JPH07120299A - 電磁式の天びんまたは力測定器 - Google Patents

電磁式の天びんまたは力測定器

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JPH07120299A
JPH07120299A JP2956194A JP2956194A JPH07120299A JP H07120299 A JPH07120299 A JP H07120299A JP 2956194 A JP2956194 A JP 2956194A JP 2956194 A JP2956194 A JP 2956194A JP H07120299 A JPH07120299 A JP H07120299A
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temperature
heat
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JP2956194A
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Akira Kawamoto
晟 河本
Koji Tomota
弘二 友田
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小さい永久磁石等を用いても、フォースコイ
ルの発熱により永久磁石が急激に加熱されて過渡的に磁
界が変化しても、これに十分に追随して補償を行うこと
のできる電磁式の天びんまたは力測定器を提供する。 【構成】 永久磁石1の近傍に、温度補償手段13に対
して温度データを供給するための温度センサ12を設け
るとともに、この温度センサ12を、フォースコイル4
の発熱量に一定の係数を乗じた熱量で加熱する加熱手段
14,15を備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は質量測定または力測定を
行うための装置に関し、更に詳しくは、電磁力平衡式の
天びんまたは力測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁力を被測定荷重(質量)または力に
対して釣り合わせることによってその荷重ないしは力を
測定する、いわゆる電磁式の天びんまたは力測定器にお
いては、永久磁石により生成される磁界中にフォースコ
イルを配置し、そのフォースコイルに電流を流すことに
よって、被測定荷重またら力と釣り合わせるための電磁
力を発生している。そして、この電磁力と被測定荷重ま
たは力が釣り合っている状態でフォースコイルに流れる
電流により、その荷重または力を求めるようになってい
る。
【0003】ところで、永久磁石はその温度によって、
発生する磁界の強さが約−200ppm/°C〜−40
0ppm/°C程度の割合で変化する。この磁界の強さ
の変化により、フォースコイルに流れる電流値と発生電
磁力との関係が変化するため、被測定荷重ないしは力と
釣り合わせるために要する電流は、逆に+200ppm
/°C〜+400ppm/°Cの割合で変化し、その分
測定誤差が生じる。
【0004】従来の電磁式の天びんまたは力測定器にお
いては、一般に、永久磁石の近傍に温度センサを配置
し、その出力を用いてハード的またはソフト的に、ある
いはその両方によって永久磁石の温度変化に起因する測
定誤差を補償している。すなわち、ハード的な補償方法
としては、例えばその温度センサの出力に基づき、フォ
ースコイルに流れる電流の計測値をデジタル化するため
のA−D変換器の基準電圧を+200ppm/°C〜+
400ppm/°Cで変化させる等の方法が、また、ソ
フト的な補償方法としては、デジタル化されたフォース
コイル電流の計測データをマイクロコンピュータで処理
する際に、温度センサの出力に応じた補正演算を行う等
の方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の補
償方法によると、いずれも環境温度に対する補償であっ
て、気温の変化等による静的な、あるいはゆるやかな永
久磁石の温度変化に対する補償は比較的簡単に行うこと
ができて問題はないものの、永久磁石の比較的急激な温
度変化による過渡的な磁界変化には十分に補償できない
という問題があった。
【0006】すなわち、例えば電磁式の天びんにあって
は、試料を測定皿上に載せたまま放置し、また、その状
態で発生している電磁力がその天びんのひょう量に近い
状態であるような場合、フォースコイルの発熱により永
久磁石が急激に加熱される。このような場合、永久磁石
の温度変化による磁界変化が急であるが故に、従来の補
償方法では温度センサの出力がこれに追随せずに十分な
補償はできず、結果的に天びんの表示値がクリープ現象
的に徐々に大きくなっていくことになる。
【0007】この対策として、従来、永久磁石の熱容量
を大きくしてその温度変化をゆるやかにするとともに、
永久磁石を大きくし、その発生磁界を大きくしてフォー
スコイルの所要電流を小さくしてコイルの発熱を小さく
したり、温度センサの取り付け位置を工夫する等の方法
が採用されているが、コストが高くなるばかりでなく、
これでもなお十分な対策にはなっていなかった。
【0008】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、小さい永久磁石ないしは温度係数の大きな永久
磁石を用いても、フォースコイルの発熱により永久磁石
が急激に加熱されて過渡的に磁界が変化しても、これに
十分に追随して補償を行うことのできる電磁式の天びん
または力測定器の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの構成を、実施例図面である図1を参照しつつ説明す
ると、本発明の電磁式の天びんまたは力測定器は、永久
磁石1による磁界中に置かれたフォースコイル4に電流
を流すことによって発生する電磁力を、被測定荷重また
は力と釣り合わせ、その釣り合い状態でフォースコイル
4に流れる電流の大きさから被測定荷重または力を測定
する装置において、永久磁石1の近傍に、当該永久磁石
1の温度補償手段(回路)13に対して温度データを供
給するための温度センサ12が設けられているととも
に、フォースコイル4の発熱量に一定の係数を乗じた熱
量でその温度センサ12を加熱する加熱手段(例えばバ
ッファ15およびヒータ14)を備えていることによっ
て特徴づけられる。
【0010】また、図5に例示するように、温度センサ
12を永久磁石11を含む磁気回路Mの略中央部に設け
るとともに、その温度センサ12とこれを強制加熱する
加熱手段の熱源(ヒータ)14の間に、熱源14からの
熱に対する温度センサ12の熱応答性を調整するための
熱応答調整部材30を配設すると、正確な補償を行うた
めの調整が容易化されて好ましい。
【0011】
【作用】従来の温度補償方法により永久磁石の急激な温
度変化に対する補償ができない理由は、前記したよう
に、温度補償を行うべく永久磁石の温度を検出するため
の温度センサの出力が実際の永久磁石の温度変化に追随
できないためである。そしてこのような永久磁石の急激
な温度変化は、フォースコイルに流れる電流によるコイ
ルの発熱に起因する。
【0012】そこで本発明では、フォースコイル4の発
熱量に一定の係数を乗じた熱量で、温度補償用の温度セ
ンサ12を強制的に加熱することにより、その出力を永
久磁石1の急激な温度変化に一致するように変化させ、
所期の目的を達成している。
【0013】すなわち、フォースコイル4の発熱により
永久磁石1が加熱されると同時に、その近傍に置かれた
温度補償用の温度センサ12もそのフォースコイル4の
発熱量に準じた熱量によって強制加熱される結果、その
出力は永久磁石1の過渡的な温度変化に追随して変化
し、温度補償手段13には常に永久磁石1の温度を正し
く検出した信号が供給される。
【0014】ここで、温度センサ12の出力を、フォー
スコイル4の発熱による永久磁石1の過渡的な温度変化
に正しく追随させるためには、加熱手段の加熱による温
度センサ12の温度変化を、実験等によってフォースコ
イル4の発熱による永久磁石1の温度変化に厳密に合致
するように調整しておく必要が生じ、そのためには加熱
手段の熱源14の発熱量を厳密に設定する必要が生じ
る。そこで、温度センサ12を磁気回路Mの略中央部に
配置し、しかもその温度センサ12と熱源14との間
に、熱源14からの熱に対する温度センサ12の熱応答
性を適宜に低下させる熱応答調整部材30を介在させる
と、温度センサ12の温度変化を調整するためのパラメ
ータとしては、加熱手段の熱源14の発熱量に加えて、
熱応答調整部材30による温度センサ12の熱応答性の
低下の量も有効となり、より厳密な調整が容易となる。
【0015】
【実施例】図1は本発明実施例の要部構造の断面図と回
路構成のブロック図を併記して示す構成図である。
【0016】永久磁石1は例えば図中上方にN極、下方
にS極が位置するようにカップ状のヨーク2内の底面上
にその下面が固着されているとともに、その上面には円
柱状ないしは円盤状のポールピース3が固着されてお
り、これらによって磁気回路Mが構成され、ポールピー
ス3の外周面とこれに対向するヨーク2の内周面とで囲
まれた円筒状の空隙に静磁界が形成される。そして、こ
の静磁界内にフォースコイル4が配置されている。
【0017】フォースコイル4は巻き枠4aを介してビ
ーム5に固着されており、このビーム5は支点(図示せ
ず)を挟んでその一端部に、天びんにあっては測定皿
が、力測定器にあっては被測定力の負荷部が設けられる
とともに、他端部には変位センサ6が配設されてその変
位が検出されるようになっている。
【0018】変位センサ6の出力はサーボアンプ7に導
かれ、このサーボアンプ7からビーム5の変位量に応じ
た大きさの電流がフォースコイル4に流される。この構
成により、測定皿ないしは被測定力の負荷部に荷重ない
しは力が加わると、それに応じた電流iがフォースコイ
ル4に流れることになり、永久磁石1による発生磁界を
H、フォースコイル4の半径および巻き数をそれぞれr
およびnとしたとき、フォースコイル4を介してビーム
5にはF=2πrniHの電磁力が作用し、ビーム5の
レバー比によって何倍かに拡大されて、被測定荷重ない
しは力に抗してビーム5の変位が零になるよう自動平衡
する。
【0019】この平衡状態においてフォースコイル4に
流れる電流iは、永久磁石1による磁界Hが一定である
限りにおいて被測定荷重ないしは力に比例することにな
り、その電流値iは出力抵抗Rで電圧信号eに変換さ
れ、A−D変換器8でデジタル化された後にマイクロコ
ンピュータ9に採り込まれる。マイクロコンピュータ9
では、その電流値iのデジタル変換データを用いた演算
によって被測定荷重ないしは力を算出し、表示器10に
表示する。
【0020】永久磁石1、ヨーク2およびポールピース
3には、その中心部分に貫通孔11が形成されており、
その内部に温度センサ12が配設されている。この温度
センサ12の出力は温度補償回路13に供給される。温
度補償回路13は、A−D変換器8の基準電圧源8aか
らの電圧信号を、温度センサ12の出力に応じて変化さ
せた後に、A−D変換器8の基準電圧入力端子に供給す
る。すなわち、温度補償回路13は、永久磁石1の磁界
の温度特性が例えば−300ppm/°Cであるとする
と、温度センサ12による温度検出値が1°C上昇する
ごとに、A−D変換器8の基準電圧を+300ppm/
°Cずつ増大させ、これにより、永久磁石1の温度が相
違することによる磁界Hの大きさの相違に起因する、フ
ォースコイル4の電流iと発生電磁力Fとの関係の変化
を、電流値iのデジタル化の際に補償し得るようになっ
ている。
【0021】さて、温度センサ12の周囲には、抵抗線
からなるヒータ14が配置されており、このヒータ14
によって温度センサ12がフォースコイル4の発熱量に
一定の係数を乗じた熱量で加熱され、これにより、フォ
ースコイル4の発熱による永久磁石1の急激な温度変化
に追随して、温度センサ12の出力が変化するようにな
っている。
【0022】すなわち、ヒータ14はバッファ15から
供給される電力によって駆動され、バッファ15の入力
は、フォースコイル4に流れる電流iを電圧化するため
の抵抗Rの電圧eが導入されている。これにより、ヒー
タ14の発熱量(電力)PHは、その抵抗値をRH 、バ
ッファ15のゲインをGとすると、
【0023】
【数1】
【0024】となる。一方、フォースコイル4の発熱量
C は、その抵抗値をRC とすると、
【0025】
【数2】
【0026】であり、結局、温度センサ12はフォース
コイル4の発熱量に、
【0027】
【数3】
【0028】なる係数αを乗じた熱量PH によって加熱
されることになる。なお、この係数αは実験により、あ
るいは有限要素法等によって定めるが、ヒータ14によ
る加熱量PH は温度センサ12と永久磁石1の熱容量の
関係によって異なるものの、フォースコイル4の発熱量
C の数分の一ないしは数百分の一程度の熱量となる。
【0029】以上の構成により、フォースコイル4の発
熱によって永久磁石1の温度が上昇し、磁界Hが変化し
ても、温度センサ12の出力は、その磁界Hが変化する
のと同程度の遅れのもとに変化することになり、つまり
永久磁石1の温度変化に遅れることなく変化し、温度補
償回路13に供給されてA−D変換器8の基準電圧の大
きさに反映される。
【0030】図2は、長時間にわたって測定皿ないしは
被測定力の負荷部に、天びんひょう量ないしはフルスケ
ールに相当する力を加えた状態を継続したときの表示値
の時間的変化を示すグラフである。この図において実線
は従来装置による比較例の特性で、A、BおよびCはそ
れぞれ永久磁石の熱容量が小、中および大の従来装置の
特性を示し、破線がAと同じ熱容量のものに本発明実施
例を適用した場合の特性を示している。
【0031】このグラフのように、本発明実施例による
とフォースコイル4に大電流が流れた状態が継続して、
その発熱によって永久磁石1が急激に加熱されても、温
度センサ12がこれに準じて自動的に加熱され、その温
度検出出力は永久磁石1の温度変化に正しく追随して温
度補償回路13に供される結果、表示値は殆ど変化する
ことがない。これに対し、従来装置では、永久磁石の熱
容量を大きくすることによって表示値の変化量は少なく
なるものの、その変化を完全に無くすることはできず、
しかも装置が大型化してしまう。
【0032】ここで、このような状態から荷重ないしは
力の負荷を止めたときには、永久磁石1の温度は次第に
低下するが、この温度低下時においても、温度センサ1
2の出力はその温度低下カーブに追随して減少していく
必要がある。このようにするための対策としては、主と
して温度センサ12とこれを収容している貫通孔11の
寸法や形状等を、実験または有限要素法等による解析に
よって最適値に決定する等の方法を採用することができ
る。
【0033】さて、温度センサ12をフォースコイル4
の発熱量に一定の係数を乗じた熱量で加熱する手段とし
ては、以上の実施例のほか、例えば図3に本発明の他の
実施例の要部構成図を示すような手段を採用することが
できる。
【0034】この例では、バッファ15を用いず、フォ
ースコイル4に流れる電流iを直接ヒータ14に流して
いる。この場合、ヒータ14の抵抗値RH を、フォース
コイル4の発熱量に対して最適の係数αを乗じた熱量で
発熱するように設定することにより、先の実施例と同等
の作用効果を奏することができる。
【0035】また、図1に示す実施例におけるバッファ
15のゲインGを可変とし、あるいは、図3に示す実施
例におけるヒータ14に対して、図4に示すように可変
抵抗VRを並列接続し、この可変抵抗VRを介してフォ
ースコイル4からの電流iをヒータ14に流すように構
成することによって、前記した係数αを適宜に調整でき
るように構成することもできる。
【0036】ところで、以上の各例では、温度センサ1
2をヒータ14によって直接的に加熱したが、この場
合、ヒータ14による強制加熱時の温度センサ12の出
力変化を、フォースコイル4の発熱による永久磁石1の
温度変化に合致させるための調整に際してのパラメータ
は、永久磁石1やフォースコイル4を含む天びんの機
構、および温度センサ12の種類等を一定とした場合、
実質的にヒータ14の発熱量、換言すれば係数αのみと
なり、厳密な調整が困難な場合も生じる。
【0037】この調整の困難性を改善することのできる
構成を、図5に全体構成図(A)およびその温度センサ
12近傍の拡大斜視図(B)で示す。なお、この図5に
おいては、図1まはた図3に示した例における各部材ま
たは回路のうち、同等の部材または回路については図1
または図3と同一の符号を付しており、これらについて
はその詳細な説明は省略する。
【0038】図5の例における特徴は、温度センサ12
とヒータ14との間に、ヒータ14の熱に対する温度セ
ンサ12の熱応答性を調整するための熱応答調整部材3
0を介在させた点にある。
【0039】すなわち、この例においては、永久磁石
1、ヨーク2およびポールピース3の各中心部に穿たれ
た貫通孔11の内部、つまり磁気回路Mの略中央部に温
度センサ12が配置されており、その温度センサ12の
周囲が筒状の熱応答調整部材30で覆われているととも
に、その熱応答調整部材30の外周にヒータ14が巻回
されている。
【0040】ヒータ14には、図3の例と同様にフォー
スコイル4に流れる電流iが直接流され、その電流iが
流れることによってヒータ14が発熱し、その熱が熱応
答調整部材30を介して温度センサ12を強制的に加熱
するようになっている。
【0041】この構成によると、ヒータ14に電流iが
流れることによって発生する熱に対する温度センサ12
の熱応答性が、熱応答調整部材30の熱容量ないしは熱
伝導度等に応じて低下することになる。そしてこの図5
の例では、電流iが流れることによるヒータ14の発熱
量は、図3に示した例に比して若干多く設定され、これ
により、熱応答調整部材30が存在しない状態では、フ
ォースコイル4に電流iが流れることによる永久磁石1
の温度上昇よりも、温度センサ12の出力が早く上昇し
てしまうことになるが、熱応答調整部材30は、これら
が一致するように温度センサ12の熱応答性を低下させ
るように機能する。
【0042】この熱応答調整部材30は、その材質とし
ては銅、黄銅、アルミニウム、あるいはプラスチック
等、特に磁気回路Mが作る磁界に大きな影響を与えない
ものであれば任意の材質とすることができ、その材質の
持つ熱容量、熱伝導度等に応じて、天びんの品種(全体
構造並びに各部材の形状・寸法等)ごとに、あらかじめ
実験的にその大きさ等が決定される。
【0043】図6はその熱応答調整部材30の選定手法
の説明図である。この図は、測定皿ないしは力負荷部に
当該測定器のフルスケールに近い大きな荷重ないしは力
を負荷した状態での、表示値の経時的変化を横軸を時間
軸で表すグラフである。
【0044】この図6に示すように、熱応答調整部材3
0が小さすぎた場合には、ヒータ14の発熱による温度
センサ12の出力の応答が、フォースコイル4からの熱
による永久磁石1の熱応答よりも早く、フォースコイル
4の発熱によるスパン変化は過補償され、表示値が経時
的に小さくなる。一方、熱応答調整部材30が大きすぎ
ると、ヒータ14の発熱による温度センサ12の応答
が、フォースコイル4からの熱による永久磁石1の熱応
答よりも遅くなり、この場合にはスパン変化に対する補
償不足によって表示値は経時的に大きくなる。最適な大
きさの熱応答調整部材30を装着した場合には、フォー
スコイル4の発熱にも関わらずスパン変化が生じず、こ
れは、ヒータ14の発熱による温度センサ12の応答が
フォースコイル4からの熱による永久磁石1の熱応答と
合致していることを示すものであり、熱応答調整部材3
0はこのような実線で示すグラフが得られるよう、その
材質の持つ熱容量と熱伝導度に関連して最適な大きさを
選定することができる。
【0045】ここで、以上はフォースコイル4の発熱量
に対するヒータ14の発熱量の割合、つまり係数αを一
定として熱応答調整部材30を選定した例を示している
が、係数αを変化させると図6のグラフは当然変化す
る。従って、図5の実施例の調整に際しては、熱応答調
整部材30の大きさ(材質等を含む)と、係数αとの2
つのパラメータを用いて調整を行うことができ、図1な
いしは図3に示した実施例に比して調整の自由度が増え
る結果、厳密な調整が容易となる。
【0046】なお、図5に示した実施例において、荷重
または力の負荷を止めたときの永久磁石1の温度低下時
において、温度センサ12の出力をこれに追随して低下
させていくための対策としては、図1の例において述べ
たように温度センサ12とこれを収容する貫通孔11の
寸法や形状等のほか、熱応答調整部材30の寸法・形状
等を、実験または有限要素法等による解析で最適値に決
定する等の方法を採用することができる。
【0047】また、図5に示した実施例においても、ヒ
ータ14に流すべき電流を、図1の例と同様のバッファ
15を介して供給するように構成することができる。こ
の場合、図5に示した例に比してヒータ14の発熱量を
より微細に調整することが可能となり、熱応答調整部材
30の調整と併せてより正確な調整が可能となる。
【0048】更に、そのバッファ15のゲインGを可変
としたり、あるいはバッファ15を使用しない場合に
は、図4に例示したように、ヒータ14に対して可変抵
抗VRを並列接続し、その可変抵抗VRを介してフォー
スコイル4からの電流iをヒータ14に流すように構成
することによって、係数αを随時に変更できるようにす
ることができる。
【0049】ここで、図5の実施例における熱応答調整
部材30の支持方法として、リード線により支持された
温度センサ12に熱応答調整部材30を固定するほか、
図7に要部断面図を示すように、ポールピース3に熱応
答調整部材30を固定するようにしてもよい。熱応答調
整部材30をポールピース3に固定すると、永久磁石1
の温度が伝達されやすくなり、磁石1の温度と熱応答調
整部材30、ひいては温度センサ12の温度差が小さく
なって望ましい。
【0050】なお、磁気回路Mの構造としては、以上の
各実施例のような構造のほかに各種の構造が考えられ、
本発明はその磁気回路Mの構造についは何ら限定される
ことはない。その一例を図8に要部断面図で示す。この
例では、ポールピース83の上下両端面のそれぞれに永
久磁石81aおよび81bをN,S極を互いに逆転させ
て配置し、その全体をヨーク82内に収容している。そ
して、フォースコイル84を巻き枠84aを介してポー
ルピース83とヨーク82との間の筒状空隙に配置して
いる。
【0051】また、以上の各実施例では、温度センサ1
2の出力を、A−D変換器8の基準電圧を変化させる温
度補償回路13に供給してハード的に温度補償を行う例
について述べたが、これに代えて、温度センサ12の出
力をデジタル化してマイクロコンピュータ9に採り込
み、その温度データに基づき、A−D変換器8を介して
採り込まれた電流iのデジタル変換データを公知の演算
により補償することもでき、あるいは、このようなソフ
ト的な補償とハード的な補償とを組み合わせてもよい。
【0052】更に、図9に要部構成図を例示するよう
に、前記した図1および図5をはじめとする各実施例で
示したようなヒータ14によって強制加熱される温度セ
ンサ12に加えて、加熱されない温度センサ20を適宜
箇所に配置し、この温度センサ20によって環境温度測
定を行わせるとともに、温度センサ12によってフォー
スコイル4の発熱時における過渡的な温度変化を測定し
て、これらの両センサ20,12の出力を重み付け加算
回路21によって適当な重みを付けて加算し、その加算
後の出力を温度補償回路13に供給するか、あるいはこ
れをデジタル化した後にソフト的な補償演算に供するよ
うにしてもよい。
【0053】なお、以上の各例において、ヒータ14は
熱容量が小さいものでよく、また、磁石内部ないしは近
傍に設けるから、磁界を発生しないよう無誘導巻きにす
るかフィルム状のものを使用することが望ましい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
温度補償に供すべく永久磁石の近傍に置かれる温度セン
サを、フォースコイルの発熱量に一定の係数を乗じた熱
量で強制加熱するように構成しているので、フォースコ
イルの発熱により永久磁石が加熱されてその発生磁界が
急激に変化しても、温度センサの出力はこれに追随して
変化することになり、従来装置では補償できなかった過
渡的な磁界変化をも確実に補償することが可能となり、
表示値のクリープ現象的な変動を防止することができ
る。このことは、熱容量の小さい、従って小型の永久磁
石や、温度係数の大きい磁石を用いても、表示値のクリ
ープ現象的変化のない電磁式の天びんや力測定器を得る
ことが可能となることを意味し、装置の小型化ないしは
低コスト化を達成することができる。また、同一寸法の
永久磁石を用いる場合には、本発明の採用によってより
高精度(ひょう量ないしはフルスケール値と最小表示値
の日野大きい)の天びんないしは力測定器を得ることが
できる。
【0055】また、温度センサとこれを強制加熱するた
めの熱源との間に、温度センサの熱応答性を調整するた
めの熱応答調整部材を介在させる構成を採用することに
より、温度センサの出力と永久磁石の温度変化とを合致
させるための調整時に採用可能なパラメータが増加する
ことになり、調整の自由度が増して、より厳密な調整を
容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の要部構造の断面図と回路構成の
ブロック図とを併記して示す構成図
【図2】図1の実施例の作用説明図
【図3】本発明の他の実施例の要部構成図
【図4】本発明の更に他の実施例の要部構成図
【図5】熱応答調整部材を用いた実施例の要部構造の断
面図と回路構成のブロック図とを併記して示す構成図
【図6】図5の実施例の熱応答調整部材30の選定手法
を説明するためのグラフ
【図7】熱応答調整部材を用いた本発明の他の実施例の
要部構造の断面図
【図8】本発明の各実施例を適用可能な磁気回路Mの他
の構成例を示す断面図
【図9】環境温度測定用の温度センサを個別に設けた本
発明の更にまた他の実施例の要部構成図
【符号の説明】
1 永久磁石 2 ヨーク 3 ポールピース 4 フォースコイル 5 ビーム 6 変位センサ 7 サーボアンプ 8 A−D変換器 8a 基準電圧源 9 マイクロコンピュータ 11 貫通孔 12 温度センサ 13 温度補償回路 14 ヒータ 15 バッファ 30 熱応答調整部材 M 磁気回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石による磁界中に置かれたフォー
    スコイルに電流を流すことによって発生する電磁力を、
    被測定荷重または力と釣り合わせ、その釣り合い状態で
    上記フォースコイルに流れる電流の大きさから被測定荷
    重または力を測定する装置において、上記永久磁石の近
    傍に、当該永久磁石の温度補償手段に対して温度データ
    を供給するための温度センサが設けられているととも
    に、上記フォースコイルの発熱量に一定の係数を乗じた
    熱量で上記温度センサを加熱する加熱手段を備えている
    ことを特徴とする電磁式の天びんまたは力測定器。
  2. 【請求項2】 上記温度センサが永久磁石を含む磁気回
    路の略中央部に配置されているとともに、この温度セン
    サと上記加熱手段の熱源との間には、その熱源からの熱
    に対する当該温度センサの熱応答性を調整するための熱
    応答調整部材が配設されていることを特徴とする請求項
    1に記載の電磁式の天びんまたは力測定器。
JP2956194A 1993-08-30 1994-02-28 電磁式の天びんまたは力測定器 Pending JPH07120299A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006184192A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Shimadzu Corp 電子天びん
JP2020148477A (ja) * 2019-03-11 2020-09-17 株式会社日立ハイテクサイエンス 熱分析装置

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