JP2014104445A - 中空糸膜の製造方法 - Google Patents

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咲 谷村
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Abstract

【課題】断面形状が真円に近い中空糸膜を簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の中空糸膜の製造方法は、凝固液を吐出する内管及び樹脂溶液を吐出する外管を有する二重構造の金型と、該金型を上面に取付けた凝固槽とを用いたものであって、前記凝固槽の上面に取付けた前記金型から略鉛直下向きに前記凝固液及び前記樹脂溶液を吐出する工程と、前記樹脂溶液と前記凝固液及び前記凝固槽中の非溶媒とを接触させることにより、前記樹脂溶液を凝固させて中空糸膜を作製する工程と、前記凝固槽の底面にある取出口から前記中空糸膜を取り出す工程と、を含み、前記取出口は、少なくともその内壁面に止水材を備え、前記止水材は、ゲル状物質からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空糸膜の製造方法に関し、より詳細には、鉛直下向きに樹脂溶液を吐出して作製する中空糸膜の製造方法に関する。
従来から、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製において、高分子水処理膜を備えた水処理装置を用いている。この水処理装置に用いる高分子水処理膜は、高分子材料によって形成された中空糸状の多孔質膜(以下「中空糸膜」とも記す)を用いることが多い。なぜなら、中空糸膜は、被処理水に含有される種々の成分を分離する性能が高いからである。
この中空糸膜は、ストロー状の形態をしており、通常、二重金型を用いて作製する。二重金型とは、文字通り、内部が空洞の円筒形の金型を二重に設けたもので、その断面が二重丸の形状である。以下では二重金型の内側の管のことを「内管」といい、当該内管から一定の間隔をおいて外側を取り囲む管を「外管」という。二重金型を用いた中空糸膜の作製は、特許文献1(特開平4−343707号公報)に示されるように、凝固液を溜めた水槽中で、凝固液の水面に対して垂直方向に樹脂溶液及び凝固液を吐出するように二重金型を配置した上で、外管に樹脂溶液を流し、内管に凝固液を流して、外管から吐出した樹脂溶液を凝固させることにより行う。この中空糸膜を凝固槽中のガイドロールで方向を変えて流しながら中空糸膜を巻き取る(例えば特許文献1の図1参照)。
ところで、近年、より効率的かつより経済的に安全な水を供給することが求められている。このニーズに応えるべく、従来よりも口径の大きな中空糸膜が開発されつつある。大口径の中空糸膜は、被処理水に含有される種々の成分を分離する性能が高く、また被処理水の処理速度も速いという利点がある。
特開平4−343707号公報
特許文献1に記載される製造方法では、口径が小さな中空糸膜を作製することはできるが、近年要求される大口径の中空糸膜を作製しようとすると、中空糸膜の巻き取り時に、中空糸膜の孔の断面形状が扁平して楕円形になることが多く、断面形状が真円に近い中空糸膜を安定して作製することができなかった。なお、ここでの断面とは、中空糸膜の長さ方向に垂直な面で切断したときの中空糸膜の切断面を意味する。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、断面形状が真円に近い中空糸膜を簡便に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、中空糸膜の内孔の断面形状が楕円になる原因を追究したところ、中空糸膜を大口径化したが故にその自重が大きくなり、中空糸膜の巻き取り時に、その内孔の形状が扁平することを見出した。かかる課題は、口径が比較的小さな中空糸膜の作製においてはその自重が小さいため問題にならず、大口径の中空糸膜を作製するときのみに生じる特有の課題である。
本発明者らは、当該課題を解決するために、中空糸膜の自重による変形を最小限にすべく、製造工程中で中空糸膜を横向きにせず、つまり、樹脂溶液の段階から中空糸膜の巻き取りに至るまでガイドロールを使用せず、鉛直下向きで中空糸膜を作製したが、単に鉛直下向きにしただけでは、中空糸膜の取出口近傍で凝固液の液漏れが起きやすかった。このような液漏れの問題を解決するために中空糸膜の取出口の構造について鋭意検討することにより、以下に示す本発明を完成した。
[1]本発明の中空糸膜の製造方法は、凝固液を吐出する内管及び樹脂溶液を吐出する外管を有する二重構造の金型と、該金型を上面に取付けた凝固槽とを用いたものであって、前記凝固槽の上面に取付けた前記金型から略鉛直下向きに前記凝固液及び前記樹脂溶液を吐出する工程と、前記樹脂溶液と前記凝固液及び前記凝固槽中の非溶媒とを接触させることにより、前記樹脂溶液を凝固させて中空糸膜を作製する工程と、前記凝固槽の底面にある取出口から前記中空糸膜を取り出す工程と、を含み、前記取出口は、少なくともその内壁面に止水材を備え、前記止水材は、ゲル状物質からなることを特徴とする。
[2]止水材は、前記凝固槽の底面に接し、取出口に相当する位置に貫通孔を有することが好ましい。
[3]ゲル状物質は、ポリエチレングリコール、寒天、及びカラギーナンからなる群より選択される1以上の材料からなることが好ましい。
[4]凝固槽の上面から前記凝固槽の底面までの長さは、10cm以上20m以下であることが好ましい。
本発明によれば、内孔の断面形状が真円に近い中空糸膜を簡便に製造することができる。
本発明の中空糸膜の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
本発明は、図1に示すように、凝固液14を吐出する内管12及び樹脂溶液15を吐出する外管11を有する二重構造の金型17と、該金型17を上面に取付けた凝固槽10とを用いて中空糸膜を作製する。本発明の中空糸膜の製造方法は、凝固槽10の上面に取付けた金型17から略鉛直下向きに樹脂溶液15及び凝固液14を吐出する工程と、樹脂溶液15と凝固液14及び凝固槽10中の非溶媒16とを接触させることにより、樹脂溶液15を凝固させて中空糸膜を作製する工程と、凝固槽10の底面にある取出口から中空糸膜を取り出す工程と、を含み、取出口は、少なくともその内壁面に止水材13を備え、止水材13は、ゲル状物質からなることを特徴とする。なお、図1においては、凝固槽10の底面に層状に止水材13を設けた場合を示しているが、本発明では、取出口の内壁面に止水材13が設けられていればよい。以下に、本発明を構成する各工程を説明する。
(1)凝固液及び樹脂溶液を吐出する工程
まず、金型17の内管12から略鉛直下向きに凝固液14を吐出し、外管11から略鉛直下向きに樹脂溶液15を吐出する。ここで、「略鉛直下向き」とは、樹脂溶液及び凝固液にかかる重力方向のみに限られず、重力方向とのなす角度が10°以下で傾いていてもよいことを意味する。このような方向で樹脂溶液及び凝固液を吐出することにより、中空糸膜を水平方向に巻き取るときに、中空糸膜の自重に起因して生じる扁平を抑止することができ、以って断面が真円に近い形状の中空糸膜を得ることができる。なお、凝固液14及び樹脂溶液15の吐出は、同時に開始してもよいし、いずれか一方を先に吐出させてから、もう一方を吐出させてもよい。
(金型)
本実施形態において、金型17は、凝固液14を吐出する内管12と、樹脂溶液15を吐出する外管11とを有する二重構造である。当該金型は、凝固槽の上面に取り付けられており、凝固液14及び樹脂溶液15を略鉛直下向きに吐出するように設置される。略鉛直下向きとは、上述の通り、重力方向のみに限定されず、重力方向とのなす角度が10°以下であれば傾いていてもよいことを意味する。
(凝固槽)
凝固槽10は、非溶媒16を保持し得るものであれば、その材質は限定されることなく、いかなるものを用いることができる。凝固槽10の形状は、特に限定されず、円柱形状、楕円形状、四角柱形状、錐台形状等のあらゆる形状を用いることができる。凝固槽10の長さ、つまり、凝固槽10の上面から凝固槽10の底面までの長さは、製造設備の都合を考慮すると、過剰に長くしないことが好ましく、10cm以上20m以下であることが好ましく、より好ましくは、10cm以上10m以下である。このような範囲であれば、樹脂溶液を凝固させて中空糸膜が形成されるまでの時間を確保しやすくなる。
(2)中空糸膜を作製する工程
樹脂溶液と凝固液及び凝固槽中の非溶媒とを接触させることにより、樹脂溶液を凝固させて中空糸膜を作製する。本工程で用いる樹脂溶液、凝固液、及び非溶媒を以下に説明する。
(非溶媒)
凝固槽10内の非溶媒16は、樹脂溶液15に直接接触するものであることから、樹脂溶液15に相溶しにくい溶媒であることが好ましく、より好ましくは、水又は水を主体とする溶媒である。非溶媒の温度は一定に保つことが好ましい。これにより樹脂溶液の相分離挙動を安定に維持することができ、透水性能・強度などの性能を安定させやすい。
(凝固液)
内管12から吐出される凝固液14は、樹脂溶液15に含まれる樹脂の組成によって好適な材料が異なるが、水又は水を主体とした溶媒であることが好ましい。また、凝固液14は、凝固槽10内に充填される非溶媒16と同様のものを用いてもよい。
(樹脂溶液)
中空糸膜を構成する樹脂溶液は、略単一素材の樹脂を含むものであればどのような材料を用いてもよい。「略単一」とは、実質的に単一、つまり、主要構成素材が1種であることを意味し、具体的には1種の樹脂が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上を占めることを意味する。なお、単一の素材及び単一の主要構成素材には、樹脂の製造の際又は中空糸膜の製造の際に通常用いられる添加剤は含まないことを意図している。
略単一素材としては、当該分野において一般的に使用される材料を用いることができ、例えば、ポリスルホン(PS)系、ポリエーテルサルホン(PES)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)系、酢酸セルロース(CA)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリイミド(PI)系、ポリ塩化ビニル系、セルロース系(セルロースアセテート)、セルロースアセテートプチレート等)等の種々の高分子材料が挙げられる。なかでも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体、これらの塩化ビニルモノマー単位が塩素化されたものからなる(共)重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、耐汚染性を向上するために、親水性モノマーが共重合されていることが好ましい。
樹脂溶液は、成形性、熱安定性等を向上させるために、滑剤、熱安定剤、成膜助剤等を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。滑剤としては、ステアリン酸、パラフィンワックス等が挙げられる。熱安定剤としては、一般に塩化ビニル系樹脂の成形に用いられる錫系、鉛系、Ca/Zn系の各安定剤が挙げられる。製膜助剤としては、各種重合度のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子が挙げられる。
樹脂溶液に用いる溶媒は、樹脂に対して溶解性を示すものであれば特に限定されず、通常、樹脂を合成する際に利用した溶媒を利用することができる。樹脂として塩化ビニル系樹脂を用いる場合には、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して使用することができる。
樹脂溶液は、樹脂溶液の全重量に対する樹脂成分の割合が15重量%以上であることが好ましく、20〜40重量%がより好ましく、さらに好ましくは20〜30重量%である。この範囲とすることにより、相分離を適度に早めるとともに、中空糸膜の強度を十分に確保し得るし、大口径の中空糸膜を成膜する場合に、短期強度及び疲労強度を著しく向上させることができる。
樹脂溶液の粘度は、例えば、500〜4000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000〜3000mPa・sである。このような粘度であることにより、中空糸膜の外形の真円度を確保し、以って均一な太さ・膜厚の膜を製造しやすくなる。粘度は、樹脂溶液をサンプル管に直接導入し、振動式粘度計(セコニック(株)製、VM-100A-M)を用いて測定した値を採用するものとする。
(3)中空糸膜を取り出す工程
本工程は、上記工程で作製した中空糸膜を凝固槽10の底面にある取出口から取り出す。このように凝固槽10の底面から中空糸膜を巻き取ることにより、従来のように横向きに中空糸膜を巻き取るときに必要となるガイドロールが不要となるため、製造装置が簡便になる。しかも、中空糸膜の内径の扁平は、ガイドロールによって中空糸膜の巻き取り方向を変えるときに生じやすいと考えているが、ガイドロールがなければ中空糸膜の内径の扁平を生じにくくすることも可能となる。
ここで、上記取出口は、中空糸膜を取り出すことができる形態であればよく、少なくともその内壁面に止水材13を備えていることが好ましい。このように取出口の内壁面に止水材13を設けることにより、凝固槽10中の非溶媒16の液漏れを効果的に防止することができ、以って略鉛直下向きに中空糸膜を作製するときに、中空糸膜を引き取りやすくなる。かかる止水材13を設けていないと、凝固槽10の底面から非溶媒16が液漏れしやすくなる。
(止水材)
上記の止水材13は、凝固槽の底面からの非溶媒の漏洩を防止し、かつ中空糸膜を引き出せるように配置されている限り、いかなる形態であってもよい。つまり、中空糸膜を引き出すための貫通孔を有する限り、取出口を栓状に閉塞する形態であってもよいし、凝固槽10の底面に接するように層状に設ける形態であってもよい。
止水材13は、ゲル状物質からなることがより好ましい。ここで、「ゲル状物質」とは、分散媒に溶解せず、分散したときに高い粘性を持ち流動性を失い、系全体として固体状になったものを意味する。ゲル状物質は、非溶媒16に対して溶解性を示さない材料であれば特に限定されないが、好適な粘度を維持し、かつ非溶媒16の液漏れを効果的に防止し得るという観点から、ポリエチレングリコール、寒天、及びカラギーナンからなる群より選択される1以上の材料からなることが好ましい。なお、ポリエチレングリコールを用いる場合は、その分子量が200以上1000以下のものを用いることが好ましい。
止水材の肉厚は、凝固槽の大きさ、中空糸膜の外径、非溶媒の種類、止水材の材料によって好ましい範囲は異なり、例えば止水材として寒天を用いる場合は、凝固槽の底面の取出口に相当する位置に貫通孔を有し、10mm以上200mm以下の肉厚で層状に止水材を設けることが好ましく、より好ましくは10mm以上30mm以下の肉厚で層状に止水材を設ける。また、止水材としてカラギーナンを用いる場合は、凝固槽の底面の取出口に相当する部分に貫通孔を有し、10mm以上200mm以下の肉厚で層状に止水材を設けることが好ましく、より好ましくは10mm以上30mm以下の肉厚で層状に止水材を設ける。
(中空糸膜)
本発明により作製される中空糸膜は、従来の中空糸膜とは異なり、大口径の中空糸膜である。ここで、大口径とは、例えば、その外径が3.6mm以上10mm以下のものが挙げられる。また、中空糸膜の肉厚は0.15〜2.4mmとすることができる。中空糸膜の外径及び肉厚は、電子顕微鏡写真を用いた実測値を採用するものとする。
中空糸膜の強度は、通常、材料、内径、肉厚、真円度、内部構造等の種々の要因によって決定されるが、なかでも、SDR値(外径/肉厚の比)を用いることが好ましく、中空糸膜のSDR値が3.6〜34が好ましい。SDR値が34以下であることにより、中空糸膜の耐圧性が0.3MPa以上となり、SDR値が3.6以上であることにより、水処理モジュールにおける膜ろ過面積を確保しやすくなる。SDR値は、4.0以上20以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5.0以上16以下である。特に、外径が5〜7mm程度の場合には、SDR値は4〜16とすることが好ましく、より好ましくは6.5〜11である。
本発明により作製される中空糸膜は、通常、その表面に多数の微細孔を有する多孔質膜とすることができる。その微細孔の平均孔径は、例えば、0.001〜10μm程度、好ましくは0.01〜1μm程度が挙げられる。膜表面の細孔の大きさ及び密度は、上述した内径、肉厚、得ようとする特性等によって適宜調整することができるが、後述する透過水量を実現し得る程度が好適である。
中空糸膜の空孔率は、例えば、10〜90%程度、好ましくは20〜80%程度が挙げられる。ここでの空孔率は、任意の横断面(中空糸膜の径方向の断面、以下同じ)における中空糸膜の全面積に対する空孔の全面積の割合を意味し、膜横断面の顕微鏡写真による各面積の値から算出することができる。
中空糸膜の径方向の断面において、中空糸膜の断面積に対する空孔率が30〜85%程度であることが好ましく、50〜85%、40〜75%又は50〜75%であることがより好ましい。また、中心から半径方向にわたって、最内層、内層、外層及び最外層を構成する空孔が層状に分布しているものが好ましい。これにより、透水性能を保ちながら中空糸膜に内圧・外圧を印加した場合の応力集中を分散して膜全体の強度を保つことが可能となる。
本発明の製造方法で得られた中空糸膜は、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m2・h)程度以上、200L/(m2・h)程度以上であることが適しており、600L/(m2・h)程度以上、800L/(m2・h)程度以上、あるいは1000L/(m2・h)程度以上を実現することができる。また、膜の耐内圧強度が0.3MPa程度以上、0.5MPa程度以上、さらに1.0MPa程度以上を実現することができる。
さらに、膜の耐外圧強度が0.1MPa程度以上、0.3MPa程度以上、さらに、0.7MPa程度以上を実現することができる。特に、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m2・h)程度以上、膜の耐内圧強度が0.3MPa程度以上かつ耐外圧強度が0.1MPa程度以上を実現することができる。
(中空糸膜の用途)
本発明で作製された中空糸膜は、肉厚が均一に安定しているため、透過水量と物理的強度とのバランスに優れる。このため、既存の水処理装置の分離膜、限外濾過(UF)膜及び精密濾過(MF)膜に好適であり、水の精製を目的とする水処理、特に、高濃度排水の水処理が可能となる。
以下、本発明の中空糸膜の製造方法を、実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例における配合量は、特に断りのない限り重量基準で示す。
(実施例1)
以下の各成分を以下の配合量で配合することにより樹脂溶液を準備した。
塩素化塩化ビニル樹脂(製品名:HA58K(積水化学工業株式会社製)) 20%
ポリエチレングリコール1000 11%
ポリエチレングリコール200 11%
N’N−ジメチルアセトアミド 58%
次に、内径200mmで高さが1000mmの円柱形状の凝固槽10を準備し、この凝固槽10の底面及び当該底面にある取出口の内壁面に、底面から20mmの厚みの層状の止水材13を形成した。この止水材13は、寒天からなるものであった。そして、この凝固槽10の上面に、鉛直下向きに樹脂溶液及び凝固液が吐出されるように二重構造の金型を取り付けた。また凝固槽10の底面の取出口の内径は、6.5mmであった。次いで、凝固槽10の内部に非溶媒16として純水を充填した。
その後、60℃に調整した樹脂溶液を二重構造の外管に200g/minで供給し、同時に二重構造の内管に凝固液として純水を200g/minで供給した。そして、外管及び内管から鉛直下向きに樹脂溶液及び凝固液を吐出し、樹脂溶液を凝固液及び非溶媒に接触させることにより、凝固槽内で中空糸膜を作製した。この中空糸膜を凝固槽の底面に設けられた取出口から取り出して、凝固槽の下部に設置した引取機(図示せず)で連続的に引き取った。
得られた中空糸膜の外径は6.4mmであり、内径は5.2mmであり、肉厚は0.5mmであった。SRDは9.1であり、中空糸膜の内径の断面形状はほぼ真円であった。耐圧性能は、内圧が0.8MPaであり、外圧が0.6MPaであり、異なる5箇所で測定したが、全て同一の耐圧性能の値を示していた。この中空糸膜の純水の透水性能は、300L/(m2・h)であった。
(比較例1)
実施例1で用いた樹脂溶液及び凝固槽10を準備した。そして、実施例1と同様の方法により、凝固槽1の底面及び当該底面にある取出口の内壁面に、実施例1と同様の止水材13を形成した。そして、この凝固槽10の上面に、鉛直下向きに樹脂溶液及び凝固液が吐出されるように二重構造の金型を取り付けた。また凝固槽10の底面の取出口の内径は、6.5mmであった。次いで、凝固槽10の内部に非溶媒16として純水を充填した。
その後、60℃に調整した樹脂溶液を二重構造の外管に200g/minで供給し、同時に二重構造の内管に凝固液として純水を200g/minで供給した。
この中空糸膜を非溶媒の液面から1mの深さの地点でガイドロールによって300°巻き取り方向を転換し、1m進んだ地点で、ガイドロールによって30°巻き取り方向を転換することにより、非溶媒の液面に平行になるようにし、そのまま5m中空糸膜を流した後に中空糸膜を引き取った。
得られた中空糸膜の外径は、6.8mmであり、内径は5.3mmであり、肉厚は0.75mmであった。SRDは9.1であり、中空糸膜の内径の断面形状は楕円形に扁平している部分があった。中空糸膜の異なる5箇所で耐圧性能を測定したが、内圧が0.3〜0.6MPaでバラついており、外圧が0.1〜0.3MPaでバラついていた。この中空糸膜の純水の透水性能は、200〜250L/(m2・h)でバラついていた。
本発明は、水処理装置の態様等にかかわらず、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製等のために使用される水処理膜、精密濾過膜等のように広範に利用することができ、特に、MBRに有利に使用することができる。
10 凝固槽
11 外管
12 内管
13 止水材
14 凝固液
15 樹脂溶液
16 非溶媒
17 金型

Claims (4)

  1. 凝固液を吐出する内管及び樹脂溶液を吐出する外管を有する二重構造の金型と、該金型を上面に取付けた凝固槽とを用いた中空糸膜の製造方法であって、
    前記凝固槽の上面に取付けた前記金型から略鉛直下向きに前記凝固液及び前記樹脂溶液を吐出する工程と、
    前記樹脂溶液と前記凝固液及び前記凝固槽中の非溶媒とを接触させることにより、前記樹脂溶液を凝固させて中空糸膜を作製する工程と、
    前記凝固槽の底面にある取出口から前記中空糸膜を取り出す工程と、を含み、
    前記取出口は、少なくともその内壁面に止水材を備え、
    前記止水材は、ゲル状物質からなることを特徴とする中空糸膜の製造方法。
  2. 前記止水材は、前記凝固槽の底面に接し、前記取出口に相当する位置に貫通孔を有する請求項1に記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 前記ゲル状物質は、ポリエチレングリコール、寒天、及びカラギーナンからなる群より選択される1以上の材料からなる請求項1又は2に記載の中空糸膜の製造方法。
  4. 前記凝固槽の上面から前記凝固槽の底面までの長さは、10cm以上20m以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空糸膜の製造方法。
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CN104785128A (zh) * 2015-03-31 2015-07-22 常州回天新材料有限公司 一种pvdf复合中空纤维超过滤膜制备方法

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