JP2759771B2 - 熱機械分析装置 - Google Patents

熱機械分析装置

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JP2759771B2 JP7044067A JP4406795A JP2759771B2 JP 2759771 B2 JP2759771 B2 JP 2759771B2 JP 7044067 A JP7044067 A JP 7044067A JP 4406795 A JP4406795 A JP 4406795A JP 2759771 B2 JP2759771 B2 JP 2759771B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、支持管内で加熱状態
に置かれた試料の力学的特性を分析する熱機械分析装置
(TMA)に関し、特に支持管内の所定位置に試料を配
置するための位置決め手段を備えた熱機械分析装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱機械分析装置の一般的な構成を図7に
示す。同図に示す装置は、示差型熱機械分析装置と呼ば
れているもので、耐熱性を有する有底円筒状の支持管1
の内底面2に基準試料Rと測定試料Sとを配置し、任意
の温度に加熱した状態において、測定試料Sの変形量を
検出することができる。
【0003】すなわち、支持管1内に配置した基準試料
Rおよび測定試料Sの上端に各々検出棒を当接する。測
定試料Sと当接する支持棒(測定側支持棒という)3に
は差動トランス4の磁石4aが連結してあり、一方、基
準試料Rと当接する支持棒(基準側支持棒という)5に
は同差動トランス4のコイル4bが連結してある。
【0004】基準試料Rおよび測定試料Sを配置した
後、支持管1の周囲に加熱炉7が移動配置され、この加
熱炉7からの熱によって支持管1内の基準試料Rおよび
測定試料Sを任意の温度に加熱する。温度上昇により測
定試料Sが膨張すると、その変形量に対応して測定側支
持棒3が上昇して差動トランス4の磁石4aを変位させ
る。この変位量に応じて同差動トランス4のコイル4b
に流れる制御電流が変化するため、その制御電流の変化
により測定試料Sの変形量を検出することができる。こ
こで、差動トランス4のコイル4bは、支持管1や基準
試料側支持棒5の膨張等、外的要因に基づく変形量を基
準試料側支持棒5から伝えられて変位する。したがっ
て、差動トランス4により検出される測定試料Sの変形
量は、誤差の原因となる外的要因に基づく変形量を差し
引いた値となり、高精度な検出データを得られる。
【0005】なお、基準試料側支持棒5には分銅5a等
の負荷手段が、また測定試料側支持棒3には電磁加重コ
イル6が連結してあり、各支持棒5,3に所要の加重を
付加するようにしてある。さらに、測定試料Sの内部や
基準試料Rの内部,あるいはそれら試料の周辺近傍の温
度を検出するために、支持管1の内底部には熱電対8が
設置できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】さて、熱機械分析装置
に要求される測定精度はきわめて高く、安定した加熱状
態のもとで測定試料Sの温度に対する変形量を正確に検
出しなければならない。すなわち、加熱炉7からの熱の
対流等を考慮すると、支持管1の中央部近くが最も安定
した加熱状態となっている。従って、上述のような示差
型熱機械分析装置ではなく、基準試料Rを用いず測定試
料Sのみの変形量を変形量検出用差動トランス4によっ
て検出し、これを検出値とする方式の熱機械分析装置
(全膨式熱機械分析装置)にあっては、測定試料Sを支
持管1の内底面中央に配置するのが好ましい。
【0007】また、上述した示差型熱機械分析装置にあ
っては、基準試料Rと測定試料Sの加熱条件を同じにし
て、外的要因による誤差がなければ同等の変形量となる
ようにする必要がある。このため、基準試料Rと測定試
料Sとを支持管1の中心に対して対称に配置するのが好
ましい。
【0008】このように、支持管1内には試料を配置す
べき位置(試料配置位置)が決まっている。しかしなが
ら、従来の熱機械分析装置には、試料配置位置へ正確に
試料を位置決めするための特別な手段を備えているもの
がなかった。したがって、従来は、支持管1の周壁に形
成した試料挿入窓9からピンセット等を用いて試料を挿
入し、目測によって試料配置位置に試料を配置していた
のが実情である。このため、試料の配置が不適当とな
り、測定精度に信頼性を欠くおそれがあった。
【0009】この発明はこのような実情に鑑みてなされ
たもので、支持管内に決められた所定の試料配置位置
に、試料を容易かつ正確に配置できるようにすることを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、耐熱性を有する支持管内の所定位置に試
料配置位置が決められており、該試料配置位置に配置し
た試料を加熱しながら該試料の力学的特性を分析する熱
機械分析装置において、支持管の周壁に形成した試料挿
入窓と、試料挿入窓から支持管の内部に挿脱自在な試料
配置ガイドと、試料配置ガイドを支持管に対して位置決
めするガイド位置決め手段と、試料配置ガイドに形成さ
れ、該試料配置ガイドを支持管に対し位置決めした状態
で、試料を支持管内の試料配置位置に位置決めする試料
位置決め手段とを備えている。
【0011】ここで、支持管の試料配置位置が内底面に
決められている場合は、試料位置決め手段を、試料の外
形に対応し、かつ許容できる位置決め誤差の範囲内で試
料の熱による変形および試料の挿脱を許容する隙間を有
して試料を嵌合する位置決め孔で構成し、この位置決め
孔を、支持管に対し位置決めした状態の試料配置ガイド
における、試料配置位置と対応する部位に形成すること
ができる。
【0012】
【作用】支持管の試料配置位置に試料を配置するには、
まず、試料配置ガイドを支持管の試料挿入窓から挿入
し、ガイド位置決め手段によって支持管に対する試料配
置ガイドの位置決めを行なう。次いで、試料挿入窓から
試料を支持管内に挿入するとともに、試料配置ガイドに
形成した試料位置決め手段を使って試料を支持管内の試
料配置位置に位置決めすればよい。
【0013】なお、試料配置ガイド上に試料を配置する
ことができる場合には、試料位置決め手段により規定さ
れる試料配置ガイドの所定位置にまず試料を配置してお
き、次いで該試料とともに試料配置ガイドを支持管内に
挿入し、ガイド位置決め手段によって試料配置ガイドを
位置決めすることにより、試料を試料配置位置へ配置す
ることもできる。
【0014】また、試料配置ガイドに形成した試料位置
決め手段が上述した位置決め孔である場合には、支持管
内に挿入位置決めした試料配置ガイドの該位置決め孔
に、試料を嵌め込むことにより、試料配置位置への位置
決めを行なうことができる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
して詳細に説明する。この実施例に係る熱機械分析装置
は、図7に示した従来の熱機械分析装置とほぼ同様の全
体構造となっている。ここで、支持管1の周壁に形成し
た試料挿入窓9、および内底面2に決められた試料配置
位置A,Bについて説明すると、試料挿入窓9は、支持
管1の内底面から任意の高さで、周壁における中心軸O
と対称な二箇所に開口している。中心軸Oと対称な二箇
所としたのは、支持管1を中心軸Oに関し対称な形状と
することにより、周囲の加熱炉7(図7参照)から中心
軸O方向へ伝わる熱の均一化を図るためである。
【0016】そして、試料配置位置A,Bは、上記のよ
うな支持管1の対称性を考慮して均一な熱が伝わる内底
面2の二箇所に設定してある。例えば、内底面2におけ
る試料挿入窓9,9とそれぞれ接する各外縁2a,2a
部分の中央点を結んだ直線X上であって、中心軸Oから
等距離にある任意の二箇所を試料配置位置A,Bとする
ことができる。これら試料配置位置A,Bには、熱電対
8を貫通させるための透孔10,10が穿設してある。
すなわち、図7に示すように、支持管1の内底面2にお
ける別の任意箇所に穿設した透孔11を通して熱電対8
を支持管1の下方に引き出し、さらに熱電対8の先端部
を透孔10から支持管1の内部側へ突き出して配置す
る。
【0017】基準試料Rおよび測定試料Sの底面には、
熱電対8を挿入するための穴が形成してあり、支持管1
の内部側に突出した熱電対8の先端部をこの穴内に挿入
することにより、基準試料Rや測定試料Sの内部温度を
測定できるようになっている。なお、図1に示すよう
に、試料配置位置A,Bの近傍にある任意の箇所にも、
熱電対8を貫通させるための透孔12が穿設してある。
そして、通常は、基準試料R若しくは測定試料Sの内部
温度、またはこれら試料R,Sの周囲近傍における温度
のうち、いずれか一つの温度を測定する。
【0018】この実施例に係る熱機械分析装置は、図7
に示した従来の熱機械分析装置の構造に加え、基準試料
Rおよび測定試料Sを支持管1の試料配置位置A,Bへ
容易かつ正確に位置決めするための試料配置ガイド20
を備えたことを特徴としている試料配置ガイド20は、
耐熱性材料からなる平板状の部材であり、全長を支持管
1の外径と同じ寸法とし、幅を支持管1に形成した試料
挿入窓9の幅とほぼ同じ寸法としてある。また、長さ方
向の両端縁20a,20aは、試料挿入窓9,9の底部
外縁2a,2aと同じ形状としてある。このような寸法
形状とすることにより、試料配置ガイド20の長さ方向
の両端縁20a,20aを試料挿入窓9,9の底部外縁
2a,2aと合致させることで、図2に示すような支持
管1内の一定の位置に試料配置ガイド20を位置決めす
ることができる。つまり、この実施例では、試料配置ガ
イド20の長さ方向の両端縁20a,20aと試料挿入
窓9,9の底部外縁2a,2aとで、試料配置ガイド2
0を支持管1に対して位置決めするガイド位置決め手段
を構成している。
【0019】また、試料配置ガイド20には、基準試料
Rおよび測定試料Sを位置決めするための試料位置決め
孔(試料位置決め手段)21,22が穿設してある。こ
れら試料位置決め孔21,22は、支持管1に対して上
記のとおり試料配置ガイド20を位置決めした状態で、
試料配置位置A,Bと対応する試料配置ガイド20の所
定箇所に穿設してある。
【0020】各試料位置決め孔21,22の内径(内部
寸法)は、それぞれ基準試料R,測定試料Sの外径(外
部寸法)よりも若干大きくしてあり、基準試料R,測定
試料Sを嵌め込んだ状態で(図2参照)、所要の隙間が
生じるようになっている。すなわち、熱機械分析を実施
している間、基準試料Rおよび測定試料Sは温度上昇に
より膨張する。そこで、この膨張を許容するだけの隙間
が試料位置決め孔21,22の内周面との間に必要とな
る。また、後述するように、基準試料Rおよび測定試料
Sは、支持管1内で試料位置決め孔21,22に嵌め込
むため、この嵌め込み作業を容易に行なうには、ある程
度の隙間ができるくらいの寸法公差を設けることが好ま
しい。このような理由から、試料位置決め孔21,22
の内径(内部寸法)は、基準試料R,測定試料Sの外径
(外部寸法)よりも若干大きくしてある。
【0021】ただし、試料位置決め孔21,22の内周
面と基準試料R,測定試料Sとの間にできる隙間は、各
試料R,Sの膨張を許容するとともに、試料R,Sの嵌
め込み作業が容易となる最小限の寸法とすることが好ま
しい。この隙間が大きくなる程、基準試料R,測定試料
Sの位置ずれ、すなわち試料配置位置A,Bに対する基
準試料R,測定試料Sの位置決め誤差が大きくなるから
である。
【0022】上述した構成の試料配置ガイド20は、外
径(外部寸法)の異なる各種基準試料Rおよび測定試料
Sに対応して複数枚用意しておき、基準試料Rおよび測
定試料Sに応じて適宜選択して使用することが好まし
い。ここで、基準試料Rおよび測定試料Sは、外形が円
筒形以外の場合もある。その場合は、試料位置決め孔2
1,22を基準試料Rおよび測定試料Sの外形に対応し
た内部形状とすることは勿論である。
【0023】この実施例に係る熱機械分析装置によれ
ば、次のようにして基準試料Rおよび測定試料Sを支持
管1の内底面2に設定した試料配置位置A,Bに容易か
つ正確に配置することができる。まず、測定に使用する
基準試料Rおよび測定試料Sの外形寸法に応じて適当な
試料配置ガイド20を選択し、支持管1に形成した一方
の試料挿入窓9から該試料配置ガイド20を挿入する。
そして、試料配置ガイド20の長さ方向の両端縁20
a,20aを各試料挿入窓9,9の底部外縁2a,2a
と合致させて、支持管1に対する試料配置ガイド20の
位置決めを行なう。この位置決め状態においては、試料
配置ガイド20の試料位置決め孔21,22が、それぞ
れ支持管1の内底面2に設定した試料配置位置A,Bの
上に配置される。
【0024】次に、ピンセット等の器具を用いて基準試
料Rおよび測定試料Sを順次支持管1の試料挿入窓9か
ら内部に挿入し、試料配置ガイド20の試料位置決め孔
21,22に嵌め込む。この操作によって、基準試料R
および測定試料Sを支持管1の試料配置位置A,Bへ位
置決めして配置することができる。
【0025】なお、この発明は上述した実施例に限定さ
れるものではない。例えば、支持管1の内底面2は、加
熱温度が1000℃程度までの範囲においては、石英材
料を焼結して平坦な面に製作できるが、それ以上の加熱
温度(1500℃程度まで)になる場合には、一般にア
ルミナを用いて製作している。この場合、内底面2を全
面にわたり平坦に加工することが困難であるため、図3
に示すように試料配置位置A,Bに台座2b,2bを形
成し、その上面のみを平坦に加工している。このように
支持管1の試料配置位置A,Bに台座2b,2bが形成
されている場合は、該試料配置位置A,Bへ位置決めさ
れる試料配置ガイド20の試料位置決め孔21,22
に、台座2b,2b部分を逃がすための座ぐり21a,
22aを形成することが好ましい。
【0026】また、ガイド位置決め手段としては、例え
ば、図4に示すように支持管1における試料挿入窓9の
底部外縁に切欠き部30を設けるとともに、試料配置ガ
イド20の長さ方向の一端縁にこの切欠き部30と係合
する突起部24を形成し、これら切欠き部30と突起部
24との係合によって支持管1に対する試料配置ガイド
20の位置決めを実現する構成としてもよい。
【0027】さらに、図5に示すごとく、試料配置ガイ
ド20に形成した位置決め孔21,22を、支持管1の
内底面2に突出して設けた位置決めピン31,31に係
合することによって支持管1に対する試料配置ガイド2
0の位置決めを実現することもできる。
【0028】また、図6に示すように、試料配置ガイド
20に座ぐり段部21b,22bを有する試料位置決め
孔21,22を形成し、その座ぐり段部21b,22b
で基準試料Rおよび測定試料Sを支持するようにすれ
ば、あらかじめ試料配置ガイド20上に基準試料Rおよ
び測定試料Sを搭載しておき、その状態で支持管1の内
部へ挿入することもできる。
【0029】上述した実施例は示差型熱機械分析装置を
対象に説明したが、この発明は、基準試料Rを用いない
全膨式熱機械分析装置にも適用できることは勿論であ
る。その場合は、支持管1の内底面2の一箇所に定めた
試料配置位置(通常は中央部)に対応して試料配置ガイ
ド20に試料位置決め孔を形成する。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の熱機械
分析装置によれば、試料配置ガイドを用いて、支持管内
に決められた所定の試料配置位置に試料を容易かつ正確
に配置することができ、測定準備作業の容易化と測定デ
ータの信頼性向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る熱機械分析装置におけ
る支持管の底部と試料配置ガイドを示す斜視図である。
【図2】同じく正面断面図である。
【図3】この発明における試料配置ガイドの変形例を、
図2に対応して示す正面断面図である。
【図4】この発明におけるガイド位置決め手段の変形例
を示す正面断面図である。
【図5】この発明におけるガイド位置決め手段の他の変
形例を示す正面断面図である。
【図6】この発明における試料配置ガイドに形成した試
料の位置決め孔に関する変形例を示す正面断面図であ
る。
【図7】従来の熱機械分析装置の全体構造を示す正面断
面図である。
【符号の説明】
1:支持管 2:内底面 8:熱電対 9:試料挿入窓 20:試料配置ガイド 21,22:試料位置決め孔 24:突起部 30:切欠き部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性を有する支持管内の所定位置に試
    料配置位置が決められており、該試料配置位置に配置し
    た試料を加熱しながら該試料の力学的特性を分析する熱
    機械分析装置において、 前記支持管の周壁に形成した試料挿入窓と、 前記試料挿入窓から前記支持管の内部に挿脱自在な試料
    配置ガイドと、 前記試料配置ガイドを前記支持管に対して位置決めする
    ガイド位置決め手段と、 前記試料配置ガイドに形成され、該試料配置ガイドを前
    記支持管に対し位置決めした状態で、試料を前記支持管
    内の試料配置位置に位置決めする試料位置決め手段とを
    備え 且つ、前記試料位置決め手段は、試料の外形に対応する
    とともに、許容できる位置決め誤差の範囲内で試料の熱
    による変形および試料の挿脱を許容する隙間を有して試
    料を嵌合する位置決め孔であり、 この位置決め孔を、前記支持管に対し位置決めした状態
    の前記試料配置ガイドにおける、前記試料配置位置と対
    応する部位に形成したことを特徴とする熱機械分析装
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