JP2017071693A - コーティング剤およびガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高湿度雰囲気下でも高いガスバリア性を示し、かつ透明性に優れたガスバリア層を形成できるコーティング剤およびこれを用いたガスバリア性フィルムの提供。
【解決手段】酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含む水性ポリウレタン樹脂(A)が水性媒体に分散した水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、を含み、前記無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が100cmol(+)・kg−1以上であることを特徴とするコーティング剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング剤およびガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗などを抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断する性質(ガスバリア性)が要求される。
そのため、従来、これら包装材料には、ガスバリア層を有するものが用いられている。
これまで、ガスバリア層は、フィルムや紙などの基材上に、スパッタリング法や蒸着法、ウェットコーティング法や印刷法などにより設けられていた。
また、ガスバリア層としては、アルミニウムなどの金属からなる金属箔や金属蒸着膜、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂からなる樹脂膜、前記水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜等が用いられている(例えば、特許文献1〜6参照)。
しかし、金属箔や金属蒸着膜は、ガスバリア性に優れるものの、不透明であるため内容物を確認することができない、伸縮性に劣るため数%の伸びでクラックが生じてガスバリア性が低下する、使用後の廃棄時に不燃物として処理する必要がある等、種々の問題があった。
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子からなる樹脂膜は、低湿度雰囲気下では高いガスバリア性を示す。しかし、ガスバリア性に湿度依存性があり、湿度の上昇に伴ってガスバリア性が低下していき、高湿度雰囲気下、例えば湿度70%RH以上ではガスバリア性が失われてしまうため、使用上の制限があった。
ポリ塩化ビニリデンからなる樹脂膜は、湿度依存性が低く、優れたガスバリア性を示すが、塩素を含むため、廃棄処理などの際に、ダイオキシンなどの有害物質の発生源となる可能性がある。
水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜は、水溶性高分子からなる樹脂膜に比べて、高湿度雰囲気下でのガスバリア性は優れる。また、金属箔や金属蒸着膜に比べて透明性に優れる。しかし、その透明性は、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂膜に比べて劣る。
特開2002−321301号公報 特開2001−287294号公報 特開平11−165369号公報 特開平6−93133号公報 特開平9−150484号公報 特許第3780741号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高湿度雰囲気下でも高いガスバリア性を示し、かつ透明性に優れたガスバリア層を形成できるコーティング剤およびこれを用いたガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含む水性ポリウレタン樹脂(A)が水性媒体に分散した水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、を含み、
無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が100cmol(+)・kg−1以上であることを特徴とするコーティング剤。
<2>全固形分に対する無機層状鉱物(C)の比率が8〜20質量%である、<1>に記載のコーティング剤。
<3>プラスチック材料からなる基材フィルムと、
基材フィルムの少なくとも一方の面に積層した、<1>または<2>に記載のコーティング剤の層からなるガスバリア層と、
を備えることを特徴とするガスバリア性フィルム。
本発明によれば、高湿度雰囲気下でも高いガスバリア性を示し、かつ透明性に優れたガスバリア層を形成できるコーティング剤およびこれを用いたガスバリア性フィルムを提供できる。
以下、本発明のコーティング剤およびガスバリア性フィルムの実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであって、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<コーティング剤>
本発明のコーティング剤は、水性ポリウレタン樹脂(A)が水性媒体に分散した水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、を含む。
「水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体」
水性ポリウレタン樹脂(A)は、酸基を有するポリウレタン樹脂(以下、「酸基含有ポリウレタン樹脂」ともいう。)と、ポリアミン化合物とを含む。水性ポリウレタン樹脂(A)は、水性媒体に溶解せず、水性媒体に分散する水分散性を有する。水性分散体には水性ポリウレタン樹脂(A)の粒子が分散している。
酸基含有ポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)は、一般的なポリウレタン樹脂と異なり、架橋剤としてのポリアミン化合物と、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基とを結合させることで剛直な分子骨格を形成し、ガスバリア性が発現する。酸基含有ポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)の乾燥皮膜は、一般的なポリウレタン樹脂と同様に、水に不溶である。そのため、水性ポリウレタン樹脂(A)を含む本発明のコーティング剤から形成されるガスバリア層が有するガスバリア性は、湿度依存性の低いものとなる。
水性ポリウレタン樹脂(A)を構成する酸基含有ポリウレタン樹脂(アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂)の酸基は、水性ポリウレタン樹脂(A)を構成するポリアミン化合物のアミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等)と結合可能である。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。酸基は、通常、中和剤(塩基)により中和可能であり、塩基と塩を形成していてもよい。酸基は、酸基含有ポリウレタン樹脂の末端に位置してもよく側鎖に位置してもよいが、少なくとも側鎖に位置していることが好ましい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、水分散性を付与できる範囲で選択することができるが、通常、5〜100mgKOH/gであり、10〜70mgKOH/gであることが好ましく、15〜60mgKOH/gであることがより好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が前記範囲の下限値未満であると、酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶性または水分散性が不十分となり、水性ポリウレタン樹脂と他の材料との均一分散性やコーティング剤の分散安定性の低下を招くおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層の耐水性やガスバリア性の低下を招くおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が前記範囲内であることで、それら分散安定性の低下、および、耐水性やガスバリア性の低下を回避できる。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、JIS K 0070に準じた方法により測定される。
酸基含有ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度およびウレア基(尿素基)濃度の合計は、ガスバリア性の観点から、15質量%以上であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。ウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が不十分になるおそれがある。ウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層が剛直で脆くなるおそれがある。
ウレタン基濃度およびウレア基濃度とは、ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位の分子量に対する、ウレタン基の分子量(59g/当量)またはウレア基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)の割合を意味する。なお、酸基含有ポリウレタン樹脂として2種以上の混合物を用いる場合、ウレタン基濃度およびウレア基濃度は反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出できる。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、通常、少なくとも剛直な単位(炭化水素環で構成された単位)と短鎖単位(例えば、炭化水素鎖で構成された単位)とを有している。すなわち、酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位は、通常、ポリイソシアネート成分、ポリヒドロキシ酸成分、ポリオール成分や鎖伸長剤成分(特に、少なくともポリイソシアネート成分)に由来して、炭化水素環(芳香族および非芳香族炭化水素環のうち少なくとも1つ)を含んでいる。
酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合は、通常、10〜70質量%であり、好ましくは15〜65質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が不十分になるおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層が剛直で脆くなるおそれがある。
酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、適宜選択可能であるが、800〜1,000,000であることが好ましく、800〜200,000であることがより好ましく、800〜100,000であることがさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤の粘度が上昇し好ましくない。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が不十分になるおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を高めるため、結晶性であってもよい。
酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点が100℃未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が不十分になるおそれがある。また、酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、典型的には、200℃以下、さらには180℃以下、さらには150℃以下程度である。上記各項目の好ましい範囲を満たす酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点が上記の上限値よりも高くなることは実質的に可能性が低い。したがって、酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100〜200℃が好ましく、110〜180℃がより好ましく、120〜150℃がさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
水性ポリウレタン樹脂(A)では、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、架橋剤としてのポリアミン化合物と、を結合させることにより、ガスバリア性を発現させている。
水性ポリウレタン樹脂(A)を構成するポリアミン化合物としては、酸基と結合し、かつ、ガスバリア性を向上できるものであれば特に限定されるものではなく、2以上の塩基性窒素原子を有する種々の化合物が用いられる。
塩基性窒素原子は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と結合し得る窒素原子であり、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等のアミノ基における窒素原子が挙げられる。
ポリアミン化合物とポリウレタン樹脂の酸基との結合は、イオン結合(例えば、第3級アミノ基とカルボキシル基とのイオン結合等)であってもよく、共有結合(例えば、アミド結合等)であってもよい。
ポリアミン化合物としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ基を有するポリアミン化合物が好ましい。ポリアミン化合物の具体例としては、例えばアルキレンジアミン類、ポリアルキレンポリアミン類等が挙げられる。アルキレンジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等のC2−10アルキレンジアミン等が挙げられる。ポリアルキレンポリアミン類としては、例えばテトラアルキレンポリアミン、さらに複数の塩基性窒素原子(アミノ基などの窒素原子を含む)を有するケイ素化合物(シランカップリング剤等)等が挙げられる。該ケイ素化合物としては、例えば2−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕エチルトリメトキシシラン、3−〔N−(2−アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ポリアミン化合物のアミン価は、100〜1900mgKOH/gが好ましく、150〜1900mgKOH/gがより好ましく、200〜1900mgKOH/gがさらに好ましく、200〜1700mgKOH/gが特に好ましく、300〜1500mgKOH/gが最も好ましい。ポリアミン化合物のアミン価が前記範囲の下限値以上であれば、水性ポリウレタン樹脂(A)のガスバリア性に優れる。ポリアミン化合物のアミン価が前記範囲の上限値以下であれば、水性ポリウレタン樹脂の水分散安定性に優れる。
ポリアミン化合物のアミン価は、以下の方法により測定される。
〔アミン価の測定方法〕
試料を0.5〜2g精秤する(試料量Sg)。精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30gを加え溶解させる。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え0.2mol/Lのエタノール性塩酸溶液(力価f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄の間の色に変化した点を終点とし、このときの滴定量(AmL)を用い以下の計算式1を用いアミン価を求める。
計算式1:アミン価=A×f×0.2×56.108/S〔mgKOH/g〕
水性ポリウレタン樹脂(A)において、ポリアミン化合物の含有量は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、ポリアミン化合物の塩基性窒素原子とのモル比(酸基/塩基性窒素原子)が10/1〜0.1/1となる量が好ましく、5/1〜0.2/1となる量がより好ましい。酸基/塩基性窒素原子が前記範囲であれば酸基含有ポリウレタンの酸基とポリアミン化合物の架橋反応が適切におこり、コーティング剤から形成される皮膜が、高湿度雰囲気下でも優れた酸素バリア性を発現する。
水性ポリウレタン樹脂(A)を分散する水性媒体としては、水、水溶性または親水性有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は、通常、水または水を主成分として含むものである。水性媒体中の水の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
水溶性または親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
水性媒体は、酸基を中和する中和剤(塩基)を含んでもよく、含まなくてもよい。通常は中和剤が含まれる。
水性ポリウレタン樹脂(A)の平均粒子径は、特に限定されないが、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性、透明性の点で100nm以下が好ましく、製造または入手の容易さ等の点では、10nm以上が好ましい。
水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体の製造方法は、特に限定されるものではなく、アセトン法、プレポリマー法など、通常のポリウレタン樹脂の水性化技術が用いられる。ウレタン化反応では、必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒などのウレタン化触媒を用いてもよい。
例えば、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類等の不活性有機溶媒中において、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、必要に応じて、ポリオール成分および鎖伸長剤成分のうち少なくとも1つとを反応させることにより、酸基含有ポリウレタン樹脂を調製できる。より具体的には、不活性有機溶媒(特に、親水性または水溶性の有機溶媒)中、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、ポリオール成分と、を反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを生成し、中和剤で中和して水性媒体に分散させた後、鎖伸長剤成分を添加して反応させ、有機溶媒を除去することにより、酸基含有ポリウレタン樹脂の水分散体を調製できる。
このようにして得られた酸基含有ポリウレタン樹脂の水分散体にポリアミン化合物を添加し、必要に応じて加熱することにより、水性ポリウレタン樹脂(A)の水分散体を調製できる。加熱する場合、加熱温度は、30〜60℃が好ましい。
「水溶性高分子(B)」
「水溶性高分子」とは、水に溶解可能な高分子を指す。ここでいう溶解とは、溶質である高分子が溶媒である水に分子鎖レベルで分散して均一系をなしている状態を指す。より詳しくは、高分子鎖の分子鎖間の分子間力にくらべ水分子との分子間力が強くなり高分子鎖の絡み合いが解かれ、水に均一に分散している状態を指す。
水溶性高分子(B)としては、後述する無機層状鉱物(C)の単位結晶層間に侵入し、配位(インターカレーション)することが可能な化合物であれば特に限定されない。
水溶性高分子(B)の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびその誘導体等のポリビニルアルコール樹脂;ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸またはそのエステル、塩類およびそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレートおよびその共重合体等のビニル系重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;スルホイソフタル酸などの極性基を含有する共重合ポリエステル;ウレタン系高分子、または、これらの各種重合体のカルボキシル基などが変性した官能基変性重合体などが挙げられる。
水溶性高分子(B)は、皮膜凝集強度を考慮すると、重合度が200以上であることが好ましい。
コーティング剤に含まれる水溶性高分子(B)は1種でもよく2種以上でもよい。
水溶性高分子(B)は、少なくとも、ポリビニルアルコール系重合体およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリビニルアルコール樹脂を含むことが好ましく、鹸化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂を含むことが特に好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度は、300〜2400が好ましく、450〜2000が特に好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、鹸化度や重合度が高い程、吸湿膨潤性が低くなる。ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度が95%未満であったり重合度が300未満であったりすると、十分なガスバリア性が得られないおそれがある。一方、重合度が2000を超えると、コーティング剤の粘度が上がり、他の成分と均一に混合することが難しく、ガスバリア性や密着強度の低下といった不具合を招くおそれがある。
「無機層状鉱物(C)」
「無機層状鉱物」とは、極薄の単位結晶層が重なって1つの層状粒子を形成している無機化合物を指す。
無機層状鉱物(C)としては、水中で膨潤および/またはへき開する化合物が好ましく、これらの中でも特に、水への膨潤性を有する粘土化合物が好ましい。より具体的には、無機層状鉱物(C)は、極薄の単位結晶層間に水を配位し、吸収および/または膨潤する性質を有する粘土化合物であることが好ましい。かかる粘土化合物は、一般には、Si4+がO2−に対して配位して四面体構造を構成する層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+などが、O2−およびOHに対して配位して八面体構造を構成する層とが、1対1あるいは2対1で結合し、積み重なって層状構造を形成する化合物である。この粘土化合物は、天然の化合物であっても、合成された化合物であってもよい。
無機層状鉱物(C)の代表的なものとしては、フィロケイ酸塩鉱物等の含水ケイ酸塩が挙げられ、例えば、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等のカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイル等のアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライト等のバーミキュライト族粘土鉱物;白雲母、金雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の雲母またはマイカ族粘土鉱物:等が挙げられる。これらの無機層状鉱物(C)は、1種単独で、または2種以上が組み合わせられて用いられる。
これらの無機層状鉱物(C)の中でも、モンモリロナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、水膨潤性雲母等のマイカ族粘土鉱物が特に好ましい。
無機層状鉱物(C)の大きさは、平均粒径が10μm以下で、厚さが500nm以下であることが好ましい。平均粒径、厚さがそれぞれ前記の上限値以下であれば、コーティング剤から形成されるガスバリア層中で無機層状鉱物(C)が均一に整列しやすくなり、ガスバリア性、膜凝集強度が高いものとなる。
無機層状鉱物(C)は、少なくとも、平均粒径が1〜10μmで、厚さが10〜100nmである水膨潤性合成雲母を含むことが特に好ましい。水膨潤性合成雲母は水性ポリウレタン樹脂(A)および水溶性高分子(B)との相溶性が高く、天然系の雲母に比べて不純物が少ない。そのため、無機層状鉱物(C)として水膨潤性合成雲母を用いると、不純物に由来するガスバリア性の低下や膜凝集力の低下を招きにくい。また、水膨潤性合成雲母は、結晶構造内にフッ素原子を有することから、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性の湿度依存性を低く抑えることにも寄与する。加えて、水膨潤性合成雲母は、他の水膨潤性の無機層状鉱物に比べて、高いアスペクト比を有することから、迷路効果がより効果的に働き、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が特に高く発現するのに寄与する。
無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量は、100cmol(+)・kg−1以上であり、105cmol(+)・kg−1以上であることが好ましく、110cmol(+)・kg−1以上であることが特に好ましい。無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が高いと、水性ポリウレタン樹脂(A)および水溶性高分子(B)との相溶性が強固になり、コーティング剤から形成されるガスバリア層において、良好なガスバリア性、高い透明性を得る事が出来る。
本発明において、陽イオン交換容量とは、試料単位量100g当たりの交換性陽イオンの量と定義され、以下の日本ベントナイト工業会標準試験方法(JBAS−106−77)によって測定することができる。
1)装置は、浸出液容器、浸出管、受器よりなる。浸出管の下部に脱脂綿を詰め、その上に乳化ろ紙を2〜3mmの厚さに敷き、試料の支持層とする。この支持層の上に秤量した試料0.5gと10倍量の石英粒とを均一に混合したものを載せる。
2)試料の入った浸出管に1N−酢酸アンモニウム溶液(pH7)を入れ、試料中に完全に浸透させる。浸出液容器に浸出液として1N−酢酸アンモニウム溶液を入れ、4〜24時間かけて浸出液を100ml流下させる。
3)浸出液容器に50mlの80%エチルアルコール(pH7)を入れ、流下させ、試料を洗浄してアンモニウムイオンを除去する。
4)浸出液容器に100mlの10%塩化カリウム溶液を入れ、流下させ、試料中のアンモニウムイオンをカリウムイオンと交換させる。浸出終了後、浸出管内に残っている塩化カリウム溶液を吸引し受器にほぼ完全に取る。
5)受器の塩化カリウム溶液をケルダール法に従ってアンモニアを蒸留する。留出液は0.1N−硫酸に受け過剰の硫酸を0.1N−水酸化ナトリウム溶液で滴定する。同時に空試験を行い、陽イオン交換容量を下式より計算し、乾燥試料100g当りのミリ当量で表示する。
Figure 2017071693

A : 空試験に要した0.1N−水酸化ナトリウムのml数
B : 実際に要した0.1N−水酸化ナトリウムのml数
f : 0.1N−水酸化ナトリウムのファクター
S : 試料採取量(g)
M : 試料の水分(%)
本発明のコーティング剤は、必要に応じて、ガスバリア性や包装用材料としての強度を損なわない範囲で、各種の添加剤をさらに含んでもよい。
添加剤としては、例えば、ポリイソシアネート、カルボジイミド、エポキシ化合物、オキサゾリドン化合物、アジリジン系化合物などの反応性硬化剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、フィラー、界面活性剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明のコーティング剤は、水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体に含まれる水性媒体に加えて、固形分濃度の調整等のために、水性媒体をさらに含んでもよい。水性媒体としては前記と同様のものが挙げられる。
「各成分の含有割合」
本発明のコーティング剤中、全固形分に対する水性ポリウレタン樹脂(A)の比率は、5〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、5〜45質量%が特に好ましい。
水性ポリウレタン樹脂(A)の比率が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤の基材フィルムへの濡れ性、コーティング剤から形成されるガスバリア層の基材フィルムへの密着性が不十分になるおそれがある。水性ポリウレタン樹脂(A)の比率が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層に、時間経過に伴った膜凝集強度の低下やヘイズの悪化が生じるおそれがある。膜凝集強度が低下すると、ガスバリア層上に他の基材をラミネートしている場合に、ラミネート強度が低下する。
全固形分に対する水溶性高分子(B)の比率は、25〜80質量%であることが好ましく、30〜80質量%がより好ましく、30〜75質量%がさらに好ましく、35〜75質量%が特に好ましい。
水溶性高分子(B)の比率が前記範囲の下限値以上であれば、ラミネート強度の経時劣化の少なく、かつヘイズの低いガスバリア性フィルムとすることができる。これは、水溶性高分子(B)の比率を多くすることにより、無機層状鉱物(C)の単位結晶層間への配位(インターカレーション)割合を増やすことができるためと考えられる。
一方、水溶性高分子(B)の比率が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層に、時間経過に伴った膜凝集強度の低下やヘイズの悪化が生じるおそれがある。また、水溶性高分子(B)の比率が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤の基材フィルムへの濡れ性、コーティング剤から形成されるガスバリア層の基材フィルムへの密着性が不十分になるおそれがある。
全固形分に対する無機層状鉱物(C)の比率は、8〜20質量%であることが好ましく、8〜18質量%がより好ましく、10〜18質量%がさらに好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
無機層状鉱物(C)の比率が前記範囲の下限値未満であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層のガスバリア性が不十分になるおそれがある。無機層状鉱物(C)の比率が前記範囲の上限値超であると、コーティング剤から形成されるガスバリア層の透明性が不十分になるおそれがある。
コーティング剤中の水性ポリウレタン樹脂(A)と水溶性高分子(B)と無機層状鉱物(C)との合計の含有量(固形分)は、コーティング剤中の全固形分に対して、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。この合計の含有量が前記下限値以上であれば、本発明の効果がより優れる。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
コーティング剤は、23℃における粘度が10mPa・s〜80mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜50mPa・sであることがより好ましい。粘度は、E型粘度計により測定される値である。
本発明のコーティング剤は、水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、必要に応じて添加剤、さらなる水性媒体等を混合することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。
添加剤として反応性硬化剤を含む場合、反応性硬化剤は、基材フィルムへ塗工する直前に添加することが好ましい。
「作用効果」
本発明のコーティング剤にあっては、酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含有する水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、を含み、前記無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が100cmol(+)・kg−1以上であるため、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、また透明性の高いガスバリア層を形成できる。
本発明のコーティング剤によれば、形成されるガスバリア層の透明性が高いことから、例えばヘイズが10%以下のガスバリア性フィルムを得ることができる。ヘイズが10%以下であれば、これを包装用材料として用いたときに、内容物の認識が十分に可能である。
ヘイズは、下式で求められる値であり、JIS K 7361「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第一部シングルビーム法・補償法」、JIS K 7136「プラスチック−透明材料のヘイズの求め方」に準じて測定される。
ヘイズ(曇度)=散乱光/全光線透過光×100(%)
<ガスバリア性フィルム>
本発明のガスバリア性フィルムは、プラスチック材料からなる基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に積層した、前記本発明のコーティング剤から形成されたガスバリア層と、を備えることを特徴とする。
基材フィルムを構成するプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2−10オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独または共重合体などのアクリル系樹脂;セロファン等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、または2種以上が組み合わせられて用いられる。
基材フィルムとしては、単一の樹脂で構成された単層フィルム、複数の樹脂を用いた単層または積層フィルム等が挙げられる。また、上記の樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックスなど)に積層した積層基材を用いてもよい。
基材フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特に、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステル系樹脂フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)、ポリアミド系樹脂フィルム(特に、ナイロンフィルム)等が好ましい。
基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸または二軸延伸配向フィルムであってもよい。
基材フィルムは、コーティング剤から形成された皮膜が積層する面(コーティング剤が塗布される面)に、コーティング剤に対する濡れ性と、皮膜に対する接着強度とを向上させるために、コロナ処理、低温プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
基材フィルムは、コーティング剤から形成された皮膜が積層する面に、アンカーコートまたはアンダーコート処理が施されてもよい。
基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、包装材料としての適性や他の皮膜の積層適性を考慮しつつ、価格や用途によって適宜選択されるが、実用的には3μm〜200μmであり、好ましくは5μm〜120μmであり、より好ましくは10μm〜100μmである。
本発明のコーティング剤からなるガスバリア層は、基材フィルムの片面(一方の面)あるいは両面上に、本発明のコーティング剤を塗布してコーティング剤からなる塗膜を形成し、その塗膜を乾燥(水性媒体を除去)することにより形成できる。
コーティング剤の塗布方法としては、公知の湿式コーティング方法を用いることができる。湿式コーティング方法としては、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、スクリーン印刷、スプレーコートなどが挙げられる。
コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。
本発明のコーティング剤から形成されたガスバリア層の厚さは、要求されるガスバリア性に応じて設定されるが、0.1μm〜5μmであることが好ましく、0.2μm〜2μmであることがより好ましく、0.3μm〜1μmであることがさらに好ましい。ガスバリア層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、十分なガスバリア性が得られやすい。ガスバリア層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、均一な塗膜面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
本発明のガスバリア性フィルムは、必要に応じて、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、接着剤層、ヒートシール可能な熱融着層、その他の機能層等をさらに有していてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムがヒートシール可能な熱融着層を有する場合、この熱融着層は、ガスバリア性フィルムの少なくとも一方の最表層に配置される。ガスバリア性フィルムが熱融着層を有することにより、ガスバリア性フィルムが、熱シールによって密封可能なものとなる。
熱融着層は、例えば、基材フィルムの片面または両面に本発明のコーティング剤により皮膜を形成して得られた積層体に、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の公知の接着剤を用いて、公知のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等により積層することができる。
「作用効果」
本発明のガスバリア性フィルムにあっては、プラスチック材料からなる基材フィルムの少なくとも片面上に、本発明のコーティング剤から形成されたガスバリア層が積層している。このガスバリア層は、前述のように、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、また、透明性が高い。
そのため、本発明のガスバリア性フィルムは、高湿度雰囲気下におけるガスバリア性に優れる。また、ガスバリア層の透明性が高いため、基材フィルムが透明である場合には、ガスバリア性フィルムが包装用材料として十分な、たとえばヘイズ値として10%以下の透明性を有し得る。また、ガスバリア層を介して、基材フィルムや、基材フィルムとガスバリア層との間に設けられる層(例えば印刷層)を視認することができる。
したがって、本発明のガスバリア性フィルムを包装用材料として用いることにより、内容物の品質保持性を高めることができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、様々な包装用材料として活用することができ、例えば、乾燥食品・菓子・パン・珍味などの湿気や酸素を嫌う食品、および、使い捨てカイロ、錠剤・粉末薬または湿布・貼付剤などの医薬品の包装材料として有用である。
また、本発明のガスバリア性フィルムは、高いガスバリア性と内容物の認識が可能な透明性を必要とされる包装分野に用いることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた材料を以下に示す。
<使用材料>
「酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体」
(A1):後述の製造例1で得た水性分散体
(A2):三井化学社製の水性ポリウレタンディスパージョン「タケラック(登録商標)WPB−341」
「水溶性高分子(B)」
(B1):鹸化度98〜99%、重合度500のポリビニルアルコール(商品名:ポバールPVA−105、クラレ社製)。
(B2):鹸化度98〜99%、重合度1700のポリビニルアルコール(商品名:ポバールPVA−117、クラレ社製)。
「無機層状鉱物(C)」
(C1−1)〜(C1−3):水膨潤性合成雲母(商品名:ソマシフ(登録商標)MEB−3、コープケミカル社製)の、陽イオン交換容量の異なるロット1〜3(陽イオン交換容量:ロット1は120cmol(+)・kg−1、ロット2は112cmol(+)・kg−1、ロット3は90cmol(+)・kg−1)。
(C2−1)〜(C2−2):モンモリロナイト(商品名:クニピア(登録商標)−F、クニミネ工業社製)の、陽イオン交換容量の異なるロット1〜2(陽イオン交換容量は115cmol(+)・kg−1、ロット2は110cmol(+)・kg−1)。
「硬化剤」
(D1):イソシアネート系硬化剤(商品名:タケネート(登録商標)WD−725、三井化学社製)。
<製造例1>
メタキシリレンジイソシアネート(以下、「mXDI」と記載することがある。)を45.5g、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と記載することがある。)を93.9g、エチレングリコール24.8g、ジメチロールプロピオン酸13.4gおよび溶剤としてメチルエチルケトン80.2gを混合し、窒素雰囲気下、70℃にて5時間反応させ、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を調製した。
次いで、このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を、40℃にて、トリエチルアミン9.6gにより中和した。
中和したカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を、ホモディスパーにより、水624.8gに分散させて、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール21.1gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25質量%、平均粒径90nm、酸価26.9mgKOH/gの、酸基を有するポリウレタン樹脂の水性分散体を得た。
次いで、酸基を有するポリウレタン樹脂の水性分散体と、ポリアミン化合物としてγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(アミン価544mgKOH/g)とを、酸基と塩基性窒素原子のモル比が1/1となる比率で混合して、製造例1の水性ポリウレタン樹脂の水性分散体を得た。
<実施例1〜14、比較例1〜6>
まず、表1〜2に示す種類と配合比率(質量%)で、水性ポリウレタン樹脂(A)の水性分散体と水溶性高分子(B)と無機層状鉱物(C)を配合し、80℃にて加熱、混合した後、室温まで冷却し、全水性媒体溶媒中の10質量%がイソプロパノール、最終的な固形分濃度が9質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。得られた希釈物に、表1〜2に示す配合比率(質量%)で硬化剤を添加して、コーティング剤を調製した。ここで、配合比率は、全固形分に対する各成分の固形分での比率である。硬化剤の添加は、この後のコーティング剤の基材フィルム(東セロ社製のポリプロフィレンフィルム:U−1)への塗工の直前に行った。
得られたコーティング剤を、基材フィルムのコロナ処理面に、グラビアコート法により、乾燥後の膜厚が0.6μmになるよう塗布し、90℃のオーブンを10秒間通過させて乾燥してガスバリア層を形成し、実施例1〜14および比較例1〜6のガスバリア性フィルムを得た。
<比較例7>
基材フィルムをそのまま比較例7のガスバリア性フィルムとした。
<評価>
(酸素透過度)
実施例1〜14、比較例1〜7のガスバリア性フィルムについて、酸素透過度測定装置(MOCON社製OXTRAN−2/20)を用いて、20℃、相対湿度80%の雰囲気下、酸素透過度(cm/(m・day・MPa))を測定した。結果を表1〜2に示す。
(ヘイズ)
実施例1〜14、比較例1〜7のガスバリア性フィルムについて、ヘイズ測定器(日本電色工業社製NDH−2000)を用いてヘイズ(%)を測定した。結果を表1〜2に示す。
Figure 2017071693
Figure 2017071693
表1〜2に記載の結果から、実施例1〜14のガスバリア性フィルムは、20℃、相対湿度80%RHの雰囲気下における酸素透過度の値が80cm/(m・day・MPa)以下と良好なガスバリア性が得られた。この値は、基材フィルム(比較例7)の酸素透過度に比べて大幅に低かった。また、実施例1〜14のガスバリア性フィルムは、ヘイズの値が10%以下と低く、透明性に優れていた。
一方、無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が100cmol(+)・kg−1以下のコーティング剤を用いた比較例1〜3では、酸素透過度の値が100cm/(m・day・MPa)以上となり、良好なガスバリア性を得られなかった。また、へイズが10%以上となり、ガスバリア性フィルムの透明性が低かった。
水性ポリウレタン樹脂(A)または無機層状鉱物(C)を含まないコーティング剤を用いた比較例4、6では、ヘイズは10%以下であったものの、酸素透過度の値が200cm/(m・day・MPa)以上となり、高湿度下における良好なガスバリア性を得ることができなかった。水溶性高分子(B)を含まないコーティング剤を用いた比較例5では、酸素透過度の値は良好であったものの、ヘイズが10%以上となり、ガスバリア性フィルムの透明性が低かった。
本発明は、ガスバリア性フィルムの製造に利用できる。

Claims (3)

  1. 酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含む水性ポリウレタン樹脂(A)が水性媒体に分散した水性分散体と、水溶性高分子(B)と、無機層状鉱物(C)と、を含み、
    前記無機層状鉱物(C)の陽イオン交換容量が100cmol(+)・kg−1以上であることを特徴とするコーティング剤。
  2. 全固形分に対する前記無機層状鉱物(C)の比率が8〜20質量%である、請求項1に記載のコーティング剤。
  3. プラスチック材料からなる基材フィルムと、
    前記基材フィルムの少なくとも一方の面に積層した、請求項1または2に記載のコーティング剤の層からなるガスバリア層とを備えることを特徴とするガスバリア性フィルム。
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