部は、前記重量検出器を50℃以下に保持することを特徴とする請求項1記載の熱分析装置。
- 前記熱分析装置で測定したTG曲線におけるバックグラウンドの変動幅を示す、前記レバーのTG信号ノイズ幅が0.2μg以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱分析装置。
- 少なくとも前記軸方向に前記加熱炉を覆うと共に、前記加熱炉の後端側に空気取入口を有する加熱炉カバーであって、該加熱炉カバーの内部に前記軸方向の後端から先端に向かう気流を生じさせるファンを前記空気取入口よりも前方に配置してなる加熱炉カバーをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱分析装置。
- 少なくとも前記軸方向に前記重量検出器を覆うと共に、前記重量検出器の先端側の外部空間を閉塞し、前記重量検出器の後端側に空気が出入する開口を有する重量検出器カバーをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱分析装置。
- 前記加熱炉カバーと、前記重量検出器カバーとの間に前記軸方向に間隙を有し、
当該間隙に前記接続部の少なくとも一部が露出してなる請求項4に従属する請求項5に記載の熱分析装置。 - 前記間隙から前記接続部に向かって気流を生じさせる第2のファンを所定位置に配置してなる請求項6に記載の熱分析装置。
- 前記加熱炉が、透明材料により筒状に形成され前記試料保持部を内部に配置したファーナスチューブと、当該加熱炉の内面を形成し前記ファーナスチューブを挿通させる円筒状の炉心管と、当該炉心管に外嵌された加熱炉ヒータと、両端に側壁を有し前記加熱炉ヒータを囲む円筒状の外筒と、を有し、
前記炉心管及び前記外筒のそれぞれには、前記ファーナスチューブを介して当該外筒外側から前記試料が観察可能なように連通する貫通口として設けられた第1の開口部を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱分析装置。 - 前記加熱炉カバーが、前記第1の開口部と貫通方向に重なる第2の開口部を有する請求項4に従属する請求項8に記載の熱分析装置。
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