JP6797347B2 - ポリマー複合体 - Google Patents

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本発明は、ポリマー複合体に関する。
従来、多孔質材料は、多数の細孔に起因する性能により、濾材、吸着剤、充填剤、担体等に使用されている。
例えば、多孔質材料の1つである多孔質シリカは、試料成分の分子の大きさにより分離を行うことが可能となるサイズ排除クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography)の固定相として使用される。
また、多孔質アルミナは、その吸着特性により触媒を吸着させる触媒担体として使用される。
上記のような多孔質の無機材料は現在でもよく使用されているが、構造制御、性能制御、修飾容易性等の観点から多孔質の有機材料もまたよく使用されている。
例えば、特許文献1には、ポリエーテルイミド樹脂の微細粉末を、該樹脂の軟化点以上の温度で所定形状に加熱焼結したことを特徴とする多孔質ろ過体に係る発明が記載されている。この際、特許文献1には、耐熱性を有するポリエーテルイミドを所定の条件で加熱焼結することで、耐熱性を有し、しかも気孔率や力学的強度にも優れた多孔質ろ過体が得られることが記載されている。
特開2002−085921号公報
しかしながら、多孔質の有機材料は疎水性を有することから、材料表面での吸着による目詰まり(いわゆる、「ファウリング」)が生じる場合があることが判明した。
そこで、本発明は、ファウリングの発生を防止しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、非架橋性疎水性ポリマーに親水性のポリマーを併用した複合体を用いることで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、非架橋性疎水性ポリマーと、親水性モノマーをモノマー単位として含む親水性ポリマーと、を含み、前記非架橋性疎水性ポリマーおよび前記親水性ポリマーが、相互に絡み合ってなる、ポリマー複合体に関する。
本発明によれば、ファウリングの発生を防止しうるポリマー複合体を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<ポリマー複合体>
本形態に係るポリマー複合体は、非架橋性疎水性ポリマーと、親水性モノマーをモノマー単位として含む親水性ポリマーと、を含む。この際、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーは、相互に絡み合ってなる。
非架橋性疎水性ポリマーは疎水性を有することから、当該ポリマーのみからなる材料を使用した場合、その疎水性により材料表面においてタンパク質等の吸着が生じうる。その結果、ファウリングが生じてしまう。
これに対し、本形態に係るポリマー複合体は、非架橋性疎水性ポリマーに親水性ポリマーが絡み合ってなる。前記ポリマー複合体の材料表面には親水性ポリマーに基づく親水性が付与されることから、タンパク質等の吸着を抑制または防止することができ、ファウリングの発生を防止しうる。また、ポリマー複合体は、非架橋性疎水性ポリマーを独立して含むことから、高い物理的強度、耐水膨潤性(水に膨潤しない)等の性能を有しうる。そして、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーが、それぞれ単独のポリマーとして互いに絡み合うことにより、親水性ポリマーによる耐ファウリング性および非架橋性疎水性ポリマーによる高い物理的強度、耐水膨潤性等を効果的に発現することができる。
なお、本明細書において、「相互に絡み合う」とは、2以上の材料が互いに絡み合い、自然環境では離脱しない関係をいう。この際、2以上の材料は架橋等の化学結合で連結された状態で相互に絡み合っていてもよいし、物理的な要因により相互に絡み合っていてもよいし、分子間力によって相互に絡み合っていてもよいが、このうち分子間力によって相互に絡み合っていることが好ましい。ここで、ポリマー複合体が相互に絡み合っているか否かは、以下のように判断する。すなわち、100gのポリマー複合体(固形物)を500mLの水中に入れ、50℃で24時間撹拌したとき、ポリマー複合体中の親水性ポリマーの少なくとも一部がポリマー複合体中に残存していた場合には相互に絡み合っていると判断し、他方、ポリマー複合体中の親水性ポリマーの全てが水中に溶出した場合には相互に絡み合っていないと判断する。
ポリマー複合体の構造上の形態は、特に制限されないが、半相互侵入高分子網目構造(Semi-Interpenetratig Polymer Networks、以下、単に「セミIPN」と称することがある)、単にポリマー同士が相互に絡み合っている構造、ポリマー同士が水素結合や疎水性相互作用により相互に作用し、かつ、絡み合っている構造であることが好ましく、耐水性(親水性ポリマーが溶出しにくくなる)の観点から、ポリマー同士が水素結合や疎水性相互作用により相互に作用し、かつ、絡み合っている構造であることがより好ましい。
また、ポリマー複合体の形状は、特に制限されず、板状(直方体、正方体)(厚み:5mm超)、シート状(厚み:1〜5mm)、フィルム状(厚み:1mm未満)、多角柱状(三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、七角柱、八角柱等)、シャーレやマルチウエルプレートのような皿状、袋のようなバッグ状、ビンのようなボトル状、試験管のようなチューブ状、球状、円柱状(楕円形等の略円柱状を含む)、糸状、ストローのような中空糸状、針状、棒状等が挙げられる。これらのうち、板状、シート状、フィルム状、多角柱状、糸状、中空糸状、シャーレやマルチウエルプレートのような皿状、ボトル状、チューブ状であることが好ましい。このうち、膜として使用する観点から、シート状、フィルム状、糸状、中空糸状であることがより好ましく、フィルム状、中空糸状であることがさらに好ましい。また、細胞やタンパク質などの生化学物質を取り扱う容器として使用する観点から、皿状、ボトル状、チューブであることがより好ましく、皿状であることがさらに好ましい。
この際、ポリマー複合体は、多孔質体であっても緻密体であってもよい。一実施形態において、濾材、吸着剤、充填剤、担体等の多用途に適用しやすい観点から、ポリマー複合体は多孔質体、特に多孔質膜であることが好ましい。また、別の一実施形態において、ポリマー複合体を細胞やタンパク質などの生化学物質を取り扱うシャーレのような容器として使用する場合には、ポリマー複合体は緻密体であることが好ましい。この際、前記容器には、例えば、細胞が接着しない浮遊培養シャーレのような皿状のものが挙げられる。なお、本明細書において、「多孔質体」とは、平均孔径が0.1nm〜1mmの孔を有するものを意味する。なお、多孔質体が特に膜である場合は、その透水速度が0.1[L/m・hr・MPa]以上を有するものを多孔質膜と称する。他方、本明細書において「緻密体」とは、平均孔径が0.1nm未満の孔を有するものを意味する。なお、緻密体が特に膜である場合は、その透水速度が0.1[L/m・hr・MPa]未満であるものを緻密膜と称する。ポリマー複合体が孔を有する場合には、孔の形状や大きさは同一であってもよいし、ある分布を持つものであってもよい。この際、孔同士が連通することが好ましい。なお、多孔質体または緻密体が膜である場合、その「膜」とは、それ自体が独立して膜として機能するものの他、支持体等に被覆された層として機能するものも含む、すなわち、「被覆層」も「膜」に含む。
本明細書において、「ポリマー複合体の構造上の形態」(ポリマー間の絡み合い)については、透過型電子顕微鏡(TEM)(倍率10000倍以上)の観察により判断する。また、孔形状と孔径については、走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率100倍以上)の観察により判断する。更に、「ポリマー複合体の形状」(例えば球状の直径や中空糸状の内外径など)については、光学顕微鏡(10倍以上の倍率)の観察により判断する。また、「孔径」とは孔を形成する外延の2点間の長さのうち最小のものを意味し、「平均孔径」の値は、ランダムに選択された100点の孔径の平均値を意味する。
ポリマー複合体が膜である場合、ポリマー複合体の膜厚は、5nm〜500μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましい。ポリマー複合体の膜厚が5nm以上であると、取り扱い性や孔径制御が容易であり、耐ファウリング性を十分発現できることから好ましい。一方、ポリマー複合体の膜厚が500μm(0.5mm)以下であると、製造が容易であり、膜の柔軟性がよいことから好ましい。なお、本明細書において、「ポリマー複合体の膜厚」とは、ポリマー複合体の垂直断面の膜厚を測定した場合における最大値を意味する。
ポリマー複合体は、透明であっても不透明であっても半透明であってもよい。ポリマー複合体が多孔質体である場合、透明性は孔径に応じて定まる傾向がある。例えば、平均孔径が100nm未満である場合には透明となる傾向があり、平均孔径が100nm以上である場合には不透明となる傾向がある。また、ポリマー複合体は、ポリマー同士の相溶性を調整することで透明、不透明、半透明を制御することもできる。さらに、ポリマー複合体は、親水性ポリマーを意図的に表面に偏析させることで、ポリマー同士を非均一的に混合(複合)させることで透明性を制御することもできる。一実施形態において、ポリマー複合体は、緻密領域と、多孔質領域と、を有しうる。例えば、ポリマー複合体が膜状構造を有する場合、膜内部には平均孔径が0.1nm以上である多孔質層を有し、膜表面には、前記多孔質層に積層される形態で、平均孔径が0.1nm未満である緻密層を有する場合がある。かような多孔質−緻密複合構造を有する場合、ポリマー複合体表面は光沢を有し、全体として不透明(白色)となりうる。なお、上記のようにポリマー複合体が多孔質−緻密複合構造を有する場合には、多孔質領域および緻密領域のそれぞれについて平均孔径を算出する。
[非架橋性疎水性ポリマー]
非架橋性疎水性ポリマーは、ポリマー複合体に物理的強度、耐膨潤性、および疎水性等を付与する機能を有する。これにより、ポリマー複合体は、高い物理的強度、耐膨潤性を有しうる。また、表面が疎水性を有する支持体等に対する接着性等を発現させることができる。なお、本明細書において、ポリマーについての「疎水性」とは、水中における25℃での溶解度が0.5g/100mL未満、またはそのポリマー表面の水接触角が60度以上であることを意味する。
非架橋性疎水性ポリマーとしては、特に制限されないが、スルホン系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、セルロース系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ケトン系ポリマー、ビニリデン系ポリマー、液晶ポリマー等が挙げられる。
前記スルホン系ポリマーとしては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルサルホン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。
前記アミド系ポリマーとしては、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂環族ポリアミド等が挙げられる。
前記イミド系ポリマーとしては、脂肪族ポリイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
前記ポリエステル系ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸等が挙げられる。
前記セルロース系ポリマーとしては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロース等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
前記スチレン系ポリマーとしては、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)等が挙げられる。
前記ポリカーボネート系ポリマーとしては、ポリカーボネート等が挙げられる。
前記ケトン系ポリマーとしては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
前記ビニリデン系ポリマーとしては、ポリ塩化ビニリデン(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
前記液晶ポリマーとしては、エチレンテレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、フェノールおよびフタル酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、2,6−ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体等が挙げられる。
上述の非架橋性疎水性ポリマーのうち、スルホン系ポリマー、アミド系ポリマー、スチレン系ポリマーであることが好ましく、スルホン系ポリマー、スチレン系ポリマーであることがより好ましく、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスチレンであることがさらに好ましく、熱安定性、耐溶剤性、耐膨潤性が高いことから、ポリエーテルスルホンであることが特に好ましい。
なお、上述の非架橋性疎水性ポリマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非架橋性疎水性ポリマーの重量平均分子量は、10000〜5000000であることが好ましく、30000〜1000000であることがより好ましく、50000〜500000であることがさらに好ましい。非架橋性疎水性ポリマーの重量平均分子量が10000以上であると、十分な強度、耐膨潤性が発現できることから好ましい。一方、非架橋性疎水性ポリマーの重量平均分子量が5000000以下であると、容易に成型できることから好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は、shodex-standard M-75(Lot No. 90101、昭和電工株式会社製、ポリメチルメタクリレート(PMMA))を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製))により測定された値を採用するものとする。この際、使用するカラムはTSK-gel α-M(東ソー株式会社製)とする。
非架橋性疎水性ポリマーの含有率は、ポリマー複合体の全質量に対して、30〜97質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。非架橋性疎水性ポリマーの含有率が30質量%以上であると、十分な強度と耐膨潤性が発現できることから好ましい。一方、非架橋性疎水性ポリマーの含有率が97質量%以下であると、十分な親水性が発現できることから好ましい。
[親水性ポリマー]
親水性ポリマーは、ポリマー複合体に親水性を付与する機能を有する。これにより、ポリマー複合体は、ファウリングや帯電を防止することができる。なお、本明細書において、ポリマーについての「親水性」とは、水中における25℃での溶解度が0.5g/100mL以上、またはそのポリマーの水接触角が60度未満であることを意味する。
親水性ポリマーは、親水性モノマー由来のモノマー単位を含む。その他、必要に応じて、疎水性モノマー由来のモノマー単位を含んでいてもよい。
(親水性モノマー)
親水性モノマーは、親水性ポリマーに親水性を付与する機能を有する。なお、本明細書において、モノマーについての「親水性」とは、そのモノマーについて、水中における25℃での溶解度が10g/100mL以上であることを意味する。
親水性モノマーとしては、特に制限されないが、下記式(1)で表される親水性モノマー、下記式(2)で表される親水性モノマー、エーテル含有モノマー、水酸基含有モノマー、イオン性モノマー等が挙げられる。
前記式(1)で表される親水性モノマーの構造は以下の通りである。
上記式(1)中、Rは水素原子またはメチル基である。
また、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10アルキルチオ基、炭素数2〜10アルキルカルボニル基、炭素数2〜10アルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20アリール基、炭素数6〜20アリールオキシ基、炭素数6〜20アリールチオ基、炭素数7〜20アリールカルボニル基、−A−N(R、−A−O−Rである。
この際、Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。また、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10アルキルカルボニル基、炭素数1〜10アルキルチオ基である。
前記炭素数1〜10アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基等が挙げられる。
前記炭素数2〜10アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜10アルキルオキシカルボニル基としては、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記炭素数6〜20アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
前記炭素数6〜20アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
前記炭素数6〜20アリールチオ基としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
前記炭素数7〜20アリールカルボニル基としては、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
前記「−A−N(R」としては、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、メチルエチルアミノエチル基、ジブチルアミノエチル基等が挙げられる。
前記「−A−O−R」としては、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブチルオキシエチル基等が挙げられる。
なお、上述の炭素数2〜3のアルキレン基、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10アルキルチオ基、炭素数2〜10アルキルカルボニル基、炭素数2〜10アルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20アリール基、炭素数6〜20アリールオキシ基、炭素数6〜20アリールチオ基、炭素数7〜20アリールカルボニル基を構成する水素原子の少なくとも1つは、置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、スルホ基等が挙げられる。
前記RおよびRは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。この際、RおよびRとともに、RおよびRが結合する窒素原子が環構造の構成要素となりうる。RおよびRが互いに結合して環構造を形成する場合の構造を、RおよびRが結合する窒素原子を含めて下記式(1−1)〜(1−18)に示す。
上記式(1−1)は、例えば、Rがメチル基、Rがエチル基である場合において、窒素原子とともにRおよびRが互いに結合して形成された環構造とみることができる。また、式(1−5)は、例えば、Rがメチルオキシカルボニル基、Rがメチル基である場合において、窒素原子とともにRおよびRが互いに結合して形成された環構造とみることができる。さらに、式(1−18)は、例えば、Rがメチルカルボニル基、Rがフェニルエチル基である場合において、窒素原子とともにRおよびRが互いに結合して形成された環構造とみることができる。
式(1)で表される親水性モノマーの具体例としては、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等のアルキルメタクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアルキルアクリルアミド;N−メトキシメタクリルアミド、N−エトキシメタクリルアミド、N−エトキシ−N−メチルメタクリルアミド等のアルコキシ含有メタクリルアミド;N−メトキシアクリルアミド、N−エトキシアクリルアミド、N−エトキシ−N−メチルアクリルアミド等のアルコキシ含有アクリルアミド;N−(ジメチルアミノメチル)メタクリルアミド、N−(ジエチルアミノメチル)メタクリルアミド、N−(ジメチルアミノメチル)−N−メチルメタクリルアミド、N−(ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド等のアルキルアミノアルキレン含有メタクリルアミド;N−(ジメチルアミノメチル)アクリルアミド、N−(ジエチルアミノメチル)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノメチル)−N−メチルアクリルアミド、N−(ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド等のアルキルアミノアルキレン含有アクリルアミド;メタクリロイルオキシモルホリン等のモルホリン含有メタクリルアミド;アクリロイルオキシモルホリン等のモルホリン含有アクリルアミド;メタクリロイルオキシピロリジン等のピロリジン含有メタクリルアミド;アクリロイルオキシピロリジン等のピロリジン含有アクリルアミド;メタクリロイルオキシピペリジン等のピペリジン含有メタクリルアミド;アクリロイルオキシピペリジン等のピペリジン含有アクリルアミド;メタクリロイルオキシ−2−オキソピロリジン等の2−オキソピロリジン含有メタクリルアミド;アクリロイルオキシ−2−オキソピロリジン等の2−オキソピロリジン含有アクリルアミド等が挙げられる。
前記式(2)で表される親水性モノマーの構造は以下の通りである。
上記式中、Rは水素原子またはメチル基である。
また、Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。
さらに、nは2〜50の整数、好ましくは3〜20の整数、より好ましくは4〜15の整数である。
式(2)で表される親水性モノマーの具体例としては、ジエチレングリコールメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のヒドロキシポリアルキレンメタクリレート;ジエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
前記エーテル含有モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールアクリレート;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールアクリレート等のヒドロキシポリアルキレンアクリレート等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキレンメタクリレート;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキレンアクリレート等が挙げられる。
前記イオン性モノマーとしては、陽イオン性モノマー、陰イオン性モノマー、および両イオン性モノマーが挙げられる。
陽イオン性モノマーとしては、特に制限されないが、第4級アンモニウム基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、芳香族アミノ基含有モノマー等が挙げられる。
前記第4級アンモニウム基含有モノマーとしては、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化ベンジル4級塩等の第4級アンモニウム基含有アクリルアミド;3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド塩化ベンジル4級塩等の第4級アンモニウム基含有メタクリルアミド;2−アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル4級塩、ジエチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩、ジエチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル4級塩等の第4級アンモニウム基含有アクリレート;2−メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル4級塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル4級塩等の第4級アンモニウム基含有メタクリレート等が挙げられる。
前記アミノ基含有モノマーとしては、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ターシャリーブチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有アクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有アクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有メタクリレート;ビニルアミン、アリルアミン;およびこれらの中和物等が挙げられる。また、このようなアミノ基含有モノマーを含むブロックポリマーを合成する際、アミノ基を公知各種の保護基で保護した状態で重合反応を行い、合成後に脱保護することでアミノ基含有ブロックポリマーを得ることもできる。
前記芳香族アミノ基含有モノマーとしては、ビニルアニリン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等が挙げられる。
陰イオン性モノマーとしては、特に制限されないが、スルホン基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー等が挙げられる。
前記スルホン基含有モノマーとしては、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、およびこれらの中和物等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの中和物等が挙げられる。
前記リン酸基含有モノマーとしては、メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
両イオン性モノマーとしては、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン等のカルボキシベタインモノマー;2−メタクリロイロキシエチルジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウム水酸化物、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム水酸化物等のスルホベタインモノマー;2−(メタクリロイロイロキシ)エチル−2−(トリメチルアンモニオ)エチルフォスフェート等のフォスホベタインモノマー等が挙げられる。
両親媒性モノマーとしては、ノニルフェノキポリエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェノキポリエチレングリコールアクリレートなどが挙がられる。
上述のうち、親水性モノマーは、式(1)で表される親水性モノマー、式(2)で表される親水性モノマー、エーテル含有モノマーであることが好ましく、アルキルアクリルアミド、モルホリン含有アクリルアミド、アルコキシポリエチレングリコールアクリレートであることがより好ましく、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミドであることがさらに好ましい。
上述の親水性モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性ポリマー中の親水性モノマーの含有率は、親水性ポリマーに対して、5〜95mol%であることが好ましく、30〜80mol%であることがより好ましい。親水性モノマーの含有率が5mol%以上であると、ファウリングの防止または抑制効果が向上しうることから好ましい、一方、親水性モノマーの含有率が95mol%以下であると、親水性ポリマーが非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用が高くなり、耐久性が向上しうることから好ましい。
(疎水性モノマー)
疎水性モノマーは、親水性ポリマーの任意の構成成分となるものであり、主に親水性ポリマーの親水性、非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用を調整する機能を有する。なお、本明細書において、モノマーについての「疎水性」とは、そのモノマーについて、水中における25℃での溶解度が10g/100mL未満であることを意味する。
疎水性モノマーとしては、特に制限されないが、下記式(3)で表される疎水性モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、不飽和炭素−炭素二重結合を有する炭化水素、炭素数が4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記式(3)で表される疎水性モノマーの構造は以下の通りである。
上記式(3)中、Rは水素原子またはメチル基である。
また、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
さらに、Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。炭素数2〜3のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。
式(3)で表される疎水性モノマーの具体例としては、1−メトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−プロピルオキシエチルアクリレート、1−イソプロピルオキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−プロピルオキシエチルアクリレート、2−イソプロピルオキシエチルアクリレート等のアルコキシエチルアクリレート;1−メトキシプロピルアクリレート、1−エトキシプロピルアクリレート、1−プロピルオキシプロピルアクリレート、1−イソプロピルオキシプロピルアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシプロピルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート等のアルコキシプロピルアクリレート;1−メトキシ−1−メチルエチルアクリレート、1−エトキシ−1−メチルエチルアクリレート、1−プロピル−1−メチルエチルアクリレート、1−プロピルオキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−メトキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−エトキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−プロピル−1−メチルエチルアクリレート、2−プロピルオキシ−1−メチルエチルアクリレート等のアルコキシイソプロピルアクリレート;1−メトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−プロピルオキシエチルメタクリレート、1−イソプロピルオキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−プロピルオキシエチルメタクリレート、2−イソプロピルオキシエチルメタクリレート等のアルコキシエチルメタクリレート;1−メトキシプロピルメタクリレート、1−エトキシプロピルメタクリレート、1−プロピルオキシプロピルメタクリレート、1−イソプロピルオキシプロピルメタクリレート、2−メトキシプロピルメタクリレート、2−エトキシプロピルメタクリレート、3−メトキシプロピルメタクリレート、3−エトキシプロピルメタクリレート等のアルコキシプロピルメタクリレート;1−メトキシ−1−メチルエチルメタクリレート、1−エトキシ−1−メチルエチルメタクリレート、1−プロピル−1−メチルエチルメタクリレート、1−プロピルオキシ−1−メチルエチルメタクリレート、2−メトキシ−1−メチルエチルメタクリレート、2−エトキシ−1−メチルエチルメタクリレート、2−プロピル−1−メチルエチルメタクリレート、2−プロピルオキシ−1−メチルエチルメタクリレート等のアルコキシイソプロピルメタクリレート等が挙げられる。
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
前記不飽和炭素−炭素二重結合を有する炭化水素としては、スチレン、メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等が挙げられる。
前記炭素数が4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ラウリルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ラウリルメタクリルアミド等が挙げられる。
上述の疎水性モノマーとしては、式(3)で表される疎水性モノマーであることが好ましく、ファウリングを防止または抑制する観点から、アルコキシエチルアクリレート、アルコキシエチルメタクリレートであることがより好ましく、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましく、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートであることが特に好ましい。
なお、上述の疎水性モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性ポリマー中の疎水性モノマーの含有率は、親水性ポリマーに対して、5〜95mol%であることが好ましく、10〜50mol%であることがより好ましい。疎水性モノマーの含有率が5mol%以上であると、親水性ポリマーが非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用が十分高くなり、耐久性が向上しうることから好ましい、一方、疎水性モノマーの含有率が95mol%以下であると、ファウリングの防止または抑制効果を維持しうることから好ましい。
(親水性ポリマーの構成)
親水性ポリマーは、ポリマーとして親水性を有するものであればどのような構成であってもよく、単独重合体であっても、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等の共重合体であってもよい。これらのうち、親水性ポリマーは、親水性部および疎水性部を含むブロック共重合体(ブロックポリマー)であることが好ましい。親水性ポリマー中の親水性を発現する部分はファウリングの発生を防止または抑制する機能を有しうる。また、親水性ポリマー中の疎水性を発現する部分は非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用を向上させる機能を有しうる。親水性ポリマーが親水性部および疎水性部を含むブロックポリマーであると、親水性部には親水性能が局在化するため、より高いファウリングの発生防止または抑制機能を有し、疎水性部には疎水性能が局在化するためより高い非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用向上機能を有しうる。その結果、好適なファウリングの発生防止または抑制機能を有しつつ、耐久性等に優れるポリマー複合体が得られうる。
親水性ポリマーがブロックポリマーである場合、親水性部および疎水性部を含み、その他、必要に応じて、連鎖移動剤由来構造等を含んでいてもよい。なお、上記の通り、親水性ポリマーは疎水性部を含んでいてもよいが、親水性ポリマー全体として(ポリマーとして)は親水性を示す。
親水性部
親水性部は親水性ポリマーに親水性を付与する機能を有する。なお、本明細書において、親水性部における「親水性」とは、親水性部からなる重合体について、水中における25℃での溶解度が0.5g/100mL以上、または親水性部からなる重合体の水接触角が60度未満であることを意味する。
親水性部は、上述の親水性モノマーのモノマー単位を含む。その他必要に応じて、上述の疎水性モノマーのモノマー単位を含んでいてもよい。
使用されうる親水性モノマーは、上述と同様であることからここでは説明を省略する。
親水性部中の親水性モノマーの含有率は、親水性部に対して、80mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましい。親水性モノマーの含有率が80mol%以上であると、十分な耐ファウリング性能を発現できることから好ましい。
親水性部の重合度としては、特に制限されないが、20〜20000であることが好ましく、100〜5000であることがより好ましく、200〜2000であることがさらに好ましい。親水性部の重合度が20以上であると、複合体が十分な耐ファウリング性能が発現できることから好ましい。一方、親水性部の重合度が20000以下であると、複合体が十分な耐水性が維持できることから好ましい。
疎水性部
疎水性部は、ブロックポリマーに疎水性を付与する機能を有する。なお、本明細書において、疎水性部における「疎水性」とは、疎水性部からなる重合体について、水中における25℃での溶解度が0.5g/100mL未満、または疎水性部からなる重合体の水接触角が60度以上であることを意味する。
疎水性部は、上述の疎水性モノマーのモノマー単位を含む。その他必要に応じて、上述の親水性モノマーのモノマー単位を含んでいてもよい。
使用されうる疎水性モノマーは、上述と同様であることからここでは説明を省略する。
疎水性部中の疎水性モノマーの含有率は、疎水性部に対して、70mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの含有率が70mol%以上であると、非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用が高まることから好ましい。
疎水性部の重合度としては、特に制限されないが、30〜3000であることが好ましく、50〜1000であることがより好ましく、200〜700であることがさらに好ましい。疎水性部の重合度が30以上であると、複合体が十分な耐水性が維持できるから好ましい。一方、疎水性部の重合度が3000以下であると、複合体が十分な耐ファウリング性能が発現できることから好ましい。
連鎖移動剤由来構造
一実施形態において、ブロックポリマーは、好ましくは精密ラジカル重合により製造される。当該精密ラジカル重合としては、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合(NMP)等が挙げられる。これらの重合によりブロックポリマーを製造した場合には、重合に使用される連鎖移動剤や開始剤等に由来する構造が共重合体中に含まれうる。特に、RAFT重合を用いて重合を行った場合、ブロックポリマーは、連鎖移動剤由来構造をさらに含みうる。
ブロックポリマーに含有されうるものの具体例としては、RAFT重合に用いられる連鎖移動剤(RAFT剤)が挙げられる。
前記RAFT剤としては、特に制限されないが、ジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート、キサンテート等が挙げられる。
前記ジチオエステルとしては、特に制限されないが、下記化合物が挙げられる。
前記トリチオカーボネートとしては、特に制限されないが、下記化合物が挙げられる。
前記ジチオカルバメートとしては、特に制限されないが、下記化合物が挙げられる。
前記キサンテートとしては、特に制限されないが、下記化合物が挙げられる。
上述のRAFT剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述のRAFT剤に由来する構造は、RAFT重合のメカニズムからも理解されるように、通常、RAFT剤はブロックポリマーにそのまま含まれることはなく、ブロックポリマーの両末端および主鎖の3つに分かれて含まれる。
連鎖移動剤由来構造は、精密ラジカル重合のメカニズムからも明らかなように、疎水性部、親水性部に含まれることもある。すなわち、連鎖移動剤由来構造が疎水性部を構成するモノマー単位に挟まれる場合には、連鎖移動剤由来構造は疎水性部の構成要素とみなされる。同様に、連鎖移動剤由来構造が親水性部を構成するモノマー単位に挟まれる場合には、連鎖移動剤由来構造は親水性部の構成要素とみなされる。他方、連鎖移動剤由来構造が、疎水性部を構成するモノマー単位と、親水性部を構成するモノマー単位とに挟まれる場合、またはブロックポリマー末端に配置される場合には、連鎖移動剤由来構造は独立した構成要素とみなされる。
例を挙げると、連鎖移動剤由来構造(1)−疎水性モノマー由来のモノマー単位−連鎖移動剤由来構造(2)−疎水性モノマー由来のモノマー単位−連鎖移動剤由来構造(3)を有する場合、疎水性モノマー由来のモノマー単位に挟まれる連鎖移動剤由来構造(2)は疎水性部の構成要素として理解される。また、末端に配置される連鎖移動剤由来構造(1)および(3)は独立した構成要素として理解される。他方、例えば、連鎖移動剤由来構造(1)−疎水性部−連鎖移動剤由来構造(2)−親水性部−連鎖移動剤由来構造(3)の構造を有する場合、連鎖移動由来構造(1)〜(3)はいずれも独立した構成要素として理解される。
親水性ポリマーがブロックポリマーである場合、その構成は特に制限されず種々の構成をとりうる。疎水性部(A)−親水性部(B)のジブロック型であってもよいし、A−B−AまたはB−A−Bのトリブロック体であってもよいし、A−B−A−Bのテトラブロック体であってもよいし、(B−A)p−Xまたは(A−B)p−Xの分岐体であってもよい。この際、前記Xは連鎖移動剤由来構造であり、pは前記Xにより定まる3以上の整数、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜5である。
これらのうち、ブロックポリマーは、ジブロック体、トリブロック体であることが好ましく、トリブロック体であることがより好ましく、親水性部(B)が水等によって膨潤した場合に両端部に配置される疎水性部(A)が非架橋性疎水性ポリマーとの相互作用を好適に保持することができる観点から、A−B−A(疎水性部−親水性部−疎水性部)のトリブロック体であることがさらに好ましい。
なお、上述のブロックポリマーの製造方法は特に制限されず、公知の方法により製造することができる。このうち、精密ラジカル重合であることが好ましく、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合(NMP)であることがより好ましく、RAFT重合であることがさらに好ましい。
以下、RAFT重合によりブロックポリマーを合成する場合について詳細に説明する。
一実施形態において、ブロックポリマーは、疎水性部を構成しうるモノマー(疎水性モノマー、および必要に応じてさらに親水性モノマー)、RAFT剤、重合開始剤、および溶媒を含む第1の溶液を重合して第1の反応液を得る工程と、第1の反応液中に親水性部を構成しうるモノマー(親水性モノマー、および必要に応じて疎水性モノマー)を添加して重合する工程と、を含む。これにより、疎水性部(A)−親水性部(B)のジブロックポリマーおよび/またはA−B−Aのトリブロックポリマーを製造することができる。
なお、使用するRAFT剤の種類に応じて、(A−B)p−Xの分岐型ポリマーを製造することもできる。
また、疎水性部を構成しうるモノマーの添加量、親水性部を構成しうるモノマーの添加量等を適宜調節することにより、ブロックポリマーの分子量、疎水性部(A)および親水性部(B)の構造、重合度等を制御することができる。
別の一実施形態において、ブロックポリマーは、親水性部を構成しうるモノマー、RAFT剤、重合開始剤、並びに溶媒を含む第2の溶液を重合して第2の反応液を得る工程と、第2の反応液中に疎水性部を構成しうるモノマーを添加し、重合する工程と、を含む。これにより、A−Bのジブロックポリマーおよび/またはB−A−Bのトリブロックポリマーを製造することができる。また、使用するRAFT剤の種類に応じて、(B−A)p−Xの分岐型ポリマーを製造することもできる。
上述と同様に、疎水性部を構成しうるモノマーの添加量、親水性部を構成しうるモノマーの添加量を調整することにより、ブロックポリマーの分子量、疎水性部(A)および親水性部(B)の構造、重合度等を制御することができる。
通常、RAFT重合後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィ等によって製造したブロックポリマーを精製する。
親水性ポリマーの重量平均分子量(Mv)は、特に制限されないが、8000〜800000であることが好ましく、50000〜300000であることがより好ましい。重量平均分子量が8000以上であると、ポリマー複合体が十分な耐ファウリング性能を発現できることから好ましい。一方、重量平均分子量が800000以下であると、ポリマー複合体が十分な耐水性を維持できることから好ましい。
親水性ポリマーの含有率は、ポリマー複合体の全質量に対して、3〜70質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。親水性ポリマーの含有率が3質量%以上であると、ポリマー複合体が十分な耐水性を維持できることから好ましい。一方、親水性ポリマーの含有率が70質量%以下であると、ポリマー複合体が十分な耐水性を維持できることから好ましい。
非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は、0.05以上であることが好ましく、0.05〜0.7であることがより好ましく、0.1〜0.5であることがさらに好ましく、0.15〜0.45であることが特に好ましい。非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)が0.05以上であると、表面親水性に優れるため、ファウリングを好適に防止または抑制できることから好ましい。
<ポリマー複合体の製造方法>
ポリマー複合体の製造方法は、ポリマー複合体の形状によっても異なるが、適宜公知の方法により製造することができる。
例えば、ポリマー複合体が多孔質膜である場合、相分離法、溶融抽出法、蒸気凝固法、延伸法、発泡剤を使用する方法、エッチング法、エレクトロスピニングを用いる方法等が挙げられる。これらのうち、多孔構造の制御が容易である観点から、相分離法であることが好ましい。
前記相分離法としては、非溶媒誘起相分離法(NIPS)および熱誘起相分離法(TIPS)が挙げられる。
[非溶媒誘起相分離法(NIPS)]
一実施形態において、ポリマー複合体は、非溶媒誘起相分離法(NIPS)により製造される。前記非溶媒誘起相分離法(NIPS)を用いたポリマー複合体の製造方法は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および溶媒を含む均一溶液を、支持体に塗布して塗膜を調製する工程と、前記塗膜を、非溶媒を含む凝固液に接触させて多孔質を形成する工程と、を含む。
NIPSによれば、塗膜中に含有される溶媒が非溶媒との接触や外部雰囲気への蒸発に基づく濃度変化によって濃度勾配を生じさせ、これが駆動力となって、塗膜中の溶媒が非溶媒に置換されることで相分離が進行する。相分離後に非溶媒を除去することで、多孔質構造を有するポリマー複合体を得ることができる。かようなメカニズムによれば、非溶媒誘起相分離法(NIPS)により得られるポリマー複合体は、形成される孔が非対称構造となりうる。
(塗膜調製工程)
塗膜調製工程は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および良溶媒を含む均一溶液を、支持体に塗布して塗膜を調製する工程である。または、前記均一溶液を、ドーナツ型ノズルからストロー状に吐出させて中空状膜を調製する工程である。
均一溶液
均一溶液は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、良溶媒を含む。その他、必要に応じて、貧溶媒、非溶媒、塩などの添加剤を含んでいてもよい。
なお、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーを溶媒中で混合させることで、両者は相互に絡み合う。この際、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの構造を制御することで、作用する分子間力は異なる。また、場合により均一溶液中において、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーがゲル化しない程度で架橋反応を行うことで、両者を化学結合で連結された形態で相互に絡み合う状態とすることができる。さらに、親水性ポリマーが疎水性モノマーを含み、前記疎水性モノマーとして、その疎水性モノマーを重合してなるポリマーのガラス転移温度(Tg)が低いものを使用することにより物理的な要因により、より容易に相互に絡み合う状態とすることができる。なお、ポリマー複合体の構造上の形態は、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの構造、架橋構造の導入等により適宜制御することができる。例えば、親水性ポリマーに架橋構造を導入することにより、ポリマー複合体はセミIPNの構造とすることができる。これにより、親水性ポリマーが更に溶出しにくく、耐水性が更に向上する。
非架橋性疎水性ポリマー
非架橋性疎水性ポリマーは、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。この際、非架橋性疎水性ポリマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
均一溶液中の非架橋性疎水性ポリマーの含有率は、均一溶液の全質量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。非架橋性疎水性ポリマーの含有率が5質量%以上であると、十分強度のある多孔質膜を製造できることから好ましい。一方、非架橋性疎水性ポリマーの含有率が50質量%以下であると、得られた多孔質膜が十分透水や低分子物質の透過ができることから好ましい。
親水性ポリマー
親水性ポリマーは、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。この際、親水性ポリマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
均一溶液中の親水性ポリマーの含有率は、均一溶液の全質量に対して、5〜45質量%であることが好ましく、9〜25質量%であることがより好ましい。親水性ポリマーの含有率が5質量%以上であると、十分な耐ファウリング性が発現できることから好ましい。一方、親水性ポリマーの含有率が45質量%以下であると、十分な耐水性(耐水膨潤性)が維持できることから好ましい。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は、0.05以上であることが好ましく、0.05〜0.7であることがより好ましく、0.1〜0.5であることがさらに好ましく、0.15〜0.45であることが特に好ましい。非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)が0.05以上であると、良溶媒に溶解しやすく、かつ、得られる多孔質膜が十分な耐ファウリング性を発現できることから好ましい。
良溶媒
良溶媒は、少なくとも非架橋性疎水性ポリマーを溶解する機能を有する。本明細書において、「良溶媒」とは、25℃において、非架橋性疎水性ポリマーの溶解度が10g/100mL以上のものを意味する。
良溶媒としては、特に制限されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル、クロロホルム等が挙げられる。これらのうち、良溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、アセトンであることが好ましく、水と相溶しかつ高沸点の観点からN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドであることがさらに好ましい。
なお、上述の良溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
貧溶媒
均一溶液には、多孔質の孔径等を制御することを目的として貧溶媒が含まれていてもよい。この際、本明細書において、「貧溶媒」とは、25℃において、非架橋性疎水性ポリマーの溶解度が10g/100mL未満のものであり、かつ、良溶媒や非溶媒と相溶であり、非水系であるのものを意味する。
貧溶媒としては、特に制限されないが、シクロヘキサノン、イソホロン、γーブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、脂肪族多価アルコール、アセトン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルベンゾエート、ジエチレングリコールエチルアセテート、ベンゾフェノン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらのうち、貧溶媒は、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールであることが好ましく、水溶性かつ高沸点の観点から、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ポリエチレングリコールであることがさらに好ましい。
なお、上述の貧溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非溶媒
均一溶液には、多孔質の孔径等を制御することを目的として非溶媒が含まれていてもよい。この際、本明細書において、「非溶媒」とは、25℃において、非架橋性疎水性ポリマーの溶解度が10g/100mL未満のものであり、かつ、良溶媒や貧溶媒と相溶性を有するものを意味する。
非溶媒としては、特に制限されないが、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、トリクロロエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量の(ポリ)エチレングリコール等が挙けられる。これらのうち、非溶媒は、水、低分子量の(ポリ)エチレングリコールであることが好ましく、水、エチレングリコール、ジエチレングリコールであることがより好ましく、膜の水洗や後処理、排水処理などの観点から水であることがさらに好ましい。
なお、上述の非溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
均一溶液が非溶媒として少なくとも水を含む場合、非溶媒と良溶媒の置換による非架橋性疎水性ポリマーの相分離(孔形成)の際に、親水性ポリマーの親水性部分が、非溶媒(水)の存在する孔の表面により偏析しやすく、すなわち親水性ポリマーが、より表面に存在する高親水性の多孔質膜が得られやすくなるため好ましい。
添加剤
前記添加剤としては、塩化リチウムなどの塩類、界面活性剤、糖類、無機化合物等が挙げられる。
添加剤を含有させることで、ポリマーの溶解度調整や、塗膜構成の制御に基づく多孔質構造の制御、添加剤を溶出させることによる多孔質構造の制御等を行うことができる。
支持体
支持体としては、特に制限されず、ガラス、ステンレス鋼(SUS)、銅板、ポリエステル(PET)等の良溶媒に不溶な材質の平面板またはシート;ポリエステル繊維、ポリオレフィン、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、綿、絹等の有機繊維を含む織物、編物、または不織布;ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維を含む織物、編物または不織布等が挙げられる。
塗布
調製した均一溶液を支持体に塗布することで塗膜を形成する。
均一溶液を支持体に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、キャスト法等の湿式コーティング法等が挙げられる。
塗膜
塗布により形成される塗膜は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および良溶媒、並びに必要に応じて貧溶媒および非溶媒を含む。
塗膜の膜厚は、使用する用途等によっても異なるが、0.005〜3mmであることが好ましく、0.03〜0.2mmであることがより好ましい。塗膜の膜厚が0.005mm以上であると十分に強度のある膜を得ることができることから好ましい。一方、塗膜の膜厚が3mm以下であると柔軟性を有し、かつ、十分にろ過性能を有しうることから好ましい。
(多孔質形成工程)
多孔質形成工程は、形成した塗膜を、非溶媒を含む凝固液に接触させて多孔質を形成する工程である。
凝固液
凝固液は、非溶媒を含む。その他、孔径の制御等の観点から、良溶媒、貧溶媒を含んでいてもよい。
非溶媒、良溶媒、および貧溶媒は、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
接触
塗膜の凝固液への接触方法としては、特に制限されず、滴下、浸漬、気体状の非溶媒(例えば水蒸気)との接触等が挙げられる。
塗膜を凝固液に接触させることで、非溶媒と良溶媒の置換により、ポリマーの濃度勾配の発生を駆動力とする相分離が進行し、多孔質構造のポリマー複合体が得られうる。
接触時の温度は、特に制限されないが、1〜80℃であることが好ましく、10〜50℃であることがより好ましい。
(剥離工程)
一実施形態において、支持体上と、前記支持体上に配置されたポリマー複合体とを含む積層体は、そのまま使用することができる。
別の一実施形態において、前記支持体上に配置されたポリマーを剥離工程により剥離することもできる。
剥離の方法については、特に制限されず、ピンセット等を用いた手技による剥離、装置による剥離、剥離剤を用いた化学的方法による剥離等が挙げられる。
なお、一実施形態においては、非溶媒と良溶媒の置換が進行するにつれて、得られるポリマー複合体が自然に支持体から剥離されることもある。このような形態として、支持体として平板を使用し、非溶媒が水を含む場合等が挙げられる。
[熱誘起相分離法(TIPS)]
一実施形態において、ポリマー複合体は、熱誘起相分離法(TIPS)により製造される。前記熱誘起相分離法(TIPS)を用いたポリマー複合体の製造方法は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および溶媒を含む混合溶液を、高温条件下で支持体に塗布して塗膜を調製する工程と、前記塗膜を冷却して多孔質を形成する工程と、を含む。
TIPSによれば、冷却により塗膜中の溶媒が熱拡散を生じさせることで、多孔質構造を有するポリマー複合体を得ることができる。かようなメカニズムによれば、熱誘起相分離法(TIPS)により得られるポリマー複合体は、形成される孔が対称構造となりうる。
(塗膜形成工程)
塗膜調製工程は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および溶媒を含む混合溶液を、支持体に塗布して塗膜を調製する工程である。
混合溶液
混合溶液は、非架橋性疎水性ポリマー、親水性ポリマー、および溶媒を含む。
非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーについては、上述の均一溶液と同様であることからここでは説明を省略する。
前記溶媒は、良溶媒、貧溶媒、非溶媒、およびこれらの混合溶媒である。
使用される良溶媒、貧溶媒、非溶媒は上述したものと同様であることからここでは説明を省略する。
なお、混合溶液は、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーが溶解していても、分散していてもよい。
ただし、溶媒として、貧溶媒、非溶媒、並びに貧溶媒および貧溶媒の混合溶媒を使用した場合、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの相互作用は弱くなる傾向にあることから、溶媒としては少なくとも良溶媒を含むことが好ましい。
支持体
支持体については、上述の非溶媒誘起相分離法(NIPS)の場合と同様であることからここでは説明を省略する。
塗布および塗膜
塗布および塗膜については、原則として、上述の非溶媒誘起相分離法(NIPS)の場合と同様である。
塗布温度については、特に制限されず、適宜設定されうる。
(冷却工程)
冷却工程では、高温で形成した塗膜を冷却する工程である。冷却により溶媒の熱拡散によりを生じさせることで、孔を形成することができる。
冷却温度や冷却速度については、特に制限されず、適宜設定されうる。
なお、ポリマー複合体の表面以外に存在する親水性ポリマー(例えば、ポリマー複合体内部に存在する親水性ポリマーまたはその一部)は、親水性(タンパク質等の吸着抑制または防止効果)に寄与しない、またはほとんど寄与しない傾向があるため、親水性ポリマーを表面に偏析させることが好ましい。親水性ポリマーを表面に偏析させる方法としては、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの相溶性を低くする方法が挙げられる。
また、ポリマー複合体に透明性が求められる場合、透明性を向上させる方法として、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの相溶性を高くする方法が挙げられる。
すなわち、親水性ポリマーの偏析と、透明性の確保とはトレードオフの関係にあるため、所望のポリマー複合体の性能に応じて製造条件を設定することが好ましい。例えば、非架橋性疎水性ポリマーがポリスチレンの場合には、ポリスチレンと相溶性が高いブチルアクリレートを親水性ポリマーの少なくとも一部に含有させることで、透明性を実現させることができ、その添加量に応じて透明性を制御することができる。
また、ポリマー複合体が緻密体である場合、良溶媒共溶解キャスト法、溶融混練成型法、溶融共押し出し法等によりポリマー複合体を製造することができる。
溶融共押し出し法
溶融共押し出し法は、親水性ポリマーと非架橋疎水性ポリマーとをそれぞれ溶融し、次いで別々のシリット状ノズルから押し出し、ノズル出口付近で積層させることでポリマー複合体を製造する方法である。本方法は、表面親水性と相溶性を両立できる成形方法である。本方法によれば、溶融混練によるポリマー同士の絡み合いや溶融ポリマー同士の接触による絡み合いが比較的強固となるため、容易にほぐすことができない。
なお、本方法によれば、シート状またはフィルム状の緻密膜を好適に製造することができる。
良溶媒共溶解キャスト法
良溶媒共溶解キャスト法は、非架橋性疎水性ポリマーと親水性ポリマーと良溶媒とを含む溶液を、支持体にキャストした後、高温環境で良溶媒を揮発させてフィルム状またはシート状の緻密体を製造する方法である。
なお、相対湿度が高い環境下(好ましくは、50%RH以上、より好ましくは60〜90%RH)で支持体にキャストをすることで、親水性ポリマーがより表面易偏析しやすくなり、より高い親水性表面が得られうることから好ましい。
溶融混練成形法
溶融混練成形法は、非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーを溶融混練し、次いで、射出成形を行う方法である。本方法によれば、フィルム状、シート状、シャーレ状、マルチウエル状などの他、溶融混練体を糸状に吐出し、不織布状、織物等の形状に成形することができる。不織布状の形状である場合には、良好な耐ファウリング性を有することからろ過材に好適に適用されうる。また、織物の形状である場合には、ろ過材の他、肌にべたつかず、透気、透湿性(蒸れ防止)に優れるため、衣類の材料として好適に適用されうる。
なお、相溶性を踏まえた非架橋性疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの種類の選択、成形時の相対湿度等を適宜調整することで、親水性ポリマーの表面に偏析しやすくなりうる。
<用途>
上述のポリマー複合体は、フミン質や油成分、タンパク質、血中成分等を原因とするファウリングを防止または抑制することから、水処理技術、血液透析技術、生化学・培養技術、機能性不織布や織物関連技術に適用されうる。
具体的には、上水または排水のろ過精製に使用される精密ろ過(MF)や限外ろ過(UF)膜、人工腎臓等の人工臓器や血液透析用の医療用膜、血液サンプルや貴重タンパク、ペプチド、低分子化合物、アミノ酸化合物などを保管する容器類、細胞を接着させずに浮遊増殖させる培養容器等が挙げられる。
なお、ポリマー複合体は、それ自体が膜、その他の形状物(例えば容器類)として使用されていてもよいし、支持体と、前記支持体上に配置されるポリマー複合体と、を含む複合材料として使用されてもよい。なお、支持体は、上述したように平面板であっても、織物、編物、皿状やチューブのような成型物または不織布であってもよい。また、ポリマー複合体は、多孔質膜であっても、緻密膜であってもよい。一実施形態において、不織布と、前記不織布上に配置されたポリマー複合体を有する多孔質膜とを含む複合材料は、排水処理に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。また、実施例において特段の記載がない場合、%は質量基準である。
[合成例1]
水性ポリマーとして、疎水性部−親水性部−疎水性部のトリブロックポリマーを合成した。
より詳細には、疎水性モノマーである2−メトキシエチルアクリレート(MEA、大阪有機化学株式会社製)2.915gと、RAFT剤であるジベンジルトリチオカーボネート0.013gと、重合開始剤であるジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオナート)0.002gと、溶媒であるtert−ブタノール7.2gおよび水0.8gとを混合し、窒素ガスにて60分間バブリングさせた。得られた溶液を70℃で7時間撹拌することで、重合反応を行った。
H−NMRから測定したこの段階でのMEAのコンバージョンは99%であった。
また、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は50000であり、数平均分子量(Mn)は32000であった。なお、「重量平均分子量(Mw)」および「数平均分子量(Mn)」の値は、shodex-standard M-75(Lot No. 90101、昭和電工株式会社製、ポリメチルメタクリレート(PMMA))を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC(HLC-8220GPC、東ソー株式会社製))により測定した。この際、使用するカラムはTSK-gel α-M(東ソー株式会社製)とする。
次いで、親水性モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA、KJケミカルズ株式会社製)6.66gと、溶媒であるtert−ブタノール27.3gおよび水3.0gとを混合し、窒素ガスにて60分間バブリングさせた。
調製したDMAAを含む溶液を、上記で得られた反応溶液に添加し、70℃で20時間撹拌することで、重合反応を行った。
H−NMRから測定したこの段階でのMEAのコンバージョンは100%、DMAAのコンバージョンは99%であった。また、上記と同様の方法で重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は226000であり、数平均分子量(Mn)は103000であった。
この結果、MEA−DMAA−MEA(重合度:250−1500−250)の構成を有するトリブロックポリマー(親水性ポリマー)を得た。
[合成例2]
親水性ポリマーとして、疎水性部−親水性部のジブロックポリマーを合成した。
より詳細には、疎水性モノマーである2−メトキシエチルアクリレート(MEA、大阪有機化学株式会社製)1.5gと、RAFT剤である2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート(Sigma−Aldrich株式会社製)0.016gと、重合開始剤であるジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオナート)0.002gと、溶媒であるtert−ブタノール7.2gおよび水0.8gとを、混合し、窒素ガスにて60分間バブリングさせた。得られた溶液を70℃で7時間撹拌することで、重合反応を行った。
H−NMRから測定したこの段階でのMEAのコンバージョンは95%であった。また、合成例1と同様の方法で重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は30000であり、数平均分子量(Mn)は20000であった。
次いで、親水性モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA、KJケミカルズ株式会社製)6.88gと、溶媒であるtert−ブタノール13.5gおよび水1.5gとを、混合窒素ガスにて60分間バブリングさせた。
調製したDMAAを含む溶液を、上記で得られた反応溶液に添加し、70℃で20時間撹拌することで、重合反応を行った。
H−NMRから測定したこの段階でのMEAのコンバージョンは100%、DMAAのコンバージョンは99%であった。また、合成例1と同様の方法で重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は189000であり、数平均分子量(Mn)は108000であった。
その結果、DMAA−MEA(重合度:1500−250)の構成を有する親水性部−疎水性部のジブロックポリマー(親水性ポリマー)を得た。
[合成例3]
親水性ポリマーとして、親水性部からなるポリマーを合成した。
より詳細には、親水性モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA、KJケミカルズ株式会社製)1.0gと、重合開始剤であるジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオナート)0.01gと、溶媒であるtert−ブタノール8gおよび水1gとを、混合した。得られた溶液を70℃で20時間撹拌することで、重合反応を行った。
その結果、ポリジメチルアクリルアミド(PDMAA)の構成を有する親水性ポリマーを得た。
H−NMRから測定したDMAAのコンバージョンは99%であった。また、合成例1と同様の方法で重量平均分子量(Mw)を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は580000であった。
[実施例1]
合成例1で合成した親水性ポリマー1gと、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホン18gと、溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド100gと、を均一に混合し、ガラス板に厚さ150μmとなるように塗布した。得られた塗膜を直ちに25℃の水中に投入した。その結果、塗膜は乳白色となって凝固し、多孔質膜となった。得られた多孔質膜をガラスから剥離し、十分に水洗し、40℃の恒温器内にて5時間乾燥することで、多孔質膜の形状を有するポリマー複合体を製造した。この際、ガラス板と接触していなかった面(「表面」)は光沢を有しており、多孔質膜の接触していた面(裏面)は光沢を有していなかった。
なお、合成例1で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.06である。
[実施例2]
合成例1で合成した親水性ポリマーを2g用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.11である。
[実施例3]
合成例1で合成した親水性ポリマーを5g用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例4]
合成例1で合成した親水性ポリマーを7.2g用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.4である。
[実施例5]
非架橋性疎水性ポリマーとして、コーネックス(芳香族ポリアミド、帝人株式会社製)を用いたことを除いては、実施例3と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例1で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーである芳香族ポリアミドと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例6]
非架橋性疎水性ポリマーとして、UDEL P−1700(ポリスルホン、アモコジャパン株式会社製)を用いたことを除いては、実施例3と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例1で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例7]
親水性ポリマーとして、合成例2で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例3と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例2で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例8]
親水性ポリマーとして、合成例3で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例3と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例3で合成した親水性ポリマーは、親水性部からなるポリマーであるが、分子中の比較的疎水性の部分(ポリビニル分子鎖)が、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンと疎水性相互作用により相互に作用し、かつ、ポリマー同士が相互に絡み合っている構造となっていた。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例9]
親水性ポリマーとして、合成例2で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例6と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例2で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むジブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例10]
親水性ポリマーとして、合成例3で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例6と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例3で合成した親水性ポリマーは、親水性部からなるポリマーであるが、分子中の比較的疎水性の部分(ポリビニル分子鎖)が、非架橋性疎水性ポリマーであるポリスルホンと疎水性相互作用により相互に作用し、かつ、ポリマー同士が相互に絡み合っている構造となっていた。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例11]
均質膜の形状を有するポリマー複合体を製造した。
より詳細には、合成例1で合成した親水性ポリマー5gと、非架橋性疎水性ポリマーであるPES(E3010)(ポリエーテルスルホン、三井東圧株式会社製)18gと、溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド100gと、を均一に混合し、ガラス板に厚さ150μmとなるように塗布した後、120℃の恒温器内で1時間静置し、溶媒を揮発させ、緻密膜を製造した。
なお、合成例1で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例12]
親水性ポリマーとして、合成例2で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例11と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例2で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むジブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例13]
親水性ポリマーとして、合成例3で合成した親水性ポリマーを用いたことを除いては、実施例11と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例3で合成した親水性ポリマーは、親水性部からなるポリマーであるが、分子中の比較的疎水性の部分(ポリビニル分子鎖)が、非架橋性疎水性ポリマーであるポリエーテルスルホンとの疎水性相互作用により相互に作用し、かつ、ポリマー同士が相互に絡み合っている構造となっていた。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[実施例14]
非架橋性疎水性ポリマーとして、ディックスチレンCR−3500(ポリスチレン、DIC株式会社製)を用いたことを除いては、実施例11と同様の方法でポリマー複合体を製造した。
なお、合成例1で合成した親水性ポリマーは、疎水性部を含むトリブロックポリマーであるため、前記疎水性部は、非架橋性疎水性ポリマーであるポリスチレンと疎水性相互作用により相互に作用しており、かつ、絡み合っている構造であった。
また、非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)は0.28である。
[比較例1]
合成例1で合成した親水性ポリマーを用いなかったことを除いては、実施例1と同様の方法で非架橋性疎水性ポリマーの多孔質膜を製造した。
[比較例2]
非架橋性疎水性ポリマーとして、コーネックス(芳香族ポリアミド、帝人株式会社製)を用いたことを除いては、比較例1と同様の方法で非架橋性疎水性ポリマーの多孔質膜を製造した。
[比較例3]
非架橋性疎水性ポリマーとして、UDEL P−1700(ポリスルホン、アモコジャパン株式会社製)を用いたことを除いては、比較例1と同様の方法で非架橋性疎水性ポリマーの多孔質膜を製造した。
[比較例4]
合成例1で合成した親水性ポリマーを用いなかったことを除いては、実施例11と同様の方法で非架橋性疎水性ポリマーの均質膜を製造した。
[比較例5]
非架橋性疎水性ポリマーとして、ディックスチレンCR−3500(ポリスチレン、DIC株式会社製)を用いたことを除いては、比較例4と同様の方法で非架橋性疎水性ポリマーの緻密膜を製造した。
実施例1〜14および比較例1〜5で製造したポリマー複合体等を下記表1に示す。
なお、実施例7〜10、12及び13は、それぞれ参考例1〜6とする。
[評価]
実施例および比較例で製造したポリマー複合体等について、種々の評価を行った。
(タンパク質吸着性)
実施例1〜14および比較例1〜5で製造したポリマー複合体等について、タンパク質吸着性および耐久性(耐水性)について評価した。
洗浄前のタンパク質吸着性の評価
ポリマー複合体等を直径10mmの円形状に切り取り、試料を作製した。前記試料を、免疫グロブリンG(IgG)水溶液(濃度:0.03μg/mL)0.5mLに浸漬し、室温(25℃)で3時間静置した。その後、試料を取り出し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)により5回洗浄した。
得られた試料を0.5mLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)発色剤(キルケガード&ペリーラボラトリーズ(KPL)製)の溶液に浸漬し、2分間静置した後、1Nの塩酸0.5mLを前記溶液に添加した。
得られた溶液を、紫外可視分光光度計(株式会社日立製作所製)を用いて450nmにおける吸光度を測定した。
このように測定された吸光度は、その値が低いほどポリマー複合体等にタンパク質が吸着されていないことを示す。すなわち、ファウリングが起こりにくいことを示す。
得られた結果を下記表2に示す。
洗浄後のタンパク質吸着性の評価
ポリマー複合体等を直径10mmの円形状に切り取った後、当該ポリマー複合体等を55℃の水中で24時間静置(洗浄)したものを試料として用いることを除いては、上記洗浄前のタンパク質吸着性の評価と同様の方法で評価を行った。
このように測定された吸光度は、その値が上述の洗浄前タンパク質吸着性の評価値に近いほど、ポリマー複合体等の耐久性(耐水性)が高いことを示す。
洗浄後のポリマー複合体の寸法変化の有無評価
上記のように、直径10mmの円形状ポリマー複合体を、55℃の水中で24時間静置(洗浄)した後の直径を測定した。直径変化が少ないほど、ポリマー複合体等の耐久性(耐水性)が高いことを示す。
得られた結果を下記表2に示す。
上記表2の結果から、実施例1〜14のポリマー複合体は、ファウリングを起こしにくく、耐久性(耐水性)が高いことが分かる。
(接触角)
実施例1〜6および比較例1〜3のポリマー複合体等については、接触角の評価も行った。
具体的には、ポリマー複合体等を水平面に静置し、水平面に対して垂直方向から8μLの水滴をポリマー複合体等に滴下した。
表面接触角計WPI−3000(株式会社共和化学工業所製)を用いて接触角を測定した。この際、ポリマー複合体等の表面および裏面の両方について接触角を測定した。
なお、接触角の値が小さいほど、表面の親水性が高いと言える。
得られた結果を下記表3に示す。
上記表3の結果から、実施例1〜6のポリマー複合体は、表面親水性に優れることが分かる。

Claims (5)

  1. 非架橋性疎水性ポリマーと、親水性モノマーをモノマー単位として含む親水性ポリマーと、を含み、前記親水性ポリマーが、疎水性部−親水性部−疎水性部のトリブロック体のブロックポリマーであり、前記非架橋性疎水性ポリマーの質量に対する前記親水性ポリマーの質量の比(親水性ポリマーの質量/非架橋性疎水性ポリマーの質量)が、0.05以上0.7以下であり、
    前記非架橋性疎水性ポリマーおよび前記親水性ポリマーが、相互に絡み合ってなる、ポリマー複合体。
  2. 前記親水性ポリマーが、疎水性部に下記式(3)で表される疎水性モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、不飽和炭素−炭素二重結合を有する炭化水素、炭素数が4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種の疎水性モノマーを含む、請求項1に記載のポリマー複合体。

    (上記式(3)中、R は水素原子またはメチル基である。
    は炭素数1〜3のアルキル基である。
    Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。)
  3. 前記親水性ポリマーが、疎水性部にアルコキシエチルアクリレート、アルコキシプロピルアクリレート、アルコキシイソプロピルアクリレート、アルコキシエチルメタクリレート、アルコキシプロピルメタクリレート、アルコキシイソプロピルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の疎水性モノマーを含む、請求項1または2に記載のポリマー複合体。
  4. 前記親水性ポリマーが、親水性部に下記式(1)で表される親水性モノマー、下記式(2)で表される親水性モノマー、エーテル含有モノマー、水酸基含有モノマー、イオン性モノマーからなる群から選択される1種の親水性モノマーを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリマー複合体。

    (上記式(1)中、R は水素原子またはメチル基である。
    およびR は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10アルキルチオ基、炭素数2〜10アルキルカルボニル基、炭素数2〜10アルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20アリール基、炭素数6〜20アリールオキシ基、炭素数6〜20アリールチオ基、炭素数7〜20アリールカルボニル基、−A−N(R )2、または−A−O−R である。
    Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。また、R は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10アルキル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10アルキルカルボニル基、または炭素数1〜10アルキルチオ基である。)

    (上記式(2)中、R は水素原子またはメチル基である。Aは炭素数2〜3のアルキレン基である。nは2〜50の整数である。)
  5. 前記非架橋性疎水性ポリマーは、スルホン系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、セルロース系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ケトン系ポリマー、ビニリデン系ポリマー、液晶ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー複合体。
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