JP2020105288A - 多孔質体、ゲル、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境面や衛生面への負荷を低減しつつ低コストに製造できる、ポリフッ化ビニリデン樹脂を含む多孔質体、前記多孔質体を用いたゲル、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】(メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を含み、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体。(メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理することで、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有する前記多孔質体を得る。【選択図】なし
Description
本発明は、多孔質体、ゲル、及びそれらの製造方法に関する。
多孔質膜、ろ過フィルタ、吸着材、不織布研磨材等の多孔質体は、様々な用途に広く用いられている。ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の多孔質膜は、機械特性に優れ、次亜塩素酸等への耐薬品性にも優れるため、浄水処理膜や下排水処理膜等として有用である。PVDF製の多孔質体の製造方法としては、溶剤を用いる非溶剤誘起相分離(NIPS)法、可塑剤を用いる熱誘起相分離(TIPS)法が一般的である。
結晶性高分子であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン製の多孔質体の製造方法としては、溶融延伸法が知られている(特許文献1〜3)。溶融延伸法は、NIPS法やTIPS法のように溶剤や可塑剤を用いないため、製造プロセスが簡素であり、また原料費も抑えられることから、コスト面、環境面、衛生面等で有利である。しかし、PVDFは結晶性高分子であるものの、溶融延伸法では充分な開孔率が得られない。そのため、溶融延伸法によってPVDFを含む多孔質体を得ることは困難である。
本発明は、環境面や衛生面への負荷を低減しつつ低コストに製造できる、PVDFを含む多孔質体、前記多孔質体を用いたゲル、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1](メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を含み、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有することを特徴とする、多孔質体。
[2]前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂である、[1]に記載の多孔質体。
[3]前記(メタ)アクリレート樹脂がブロック共重合体である、[1]又は[2]に記載の多孔質体。
[4]前記(メタ)アクリレート樹脂がメチルメタクリレート単位を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質体。
[5][2]に記載の多孔質体が極性液体で膨潤したゲル。
[6]前記極性液体が、水、又は、水を含む溶液である、[5]に記載のゲル。
[7](メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理し、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体を得る、多孔質体の製造方法。
[8]前記成形体を延伸処理する、[7]に記載の多孔質体の製造方法。
[9]前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂であり、前記流体が水、又は水を含む溶液である、[7]又は[8]に記載の多孔質体の製造方法。
[10]前記膨潤処理の後に乾燥し、前記流体を除去して前記多孔質体を得る、[7]〜[9]のいずれかに記載の多孔質体の製造方法。
[11][7]〜[10]のいずれかに記載の多孔質体の製造方法により多孔質体を製造し、前記多孔質体を極性液体で膨潤させる、ゲルの製造方法。
[1](メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を含み、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有することを特徴とする、多孔質体。
[2]前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂である、[1]に記載の多孔質体。
[3]前記(メタ)アクリレート樹脂がブロック共重合体である、[1]又は[2]に記載の多孔質体。
[4]前記(メタ)アクリレート樹脂がメチルメタクリレート単位を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質体。
[5][2]に記載の多孔質体が極性液体で膨潤したゲル。
[6]前記極性液体が、水、又は、水を含む溶液である、[5]に記載のゲル。
[7](メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理し、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体を得る、多孔質体の製造方法。
[8]前記成形体を延伸処理する、[7]に記載の多孔質体の製造方法。
[9]前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂であり、前記流体が水、又は水を含む溶液である、[7]又は[8]に記載の多孔質体の製造方法。
[10]前記膨潤処理の後に乾燥し、前記流体を除去して前記多孔質体を得る、[7]〜[9]のいずれかに記載の多孔質体の製造方法。
[11][7]〜[10]のいずれかに記載の多孔質体の製造方法により多孔質体を製造し、前記多孔質体を極性液体で膨潤させる、ゲルの製造方法。
本発明によれば、環境面や衛生面への負荷を低減しつつ低コストに製造できる、PVDFを含む多孔質体、前記多孔質体を用いたゲル、及びそれらの製造方法を提供することができる。
以下の用語の定義は、本明細書および請求の範囲にわたって適用される。
「ブロック共重合体」とは、重合体中に複数のブロックを有し、互いに隣接するブロックは構成(化学構造)が異なっている共重合体を意味する。例えば、隣接するブロックは、異なる単量体由来の構成単位で構成されている。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
「親水性の(メタ)アクリレート樹脂」とは、水に膨潤又は溶解するか、又はエマルジョンとなる(メタ)アクリレート樹脂を意味する。
「疎水性の(メタ)アクリレート樹脂」とは、水に膨潤も溶解もせず、かつエマルジョンともならない(メタ)アクリレート樹脂を意味する。
「ビニル単量体」とは、少なくとも1つのビニル基(炭素−炭素不飽和二重結合)を含む化合物を意味する。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
「ブロック共重合体」とは、重合体中に複数のブロックを有し、互いに隣接するブロックは構成(化学構造)が異なっている共重合体を意味する。例えば、隣接するブロックは、異なる単量体由来の構成単位で構成されている。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
「親水性の(メタ)アクリレート樹脂」とは、水に膨潤又は溶解するか、又はエマルジョンとなる(メタ)アクリレート樹脂を意味する。
「疎水性の(メタ)アクリレート樹脂」とは、水に膨潤も溶解もせず、かつエマルジョンともならない(メタ)アクリレート樹脂を意味する。
「ビニル単量体」とは、少なくとも1つのビニル基(炭素−炭素不飽和二重結合)を含む化合物を意味する。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
[多孔質体]
本発明の多孔質体は、(メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)とを含む樹脂組成物を含み、PVDFの積層結晶ラメラ構造を有することを特徴とする多孔質体である。
本発明の多孔質体は、(メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)とを含む樹脂組成物を含み、PVDFの積層結晶ラメラ構造を有することを特徴とする多孔質体である。
(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート単位を繰り返し単位に含む重合体である。
(メタ)アクリレート樹脂は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。(メタ)アクリレート樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよいが、各単量体単位の特性が発現されやすい点から、ブロック共重合体が好ましい。
(メタ)アクリレート樹脂は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。(メタ)アクリレート樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよいが、各単量体単位の特性が発現されやすい点から、ブロック共重合体が好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、PVDFとの相溶性の点では、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
(メタ)アクリレート樹脂に含まれる(メタ)アクリレート単位は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリレート樹脂に含まれる(メタ)アクリレート単位は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート以外の他のビニル単量体単位を含んでいてもよい。他のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びその塩、ビニル硫酸及びその塩、スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びその塩、ビニルアミン、N−ビニルピロリドン、スルホベタインモノマー、ホスホベタインモノマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート樹脂に含まれるビニル単量体単位は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリレート樹脂中の(メタ)アクリレート単位の含有量は、全繰り返し単位の総質量に対して、20〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましく、60〜100質量%がさらに好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。(メタ)アクリレート単位の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、PVDFとの(部分)相溶性が充分である。
(メタ)アクリレート樹脂は、水に膨潤する点では、親水性の(メタ)アクリレート樹脂であることが好ましい。
親水性の(メタ)アクリレート樹脂としては、PVDFに(部分)相溶し、かつ水に膨潤する点から、親水性ブロックと疎水性ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「共重合体(A)」とも記す。)が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロックと親水性ブロックとを有するブロック共重合体がより好ましい。
親水性の(メタ)アクリレート樹脂としては、PVDFに(部分)相溶し、かつ水に膨潤する点から、親水性ブロックと疎水性ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「共重合体(A)」とも記す。)が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロックと親水性ブロックとを有するブロック共重合体がより好ましい。
親水性ブロックに用いる(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩が好ましい。
疎水性ブロックに用いる(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩が好ましく、MMAが特に好ましい。
疎水性ブロックに用いる(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩が好ましく、MMAが特に好ましい。
(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましい。(メタ)アクリレート樹脂のMwが前記範囲の下限値以上であれば、脱落が抑制される。(メタ)アクリレート樹脂のMwが前記範囲の上限値以下であれば、溶融成形に好適である。
(メタ)アクリレート樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.1〜10.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
Mw及び数平均分子量(Mn)は、粘度法、光散乱法、GPCなどにより測定される。
(メタ)アクリレート樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.1〜10.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
Mw及び数平均分子量(Mn)は、粘度法、光散乱法、GPCなどにより測定される。
(メタ)アクリレート樹脂が共重合体(A)である場合、親水性ブロックのMwは、1,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましい。親水性ブロックのMwが前記範囲の下限値以上であれば、親水性ドメインの形成に好適である。親水性ブロックのMwが前記範囲の上限値以下であれば、溶融成形に好適である。
(メタ)アクリレート樹脂が共重合体(A)である場合、疎水性ブロックのMwは、1,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましい。疎水性ブロックのMwが前記範囲の下限値以上であれば、疎水性ドメインの形成に好適である。疎水性ブロックのMwが前記範囲の上限値以下であれば、溶融成形に好適である。
なお、(メタ)アクリレート樹脂は、疎水性の(メタ)アクリレート樹脂であってもよい。疎水性の(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、PMMAブロックと、MMA単位及びn−ブチルアクリレート単位からなるブロックとを有するブロック共重合体、ラウリル(メタ)アクリレート単位、ドデシル(メタ)アクリレート単位、ステアリル(メタ)アクリレート単位、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート単位を有するブロック共重合体が挙げられる。
樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリレート樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリレート樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(メタ)アクリレート樹脂の重合方法としては、特に限定されず、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を例示できる。
共重合体(A)の製造方法としては、重合可能な官能基を有する高分子量単量体であるマクロモノマーを用いる方法が好ましく、前記した疎水性ブロックに用いる(メタ)アクリレートを用いて製造したマクロモノマーと、親水性の(メタ)アクリレートとを用いる方法がより好ましい。共重合体(A)の場合、重合方法としては溶液重合法が好ましい。なお、共重合体(A)は、リビングラジカル重合によって製造してもよい。
共重合体(A)の製造方法としては、重合可能な官能基を有する高分子量単量体であるマクロモノマーを用いる方法が好ましく、前記した疎水性ブロックに用いる(メタ)アクリレートを用いて製造したマクロモノマーと、親水性の(メタ)アクリレートとを用いる方法がより好ましい。共重合体(A)の場合、重合方法としては溶液重合法が好ましい。なお、共重合体(A)は、リビングラジカル重合によって製造してもよい。
マクロモノマーの製造方法は、特に限定されず、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許4680352号明細書)、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開第88/04304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60−133007号公報、米国特許第5147952号明細書)及び熱分解による方法(特開平11−240854号公報)を例示できる。
マクロモノマーの製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点から、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。連鎖移動定数の高いコバルト連鎖移動剤を用いることにより、少量で分子量が制御されたマクロモノマーが得られる。
マクロモノマーの製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点から、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。連鎖移動定数の高いコバルト連鎖移動剤を用いることにより、少量で分子量が制御されたマクロモノマーが得られる。
マクロモノマーの重合方法としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート樹脂の重合方法として挙げたものと同じものが挙げられ、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いる溶剤としては、トルエン等の炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;メタノール等のアルコール系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;及び超臨界二酸化炭素を例示できる。溶剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶液重合法に用いる溶剤としては、トルエン等の炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;メタノール等のアルコール系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;及び超臨界二酸化炭素を例示できる。溶剤としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
PVDFのMwは、1,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜300,000がより好ましい。PVDFのMwが前記範囲の下限値以上であれば、脱落が抑制される。PVDFのMwが前記範囲の上限値以下であれば、溶融成形に好適である。
樹脂組成物に含まれるPVDFは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物に含まれるPVDFは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、(メタ)アクリレート樹脂及びPVDF以外の他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、例えば、微粒子、安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、成形加工助剤、顔料、染料等が挙げられる。樹脂組成物に含まれる他の成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
他の成分としては、例えば、微粒子、安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、成形加工助剤、顔料、染料等が挙げられる。樹脂組成物に含まれる他の成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
樹脂組成物中の(メタ)アクリレート樹脂の含有量は、樹脂組成物の総質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。(メタ)アクリレート樹脂の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、多孔質体として好適である。(メタ)アクリレート樹脂の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、好適な力学物性が得られる。
樹脂組成物中のPVDFの含有量は、樹脂組成物の総質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。PVDFの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、好適な力学物性が得られる。PVDFの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、多孔質体として好適である。
本発明の多孔質体は、PVDFの結晶ラメラと非晶部とが交互に積層した積層結晶ラメラ構造を有する。本多孔質体は、積層結晶ラメラ構造を有することで、多孔質構造を形成している。
本発明の多孔質体の開孔率は、5〜99%が好ましく、30〜90%がより好ましい。開孔率が前記範囲の下限値以上であれば、多孔質体として好適である。開孔率が前記範囲の上限値以下であれば、自立性に優れる。
多孔質体の開孔率は、以下の方法で求められる。
多孔質体の外表面を、電子顕微鏡を用いて観察する。用いる電子顕微鏡は走査型電子顕微鏡(SEM)が好ましい。観察倍率は、一概には言えないが、3万倍以上、好ましくは10万倍程度である。得られた顕微鏡写真から、多孔質体の面積に対する空孔部の面積の比を百分率として算出し、開孔率を求める。
多孔質体の外表面を、電子顕微鏡を用いて観察する。用いる電子顕微鏡は走査型電子顕微鏡(SEM)が好ましい。観察倍率は、一概には言えないが、3万倍以上、好ましくは10万倍程度である。得られた顕微鏡写真から、多孔質体の面積に対する空孔部の面積の比を百分率として算出し、開孔率を求める。
多孔質体の空孔部の平均孔径は、10nm〜100μmが好ましく、100nm〜10μmがより好ましい。空孔部の平均孔径が前記範囲の下限値以上であれば、多孔質体としての機能が充分発現しやすい。空孔部の平均孔径が前記範囲の上限値以下であれば、多孔質体として好適である。
空孔部の平均孔径は、顕微鏡写真において測定される100個の空孔部の最大径の平均値として求められる。
空孔部の平均孔径は、顕微鏡写真において測定される100個の空孔部の最大径の平均値として求められる。
本発明の多孔質体の形状は、特に限定されず、例えば、フィルム状、シート状、中空状等が挙げられる。
本発明の多孔質体の厚さは、10nm〜10cmが好ましく、100nm〜1mmがより好ましい。
本発明の多孔質体の厚さは、10nm〜10cmが好ましく、100nm〜1mmがより好ましい。
(製造方法)
本発明の多孔質体の製造方法は、(メタ)アクリレート樹脂とPVDFとを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理し、PVDFの積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体を得る方法である。
本発明の多孔質体の製造方法は、(メタ)アクリレート樹脂とPVDFとを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理し、PVDFの積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体を得る方法である。
樹脂組成物を溶融成形する方法は、特に限定されず、樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、カレンダー成形、射出成形等により成形する方法、紡糸ノズルを用いて中空状に溶融紡糸する方法等が挙げられる。
押出成形の方法としては、特に限定されず、例えば、押出機を用いて樹脂組成物を溶融混練し、Tダイやストランドダイを用いて樹脂組成物を押出す方法が挙げられる。樹脂組成物をフィルム状に成形する場合は、Tダイを用いて押出成形する方法や、ストランドダイを用いて樹脂組成物を押出成形し、得られたストランドを熱プレスしてフィルム状にする方法が好ましい。
溶融成形時の成形温度は、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。
溶融成形の後、得られた成形体に対し、流体により膨潤処理を行う。膨潤処理とは、成形体を流体で膨潤させる処理である。「成形体の膨潤」とは、成形体の分子間に流体が吸収されて体積が増大することを意味する。膨潤処理を行うことで、相分離が進行して多孔質構造が形成される。
膨潤処理は、(メタ)アクリレート樹脂の種類に応じて以下の2種類に分類される。
膨潤処理(X):(メタ)アクリレート樹脂として親水性の(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合。
膨潤処理(Y):(メタ)アクリレート樹脂として疎水性の(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合。
膨潤処理(X):(メタ)アクリレート樹脂として親水性の(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合。
膨潤処理(Y):(メタ)アクリレート樹脂として疎水性の(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合。
膨潤処理(X)に用いる流体としては、水、又は水を含む溶液を用いる。水を含む溶液としては、水と、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類、アミド類、塩類、酸、アルカリ等とを含む溶液が挙げられる。
膨潤処理(X)としては、例えば、流体を収容した容器の気相中に成形体を配置して平衡状態に達するまで吸湿させる処理、流体中に成形体を浸漬する処理が挙げられる。
膨潤処理(X)としては、例えば、流体を収容した容器の気相中に成形体を配置して平衡状態に達するまで吸湿させる処理、流体中に成形体を浸漬する処理が挙げられる。
膨潤処理(X)における流体の温度は、−100〜500℃が好ましく、0〜200℃がより好ましい。流体の温度が前記範囲の下限値以上であれば、流体の浸透速度が向上する。流体の温度が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料に分解及び変性などが生じにくい。
膨潤処理(X)における処理時間は、1ミリ秒〜1週間が好ましく、100ミリ秒〜1日間がより好ましい。処理時間が前記範囲の下限値以上であれば、流体が成形体に充分に浸透しやすく、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。処理時間が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の分解及び変性などの悪影響が低減されるので好ましい。
膨潤処理(Y)に用いる流体としては、超臨界二酸化炭素、亜臨界状態の二酸化炭素が挙げられる。「超臨界二酸化炭素」とは、臨界点以上の温度及び圧力の条件下にある凝縮しない高密度な二酸化炭素である。「亜臨界状態の二酸化炭素」とは、温度又は圧力のいずれかの条件が臨界点以上である二酸化炭素である。二酸化炭素は、臨界温度が31.0℃、臨界圧力が7.38MPaであるため、比較的取り扱いやすく、不燃性、不活性、無毒、安価である。
なお、超臨界二酸化炭素又は亜臨界状態の二酸化炭素は、流体中の二酸化炭素の割合が80〜100体積%であることを意味する。
なお、超臨界二酸化炭素又は亜臨界状態の二酸化炭素は、流体中の二酸化炭素の割合が80〜100体積%であることを意味する。
膨潤処理(Y)としては、例えば、超臨界二酸化炭素又は亜臨界状態の二酸化炭素中に成形体を浸漬する処理が挙げられる。
膨潤処理(Y)における処理温度は、−50〜300℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。処理温度が前記範囲の下限値以上であれば、流体が成形体に充分に浸透しやすく、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。処理温度が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の分解及び変性などの悪影響が低減されるので好ましい。
膨潤処理(Y)における処理温度は、−50〜300℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。処理温度が前記範囲の下限値以上であれば、流体が成形体に充分に浸透しやすく、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。処理温度が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の分解及び変性などの悪影響が低減されるので好ましい。
膨潤処理(Y)における処理圧力は、1〜20MPaが好ましく、5〜10MPaがより好ましい。処理圧力が前記範囲の下限値以上であれば、流体が成形体に充分に浸透しやすく、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。処理圧力が前記範囲の上限値以下であれば、、高分子材料の分解及び変性などの悪影響が低減されるので好ましい。
膨潤処理(Y)における処理時間は、1ミリ秒〜1週間が好ましく、100ミリ秒〜1日間がより好ましい。処理時間が前記範囲の下限値以上であれば、流体が成形体に充分に浸透しやすく、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。処理時間が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の分解及び変性などの悪影響が低減されるので好ましい。
本発明においては、成形体において多孔質化が進行しやすく、開孔率の高い多孔質体が得られやすい点から、成形体を延伸処理することが好ましい。延伸は、一軸延伸であってもよく、二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合、逐次二軸延伸であってもよく、同時二軸延伸であってもよい。また、延伸は、一段延伸であってもよく、二段以上の多段延伸であってもよい。
延伸処理を行う場合、膨潤処理と延伸処理の順序は、特に限定されず、膨潤処理の前に延伸処理を行ってもよく、膨潤処理の後に延伸処理を行ってもよく、膨潤処理と延伸処理を同時に行ってもよい。例えば、二段延伸を行う場合、一段目の延伸と二段目の延伸の間に膨潤処理を行う方法、一段目の延伸と膨潤処理を同時に行う方法等が挙げられる。
延伸倍率は、1.1〜100倍が好ましく、2〜20倍がより好ましい。延伸倍率が前記範囲の下限値以上であれば、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。延伸倍率が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の(部分的)破壊などの悪影響が低減されるので好ましい。
延伸処理時の温度は、−100〜300℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。延伸処理時の温度が前記範囲の下限値以上であれば、得られる多孔質体の開孔率がより高くなる。延伸処理時の温度が前記範囲の上限値以下であれば、高分子材料の(部分的)溶融により多孔性が低下するなどの悪影響が低減されるので好ましい。
本発明では、成形体において多孔質化が進行しやすく、開孔率の高い多孔質体が得られやすい点から、成形体に膨潤処理を行った後、乾燥し、流体を除去して多孔質体を得ることが好ましい。延伸処理を行う場合は、膨潤処理及び延伸処理の後に乾燥を行うことが好ましい。
乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、温風等によって加熱する方法が挙げられる。
乾燥時の加熱温度は、−100〜200℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
乾燥時の加熱温度は、−100〜200℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
以上説明したように、本発明においては、PVDFに(メタ)アクリレート樹脂を組み合わせ、さらに(メタ)アクリレート樹脂の種類に応じた流体による膨潤処理を行うことで、溶融延伸法によって充分な開孔率の多孔質体を得ることができる。このように、本発明の多孔質体は、環境面や衛生面への負荷を低減しつつ低コストに製造できる。
[ゲル]
本発明のゲルは、親水性の(メタ)アクリレート樹脂を含む本発明の多孔質体が極性液体で膨潤したゲルである。
極性液体とは、分子内部に電気双極子を有する液体を意味する。極性液体としては、水、水を含む溶液が挙げられる。水を含む溶液としては、前記した膨潤処理(X)で挙げたものと同じものが挙げられる。
本発明のゲルは、親水性の(メタ)アクリレート樹脂を含む本発明の多孔質体が極性液体で膨潤したゲルである。
極性液体とは、分子内部に電気双極子を有する液体を意味する。極性液体としては、水、水を含む溶液が挙げられる。水を含む溶液としては、前記した膨潤処理(X)で挙げたものと同じものが挙げられる。
本発明のゲル中の極性液体の含有量は、ゲルの総質量に対して、5〜95%が好ましく、30〜80%がより好ましい。極性液体の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、多孔質構造形成に当って好ましい。極性液体の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、自立性に優れる。
本発明のゲルの用途は、特に限定されず、例えば、コンタクトレンズ、細胞培地、透析膜、生体適合材料等が挙げられる。
本発明のゲルは、前記した本発明の多孔質体の製造方法によって多孔質体を製造した後、得られた多孔質体を極性液体で膨潤させることで得られる。
多孔質体を極性液体で膨潤させる方法としては、特に限定されず、例えば、極性液体中に多孔質体を浸漬する方法が挙げられる。
多孔質体を極性液体で膨潤させる方法としては、特に限定されず、例えば、極性液体中に多孔質体を浸漬する方法が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
((メタ)アクリレート樹脂)
共重合体(A−1):ポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリヒドロキシエチルアクリレート(PHEA)とからなる重量平均分子量57kDのブロック共重合体(親水性(メタ)アクリレート樹脂)であり、以下の製造方法により得た。
[原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
((メタ)アクリレート樹脂)
共重合体(A−1):ポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリヒドロキシエチルアクリレート(PHEA)とからなる重量平均分子量57kDのブロック共重合体(親水性(メタ)アクリレート樹脂)であり、以下の製造方法により得た。
(合成例1)コバルト連鎖移動剤(CoBF−1)の合成
撹拌装置を備えた反応装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)1.00g、ジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)1.93g、及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル(関東化学(株)製、特級)80mLを入れ、室温で30分間撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)10mLを加え、さらに6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテル(関東化学(株)製、特級)で洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体であるコバルト連鎖移動剤(CoBF−1)を2.12g得た。
撹拌装置を備えた反応装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)1.00g、ジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)1.93g、及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル(関東化学(株)製、特級)80mLを入れ、室温で30分間撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)10mLを加え、さらに6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテル(関東化学(株)製、特級)で洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体であるコバルト連鎖移動剤(CoBF−1)を2.12g得た。
(合成例2)分散剤1の合成
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、MMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、さらに4時間撹拌した。この後、反応装置中の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、42%メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム水溶液(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)70部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液16部及びMMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)7部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.053部を添加し、さらに60℃に昇温した。重合開始剤の投入後、15分毎にMMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)1.4部を計5回、分割添加した。この後、重合装置内の液を撹拌しながら60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分8質量%の分散剤1を得た。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、MMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、さらに4時間撹拌した。この後、反応装置中の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、42%メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム水溶液(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)70部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液16部及びMMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)7部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.053部を添加し、さらに60℃に昇温した。重合開始剤の投入後、15分毎にMMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)1.4部を計5回、分割添加した。この後、重合装置内の液を撹拌しながら60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分8質量%の分散剤1を得た。
(合成例3)マクロモノマー(a−1)の合成
冷却管付フラスコに、MMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)100部、脱イオン水150部、硫酸ナトリウム1.39部、分散剤1、1.53部、CoBF−1、0.00125部を仕込んだ。フラスコ内の液を70℃に加温した状態で、CoBF−1を溶解させ、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1質量部を加えた後、内温を70℃に保った状態で、6時間保持し、重合を完結させた。この後、重合反応物を室温まで冷却し、さらにろ過して重合体を回収した。得られた重合体を水洗後、50℃で一晩真空乾燥することによりマクロモノマー(a−1)を得た。マクロモノマー(a−1)のMnは13,000、Mw/Mnは2.3であった。マクロモノマー(a−1)の末端二重結合の導入率はほぼ100%であった。
冷却管付フラスコに、MMA(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)100部、脱イオン水150部、硫酸ナトリウム1.39部、分散剤1、1.53部、CoBF−1、0.00125部を仕込んだ。フラスコ内の液を70℃に加温した状態で、CoBF−1を溶解させ、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1質量部を加えた後、内温を70℃に保った状態で、6時間保持し、重合を完結させた。この後、重合反応物を室温まで冷却し、さらにろ過して重合体を回収した。得られた重合体を水洗後、50℃で一晩真空乾燥することによりマクロモノマー(a−1)を得た。マクロモノマー(a−1)のMnは13,000、Mw/Mnは2.3であった。マクロモノマー(a−1)の末端二重結合の導入率はほぼ100%であった。
(合成例4)共重合体(A−1)の合成
冷却管付フラスコに、マクロモノマー(a−1)50部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬(株)製、和光一級、HEA)50部、及びN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬(株)製、試薬特級、DMAc)300部を含有する単量体組成物を投入し、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。次いで、単量体組成物を加温して内温を70℃に保った状態で、ラジカル重合開始剤としてAIBN、0.1部(和光純薬(株)、和光特級)を単量体組成物に加えた後、4時間保持し、次いで80℃に昇温して30分間保持して重合を完結させ、重合液(C−1)を得た。この後、得られた重合液(C−1)を室温まで冷却し、重合液(C−1)中に共重合体(A−1)を得た。GPC測定によって得られた重合液(C−1)中に含まれる共重合体(A−1)のMnは51,000であり、Mw/Mnは3.0であった。1H−NMRより求めた共重合体(A−1)中のマクロモノマー(a−1)の含有量は、50質量%であった。また、2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量は50質量%であった。
冷却管付フラスコに、マクロモノマー(a−1)50部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬(株)製、和光一級、HEA)50部、及びN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬(株)製、試薬特級、DMAc)300部を含有する単量体組成物を投入し、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。次いで、単量体組成物を加温して内温を70℃に保った状態で、ラジカル重合開始剤としてAIBN、0.1部(和光純薬(株)、和光特級)を単量体組成物に加えた後、4時間保持し、次いで80℃に昇温して30分間保持して重合を完結させ、重合液(C−1)を得た。この後、得られた重合液(C−1)を室温まで冷却し、重合液(C−1)中に共重合体(A−1)を得た。GPC測定によって得られた重合液(C−1)中に含まれる共重合体(A−1)のMnは51,000であり、Mw/Mnは3.0であった。1H−NMRより求めた共重合体(A−1)中のマクロモノマー(a−1)の含有量は、50質量%であった。また、2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量は50質量%であった。
(ポリフッ化ビニリデン)
樹脂(B−1):PVDF(Solvay社製、Solf6008、重量平均分子量:115kD)。
樹脂(B−2):PVDF(Solvay社製、Solf6010、重量平均分子量:140kD)。
樹脂(B−1):PVDF(Solvay社製、Solf6008、重量平均分子量:115kD)。
樹脂(B−2):PVDF(Solvay社製、Solf6010、重量平均分子量:140kD)。
[実施例1]
共重合体(A−1)、樹脂(B−1)及び樹脂(B−2)を質量比A−1:B−1:B−2=50/25/25で混合した樹脂組成物を、溶融混練押出機(井本製作所、微量混練押出機A−300)にて185℃、100rpm、3分の条件で溶融混練した後、押出ストランドを得た。前記押出ストランドを185℃で熱プレスし、氷水中で急冷してフィルムを得た。前記フィルムを100℃で30分間保持した後、100℃、延伸速度10%/分の条件で4.0倍に延伸(一段目延伸)して延伸フィルムを得た。さらに、延伸フィルムを60℃の熱水中に72時間浸漬して膨潤処理した後、室温(20〜30℃)下、延伸速度10%/分の条件で1.5倍に延伸(二段目延伸)し、定長にて温風乾燥(40〜70℃)して多孔質体を得た。
共重合体(A−1)、樹脂(B−1)及び樹脂(B−2)を質量比A−1:B−1:B−2=50/25/25で混合した樹脂組成物を、溶融混練押出機(井本製作所、微量混練押出機A−300)にて185℃、100rpm、3分の条件で溶融混練した後、押出ストランドを得た。前記押出ストランドを185℃で熱プレスし、氷水中で急冷してフィルムを得た。前記フィルムを100℃で30分間保持した後、100℃、延伸速度10%/分の条件で4.0倍に延伸(一段目延伸)して延伸フィルムを得た。さらに、延伸フィルムを60℃の熱水中に72時間浸漬して膨潤処理した後、室温(20〜30℃)下、延伸速度10%/分の条件で1.5倍に延伸(二段目延伸)し、定長にて温風乾燥(40〜70℃)して多孔質体を得た。
得られた多孔質体をSEM観察したところ、積層構造を伴った10μmオーダーの微多孔質構造が観察された。また、小角X線散乱の長周期から、一段目延伸以降の延伸フィルムにおいて、PVDFが積層結晶ラメラ構造をとっていることを確認した。小角X線散乱のローレンツ補正後の積分強度(方位角60〜120°)から求めた多孔質構造体の長周期は約11nmであった。
[実施例2、3]
製造条件を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を得た。
製造条件を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を得た。
[比較例1]
製造条件を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を製造しようとしたが、二段目延伸が実施できず、多孔質体を得ることができなかった。
製造条件を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質体を製造しようとしたが、二段目延伸が実施できず、多孔質体を得ることができなかった。
[開孔率]
各例で得た多孔質体の開孔率は、走査型電子顕微鏡(日本電子JSM−7400F)にて5視野の観察を行い開孔部と非開孔部の面積比を画像処理により計算する方法によって測定した。画像処理ソフトウェアとしては、Image-Pro Plusを用いた。
各例で得た多孔質体の開孔率は、走査型電子顕微鏡(日本電子JSM−7400F)にて5視野の観察を行い開孔部と非開孔部の面積比を画像処理により計算する方法によって測定した。画像処理ソフトウェアとしては、Image-Pro Plusを用いた。
表1に示すように、(メタ)アクリレート樹脂に応じた流体による膨潤処理を行った実施例1〜3では、PVDFを含む充分な開孔率の多孔質体が得られた。一方、膨潤処理を行わなかった比較例1では、多孔質体を得ることができなかった。
Claims (11)
- (メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を含み、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有することを特徴とする、多孔質体。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂である、請求項1に記載の多孔質体。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂がブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の多孔質体。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂がメチルメタクリレート単位を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質体。
- 請求項2に記載の多孔質体が極性液体で膨潤したゲル。
- 前記極性液体が、水、又は、水を含む溶液である、請求項5に記載のゲル。
- (メタ)アクリレート樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む樹脂組成物を溶融成形した後、得られた成形体を流体により膨潤処理し、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の積層結晶ラメラ構造を有する多孔質体を得る、多孔質体の製造方法。
- 前記成形体を延伸処理する、請求項7に記載の多孔質体の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂が親水性の(メタ)アクリレート樹脂であり、前記流体が水、又は水を含む溶液である、請求項7又は8に記載の多孔質体の製造方法。
- 前記膨潤処理の後に乾燥し、前記流体を除去して前記多孔質体を得る、請求項7〜9のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法。
- 請求項7〜10のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法により多孔質体を製造し、前記多孔質体を極性液体で膨潤させる、ゲルの製造方法。
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Cited By (1)
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KR20220046017A (ko) * | 2020-10-06 | 2022-04-14 | 에스케이씨솔믹스 주식회사 | 연마패드 및 이를 이용한 반도체 소자의 제조방법 |
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