JP3657365B2 - 熱機械的分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料を支持する支持管と、試料の変位量を観測する検出棒とを有し、試料を支持管に当接して、この試料の種々の温度における前記検出棒の変位量を観測することにより、前記試料の熱的性質を分析する熱機械的分析装置に関し、熱膨張計、熱機械分析装置、粘弾性測定装置等に適用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、一般的な熱膨張計を示す図である。
【0003】
図7において、棒状に形成された測定試料1及び標準試料2は、固定部に固定された支持管3に各々の一端が当接され、他端が検出棒4,5の一端部にそれぞれ当接されていて、ほぼ平行に支持されている。検出棒4,5の他端はビーム6,7に固定されている。2本のビーム6.7は、2本の連繋杆8,9によって連繋されている。すなわち、これら連繋杆8,9は一定の距離をおいて平行に配置され、それぞれの両端部がビーム6,7に回転自在に支持されている。また、連繋杆8,9のそれぞれの中点には検出棒4,5に平行に配置された支持杆10が回転自在に支持されている。さらに、支持杆10は2本の水平アーム11,12の一端に回転自在に取り付けられていて、水平アーム11,12の他端部は固定片13にそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0004】
そして、ビーム6,7には、測定試料1及び標準試料2の膨張の差を検出する変位検出手段14が取り付けられている。すなわち、第1のビーム6に、差動トランスコイル14aが取り付けられていて、第2のビーム7に差動トランスコア14bが取り付けられている。
【0005】
また、支持杆10の一端には、荷重印加手段15が取り付けられている。荷重印加手段15は、電磁コイル15aとマグネット15bとからなる。この電磁コイル15aに電流を流すことにより、測定試料1及び標準試料2の双方に同じ荷重を加えることができる。
【0006】
さらに、支持管3は、電気炉16に収容されていて、電気炉16によって測定試料1及び標準試料2を加熱できるようになっている。
【0007】
次に、図7に示した熱膨張計の試料1近傍の従来の構成を図8に示す。なお、図8において、図7との同一、対応部分には同一符号を付して示した。
【0008】
図8において、電気炉16には、電気炉制御用熱電対17が取り付けられていて、試料台18に乗せられた試料には、試料測温熱電対19が取り付けられている。
【0009】
このような熱膨張計において、従来は、電気炉16を長くしたり、電気炉16を3ゾーンに分割したりすることによって、電気炉内の温度分布の均一化を図り、試料内温度分布を均一にしようと試みられてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の方法では、試料1,2を支持する支持管3を介して熱のロスが発生して電気炉内温度分布が不均一になり、試料内温度分布も不均一になっていた。
【0011】
また、電気炉を長くしたり、電気炉16を3ゾーンに分割したりするには、多額の費用がかかっていた。
【0012】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、簡易且つ安価に、試料内温度分布を均一にすることができる熱機械的分析装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、試料を支持する支持管と、この支持管の内側に配置されて試料の変位量を観測する検出棒とを有し、試料を支持管に当接して、この試料の種々の温度における前記検出棒の変位量を観測することにより、前記試料の熱的性質を分析する熱機械的分析装置において、前記試料を加熱して前記試料の温度を調節する主温度調節手段と、前記支持管の内側または外側に配設された1つ又は複数の副温度調節手段と、前記主及び副温度調節手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記試料の温度を検出する主温度検出部と、前記副温度調節手段によって加熱された部分の温度を検出する1つ又は複数の副温度検出部とを備え、前記副温度検出部が検出した温度が、前記主温度検出部が検出した温度よりも高くなるように、前記主及び副温度調節手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の熱機械的分析装置において、前記副温度調節手段が前記支持管の温度を調節し、前記副温度検出部が前記副温度調節手段及び前記支持管の温度を検出することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1に記載の熱機械的分析装置において、前記副温度調節手段が前記検出棒の温度を調節し、前記副温度検出部が前記副温度調節手段及び前記検出棒の温度を検出することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0019】
本実施の形態に係る熱膨張計の概略構成は図7に示したものとほぼ同一であるのでその説明は省略する。本実施の形態の特徴的な部分は、熱膨張計の近傍の構成にあり、その詳細を図1に示す。なお、図1において、図7,8との同一、対応部分には同一符号を付して示した。
【0020】
本実施の形態の熱膨張計は、従来とは異なり、ミニヒータ20とミニヒータ制御熱電対21をさらに備えている。ミニヒータ20とミニヒータ制御熱電対21以外の他の部分は従来と同様であるのでその説明は省略する。
【0021】
ミニヒータ20は、支持管3の内側に、検出棒4を取り巻くように取り付けられていて、検出棒4等を加熱することにより、検出棒4等を介して熱が逃げるのを防止するものである。
【0022】
ミニヒータ制御熱電対21は、その先端がミニヒータ20と検出棒4の間に挿入されていて、ミニヒータ20によって加熱した部分の温度を検出できるようになっている。
【0023】
このような熱膨張計を以下に説明するように制御することによって、試料の内部の温度分布を均一にする。
【0024】
熱膨張計の制御方法として、まず、図2に示すように試料測温熱電対19によって測定した温度とミニヒータ制御熱電対21によって測定した温度とを等しくするように制御する方法を挙げることができる。つまり、ミニヒータ20によって加熱した部分の温度と測定試料1の温度とが等しくなるように温度制御を行う。なお、図2に示した制御回路はアンプ、差動アンプ、PID回路、ヒータパワー制御回路等からなるがその詳細は省略する。
【0025】
このように制御することによって、測定試料1の内部の温度分布をかなり均一にすることができることを発明者らの実験により確認できた。しかしながら、この方法は、支持管3を介して熱が逃げることを考慮していないので、発明者らはさらに以下の制御方法を試みた。
【0026】
つまり、図3に示すように、支持管3を介して熱が逃げることを考慮して、ミニヒータ制御熱電対21等からなる温度センサの出力から温度差分に相当するバイアスを差し引くことにより、ミニヒータ20で加熱した部分の温度が測定試料1の温度よりも若干高くなるように制御することで、測定試料1の内部の温度分布をより均一にすることができる。なお、図3に示した制御回路はアンプ、バイアス回路、合成アンプ、差動アンプ、PID回路、ヒータパワー制御回路等からなるがその詳細は省略する。
【0027】
また、図4に示すように、支持管3を介して熱が逃げることを考慮して、ミニヒータ制御熱電対21等からなる温度センサのアンプのゲインを、試料測温熱電対19等からなる温度センサのアンプのゲインよりも若干小さくすることにより、ミニヒータ20で加熱した部分の温度が測定試料1の温度よりも若干高くなるように制御することで測定試料1の内部の温度分布をより均一にすることができる。なお、図4に示した制御回路はアンプ、差動アンプ、PID回路、ヒータパワー制御回路等からなるがその詳細は省略する。
【0028】
発明者らの実験により、測定試料1内の温度分布は温度が高くなるにつれてほぼ比例的に大きくなることが分かった。従って、図4に示した制御方法がより有効だと考えられる。
【0029】
試料の一端を支持部に当接して、試料の他端側に検出体の一端を結合又は接触させ、この試料の種々の温度における前記検出体の変位量を観測することにより、前記試料の熱的性質を分析する熱機械的分析装置において、前記試料の温度を調節する第1の温度調節手段と、前記試料の近傍の温度を調節する第2の温度調節手段と、前記第1及び第2の温度調節手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記第1及び第2の温度調節手段を制御して、前記試料の内部の温度分布を均一化する。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、支持管3の内側にミニヒータ20を取り付けて、ミニヒータ20で加熱した部分の温度と測定試料1の温度とが等しくなるように、あるいはミニヒータ20で加熱した部分の温度が測定試料1の温度よりも若干高くなるようにミニヒータ20等を制御するようにしたので、検出棒4や支持管3等からの熱の逃げを抑えることができ、試料内部の温度分布をより均一にすることができる。
【0031】
本発明は上記実施の形態に限定される物ではなく、種々の変形を許容するものである。
【0032】
図5は、その他の実施の形態の熱膨張計の近傍の構成を示したものである。なお、図5において、図1,6,7との同一、対応部分には同一符号を付して示した。図5に示した熱膨張計は、図1に示した熱膨張計と同様に、ミニヒータ20とミニヒータ制御熱電対21を備えているが、図1に示した熱膨張計とは異なり、ミニヒータ20が、支持管3の外周部分を取り巻くように取り付けられていて、ミニヒータ制御熱電対21は、その先端がミニヒータ20と支持管3の間に挿入されている。このような熱膨張計を用いて、上記実施の形態と同様の温度制御を行うことにより、測定試料の内部の温度分布をより均一にすることができる。
【0033】
また、上記実施の形態では、測定試料の温度を測定するようにしたものを示したが、標準試料の温度を測定するようにして温度制御を行ってもよい。同様に、測定試料と標準試料の両方の温度を測定するようにして温度制御を行ってもよい。
【0034】
さらに、支持管の内側と外側の双方にミニヒータを備えて、温度制御を行うようにしてもよい。
【0035】
さらにまた、上記実施の形態では熱膨張計を例として挙げたが、本発明は、熱機械分析装置や粘弾性測定装置等の他の熱機械的分析装置にも同様に適用できる。
【0036】
図6は、本発明に係る粘弾性測定装置の概略構成を示したものである。図6に示した粘弾性測定装置は、電気炉16、ミニヒータ20、及び試料ホルダ22と加振機構23等からなり、試料1は2つの試料ホルダ22によって支持されている。2つの試料ホルダ22の周りにそれぞれミニヒータを取り付けて、試料1の両方向に熱が逃げるのを防止する。このように、複数のミニヒータを備えることにより、試料内部の温度分布をより均一にすることができる。
【0037】
さらにまた、上記実施の形態ではミニヒータによって試料近傍を加熱する例を示したが、試料を主冷却装置で冷却して、副冷却装置等で試料近傍を冷却するようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、試料を支持管に当接して、この試料の種々の温度における検出棒の変位量を観測することにより、試料の熱的性質を分析する熱機械的分析装置において、前記試料を加熱又は冷却して前記試料の温度を調節する主温度調節手段と、前記支持管の内側または外側に配設された1つ又は複数の副温度調節手段と、前記主及び副温度調節手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記試料の温度を検出する主温度検出部と、前記副温度調節手段によって加熱された部分の温度を検出する1つ又は複数の副温度検出部とを備え、前記副温度検出部が検出した温度が、前記主温度検出部が検出した温度よりも高くなるように、前記主及び副温度調節手段を制御するようにしたので、試料の内部の温度分布を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る熱膨張計の試料近傍の構成を示す図である。
【図2】実施の形態の第1の温度制御に係る回路図である。
【図3】実施の形態の第2の温度制御に係る回路図である。
【図4】実施の形態の第3の温度制御に係る回路図である。
【図5】その他の実施の形態に係る熱膨張計の試料近傍の構成を示す図である。
【図6】その他の実施の形態に係る粘弾性測定装置の構成を示す図である。
【図7】熱膨張計の概略構成を示す図である。
【図8】従来の熱膨張計の試料近傍の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 測定試料
2 標準試料
3 支持管
4,5 検出棒
14 変位検出手段
16 電気炉
17 電気炉制御用熱電対
19 試料測温熱電対
20 ミニヒータ
21 ミニヒータ制御熱電対

Claims (3)

  1. 試料を支持する支持管と、この支持管の内側に配置されて試料の変位量を観測する検出棒とを有し、試料を支持管に当接して、この試料の種々の温度における前記検出棒の変位量を観測することにより、前記試料の熱的性質を分析する熱機械的分析装置において、
    前記試料を加熱して前記試料の温度を調節する主温度調節手段と、
    前記支持管の内側または外側に配設された1つ又は複数の副温度調節手段と、
    前記主及び副温度調節手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記試料の温度を検出する主温度検出部と、前記副温度調節手段によって加熱された部分の温度を検出する1つ又は複数の副温度検出部とを備え、
    前記副温度検出部が検出した温度が、前記主温度検出部が検出した温度よりも高くなるように、前記主及び副温度調節手段を制御することを特徴とする熱機械的分析装置。
  2. 前記副温度調節手段が前記支持管の温度を調節し、前記副温度検出部が前記副温度調節手段及び前記支持管の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の熱機械的分析装置。
  3. 前記副温度調節手段が前記検出棒の温度を調節し、前記副温度検出部が前記副温度調節手段及び前記検出棒の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の熱機械的分析装置。
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