JP2020138340A - 液圧転写装置 並びに液圧転写用治具装置 - Google Patents
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Abstract
Description
加えて加工対象となる被転写体は、一定の数量を効率良く加工することが求められており、このための工夫も上記特許文献2に開示されている。例えば、転写作業を行う移動装置(転写用マニピュレータ)を転写槽(流れ方向)に対し対設して交互に作動させて、効率を上げる一方、転写終了後の被転写体を転写槽から引き上げる回収用移動装置(回収用マニピュレータ)を別途設け、液圧転写を終えた被転写体をいち早く引き上げ、次工程に送るようにした工夫である。
しかしながら、引用文献2において被転写体を取り付ける治具は、マニピュレータに特化したものではなく、引用文献1のような従来の三角コンベヤタイプに用いられていた治具の転用に過ぎず、マニピュレータに特化した治具の開発が求められていた。もちろん、三角コンベヤタイプで用いられていた治具には、転写用マニピュレータから回収用マニピュレータへの受け渡しに相当する思想はなかった。
加えて、上記のように加飾された自動車部品等にあっては、更なる低コスト化や品質安定性への要求が常に求められる現状にあり、そのため治具を含めた液圧転写手法においても、より合理的な工夫が望まれていた。
転写槽と、
転写用マニピュレータと、
回収用マニピュレータとを具え、
前記転写槽内の転写液面上に転写フィルムを、転写槽の上流から下流に向けて移動するように浮遊支持させ、
前記転写用マニピュレータが、液圧転写用治具装置に保持された被転写体を、転写液面下に没するように押し当て、転写液の液圧により、転写フィルムにおける加飾模様を被転写体に転写し、
被転写体を転写槽から引き上げる際には、回収用マニピュレータによって液圧転写用治具装置を回収するようにした液圧転写装置であって、
前記転写用マニピュレータは、転写槽を挟んでその側傍に対設され、一方、前記回収用マニピュレータは、前記転写用マニピュレータより転写槽の下流側側傍に設けられ、
前記対設された転写用マニピュレータは、被転写体が取り付けられた液圧転写用治具装置を保持するにあたり、液圧転写用治具装置の流れ方向中央より両側に寄った部位であって、上流側である後方に位置する転写掴持受けゾーンを、それぞれの転写用マニピュレータの設置位置側で左または右に偏心的に掴持するものであり、
一方、回収用マニピュレータは、液圧転写用治具装置を保持するにあたり、液圧転写用治具装置の流れ方向下流側に位置する回収掴持受けゾーンを保持する構成であることを特徴として成るものである。
前記液圧転写用治具装置における転写掴持受けゾーンと回収掴持受けゾーンとの間には、中間ゾーンが設けられることを特徴として成るものである。
前記転写掴持受けゾーンと回収掴持受けゾーンは、液圧転写用治具装置の上面側を構成する掴持受け枠に形成され、
当該掴持受け枠は、平面視矩形状を成す外形のフレーム内が、適宜の強度を有する杆状要素によって格子状に区切るように構成されて成り、
また杆状要素は、流れ方向にわたって配設される杆状要素同士の間隔が、転写槽の幅方向にわたって配設される杆状要素同士の間隔よりも長くなるように形成され、且つ杆状要素自体の長さとしては、流れ方向にわたって配設される杆状要素が転写槽の幅方向にわたって配設される杆状要素より短い寸法に形成され、
前記転写用マニピュレータと回収用マニピュレータが掴持受け枠を保持する際には、前記流れ方向にわたって配設される杆状要素を保持する構成であることを特徴として成るものである。
前記転写用マニピュレータと回収用マニピュレータのいずれか一方または双方は、保持作用を直接担う保持フィンガーを有し、この保持フィンガーは、一対のフィンガー要素が内拡状に拡開して液圧転写用治具装置を固定保持する構成であることを特徴として成るものである。
前記フィンガー要素は、保持部が導芯状に形成されることを特徴として成るものである。
前記転写槽の側傍には、被転写体を取り付けた液圧転写用治具装置を吊り下げ姿勢で搬送する搬送装置が設けられ、当該搬送装置によって転写槽上流側の取り外し領域に至った液圧転写用治具装置を前記転写用マニピュレータによって取り外し、転写槽の転写領域に没入させるものであり、
前記被転写体が当該搬送装置によって取り外し領域に搬送される際には、被転写体の意匠面が、転写領域の反対側を向く吊り下げ姿勢で搬送されるものであり、
且つ、被転写体は、この吊り下げ姿勢における下方から転写用マニピュレータによって転写液に没入される構成であることを特徴として成るものである。
前記回収用マニピュレータは、転写後に没液中の被転写体を保持した液圧転写用治具装置を移動させる作動速度が、転写用マニピュレータより速く設定されていることを特徴として成るものである。
前記回収用マニピュレータは、転写槽を挟んでその両側に二基設けられるものであり、
上流側に対向設置された転写用マニピュレータが転写後の液圧転写用治具装置を下流側の回収用マニピュレータに受け渡す際には、上流側の転写用マニピュレータから下流側の回収用マニピュレータに左右交差するように受け渡す構成であることを特徴として成るものである。
適宜の強度を有する杆状要素を組み合わせた枠体であり、この枠体は、上面側に掴持受け枠を具え、一方、下面側に被転写体保持枠を具え、その間にディスタンスロッドが設けられて立体枠状に構成され、
前記掴持受け枠は、平面視において中央部より左または右に寄った部位であって、後方に位置する範囲に転写掴持受けゾーンが形成され、
一方、前方に位置する範囲に回収掴持受けゾーンが形成されていることを特徴として成るものである。
前記被転写体保持枠は、平面視、正方形状に形成されるものであり、
前記ディスタンスロッドの長さは、当該被転写体保持枠の一辺の長さ寸法に対して0.2〜0.6倍で形成されることを特徴として成るものである。
前記ディスタンスロッドは、掴持受け枠と一体に形成され、基部枠を構成するものであり、
且つ前記被転写体保持枠は、当該基部枠に対し、別体に形成されることを特徴として成るものである。
前記被転写体保持枠は、基部枠に対し、別途道具を要しない簡易式着脱構造によって着脱自在に取り付けられることを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、転写用マニピュレータが転写槽の左右に対向設置されるため、複数基の転写用マニピュレータによって順次、液圧転写用治具装置に保持された被転写体を没入させて行くことができ、効率良く液圧転写を行うことができる。
また転写槽を挟んで対向設置された転写用マニピュレータが、液圧転写用治具装置(被転写体)を保持する際、液圧転写用治具装置の上流側部位(転写掴持受けゾーン)を保持するものであり、且つ左側の転写用マニピュレータは、液圧転写用治具装置の中央より左側に寄った位置を保持し、右側の転写用マニピュレータは、液圧転写用治具装置の中央より右側に寄った位置を保持するため、左右の転写用マニピュレータがそれぞれ液圧転写用治具装置の近い方を保持することになり、少しでもマニピュレータの作動時間を短縮することができる。
また、転写用マニピュレータから液圧転写用治具装置を受け取る回収用マニピュレータは、液圧転写用治具装置の下流側部位(回収掴持受けゾーン)を保持し、異なる部位を保持するため、液圧転写用治具装置の受け渡しにおいてマニピュレータ同士が干渉することなく、スムーズに且つ円滑に受け渡しが行える。
また中間ゾーンを設けることで、例えば転写用マニピュレータは、液圧転写用治具装置において、より後方寄りのゾーンを保持することができ、一方、回収用マニピュレータは、液圧転写用治具装置において、より前方寄りのゾーンを保持することができる。このため各マニピュレータは少しでも移動距離が短くなり、移動時間の短縮化ひいてはサイクルタイムの短縮化につながる。特に、日々更なる低コスト化が要求される自動車部品においては、わずかな移動時間の短縮であっても膨大な量のなかでは重要となる。
また回収用マニピュレータの作動速度を速めるため、転写槽上の受け渡し位置を転写用マニピュレータ側(転写槽の上流側)に近づけることができ、転写後の受け渡し位置を、より上流側に設定することができる。これにより液圧転写工程において最も低速となりボトルネックとなる転写用マニピュレータのサイクルタイムを削減することができる。
また回収用マニピュレータが、転写槽を挟んでその両側に二基設けられるため、一基の場合に比べ回収用マニピュレータが受け渡し位置に移動するまでに時間的な猶予ができ、一基の回収用マニピュレータでは間に合わないような大型の被転写体でも確実に転写を行うことができる。具体的には、例えば被転写体が細長状(大型)の場合には、この被転写体を液圧転写用治具装置に対し長手方向に装着することがあり、この場合には転写開始から転写終了までの時間(いわゆるサイクルタイム)として比較的長く掛かり、且つ水中(液中)での移動距離も長くなる。この際、回収用マニピュレータが一基であればサイクルタイムが長くなり、転写用マニピュレータから液圧転写用治具装置(被転写体)を受け取る時間に間に合わず、装置を停止させてしまうトラブルを招き兼ねない。しかし、本発明では回収用マニピュレータが二基設けられるため、このようなトラブルを回避することができる。
また、被転写体保持枠が別体であるため、基部枠を搬送ラインの吊り下げフックに掛け止めする際、被転写体が取り付けられた面の裏(転写領域の反対側の面)からフレームでフックするにあたり、形状・大きさ・曲面の度合い等が種々異なる多彩な被転写体やその固定位置に影響を受けず、共通した基部枠を使用できる。このため液圧転写用治具装置のフック位置を常に同じ位置に設定することができ、マニピュレータによる掛け止め位置やタイミングの設定を簡単にできる。
また、転写パターンとしては、従来より公知、市販されているパターンいずれも問わない。すなわち迷彩模様のパターン、木目模様のパターン、金属(光沢)模様のパターン、大理石模様などの岩石の表面を模した石目模様のパターン、布目や布状の模様を模した布地模様のパターン、タイル張り模様・レンガ積み模様などのパターン、幾何学模様、ホログラム効果を有するパターン等の各種パターンが挙げられ、更にはこれらを適宜複合したものでも構わない。なお、上記幾何学模様については、図形はもちろん文字や写真を施したパターンも含むものである。
また転写インクは、水溶性フィルム上に乾燥状態で付着形成されており、転写を行う直前に活性剤の塗布によって転写可能な状態とするものである(いわゆる活性化)。
一方、被転写体Wにおいて装飾層が形成されない面(液圧転写を要しない面)を装飾不要面S2とし、ここには上記フィルムカス、泡などが付着しても構わないものである(例えば意匠面S1側から回り込んだ転写パターンが歪んだ状態で転写されても構わないものである)。
このため換言すれば、意匠面S1は、完成品として被転写体W(液圧転写品)を最終的にアッセンブリ等として組み付けた状態において外観的に目視される部分となり、装飾不要面S2は、組み付け状態で外観的に目視されない部分であり意匠面S1の裏側となることが多い。
液圧転写装置1は、一例として図1〜3に示すように、転写液Lを貯留する転写槽2と、被転写体Wが取り付けられた液圧転写用治具装置8を保持して転写槽2に浮遊支持された転写フィルムFの上方から適宜の姿勢で被転写体Wを没入させる転写用マニピュレータ3と、転写後に転写用マニピュレータ3から液圧転写用治具装置8を受け取り、転写後の被転写体Wを転写液Lから出液させる(転写槽2から引き上げる)回収用マニピュレータ4とを具えて成るものである。
また転写槽2は、転写フィルムFを転写液面上に供給する転写フィルム供給機構5を具え、更には転写液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持するフィルム保持機構6を具える。
また転写槽2の周囲には、液圧転写工程を含め、その前後の工程間において被転写体Wを移送する搬送ライン7Lが設けられるものであり、この搬送ライン7Lを構成する搬送装置7は、被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を吊り下げ姿勢で搬送する(図2参照)。
以下、液圧転写装置1を構成する各部材について説明する。
転写槽2は、液圧転写を行うにあたり、転写フィルムFを浮遊支持する部位であり、転写液Lをほぼ一定の液レベル(水位)で貯留できる転写槽本体としての処理槽21を主な構成部材とする。このため処理槽21は天面が開口され、前後左右が壁面で囲まれた有底状を成し、特に処理槽21の左右両サイドを構成する両側壁に符号22を付すものである。
ここで処理槽21において被処理体Wが転写液L中に投入され、転写が行われる部位を転写領域A1とする。因みに、液圧転写においては、被転写体Wの没入と同時に転写が実行・完了するものである。また、被転写体Wを転写液Lに没入させる角度(没入角)は、被転写体Wが没入し始めてから没入し終わるまで必ずしも一定に維持するとは限らないし、これは出液角についても同様であり、被転写体Wが出液し始めてから出液し終わるまで必ずしも一定に維持するとは限らない。
ここで送風機24による送風は、転写フィルムFに直接、風を作用させる(当てる)ものである。
また、送風機24は、転写フィルムFの下流側への移送作用を補助的に担うものであるため、その送風方向は、専ら上流側から下流側に向かう一方向である。もちろん、送風機24の取付位置も、転写槽2の幅方向中央(流れ方向中央)に設定されるものである。
なお、フィルム保持機構6としては、上記ベルト61の他、チェーンや比較的太いロープ・ワイヤ等も適用することができる。
転写フィルム供給機構5は、上述したように転写槽2(処理槽21)に転写フィルムFを供給する機構である。
なお転写フィルムFは、転写槽2に供給されるにあたり、事前に活性剤が塗布され、転写可能な状態となって転写領域A1に供給される。すなわち、転写フィルムFには、上述したように、水溶性フィルム上に転写パターンがインクによって事前に形成(印刷)されており、転写パターンのインクは乾燥状態にある。このため転写に際しては、転写フィルムF上の転写パターンに活性剤やシンナー類を塗布して、転写パターンを印刷直後と同様の湿潤つまり付着性を発現させた状態に戻す必要があり、これが活性化と称される。
因みに、転写フィルムFを活性化するタイミングは、活性化させた後に転写槽2に供給するだけでなく、液面上に供給してから活性剤を塗布して活性化させるようにしても構わない。
転写用マニピュレータ3は、上述したように、液圧転写用治具装置8に取り付けられた被転写体Wを、適宜の姿勢(没入姿勢)で転写液面下に没するように押し当てるものであり、没した際の転写液Lの液圧によって、転写フィルムFの加飾模様(転写パターン)が被転写体Wに転写される。
被転写体Wを没入させるにあたりマニピュレータ(多関節型ロボット)を適用するのは、被転写体Wを没入させる姿勢(角度)は、被転写体Wの形状・大きさ・曲面の度合いによって異なり、またどのような加飾模様を施すのか等によっても異なるものであり、マニピュレータを適用することで微妙な姿勢設定が行えるためである。被転写体Wを没入させる装置として、従来は、いわゆる三角コンベヤが適用されており、これがマニピュレータに移行してきたものであり、これはより精緻に転写を行うためである。
なお、本実施例では、上記転写用マニピュレータ3は、被転写体Wを適宜の姿勢で転写液中に没入させるだけでなく、搬送装置7から取り外す作用(正確には被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を取り外す作用も)も担っている。また、転写用マニピュレータ3は、転写槽2を挟んでその側傍、つまり転写槽2の左右に対向的に設けられる。ここで、これらを区別して示すには左側の転写用マニピュレータに「3L」の符号を付し、右側の転写用マニピュレータに「3R」の符号を付すものである。
また保持フィンガー31は、一対のフィンガー要素32が内拡状に拡開して(一対のフィンガー要素32が互いに外側に拡がるようにして)液圧転写用治具装置8(枠部材)を固定保持するように構成される。ここでフィンガー要素32が内拡状に拡開する方向は、平面視矩形状を成す液圧転写用治具装置8の長手方向(転写槽2の長手方向)でもよいし、幅方向(転写槽2の幅方向)でもよい。
なお、保持フィンガー31で液圧転写用治具装置8を保持する際、一対のフィンガー要素32が内拡状に拡開することにより、たとえ一方のフィンガー要素32による液圧転写用治具装置8(枠部材)の保持が途中で外れてしまっても、液圧転写用治具装置8は、もう一方のフィンガー要素32にぶら下がるようになり、落下し難いものである。逆に言えば、かりに一対のフィンガー要素を32を互いに内側に接近させるようにして液圧転写用治具装置8を挟み込んで保持する場合には、一方のフィンガー要素32による保持が外れると、もはや液圧転写用治具装置8を保持することはできず、移送中に液圧転写用治具装置8(被転写体W)を落下させてしまうものである。
転写用マニピュレータ3が保持対象とするのは、搬送装置7によって搬送され、常に移動している液圧転写用治具装置8の枠部材である。つまり保持対象となる枠部材は、常に移動しており、刻々と位置が変化して行く。そのため、フィンガー要素32の実質的な保持部33を導芯状とすることで、多少、保持対象(枠部材)の位置がずれていてもチャッキング保持する際に自動的に芯合わせが行われ、液圧転写用治具装置8においてほぼ同じ位置を保持することができる。もちろん、このような芯合わせ作用は、液圧転写用治具装置8を確実に保持することにもなる(安定チャッキング)。
なお、搬送装置7による移動によって液圧転写用治具装置8は多少の振動を伴うことも考えられる。しかしながら、このような振動(ブレ)が液圧転写用治具装置8に生じても、上記のような保持部33の芯合わせ作用により、このような振動(ブレ)も吸収され、より正確な位置で液圧転写用治具装置8を確実に保持することができる。もちろん転写用マニピュレータ3による液圧転写用治具装置8の保持が確実に行えることは転写時の柄歪み発生も抑制でき、精緻な液圧転写が行えるものである。
そして、フィンガー要素32の保持部33は、例えば図1・図5に示すように、保持状態で液圧転写用治具装置8の枠部材をテーパ溝内に収め入れるように形成されるため、チャッキング時には、フィンガー要素32と枠部材との間に隙間が形成されず、移動中などにおいて当該隙間に起因するスライドやガタツキが発生することがなく、精緻且つ安定した転写が行える。特に量産では、液圧転写用治具装置8は、複数の枠部材(特に後述する基部枠80)を必要とするものであり、枠部材ごとに長期使用による変形や撓みが生じたり、あるいは枠部材を製作する際に太さが微妙に変わったりすることもある。しかし、上記構造のフィンガー要素32(保持部33)であれば、枠部材に上記のような変形や撓み、太さの違い(バラツキ)が生じても、確実に枠部材をキャッチすることができ、安定した液圧転写に寄与する。
因みに、テーパ状以外の導芯状構造としては、保持部33の一方のみを傾斜状に形成した勾配状も挙げられる。
なお、液圧転写用治具装置8を保持する保持フィンガー31を転写液Lに漬けない非浸漬思想は、転写用マニピュレータ3だけでなく、回収用マニピュレータ4においても適用する共通の思想である。
回収用マニピュレータ4は、上述したように転写後、被転写体Wが取り付けられた液圧転写用治具装置8を、転写用マニピュレータ3から受け取り、転写液中に没した被転写体Wを転写槽2から引き上げるものである。
また、当該回収用マニピュレータ4は、転写槽2から引き上げた被転写体Wを、液圧転写用治具装置8に取り付けた状態で、搬送装置7に吊り戻す(掛け戻す)作用も担うものである。
また、本実施例では、回収用マニピュレータ4は、基本的に転写槽2の下流側側傍に一基設けるものであり、このため前記転写槽2の上流側の左右に配置された二基の転写用マニピュレータ3L・3Rから液圧転写用治具装置8(被転写体W)を交互に受け取り、これを搬送装置7に吊り戻すような作動となる。もちろん、回収用マニピュレータ4も、転写槽2の下流側で左右に二基対向的に設けることが可能である。特に被転写体Wが転写槽2の幅寸法(実際には転写槽2の側部にはフィルム保持機構6(ベルト61)が設けられるため、転写槽2の幅寸法よりも狭い転写可能な幅寸法)よりも長尺となる場合には、被転写体Wを液圧転写用治具装置8に対し長手方向に装着することになり、転写開始から転写終了までの水中(液中)に潜っている時間が長くなり、且つ液中での移動距離も長くなる。このため転写用マニピュレータ3の作動速度としても低速とする時間が増加する。この際、回収用マニピュレータ4が一基であると、転写用マニピュレータ3から液圧転写用治具装置8(被転写体W)を受け取る時間に間に合わず、装置を停止させてしまうトラブルを招き兼ねない。しかし、回収用マニピュレータ4を二基設けることにより、このようなトラブルを回避することができる。
なお、回収用マニピュレータ4そのものの基本構造は転写用マニピュレータ3と同様であり、特に回収用マニピュレータ4の保持フィンガー、フィンガー要素、保持部(実質的な保持部)に、順次「41」、「42」、「43」の符号を付す。
もちろん、被転写体Wを転写液中から出液させた後は、もはや意匠面S1を汚損してしまうことはないため、回収用マニピュレータ4の作動速度を更に速めることができる。
搬送装置7は、上述したように、複数の被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を、液圧転写工程を含めた各工程間において移送する装置である(特にここでは液圧転写用治具装置8は吊り下げ姿勢で搬送される)。
すなわち被転写体Wは、例えば液圧転写を受けるにあたり、事前に被転写面(意匠面S1)の汚れ除去や紫外線照射が成され、意匠面S1に転写インクが載りやすい状態にされる(いわゆる前処理工程)。これは、被転写体Wの素材として、転写パターンが強固に密着し難い素材、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン等の素材で形成されている場合に、転写パターンの密着性を高めるために被転写体Wに施す処理である。
また、液圧転写後の被転写体Wには、通常、液圧転写を施した意匠面S1に、液圧転写によって形成した転写パターンを硬化させ、表面保護を図るためのトップコートが施される(いわゆる後処理工程)。
そして、このような前処理工程及び後処理工程は、液圧転写工程に対し一連の流れとして行うことが、製造効率の点から好ましく、このため各工程間を通過するように被転写体Wを移送する搬送ライン7Lが構成され、これが当該搬送装置7である。
このため搬送ライン7Lは、一例として図2に示すように、転写槽2の上流側(転写領域A1よりも上流側)と転写槽2の下流側(転写領域A1よりも下流側)とを通過する(横切る)ように形成される。ここでは転写槽2の周辺における搬送ライン7Lは、転写領域A1を半ば取り囲むような、ほぼ周回状の搬送軌道を描くように形成されている。
各ハンガー73には、吊り下げ体74を介して、複数の被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を係止状に吊り下げるための吊り下げフレーム75が設けられる。
ここで吊り下げ体74は、一例として図1に示すように、レール71との干渉を避けるため縦断面視略コ字状を呈する枠部741と、この枠部741の下部(ほぼレール71の真下)に垂下状に設けられるバー742とから成り、当該バー742の下端に、前記吊り下げフレーム75が設けられる。
吊り下げフレーム75は、一例として図1・図3に示すように、一本の横杆(水平杆)751を上方に設けるとともに、その両端部に二本の縦杆(垂直杆)752を垂下状に設けて成り、吊り下げフレーム75全体として縦方向(上下方向)に略門形を成すフレーム面75Sが構成される。また横杆751のほぼ中央から左右の縦杆752に対し、斜めの補強杆753を設け、吊り下げフレーム75全体の強度アップを図っている。
更に、上記縦杆752の中央部と下端部に吊り下げフック76が上向きに設けられ、ここに液圧転写用治具装置8が掛止される。すなわち、本実施例では一基の吊り下げフレーム75において計四カ所の吊り下げフック76が設けられるものであり、この計四カ所の吊り下げフック76で液圧転写用治具装置8(被転写体Wを保持した液圧転写用治具装置8)を掛止する構成となっている。なお、液圧転写用治具装置8のフック位置は、液圧転写用治具装置8の基部枠80のどの部分でもよいが、被転写体Wが取り付けられた面の裏(転写領域A1の反対側の面)から液圧転写用治具装置8の杆状要素(後述する被掛止ロッド81D)をフックさせるとよい。これは、被転写体Wが取り付けられた際の重心のバランスが取り易いことや、繰り返しの転写でも入液せず汚れにくい部位なのでフックする際の摩擦によるインクカスによるゴミブツの落下不良の抑制にも貢献するためである。
このように、搬送装置7は、搬送ライン7Lが転写領域A1よりも上流側(上方)及び転写槽2の下流側(上方)との双方で転写槽2の上空を通過するように形成されており、搬送装置7によって上流側上方まで搬送された被転写体Wは、ここで転写用マニピュレータ3によって間接的に保持されて、搬送装置7の吊り下げフレーム75から取り外され、転写液中に没入される(各被転写体Wは没入と同時に液圧転写が施される)。また液圧転写後の被転写体Wは、転写液中への没入状態で、回収用マニピュレータ4に受け渡され、今度は、この回収用マニピュレータ4によって転写槽2の下流側上方まで移送され搬送装置7の吊り下げフレーム75に掛け戻される。
ここで搬送ライン7Lにおける軌道中、転写用マニピュレータ3が転写を行うために、搬送中の液圧転写用治具装置8(被転写体W)を取り外す部位を「取り外し領域B1」とする(図2参照)。また、搬送ライン7Lにおける軌道中、回収用マニピュレータ4が転写後の被転写体W(液圧転写用治具装置8)を掛け戻す領域を「掛け戻し領域B2」とする。
液圧転写を行うにあたっては、一回の没入動作でできる限り多くの被転写体Wを没入させることが効率的である。このため、通常、液圧転写用治具装置8には、複数の被転写体Wが取り付けられ、複数の被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を転写用マニピュレータ3によって保持して、一挙に転写液Lに没入させることで転写を効率良く行うものである。
上面側の掴持受け枠81Aは、平面視で流れ方向中央部より前後両側に寄った部位であって、後方(流れ方向上流側)に位置する範囲に転写掴持受けゾーンZ1が形成され、ここが転写用マニピュレータ3によって保持される(図7(a)参照)。因みに、転写用マニピュレータ3は、転写槽2を挟んで左右に設けられるため、各転写用マニピュレータ3L・3Rによって保持される転写掴持受けゾーンZ1も、左右に寄った位置となっている。
一方、前記掴持受け枠81Aにおいて前方(流れ方向下流側)に位置する範囲に、回収掴持受けゾーンZ2が形成されており、ここが回収用マニピュレータ4によって保持される。
また、当該掴持受け枠81Aにおける転写掴持受けゾーンZ1と回収掴持受けゾーンZ2との間に中間ゾーンZ3が形成される。この中間ゾーンZ3は、転写用マニピュレータ3から回収用マニピュレータ4に、被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8を受け渡す際の、干渉防止エリアとして機能する。すなわち転写掴持受けゾーンZ1と回収掴持受けゾーンZ2との間に明確な中間ゾーンZ3を設けることで、双方のマニピュレータ3・4による被チャッキング部に明確な距離間隔を設定し(一定のスペースを確保して保持位置を確実に異ならせるようにし)、受け渡し時の双方の干渉を確実に避けるものである。もちろん、このような中間ゾーンZ3を実質的な距離空間として存在させることで、双方のマニピュレータ3・4間での受け渡しがスムーズに行えるものである。
また、中間ゾーンZ3を設けることにより、その前後に位置する転写掴持受けゾーンZ1と回収掴持受けゾーンZ2が狭まり、これは各マニピュレータが液圧転写用治具装置8(掴持受け枠81A)をチャッキングする際の距離が短くなることにつながり、各マニピュレータがチャッキングに要する時間の短縮化につながる(各マニピュレータが液圧転写用治具装置8を素早く保持することができる)。
また中間ゾーンZ3を設けることによって、前記搬送装置7の吊り下げフック76に掛ける部位としても中間ゾーンZ3の枠部材(杆状要素)を共用でき、吊り下げフック76同士の間隔を狭くすることができる。そのため吊り下げ体74そのものをコンパクトに形成でき、軽量化且つ低コストな設計に貢献する。
また、この前後方向(流れ方向)にわたって配設された杆状要素自体は、左右方向にわたって配設された杆状要素よりも短い寸法に形成されている。
これにより(転写用マニピュレータ3が、長い間隔を有して配設された前後方向の杆状要素を保持することにより)、短い間隔を有して配設された左右方向の杆状要素を保持した場合に比べ、保持したときの液圧転写用治具装置8のブレを抑える効果を奏する。なお、長い間隔を有して配設された前後方向の杆状要素を保持することが好ましいのは、回収用マニピュレータ4についても同様である。
なお、被転写体保持枠82は、平面視、ほぼ正方形状を成すように形成され、その一辺の長さは、前記掴持受け枠81Aの長手方向寸法とほぼ同一である。そして、ディスタンスロッド81Bの長さは、平面視、正方形状に形成される被転写体保持枠82の一辺の長さ(つまり前記掴持受け枠81Aの長手方向寸法)に対して0.2〜0.6倍で形成されるものであり、例えば実際の長さとしては12cm〜36cm程度となる。ここで0.2〜0.6倍としたのは、0.2倍未満であると、被転写体保持枠82に取り付けた被転写体Wを全て転写液中に没入させた状態では、被転写体Wの形状に応じて、掴持受け枠81A(これを保持するマニピュレータ)が、転写液Lに漬かってしまい、その水没(液没)した部位のフィルムカスの発生や水滴の落下による被転写体W(意匠面S1)のゴミや歪みといった不良を引き起こす原因となるためである。また0.6倍を越えると液圧転写用治具装置8の移動に伴う被転写体Wのブレ(振動)が起こり易くなり、液面上の転写フィルムFとの接触部の振動で柄歪みの原因となるため、避けることが望ましいものである。
なお、被転写体Wや液圧転写用治具装置8の搬送装置7への吊り下げ姿勢については後述する。
このように、本実施例における液圧転写用治具装置8は、搬送装置7に吊り下げられる部分の基部枠80と、被転写体Wが取り付けられる部分の被転写体保持枠82とが、別々に形成され、着脱自在に接続される(着脱自在構造については後述)。
このため、ディスタンスロッド81Bの下部には、平面視で被転写体保持枠82とほぼ同じサイズ(実際には被転写体保持枠82の外形よりも一回り小さいサイズ)の着脱用枠81Cがディスタンスロッド81Bと一体に形成され、これも基部枠80に含まれる。すなわち、本実施例では、掴持受け枠81Aとディスタンスロッド81Bと着脱用枠81Cとが一体となって基部枠80が形成され、この基部枠80に対し、このものと別体形成された被転写体保持枠82を着脱自在に取り付けるものである。なお、上記説明では、ディスタンスロッド81Bを掴持受け枠81Aと一体形成するように説明したが、ここでの「一体」とは、例えばディスタンスロッド81Bや掴持受け枠81Aを構成する各部材(パーツ)を、当初、別々に用意しておき、これらパーツを後から溶接等で接合して立体枠状に一体化形成するのが一般的である(一本の線状部材を折り曲げてディスタンスロッド81Bと掴持受け枠81Aを一体形成するという意味ではない)。
なお、基部枠80に対し着脱自在に取り付けられる被転写体保持枠82は、被転写体Wに対する専用部材であり、一方、基部枠80は、どのような被転写体Wに対しても使用できる汎用部材となる。言い換えれば、基部枠80を汎用部材として共通使用するために、被転写体保持枠82を着脱自在構造とし、この被転写体保持枠82のみ被転写体Wに応じて製作するものである。
被転写体保持枠82は、一例として図6に示すように、適宜の長さを有する断面L字状のアングル材を四辺に配し、各々端部を溶接等で接合して成る枠部材である。ここで四辺を構成するアングル材は、L字状断面の一面を下方に向け、且つもう一つの面を外周側に向けるように配置される。また、このようにして形成された被転写体保持枠82には、適宜の部位に補強部材が設けられるとともに(流れ方向中央部など)、被転写体Wを取り付けるための部材が設けられる。
ここで被転写体Wを被転写体保持枠82に取り付ける手法について説明する。
被転写体Wには、意匠面S1の裏側である装飾不要面S2や端縁部に、被転写体Wを実製品として組み付けるためのボス孔やピンあるいはツメ等が形成されることがある。また、被転写体Wには意匠面S1を貫通するような開口部が形成されることがある。更にまた装飾不要面S2には、成型等の際に被転写体Wの意匠面S1に生じ得る変形を防止するためのリブ等が立設されることがある。そのため、このような部位を利用して、被転写体Wを被転写体保持枠82に取り付けるのが一般的であり、被転写体保持枠82には、これに対応した被取付部が設けられる。もちろん被転写体Wに、何も取り付けに利用できるものがない場合には、両面テープを利用して被転写体Wの裏側を被転写体保持枠82に貼り付けることもあり得る。
なお、説明にあたっては、例えば転写槽2の上空で基部枠80(着脱用枠81C)がほぼ水平な状態を呈した姿勢を基準にして説明する。ただし基部枠80(着脱用枠81C)に被転写体保持枠82を装着した状態で、液圧転写用治具装置8(掴持受け枠81A)を搬送装置7に吊り下げた状態で視れば、被転写体保持枠82に取り付けられた被転写体Wは、下方から先に転写液Lに没入して行き、転写時には流れ方向前方側を向く。また搬送装置7への吊り下げ姿勢で、被転写体Wの上方側は、後から転写液Lに没入する方となり、転写時には流れ方向後方側を向く。このため場合によっては、このような吊り下げ姿勢に則した方向、例えば流れ方向の前後なども併せて用いることがある。
また、以下の説明では、着脱用枠81Cの外周側に、被転写体保持枠82を外嵌めする装着形態として説明する。
簡易式着脱構造9としては、一例として図6に示すように、まず被転写体保持枠82の後方枠(後方側の枠部)に、縦断面視でL字状を成すフック91を設ける(ここでは流れ方向中央からほぼ等距離離れた二カ所)。具体的には、L字状を成すフック91の一平面が、被転写体保持枠82の後方枠を形成する立壁部分に重ね合わせるように設けられ、且つ上記フック91のもう一平面が、水平になるように設けられる。
そして、被転写体保持枠82を着脱用枠81Cに外嵌めした装着状態では、着脱用枠81Cの後方枠が、このフック91(水平を成す部分)と係止するように嵌めるものであり、これにより被転写体保持枠82の重力落下を防止する。
このように被転写体保持枠82を着脱用枠81Cに装着した状態では、被転写体保持枠82は、後方側のフック91と、前方側の係合片92とを着脱用枠81Cの後方枠・前方枠に各々係合させるものであり、これによって装着が成される。
転写時には被転写体Wを取り付けた液圧転写用治具装置8の前方を後方よりも下げた傾斜状態として、被転写体Wを前方側から転写液Lに没入させる(図1・図4参照)。この場合、かりに前方側のバネ作用を有する係合片92が着脱用枠81Cから外れてしまっても、後方側は外れにくいフック91であるため、被転写体保持枠82(被転写体W)の着脱用枠81Cからの落下(完全脱落)を防止することができる。
ただし、例えば被転写体保持枠82の枠部を平面視、幅広状の太い部材で形成した場合や簡易式着脱構造9の構造等によっては、被転写体保持枠82が転写液中に没した際、泡が発生し易いことがあり(この泡が意匠面S1に付着すると転写不良になる)、そのような場合には泡の発生しにくい方向を優先して没入させるものであり、被転写体保持枠82の前方側にフック91を位置させることもある。
次に、他の簡易式着脱構造9について説明する。
他の簡易式着脱構造9としては、一例として図6の部分図に示すように、上記フック・バネ着脱構造9Aの係合片92を回動掛止式の着脱係合にしたものが挙げられる(これを回動掛止式着脱構造9Bとする)。
回動掛止式着脱構造9Bは、例えば前記係合片92に替えて、ほぼ90度回転する回動バー94を被転写体保持枠82の上部に回動自在に取り付けて成るものである。ここで当該回動バー94の回動位置は、例えば90度の角度差を有した二つの位置を選択する二位置切替式とすることが可能である。
そして、装着時には、着脱用枠81Cに対し被転写体保持枠82を外嵌めした状態で、回動バー94を枠部材の内側に張り出させた状態に回動させて、両者の掛止を図るものである。一方、このような掛止状態から被転写体保持枠82を取り外すには、前記回動バー94を90度回動させて、被転写体保持枠82の枠部材に沿った位置にさせ(枠部材の内側に張り出さないようにし)、掛止状態を解除するものである。
なお上記図6の回動掛止式着脱構造9Bは、被転写体保持枠82を板材や角材など幅広状の太い部材で形成したイメージで図示している。
また、このような回動バー94は、前記フック91の位置(被転写体保持枠82の後方側)にも設けることができ、この場合には、被転写体保持枠82の前方及び後方の簡易式着脱構造9が、当該回動掛止式着脱構造9Bで構成される。
また、フック・バネ着脱構造9Aや回動掛止式着脱構造9B以外の簡易式着脱構造9も考えられ、例えば図示を省略するパッチン錠も適用できる。すなわち、上記フック91または係合片92に替えて、パッチン錠を被転写体保持枠82に設けることが可能である。
なおパッチン錠そのものは、掛け止め枠を有したレバーを具えて成るものであり、その操作(装着した被転写体保持枠82を着脱用枠81Cから外れないようにする操作)は、掛け止め枠を被係止部に掛け留めた状態でレバーを施錠方向に倒すことで双方の係合(ここでは被転写体保持枠82と着脱用枠81Cとの掛け止め)を図るものである。
このように簡易式着脱構造9は、作業者の手動操作のみで容易に着脱操作が行える構造を指すものである(言わばワンタッチ操作)。因みに、簡易式着脱構造9に該当しない取付構造(着脱構造)としては、例えばボルトやネジによって被転写体保持枠82を着脱用枠81Cに複数箇所(多数箇所)で螺合締結した場合を指し、これは取付解除にあたり、ドライバーやスパナ等の道具が別途必要となるためである。もちろん例えば溶接等で被転写体保持枠82を着脱用枠81Cに接合した場合も、当然ながら簡易式着脱構造9に該当しない。
そして、被転写体Wが当該搬送装置7によって搬送ライン7Lの取り外し領域B1に搬送される際には、被転写体Wの意匠面S1が、転写領域A1の反対側を向いた状態(吊り下げ姿勢)で搬送されるものである。且つ、被転写体Wは、この吊り下げ姿勢における下方側から転写用マニピュレータ3によって転写液中に没入されるものである。
これにより、転写用マニピュレータ3が液圧転写用治具装置8を搬送装置7から外し、転写槽2に移動させる動作として無理がなく、取り外しから没入動作までがスムーズな動作で行えるものである。
(1)搬送装置による吊り下げ搬送
まず複数の被転写体Wが液圧転写用治具装置8に取り付けられた状態で、搬送装置7に吊り下げられた状態で搬送される。この搬送ライン7Lは、一例として図2に示すように、転写槽2の上流側(転写領域A1よりも上流側)と転写槽2の下流側(転写領域A1よりも下流側)とを通過する(横切る)ように形成されている。もちろん、転写槽2の上流側の取り外し領域B1に搬送されてくる被転写体Wは未転写の状態(未転写の被転写体W1)であり、転写槽2の下流側の掛け戻し領域B2において搬送装置7に掛け戻される被転写体Wは転写を終えた状態(転写済みの被転写体W2)である。
また、被転写体Wは、搬送装置7による搬送中(特に取り外し領域B1)、液圧転写が施される意匠面S1が、転写槽2における転写領域A1の反対側を向く吊り下げ姿勢で搬送され、且つ、被転写体Wは、この吊り下げ姿勢における下方から転写液Lに没入されるものであり(図4参照)、換言すれば被転写体Wは、先に没入される側が下向きとなるような吊り下げ姿勢に設定されている。
また、液圧転写用治具装置8を搬送装置7の吊り下げフック76に掛け止めした状態は、一例として図1に示すように、吊り下げフレーム75が相対的にディスタンスロッド81Bの間を潜り抜けるような状態で被転写体保持枠82の裏側に差し込まれ(実際にはディスタンスロッド81Bを移動させる)、液圧転写用治具装置8における上段及び中段の被掛止ロッド81Dが吊り下げフレーム75の吊り下げフック76に引っ掛けられている。そのため前記吊り下げフレーム75は、中央上部のディスタンスロッド81Bとの干渉を避けるように形成されている。
搬送装置7によって被転写体W(液圧転写用治具装置8)が、取り外し領域B1まで搬送されると、ここで転写用マニピュレータ3が液圧転写用治具装置8を保持して被転写体Wを搬送装置7から取り外すものである。
転写用マニピュレータ3が液圧転写用治具装置8を保持する部位は、転写掴持受けゾーンZ1であり、ここは転写時に上向きとなる掴持受け枠81Aにおいて、平面視で流れ方向中央部より両側に寄った部位であって、後方(流れ方向上流側)に位置する範囲となる。ここで「両側に寄った部位」という記載は、対向配置する転写用マニピュレータ3のうち、左側の転写用マニピュレータ3Lは、流れ方向中央部より左側に寄った部位を転写掴持受けゾーンZ1とし、右側の転写用マニピュレータ3Rは、流れ方向中央部より右側に寄った部位を転写掴持受けゾーンZ1とすることを意味する。すなわち、左右の転写用マニピュレータ3L・3Rは、ともに掴持受け枠81Aの後方側(吊り下げ姿勢では上方側)を保持するものの、各マニピュレータは各々に近いサイド寄りの位置(偏在位置)を保持するものである。これにより、液圧転写用治具装置8(つまり被転写体W)を搬送装置7から取り外す作業ひいては次の転写液Lへの没入動作が遅延することなく行えるものである。
保持フィンガー31は、一対のフィンガー要素32が内拡状に拡開して、すなわち一対のフィンガー要素32が互いに外側に拡がるようにして、液圧転写用治具装置8を保持する。この際、フィンガー要素32の保持部33は、例えば図1・図5に示すように、掴持状態で液圧転写用治具装置8の枠部材を、保持部33内に収め入れるようなテーパ溝状に形成される。このため保持フィンガー31が液圧転写用治具装置8を保持する際、一対のフィンガー要素32が内拡状に拡開することにより、たとえ一方のフィンガー要素32による液圧転写用治具装置8の保持が途中で外れてしまっても、液圧転写用治具装置8は、もう一方のフィンガー要素32にぶら下がるようになり、落下し難いものである。
またフィンガー要素32において、液圧転写用治具装置8を挟む実質的な保持部33が、一例として図1・図5に示すように、テーパ状等の導芯状に形成された場合には、多少、保持対象である液圧転写用治具装置8の位置がずれていてもチャッキング保持する際に自動的に芯合わせが行われ、ほぼ同じ位置を保持することができる。もちろん、このような芯合わせ作用によって、液圧転写用治具装置8を確実に保持することができる。
また転写用マニピュレータ3によって保持される掴持受け枠81A(杆状要素)は、平面視で流れ方向(転写槽2の長手方向)の間隔が、左右方向の間隔(転写槽幅方向の間隔)よりも長く形成されている。また流れ方向にわたって配設された杆状要素は、左右方向にわたって配設された杆状要素よりも短い寸法に形成されており、前記転写用マニピュレータ3も、流れ方向にわたって配設された杆状要素を保持するものである。これにより、短い間隔を有した左右方向に配設された杆状要素を保持した場合に比べ、保持したときの液圧転写用治具装置8のブレを抑える効果を奏する。もちろん転写用マニピュレータ3のフィンガー要素32が内拡状に拡開する方向は、流れ方向に限定されるものではなく、転写槽2の幅方向でも構わない。
搬送装置7から液圧転写用治具装置8(被転写体W)を取り外す動作としては、一例として図4に示すように、まず吊り下げフック76との掛け止めを解除すべく、転写用マニピュレータ3で保持した液圧転写用治具装置8を、一旦上方に上げながら(あるいは上げた後)、転写領域A1の反対側(搬送装置7の外周側)に少し移動させることで、液圧転写用治具装置8が吊り下げフレーム75に干渉することを避けるようにし、後はそのまま吊り下げフレーム75の下方をくぐり抜けるように液圧転写用治具装置8を移動させるものである。
このようにして搬送装置7から取り外され液圧転写用治具装置8(被転写体W)は、ひき続き転写用マニピュレータ3によって転写槽2の転写領域A1に移送され、適宜の姿勢(前方を向いて下向きとなる姿勢)で、転写液中に没入される(液圧転写される)。
このように本実施例では、被転写体Wは、搬送装置7による搬送中、意匠面S1が転写領域A1の反対側に向けられており、且つ搬送装置7による吊り下げ姿勢で下向きであった方から転写液Lに没入されるものであり、このために転写用マニピュレータ3は無理な動きを強いられることなく、搬送装置7からの取り外し動作〜転写液Lに没入させるまでの一連の動作が、半ば円弧を描くようなスムーズな軌道で行うことができる。もちろん転写用マニピュレータ3がこのようなスムーズな動作で転写まで行えるために、液圧転写そのものも確実に且つ精緻に行えるものである。
なお、被転写体Wを転写液Lに没入させる際には、当然ながら転写槽2の転写領域A1では、活性化された転写フィルムFが液面上に供給されており、被転写体Wは、この転写フィルムFを突き破るようにして、液面下に進入する。また、転写液中では、上記突き破られた転写フィルムFが、被転写体Wの表面に付着するようになり、この転写フィルムFが液圧によって被転写体Wの表面(意匠面S1)に強固に密着する(転写がなされる)。
このように液圧転写中、被転写体Wは、転写液中に没した状態となる。しかしながら、転写用マニピュレータ3については、特に液圧転写用治具装置8を保持する保持フィンガー31が、液面上に出た状態(非浸漬状態)を維持する(図4・図5参照)。このため液圧転写用治具装置8の上部である掴持受け枠81Aも、転写時及びその前後において、継続して転写液Lに漬からないものである。
なお、前方が下向き姿勢で没入される全ての被転写体Wが没したら、液圧転写用治具装置8は、回収用マニピュレータ4への受け渡しに備えて、例えば被転写体Wの没液状態を維持したまま、ほぼ水平な状態に戻されるが(つまり被転写体Wの後方側を更に沈めるような動作となる)、このときも保持フィンガー31や掴持受け枠81Aは、非浸漬状態を維持するようにする。逆に言えば、このような非浸漬状態が得られるように、前記ディスタンスロッド81Bの長さを設定するものであり、具体的には例えば掴持受け枠81Aの流れ方向寸法(長手方向寸法)の0.2〜0.6倍程度の長さとする。
もちろんディスタンスロッド81Bの長さが長いほど、保持フィンガー31や掴持受け枠81Aは、転写時に被転写体Wを没入させても非浸漬状態を維持し易いが、ディスタンスロッド81Bの長さが長すぎる場合には、転写時における液圧転写用治具装置8の移動に伴い、被転写体Wにブレが生じ易くなり、これが柄歪みなどの不良の要因になり得る。このため、ディスタンスロッド81Bは、上記範囲の寸法内に収めるようにしている。
その後、液圧転写用治具装置8は、転写用マニピュレータ3から回収用マニピュレータ4に受け渡される。なお、この受け渡しにおいては、例えば転写用マニピュレータ3による液圧転写用治具装置8の移動を一旦停止させた状態で行うことが好ましい(被転写体Wは上記のように液面下でほぼ水平な状態)。この場合、転写用マニピュレータ3は、一例として図5に示すように、液圧転写用治具装置8をほぼ水平に維持した状態で一旦停止し、回収用マニピュレータ4が保持しに来るのを待機するような態様となる。これにより回収用マニピュレータ4は、停止中の(移動していない)液圧転写用治具装置8の掴持受け枠81Aを保持すればよく、確実な受け渡しが行えるものである。
もちろん回収用マニピュレータ4が液圧転写用治具装置8を保持したら、転写用マニピュレータ3による保持は解除される。具体的には、保持フィンガー31における一対のフィンガー要素32を互いに内側に接近させるようにして液圧転写用治具装置8から離反させ保持を解除する。
回収用マニピュレータ4が液圧転写用治具装置8を保持する部位は、回収掴持受けゾーンZ2であり、ここは転写時に上向きとなる掴持受け枠81Aにおいて、平面視で流れ方向中央に寄った部位であって、前方(流れ方向下流側)に位置する範囲となる(図7(a)参照)。
回収掴持受けゾーンZ2は、掴持受け枠81Aにおいて転写掴持受けゾーンZ1から中間ゾーンZ3を隔てられた部位であり、このことは回収用マニピュレータ4と転写用マニピュレータ3とが液圧転写用治具装置8を保持する領域が明確に異なることを示している。このため転写用マニピュレータ3と回収用マニピュレータ4とが干渉することなく、同一の液圧転写用治具装置8を確実に受け渡すことができる。
特にここでは上述したように、転写用マニピュレータ3と回収用マニピュレータ4とが同じ液圧転写用治具装置8を同時に保持する瞬間が存在し、このため転写掴持受けゾーンZ1と回収掴持受けゾーンZ2とが中間ゾーンZ3を隔てて明確に区別されていることは液圧転写を繰り返し行う上で極めて合理的である。
なお回収用マニピュレータ4の保持フィンガー41が液圧転写用治具装置8の掴持受け枠81Aを掴む保持動作等は、先に述べた転写用マニピュレータ3の場合と同様である。
このような引き渡し後、回収用マニピュレータ4によって、液圧転写用治具装置8に取り付けられた被転写体Wが転写槽2から引き上げられる。この出液にあたっては、例えば被転写体Wの前方を上向きとするように引き上げるものであり(図5参照)、実際には被転写体Wが没液中に回収用マニピュレータ4を操作して液圧転写用治具装置8を適宜傾けるものである。もちろんこのような動作に併せて、液圧転写用治具装置8を徐々に上昇させ、被転写体Wを転写液中から引き上げるものである。
なお、回収用マニピュレータ4の作動速度、特に被転写体Wが転写液中を移動する間は、液圧転写時の転写用マニピュレータ3の作動速度よりも速く設定することが好ましい。これは、回収用マニピュレータ4の速度を、例えば転写液Lの液流(これが液圧転写時の転写用マニピュレータ3の作動速度とほぼ同じ)より速くすることで、意匠面S1に転写した転写フィルムFにフィルムカスや泡等が付着しにくいようにするためである。
もちろん、被転写体Wが転写槽2から出液した後は、もっと速い速度で液圧転写用治具装置8(被転写体W)を移動させることが望ましく、これは特に本実施例では転写用マニピュレータ3が二基であるのに対し、回収用マニピュレータ4が一基設けられているためである。
このようにして転写槽2から引き上げられた被転写体Wは、液圧転写用治具装置8に取り付けられた状態で、搬送ライン7Lの掛け戻し領域B2まで移送され、ここで搬送装置7に掛け戻される(図2参照)。
なお、搬送装置7に掛け戻される被転写体W(転写済みの被転写体W2)は、液圧転写が施された意匠面S1が、転写槽2における転写領域A1の反対側を向く吊り下げ姿勢で掛け戻される。
因みに、回収用マニピュレータ4による搬送装置7への掛け戻し動作は、転写用マニピュレータ3による取り外し動作の逆になる。
また、転写領域A1で液圧転写用治具装置8(被転写体W)を回収用マニピュレータ4に受け渡した後の転写用マニピュレータ3は、転写槽2の上空を通って取り外し領域B1まで戻り、次の液圧転写用治具装置8(被転写体W)の取り外しに備える。
なお、左右の転写用マニピュレータ3L・3Rの干渉を防ぐには、例えば左側の転写用マニピュレータ3Lが被転写体Wを転写液中に没入させている間に、右側の転写用マニピュレータ3Rが上記受け渡しを終え、左側の転写用マニピュレータ3Lの上空を通過して取り外し領域B1に戻るようにすることが好ましい。もちろん、取り外し領域B1に戻る転写用マニピュレータ3は、液圧転写中の作動速度よりも高速で戻すようにすることが好ましい。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、吊り下げフレーム75は、一本の水平な横杆751の両端に二本の垂直な縦杆752を設け、略門形のフレーム面75Sを構成するものであったが、吊り下げフレーム75は、必ずしもこれに限定されるものではない。
すなわち吊り下げフレーム75は、例えば図8(a)に示すように、一本の水平な横杆751の中央部に二本の垂直な縦杆752を垂下状に設けることも可能であり、この場合フレーム面75Sは、略T字状に形成される。なお、上記図8(a)では、二本の縦杆752の下端に吊り下げフック76を設けるとともに、横杆751の両端から垂下状に設けた補助縦杆754の下端にも吊り下げフック76を設け、計四カ所で液圧転写用治具装置8(被転写体Wを保持した液圧転写用治具装置8)を掛止する構成を採る。
また、下側の吊り下げフック76、すなわち二本の縦杆752の間隔は、基部枠80の中央部分のディスタンスロッド81B(杆状要素)が通過できる程度の狭い間隔(例えば上記ディスタンスロッド81Bの太さより数センチ程度広い間隔)に設けることが好ましい。これにより転写用マニピュレータ3は、搬送装置7(吊り下げフック76)に吊り下げられた液圧転写用治具装置8を保持する際、左右のズレをほぼ生じることなく保持することができる。
なお、ここでもホームベース形を成す二つのフレーム単体756の間隔は、基部枠80の中央部分のディスタンスロッド81B(杆状要素)が通過できる程度の狭い間隔(例えば上記ディスタンスロッド81Bの太さより数センチ程度広い間隔)に設けることが好ましい。これにより転写用マニピュレータ3は、搬送装置7(吊り下げフック76)に吊り下げられた液圧転写用治具装置8を保持する際、左右のズレをほぼ生じることなく保持することができる。なお、このホームベース形の吊り下げフレーム75の場合には、ズレがあっても中央位置に簡単に補正することができる。
しかしながら、転写用マニピュレータ3と取り外し領域B1との間に、液圧転写用治具装置8(被転写体W)を搬送装置7から取り外すための専用のマニピュレータを設けることが可能である。この場合、搬送装置7から取り外された液圧転写用治具装置8(被転写体W)は、取り外し専用のマニピュレータから転写用マニピュレータ3に受け渡されるものであり、転写用マニピュレータ3は、被転写体Wを転写液中に没入させる作用だけを担うものである。なお、上記改変例は、単位時間当たりの液圧転写数量を増やしたい場合に採用し得る手法である。
なお、回収用マニピュレータ4を、転写槽2を挟むように二基設けた場合には、左側の転写用マニピュレータ3Lから右側の回収用マニピュレータ4に転写後の液圧転写用治具装置8(被転写体W)を受け渡し、右側の転写用マニピュレータ3Rから左側の回収用マニピュレータ4に転写後の液圧転写用治具装置8(被転写体W)を受け渡す、いわゆるクロス受け渡しが好ましい。これにより同一の転写槽2に計四基のマニピュレータが設けられても、各マニピュレータが互いに干渉することなく、確実に液圧転写用治具装置8(被転写体W)の受け渡しが行えるものである。因みに、この場合、図7(b)に示すように、上流側に位置する転写掴持受けゾーンZ1と、下流側に位置する回収掴持受けゾーンZ2とは、左右交差するような位置関係となる。
2 転写槽
3 転写用マニピュレータ
4 回収用マニピュレータ
5 転写フィルム供給機構
6 フィルム保持機構
7 搬送装置
8 液圧転写用治具装置
9 簡易式着脱構造
2 転写槽
21 処理槽(転写槽本体)
22 側壁
23 オーバーフロー槽
24 送風機
3 転写用マニピュレータ
3L 転写用マニピュレータ(左側)
3R 転写用マニピュレータ(右側)
31 保持フィンガー
32 フィンガー要素
33 保持部
4 回収用マニピュレータ
41 保持フィンガー
42 フィンガー要素
43 保持部
6 フィルム保持機構
61 ベルト
7 搬送装置
7L 搬送ライン
71 レール
72 チェーン
73 ハンガー
74 吊り下げ体
741 枠部
742 バー
75 吊り下げフレーム
75S フレーム面
751 横杆(水平杆)
752 縦杆(垂直杆)
753 補強杆
754 補助縦杆
756 フレーム単体
76 吊り下げフック
8 液圧転写用治具装置
80 基部枠
81A 掴持受け枠
81B ディスタンスロッド
81C 着脱用枠
81D 被掛止ロッド
82 被転写体保持枠
9 簡易式着脱構造
9A フック・バネ着脱構造
91 フック
92 係合片
921 係合受け入れ部
922 係止用突起
9B 回動掛止式着脱構造
94 回動バー
F 転写フィルム
L 転写液
W 被転写体
W1 被転写体(未転写の被転写体)
W2 被転写体(転写済みの被転写体)
S1 意匠面
S2 装飾不要面
A1 転写領域
B1 取り外し領域
B2 掛け戻し領域
Z1 転写掴持受けゾーン
Z2 回収掴持受けゾーン
Z3 中間ゾーン
Claims (12)
- 転写槽と、
転写用マニピュレータと、
回収用マニピュレータとを具え、
前記転写槽内の転写液面上に転写フィルムを、転写槽の上流から下流に向けて移動するように浮遊支持させ、
前記転写用マニピュレータが、液圧転写用治具装置に保持された被転写体を、転写液面下に没するように押し当て、転写液の液圧により、転写フィルムにおける加飾模様を被転写体に転写し、
被転写体を転写槽から引き上げる際には、回収用マニピュレータによって液圧転写用治具装置を回収するようにした液圧転写装置であって、
前記転写用マニピュレータは、転写槽を挟んでその側傍に対設され、一方、前記回収用マニピュレータは、前記転写用マニピュレータより転写槽の下流側側傍に設けられ、
前記対設された転写用マニピュレータは、被転写体が取り付けられた液圧転写用治具装置を保持するにあたり、液圧転写用治具装置の流れ方向中央より両側に寄った部位であって、上流側である後方に位置する転写掴持受けゾーンを、それぞれの転写用マニピュレータの設置位置側で左または右に偏心的に掴持するものであり、
一方、回収用マニピュレータは、液圧転写用治具装置を保持するにあたり、液圧転写用治具装置の流れ方向下流側に位置する回収掴持受けゾーンを保持する構成であることを特徴とする液圧転写装置。
- 前記液圧転写用治具装置における転写掴持受けゾーンと回収掴持受けゾーンとの間には、中間ゾーンが設けられることを特徴とする請求項1記載の液圧転写装置。
- 前記転写掴持受けゾーンと回収掴持受けゾーンは、液圧転写用治具装置の上面側を構成する掴持受け枠に形成され、
当該掴持受け枠は、平面視矩形状を成す外形のフレーム内が、適宜の強度を有する杆状要素によって格子状に区切るように構成されて成り、
また杆状要素は、流れ方向にわたって配設される杆状要素同士の間隔が、転写槽の幅方向にわたって配設される杆状要素同士の間隔よりも長くなるように形成され、且つ杆状要素自体の長さとしては、流れ方向にわたって配設される杆状要素が転写槽の幅方向にわたって配設される杆状要素より短い寸法に形成され、
前記転写用マニピュレータと回収用マニピュレータが掴持受け枠を保持する際には、前記流れ方向にわたって配設される杆状要素を保持する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写装置。
- 前記転写用マニピュレータと回収用マニピュレータのいずれか一方または双方は、保持作用を直接担う保持フィンガーを有し、この保持フィンガーは、一対のフィンガー要素が内拡状に拡開して液圧転写用治具装置を固定保持する構成であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の液圧転写装置。
- 前記フィンガー要素は、保持部が導芯状に形成されることを特徴とする請求項4記載の液圧転写装置。
- 前記転写槽の側傍には、被転写体を取り付けた液圧転写用治具装置を吊り下げ姿勢で搬送する搬送装置が設けられ、当該搬送装置によって転写槽上流側の取り外し領域に至った液圧転写用治具装置を前記転写用マニピュレータによって取り外し、転写槽の転写領域に没入させるものであり、
前記被転写体が当該搬送装置によって取り外し領域に搬送される際には、被転写体の意匠面が、転写領域の反対側を向く吊り下げ姿勢で搬送されるものであり、
且つ、被転写体は、この吊り下げ姿勢における下方から転写用マニピュレータによって転写液に没入される構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の液圧転写装置。
- 前記回収用マニピュレータは、転写後に没液中の被転写体を保持した液圧転写用治具装置を移動させる作動速度が、転写用マニピュレータより速く設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の液圧転写装置。
- 前記回収用マニピュレータは、転写槽を挟んでその両側に二基設けられるものであり、
上流側に対向設置された転写用マニピュレータが転写後の液圧転写用治具装置を下流側の回収用マニピュレータに受け渡す際には、上流側の転写用マニピュレータから下流側の回収用マニピュレータに左右交差するように受け渡す構成であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の液圧転写装置。
- 適宜の強度を有する杆状要素を組み合わせた枠体であり、この枠体は、上面側に掴持受け枠を具え、一方、下面側に被転写体保持枠を具え、その間にディスタンスロッドが設けられて立体枠状に構成され、
前記掴持受け枠は、平面視において中央部より左または右に寄った部位であって、後方に位置する範囲に転写掴持受けゾーンが形成され、
一方、前方に位置する範囲に回収掴持受けゾーンが形成されていることを特徴とする液圧転写用治具装置。
- 前記被転写体保持枠は、平面視、正方形状に形成されるものであり、
前記ディスタンスロッドの長さは、当該被転写体保持枠の一辺の長さ寸法に対して0.2〜0.6倍で形成されることを特徴とする請求項9記載の液圧転写用治具装置。
- 前記ディスタンスロッドは、掴持受け枠と一体に形成され、基部枠を構成するものであり、
且つ前記被転写体保持枠は、当該基部枠に対し、別体に形成されることを特徴とする請求項10記載の液圧転写用治具装置。
- 前記被転写体保持枠は、基部枠に対し、別途道具を要しない簡易式着脱構造によって着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項11記載の液圧転写用治具装置。
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