JP7110709B2 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗などを抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断する性質(ガスバリア性)が要求される。そのため、従来、これら包装材料には、ガスバリア層を有するものが用いられている。
これまで、ガスバリア層は、フィルムや紙などの基材上に、スパッタリング法や蒸着法、ウェットコーティング法や印刷法などにより設けられていた。また、ガスバリア層としては、アルミニウムなどの金属からなる金属箔や金属蒸着膜、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂からなる樹脂膜、上記水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜等が用いられている(例えば、特許文献1~5参照)。
しかし、金属箔や金属蒸着膜は、ガスバリア性に優れるものの、不透明であるため、内容物を確認することができない点や、伸縮性に劣るため、数%の伸びでクラックが生じて、ガスバリア性が低下する点や、使用後の廃棄時に、不燃物として処理する必要がある点等、種々の問題があった。また、ポリ塩化ビニリデンからなる樹脂膜は、湿度依存性のない良好なガスバリア性を示すものの、塩素を含むため、廃棄処理などの際に、ダイオキシンなどの有害物質の発生源となりうる可能性があり、包装材料として用いることが嫌われる傾向にある。また、非塩素系のポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の水溶性高分子からなる樹脂膜は、低湿度雰囲気では高いガスバリア性を示すものの、ガスバリア性に湿度依存性があり、湿度の上昇とともにガスバリア性が大きく低下する欠点があった。また、ポリ塩化ビニリデンおよび水溶性高分子以外の他の樹脂からなる樹脂膜は、ポリ塩化ビニリデンの樹脂膜や、低湿度雰囲気におけるポリビニルアルコールの樹脂膜と比較すると、ガスバリア性が劣っていた。また、水溶性高分子と無機層状鉱物との複合膜は、水溶性高分子からなる樹脂膜に比べて湿度依存性は改善するものの、その効果は十分ではなく、また、基材との密着性が低下する問題があった。また、安価で水蒸気バリア性が優れるという点から基材としてポリオレフィン樹脂からなるフィルムが選択される場面は数多くあるが、この場合フィルムに対する水溶性高分子と無機層状鉱物とからなる膜の相性が悪いため、均一に塗工することや、良好なガスバリア性及び密着性を発揮するのが難しかった。
特開2001-287294号公報 特開平11-165369号公報 特開平6-93133号公報 特開平9-150484号公報 特許第3764109号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、また包装用材料として十分な他材への密着強度や膜凝集強度を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>ガスバリア性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)と、樹脂基材(A)の少なくとも片面に、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)と無機層状鉱物(D)と硬化剤(E)とを主成分とするコーティング剤から形成された皮膜とを有し、樹脂基材(A)の白色面積率が2.00%未満であることを特徴とする。
<2>水溶性高分子(C)が、鹸化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂であることが好ましい。
<3>水性ポリウレタン樹脂(B)が、酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含む水性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、また包装用材料として十分な他材への密着強度や膜凝集強度を有するガスバリア性フィルムを提供できる。
樹脂基材の一例の顕微鏡による観察図
以下、本発明のガスバリア性フィルムの実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであって、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施の形態に係るガスバリア性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)と、樹脂基材(A)の少なくとも片面に、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)と無機層状鉱物(D)と硬化剤(E)とを主成分とするコーティング剤から形成された皮膜とを有する。
<樹脂基材(A)>
樹脂基材(A)を構成する樹脂としては、入手の平易さ、水蒸気バリア性の点から、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の1種を単独でまたは2種以上をブレンドしてフィルム状に加工した樹脂フィルムを使用する。樹脂フィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよい。また、樹脂基材(A)は、1層の樹脂層(フィルム)からなるものでもよく、2層以上の樹脂層(フィルム)を積層したものであってもよい。
樹脂基材(A)としては、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを有するものが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、特に水蒸気バリア性が優れているため、水蒸気バリア性が優れるガスバリア性フィルムを得ることができる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等の少なくとも1種がフィルム状に加工されたものであってもよい。ホモポリマーはプロピレン単体のみからなるポリプロピレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる少量のコモノマーがランダムに共重合し均質的な相をなすポリプロピレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと上記コモノマーがブロック的に共重合したりゴム状に重合したりすることによって不均質な相を形成するポリプロピレンである。樹脂基材(A)を構成する二軸延伸ポリプロピレンフィルムは1層でもよく、2層以上の積層体でもよい。
樹脂基材(A)の白色面積率は2.00%未満である。本明細書における白色面積率は、以下のようにして算出した値を指す。
オリンパス社製顕微鏡:OLS-4000にて取得した光学顕微鏡画像を画像解析ソフトImageJにて解析し、白色面積を求める。より具体的な画像取得条件、画像解析条件を以下に説明する。
<画像取得条件>
サンプル準備として、白色面積を求めたい樹脂基材(A)のコーティング剤を塗工する側の面を上にして、スライドガラス上に透明な両面テープ(ノンキャリアフィルム TD06A 巴川製紙所)を使用して貼り付ける。その後、オリンパス社製顕微鏡:OLS-4000を使用して、対物レンズとしてMPFLN10(倍率10倍)を使用し、樹脂基材(A)の3箇所から範囲1281μm×1281μmの画像を取得する。取得時の設定光量は35である。
<画像解析条件>
カラー情報破棄→8bit
白黒反転→有り
二値化→Treshold値0-30
面積測定→Analyze Particle Size0-Infinity
Include Holesにチェック
このようにして3箇所から取得した画像についてそれぞれ%Area値を導き出し、これらの%Area値の平均値を白色面積率とする。
図1は、樹脂基材の一例の顕微鏡による観察図である。図1に示す、顕微鏡で樹脂基材(A)を観察したときに見られる白色部分は、添加剤や樹脂未溶分や架橋分が核となって空隙になっている部分であることが多く、樹脂基材(A)の表面形状に大きな影響を及ぼす。また、上記白色部分は、表面キズなどにより白く見えている部分であることもある。そのため白色面積率が2.00%未満であれば、白色部分による樹脂基材(A)の表面への悪影響を抑制し、樹脂基材(A)上に均一な塗膜を形成することが可能である。空隙を形成するような粒径の大きな添加剤の含有を避け、樹脂押し出し時の温度範囲を適正に保つことによって、白色面積率が2.00%未満の樹脂基材を形成することができる。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを有する樹脂基材(A)は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムからなるものであってもよく、二軸延伸ポリプロピレンフィルムに他の樹脂フィルムが積層したものであってもよい。他の樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタナート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム;ポリスチレンフィルム;66-ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、およびポリイミドフィルム等のエンジニアリングプラスチックフィルム等が挙げられる。
樹脂基材(A)は、フィラー、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
樹脂基材(A)の厚みは、特に制限されず、例えば、3~200μmであってもよく、6~30μmであってもよい。樹脂基材(A)の厚みは、用途または求められる特性に応じて調整してもよい。
樹脂基材(A)の表面は、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、プラズマ処理およびオゾン処理からなる群から選ばれる少なくとも一つの処理が施されていてもよい。
<コーティング剤>
本実施の形態に係るコーティング剤は、水性ポリウレタン樹脂(B)と、水溶性高分子(C)と、無機層状鉱物(D)と、硬化剤(E)とを主たる構成成分として含む。
「水性ポリウレタン樹脂(B)」
水性ポリウレタン樹脂(B)は、酸基を有するポリウレタン樹脂(以下、「酸基含有ポリウレタン樹脂」ともいう。)と、ポリアミン化合物とを含む。コーティング剤が水性ポリウレタン樹脂(B)を含んでいることにより、コーティング剤の樹脂基材(A)への濡れ性、およびコーティング剤から形成される皮膜の樹脂基材(A)への密着強度に優れる。さらに水性ポリウレタン樹脂(B)が、酸基含有ポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有することで、高湿度雰囲気下でも優れた酸素バリア性を発現させる。
水性ポリウレタン樹脂(B)を構成する酸基含有ポリウレタン樹脂(アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂)の酸基は、水性ポリウレタン樹脂(B)を構成するポリアミン化合物のアミノ基(第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等)と結合可能である。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。酸基は、通常、中和剤(塩基)により中和可能であり、塩基と塩を形成していてもよい。酸基は、酸基含有ポリウレタン樹脂の末端に位置してもよく側鎖に位置してもよいが、少なくとも側鎖に位置していることが好ましい。
酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、水溶性または水分散性を付与できる範囲で選択することができるが、通常、5~100mgKOH/gであり、10~70mgKOH/gであることが好ましく、15~60mgKOH/gであることがより好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が5mgKOH/g未満であると、酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶性または水分散性が不十分となり、水性ポリウレタン樹脂と他の材料との均一分散性やコーティング剤の分散安定性の低下を招くおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が100mgKOH/gを超える場合、コーティング剤から形成される皮膜の耐水性やガスバリア性の低下を招くおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価が5~100mgKOH/gの範囲内であることで、コーティング剤の分散安定性の低下、および、コーティング剤から形成される皮膜の耐水性やガスバリア性の低下を回避できる。酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、JIS K 0070に準じた方法により測定される。
酸基含有ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度およびウレア基(尿素基)濃度の合計は、ガスバリア性の観点から、15~60質量%以上であることが好ましく、20~60質量%であることがより好ましい。ウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計が15質量%未満であると、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性が不十分になるおそれがある。ウレタン基濃度およびウレア基濃度の合計が60質量%を超える場合、コーティング剤から形成される皮膜が剛直で脆くなるおそれがある。ウレタン基濃度およびウレア基濃度とは、ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位の分子量に対する、ウレタン基の分子量(59g/当量)またはウレア基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)の割合を意味する。なお、酸基含有ポリウレタン樹脂として2種以上の混合物を用いる場合、ウレタン基濃度およびウレア基濃度は反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出できる。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、通常、少なくとも剛直な単位(炭化水素環で構成された単位)と短鎖単位(例えば、炭化水素鎖で構成された単位)とを有している。すなわち、酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位は、通常、ポリイソシアネート成分、ポリヒドロキシ酸成分、ポリオール成分や鎖伸長剤成分(特に、少なくともポリイソシアネート成分)に由来して、炭化水素環(芳香族および非芳香族炭化水素環のうち少なくとも1つ)を含んでいる。
酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合は、通常、10~70質量%であり、好ましくは15~65質量%であり、より好ましくは20~60質量%である。酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合が10質量%未満であると、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性が不十分になるおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位における炭化水素環で構成された単位の割合が70質量%を超える場合、コーティング剤から形成される皮膜が剛直で脆くなるおそれがある。
酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、適宜選択可能であるが、800~1,000,000であることが好ましく、800~200,000であることがより好ましく、800~100,000であることがさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が1,000,000を超える場合、コーティング剤の粘度が上昇し好ましくない。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量が800未満であると、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性が不十分になるおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
酸基含有ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を高めるため、結晶性であってもよい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点が100℃未満であると、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性が不十分になるおそれがある。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点の上限は、典型的には、200℃以下、さらには180℃以下、さらには150℃以下程度である。上記各項目の好ましい範囲を満たす酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点が200℃よりも高くなることは実質的に可能性が低い。したがって、酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100~200℃が好ましく、110~180℃がより好ましく、120~150℃がさらに好ましい。酸基含有ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
水性ポリウレタン樹脂(B)では、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、架橋剤としてのポリアミン化合物と、を結合させることにより、ガスバリア性を発現させている。水性ポリウレタン樹脂(B)を構成するポリアミン化合物としては、酸基と結合し、かつ、ガスバリア性を向上できるものであれば特に限定されるものではなく、2以上の塩基性窒素原子を有する種々の化合物が用いられる。塩基性窒素原子は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と結合し得る窒素原子であり、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等のアミノ基における窒素原子が挙げられる。ポリアミン化合物とポリウレタン樹脂の酸基との結合は、イオン結合(例えば、第3級アミノ基とカルボキシル基とのイオン結合等)であってもよく、共有結合(例えば、アミド結合等)であってもよい。ポリアミン化合物としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ基を有するポリアミン化合物が好ましい。
ポリアミン化合物の具体例としては、例えばアルキレンジアミン類、ポリアルキレンポリアミン類等が挙げられる。アルキレンジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン等のC2-10アルキレンジアミン等が挙げられる。ポリアルキレンポリアミン類としては、例えばテトラアルキレンポリアミン、さらに複数の塩基性窒素原子(アミノ基などの窒素原子を含む)を有するケイ素化合物(シランカップリング剤等)等が挙げられる。該ケイ素化合物としては、例えば2-〔N-(2-アミノエチル)アミノ〕エチルトリメトキシシラン、3-〔N-(2-アミノエチル)アミノ〕プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ポリアミン化合物のアミン価は、100~1900mgKOH/gが好ましく、150~1900mgKOH/gがより好ましく、200~1900mgKOH/gがさらに好ましく、200~1700mgKOH/gが特に好ましく、300~1500mgKOH/gが最も好ましい。ポリアミン化合物のアミン価が100mgKOH/g以上であれば、水性ポリウレタン樹脂(B)のガスバリア性に優れる。ポリアミン化合物のアミン価が1900mgKOH/g以下であれば、水性ポリウレタン樹脂(B)の水分散安定性に優れる。
ポリアミン化合物のアミン価は、以下の方法により測定される。
〔アミン価の測定方法〕
試料を0.5~2g精秤する(試料量Sg)。精秤した試料にエタノール30gを加え溶解させる。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え0.2mol/Lのエタノール性塩酸溶液(力価f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄の間の色に変化した点を終点とし、このときの滴定量(AmL)を用い以下の計算式1を用いアミン価を求める。
計算式1:
アミン価=A×f×0.2×56.108/S〔mgKOH/g〕
水性ポリウレタン樹脂(B)において、ポリアミン化合物の含有量は、酸基含有ポリウレタン樹脂の酸基と、ポリアミン化合物の塩基性窒素原子とのモル比(酸基/塩基性窒素原子)が10/1~0.1/1となる量が好ましく、5/1~0.2/1となる量がより好ましい。酸基/塩基性窒素原子が10/1~0.1/1であれば酸基含有ポリウレタンの酸基とポリアミン化合物との架橋反応が適切におこり、コーティング剤から形成される皮膜が、高湿度雰囲気下でも優れた酸素バリア性を発現させる。
水性ポリウレタン樹脂(B)は、通常、水性媒体に溶解または分散した状態で形成される。水性媒体としては、水、水溶性または親水性有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は、通常、水または水を主成分として含むものである。水性媒体中の水の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。水溶性または親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。水性媒体は、酸基を中和する中和剤(塩基)を含んでもよく、含まなくてもよい。通常は中和剤が含まれる。
水性ポリウレタン樹脂(B)は、ポリウレタン樹脂が水性媒体に溶解した水溶液の形態であってもよく、ポリウレタン樹脂が水性媒体に分散した水分散体の形態であってもよい。水分散体において、分散粒子(ポリウレタン樹脂粒子)の平均粒子径は、特に限定されず、好ましくは20nm~500nmであり、より好ましくは25nm~300nmであり、さらに好ましくは30nm~200nmである。分散粒子の平均粒子径が500nmを超える場合、分散粒子と他の材料との均一分散性やコーティング剤の分散安定性が低下し、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性が不十分になるおそれがある。分散粒子の平均粒子径が20nm未満であると、コーティング剤の分散安定性やコーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性をさらに向上させるほどの効果は期待できない。また、かかる分散体を得るのは実質的に難しい。平均粒子径は、固形分濃度が0.03~0.3質量%の状態で(水で希釈して)濃厚系粒径アナライザー(大塚電子社製 FPAR-10)にて計測される値である。
水性ポリウレタン樹脂(B)は、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。水性ポリウレタン樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、アセトン法、プレポリマー法など、通常のポリウレタン樹脂の水性化技術が用いられる。ウレタン化反応では、必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒などのウレタン化触媒を用いてもよい。例えば、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類等の不活性有機溶媒中において、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、必要に応じて、ポリオール成分および鎖伸長剤成分のうち少なくとも1つと、を反応させることにより、酸基含有ポリウレタン樹脂を調製できる。より具体的には、不活性有機溶媒(特に、親水性または水溶性の有機溶媒)中、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸と、ポリオール成分と、を反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを生成し、中和剤で中和して水性媒体に溶解させ、または分散させた後、鎖伸長剤成分を添加して反応させ、有機溶媒を除去することにより、酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶液または水分散体を調製できる。このようにして得られた酸基含有ポリウレタン樹脂の水溶液または水分散体にポリアミン化合物を添加し、必要に応じて加熱することにより、水溶液または水分散体の形態の水性ポリウレタン樹脂(B)を調製できる。加熱する場合、加熱温度は、30~60℃が好ましい。
「水溶性高分子(C)」
「水溶性高分子」とは、水に溶解可能な高分子を指す。ここでいう溶解とは、溶質である高分子が溶媒である水に分子鎖レベルで分散して均一系をなしている状態を指す。より詳しくは、高分子鎖の分子鎖間の分子間力にくらべ水分子との分子間力が強くなり高分子鎖の絡み合いが解かれ、水に均一に分散している状態を指す。
水溶性高分子(C)としては、後述する無機層状鉱物(D)の単位結晶層間に侵入し、配位(インターカレーション)することが可能な化合物であれば特に限定されない。水溶性高分子(C)の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびその誘導体等のポリビニルアルコール樹脂;ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸またはそのエステル、塩類およびそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレートおよびその共重合体等のビニル系重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;スルホイソフタル酸などの極性基を含有する共重合ポリエステル;ウレタン系高分子、または、これらの各種重合体のカルボキシル基などが変性した官能基変性重合体などが挙げられる。水溶性高分子(C)は、皮膜凝集強度を考慮すると、重合度が200以上であることが好ましい。
コーティング剤に含まれる水溶性高分子(C)は1種でもよく2種以上でもよい。水溶性高分子(C)は、少なくとも、ポリビニルアルコール系重合体およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリビニルアルコール樹脂を含むことが好ましく、鹸化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂を含むことが特に好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度は、300~2400が好ましく、450~2000が特に好ましい。ポリビニルアルコール樹脂は、鹸化度や重合度が高い程、吸湿膨潤性が低くなり高いガスバリア性を発揮する。ポリビニルアルコール樹脂の鹸化度が95%未満では、十分なガスバリア性が得られないおそれがある。また、ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300未満では、ガスバリア性および皮膜凝集強度の低下を招くおそれがある。一方、重合度が2400を超えると、コーティング剤の粘度が上がり、他の成分と均一に混合することが難しく、ガスバリア性や密着強度の低下といった不具合を招くおそれがある。
「無機層状鉱物(D)」
「無機層状鉱物」とは、極薄の単位結晶層が重なって1つの層状粒子を形成している無機化合物を指す。無機層状鉱物(D)としては、水中で膨潤および/またはへき開する化合物が好ましく、これらの中でも特に、水への膨潤性を有する粘土化合物が好ましい。より具体的には、無機層状鉱物(D)は、極薄の単位結晶層間に水を配位し、吸収および/または膨潤する性質を有する粘土化合物であることが好ましい。かかる粘土化合物は、一般には、Si4+がO2-に対して配位して四面体構造を構成する層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+などが、O2-およびOHに対して配位して八面体構造を構成する層とが、1対1あるいは2対1で結合し、積み重なって層状構造を形成する化合物である。この粘土化合物は、天然の化合物であっても、合成された化合物であってもよい。
無機層状鉱物(D)の代表的なものとしては、フィロケイ酸塩鉱物等の含水ケイ酸塩が挙げられ、例えば、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等のカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイル等のアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライト等のバーミキュライト族粘土鉱物;白雲母、金雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の雲母またはマイカ族粘土鉱物:等が挙げられる。これらの無機層状鉱物(D)は、1種単独で、または2種以上が組み合わせられて用いられる。これらの無機層状鉱物(D)の中でも、モンモリロナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、水膨潤性雲母等のマイカ族粘土鉱物が特に好ましい。
無機層状鉱物(D)の大きさは、平均粒径が10μm以下で、厚さが500nm以下であることが好ましい。平均粒径が10μm以下で、厚さが500nm以下であれば、コーティング剤から形成される皮膜中で無機層状鉱物(D)が均一に整列しやすくなり、ガスバリア性及び膜凝集強度が高いものとなる。
無機層状鉱物(D)は、少なくとも、平均粒径が1~10μmで、厚さが10~100nmである水膨潤性合成雲母を含むことが特に好ましい。水膨潤性合成雲母は水性ポリウレタン樹脂(B)および水溶性高分子(C)との相溶性が高く、天然系の雲母に比べて不純物が少ない。そのため、無機層状鉱物(D)として水膨潤性合成雲母を用いると、不純物に由来するガスバリア性の低下や膜凝集力の低下を招きにくい。また、水膨潤性合成雲母は、結晶構造内にフッ素原子を有することから、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性の湿度依存性を低く抑えることにも寄与する。加えて、水膨潤性合成雲母は、他の水膨潤性の無機層状鉱物に比べて、高いアスペクト比を有することから、迷路効果がより効果的に働き、コーティング剤から形成される皮膜のガスバリア性を特に高く発現させるのに寄与する。
「各成分の含有割合」
コーティング剤中、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)との固形分での質量比(水性ポリウレタン樹脂(B)/水溶性高分子(C))は、85/15~5/95であることが好ましく、75/25~10/90であることがより好ましく、70/30~15/85であることが特に好ましい。水性ポリウレタン樹脂(B)/水溶性高分子(C)が85/15よりも大きい場合、塗工時にムラが発生するおそれがある。塗工時のムラは、外観の悪化やバリア性の低下につながる。水性ポリウレタン樹脂(B)/水溶性高分子(C)が5/95よりも小さい場合、樹脂基材(A)への濡れ性が悪化し、塗工時にはじきむらが発生しやすく、それによりバリア性の低下につながるおそれがある。水性ポリウレタン樹脂(B)/水溶性高分子(C)が85/15~5/95であることで、コーティング剤の樹脂基材(A)への濡れ性が良好で、ムラなくコーティング剤を塗工することができ、外観やバリア性の良好な皮膜を形成できる。
コーティング剤中の無機層状鉱物(D)の含有量(固形分)は、コーティング剤中の全固形分に対して、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、7質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。無機層状鉱物(D)の含有量が5~60質量%であれば、コーティング剤から形成される皮膜の凝集強度を保ちつつ、高湿度環境下でのバリア性を効果的に発揮することが可能である。
<硬化剤(E)>
本実施の形態に係るコーティング剤中に、コーティング剤の成分と反応性を持つ硬化剤(E)を含有することで、コーティング剤からなる塗膜と樹脂基材(A)との密着性を強固にすることができる。硬化剤(E)の種類は、コーティング剤中の成分と反応性を持つものであれば特に限定されない。
本実施の形態に係る硬化剤(E)は、シランカップリング剤、あるいはエポキシ化合物であることが好ましい。シランカップリング剤としては、一般的に用いられているものを使用でき、例えばケイ素原子に結合したアルコキシ基と有機反応基とを有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤のアルコキシ基は、加水分解してシラノール基を生成し、無機化合物(D)との反応、吸着等の相互作用効果を発揮する。本実施の形態に係るコーティング剤では、無機層状鉱物(D)とシランカップリング剤とが相互作用することで、コーティング剤から形成される皮膜の凝集強度が向上する。また、シランカップリング剤の有機反応基が水性ポリウレタン樹脂(B)、水溶性高分子(C)等の有機成分と反応することで、コーティング剤から形成される皮膜の樹脂基材(A)への密着強度が向上する。したがって、シランカップリング剤を含むことで、コーティング剤から形成される皮膜の凝集強度を高め、樹脂基材(A)や他の基材との密着力を向上させて、包装材料としての実用強度を高めることが可能である。また、エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定無く使用することが可能である。エポキシ化合物は、水性ポリウレタン樹脂(B)の末端水酸基等と反応し、強固な結合を形成し、皮膜の凝集強度を高め、樹脂基材(A)や他の基材との密着力を向上させて、包装材料としての実用強度を高めることが可能である。また反応速度が適正な領域内であるために、硬化剤(E)添加後の可使期間も長い。例えば、エポキシ基を1つ有する単官能エポキシ化合物でもよく、エポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物でもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えばRSiX(ここで、Rは有機反応基であり、Xはアルコキシ基である。)で表される化合物が挙げられる。有機反応基としては、例えばアミノ基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアネート基、イソシアヌレート基等を有するものが挙げられる。(メタ)アクリル基は、アクリル基およびメタアクリル基の両方を示す。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、有機反応基がコーティング剤中の成分との反応性を持つものが好ましく使用される。例えば、ビニル基を持つシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基を持つシランカップリング剤として、2(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。アミノ基を持つシランカップリング剤として、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。メルカプト基を持つシランカップリング剤として、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリル基を持つシランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。イソシアネート基を持つシランカップリング剤として、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。イソシアヌレート基を持つシランカップリング剤として、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、エポキシ基を有するものが好ましい。エポキシ基は、水性ポリウレタン樹脂(B)や水溶性高分子(C)が持つ水酸基と良好な反応性を持つため、コーティング剤から形成される皮膜の樹脂基材(A)への密着強度が特に強く発揮される。
単官能エポキシ化合物としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤が挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤以外の単官能エポキシ化合物として、例えば、フェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチルジエチレングリコールグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエングリシジルエーテル、2-ヒドロキシエチルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの単官能エポキシ化合物はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい
多官能エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキセンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。これらの多官能エポキシ化合物はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、複雑で強固な架橋構造を形成できる点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤、または多官能エポキシ化合物が好ましい。多官能エポキシ化合物としては、より複雑な架橋構造の形成が可能である点から、3官能以上のエポキシ化合物が好ましい。
コーティング剤中の硬化剤(E)の含有量(固形分)は、コーティング剤中の全固形分に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。硬化剤(E)の含有量が0.5~30質量%であることで、樹脂基材(A)への良好な濡れ性を保ちつつ、コーティング剤から形成される皮膜の凝集力および樹脂基材(A)への密着強度を十分に高めることができる。
コーティング剤中、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)と無機層状鉱物(D)と硬化剤(E)との合計の含有量(固形分)は、コーティング剤中の全固形分に対して、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。この合計の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
コーティング剤は、23℃における粘度が10mPa・s~80mPa・sであることが好ましく、10mPa・s~50mPa・sであることがより好ましい。粘度は、E型粘度計により測定される値である。
本実施の形態に係るコーティング剤は、水性ポリウレタン樹脂(B)と、水溶性高分子(C)と、無機層状鉱物(D)と、硬化剤(E)と、必要に応じて添加剤と、さらなる水性媒体等とを混合することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。硬化剤(E)は、他成分と一緒に混合しても、樹脂基材(A)へ塗工する直前に添加してもよい。
<ガスバリア性フィルム>
本実施の形態に係るコーティング剤からなる皮膜は、樹脂基材(A)の片面(一方の面)あるいは両面上に、本実施の形態に係るコーティング剤を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより形成できる。コーティング剤の塗布方法としては、公知の湿式コーティング方法を用いることができる。湿式コーティング方法としては、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、スクリーン印刷、スプレーコートなどが挙げられる。コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。
本実施の形態に係るコーティング剤から形成された皮膜の厚さ、すなわち、コーティング剤からなる塗膜の乾燥後の厚さは、要求されるガスバリア性に応じて設定されるが、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.2μm~2μmであることがより好ましく、0.3μm~1μmであることがさらに好ましい。コーティング剤からなる皮膜の厚さが0.1μm以上であれば、十分なガスバリア性が得られやすい。コーティング剤から形成された皮膜の厚さが5μm以下であれば、均一な塗膜面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
本実施の形態に係るガスバリア性フィルムは、必要に応じて、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、接着剤層、ヒートシール可能な熱融着層、その他の機能層等をさらに有していてもよい。本実施の形態に係るガスバリア性フィルムがヒートシール可能な熱融着層を有する場合、この熱融着層は、ガスバリア性フィルムの少なくとも一方の最表層に配置される。ガスバリア性フィルムが熱融着層を有することにより、ガスバリア性フィルムが、熱シールによって密封可能なものとなる。熱融着層は、例えば、樹脂基材(A)の片面または両面に本実施の形態に係るコーティング剤により皮膜を形成して得られた積層体に、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の公知の接着剤を用いて、公知のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等により積層することができる。
「作用効果」
本実施の形態に係るガスバリア性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)の少なくとも片面上に、水性ポリウレタン樹脂(B)と、水溶性高分子(C)と、無機層状鉱物(D)と、硬化剤(E)とを含むコーティング剤から形成された皮膜を積層してなる。この皮膜は、上述のように、高湿度雰囲気下でも優れた酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性を示し、また、他材(例えば樹脂基材(A)や熱融着層)に対する密着強度や膜凝集強度に優れる。そのため、本実施の形態に係るガスバリア性フィルムは、高湿度雰囲気下における酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性に優れ、また、包装用材料として十分な密着強度や膜凝集強度を有する。したがって、本実施の形態に係るガスバリア性フィルムを包装用材料として用いることにより、内容物の品質保持性を高めることができる。
<実施例>
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の各例で用いた材料を以下に示す。
<使用材料>
「樹脂基材(A)」
(A1):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:VPH2011、厚さ20μm、A.J.Plast社製)
(A2):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TIMCP、厚さ19μm、Max Speciality Films Limited社製)
(A3):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TIV、厚さ18μm、Max Speciality Films Limited社製)
(A4):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:HRP、厚さ20μm、栗村化学社製)
(A5):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TPY、厚さ20μm、POLO社製)
(A6):二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:U-1、厚さ20μm、三井化学東セロ社製)
(A7):二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:P60、厚さ12μm、東レ社製)
「水性ポリウレタン樹脂(B)」
(B1):酸基を有するポリウレタン樹脂とポリアミン化合物とを含有する水性ポリウレタン樹脂、三井化学社製の水性ポリウレタンディスパージョン「タケラック(登録商標)WPB-341」。
「水溶性高分子(C)」
(C1):鹸化度98~99%、重合度500のポリビニルアルコール(商品名:ポバールPVA-105、クラレ社製)。
(C2):カルボキシメチルセルロース(CMC)。
「無機層状鉱物(D)」
(D1):水膨潤性合成雲母(商品名:ソマシフ(登録商標)MEB-3、コープケミカル社製)。
(D2):精製モンモリロナイト(商品名:クニピア-F、クニミネ工業社製)。
(D3):ナトリウムヘクトライト(商品名:NHT-ゾルB2、トピー工業社製)。
「硬化剤(E)」
(E1):3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE-403、信越シリコーン社製)。
<実施例1~11>
まず、表1に示す種類と固形分配合比率(質量%)になるよう、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)の8%水溶液とを配合し、次いで、無機層状鉱物(D)の8%水分散液を添加し、その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が8.2質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。得られた希釈物に、表1に示す種類と配合比率(質量%)で硬化剤(E)を添加して、実施例1~11のコーティング剤をそれぞれ調製した。ここで、配合比率は、全固形分に対する各成分の固形分の比率であり、以下においても同様である。
Figure 0007110709000001
次に、グラビア印刷機を用いて、表1に示す種類の樹脂基材(A)のコロナ処理面に、調製した実施例1~11に係るコーティング剤を塗工し、塗膜を形成した。次に、この塗膜を乾燥させて皮膜を形成し、実施例1~11に係るガスバリア性フィルムを得た。形成された皮膜の厚さは、電子顕微鏡によって確認測定したところ、いずれの例においても0.6μmであった。
<比較例1~8>
まず、表2に示す種類と固形分配合比率(質量%)になるよう、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)の8%水溶液とを配合し、次いで、無機層状鉱物(D)の8%水分散液を添加し、その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が8.2質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。得られた希釈物に、表2に示す種類と配合比率(質量%)で硬化剤(E)を添加して、比較例1~8のコーティング剤をそれぞれ調製した。
Figure 0007110709000002
次に、グラビア印刷機を用いて、表2に示す種類の樹脂基材(A)のコロナ処理面に、調製した比較例1~8に係るコーティング剤を塗工し、塗膜を形成した。次に、この塗膜を乾燥させて皮膜を形成し、比較例1~8に係るガスバリア性フィルムを得た。形成された皮膜の厚さは、電子顕微鏡によって確認測定したところ、いずれの例においても0.6μmであった。
<評価>
(1)白色面積率
上記手法にて、樹脂基材(A)それぞれの白色面積率を測定した。それぞれの樹脂基材(A)について、画像3点の%Area値の平均値を白色面積率とした。評価結果を表1~2に示す。
(2)酸素ガスバリア性
実施例1~11および比較例1~8で得たガスバリア性フィルムについて、酸素透過度測定装置(商品名:OXTRAN-2/20、MOCON社製)を用いて、30℃、70%RHの雰囲気下、酸素透過度(cm/(m・day・MPa))(OTR)を測定した。評価結果を表1~2に示す。
(3)水蒸気バリア性
実施例1~11および比較例1~8で得たガスバリア性フィルムについて、水蒸気透過度測定装置(商品名:PERMATRAN-W-3/33、MOCON社製)を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下、水蒸気透過度(g/(m・day))(WVTR)を測定した。評価結果を表1~2に示す。
(4)ラミネート強度
実施例1~11および比較例1~8で得たガスバリア性フィルムのコーティング面側(皮膜側)に、ドライラミネーション加工により、ポリエステルウレタン系接着剤(商品名:タケラックA-969、タケネートA-5、三井化学社製)を介して、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:CPP GLC、三井化学東セロ社製)をラミネートした後に、50℃にて48時間養生し、積層フィルムを得た。この積層フィルムを15mm幅の短冊状にカットし、引張試験機テンシロンにより、ガスバリア性フィルムを、未延伸ポリプロピレンフィルムから、300mm/分の速度で90°剥離させて、ラミネート強度(N/15mm)を測定した。評価結果を表1~2に示す。
表1~2の結果から、実施例1~11のガスバリア性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)に、水性ポリウレタン樹脂(B)、水溶性高分子(C)、無機層状鉱物(D)、および硬化剤(E)を主たる構成成分として含むコーティング剤からなる皮膜を積層しており、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)の白色面積率が2.00%未満であるため、30℃70%RH雰囲気下における酸素バリア性と、40℃90%RH雰囲気下における水蒸気バリア性と、ラミネート強度とが共に優れていた。
白色面積率が2.00%を超える樹脂基材(A)を使用した比較例1~3は、OTRが100cm/(m・day・MPa)を超えており、実施例1~11のガスバリア性フィルムと比べて酸素バリア性が劣っていた。比較例1の樹脂基材(A)は、実施例1の樹脂基材(A)と同じ銘柄だが、白色面積率が2.00%以上であるためOTRが100cm/(m・day・MPa)を超えており、酸素バリア性が劣っていた。ポリオレフィン系でない樹脂基材(A)を使用した比較例4は、WVTRが20g/(m・day)であり、実施例1~11のガスバリア性フィルムと比べて水蒸気バリア性が劣っていた。水性ポリウレタン樹脂(B)、水溶性高分子(C)、無機層状鉱物(D)および硬化剤(E)のいずれかが欠けているコーティング剤を用いた比較例5~8は、酸素バリア性、ラミネート強度のいずれかが実施例1~11のガスバリア性フィルムと比べて劣っていた。
本発明のガスバリア性フィルムは、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、また、包装用材料として十分な密着強度や膜凝集強度を有する。したがって、本発明のガスバリア性フィルムを包装用材料として用いることにより、内容物の品質保持性を高めることができる。
本発明は、例えば、包装用材料として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂基材(A)と、
    前記樹脂基材(A)の少なくとも片面に、水性ポリウレタン樹脂(B)と水溶性高分子(C)と無機層状鉱物(D)と硬化剤(E)とを主成分とするコーティング剤から形成された皮膜とを有し、
    前記樹脂基材(A)の白色面積率が2.00%未満であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記水溶性高分子(C)が、鹸化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記水性ポリウレタン樹脂(B)が、酸基を有するポリウレタン樹脂およびポリアミン化合物を含む水性ポリウレタン樹脂であること特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
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