JP2013086042A - 高分子水処理膜 - Google Patents

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咲 谷村
Toshihiro Tamai
俊洋 玉井
Yu Fukui
佑 福井
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Abstract

【課題】十分な濾過能力と透水量との双方を実現しながら、より高い強度を有する高分子水処理膜を提供することを目的とする。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とを含んでなることを特徴とする高分子水処理膜。
【選択図】なし

Description

本発明は高分子水処理膜に関し、より詳細には、水処理装置に好適に使用される高分子水処理膜に関する。
水処理装置に使用する分離膜は、水の精製(例えば、河川水、地下水等の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理)を目的とする高分子水処理膜である。高分子水処理膜を構成する高分子には様々な種類がある。例えば、ポリスルホン(PS)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)系、酢酸セルロース(CA)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系等の種々の高分子材料が、分離膜として高分子水処理膜に使用されている。
一方、水処理装置に使用する分離膜の形態として、中空糸状の多孔質膜が利用されている。
高分子水処理膜に要求される性能としては、目的とする分離特性に加え、優れた透水性を有すること、物理的強度に優れていること等が挙げられる。
例えば、汎用性の高い水処理方法を実現することができる分離膜として、塩化ビニル系樹脂を用いた中空糸膜(例えば、特許文献1及び2)が提案されている。
しかし、通常、高分子水処理膜は、より小さな異物を濾別除去する能力、すなわち濾過能力を高めていわゆる限外濾過膜レベルになると、純水透過量が低下し、逆に純水透過量を増加させると濾過能力が限外濾過膜に比べて相対的に低下した精密濾過膜レベルになることがある。このように、濾過能力と純水透過量との間にはトレードオフの関係があり、高度な濾過能力と、十分な透水量との双方を確保するのは困難である。
そのために、高負荷がかからないシステムを設計することなどが熱望されている。
特表2007−500591号公報 国際公開公報2011/004786号
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、十分な濾過能力と透水量との双方を実現しながら、より高い強度を有する高分子水処理膜を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とを含んでなることを特徴とする高分子水処理膜。
(2)アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、高分子水処理膜を構成する全樹脂成分に対して0.1〜40重量%含まれる(1)に記載の高分子水処理膜。
(3)塩化ビニル系樹脂は、塩素含有率が58〜73.2%の塩素化塩化ビニル系樹脂である(1)又は(2)に記載の高分子水処理膜。
(4)アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート、共重合性モノマー及び3官能性以上のアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上に由来する構成単位を含む樹脂である(1)〜(3)のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
(5)アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、
単独重合体の二次転移点が−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート80〜100重量%と
二次転移点が−20℃より高い共重合性モノマー20〜0重量%との混合物100重量部及び
トリメチロールプロパン系又はペンタエリスリトール系の多官能性モノマー0.1〜0.4重量部からなり、
架橋率30〜95重量%のアクリル系共重合体1〜30重量%に対し、塩化ビニル系樹脂が99〜70重量%の割合でグラフト共重合されている樹脂である(4)に記載の高分子水処理膜。
(6)多孔質膜である(1)〜(5)のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
(7)中空糸である(1)〜(6)のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
(8)単層構造の膜からなる(1)〜(7)のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
本発明によれば、十分な濾過能力と透水量との双方を実現することができるとともに、非常に高い強度を有した高分子水処理膜を提供することができる。
本発明の高分子水処理膜は、主に、塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とを含む。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと、塩化ビニルモノマーとの共重合体(好ましくは、塩化ビニルモノマー由来の単位を50重量%以上含む)、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられる。ただし、後述するアクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とは異なる樹脂である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法を利用することができる。例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。この場合、塩化ビニル系モノマーを塩素化したものからなるポリマーであってもよいし、塩化ビニル系モノマーをポリマー化した後に塩素化したものであってもよい。
塩素化塩化ビニル系樹脂における塩素含有率は、58〜73.2%であるものが適しており、60〜73.2%であるものが好ましく、67〜71%であるものがより好ましい。塩素含有率が小さすぎると十分な耐熱性、耐久性を得ることができず、大きすぎると成形加工が困難となる傾向があるのみならず、塩素同士の立体反発のため樹脂の製造が困難となる。従って、このように塩素含有率を高めることによって、樹脂の極性を高くして、製膜溶液の溶媒である極性溶媒に対する溶解度を高めることができる一方、凝固水槽での溶媒交換を促すことができる。その結果、瞬間型相分離が起こり、スポンジ状の緻密層が形成されやすくなることにより膜の強度を高くすることが可能となる。
塩素化の方法としては、特に限定されるものではなく、当該分野で公知の方法、例えば、特開平9−278826号公報、特開2006−328165号公報、国際公開WO/2008/62526号等に記載の方法を使用することができる。
具体的には、熱により塩化ビニル系樹脂の結合及び塩素を励起させて塩素化を促進する方法(以下、熱塩素化という)、光を照射して光反応的に塩素化を促進する方法(以下、光塩素化という)、加熱しながら光照射する方法等が挙げられる。
熱塩素化による塩素化が、より均一に塩素化でき、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂の熱安定性が向上するという観点から好ましい。また、熱塩素化による塩素化を利用することによって、塩化ビニル系樹脂に含有されている低ガラス転移点の成分を低減させることができる。これによって、得られた高分子水処理膜を高温で使用した際の細孔閉塞を最小限に止めることができる。
特に、熱塩素化法として、水懸濁熱塩素化法が挙げられる。
例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応器に、純水及び塩化ビニル系モノマー又は塩化ビニル系樹脂を投入し、その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、撹拌条件下で反応器内をジャケットにより加熱する。所定の温度になった後、塩素を反応器内に導入することにより、塩化ビニル系樹脂の塩素化を行うことができる。
水懸濁熱塩素化法の反応器の材質は特に制限されないが、塩素及び塩化水素による腐食を抑制するため、ガラスライニング等の腐食対策がされた装置が好ましい。
水懸濁熱塩素化法の反応温度としては、70〜130℃が好ましい。低温すぎると、塩素化反応が著しく遅くなる傾向がある。高温すぎると、樹脂が熱劣化で変色しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは、90〜120℃である。また、反応の進行状況によって、反応温度を反応途中で変更するなど、多段階で温度制御を行ってもよい。
水懸濁熱塩素化法の反応圧力は、特に限定されないが、反応系中の塩素濃度を高くするほど、塩素化反応が進みやすくなるので、反応器の耐圧設計が許す範囲内で高い方が好ましい。
また、光反応により塩素化を促進する方法としては、例えば、懸濁状態等で塩化ビニル系モノマー又は塩化ビニル系樹脂に塩素を接触させる際に、紫外線;水銀灯、アーク灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク灯等の可視光線を照射する方法が挙げられる。
塩素含有率の調整は、上述した反応条件等を適宜調節することにより行うことができる。
塩化ビニル系樹脂としては、なかでも、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)又は塩素化塩化ビニル単独重合体が好ましい。
本発明の高分子水処理膜に使用する塩化ビニル系樹脂は、例えば、重合度が250〜3000程度であることが適しており、好ましくは500〜1500である。重合度が低すぎると、紡糸する際の溶液粘度が低下し、製膜作業が困難となる傾向がある。一方、重合度が高すぎると、粘度が高くなりすぎることに起因して、製膜された水処理膜に気泡の残留をもたらす傾向がある。ここでの重合度はJIS K 6720−2に準拠して測定した値を意味する。
重合度を上記の範囲に調整するためには、反応時間、反応温度等の当該分野において公知の条件を適宜調節することが好ましい。
アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂としては、上述した塩化ビニル系樹脂にアクリル系(コ)ポリマーがグラフト重合したものである。
このようなアクリルグラフト塩化ビニル系樹脂としては、公知のものを利用することができる。例えば、特開平07−330839号公報に記載されている樹脂を利用することができる。
アクリル系(コ)ポリマーとしては、具体的には、アルキル(メタ)アクリレート、共重合性モノマー及び3官能性以上のアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上に由来する構成単位を含む(コ)ポリマーが挙げられる。特に、アルキル(メタ)アクリレートと共重合性モノマーとの混合物ならびに3官能性以上のアクリル(メタ)アクリレートを構成成分とするものが好ましく、単独重合体の二次転移点が−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートと、二次転移点が−20℃より高い共重合性モノマーとの混合物及びトリメチロールプロパン系又はペンタエリスリトール系の多官能性モノマーからなるものがより好ましい。
単独重合体の二次転移点が−20℃以下のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
共重合性モノマーとしては、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと同様のものが挙げられるが、特に、二次転移点が−20℃よりも高い共重合性モノマー、例えば、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類などであってもよい。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパン系又はペンタエリスリトール系の3官能性以上のアクリル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。上記トリメチロールプロパン系のアクリル(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ペンタエリスリトール系のアクリル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合性モノマーとの混合物において、共重合性モノマー量は、0〜20重量%が好ましい。
アクリル系共重合体中、多官能性モノマー量は、アルキル(メタ)アクリレートと共重合性モノマーとの混合物100重量部に対して、0.1〜0.4重量部が好ましい。
アクリル系共重合の架橋率は、30〜95%が好ましく、40〜70%がより好ましい。
さらに、架橋率30〜95重量%のアクリル系共重合体1〜30重量%に対し、塩化ビニル系樹脂が99〜70重量%の割合でグラフト共重合されている樹脂がさらに好ましい。
アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、高分子水処理膜を構成する全樹脂成分に対して0.1〜40重量%程度で含まれることが好ましく、1〜20重量%程度で含まれることがより好ましい。
また、別の観点から、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、高分子水処理膜を成膜する際の全成分に対して、溶液対比0.1〜30重量%程度で含まれることが好ましく、0.5〜20重量%程度がより好ましく、1〜10重量%程度がさらに好ましい。つまり、通常、中空糸膜を成膜する際、樹脂等の原料を溶液の形態として成膜するため、その原料溶液において、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂を、この範囲とすることが好ましい。原料溶液には、例えば、塩化ビニル系樹脂、製孔剤(ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリビニルピロリドンなど)、良溶媒(テトラヒドロフラン、プロピルアルコール、NMP、N’N-ジメチルアセトアミドなど)が含まれる。
このような範囲でアクリルグラフト塩化ビニル系樹脂が含有されることにより、成膜を操作性よく行うことができるとともに、塩化ビニル系樹脂単独による高分子水処理膜において、より高い機械的強度を発揮させることができる。
本発明の高分子水処理膜においては、他の樹脂成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
他の樹脂成分としては、具体的には、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の高分子水処理膜には、製膜時における成形性、熱安定性等の諸物性を向上させる目的で、滑剤、熱安定剤、製膜助剤等をブレンドしてもよい。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、パラフィンワックス等が挙げられる。
熱安定剤としては、一般に、塩化ビニル系樹脂の成形に用いられる錫系、鉛系、Ca/Zn系の各安定剤等、具体的には、有機錫メルカプチド、金属石鹸等が挙げられる。
製膜助剤としては、各種重合度のポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン等の親水性高分子等もしくは、無機塩類などが挙げられる。
本発明の高分子水処理膜は、当該分野で公知の方法によって製造することができる。例えば、熱誘起相分離法、非溶媒相分離法、延伸法、これらを組み合わせた方法等が例示される。なかでも、高い透水性能と分画性能とを両立させる観点から、非溶媒相分離法によって製造されるものが好ましい。特に、非溶媒相分離法によって形成する膜は、十分小さな細孔構造を有する緻密層を形成することができる。
熱誘起相分離法、非溶媒相分離法等の湿式法(乾湿式法)で製造する際に用いる溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジオキサン、クロロホルム及びテトラクロロエタン等が挙げられる。
また、非溶媒相分離法で用いられる非溶媒としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、トリエチルホスフェート、フォルムアミド、酢酸、プロピオン酸、2−メトキシエタノール、t-アミルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルエーテル、エチルアセテート、アミルアセテート、ジエチレングリコール、ジ(エチレングリコール)ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジブチルエーテル及び水等が挙げられる。
これらの溶媒及び/又は非溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非溶媒相分離法での製造手順としては、例えば、塩化ビニル系樹脂を重量比10〜30%、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂1〜30%、任意に製膜助剤を重量比5〜30%となるように溶媒に混和し、塩化ビニル系樹脂が熱分解しない、180℃までの温度条件下で攪拌により溶解させる。得られた溶液を二重管構造の外側の管状ノズルからギアポンプなどによって押し出し、内側のノズルからは非溶媒を流出させることで中空糸状に成形することができる。また、三重管構造にして、最外側の管状ノズルからも非溶媒を流出させることで中空糸状に成形してもよい。
さらに、押し出された溶液と非溶媒を非溶媒槽(凝固槽)に通すことで溶媒と非溶媒の交換が進み、樹脂成分が相分離により完全に析出し、中空糸膜が得られる。このようにして得られた中空糸膜は、溶媒残渣を洗浄するために、水洗などを行うことが好ましい。
本発明の高分子水処理膜は、多孔質膜又は中空糸の形態であることが適している。また、その分画分子量が300000以下が適しており、好ましくは150000以下のいわゆる限外濾過膜に分類される水処理膜である。
さらに、本発明の高分子水処理膜は、その純水透過量が200L/m2・hr・atm以上であることが好ましい。
また、その耐圧強度(破壊強度)は0.5MPa以上であることが適しており、好ましくは0.8MPa、さらに好ましくは1.0MPa以上である。
高分子水処理膜の膜構造及び分画分子量は、用いる塩化ビニル系樹脂及びアクリルグラフト塩化ビニル系樹脂の含有率、それらの組成、製造方法、製造条件等を適宜選択することにより、調整することができる。
なお、本発明の高分子水処理膜は、その断面中に、不織布、紙、繊維等の強度を向上させる構造支持体を含まず、主に塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とから構造が成立していることが適している。つまり、上述した構造支持体を含まずに、それ自体が単層構造の膜からなることが好ましい。ここで単層構造の膜とは、単一の素材から形成されていることを意味する。よって、上述した多孔質膜及び中空糸膜の形態であっても、その断面においては、上述した構造支持体を含まずに構造が成立している。
通常、強度が弱い素材は、より強度の強い素材(セラミック、不織布等)から形成される構造支持体との複合材料にして、所望の形状、例えば、円筒形状、チューブ形状等を維持している。従って、従来の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン等で作製された高分子水処理膜は、膜を形成する素材以外に、水処理膜としての使用時に、所望の形状がつぶれないよう、膜を支持する構造支持体として、セラミック又は不織布等を伴っていた。
一方、本発明の高分子水処理膜自体は、塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とによる単層構造の膜のみから形成されており、筒状などの所望の形状を変化させないような、塩化ビニル系樹脂以外の素材から形成される構造支持体を伴わないことが好ましい。本発明の高分子水処理膜は、このような単層構造にもかかわらず、水処理膜としての使用時に円筒、チューブ形状等の所望の形状が保持されるほどに十分な強度を有し、すなわち「自立性」を有する。従って、本発明では、塩化ビニル系樹脂以外の他の素材を使用した膜とは異なって、高分子水処理膜自体が十分な強度を確保しており構造支持体なしで、水処理膜を実現することができる。その結果、逆洗時においても、ろ過機能を担当する膜部分が構造支持体から剥離することなく、また、セラミック等の構造支持体を用いたチューブ形状膜等とは異なり、優れた透水性能を確保することができる。
以下に、本発明の高分子水処理膜の実施例を詳細に説明する。
実施例1
塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業株式会社製、HA31K、塩素化度:67%、重合度:800)を23重量%、アクリルグラフト塩化ビニル共重合体(積水化学工業株式会社製、AG64T)を1重量%、ポリエチレングリコール400を26重量%、N'N−ジメチルアセトアミドを40重量%含有する溶液を50℃で調製した。
得られた溶液を、二重管構造の金型へ200g/minで供給し、内部凝固液として純水を200g/minで供給して成膜し、中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.6mm、内径は4.2mmであった。
実施例2
塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業株式会社製、HA31K、塩素化度:67%、重合度:800)を17重量%、アクリルグラフト塩化ビニル共重合体(積水化学工業株式会社製、AG64T)を5重量%、ポリビニルピロリドンを15重量%、N’N−ジメチルアセトアミドを63重量%含有する溶液を40℃で調製した。
得られた溶液を、二重管構造の金型へ20g/minで供給し、内部凝固液として純水を20g/minで供給して成膜し、中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.7mm、内径は4.3mmであった。
比較例1
塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業株式会社製、HA31K、塩素化度:67%、重合度:800)を24重量%、ポリエチレングリコール400を26重量%、N’N−ジメチルアセトアミドを40重量%含有する溶液を50℃で調製した。
得られた溶液を、二重管構造の金型へ200g/minで供給し、内部凝固液として純水を200g/minで供給して成膜し、中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.6mm、内径は4.2mmであった。
評価
実施例及び比較例で得られた中空糸膜について、25℃、膜間差圧50kPaの条件で、内圧式試験により高分子水処理膜の純水の透水量(透水量の単位:L/m2・hr・atm)を測定した。
また、SS50程度の工場排水を用いて、上述した純水の透水量と同様の測定を行った。なお、膜表面に汚れがつき、透水性能が低下することから、その汚れ(ファウリング)を逆洗、つまり外圧式で水を透過させることによって洗浄した。
さらに、耐圧性能を、純水を使用した外圧洗浄を0.2MPaで行い、内面についた工場排水の汚れを落とす工程を行ったときの透水性として評価した。
これらの結果を表1に示す。
また、各高分子水処理膜について、γグロブリンを用いてろ過試験を行ったところ、実施例及び比較例の分画分子量が約150000程度であることを確認した。
上記結果から、本発明による高分子水処理膜は、十分な透水量と濾過能力を有するとともに、非常に高い強度を有した高分子水処理膜を得ることができることがわかった。
本発明は、水処理装置の態様等にかかわらず、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製等のために使用される水処理膜、精密濾過膜等として、広範に利用することができる。

Claims (8)

  1. 塩化ビニル系樹脂と、アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂とを含んでなることを特徴とする高分子水処理膜。
  2. アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、高分子水処理膜を構成する全樹脂成分に対して0.1〜40重量%含まれる請求項1に記載の高分子水処理膜。
  3. 塩化ビニル系樹脂は、塩素含有率が58〜73.2%の塩素化塩化ビニル系樹脂である請求項1又は2に記載の高分子水処理膜。
  4. アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート、共重合性モノマー及び3官能性以上のアクリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上に由来する構成単位を含む樹脂である請求項1〜3のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
  5. アクリルグラフト塩化ビニル系樹脂は、
    単独重合体の二次転移点が−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート80〜100重量%と
    二次転移点が−20℃より高い共重合性モノマー20〜0重量%との混合物100重量部及び
    トリメチロールプロパン系又はペンタエリスリトール系の多官能性モノマー0.1〜0.4重量部からなり、
    架橋率30〜95重量%のアクリル系共重合体1〜30重量%に対し、塩化ビニル系樹脂が99〜70重量%の割合でグラフト共重合されている樹脂である請求項4に記載の高分子水処理膜。
  6. 多孔質膜である請求項1〜5のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
  7. 中空糸である請求項1〜6のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
  8. 単層構造の膜からなる請求項1〜7のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
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