JP2013150961A - 高分子水処理膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】均質で、機械的強度及び透水性等に優れた高分子水処理膜を、簡便かつ容易な方法によって製造することができる高分子水処理膜の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリ塩化ビニル系の略単一素材の樹脂溶液を調製し、前記樹脂溶液を、吐出口から非溶媒中に吐出して凝固させることを含む高分子水処理膜の製造方法であって、前記樹脂溶液を、前記非溶媒と空気との界面から深さ100cmの範囲内で吐出させ、かつ、前記樹脂溶液の吐出方向を、地面に対して水平−30°〜+90°の範囲内とすることを特徴とする高分子水処理膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子水処理膜の製造方法に関する。
従来から、例えば、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製のために、高分子水処理膜が利用されている。
このような高分子水処理膜は、通常、水処理装置において分離膜として利用されており、例えば、ポリスルホン(PS)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)系、酢酸セルロース(CA)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリイミド(PI)系等の種々の高分子材料によって形成された、中空糸状の多孔質膜が利用されている。
このような種々の材料からなる中空糸状の多孔質膜を製造するために、二重管状の金型を利用して、中空部となる内側に非溶媒による凝固水を送り、かつ、外側に樹脂と溶媒とからなる樹脂溶液を送り、これら凝固水及び樹脂溶液とを凝固槽に浸漬させて相分離を行なう非溶媒誘起相分離法(NIPS法)が利用されている(例えば、特許文献1等)。
この方法では、樹脂溶液を空気中に吐出して、一旦空気に接触させ、樹脂溶液中の溶媒を蒸発させることによってスキン層を形成し、その後、重力により鉛直方向に落下させて凝固槽へ浸漬させ、樹脂成分を凝固させて成膜している。そして、得られた膜を、ローラーなどのガイドに沿わせることにより、異なる引き取り方向に移送し、最終的に引き取り方向を水平にし、切断している。
しかし、中空糸状の多孔質膜の口径が大きくなるにつれて、上記製膜方法における屈曲等によって、折れ、うねり、そり、偏肉等が発生する。また、巻き取りが困難となり、膜形状が扁平化するなど、均質な中空糸膜を製造することが極めて困難であり、その結果、上述した特性を十分に満足させる高分子水処理膜が得られないという課題もある。
また、例えば、ポリフッ化ビニリデンを湿式紡糸するために、水平型の凝固槽を用い、樹脂溶液を横方向に吐出させる方法なども提案されている(特許文献2)。
多孔質膜は緻密層を有するため分離特性は高いが、その純水透水性能を高くするためには、相分離を早める必要がある。そして、相分離を早めるためには、成膜原液の樹脂濃度を低くする必要がある。
一方、多孔質膜の成膜時の樹脂濃度が低くなると、得られる多孔質膜に十分な強度が得られないというトレードオフの関係がある。
特開2010−82509号公報 特開平4−343707号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、均質で、機械的強度及び透水性等に優れた高分子水処理膜を、簡便かつ容易な方法によって製造することができる高分子水処理膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明を以下に示す。
[1]ポリ塩化ビニル系の略単一素材の樹脂溶液を調製し、
前記樹脂溶液を、吐出口から非溶媒中に吐出して凝固させることを含む高分子水処理膜の製造方法であって、
前記樹脂溶液を、前記非溶媒と空気との界面から深さ10cm〜150cmの範囲内の前記非溶媒中で吐出させ、かつ、前記樹脂溶液の吐出方向を、地面に対して水平−30°〜水平+90°の範囲内とし、
外径が3.6〜10mm、SDRが5.8〜34の自立構造膜を形成することを特徴とする高分子水処理膜の製造方法。
[2]前記吐出口を備える紡糸金型を用い、該吐出口が非溶媒を含む凝固槽中に浸漬した状態で樹脂溶液を吐出する[1]に記載の高分子水処理膜の製造方法。
[3]さらに、前記非溶媒を含む凝固槽中で得られた膜の切断を行うか又は
前記凝固槽外であって、前記吐出口よりも高い位置で膜の切断を行うことを含む[1]又は[2]に記載の高分子水処理膜の製造方法。
[4]前記樹脂溶液と非溶媒との比重差が1.0以内である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜の製造方法。
[5]前記樹脂溶液は、15重量%以上の樹脂濃度である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜の製造方法。
[6]前記塩化ビニル系樹脂の重合度が250〜3000である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜の製造方法。
[7]前記塩化ビニル系樹脂が、56.7〜73.2%塩素含有率の塩素化塩化ビニル系樹脂である[1]〜[6]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜の製造方法。
[8]前記塩化ビニル系樹脂における塩化ビニル系モノマー単位の質量比が50〜99質量%である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜の製造方法。
本発明の高分子水処理膜の製造方法によれば、均質で、機械的強度及び透水性等に優れた高分子水処理膜を、簡便かつ容易な方法によって製造することが可能となる。
本発明の高分子水処理膜の製造方法における樹脂溶液の吐出から膜の切断までの工程を説明するための凝固槽付近の概略断面図である。 本発明の高分子水処理膜の製造方法における樹脂溶液の吐出角度を説明するための凝固槽の概略断面図である。
本発明の高分子水処理膜の製造方法は、相分離法、特に非溶媒誘起相分離法を利用する方法である。
本発明における高分子水処理膜の製造方法は、(a)樹脂溶液を調製し、(b)樹脂溶液を非溶媒中に吐出して凝固させる工程を含む。
(a)樹脂溶液の調製
本発明で使用される樹脂溶液は、略単一素材の樹脂を含むものであればどのような材料を用いてもよい。
ここで、略単一とは、実質的に単一、つまり、主要構成素材が1種であることを意味する。例えば、高分子水処理膜を形成する樹脂として、1種の樹脂が50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上)を占めていることを意味し、その1種の樹脂の性質が構成素材の性質を支配していることをも意味する。具体的には、1種の樹脂が50〜99質量%を有する素材を意味する。
なお、単一の素材及び単一の主要構成素材には、樹脂の製造の際又は後述する中空糸膜の製造の際に通常用いられる添加剤は含まれないことを意図している。
略単一素材としては、当該分野において一般的に使用される材料/素材を用いることができるが、なかでも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体、これらの塩化ビニルモノマー単位が塩素化されたものからなる(共)重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、耐汚染性を向上するために、親水性モノマーが共重合されていることが適している。
塩化ビニルモノマー単位の塩素化は、重合前に行われていてもよいし、重合した後に行われていてもよい。
また、塩化ビニル(塩素化塩化ビニルを含む)の共重合体とする場合には、塩化ビニルモノマー(塩素化塩化ビニルを含む)単位以外のモノマー単位の含有率は、本来の性能を阻害しない範囲とし、塩化ビニルモノマー由来の単位(塩素化塩化ビニルモノマー由来の単位を含む)を50質量%以上、例えば、50〜99質量%含むことが好ましい(ここでの質量計算では、塩化ビニル系樹脂中には、可塑剤、当該共重合体樹脂にブレンドされるその他の重合体を含まない)。
塩化ビニル系樹脂には、別のモノマー又はポリマーがブレンドされていてもよい。特に、耐汚染性を向上するために、親水性モノマー含有共重合体又は親水化ポリマーをブレンドすることが好ましい。この場合、塩化ビニル系樹脂が、膜を構成する全樹脂に対して50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上)で含有され、ブレンドされるモノマー又はポリマーは、全樹脂の50質量%未満であるが、40質量%未満であるか、30質量%未満であることが好ましく、実質的に含まれないものがより好ましい。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニルビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。例えば、さらなる柔軟性や対汚染性、耐薬品性を付与するため、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、フッ化ビニリデンを共重合又はブレンドすることが適している。
塩化ビニルにグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルにグラフト重合させることができるものであれば特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
さらに、高分子膜を構成するモノマー材料として、架橋性モノマーを用いてもよい。架橋性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;
ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;
ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;
ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、例えば、
(1)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造等のカチオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下、「カチオン性モノマー」と記載することがある)、
(2)水酸基、アミド基、エステル構造、エーテル構造等の親水性の非イオン性基含有ビニルモノマー(以下、「非イオン性モノマー」と記載することがある)、
(3)カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下、「アニオン性モノマー」と記載することがある)
(4)その他のモノマー等が挙げられる。
具体的には、
(1)カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜44のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等の総炭素数2〜44ジアルキルアミノ基を有するスチレン;
2−又は4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;
N−ビニルイミダゾール等のN−ビニル複素環化合物類;
アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニル等のビニルエーテル類;等のアミノ基を有するモノマーの酸中和物又はこれらのモノマーをハロゲン化アルキル(炭素数1〜22)、ハロゲン化ベンジル、アルキル(炭素数1〜18)もしくはアリール(炭素数6〜24)スルホン酸又は硫酸ジアルキル(総炭素数2〜8)等により4級化したもの;
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン構造を有するビニルモノマー等のモノマーが挙げられる。
これらのカチオン性基の中でも、アミノ基及びアンモニウム基含有モノマーが好ましい。
(2)非イオン性モノマーとしては、ビニルアルコール;
N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコールの重合度が1〜30)等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリルアミド;
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のジアルキル(総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド;
ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
N−(メタ)アクロイルモルホリン等の環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミドが例示される。
なかでも、ビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド系モノマー及び上記のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、上記の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(3)アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性の不飽和基を有するカルボン酸モノマー及び/又はその酸無水物(1つのモノマー中に2つ以上のカルボキシル基を有する場合);
スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等の重合性の不飽和基を有するスルホン酸モノマー;
ビニルホスホン酸、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸等の重合性の不飽和基を有するリン酸モノマー等が例示される。
アニオン性基は、塩基性物質により任意の中和度に中和されてもよい。この場合、ポリマー中の全てのアニオン性基又はその一部のアニオン性基は、塩を生成する。ここで、塩における陽イオンとしては、アンモニウムイオン、総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオン(例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン)、炭素数2〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数4〜8のジヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数6〜12のトリヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等が例示される。
中和は、モノマーを中和しても、ポリマーにしてから中和してもよい。
(4)上述したビニルモノマー以外、N−ビニル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等の水素結合可能な活性部位を有するモノマーであってもよい。
上記塩化ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法を利用することができる。例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
塩素化の方法としては、特に限定されるものではなく、当該分野で公知の方法、例えば、特開平9−278826号公報、特開2006−328165号公報、国際公開WO/2008/62526号等に記載の方法を使用することができる。なお、塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は、56.7〜73.2%であることが好ましい。また、塩素化塩化ビニル系樹脂としての塩素含有率は、58〜73.2%であるものが適しており、60〜73.2%であるものが好ましく、67〜71%であるものがより好ましい。
塩化ビニル系樹脂は、重合度が250〜3000程度であることが好ましく、500〜1300であることがより好ましい。重合度が低すぎると、紡糸する際の溶液粘度が低下し、製膜作業が困難となり、また、作成した水処理膜の強度が乏しくなる傾向がある。一方、重合度が高すぎると、粘度が高くなりすぎることに起因して、製膜された水処理膜に気泡の残留をもたらす傾向がある。ここでの重合度はJIS K 6720−2に準拠して測定した値を意味する。
重合度を上記の範囲に調整するためには、反応時間、反応温度等の当該分野において公知の条件を適宜調節することが好ましい。
樹脂溶液は、なかでも、ポリ塩化ビニル(ホモポリマー)、ポリ塩素化塩化ビニル(ホモポリマー)又は塩化ビニルと塩素化塩化ビニルとのコポリマーを単一素材として含有することが好ましい。
ただし、樹脂溶液には、成膜時における成形性、熱安定性等を向上させる目的で、添加剤、例えば、滑剤、熱安定剤、成膜助剤等がブレンドされていてもよい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
滑剤としては、ステアリン酸、パラフィンワックス等が挙げられる。
熱安定剤としては、一般に塩化ビニル系樹脂の成形に用いられる錫系、鉛系、Ca/Zn系の各安定剤が挙げられる。
製膜助剤としては、各種重合度のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子が挙げられる。
樹脂溶液とするために用いられる溶媒は、樹脂に対する良溶媒であれば特に限定されるものではなく、通常、樹脂を合成する際に利用した溶媒をそのまま利用することができる。
樹脂として塩化ビニル系樹脂を用いる場合には、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
樹脂溶液は、例えば、樹脂溶液の全重量に対して20〜40重量%であることが好ましく、20〜30重量%であることがより好ましい。この範囲とすることにより、相分離を適度に早めることができるとともに、得られる高分子水処理膜において十分な強度を確保することができる。また、後述するような比較的大口径の中空糸膜を利用する高分子水処理膜として成膜する場合に、特に短期強度をも確保することができ、疲労強度を著しく向上させることができる。
また、別の観点から、例えば、500〜4000mPa・s程度の粘度とすることが適しており、1000〜3000mPa・s程度が好ましい。これにより、紡糸ライン中で水処理膜の外形の真円度を確保することができ、均一な太さ・膜厚の膜を製造することができる。
粘度は、例えば、樹脂溶液をサンプル管に直接導入し、振動式粘度計(セコニック(株)製、VM-100A-M)を使って測定した値とすることができる。
さらに別の観点から、後述する非溶媒との比重差を1.0以内に調製することが適しており、0.8以内が好ましく、さらに0.2以内がより好ましい。これにより、膜の引き取り中に、凝固槽内で膜自体が浮いたり又は沈んだり、扁平することを有効に防止することができる。
(b)樹脂溶液の凝固
樹脂溶液は、非溶媒中に吐出して凝固させることにより、高分子水処理膜として成形することができる。
樹脂溶液の非溶媒中への吐出は、通常、紡糸金型が利用される。紡糸金型には、吐出口が形成されており、その吐出口から樹脂溶液を吐出する。この紡糸金型は、通常、樹脂溶液を紡糸するために同心円状の2重ノズル形状となった吐出口を備えている。
また、非溶媒は、通常、凝固槽中に充填されており、樹脂溶液を非溶媒が充填された凝固槽中に吐出することにより、樹脂溶液が凝固し、高分子水処理膜を成形することができる。例えば、樹脂溶液を凝固させるために、図1に示すような凝固槽30が用いられる。
凝固槽30には、凝固槽30内に紡糸できるように、凝固槽の内又は外に、あるいは外から内に移動可能に、紡糸金型の吐出口が配置されている。例えば、吐出口(図示せず)を備えた紡糸金型31が、凝固槽30内部に、つまり、非溶媒に浸漬されて配置されているものが挙げられる。この場合、吐出口は槽内における非溶媒中に浸漬した状態で樹脂溶液の吐出が開始される。また、まず空気中に樹脂溶液を吐出し、そのまま樹脂溶液を吐出した状態で、吐出口を槽内における非溶媒中に浸漬してもよい。
このように、凝固槽30内に紡糸金型31が配置されている場合には、樹脂溶液が空気に触れることなく非溶媒中に直接吐出され、速やかに液−液相分離が開始されるため、表面に緻密なスキン層が形成されず、多孔質な表面となる。すなわち、ろ過抵抗が低下することに起因してすぐれた透水量を発現させることができる。
また、後述する水平方向への紡糸においても、凝固槽中に金型を浸漬させる方式によれば、空気中であらかじめ樹脂溶液を吐出した状態から凝固槽中に金型を沈めることにより、常に吐出され続ける樹脂溶液のために、紡糸開始時にノズル先端で生じる吐出抵抗増大に伴う詰まりを回避することができる。
樹脂溶液を吐出口から吐出して成膜する際、吐出口の位置は、槽内の非溶媒と空気の界面から、50〜150cmの範囲内の深さ(図2中、D参照)とすることが好ましく、60〜100cm程度がより好ましい。つまり、口金の位置が槽内において比較的深い位置に配置されることによって、その深さに対応して、吐出時の水圧が高くなり、これによって、相分離が促進され、より透水性の高い膜を成形することが可能となる。また、中空糸膜の形状安定性(真円度)を維持することができるとともに、高い透水性能を確保することが可能となる。
紡糸金型31からの樹脂溶液の吐出方向、つまり、吐出口から排出される樹脂溶液方向は、例えば、凝固槽30の底面30aに対してα(吐出方向32a)とβ(吐出方向32b)との間、言い換えると水平−30°〜水平+90°(つまり、鉛直方向)以内となるように調整されていることが好ましい。さらに言い換えると、地面に対して水平−30°〜水平+90°以内に、樹脂溶液が吐出するように吐出方向が調整されていることが好ましい。さらに好ましくは、水平方向又は±10°程度である。ここでの+方向とは、水平方向から凝固槽の底に向かう方向を、−方向とは、凝固槽の上(開口)に向かう方向を意味する。
凝固槽に充填されている非溶媒としては、上述した樹脂溶液の種類により適宜選択することができるが、例えば、主成分が水であるものが好ましい。
凝固槽中の非溶媒は、樹脂溶液に直接接触するものであることから、吐出口から吐出される樹脂溶液の温度(又は紡糸金型)と、非溶媒の温度との差を、100℃程度以内とすることが好ましい。これにより、樹脂溶液の急激な温度低下およびそれに伴う樹脂溶液の粘度の急上昇による紡糸金型の吐出口近傍での詰まりを防止することができる。また、非溶媒の温度を一定に保つことにより、樹脂溶液の相分離挙動を安定に維持することができ、透水性能・強度などの性能を安定的に発現させることが可能となる。
成膜の際の膜の引き取りは、一般に直線方向に行うことが好ましいが、上述したように、吐出口が凝固槽内において水平+90°程度であれば、樹脂溶液の吐出後に膜の引き取り方向を変化させることが好ましい。この引き取り方向の変化は、緩やかであることが好ましい。これにより、一定の速度及び均一な荷重を維持した引き取りが容易となり、膜構造の変形を最小限に留めることが可能となる。
膜の引き取り後の切断は、凝固槽内で行なっても、槽外で行なってもよい。特に、凝固槽外で膜を切断する場合には、切断は、凝固槽内の紡糸金型の吐出口の位置よりも高い切断位置で行うことが好ましい。これによって、サイフォン効果による吐出された膜の先端からの内部凝固液の流出を防止し、膜内部の内部凝固液の圧力変化を最小限に留めることができる。その結果、膜形状の扁平化、膜形状のバラつきを防止することができ、膜形状のより一層の安定化を発揮させることができる。この観点から、凝固槽内で切断する場合には、その切断する位置は特に限定されない。
本発明の製造方法によって得られる高分子水処理膜は、略単一素材による自立構造を有する中空糸膜からなる膜とすることができる。
ここで単層構造とは、単一の素材から形成されている一層構造であることを意味する。通常、強度が弱い素材は、より強度の強い素材(セラミック、不織布等)から形成される支持体との複合材料にしないと所望の形状、例えば、円筒形状、チューブ形状等を維持することができない。従って、従来の比較的大口径の水処理膜は、膜を形成する素材以外に、水処理膜としての使用時に、所望の形状を保持できるよう、膜を支持する構造体として、筒状のセラミック又は筒状に成形した不織布等を伴っていた。
一方、本発明の製造方法によって得られた高分子水処理膜は、中空糸膜のみから形成されており、筒状などの所望の形状を変化させないような、異なる材料/素材(例えば、不織布、紙、金属、セラミック等)から形成される支持体を伴わない。言い換えると、本発明の高分子水処理膜は、単層構造で形成されており、異なる材料/素材による積層構造を採らない。にもかかわらず、このような構造であっても、水処理膜としての使用時に円筒、チューブ形状等の所望の形状が保持されるほどに十分な強度を有し、すなわち「自立性/構造」を有している。従って、支持体レスで大口径膜を実現することができる。このため、逆洗時においても、ろ過機能を担当する膜部分が支持体から剥離することもなく、また、セラミック等の支持体を用いたチューブ形状膜等とは異なり、優れた透水性能を確保することができる。
本発明の製造方法で得られる高分子水処理膜は、例えば、その外径が3.6〜10mm程度、肉厚が0.15〜2.4mm程度の中空糸状の膜とすることができる。
中空糸膜の強度は、材料、内径、肉厚、真円度、内部構造等の種々の要因によって決定されるが、なかでも、SDR値(外径/肉厚の比)を用いることが有効である。従って、例えば、0.3MPaを実現するためには、SDR34程度以下とするものが好ましい。一方、SDR値を低減させる設計にすることは、水処理モジュールにおける膜ろ過面積の低下につながる。よって、これらのバランスを図る観点から、SDRは3.6程度以上であることが好ましい。
なかでも、4.0程度以上であることが好ましく、20程度以下であることが好ましく、16程度以下、11程度以下であることがより好ましい。特に、外径が5〜7mm程度の場合には、SDR値は4〜16程度とすることが好ましく、6.5〜11程度に設定することがより好ましい。
なお、内径は、その外径及び肉厚によって決定されるが、例えば、1.6〜9.4mm程度が挙げられ、4mm〜8mm程度が適しており、この場合、肉厚0.1mm〜2mm程度が適している。
膜の内外径、肉厚等は、電子顕微鏡写真等を用いた実測などによって測定することができる。
高分子水処理膜は、通常、その表面に多数の微細孔を有する多孔質膜である。その微細孔の平均孔径は、例えば、0.001〜10μm程度、好ましくは0.01〜1μm程度が挙げられる。膜表面の細孔の大きさ及び密度は、上述した内径、肉厚、得ようとする特性等によって適宜調整することができ、例えば、後述する透過水量を実現することができる程度であることが適している。よって、このような微細孔の多孔によって、水処理膜としての機能を果たすとともに、この微細孔の大きさ及び密度等によって、例えば、限外ろ過膜又は精密ろ過膜の分画性を調整することができる。なお、一般に、限外ろ過膜は、孔の大きさが2〜200nm程度の膜、精密ろ過膜は、50nm〜10μm程度の膜であることが知られている。
空孔率は、例えば、10〜90%程度、好ましくは20〜80%程度が挙げられる。ここでの空孔率は、任意の横断面(中空糸膜の径方向の断面、以下同じ)における高分子水処理膜の全面積に対する空孔の全面積の割合を意味し、例えば、膜横断面の顕微鏡写真から各面積を算出して求める方法が挙げられる。
例えば、中空糸膜の径方向の断面において、
前記中空糸膜の断面積に対する空孔率が30〜85%程度であることが好ましく、50〜85%程度、40〜75%程度又は50〜75%程度であることがより好ましい。
また、中心から半径方向にわたって、最内層、内層、外層及び最外層を構成する空孔が層状に分布しているものが好ましい。これにより、透水性能を保ちながら中空糸膜に内圧・外圧を印加した場合の応力集中を分散して膜全体の強度を保つことが可能となる。
本発明の製造方法で得られた高分子水処理膜は、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m2・h)程度以上、200L/(m2・h)程度以上であることが適しており、600L/(m2・h)程度以上、800L/(m2・h)程度以上、あるいは1000L/(m2・h)程度以上を実現することができる。
また、膜の耐内圧強度が0.3MPa程度以上、0.35MPa程度以上又は0.4MPa程度以上を実現することができる。
さらに、膜の耐外圧強度が0.1MPa程度以上、0.15MPa程度以上又は0.2MPa程度以上を実現することができる。
特に、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m2・h)程度以上、膜の耐内圧強度が0.3MPa程度以上かつ耐外圧強度が0.1MPa程度以上を実現することができる。
本発明の製造方法によって得られる高分子水処理膜は、上述した方法を実現することによって、特に、上述したように、透過水量と物理的強度とのバランスに優れている。従って、分離膜として既存の水処理装置に好適に利用することができ、水の精製を目的とする好適な水処理、特に、高濃度排水の水処理が可能となる。このような特性を有する本発明の高分子水処理膜は、限外濾過(UF)膜及び精密濾過(MF)膜として好適に利用することができる。
また、本発明の製造方法によって得られる高分子水処理膜は、十分な強度を保ちながら従来中空糸形状の水処理膜に比べて大きな内径をもつことができるため、生物処理された排水のような、比較的大きなフロックが含まれた排水を内圧ろ過する際にも、膜の端面、すなわち排水が導入される入り口で膜が詰まることがない。
以下、本発明の高分子水処理膜の製造方法を、実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例における配合量は、特に断りのない限り重量基準で示す。
実施例1
塩素化塩化ビニル25%(積水化学工業製 HA05K)、ポリエチレングリコール200 11%、ポリエチレングリコール400 11%、N’N−ジメチルアセトアミド53%の樹脂溶液を調製し、55℃に維持した。
得られた樹脂溶液を、図1に示す装置の二重管構造の金型へ100g/minで供給し、内部凝固液として純水を100g/minで供給した。
この金型は、樹脂溶液を吐出する吐出口を備えており、非溶媒として純水が収容された凝固槽内であって、非溶媒と空気との界面から70cmの深さに、吐出口が配置するように設置した。
金型が凝固槽内の非溶媒中に浸漬した状態で、樹脂溶液の吐出を開始し、多孔質の中空糸形状の高分子水処理膜を成膜した。この際、樹脂溶液の吐出は、連続的にほぼ地面に対して水平方向に行った。また、紡糸金型の吐出口から10m一直線に水平方向に引き取った。その下流1m程度の間で、膜をローラーにより10cm程度持ち上げ、凝固槽外であって、凝固槽内の紡糸金型の吐出口の位置よりも高い切断位置で、切断機によって切断した。
得られた膜の形状は、内径4.5mm、肉厚0.5mmで偏肉のない均一な形状であった。
また、得られた膜について、25℃、膜間差圧0.1MPaの条件で内圧式試験により純水を通し、外側に透過する水の量と、有効膜面積及び膜間差圧から透水性能を計算した。その結果、純水透水性能は、536LMHであった。
また、純水をSS50程度の工場排水に代えて、同様に透水性能を測定したところ、0.2MPaの逆洗工程を含めて400〜450L/hr atmであった。
さらに、得られた膜について、γグロブリンを用いてろ過試験を行ったところ、分画分子量が約150000程度であることを確認した。
また、得られた中空糸膜を水中に浸し、0.1MPa/secで内圧、外圧をそれぞれ徐々に上げて負荷し、破裂したときの瞬間圧力を、耐圧性能として測定したところ、内圧0.8MPa、外圧0.6MPaであった。
比較例1
塩素化塩化ビニル25%(積水化学工業製 HA05K)、ポリエチレングリコール200 11%、ポリエチレングリコール400 11%、N’N−ジメチルアセトアミド53%の樹脂溶液を調製し、55℃に維持した。
得られた樹脂溶液を、図1に示す装置の二重管構造の金型へ100g/minで供給し、内部凝固液として純水を100g/minで供給した。
この金型は、樹脂溶液を吐出する吐出口を備えており、非溶媒として純水が収容された凝固槽内であって、非溶媒と空気との界面から1cmの深さに、吐出口が配置するように設置した。
金型が凝固槽内の非溶媒中に浸漬した状態で、樹脂溶液の吐出を開始し、多孔質の中空糸形状の高分子水処理膜を成膜した。
得られた膜の形状は、内径4.5mm、肉厚0.5mmで偏肉のない均一な形状であった。
得られた膜について、実施例と同様に純水透水性能を測定したところ、370LMHであった。
また、純水をSS50程度の工場排水に代えて、同様に透水性能を測定したところ、0.2MPaの逆洗工程を含めて250〜300L/hr atmであった。
さらに、得られた膜について、γグロブリンを用いてろ過試験を行ったところ、分画分子量が約150000程度であることを確認した。
また、耐圧性能を、上述した方法で測定したところ、内圧0.8MPa、外圧0.6MPaであった。
本発明は、水処理装置の態様等にかかわらず、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製等のために使用される水処理膜、精密濾過膜等として、広範に利用することができ、特に、MBRに有利に使用することができる。
30 凝固槽
30a 底面
31 紡糸金型
32 吐出方向
33 吐出角度
34、40a、40b 膜
35 切断
36 水平方向
37 吐出口の位置
38 切断位置
39 ローラー

Claims (8)

  1. ポリ塩化ビニル系の略単一素材の樹脂溶液を調製し、
    前記樹脂溶液を、吐出口から非溶媒中に吐出して凝固させることを含む高分子水処理膜の製造方法であって、
    前記樹脂溶液を、前記非溶媒と空気との界面から深さ10cm〜150cmの範囲内の前記非溶媒中で吐出させ、かつ、前記樹脂溶液の吐出方向を、地面に対して水平−30°〜水平+90°の範囲内とし、
    外径が3.6〜10mm、SDRが5.8〜34の自立構造膜を形成することを特徴とする高分子水処理膜の製造方法。
  2. 前記吐出口を備える紡糸金型を用い、該吐出口が非溶媒を含む凝固槽中に浸漬した状態で樹脂溶液を吐出する請求項1に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  3. さらに、前記非溶媒を含む凝固槽中で得られた膜の切断を行うか又は
    前記凝固槽外であって、前記吐出口よりも高い位置で膜の切断を行うことを含む請求項1又は2に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  4. 前記樹脂溶液と非溶媒との比重差が1.0以内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  5. 前記樹脂溶液は、15重量%以上の樹脂濃度である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  6. 前記塩化ビニル系樹脂の重合度が250〜3000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  7. 前記塩化ビニル系樹脂が、56.7〜73.2%塩素含有率の塩素化塩化ビニル系樹脂である請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子水処理膜の製造方法。
  8. 前記塩化ビニル系樹脂における塩化ビニル系モノマー単位の質量比が50〜99質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子水処理膜の製造方法。
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