JP2568443Y2 - 水圧転写装置 - Google Patents

水圧転写装置

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JP2568443Y2
JP2568443Y2 JP9193892U JP9193892U JP2568443Y2 JP 2568443 Y2 JP2568443 Y2 JP 2568443Y2 JP 9193892 U JP9193892 U JP 9193892U JP 9193892 U JP9193892 U JP 9193892U JP 2568443 Y2 JP2568443 Y2 JP 2568443Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、模様が印刷された転写
膜を水面に浮かべる一方、その上方で転写コンベアによ
り被転写体を移送し、その被転写面を転写膜の上から水
中に押し入れることにより、転写膜上の模様を被転写体
に転写させる水圧転写装置に関し、特に、被転写体を転
写コンベアに着荷しそしてその後それより脱荷する機構
の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の水圧転写装置は、三次元曲面へ
の印刷が可能な装置として従来より知られており、これ
までに、改良のためにいくつかの提案がなされている
(特公昭60-50597号公報、特開昭57-45090号公報、特開
昭58-31754号公報、特開平4-119850号公報、特開平4-12
2647号公報など)。
【0003】図5は、典型的な水圧転写装置の基本的構
成を示すものである。同図中、1は転写槽を示し、この
中には水が満たされており、そして、所定の模様が施さ
れた転写膜2(普通PVA主体の膜よりなり、表面に模
様が印刷されている。)が、送りローラ33等によって
槽中に供給されそして槽内の水面に浮かべて送られるよ
うになっている。
【0004】一方、槽1の上方には、被転写体30を移
送するための転写コンベア3が配置されている。この転
写コンベア3は、チェーン10を3個のプーリ31・・
間に張設しそしていくつかのホルダー4・・をそのチェ
ーン10に結合してなり、モータ32の運転によって、
プーリ31が回転し、チェーン10が回り動くととも
に、ホルダー4が移送されるようになっており、そし
て、このコンベア3は、図に示すように、ホルダー4が
下降する個所と、ホルダー4が上昇する個所とを備えて
なる。
【0005】而して、水圧転写は、かかる機構を運転さ
せ、まず、ホルダー4が下降する個所(以下、着荷位置
という。)において被転写体30(枠形治具5に搭載さ
れている。)をホルダー4に着荷し、次いで、これを移
送しながら、その被転写面を転写膜2の上方から水中に
押し入れることにより、該膜2上の印刷模様を被転写体
30の表面に転写し、そしてその後、ホルダー4が上昇
する個所(以下、脱荷位置という。)において被転写体
30をホルダー4より脱荷するというプロセスにより行
なわれる。
【0006】そして、通常の転写製品の生産において
は、いくつかのホルダー4・・を一緒に移送しながら、
被転写体の着荷、転写膜との接触(転写)、および被転
写体の脱荷を同時に進行させることにより、水圧転写プ
ロセスを流れ作業で繰り返すという方法が採用されてい
る。
【0007】水圧転写装置は、一般に以上のような構成
よりなるが、このうち、被転写体を支持しながら移送す
るところのホルダーは、いわば固定方式のものであっ
た。図6は、従来の装置の中のホルダー付近を拡大して
示すものである。この図に示すように、ホルダー4は、
鉤部15を備えた構造材で、被転写体30が搭載された
枠形治具5を掛けて、これを支持することができる構造
となっている。そして、このホルダー4はベース板34
の下面に固着され、このベース板34は転写コンベア3
の2本のチェーン10、10を結ぶ1〜2、3個の杆1
1に結合されており、従って、ホルダー4は転写コンベ
ア3の杆11に完全に固定された構造となっていた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】このため、従来の水圧
転写装置においては、被転写体の着荷のために、作業者
が枠形治具5(被転写体が搭載されている。)を手に持
ちホルダー4の鉤部15に掛ける際(図7)に生じる衝
撃や振動が直接、転写コンベア3の杆11に加わり、そ
れが先行するホルダー4に伝わり、これに支持された枠
形治具5および被転写体30が揺動し、そして、これが
原因となって、転写中の転写膜2につき撚り、縮れ等が
起き、よって、転写製品について印刷模様の歪み、抜け
等の不良が発生する場合があるという欠点があった。
【0009】また、被転写体の脱荷のために、作業者が
手で枠形治具5をホルダー4より取り外す際にも、その
衝撃や振動が、転写コンベア3の杆11を介して後続の
ホルダー4に伝わって、これに支持された枠形治具5お
よび被転写体30が揺れるために、転写中の転写膜2に
ついては撚り、縮れ等、ひいては転写製品については模
様の歪み、抜け等の不良が生じる場合があるという問題
があった。
【0010】また、この問題は、被転写体の着荷と脱荷
をロボットにより行なう場合には、作業を為すのに加え
る力の加減や微妙な調節が困難であるため、さらにより
大きなものとなる。例えば、図8に示すように、被転写
体の着荷のために、ロボットアーム35が枠形治具5
(被転写体が搭載されている。)を支持しこれをホルダ
ー4の鉤部15に掛ける際には、普通、アーム35を鉤
部15に差し込む動作とこれに続きアーム35の位置を
合わせる動作とを行なうため、差込み衝撃と位置合わせ
衝撃の双方が直接、転写コンベア3の杆11に加わり、
生じた振動が先行するホルダー4の被転写体30に伝わ
るので、転写膜2の撚り、縮れ等や転写製品の模様歪
み、柄抜け等の不良の発生が起きやすくなる。
【0011】本考案は、この問題を解消するべくなされ
たもので、その目的は、転写製品の連続的生産におい
て、着荷、脱荷による各被転写体の揺れ、振動を有効に
抑えることができ、従って転写製品について印刷模様の
歪み、抜け等の不良の発生を減少することができるとこ
ろの水圧転写装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】明確には、本考案による
水圧転写装置は、転写槽と、チェーンコンベアの転写コ
ンベアと、適当な個数の被転写体ホルダーとを備えてな
り、被転写体を移送し転写膜と接触させて転写をする水
圧転写装置において、被転写体ホルダーを転写コンベア
の両側のチェーンを結ぶ方向にスライド自在に備えると
ともに、バネ手段を被転写体ホルダーに対してそのスラ
イド可能な方向に付勢するように設けて成ることを特徴
とするものである。
【0013】上記の転写槽とは、水が槽中に満たされ、
かつ、転写膜を槽内の水面に浮かべて送り出すように構
成されている槽であり、また上記の転写コンベアとは、
転写槽の上方に配置され、そして2本のチェーンをある
間隔を保って並置してなるチェーンコンベアであり、さ
らに上記の被転写体ホルダーとは、被転写体を搭載する
治具を掛けて支持しうるとともにその後取り外しもでき
る構造を有し、かつ、転写コンベアに移送されうるよう
に装着された適当な個数のホルダーである。
【0014】すなわち、本考案による水圧転写装置は、
この種の装置の一般的な構成に加えて、被転写体ホルダ
ーをスライド自在に備える機構と該ホルダーを付勢する
バネ手段とを備えたものである。
【0015】被転写体ホルダーをスライド自在に備える
機構としては、例えば、転写コンベアの両側のチェーン
を結ぶ杆に、筒(カラー)をスライド自在に嵌め入れ、
そしてこの筒と被転写体ホルダーとを結合してなる構
造、あるいは、長孔が穿設されたベース板を転写コンベ
アの前記杆に締着し、そのベース板に被転写体ホルダー
を長孔に従ってスライド自在に取り付けてなる構造など
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】また、バネ手段は、通常、コイルバネより
なり、例えば、前者の構造の場合には、転写コンベアの
前記杆に筒を付勢するように取り付けられ、また後者の
場合には、ベース板に固着された押え板等と被転写体ホ
ルダーとの間に同ホルダーを付勢するように介装され
る。バネ手段の取り付け形態は、特に限定されるもので
はない。
【0017】
【作用】本考案では、転写プロセスにおいて被転写体を
吊持するところのホルダーが、転写コンベアにその両側
のチェーンを結ぶ方向にスライド自在に、かつ、バネ手
段によりそのスライド可能な方向に付勢されている状態
で備えられているため、被転写体の着荷のために、作業
者が手作業によりまたは作業ロボットが自ら、被転写体
の搭載された治具をホルダーに掛けて支持させる際、生
じうる衝撃や振動がバネ手段の反発作用によって吸収さ
れるので、その衝撃や振動が転写コンベアの杆等を介し
て先行するホルダーに伝わらず、これに支持された被転
写体の揺れが起きない。
【0018】また、被転写体の脱荷のために、人の手作
業によりまたはロボットの作業により、被転写体を支持
する治具をホルダーより取り外す際も、同様であり、そ
の際生じうる衝撃や振動が、バネ手段の作用によって吸
収されるため、後続のホルダー等に伝わらず、これに支
持される被転写体の揺れが起きなくなる。
【0019】したがって、本考案によれば、転写中の転
写膜について撚り、縮れ等を引き起こすことがなくな
り、よって、転写製品について印刷模様の歪み、抜け等
の不良が発生しなくなる。
【0020】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面により説明す
る。
【0021】実施例1 この実施例の水圧転写装置は、図5に示したような、水
圧転写装置としての基本的構成を備えたものである。す
なわち、同図に示すように、実施例の装置は、水が満た
されている転写槽1と、その上方に配置された転写コン
ベア3とを備えて成る。転写槽1は、所定の模様が表面
に施された転写膜2が、送りローラ33等によって槽中
へ供給されそして槽内の水面に浮かべて送り出されるよ
うになっており、また、転写コンベア3は、チェーン1
0を3個のプーリ31・・間に張設しそしていくつかの
被転写体ホルダー4・・をそのチェーン10に取り付け
てなり、モータ32の運転によって、プーリ31が回転
し、チェーン10が回り動くとともに、ホルダー4が移
送されるようになっている。
【0022】図1および図2は、この実施例の水圧転写
装置の被転写体ホルダー付近の構造を示す。これらの図
に示すように、被転写体ホルダー4は、基板13の両端
にて側板14、14を垂設固定した構造を成し、両方の
側板14、14の下部には、被転写体30・・が搭載さ
れた枠形治具5(図5)を掛けて支持するための鉤部1
5・・を設けて成る。
【0023】そして、転写コンベア3の両側のチェーン
10、10を結ぶ杆11は、筒形カラー12を2個の杆
について夫々嵌め入れ、かつ、各々の杆についてコイル
バネ16をカラー12と一方側のチェーン10との間に
嵌め入れてなり、よって、カラー12が杆11に沿って
スライド自在に備えられるとともに、バネ16の反発力
によりそのスライド可能な方向に付勢されている。図
中、17は、カラー12のスライドの範囲を限定するた
めの位置止め部材を示す。
【0024】次に、本装置の運転を説明する。図5に示
すように、水圧転写は、着荷位置において被転写体30
を搭載した枠形治具5を被転写体ホルダー4に支持させ
て被転写体30を着荷し、次いで、これを移送しなが
ら、その被転写面を転写膜2の上方から水中に押し入れ
ることにより、膜2上の印刷模様を被転写体30の表面
に転写し、そしてその後、脱荷位置において枠形治具5
を被転写体ホルダー4より取り外して被転写体30を脱
荷するというプロセスにより行なわれる。
【0025】そして、転写製品を連続生産する場合に
は、いくつかの被転写体ホルダー4・・を一緒に移送し
ながら、被転写体30の着荷、転写膜2との接触(転
写)、および被転写体30の脱荷を同時に進行させるこ
とにより、流れ作業で水圧転写プロセスが繰り返され
る。
【0026】かかる連続生産において、本装置では、作
業者が手作業によりまたは作業ロボットが自ら、被転写
体30の着荷のために、着荷位置において治具5をホル
ダー4に掛けて搭載された被転写体30を転写コンベア
3に吊持させる際に、また、その後、脱荷位置において
被転写体30の脱荷のために、吊持された被転写体30
をホルダ4ーより取り外す際に生じる衝撃や振動が、コ
イルバネ16の圧縮によって吸収され、このため、それ
らが杆11等を介して先行するホルダーまたは後続のホ
ルダーに伝わらず、これに支持された被転写体の揺れ、
振動が起きなかった。従って、転写中の転写膜2につい
て撚り、縮れ等をひき起こすことがなくなり、転写製品
についても、印刷模様の歪み、抜け等が発生しなくなっ
た。
【0027】実施例2 この実施例の水圧転写装置も、図5に示したような、水
圧転写装置としての基本的構成を備えたものであり、機
能の詳細な説明は省略する。
【0028】図3および図4は、この実施例の水圧転写
装置の被転写体ホルダー付近の構造を示す。これらの図
に示すように、被転写体ホルダー4は、1枚の板20を
折り曲げて実施例1のと同様の形状を成しており、その
両側の下部には、枠形治具5を掛けて支持するための鉤
部15・・を設けて成る。
【0029】そして、転写コンベア3の両側のチェーン
10、10を結ぶところの杆11とその隣の杆11に
は、ベース板27が、これと固定板18により隣り合う
2個の杆11、11を挟持しボルト等19で締着するよ
うにして、取り付け固定されている。
【0030】このベース板27は、2孔の長孔21、2
1を転写コンベア3の両側のチェーン10、10を結ぶ
方向に、即ち杆11と並行に穿設してなり、そして、2
個の支持具22を長孔21、21に夫々通して止めるこ
とにより、被転写体ホルダー4を長孔21、21に沿っ
てスライド自在に吊持して成る。
【0031】さらに、ベース板27の下面に固着垂設さ
れた押え板23とホルダー4内の押え板24との間に
は、軸25が架設され、そして、その軸25には、コイ
ルバネ26が嵌め入れられており、バネ26が被転写体
ホルダー4に対してそのスライド可能な方向に付勢され
ている。
【0032】而して、本装置の運転は、実施例1の場合
と同様であるので、その詳細は省略する。そして実施例
1の場合と同様、転写製品の連続的生産を行う場合に
は、いくつかの被転写体ホルダー4・・を一緒に移送し
ながら、被転写体30の着荷、転写膜2との接触(転
写)、および被転写体30の脱荷を同時に進行させるこ
とにより、流れ作業で水圧転写プロセスを繰り返す。
【0033】この場合、人の手作業によりまたはロボッ
トの作業により、着荷位置において治具5をホルダー4
に掛けて、搭載された被転写体30を転写コンベア3に
吊持する際に、また、その後、脱荷位置において吊持さ
れた被転写体30をホルダー4より取り外す際に生じる
衝撃や振動が、コイルバネ26の圧縮によって吸収さ
れ、杆11等を介して先行または後続のホルダーに伝わ
らないため、これらに支持された被転写体の揺れ、振動
が起きず、従って、転写中の転写膜2について撚り、縮
れ等をひき起こすことがなくなり、転写製品についても
印刷模様の歪み、抜け等が発生しなくなった。
【0034】
【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
人の手作業によりまたはロボットの作業により被転写体
を着荷、脱荷する際、被転写体ホルダーに与える衝撃や
振動が先行または後続の他の被転写体ホルダーに伝達さ
れにくい構造としたので、転写製品の連続的生産におい
て、着荷、脱荷による各被転写体の揺れ、振動を有効に
抑えることができ、従って転写製品について印刷模様の
歪み、抜け等の不良の発生を減少することができるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例1の水圧転写装置の被転写体ホ
ルダー付近の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の矢印Aより見た被転写体ホルダー付近の
構造を示す図である。
【図3】実施例2の水圧転写装置の被転写体ホルダー付
近の構造を示す斜視図である。
【図4】図3の矢印Aより見た被転写体ホルダー付近の
構造を示す図である。
【図5】水圧転写装置の基本的構成を示す概略図であ
る。
【図6】従来の水圧転写装置の被転写体ホルダー付近の
構造を示す図である。
【図7】従来の水圧転写装置において、被転写体を手作
業でホルダーに着荷する様子を示す図である。
【図8】従来の水圧転写装置において、被転写体をロボ
ットによりホルダーに着荷する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 転写槽 2 転写膜 3 転写コンベア 4 被転写体ホルダー 5 治具 10 チェーン 11 杆 15 鉤部 16 コイルバネ 21 長孔 22 支持具 26 コイルバネ

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】転写膜を槽内の水面に浮かべて送り出すよ
    うに構成された転写槽と、該転写槽の上方に配置された
    チェーンコンベアであって、2本のチェーンをある間隔
    を保って並置してなる転写コンベアと、該転写コンベア
    に移送されうるように装着された適当な個数のホルダー
    であって、被転写体を搭載する治具を掛け支持しうると
    ともにその後取り外しもできる被転写体ホルダーとを備
    えてなり、被転写体を移送し転写膜と接触させて転写を
    する水圧転写装置において、 前記被転写体ホルダーを前記転写コンベアの両側のチェ
    ーンを結ぶ方向にスライド自在に備えるとともに、バネ
    手段を前記被転写体ホルダーに対してそのスライド可能
    な方向に付勢するように設けて成ることを特徴とする水
    圧転写装置。
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