JP6855786B2 - 多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
近年、多孔質膜には、高い分画性能や親水性といった膜本来の性能に加え、製造工程の簡略化も求められるようになっている。
例えば、特許文献1には、両親媒性ブロックを有するコポリマーに関し、上記両親媒性ブロックが、n‐ブチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートモノマーから得ることができる少なくとも1つの第1の親水性ブロックと、メチルメタクリレートモノマーから得ることができる第2の疎水性ブロックとを含む多孔質膜が開示されている。
[2] 下記式(1)より算出された親水化度(HP)の値が50〜130である、上記[1]に記載の多孔質膜。
(Wd20/Ww100)×100 ・・・・・(1)
(但し、上記式(1)において、Wd20:多孔質膜が乾燥状態であって、測定圧力20kPaにおけるWF(純水透過流束)、Ww100:多孔質膜が水で湿潤状態であって、測定圧力100kPaにおけるWF(同上)を示す。)
[3] 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである、上記[1]又は[2]に記載の多孔質膜。
[4] 少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含み、前記膜形成ポリマー(A)が、疎水性を有する材料からなるポリマーである製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備える、前記ポリマー(C)に由来する残存ビニルピロリドン量が0.1〜5質量%とされた多孔質膜の製造方法。
[5] さらに、前記凝固工程で得られた多孔質膜前駆体を、次亜塩素酸Na水溶液で処理する洗浄工程を備える、上記[4]に記載の多孔質膜の製造方法。
[6] 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである上記[4]又は[5]に記載の多孔質膜の製造方法。
[7] 前記窒素含有(メタ)アクリレート(b1)が、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、及び、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピルの4級アンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも1種以上である、上記[4]〜[6]の何れかに記載の多孔質膜の製造方法。
[8] 前記ポリマー(B)は、該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する窒素含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜80%である、上記[4]〜[7]の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
[9] 前記製膜原液中に含まれる、前記膜形成ポリマー(A)及び前記ポリマー(B)の合計に対する前記ポリマー(B)の含有量が0.1〜20質量%である、上記[4]〜[8]の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
また、本発明に係る多孔質膜の製造方法によれば、透水性に優れたポリビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を用いることで、親水性のポリマーの添加量を少量にした場合でも高い親水性と透水性を有し、多孔質膜が一度乾燥した場合でも低圧力から通水できる多孔質膜を製造することが可能になる。また、製膜原液にポリマー(C)を添加することのみで、製膜の過程で親水化されるため、溶剤洗浄や架橋処理等の特別な処理を行うことなく親水化が可能となり、製造効率の向上、及び、得られる多孔質膜の特性の向上という両方の効果が得られる。
また、本明細書において説明する「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
以下、本発明に係る多孔質膜について詳述する。
本発明に係る多孔質膜は、詳細を後述する本発明の製造方法によって製造することができるものであり、後述する膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を含有する製膜原液を用いて製膜されたものである。即ち、本発明に係る多孔質膜は、少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含むものである。
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構成成分の一つである。
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構造を維持させるためのものであり、多孔質膜に求められる特性に応じて、膜形成ポリマー(A)の組成を選択することができる。
上記の中でも、膜形成ポリマー(A)としては、多孔質膜に耐薬品性及び耐酸化劣化性を付与できる点から、フッ素含有ポリマーが特に好ましい。
また、膜形成ポリマー(A)としては、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
即ち、上述したポリマーの中でも、溶剤(S)への溶解性、多孔質膜の耐薬品性及び耐熱性が良好となる点から、PVDFが好ましい。
なお、膜形成ポリマー(A)として上記のMwを有するものを使用する場合、異なるMwを有するものを混合して、所定のMwを有する膜形成ポリマー(A)とすることができる。
膜形成ポリマー(A)のMwは、例えば、ポリスチレンを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によって求められる。
ポリマー(B)は、多孔質膜の構成成分の一つである。
ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマーを含有する共重合体である。
ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル単位および窒素含有(メタ)アクリレート(b1)単位以外の単位(その他のモノマー(b2)単位)を含んでもよい。また、ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル単位および窒素含有(メタ)アクリレート(b1)単位を含有する共重合体に加えて、さらに、ポリメタクリル酸メチル及び/又は窒素含有(メタ)アクリレートのホモポリマーを含んでもよい。
メタクリル酸メチルは、ポリマー(B)の構成成分の一つである。ポリマー(B)にメタクリル酸メチル単位を含有させることにより、膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)との相溶性が高まり、膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)を含む多孔質膜を効率的に得ることが可能になる。
窒素含有(メタ)アクリレート(b1)は、ポリマー(B)の構成成分の一つである。ポリマー(B)に窒素含有(メタ)アクリレート(b1)単位を含有させることにより、高い親水性を有する多孔質膜を得ることができ、また、後述のビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を含有する製膜原液へのポリマー(B)の相溶性を高くすることができる。
窒素含有(メタ)アクリレート(b1)は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他のモノマー(b2)は、ポリマー(B)に含有させることができる構成成分の一つである。
その他のモノマー(b2)としては、メタクリル酸メチルおよび窒素含有(メタ)アクリレート(b1)と共重合可能であれば特に制限されないが、ポリマー(B)の溶剤(S)への溶解性の点から、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、プラクセルFM(商品名(登録商標)、株式会社ダイセル製;カプロラクトン付加モノマー)、メタクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマーPME−200(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタクリルアミド)プロピル トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
その他のモノマー(b2)としては、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜5,000,000が好ましい。ポリマー(B)のMnが上記範囲内であれば、ポリマー(B)の熱安定性、及び、得られる多孔質膜の機械強度や外表面の親水性が高まる傾向にある。ポリマー(B)のMnの下限値は2,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。一方、ポリマー(B)のMnの上限値は、300,000以下がより好ましい。
ポリマー(B)の製造方法としては、溶液重合法が挙げられる。
ポリマー(B)を溶液重合法で製造する際に使用される溶剤(S)としては、得られるポリマー(B)が可溶であれば特に制限されないが、重合後の重合液(D)をそのまま製膜原液に用いる場合には、膜形成ポリマー(A)を溶解できるものが好ましい。このような溶剤(S)としては、例えば、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラメチルウレア(TMU)、トリエチルフォスフェート(TEP)、及びリン酸トリメチル(TMP)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いやすく、しかも、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(B)の溶解性に優れる点から、アセトン、DMF、DMAc、DMSO、又はNMPが好ましい。
溶剤(S)は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤はポリマー(B)の分子量を調節するものであり、この連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン、水素、αメチルスチレンダイマー、及びテルペノイド等が挙げられる。
連鎖移動剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物の具体例としては、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、及びジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、入手しやすく、しかも重合条件に好適な半減期温度を有する点から、ベンゾイルパーオキサイド、AIBN、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、又は2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)は、製膜原液の構成成分の一つである。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)は、膜形成ポリマー(A)と溶剤(S)との相分離を制御するための開孔助剤として添加される。本明細書において説明する、ビニルピロリドン単位を含むポリマーとは、その分子内に、ビニルピロリドンのモノマーユニットを有するポリマーのことを指す。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)中における、質量平均分子量が1×106以上の高分子ポリマーの含有量を5質量%以上とすることにより、特に、本発明の多孔質膜を下排水用濾過膜として使用する場合に、濾過特性を良好にすることができる傾向がある。
本発明の多孔質膜は、上述した膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)を含む。本発明の方法で製造される多孔質膜は、上記のポリマー(B)を含むことで、多孔質膜の外表面が親水化されており、乾燥状態と湿潤状態で得られる造水量に大きな差が無いことが特徴である。
(Wd20/Ww100)×100 ・・・・・(1)
但し、上記式(1)において、
Wd20:多孔質膜が乾燥状態であって、測定圧力20kPaにおけるWF(純水透過流束)
Ww100:多孔質膜が水で湿潤状態であって、測定圧力100kPaにおけるWF(同上)
また、本発明の多孔質膜の純水透過流束(WF:Water Flux)は、ビニルピロリドン単位を含むポリマーを用いて製膜することから、10(m3/m2/MPa/h)以上200(m3/m2/MPa/h)未満と高い純水透過流束を有する。純水透過流束が10(m3/m2/MPa/h)以上であれば、一定時間内に多量の水を処理できることから水処理膜用途として好ましく、200(m3/m2/MPa/h)未満とすることで膜内における欠陥を少なくすることができるため、上水や下排水などの幅広い分野で利用できる。
上記観点から、多孔質膜表面における細孔の平均孔径は、500nm以下がより好ましく、400nm以下が更に好ましく、350nm以下が特に好ましい。
本明細書において説明する、多孔質膜の表面における細孔の平均孔径とは、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
多孔質膜が中空糸膜の場合、この中空糸膜の膜厚は5〜100μmが好ましい。中空糸膜の膜厚が5μm以上であれば、製膜時に糸切れが発生しにくい傾向にあり、100μm以下であれば、高い透水性を有する傾向にある。また、中空糸膜の膜厚の下限値は10μm以上が好ましく、15μm以上がさらに好ましい。一方、中空糸膜の膜厚の上限値は95μm以下がより好ましく、90μm以下がさらに好ましい。
以下、本発明に係る多孔質膜の製造方法の一例について詳述する。
本発明に係る多孔質膜の製造方法は、少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含む製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備える方法である。
次いで、調製工程で得られた製膜原液を凝固液に浸漬して凝固させて多孔質膜前駆体を得る(凝固工程)。
次いで、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の一部、又は大部分を洗浄して取り除き(洗浄工程)、洗浄後の多孔質膜前駆体を乾燥して(乾燥工程)、多孔質膜を得る。ここで、得られた多孔質膜中の残存ビニルピロリドン量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。残存ビニルピロリドン量が0.1質量%を下回ることは、工業生産上、困難であるため現実的ではなく、また、5質量%を上回ると、膜同士が接着して欠陥等が出来やすくなることから好ましくない。
上述したように、製膜原液は、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を、溶剤(S)に溶解させることで得られる。また、溶剤(S)を用い、溶液重合法によってポリマー(B)を製造した場合には、重合後の重合液(D)に、直接、膜形成ポリマー(A)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を添加して溶解させてもよい。このとき、さらに溶剤(S)を添加して、重合液(D)を所望の濃度になるように希釈してもよい。
また、製膜原液を調製する際、溶剤(S)の沸点以下であれば、溶剤(S)を加熱しながら、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を溶解させてもよい。この際、さらに、溶剤(S)を必要に応じて冷却してもよい。
多孔質膜前駆体を得る際に使用される凝固液としては、膜の孔径制御の点から、溶剤(S)の0〜50質量%水溶液が好ましい。
凝固液に含まれる溶剤(S)と、製膜原液に含まれる溶剤(S)とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同じ種類であることが好ましい。
凝固工程によって得られた多孔質膜前駆体は、40〜100℃の熱水及び/又は次亜塩素酸Na等の水溶液中に浸漬することにより、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の一部又は全部を洗浄して取り除くことが好ましい。
洗浄工程後の多孔質膜前駆体は、60〜120℃で、1分間〜24時間乾燥させることが好ましい。
乾燥温度が60℃以上であれば、乾燥処理時間を短縮でき、生産コストを抑えることができることから、工業生産上、好ましい。一方、乾燥温度が120℃以下であれば、乾燥工程で多孔質膜前駆体が収縮しすぎるのを抑制でき、多孔質膜の外表面に微小な亀裂等が発生し難くなる傾向にある。
以上説明したように、本発明の多孔質膜によれば、優れた親水性と透水性を有し、多孔質膜が一度乾燥した場合でも低圧力から通水できるので、非常に使い勝手が良いものとなる。
また、本発明に係る多孔質膜の製造方法によれば、透水性に優れたポリビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を用いることで、親水性のポリマーの添加量を少量にした場合でも高い親水性と透水性を有し、多孔質膜が一度乾燥した場合でも低圧力から通水できる多孔質膜を製造することが可能になる。また、製膜原液にポリマー(B)を添加することのみで、製膜の過程で親水化されるため、溶剤洗浄や架橋処理等の特別な処理を行うことなく親水化が可能となり、製造効率の向上、及び、得られる多孔質膜の特性の向上という両方の効果が得られる。
本発明に係る多孔質膜は、例えば、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理分野に用いられる多孔質膜として好適である。
本実施例においては、ポリマーの組成及び構造は、以下に説明する方法によって解析した。また、ポリマーのMw(質量平均分子量)、Mn(数平均分子量)、及びMw/Mnは、以下の方法によって測定した。
(1)ポリマー(B)、ポリマー(B’)の組成及び構造の解析
ポリマー(B)、ポリマー(B’)の組成及び構造を、1H−NMR(日本電子株式会社製、「JNM−EX270」(製品名))を用いて解析した。なお、重水素化溶媒としては、TMS(テトラメチルシラン)が添加されたN,N−ジメチルアセトアミド−d9を用いた。
また、ポリマー(B)、ポリマー(B’)中の、窒素含有(メタ)アクリレート(b1)、及び、その他のモノマー(b2)の組成は、独立行政法人産業技術総合研究所の提供する有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)を参考に算出した。
膜形成ポリマー(A)のMwは、GPC(東ソー株式会社製、「HLC−8020」(製品名))を使用して、以下の条件で求めた。
・カラム:TSK GUARD COLUMN α(7.8mm×40mm:東ソー株式会社製、登録商標)と3本のTSK−GEL α―M(7.8×300mm:東ソー株式会社製、登録商標)とを直列に接続
・溶離液:臭化リチウム(LiBr)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液(LiBrの濃度:20mM)
・測定温度:40℃
・流速:0.1mL/分
なお、膜形成ポリマー(A)のMwは、東ソー株式会社製のポリスチレンスタンダード(Mp(ピークトップ分子量)=76,969,900、2,110,000、1,260,000、775,000、355,000、186,000、19,500、及び1,050の8種類)、及びNSスチレンモノマー株式会社製のスチレンモノマー(M(分子量)=104)を用いて作成した検量線を使用して求めた。
ポリマー(B)、ポリマー(B’)のMn、及びMw/Mnは、GPC(東ソー株式会社製、「HLC−8220」(製品名))を使用して以下の条件で求めた。
・カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER H−L(4.6×35mm:東ソー株式会社製、登録商標)と、2本のTSK−GEL SUPER HZM−H(4.6×150mm:東ソー株式会社製、登録商標)とを直列に接続
・溶離液:塩化リチウム(LiCl)のDMF溶液(LiClの濃度:0.01M)
・測定温度:40℃
・流速:0.6mL/分
なお、ポリマー(B)、ポリマー(B’)のMn及びMw/Mnは、東ソー株式会社製のポリスチレンスタンダード(Mp(ピークトップ分子量)=6,200,000、2,800,000、1,110,000、707,000、354,000、189,000、98,900、37,200、9,830、5,870、870、及び500の12種)を用いて作製した検量線を使用して求めた。
中空状多孔質膜の外径は、以下の方法で測定した。
まず、測定するサンプルを約10cmの長さに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。この際、ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入り込むようにした。そして、ポリウレタン樹脂の硬化後、カミソリ刃を用いて、厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFIE PROJECTOR V−12(登録商標))を用い、対物レンズ100倍にて観察した。そして、観察している中空状多孔質膜断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して、中空状多孔質膜の外径の平均値を求めた。
本実施例における多孔質膜層の膜厚は、支持体の表面から中空状多孔質膜の表面までの厚さであり、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは、上記したような、外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12(登録商標))を用い、対物レンズ100倍にて観察した。そして、観察している中空状多孔質膜断面の3時方向位置の膜厚の外表面と内表面の位置にマーク(ライン)をあわせて膜厚を読み取った。同様に、9時方向、12時方向、6時方向の順で膜厚を読み取った。これを3回測定して、多孔質膜層の膜厚の平均値を求めた。
多孔質膜層の孔径は、以下の方法で測定した。
まず、測定したい断面構造を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率5,000倍で撮影し、その後、得られた写真の画像解析処理により、その構造の平均孔径を求めた。この際、画像解析処理ソフトとしては、Media Cybernetics社のIMAGE−PRO PLUS version5.0を使用した。
まず、測定する中空状多孔質膜のサンプルを長さ4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
次に、上記のサンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に5分以上浸して置換した。そして、容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に100kPaの空気圧を付与して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して、その平均値を求めた。そして、この数値をサンプルの表面積で割り、湿潤状態の透水性能Ww100としとした。
まず、測定する中空状多孔質膜サンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
次に、容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に100kPaの空気圧をかけて1分間保持した。
次に、サンプルを80℃の熱風乾燥器に24時間投入し、サンプルを乾燥させた。そして、容器に純水(25℃)を入れ、即座に、乾燥したサンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に20kPaの空気圧を付与して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。その後、空気圧を100kPaに昇圧して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して、平均値を求めた。そして、この数値をサンプルの表面積で割り、乾燥状態の透水性能Wd20及びWd100とした。
まず、測定する中空状多孔質膜サンプルを4cmに切断し、エタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に5分以上浸して置換した。
次いで、25℃下で、有効塩素濃度10000ppmの次亜塩素酸Na水溶液に24時間浸漬した。その後、浸漬したサンプルを純水中に24時間以上浸漬することで洗浄し、60℃の熱風乾燥機で3時間乾燥させた。そして、乾燥したサンプルを、片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
まず、上記(8)の場合と同様に、次亜塩素酸Na処理したサンプルの片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
次に、容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に100kPaの空気圧をかけて1分間測保持した。
次に、サンプルを80℃の熱風乾燥器に24時間投入し、サンプルを乾燥させた。容器に純水(25℃)を入れ、乾燥したサンプルを即座にサンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に20kPaの空気圧を付与して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。その後、空気圧を100kPaに昇圧して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して、平均値を求めた。そして、この数値をサンプルの表面積で割り、乾燥状態の透水性能Wd20及びWd100とした。
(ポリマー(B−1)の合成)
まず、冷却管付フラスコに、メタクリル酸メチル30部、窒素含有(メタ)アクリレート(b1)としてメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルDM」(商品名:登録商標))40部、その他のモノマー(b2)としてメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルHO」(商品名:登録商標))30部、及び、溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)200部を含有するモノマー組成物を投入し、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。
また、重合液(D−1)からポリマー(B−1)を取り出し、乾燥させた後にポリマー(B−1)の組成及び構造を解析したところ、メタクリル酸メチルの割合が30%であり、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルの割合が40%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの割合が30%であった。即ち、ポリマー(B−1)は、メタクリル酸メチル単位30%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル40%、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル単位30%からなる共重合体であることが確認できた。その結果を下記表1に示す。
モノマー組成物の組成を下記表1に示すように変更した点以外は、上述したポリマー(B−1)と同様の方法でポリマー(B−2)を含有する重合液(D−2)、ポリマー(B−3)含有する重合液(D−3)、及び、ポリマー(B−4)を含有する重合液(D−4)をそれぞれ得た。
そして、ポリマー(B−2)〜(B−4)のMnおよびMw/Mnを測定し、組成及び構造を解析した。その結果を下記表1に示す。
冷却管付フラスコに、メタクリル酸メチル50部、その他のモノマー(b2)としてメタクリル酸2−ヒドロキシエチル50部、及び、溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)200部を含有するモノマー組成物を投入し、窒素バブリングにより内部を窒素置換した。
次いで、モノマー組成物を加温して内温を70℃に保った状態で、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部(和光純薬工業株式会社製、和光特級)を加えた後、4時間保持した。引き続き、モノマー組成物を加温して内温を80℃に昇温させ、先に加えたのと同量(0.2部)の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを追添加した後、60分間保持し重合を完結させた。その後、室温まで冷却し、ポリマー(B’−1)を33%含有する重合液(D−5)を得た。
また、重合液(D−5)からポリマー(B’−1)を取り出し、乾燥させた後にポリマー(B’−1)の組成及び構造を解析したところ、メタクリル酸メチルの割合が50%であり、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの割合が50%であった。即ち、ポリマー(B’−1)は、メタクリル酸メチル単位50%、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル単位50%からなる共重合体であることが確認できた。その結果を下記表1に示す。
・MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルM」(商品名:登録商標))
・HEAM:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルHO」(商品名:登録商標))
・DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルDM」(商品名:登録商標))
・AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製、和光特
級)
・DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)
(製膜原液の調製)
膜形成ポリマー(A)としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kynar761A」(商品名:登録商標)、Mw=550,000)1.2部、ポリマー(B)として上記のポリマー(B−1)を含む重合液(D−1)0.18部、ポリマー(C)としてポリビニルピロリドン樹脂を0.72部、及び、溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、和光特級)4.98部をステンレス容器中に配合し、60℃で5時間攪拌して製膜原液を調製した。そして、得られた製膜原液を、25℃下で一日静置した(調製工程)。
まず、図示略の支持体製造装置を用いて、ポリエステル繊維(PET製、繊度417dtex)のマルチフィラメントを円筒状に丸編みし、210℃にて熱処理を施して中空の支持体を得た。得られた支持体の外径は1.45mmであった。
そして、図1に示すような製造装置1を用いて、中空糸膜形状の多孔質膜を作製した。
まず、製造装置1の原液供給装置2から、上記の手順で調製した製造原液を送液し、塗布部3において支持体4に製膜原液を塗布した。
次いで、製膜原液が塗布された支持体4を、77℃の凝固浴槽5中の凝固液中で浸潤させ、その後、製膜原液が凝固することで、多孔質層を有する中空糸膜前駆体(多孔質膜前駆体)6を得た(凝固工程)。
得られた中空糸膜の膜厚は90μm、外径は1161μm、バブルポイント圧力は177kPa、平均孔径は0.3μm、Wd20は14.7(m3/m2/MPa/h)、Wd100は14.8(m3/m2/MPa/h)、Ww100は15.3(m3/m2/MPa/h)、HPは96.1(%)、次亜塩素酸処理後のWd20は14.7(m3/m2/MPa/h)、次亜塩素酸Na処理後のWd100は16.5(m3/m2/MPa/h)、次亜塩素酸Na処理後のWw100は16.5(m3/m2/MPa/h)、また、HPは89.1(%)、であった。
膜厚を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
重合駅を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
重合液を使用しなかった点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
製膜原液の調製においてビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を使用せず、下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
重合液を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
・Kynar761A:ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kynar761A」(商品名:登録商標)、Mw=550,000)
・K80:ポリビニルピロリドン(日本触媒製、「PVP K80」(商品名)、Mw=900,000)
・DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)
上記の表2に示した結果から明らかなように、各実施例で得られた中空状多孔質膜は、上記式(1)から求められる親水化度(HP)の値が50〜120であり、高い親水性を有していることから、乾燥状態から高い透水性能を示すことが明らかである。また、各実施例で得られた中空状多孔質膜は、バブルポイント圧力が100kPa以上であり、高い阻止性能及び機械物性を有する多孔質膜であることが明らかである。
また、比較例2においては、ポリビニルピロリドン樹脂(C)を使用せずに製膜したため、得られた中空状多孔質膜のWd20は0(m3/m2/MPa/h)、Ww100は0.3(m3/m2/MPa/h)と低く、高い透水性を有することができなかった。
また、比較例3においては、窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含まないモノマー組成物から重合したポリマー(B’−1)を使用して製膜したため、このポリマー(B’−1)の製膜原液中への溶解性が低く、製膜原液が白濁したことから、得られた中空状多孔質膜は十分に親水化されておらず、HPは39.7(%)と低かった。また、比較例3は、白濁した製膜原液から製膜したために、膜内に欠陥が多く、バブルポイント圧力が41(kPa)と低く、水処理膜用途では使用できないものであった。
2…原液供給装置、
3…塗布部、
4…支持体、
5…凝固浴槽、
6…中空糸膜前駆体(多孔質膜前駆体)
Claims (9)
- 少なくとも、
膜形成ポリマー(A)、
メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)、及び、
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、
を含み、
前記膜形成ポリマー(A)は、疎水性を有する材料からなるポリマーであり、
当該多孔質膜中における、前記ポリマー(C)に由来する残存ビニルピロリドン量が0.1〜5質量%である、多孔質膜。 - 下記式(1)より算出された親水化度(HP)の値が50〜130である、請求項1に記載の多孔質膜。
(Wd20/Ww100)×100 ・・・・・(1)
(但し、上記式(1)において、Wd20:多孔質膜が乾燥状態であって、測定圧力20kPaにおけるWF(純水透過流束)、Ww100:多孔質膜が水で湿潤状態であって、測定圧力100kPaにおけるWF(同上)を示す。) - 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである、請求項1又は請求項2に記載の多孔質膜。
- 少なくとも、
膜形成ポリマー(A)、
メタクリル酸メチル及び窒素含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)、及び、
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、
を含み、
前記膜形成ポリマー(A)が、疎水性を有する材料からなるポリマーである製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備える、前記ポリマー(C)に由来する残存ビニルピロリドン量が0.1〜5質量%とされた多孔質膜の製造方法。 - さらに、前記凝固工程で得られた多孔質膜前駆体を、次亜塩素酸Na水溶液で処理する洗浄工程を備える、請求項4に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである、請求項4又は請求項5に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記窒素含有(メタ)アクリレート(b1)が、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチルの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、及び、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピルの4級アンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項4〜請求項6の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記ポリマー(B)は、該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する窒素含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜80%である、請求項4〜請求項7の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記製膜原液中に含まれる、前記膜形成ポリマー(A)及び前記ポリマー(B)の合計に対する前記ポリマー(B)の含有量が0.1〜20質量%である、請求項4〜請求項8の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
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