JP2020116750A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造を有し、酸素バリア性がより良好なガスバリア性フィルム。【解決手段】樹脂基材20と、樹脂基材20の少なくとも一方の面21に接して位置する酸素バリア性皮膜30とを有し、一方の面21は、下記測定方法で測定される輝度最頻値が95以上である、ガスバリア性フィルム100。<測定方法>樹脂基材の一方の面の52.4mm四方の任意の領域に、入射角45.75°でテレセントリック照明を照射し、反射角45°の反射光をテレセントリックレンズ付きのカメラで撮影して撮影画像を取得し、前記撮影画像から1024画素×1024画素の解析用画像を切り出し、前記解析用画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値を輝度最頻値とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断する性質(ガスバリア性)が要求される。
そのため、従来、これら包装材料には、ガスバリア層を有するものが用いられている。
ガスバリア層としては、金属箔や金属蒸着膜、樹脂膜、複合膜等が用いられている(例えば、特許文献1〜5参照)。金属箔や金属蒸着膜としては、アルミニウム等の金属からなるものが挙げられる。樹脂膜としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂からなるものが挙げられる。複合膜としては、前記水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜等が挙げられる。
ガスバリア性を向上する目的で、例えば、特許文献6には、樹脂基材とガスバリア層との間に平坦化層や密着層等の第三の層を設ける手段が提案されている。
特開2001−287294号公報 特開平11−165369号公報 特開平6−93133号公報 特開平9−150484号公報 特許第3764109号公報 国際公開第2016/158794号
金属箔や金属蒸着膜は、ガスバリア性に優れる。しかし、金属箔や金属蒸着膜は、不透明であるため、内容物を確認することができない。加えて、金属箔や金属蒸着膜は、伸縮性に劣るため、数%の伸びでクラックが生じてガスバリア性が低下する。さらに、金属箔や金属蒸着膜は、使用後の廃棄時に不燃物として処理する必要がある等、種々の問題がある。
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子からなる樹脂膜は、低湿度雰囲気下では高いガスバリア性を示す。しかし、ガスバリア性には湿度依存性がある。樹脂膜は、湿度の上昇に伴ってガスバリア性が低下する。特に、高湿度雰囲気下、例えば、湿度70%RH以上ではガスバリア性が失われてしまうため、使用上の制限がある。
ポリ塩化ビニリデンからなる樹脂膜は、湿度依存性が低く、優れたガスバリア性を示す。しかし、ポリ塩化ビニリデンは、塩素を含むため、廃棄処理が煩雑である。
水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜は、金属箔や金属蒸着膜に比べて透明性に優れる。しかし、水溶性高分子からなる樹脂膜に比べて、高湿度雰囲気下でのガスバリア性は優れるものの、満足のいくものではなかった。
樹脂基材とガスバリア層との間に平坦化層や密着層等の第三の層を設けると、ガスバリア性フィルムを製造する工程が煩雑になり、第三の層の材料や、第三の層を設ける工程にコストが掛かり好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構造を有し、酸素バリア性がより良好なガスバリア性フィルムを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面に接して位置する酸素バリア性皮膜とを有し、
前記一方の面は、下記測定方法で測定される輝度最頻値が95以上である、ガスバリア性フィルム。
<測定方法>
樹脂基材の一方の面の52.4mm四方の任意の領域に、入射角45.75°でテレセントリック照明を照射し、反射角45°の反射光をテレセントリックレンズ付きのカメラで撮影して撮影画像を取得し、前記撮影画像から1024画素×1024画素の解析用画像を切り出し、前記解析用画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値を輝度最頻値とする。
[2]前記酸素バリア性皮膜が、水溶性高分子(A)を含むコーティング剤から形成された皮膜である、[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3]前記水溶性高分子(A)がポリビニルアルコール樹脂であり、前記ポリビニルアルコール樹脂のケン化度が95%以上であり、かつ、前記ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上である、[2]に記載のガスバリア性フィルム。
[4]前記コーティング剤が、無機層状鉱物(B)をさらに含み、前記無機層状鉱物(B)の含有量が、前記コーティング剤の固形分の質量に対して、3〜50質量%である、[2]又は[3]に記載のガスバリア性フィルム。
[5]前記コーティング剤が、水性ポリウレタン樹脂(C)をさらに含み、前記水性ポリウレタン樹脂(C)が酸基を有するポリウレタン樹脂及びポリアミン化合物を含む、[2]〜[4]のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
本発明のガスバリア性フィルムによれば、構造を簡易にでき、酸素バリア性をより良好にできる。
本発明の一実施形態のガスバリア性フィルムの断面図である。 輝度最頻値を測定する測定装置を説明する概略図である。 輝度最頻値を求める際に用いたヒストグラムの一例である。 本発明の一実施形態に係るガスバリア性フィルムの樹脂基材の一方の面の撮影画像である。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの実施の形態について、図1に基づき説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであって、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[ガスバリア性フィルム]
図1に示すように、本実施形態のガスバリア性フィルム100は、樹脂基材20と酸素バリア性皮膜30とを有する。酸素バリア性皮膜30は、樹脂基材20の一方の面21に接して位置している。
ガスバリア性フィルム100の厚さT100は、特に限定されないが、例えば、3.1μm〜205μmが好ましく、5.2μm〜122μmがより好ましく、6.3μm〜31μmがさらに好ましい。厚さT100が上記下限値以上であると、ガスバリア性フィルム100の強度が高められやすくなる。厚さT100が上記上限値以下であると、ガスバリア性フィルム100の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
<樹脂基材>
樹脂基材20は、樹脂を含む。樹脂基材20を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、炭素数2〜10のオレフィンの重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド等の芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体等のアクリル系樹脂;セロファン;ポリカーボネート、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂基材20としては、単一の樹脂で構成された単層フィルム、複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルム等が挙げられる。また、上記の樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックス等)に積層した積層基材を用いてもよい。
樹脂基材20は、単層でもよく、2層以上であってもよい。
樹脂基材20としては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特に、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステル系樹脂フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)、ポリアミド系樹脂フィルム(特に、ナイロンフィルム)等が好ましい。
樹脂基材20は、未延伸フィルムであってもよく、一軸又は二軸延伸配向フィルムであってもよい。
樹脂基材20としては、水蒸気バリア性に優れる観点から、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)が特に好ましい。
OPPは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーから選ばれる少なくとも一種のポリマーがフィルム状に加工されたものであってもよい。ホモポリマーはプロピレン単体のみからなるポリプロピレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる少量のコモノマーがランダムに共重合し、均質な相をなすポリプロピレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと上記コモノマーがブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相を形成するポリプロピレンである。
樹脂基材20がOPPの場合、OPPは1層でもよく2層以上でもよい。
樹脂基材20は、コーティング剤から形成された皮膜が積層する面21(コーティング剤が塗布される面)に、コーティング剤に対する濡れ性と、皮膜に対する接着強度とを向上させるために、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、低温プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材20は、フィラー、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂基材20がアンチブロッキング剤(以下、「AB剤」ともいう。)を含有する場合、樹脂基材20の一方の面21には、AB剤に由来する凹凸が形成される。
樹脂基材20は、AB剤を含有することで樹脂基材20の原料となるフィルムの表面に凹凸を付与し、フィルム同士の密着を抑制できる。このため、フィルムを巻き取りやすくでき、フィルムの加工適性を向上できる。
一方で、樹脂基材20の一方の面21に凹凸が形成されると、酸素バリア性皮膜(以下、単に「皮膜」ともいう。)30を形成する際に、皮膜30にガス透過の経路となる欠陥が生じやすくなる。このため、ガスバリア性フィルム100の酸素バリア性が低下するおそれが生じる。
樹脂基材20は2層以上の樹脂層からなっていてもよい。樹脂基材20の一方の面21に、AB剤に由来する凹凸を形成する場合、樹脂基材20は2層以上の樹脂層からなっており、最表面の樹脂層(一方の面21又は他方の面22を構成する樹脂層)中にAB剤を含有させることが好ましい。そうすることで、少量のAB剤添加で樹脂基材20の一方の面21又は他方の面22に効率的に突起部を形成することができる。一方の面21及び他方の面22において、AB剤は露出していてもよいし、樹脂で覆われていてもよい。
AB剤は、樹脂基材20又はガスバリア性フィルム100の表面に凹凸を生じさせて、樹脂基材20又はガスバリア性フィルム100のブロッキングの発生を抑制し、樹脂基材20又はガスバリア性フィルム100の加工適性を向上できる。
AB剤は、固体粒子であり、有機系粒子、無機系粒子等が挙げられる。有機系粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン粒子、ポリアミド粒子等が挙げられる。これら有機系粒子は、例えば、乳化重合や懸濁重合等により得られる。無機系粒子としては、シリカ粒子、ゼオライト、タルク、カオリナイト、長石等が挙げられる。これらのAB剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ガスバリア性フィルム100の外観、透明性、AB剤の脱落可能性、アンチブロッキング性能を考慮すると、AB剤の平均粒径は、例えば、0.1〜5μmが好ましい。
AB剤の平均粒径は、コールター法により測定される重量平均径である。
樹脂基材20がAB剤を含有する場合、AB剤の含有量は、例えば、樹脂基材20を構成する樹脂層で、一方の面21又は他方の面22を構成する樹脂層の樹脂100質量%に対して、0.05〜0.5質量%が好ましい。
AB剤の含有量は、具体的には下記式(1)により求められる。
AB剤の含有量[質量%]={(i)/100}×{(ii)/100}×100・・・(1)
(1)式中、(i)は、樹脂にAB剤を添加して攪拌し、押出機内に投入して混練りし、溶融押出によりペレット状に形成されるマスターバッチ樹脂チップにおけるAB剤の濃度(質量%)を示す。
(1)式中、(ii)は、AB剤を含むマスターバッチ樹脂チップを、AB剤を含まない樹脂にブレンドするときの、一方の面21又は他方の面22を構成する樹脂層における樹脂ペレット総質量に対するAB剤を含むマスターバッチ樹脂チップの濃度(質量%)を示す。
AB剤の含有量が上記下限値以上であると、樹脂基材20の原料となるフィルムの加工適性を高めやすい。AB剤の含有量が上記上限値以下であると、ガスバリア性フィルム100の酸素バリア性の低下を抑制しやすい。
樹脂基材20の一方の面21は、256階調のモノクロ画像において、輝度最頻値が95以上であり、97以上が好ましく、100以上がより好ましい。輝度最頻値が上記下限値以上であると、樹脂基材20の一方の面21に形成される凹凸が少なく、皮膜30が均一な厚さで形成されやすい。このため、皮膜30に欠点やクラック等の欠陥ができにくく、ガスバリア性フィルム100の酸素バリア性をより良好にしやすい。輝度最頻値の上限値は、255である。
樹脂基材20の一方の面21に凹凸が形成されると、凹凸が形成された部分は、後述する撮影画像では暗く見える。このため、撮影画像の輝度は低くなる。凹凸が形成された部分が多くなるほど撮影画像の輝度が低い箇所が多くなり、輝度最頻値が小さくなる。逆に、輝度最頻値が大きいことは、輝度が低い箇所が少ないことを意味し、樹脂基材20の一方の面21に凹凸が形成された部分が少ないことを意味する。
なお、樹脂基材20の一方の面21に形成される凹凸は、AB剤由来のものでもよく、他の要因によるものでもよく、特に限定されない。
本明細書において、輝度最頻値は、下記測定方法により測定される値である。
<測定方法>
樹脂基材20の一方の面21の52.4mm四方の任意の領域に、入射角45.75°でテレセントリック照明を照射する。反射角45°の反射光をテレセントリックレンズ付きのカメラで撮影して撮影画像を取得する。取得した撮影画像から1024画素×1024画素の解析用画像を切り出す。切り出した解析用画像を256階調のモノクロ画像に変換する。変換したモノクロ画像を画像解析ソフトにて解析し、モノクロ画像における輝度の最頻値(最も多く分布する値)を輝度最頻値とする。
以下に、輝度最頻値の測定方法について、図面を参照して説明する。
まず、輝度最頻値を測定する測定装置について説明する。
(測定装置)
図2に示すように、輝度最頻値を測定する測定装置1は、サンプルホルダ2と、光源4と、カラーラインカメラ7とを備える。
サンプルホルダ2は、搬送装置10の上に設置され、水平方向に移動できる。サンプルホルダ2の中央部には、抜き穴3が形成されている。
光源4は、サンプルホルダ2の上方に位置しており、光源4はテレセントリック照明レンズ5に接続されている。光源4には光源制御装置6が接続されている。
カラーラインカメラ7は、サンプルホルダ2の上方に位置しており、カラーラインカメラ7には、両側テレセントリックレンズ8が装着されている。カラーラインカメラ7には、画像処理装置9が接続されている。
画像処理装置9には、搬送制御部11が接続されている。
搬送制御部11は、搬送装置10に接続されている。
サンプルホルダ2は、平坦で水平であれば特に限定されず、公知のホルダを用いてもよい。
光源4としては、可視光の白色LED光源が好ましい。
テレセントリック照明レンズ5としては、両側テレセントリックレンズ、物体側テレセントリックレンズ、像側テレセントリックレンズが挙げられる。高精度な測定をしやすい観点から、テレセントリック照明レンズ5としては、両側テレセントリックレンズが好ましい。
なお、テレセントリックレンズとは、主光線が光軸に対して平行なレンズのことをいう。
カラーラインカメラ7は、4096画素、1画素のセンササイズが7.04μmのものを用いることが好ましい。カラーラインカメラ7のセンサは、R、G、Bのピークにおいて感度が約20DN/nJ/cmのものを用いることが好ましい。カラーラインカメラ7は、カメラリンクやUSB等の規格のインターフェースを介して、画像処理装置9で制御されることが好ましい。
画像処理装置9は、例えば、カラーラインカメラ7と接続するフレームグラバ等を搭載したパソコンと、フレームグラバを制御する画像処理ソフトウェア等とで構成される。
フレームグラバ等を搭載したパソコンや、フレームグラバを制御する画像処理ソフトウェアは、広く頒布又は市販されており、画像処理装置9としては、それらが使用できる。画像処理ソフトウェアとしては、例えば、アメリカ国立衛生研究所(NIH)開発のパブリックドメインのソフトウェア「ImageJ」が挙げられる。
搬送装置10は、ステッピングモーターで駆動する一軸ステージ等を用いることが好ましい。搬送装置10は、搬送制御部11により、搬送速度や搬送開始、搬送停止等の制御がなされる。
(サンプル準備)
次に、輝度最頻値の測定方法について説明する。
図2に示すように、まず、樹脂基材20の一方の面21を光源4の側に向けて、サンプルホルダ2に面内で高低差が生じないように樹脂基材20を固定する。樹脂基材20を固定する際には、樹脂基材20の端部をOPPテープやマスキングテープ等を用いて固定することが好ましい。樹脂基材20の画像測定位置12を抜き穴3に合わせるように樹脂基材20をサンプルホルダ2に固定する。樹脂基材20の他方の面22における画像測定位置12の背面には、反射防止シート等を設けることが好ましい。
(撮影画像の取得)
次に、光源4からテレセントリック照明レンズ5に光を入射する。入射光L1は、スポットLED照明又はライトガイド用光源から、光ファイバライトガイドを用いて、入射される。光源4の光量は、光源制御装置6で調整できる。入射光L1の光量は、画像測定位置12での光量が442ルクスとなるように光源制御装置6を用いて調整することが好ましい。このとき、テレセントリック照明レンズ5のF値を8とする。
テレセントリック照明レンズ5からの入射光L1は、一方の面21に対する入射角13を45.75°とする。反射光L2は、画像測定位置12で反射する。このとき、反射光L2の反射角14が45°となる位置に、カラーラインカメラ7を設置する。すなわち、反射角14は、入射角13が正反射する角度と0.75°の角度差を有する。両側テレセントリックレンズ8を介して、カラーラインカメラ7で反射光L2を測定し、撮影する。
このとき、両側テレセントリックレンズ8のF値を8、倍率を0.55倍、空間分解能は12.8μmとする。画像測定位置12での、カラーラインカメラ7の測定範囲は52.4mm四方の領域とし、テレセントリック照明レンズ5の有効な照明範囲は、52.4mm四方の領域以上とする。
反射光L2の測定範囲は、一方の面21の52.4mm四方の領域である。測定範囲が上記の領域となるように、搬送装置10を移動させる。
搬送装置10がステッピングモーター等の場合、搬送速度を示すパルス信号を画像処理装置9に取込む。搬送装置10を移動させる搬送速度は、空間分解能と取込み周波数との積に等しくなるように設定することが好ましい。
空間分解能は、カラーラインカメラ7のセンササイズ(7.04μm)と、両側テレセントリックレンズ8の倍率(0.55倍)とから決定される。
取込み周波数は、カラーラインカメラ7の一ラインの取込み周波数である。搬送速度は、空間分解能と取込み周波数との積に等しくなるように設定し、樹脂基材20は、カラーラインカメラ7の画像測定位置12において連続して搬送される。画像測定位置12において、カラーラインカメラ7で樹脂基材20の画像が測定され、撮影される。
カラーラインカメラ7の露光時間を400μsとする。取込み周波数の周期が露光時間より長くなるよう設定する。カラーラインカメラ7で画像測定される赤色、緑色、青色の各チャンネルの輝度値が、光源4の白色LEDの分光特性が入射した際に一様となるように、赤色のゲインを2.8倍、緑色のゲインを2倍、青色のゲインを3.8倍とする。樹脂基材20を搬送し、樹脂基材20の搬送方向に1024画素以上の撮影画像を取得する。
(画像の解析)
取得した撮影画像において、カラーラインカメラ7のセンサ並び方向(樹脂基材20の搬送方向と直交する方向)に該当する中心1024画素と、搬送方向に1024画素とを切り出し、解析用画像とする。樹脂基材20の幅方向(樹脂基材20の搬送方向と直交する方向)の中心1024画素を切り出すことで、両側テレセントリックレンズ8の周辺部に生ずるムラの影響を除くことができる。搬送方向には、1024画素以上切り出して測定範囲を広くすることも可能である。切り出した解析用画像を画像解析ソフトにて解析し、256階調のモノクロ画像に変換する。モノクロ画像における輝度の最頻値(最も多く分布する値)を求める。
このようにして求められる最頻値を樹脂基材20の一方の面21の輝度最頻値とする。
図3に、モノクロ画像のヒストグラムの一例を示す。図3における輝度の頻度が最も多く分布する値Pが、樹脂基材20の一方の面の輝度最頻値である。
図4に、ガスバリア性フィルム100の樹脂基材20の一方の面21の撮影画像を示す。撮影画像で黒く見える箇所は樹脂基材の表面に凹凸があり、輝度が低い(暗い)箇所を表す。
樹脂基材20の一方の面21の輝度最頻値は、樹脂基材20の一方の面21に形成される凹凸の程度を表す指標となる。樹脂基材20の一方の面21の輝度最頻値は、例えば、樹脂基材20に含まれるAB剤の材質、平均粒径及び含有量等により調整できる。
樹脂基材20の厚さT20は、特に限定されるものではなく、包装材料としての適性や他の皮膜の積層適性を考慮しつつ、価格や用途によって適宜選択される。厚さT20は、実用的には3μm〜200μmが好ましく、5μm〜120μmがより好ましく、6μm〜30μmがさらに好ましい。
<酸素バリア性皮膜>
酸素バリア性皮膜30は、樹脂基材20の一方の面21に接して位置する。酸素バリア性皮膜30は、ウェットコート法(湿式コーティング方法)により形成される酸素バリア性皮膜として公知のものであってよい。
酸素バリア性皮膜30は、ウェットコート法により樹脂基材20の一方の面21にコーティング剤からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することにより得られる。なお、塗膜は、湿潤膜であり、皮膜は、乾燥膜である。
酸素バリア性皮膜30の厚さT30は、要求されるガスバリア性に応じて設定されるが、0.1μm〜5μmが好ましく、0.2μm〜2μmがより好ましく、0.3μm〜1μmがさらに好ましい。厚さT30が上記下限値以上であると、充分なガスバリア性が得られやすい。厚さT30が上記上限値以下であると、均一な塗膜面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
酸素バリア性皮膜30の厚さT30は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定される。
[ガスバリア性フィルムの製造方法]
ガスバリア性フィルム100は、樹脂基材20の一方の面21に酸素バリア性皮膜30を形成することにより製造できる。
樹脂基材20としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
酸素バリア性皮膜30は、樹脂基材20の片面(一方の面21)あるいは両面上に、コーティング剤を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥(水性媒体を除去)することにより形成できる。
コーティング剤の塗布方法としては、公知のウェットコート法を用いることができる。ウェットコート法としては、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等が挙げられる。
コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。塗膜の乾燥温度は、例えば、50〜200℃が好ましい。乾燥時間は、塗膜の厚さ、乾燥温度等によっても異なるが、例えば、1秒〜5分間が好ましい。
<コーティング剤>
以下、酸素バリア性皮膜30を形成するコーティング剤に含まれる成分について説明する。本実施形態のコーティング剤は、水溶性高分子(A)を含む。
(水溶性高分子(A))
「水溶性高分子」とは、水に溶解可能な高分子を指す。ここでいう溶解とは、溶質である高分子が溶媒である水に分子鎖レベルで分散して均一系をなしている状態を指す。より詳しくは、高分子鎖の分子鎖間の分子間力にくらべ水分子との分子間力が強くなり高分子鎖の絡み合いが解かれ、水に均一に分散している状態を指す。
本明細書において、高分子とは、質量平均分子量が10000以上の化合物のことをいう。質量平均分子量は、GPCにより測定し、標準物質としてポリスチレンを用いて求めることができる。
水溶性高分子(A)の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体等のポリビニルアルコール樹脂;ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はそのエステル、塩類及びそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート及びその共重合体等のビニル系重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;スルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル;後述する水性ポリウレタン樹脂(C)を除くウレタン系高分子、又は、これらの各種重合体のカルボキシル基等が変性した官能基変性重合体等が挙げられる。
水溶性高分子(A)は、皮膜凝集強度を考慮すると、重合度が200以上であることが好ましい。
コーティング剤に含まれる水溶性高分子(A)は1種でもよく2種以上でもよい。
水溶性高分子(A)は、少なくとも、ポリビニルアルコール系重合体及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリビニルアルコール樹脂を含むことが好ましく、ケン化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂を含むことがより好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度は、300〜2400が好ましく、450〜2000がより好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度や重合度が高い程、吸湿膨潤性が低くなる。ポリビニルアルコール樹脂のケン化度が95%以上であると、充分なガスバリア性が得られやすい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上であると、酸素バリア性及び皮膜凝集強度に優れやすい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度が2400以下であると、コーティング剤の粘度の上昇を抑制し、他の成分と均一に混合しやすく、ガスバリア性や密着強度の低下といった不具合を抑制しやすい。
ポリビニルアルコール樹脂のケン化度及び重合度は、JIS K 6726:1994に記載の方法により測定できる。
コーティング剤に含まれる水溶性高分子(A)の含有量は、コーティング剤の固形分の質量に対して、25〜92質量%が好ましく、30〜87質量%がより好ましく、35〜82質量%がさらに好ましい。水溶性高分子(A)の含有量が上記下限値以上であると、無機層状鉱物(B)を分散しやすい。水溶性高分子(A)の含有量が上記上限値以下であると、水性ポリウレタン樹脂(C)を多く配合しやすい。
(無機層状鉱物(B))
本実施形態のコーティング剤は、さらに無機層状鉱物(B)を含むことが好ましい。
「無機層状鉱物」とは、極薄(例えば、厚さ10〜500nm)の単位結晶層が重なって1つの層状粒子を形成している無機化合物を指す。コーティング剤から形成された酸素バリア性皮膜30が無機層状鉱物(B)を含むことで、ガスが透過する経路を長くする迷路効果を発揮し、高湿度雰囲気下でも良好な酸素バリア性が得られやすい。
無機層状鉱物(B)としては、水中で膨潤及びへき開の双方又は一方の性質を有する化合物が好ましく、これらの化合物の中でも、水への膨潤性を有する粘土化合物が特に好ましい。より具体的には、無機層状鉱物(B)は、極薄の単位結晶層間に水を配位し、吸収及び膨潤の双方又は一方の性質を有する粘土化合物が好ましい。かかる粘土化合物は、一般には、Si4+がO2−に対して配位して四面体構造を構成する層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+等が、O2−及びOHに対して配位して八面体構造を構成する層とが、1対1あるいは2対1で結合し、積み重なって層状構造を形成する化合物である。この粘土化合物は、天然の化合物であっても、合成された化合物であってもよい。
無機層状鉱物(B)の代表的なものとしては、フィロケイ酸塩鉱物等の含水ケイ酸塩が挙げられ、例えば、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等のカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイル等のアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライト等のバーミキュライト族粘土鉱物;白雲母、金雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の雲母又はマイカ族粘土鉱物;等が挙げられる。これらの無機層状鉱物(B)は、1種単独で、又は2種以上が組み合わせられて用いられる。
これらの無機層状鉱物(B)の中でも、モンモリロナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、水膨潤性雲母等のマイカ族粘土鉱物が特に好ましい。
無機層状鉱物(B)の大きさは、平均粒径が10μm以下で、かつ、厚さが500nm以下であることが好ましい。平均粒径、厚さがそれぞれ上記上限値以下であると、コーティング剤から形成される酸素バリア性皮膜30の中で無機層状鉱物(B)が均一に整列しやすくなり、ガスバリア性、膜凝集強度が高いものとなる。
無機層状鉱物(B)の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定される。
無機層状鉱物(B)の厚さは、原子間力顕微鏡(AFM)により測定される。
無機層状鉱物(B)は、少なくとも、水膨潤性合成雲母を含むことが好ましい。水膨潤性合成雲母の平均粒径は、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。水膨潤性合成雲母の平均粒径が上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。水膨潤性合成雲母の平均粒径が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30の中で均一に整列しやすい。
水膨潤性合成雲母の厚さは、例えば、10〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。水膨潤性合成雲母の厚さが上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。水膨潤性合成雲母の厚さが上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30の中で均一に整列しやすい。
水膨潤性合成雲母は、水性ポリウレタン樹脂(C)及び水溶性高分子(A)との相溶性が高く、天然系の雲母に比べて不純物が少ない。そのため、無機層状鉱物(B)として水膨潤性合成雲母を用いると、不純物に由来するガスバリア性の低下や膜凝集力の低下を抑制しやすい。
また、水膨潤性合成雲母は、結晶構造内にフッ素原子を有することから、コーティング剤から形成される酸素バリア性皮膜30のガスバリア性の湿度依存性を低く抑えることにも寄与する。
加えて、水膨潤性合成雲母は、他の水膨潤性の無機層状鉱物に比べて、高いアスペクト比を有することから、迷路効果がより効果的に働き、コーティング剤から形成される酸素バリア性皮膜30のガスバリア性が特に高く発現するのに寄与する。
水膨潤性合成雲母の含有量は、例えば、無機層状鉱物(B)の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
コーティング剤中の無機層状鉱物(B)の含有量は、コーティング剤の固形分の質量に対して、3〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、7〜20質量%がさらに好ましい。無機層状鉱物(B)の含有量が上記下限値以上であると、高湿度環境下での酸素バリア性を効果的に発揮しやすい。無機層状鉱物(B)の含有量が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30の凝集強度を維持しやすい。
(水性ポリウレタン樹脂(C))
本実施形態のコーティング剤は、さらに水性ポリウレタン樹脂(C)を含むことが好ましい。
水性ポリウレタン樹脂(C)は、酸基を有するポリウレタン樹脂(以下、「酸基含有ポリウレタン樹脂」ともいう。)及びポリアミン化合物を含むことが好ましい。
コーティング剤が水性ポリウレタン樹脂(C)を含んでいることにより、コーティング剤の樹脂基材20への濡れ性、及びコーティング剤から形成される酸素バリア性皮膜30の樹脂基材20への密着強度が優れやすい。
さらに、水性ポリウレタン樹脂(C)が、酸基含有ポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含むことで、高湿度雰囲気下でも良好な酸素バリア性が発現しやすい。
水性ポリウレタン樹脂(C)は、酸素バリア性皮膜30に柔軟性と、ガスバリア性、特に酸素バリア性を付与するために用いられる。水性ポリウレタン樹脂(C)では、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、架橋剤としてのポリアミン化合物とを結合させることにより、ガスバリア性を発現させている。
酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基とポリアミン化合物との結合は、イオン結合(例えば、カルボキシル基と第3級アミノ基とのイオン結合等)であってもよく、共有結合(例えば、アミド結合等)であってもよい。
水性ポリウレタン樹脂(C)を構成する酸基含有ポリウレタン樹脂は、酸基を有することから、アニオン性及び自己乳化性を有しており、アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂とも称される。
酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。酸基は、ポリウレタン樹脂の末端又は側鎖に位置してもよいが、少なくとも側鎖に位置していることが好ましい。この酸基は、通常中和剤(塩基)により中和可能であり、塩基と塩を形成していてもよい。なお、酸基は水性ポリウレタン樹脂(C)を構成するポリアミン化合物のアミノ基(イミノ基又は第三級窒素原子)と結合可能である。
酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、水溶性又は水分散性を付与できる範囲で選択することができる。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、5〜100mgKOH/gが好ましく、10〜70mgKOH/gがより好ましく、15〜60mgKOH/gがさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が上記下限値以上であると、水性ポリウレタン樹脂(C)と他の材料との均一分散性やコーティング剤の分散安定性を向上しやすい。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30の耐水性の低下やガスバリア性の低下を抑制しやすい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、JIS K0070に準じた方法により測定される。
酸基含有ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度及びウレア基(尿素基)濃度の合計(合計濃度)は、ガスバリア性の観点から、15質量%以上が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。合計濃度が上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。合計濃度が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30が剛直で脆くなることを抑制しやすい。
なお、ウレタン基濃度とは、ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位の分子量に対する、ウレタン基の分子量(59g/当量)の割合を意味する。ウレア基濃度とは、ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位の分子量に対する、ウレア基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)の割合を意味する。
なお、ポリウレタン樹脂として2種以上の混合物を用いる場合、ウレタン基濃度及びウレア基濃度は、反応成分の仕込みベース、すなわち各成分の使用割合をベースとして算出できる。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、少なくとも剛直な単位(炭化水素環で構成された単位)と短鎖単位(例えば、炭化水素鎖で構成された単位)とを有していることが好ましい。すなわち、酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位は、ポリイソシアネート成分、ポリヒドロキシ酸成分、ポリオール成分や鎖伸長剤成分(特に、少なくともポリイソシアネート成分)に由来して、炭化水素環(芳香族及び非芳香族炭化水素環のうち少なくとも1つ)を含むことが好ましい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合は、10〜70質量%が好ましく、15〜65質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。炭化水素環で構成された単位の割合が上記下限値以上であると、ガスバリア性の低下を抑制しやすい。炭化水素環で構成された単位の割合が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30が剛直で脆くなることを抑制しやすい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、適宜選択可能であるが、800〜1,000,000が好ましく、800〜200,000がより好ましく、800〜100,000がさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が上記下限値以上であると、ガスバリア性の低下を抑制しやすい。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が上記上限値以下であると、コーティング剤の粘度の上昇を抑制しやすい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を高めるため、結晶性であってもよい。
酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、100〜200℃が好ましく、110〜180℃がより好ましく、120〜150℃がさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が上記下限値以上であると、ガスバリア性の低下を抑制しやすい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、典型的には、上記上限値以下である。
酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
水性ポリウレタン樹脂(C)は、中和剤を含み、酸基含有ポリウレタン樹脂が水性媒体中に溶解あるいは分散した状態で形成されることが好ましい。
水性媒体としては、水、水溶性溶媒、親水性溶媒、あるいは、これらの混合溶媒が挙げられ、水又は水を主成分として含む水溶性溶媒であることが好ましい。
水性媒体中の水の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
親水性溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
水性ポリウレタン樹脂(C)は、水性媒体に酸基含有ポリウレタン樹脂を溶解した水溶液、又は、水性媒体に酸基含有ポリウレタン樹脂を分散した水分散体のいずれの形態であってもよい。
水分散体において、分散粒子(ポリウレタン樹脂粒子)の平均粒子径は特に限定されず、20〜500nmが好ましく、25〜300nmがより好ましく、30〜200nmがさらに好ましい。分散粒子の平均粒子径が上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。分散粒子の平均粒子径が上記上限値以下であると、分散粒子と他の材料との均一分散性やコーティング剤の分散安定性の低下を抑制しやすく、ガスバリア性の低下を抑制しやすい。
分散粒子の平均粒子径は、固形分濃度が0.03〜0.3質量%の状態で(水で希釈して)濃厚系粒径アナライザー(大塚電子社製 FPAR−10)にて計測される値である。
水性ポリウレタン樹脂(C)を構成するポリアミン化合物としては、酸基と結合し、かつ、ガスバリア性を向上できるものであれば特に限定されるものではなく、2以上の塩基性窒素原子を有する種々の化合物が用いられる。
塩基性窒素原子は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と結合し得る窒素原子であり、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等のアミノ基における窒素原子が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ基を有するポリアミン化合物が好ましい。
ポリアミン化合物の具体例としては、例えば、アルキレンジアミン類、ポリアルキレンポリアミン類、複数の塩基性窒素原子を有するケイ素化合物等が挙げられる。アルキレンジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜10のアルキレンジアミン等が挙げられる。ポリアルキレンポリアミン類としては、例えばテトラアルキレンポリアミン等が挙げられる。複数の塩基性窒素原子(アミノ基などの窒素原子を含む)を有するケイ素化合物としては、例えば2−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕エチルトリメトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエトキシシラン等の、複数の塩基性窒素原子を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
ポリアミン化合物のアミン価は、100〜1900mgKOH/gが好ましく、150〜1900mgKOH/gがより好ましく、200〜1900mgKOH/gがさらに好ましく、200〜1700mgKOH/gが特に好ましく、300〜1500mgKOH/gが最も好ましい。ポリアミン化合物のアミン価が上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。ポリアミン化合物のアミン価が上記上限値以下であると、水性ポリウレタン樹脂(C)の水分散安定性に優れる。
ポリアミン化合物のアミン価は、以下の方法により測定される。
試料を0.5〜2g精秤する(試料量Sg)。精秤した試料にエタノール30gを加え溶解させる。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、0.2mol/Lのエタノール性塩酸溶液(力価f)で滴定を行う。溶液の色が緑から黄の間の色に変化した点を終点とし、このときの滴定量(AmL)を計量し、以下の計算式1を用いてアミン価を求める。
計算式1:アミン価=A×f×0.2×56.108/S〔mgKOH/g〕
水性ポリウレタン樹脂(C)において、ポリアミン化合物の含有量は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、ポリアミン化合物の塩基性窒素原子とのモル比(酸基/塩基性窒素原子)が10/1〜0.1/1となる量が好ましく、5/1〜0.2/1となる量がより好ましい。酸基/塩基性窒素原子が上記数値範囲内であると、酸基含有ポリウレタンの酸基とポリアミン化合物の架橋反応が適切におこり、高湿度雰囲気下でも、酸素バリア性皮膜30に良好な酸素バリア性が発現しやすい。
水性ポリウレタン樹脂(C)は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
水性ポリウレタン樹脂(C)の製造方法は、特に限定されるものではなく、アセトン法、プレポリマー法等、通常のポリウレタン樹脂の水性化技術が用いられる。ウレタン化反応では、必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒等のウレタン化触媒を用いてもよい。
例えば、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類等の不活性有機溶媒中、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、必要に応じて、ポリオール成分及び鎖伸長剤成分のうち少なくとも1つと、を反応させることにより、水性ポリウレタン樹脂(C)を調製できる。より具体的には、不活性有機溶媒(特に、親水性又は水溶性の有機溶媒)中、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、ポリオール成分と、を反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを生成し、中和剤で中和して水性媒体に溶解又は分散した後、鎖伸長剤成分を添加して反応させ、有機溶媒を除去することにより、酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶液又は水分散体を調製できる。
このようにして得られた酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶液又は水分散体にポリアミン化合物を添加し、必要に応じて加熱することにより、水溶液又は水分散体の形態の水性ポリウレタン樹脂(C)を調製できる。加熱する場合、加熱温度は、30〜60℃が好ましい。
コーティング剤が水性ポリウレタン樹脂(C)を含む場合、水性ポリウレタン樹脂(C)の含有量は、コーティング剤の固形分の質量に対して、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。水性ポリウレタン樹脂(C)の含有量が上記下限値以上であると、酸素バリア性皮膜30の樹脂基材20への密着強度が優れやすい。水性ポリウレタン樹脂(C)の含有量が上記上限値以下であると、酸素バリア性皮膜30の凝集強度を高めやすい。
コーティング剤が水性ポリウレタン樹脂(C)を含む場合、コーティング剤中の水性ポリウレタン樹脂(C)と水溶性高分子(A)との固形分での質量比(以下、(C)/(A)比ともいう)は、85/15〜5/95が好ましく、75/25〜10/90がより好ましく、70/30〜15/85がさらに好ましい。
(C)/(A)比が上記数値範囲内であると、ムラなくコーティング剤を塗工することができ、外観やガスバリア性が良好な酸素バリア性皮膜30を形成しやすい。(C)/(A)比が85/15となるよりも水性ポリウレタン樹脂(C)の含有量が少ない場合、塗工時にムラが発生するおそれを抑制しやすい。塗工時のムラは、外観の悪化やガスバリア性の低下につながるため、塗工時のムラを抑制することで、外観の悪化やガスバリア性の低下を抑制しやすい。(C)/(A)比が5/95となるよりも水性ポリウレタン樹脂(C)の含有量が多い場合、樹脂基材20への濡れ性の悪化を抑制し、塗工時のはじきムラを抑制しやすく、それによりバリア性の低下を抑制しやすい。
酸素バリア性皮膜30を形成するコーティング剤中、水溶性高分子(A)と無機層状鉱物(B)と水性ポリウレタン樹脂(C)との合計の含有量(固形分)は、コーティング剤の固形分の質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。この合計の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
(他の成分)
本実施形態のコーティング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性高分子(A)、無機層状鉱物(B)、水性ポリウレタン樹脂(C)以外の成分(他の成分)を含有してもよい。
他の成分としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、フィラー、界面活性剤等の添加剤が挙げられる。
コーティング剤は、23℃における粘度が10〜80mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sがより好ましい。
コーティング剤の粘度は、E型粘度計により測定される値である。
本実施形態のコーティング剤は、水溶性高分子(A)と、必要に応じて無機層状鉱物(B)と、水性ポリウレタン樹脂(C)と、添加剤と、さらなる水性媒体等とを混合することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。
本発明のガスバリア性フィルムは、必要に応じて、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、接着剤層、ヒートシール可能な熱融着層、その他の機能層等をさらに有していてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムがヒートシール可能な熱融着層を有する場合、この熱融着層は、ガスバリア性フィルムの少なくとも一方の最表層に配置される。ガスバリア性フィルムが熱融着層を有することにより、ガスバリア性フィルムが、熱シールによって密封可能なもの(例えば、包装体や蓋体)となる。
熱融着層は、例えば、樹脂基材の片面又は両面に本実施形態のコーティング剤により皮膜を形成して得られた積層体に、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の公知の接着剤を用いて、公知のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等により積層することができる。
<作用効果>
本発明のガスバリア性フィルムは、画像計測した256階調での輝度最頻値が95以上である樹脂基材の少なくとも一方の面に、水溶性高分子(A)を含むコーティング剤から形成された皮膜が積層している。
本発明のガスバリア性フィルムは、輝度最頻値が95以上である樹脂基材の表面に皮膜を形成しているため、皮膜に欠陥が生じにくく、酸素バリア性をより良好にできる。
加えて、本発明のガスバリア性フィルムは、平坦化層や密着層を必要とせず、コーティング剤を樹脂基材の表面に直接塗布して酸素バリア性皮膜形成しているため、簡易な構造を有する。
したがって、本発明のガスバリア性フィルムを包装用材料として用いることにより、安価に内容物の品質保持性を高めることができる。
本実施形態のガスバリア性フィルム100は、樹脂基材20の一方の面21に接して位置する酸素バリア性皮膜30を有する。
しかし、ガスバリア性フィルムは、樹脂基材の両方の面に酸素バリア性皮膜を有していてもよい。
構造を簡易にする観点から、ガスバリア性フィルムは、樹脂基材の一方の面に酸素バリア性皮膜を有することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた材料を以下に示す。
[使用材料]
<樹脂基材>
α1:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:VPH2011、厚さ20μm、A.J.Plast社製)。
α2:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TSB、厚さ20μm、POLO社製)。
α3:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TIMCP、厚さ19μm、Max Speciality Films Limited社製)。
α4:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TIV、厚さ18μm、Max Speciality Films Limited社製)。
α5:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TSSE、厚さ20μm、Tenoval社製)。
α6:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:MNH、厚さ20μm、Treofan社製)。
<水溶性高分子(A)>
A1:ケン化度98〜99%、重合度500のポリビニルアルコール(商品名:ポバールPVA−105、株式会社クラレ製)。
A2:カルボキシルメチルセルロース(CMC)。
<無機層状鉱物(B)>
B1:水膨潤性合成雲母(商品名:ソマシフ(登録商標)MEB−3、コープケミカル株式会社製)。
B2:精製モンモリロナイト(商品名:クニピア(登録商標)−F、クニミネ工業株式会社製)。
B3:ナトリウムヘクトライト(商品名:NHT−ゾルB2、トピー工業株式会社製)。
<水性ポリウレタン樹脂(C)>
C1:酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂、三井化学株式会社製の水性ポリウレタンディスパージョン「タケラック(登録商標)WPB−341」。
C2:DIC株式会社製、ポリエステルポリウレタン樹脂水溶液「ハイドラン(登録商標)HW350」。
<実施例1〜2、比較例1〜2>
表1に示す種類と固形分配合比率とになるように、水性ポリウレタン樹脂(C)と水溶性高分子(A)の8質量%水溶液とを配合した。その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が8.2質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。これによって実施例1〜2及び比較例1〜2のコーティング剤をそれぞれ調製した。ここで、コーティング剤の欄のカッコ内は、上述した使用材料の種類を表し、数値は配合比率を表す。配合比率は、全固形分に対する各成分の固形分での比率(質量%)であり、以下においても同様である。表中の「0」は、その成分が含まれていないことを表す。
グラビア印刷機を用いて、表1に示す種類の樹脂基材のコロナ処理面に、表1に示すコーティング剤をグラビアコート法により塗布し、90℃のオーブンを10秒間通過させて乾燥して酸素バリア性皮膜を形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製SU8020)で観察し、形成された皮膜の厚さを測定したところ、いずれの例においても皮膜の厚さは0.6μmであった。
<実施例3〜12、比較例3〜4>
表2に示す種類と固形分配合比率とになるように、水性ポリウレタン樹脂(C)と水溶性高分子(A)の8質量%水溶液とを配合した。次いで、無機層状鉱物(B)の8質量%水分散液を添加し、その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が8.2質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。これによって実施例3〜12及び比較例3〜4のコーティング剤をそれぞれ調製した。
グラビア印刷機を用いて、表2に示す種類の樹脂基材のコロナ処理面に、表2に示すコーティング剤を実施例1〜2と同様の条件で塗布し、酸素バリア性皮膜を形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムの断面を実施例1〜2と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、形成された皮膜の厚さを測定したところ、いずれの例においても皮膜の厚さは0.6μmであった。
<実施例13、比較例5〜6>
表3に示す種類と固形分配合比率とになるように、水溶性高分子(A)の8質量%水溶液を配合した。次いで、無機層状鉱物(B)の8質量%水分散液を添加し、その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が8.2質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。これによって実施例13及び比較例5〜6のコーティング剤をそれぞれ調製した。
グラビア印刷機を用いて、表3に示す種類の樹脂基材のコロナ処理面に、表3に示すコーティング剤を実施例1〜2と同様の条件で塗布し、酸素バリア性皮膜を形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムの断面を実施例1〜2と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、形成された皮膜の厚さを測定したところ、いずれの例においても皮膜の厚さは0.6μmであった。
<評価>
(1)輝度最頻値
上述した測定方法にて、樹脂基材それぞれの輝度最頻値を測定した。測定結果を表1〜3に示す。
(2)酸素ガスバリア性(OTR)
各例で得られたガスバリア性フィルムについて、酸素透過度測定装置(商品名:OXTRAN−2/20、MOCON社製)を用いて、30℃dry、及び30℃、70%RHの雰囲気下、酸素透過度(OTR、cm/(m・day・MPa))を測定した。測定結果を表1〜3に示す。
(3)水蒸気バリア性(WVTR)
各例で得られたガスバリア性フィルムについて、水蒸気透過度測定装置(商品名:PERMATRAN−W−3/33、MOCON社製)を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下、水蒸気透過度(WVTR、g/(m・day))を測定した。測定結果を表1〜3に示す。
表1に記載の結果から、実施例1〜2のガスバリア性フィルムは、輝度最頻値が95未満の樹脂基材を使用した比較例1〜2のガスバリア性フィルムに比べて、30℃dry雰囲気下における酸素バリア性と、30℃70%雰囲気下における酸素バリア性とがともに良好だった。
表2に記載の結果から、実施例3〜12のガスバリア性フィルムは、輝度最頻値が95未満の樹脂基材を使用した比較例3〜4のガスバリア性フィルムに比べて、30℃dry雰囲気下における酸素バリア性と、30℃70%雰囲気下における酸素バリア性とがともに良好だった。
表3に記載の結果から、実施例13のガスバリア性フィルムは、輝度最頻値が95未満の樹脂基材を使用した比較例5〜6のガスバリア性フィルムに比べて、30℃dry雰囲気下における酸素バリア性と、30℃70%雰囲気下における酸素バリア性とがともに良好だった。
本発明のガスバリア性フィルムは、酸素バリア性が良好である。そのため、包装材料として内容物を収容したときに、酸素による内容物の劣化を充分に抑制できる。したがって、本発明のガスバリア性フィルムは、包装材料として有用である。
本発明のガスバリア性フィルムは、包装材料以外の用途にも用いることができる。包装材料以外の用途としては、例えば、電子デバイス関連フィルム、太陽電池用フィルム、燃料電池用各種機能性フィルム、基板フィルム等の用途が挙げられる。
20 樹脂基材
30 酸素バリア性皮膜
100 ガスバリア性フィルム

Claims (5)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面に接して位置する酸素バリア性皮膜とを有し、
    前記一方の面は、下記測定方法で測定される輝度最頻値が95以上である、ガスバリア性フィルム。
    <測定方法>
    樹脂基材の一方の面の52.4mm四方の任意の領域に、入射角45.75°でテレセントリック照明を照射し、反射角45°の反射光をテレセントリックレンズ付きのカメラで撮影して撮影画像を取得し、前記撮影画像から1024画素×1024画素の解析用画像を切り出し、前記解析用画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値を輝度最頻値とする。
  2. 前記酸素バリア性皮膜が、水溶性高分子(A)を含むコーティング剤から形成された皮膜である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記水溶性高分子(A)がポリビニルアルコール樹脂であり、前記ポリビニルアルコール樹脂のケン化度が95%以上であり、かつ、前記ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上である、請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記コーティング剤が、無機層状鉱物(B)をさらに含み、前記無機層状鉱物(B)の含有量が、前記コーティング剤の固形分の質量に対して、3〜50質量%である、請求項2又は3に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記コーティング剤が、水性ポリウレタン樹脂(C)をさらに含み、前記水性ポリウレタン樹脂(C)が酸基を有するポリウレタン樹脂及びポリアミン化合物を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
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