JP2023080616A - 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents

多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防汚性に優れる多孔質膜を提供する。【解決手段】膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む多孔質膜であって、前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)と前記両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である、多孔質膜。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質膜及び多孔質膜の製造方法に関する。
多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理分野等の様々な分野で利用される。多孔質膜には、防汚性が求められることがある。例えば、処理水を分離膜で分離する汚染水処理技術である膜分離活性汚泥法(MBR法)では、ポリフッ化ビニリデン等の疎水性ポリマーを膜形成材料とする分離膜が汎用されている。しかし、かかる分離膜は、その疎水性の高さから活性汚泥由来の汚れ、例えば活性汚泥の代謝物である糖やたんぱく質が付着しやすく、ファウリングや細孔閉塞による定期的な薬品洗浄や膜の交換が必要であり、防汚性の向上が課題となっている。
多孔質膜に防汚性を付与する方法としては、ホスホリルコリン構造のような双性イオン構造を含むポリマー(双性イオンポリマー)を用い、多孔質膜表面に親水性を付与する方法が知られている。
特許文献1では、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜を、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチルメタクリレートとのランダムコポリマーを溶媒に溶解した溶液に接触させる方法が提案されている。
特開2012-55870号公報
多孔質膜を上記ランダムコポリマーの溶液に接触させると、多孔質膜の表面がランダムコポリマーで被覆され、親水性となる。多孔質膜表面が親水性になると、活性汚泥由来の汚れのような疎水性の汚れが付着しにくくなり、防汚性が向上する。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1の方法では、多孔質膜表面をランダムコポリマーにより薄く被覆しようとすると、被覆されていない部分が生じ、その部分に活性汚泥由来の汚れが付着してしまう。このため充分な防汚性が得られない懸念がある。また、充分な被覆率を得ようとすると、多孔質膜の細孔が閉塞してしまい、透水性が下がる懸念がある。
本発明の目的は、防汚性に優れる多孔質膜及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の態様を有する。
[1]膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む多孔質膜であって、
前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)と前記両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である、多孔質膜。
[2]前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む[1]の多孔質膜。
[3]両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである[1]又は[2]の多孔質膜。
[4]前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである[1]から[3]のいずれかの多孔質膜。
[5]前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と前記両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比が1.0:0.75~1.0:5.0である、[4]の多孔質膜。
[6]膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程を含む、多孔質膜の製造方法。
[7]前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む[6]の多孔質膜の製造方法。
[8]前記両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである[6]又は[7]の多孔質膜の製造方法。
[9]前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである[6]から[8]のいずれかの多孔質膜の製造方法。
本発明によれば、防汚性に優れる多孔質膜が得られる多孔質膜及びその製造方法を提供できる。
PBMA-b-PSBMAのIRスペクトル。 比較例1の多孔質膜(接触工程前のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトル。 PMMA薄膜のXPS C1sスペクトル。 比較例2の多孔質膜(PSBMAをコーティングしたPVDF多孔質膜)のXPS C1sスペクトル。 比較例3の多孔質膜(PSBMAをコーティングしたPVDF多孔質膜)のXPS C1sスペクトル。 実施例1の多孔質膜(第2の多孔質膜1-1)のXPS C1sスペクトル。 実施例2の多孔質膜(第2の多孔質膜1-2)のXPS C1sスペクトル。 実施例3の多孔質膜(第2の多孔質膜2-1)のXPS C1sスペクトル。 実施例5の多孔質膜(第2の多孔質膜3-1)のXPS C1sスペクトル。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
〔多孔質膜〕
本発明の一態様に係る多孔質膜(以下、「本多孔質膜」とも記す。)は、膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む。また、本多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析(以下、「XPS」とも記す。)による膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である。
<膜形成ポリマー(A)>
膜形成ポリマー(A)は、本多孔質膜の構成成分の一つである。膜形成ポリマー(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構造を維持させるためのものである。膜形成ポリマー(A)の組成は、本多孔質膜に求められる特性に応じて選択することができる。
本多孔質膜に耐薬品性、耐酸化劣化性、耐熱性が要求される場合、膜形成ポリマー(A)としては、例えば、フッ素含有ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロースアセテートが挙げられる。
膜形成ポリマー(A)としては、疎水性ポリマーが好ましい。膜形成ポリマー(A)が疎水性ポリマーであれば、多孔質膜が純水に溶解しにくく、多孔質膜の構造維持が容易である。
本発明において疎水性とは、ポリマーのバルクの純水に対する接触角が60°以上であることをいう。バルクの接触角とは、ポリマーを後述する溶剤(S)に溶解し、溶解した溶液を流涎した後に溶剤(S)を蒸発させることで平滑なフィルムを形成し、その表面に水滴を付着させたときの接触角をいう。
疎水性ポリマーとしては、多孔質膜に耐薬品性及び耐酸化劣化性を付与できる点から、フッ素含有ポリマーが特に好ましい。
フッ素含有ポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。フッ素含有ポリマーとしては、多孔質膜に耐酸化劣化性及び機械的耐久性を付与できる点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
膜形成ポリマー(A)としては、後述する溶剤(S)に溶解可能であり、純水に溶解しにくいポリマーが好ましい。膜形成ポリマー(A)としては、溶剤(S)への溶解性、多孔質膜の耐薬品性及び耐熱性が良好となる点で、ポリフッ化ビニリデンが特に好ましい。
膜形成ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、100,000~2,000,000が好ましく、300,000~1,500,000がより好ましい。膜形成ポリマー(A)の重量平均分子量が、前記下限値以上であれば、多孔質膜の機械的強度が良好となる傾向にあり、前記上限値以下であれば、溶剤(S)への溶解性が良好となる傾向にある。
膜形成ポリマー(A)として前記範囲の重量平均分子量を有するものを用いる場合、異なる重量平均分子量を有するものを混合して、所定の重量平均分子量を有する膜形成ポリマー(A)とすることができる。
膜形成ポリマー(A)の重量平均分子量は、ポリスチレン又はポリメタクリル酸メチルを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求められる。
<両親媒性コポリマー(B)>
「両親媒性コポリマー」とは、分子内に親水性部と疎水性部とを含むコポリマーを意味する。「親水性部」は水に溶解しやすい、又は水に膨潤しやすい性質を有する部位(ポリマー鎖)を意味する。「疎水性部」は水に溶解しにくい、又は水に膨潤しにくい性質を有する部位(ポリマー鎖)を意味する。
両親媒性コポリマー(B)は、例えば、1以上の親水性部と1以上の疎水性部とが結合したブロックコポリマー、1以上の親水性部と1以上の疎水性部とが結合したグラフトコポリマー、親水部と疎水部がランダムに結合したランダムコポリマーのいずれであってもよく、それらの混合物であってもよい。多孔質膜表面の親水性を向上させる点では、組成が平均化してしまうランダムコポリマーと比較してブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを使用するほうが、疎水部及び親水部の性能をより高く発揮できるため好ましい。
両親媒性コポリマー(B)は、双性イオン構造を含む構成単位(以下、「単位(b1)」とも記す。)を含むことが好ましい。両親媒性コポリマー(B)が単位(b1)を含むと、本多孔質膜への油脂、タンパク質、微生物等の付着抑制効果に優れる。
双性イオン構造としては、例えば、スルホベタイン構造、カルボキシベタイン構造、ホスホベタイン構造が挙げられる。
親媒性コポリマー(B)が単位(b1)を含む場合、典型的には、両親媒性コポリマー(B)の親水性部に単位(b1)が含まれる。
両親媒性コポリマー(B)製造時の重合反応におけるエステル基の求核アシル置換反応、接触工程でのエステル結合の加水分解を抑制する観点から、単位(b1)はエステル結合を含まないことが好ましい。
単位(b1)としては、例えば、下記式(1-1)で表される単位、下記式(1-2)で表される単位が挙げられる。これらの中でも、エステル結合を含まない点で、式(1-1)で表される単位が好ましい。
Figure 2023080616000001
ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を示す。
及びRにおけるアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基が挙げられる。
、R及びRにおけるアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。
両親媒性コポリマー(B)は、単位(b1)に加えて、双性イオン構造を含まない構成単位(以下、「単位(b2)」とも記す。)を含むことができる。
単位(b2)としては、例えば、以下のモノマーに基づく構成単位が挙げられる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、プラクセルFM(商品名、ダイセル化学(株)製、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン)、ブレンマー(登録商標)PME-100(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-200(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-400(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの))、ブレンマー(登録商標)50POEP-800B(商品名、日油(株)製、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの))、ブレンマー(登録商標)20ANEP-600(商品名、日油(株)製、ノニルフェノキシ(エチレングリコール-ポリプロピレングリコール)モノアクリレート)、ブレンマー(登録商標)AME-100(商品名、日油(株)製)、ブレンマー(登録商標)AME-200(商品名、日油(株)製)、ブレンマー(登録商標)50AOEP-800B(商品名、日油(株)製)等。
両親媒性コポリマー(B)の一例としては、単位(b1)を含む第1のポリマー鎖と、単位(b2)からなる第2のポリマー鎖と、を含むコポリマー(以下、「コポリマー(B1)」とも記す。)が挙げられる。
第1のポリマー鎖は、単位(b2)をさらに含んでいてもよい。
コポリマー(B1)は、ブロックコポリマーであってもよく、グラフトコポリマーであってもよく、ランダムコポリマーであってもよく、それらの混合物であってもよい。
第2のポリマー鎖を構成する単位(b2)の少なくとも一部は、アルキル基、アリール基の疎水基を有する単位であることが好ましい。第2のポリマー鎖を構成する単位(b2)の少なくとも一部が疎水基を有する単位であれば、第2のポリマー鎖と膜形成ポリマー(A)との親和性が良好となる傾向がある。
第2のポリマー鎖中、疎水基を有する単位の含有量は、第2のポリマー鎖を構成する全ての構成単位の合計に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
両親媒性コポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、5,000~10,000が好ましく、10,000~75,000がより好ましく、15,000~50,000がさらに好ましい。両親媒性コポリマー(B)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、多孔質膜表面における両親媒性コポリマー(B)の存在比が向上し、防汚性がより優れる傾向があり、前記上限値以下であれば、両親媒性コポリマー(B)を液状媒体(C)に溶解しやすい傾向がある。
両親媒性コポリマー(B)の分子量分布(Mw/Mn:重量平均分子量/数平均分子量)は、液状組成物へ均一に溶解しやすい点から、1.0~3.0が好ましい。
両親媒性コポリマー(B)として前記範囲の数平均分子量又は分子量分布を有するものを用いる場合、異なる数平均分子量又は分子量分布を有するものを混合して、所定の数平均分子量又は分子量分布を有する両親媒性コポリマー(B)とすることができる。
両親媒性コポリマー(B)の数量平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求められる。
両親媒性コポリマー(B)は、公知の手法により製造できる。例えば両親媒性コポリマー(B)がブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである場合、一般的なブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを製造する手法により製造できる。
両親媒性コポリマー(B)の製造方法としては、分子量や一次構造の制御のしやすさの点から、リビングラジカル重合(制御ラジカル重合と称されることもある。)による方法が好ましい。リビングラジカル重合としては、可逆的付加開裂連鎖移動(以下、「RAFT」という。)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキサイド媒介重合(NMP)等が挙げられる。
以下、コポリマー(B1)として、1つの第1のポリマー鎖と1つの第2のポリマー鎖とが結合したジブロックコポリマーをRAFT重合により製造する場合を例に挙げて、両親媒性コポリマー(B)の製造方法を説明する。ただし、両親媒性コポリマー(B)の製造方法はこの例に限定されるものではない。
この例の製造方法では、まず、RAFT剤及びラジカル重合開始剤の存在下で、第2のポリマー鎖を形成するモノマーを重合する(第1重合工程)。次いで、第1重合工程で得た第2のポリマー鎖及びラジカル重合開始剤の存在下で、第1のポリマー鎖を形成するモノマーを重合する(第2重合工程)。これにより、目的のジブロックコポリマーが得られる。第1重合工程で第1のポリマー鎖を形成するモノマーを重合し、第2重合工程で第2のポリマー鎖を形成するモノマーを重合してもよい。
この例において、第1のポリマー鎖を形成するモノマーは、前記した単位(b1)に対応する(メタ)アクリル酸エステルを含む。単位(b1)に対応する(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記した式(1-1)で表される単位に対応する(メタ)アクリル酸エステル、すなわちCH=C(R)-C(=O)-N(R)-R-N(R)(R)-R-SO で表される化合物が好ましい。
RAFT重合は、通常のラジカル重合にRAFT剤を併用することにより、重合中の連鎖移動を可逆的に進行させることを可能としている。
RAFT剤としては、公知のものを使用できる。RAFT剤の具体例としては、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸(CPADB)等のチオカルボニルチオ化合物が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下でラジカルを発生し得る有機過酸化物及び/又はアゾ化合物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステルが挙げられる。これらの中では、ベンゾイルパーオキシドが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、例えば、RAFT剤1モルに対し、0.1~10モルである。
第1重合工程及び第2重合工程の各工程において、重合は、無溶媒中で(塊状重合)行ってもよく、各種の溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;プロパノール、トリフルオロエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;水溶液を用いることができる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合は、室温~200℃の範囲、好ましくは50~150℃の範囲で行うことができる。
重合後、必要に応じて、精製、乾燥等を行ってもよい。
<ポリマー(D)>
本多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、ビニルピロリドンに基づく単位を有するポリマー(D)をさらに含んでいてもよい。
ポリマー(D)は、多孔質膜の製造に際し、製膜原液の構成成分の一つとすることができる。ポリマー(D)は、膜形成ポリマー(A)と後述する溶剤(S)との相分離を制御するための開孔助剤として添加される。
ポリマー(D)としては、ポリビニルピロリドンの他、ビニルピロリドンに基づく単位とそれ以外の他のモノマーに基づく単位とを有するコポリマーが挙げられる。
他のモノマーとしては、ビニルピロリドと共重合可能であれば特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等の水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、プラクセルFM(商品名、(株)ダイセル製、カプロラクトン付加モノマー)、メタクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、ブレンマー(登録商標)PME-100(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-200(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルスルフェート、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、メタクリル酸ジメチルアミノエチル4級塩が挙げられる。他のモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(D)としては、多孔質膜の物性等の点から、RI検出器を用いたGPC測定で得られたクロマトグラムのピーク面積の総面積値に対する重量平均分子量1×10以上のピーク面積値が10%以下の分子量分布を有するポリマーが好ましい。かかる分子量分布を有するポリマー(D)を用いることによって、相分離制御剤として良好な洗浄性(除去性)を発揮し、多孔質膜の構造中に微細な割れが発生しやすくなるため、多孔質膜のろ過性能を良好とすることができる傾向にある。
ポリマー(D)中の、重量平均分子量が1×10以上である高分子ポリマーの含有量の下限値としては、ポリマー(D)を後述の多孔質膜前駆体中から除去しやすい点、及びポリマー(D)が多孔質膜に残存することで多孔質膜が水で膨潤して孔が閉塞しにくく、多孔質膜が良好な透水性を有する点から、5質量%が好ましく、8質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。重量平均分子量が1×10以上である高分子ポリマーの含有量の上限値としては、25質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。重量平均分子量が1×10以上の高分子ポリマーの含有量を前記下限値%以上とすることによって、特に下排水用ろ過膜として用いる場合にろ過特性を良好にすることができる傾向にある。
<他の成分>
本多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、膜形成ポリマー(A)、両親媒性コポリマー(B)及びポリマー(D)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、セルロースナノファイバー、ガラスファイバー、カーボンファイバー、アクリルファイバーのような繊維状物質;ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、アクリル樹脂のような樹脂粉末:シリカ粒子、酸化チタン粒子、活性炭等の無機粒子;塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム等の無機塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等の界面活性剤等の種々の添加剤が挙げられる。
本多孔質膜において、膜形成ポリマー(A)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、83質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、93質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。膜形成ポリマー(A)の含有量が前記下限値以上であれば、多孔質膜の機械物性がより優れる傾向にある。
また、膜形成ポリマー(A)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。本多孔質膜がポリマー(D)を含む場合には、99.98質量%以下であってもよく、99.8質量%以下であってもよい。膜形成ポリマー(A)の含有量が前記上限値以下であれば、本多孔質膜の防汚性がより優れる。
上記下限値及び上限値は適宜組み合わせることができる。例えば、膜形成ポリマー(A)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、93~99.99質量%であってもよく、95~99.9質量%であってもよく、83~99.98質量%であってもよく、90~99.8質量%であってもよい。
両親媒性コポリマー(B)の含有量は、本多孔質膜の総質量の総質量に対し、0.01~7質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。両親媒性コポリマー(B)の含有量が前記下限値以上であれば、本多孔質膜の防汚性がより優れ、前記上限値以下であれば、多孔質膜の機械物性、透水性等の膜性能がより優れる傾向にある。
両親媒性ポリマー(B)は、典型的には、後述する第1の多孔質膜上に極めて薄膜(例えば5~10nm程度)にコーティングされている。この場合、両親媒性コポリマー(B)は、XPSによる観測が可能であるレベルではあるが、その含有量は実質的に極めて少量である。
本多孔質膜がポリマー(D)を含む場合、ポリマー(D)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.3~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。ポリマー(D)の含有量が前記下限値以上であれば、多孔質膜の耐ファウリング性及び透水性を損なわない傾向にあり、前記上限値以下であれば、ポリマー(D)による孔の閉塞が少なくなる。また、ポリマー(D)は水に溶解するため、ポリマー(D)の含有量を前記上限値以下とすることは、処理水にポリマー(D)が溶け出すことによって水質を損なう恐れを少なくする。
本多孔質膜は、複数の多孔質層を有した多孔質膜であってもよい。
本多孔質膜が複数の多孔質層を有する場合、複数の多孔質層の間に支持体を有していてもよい。支持体を有することによって、複数の多孔質層が支持体によって補強され、破裂圧や引張強度といった物理的特性を向上させることができる。
支持体としては、織布、不織布、組紐、編紐、ネット等が挙げられる。支持体の材料としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。
合成繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステル系繊維;ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニリデン系繊維;ポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン系繊維;フェノール樹脂系繊維;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系繊維;ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維等が挙げられる。
半合成繊維としては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース誘導体系繊維:プロミックスと呼称される蛋白質系繊維等が挙げられる。
再生繊維としては、ビスコース法、銅-アンモニア法、有機溶剤法等により得られるセルロース系再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等。)が挙げられる。
天然繊維としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
本多孔質膜の好ましい一実施形態として、膜形成ポリマー(A)を含む多孔質膜(以下、「第1の多孔質膜」とも記す。)の表面の一部又は全部が、両親媒性コポリマー(B)を含む層(以下、「被覆層」とも記す。)で被覆された多孔質膜(以下、「第2の多孔質膜」とも記す。)が挙げられる。
第1の多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、ビニルピロリドンに基づく単位を有するポリマー(D)をさらに含んでいてもよい。
第1の多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
第1の多孔質膜における他の成分としては、例えば、前記した繊維状物質、樹脂粉末、無機粒子、界面活性剤等の種々の添加剤が挙げられる。
第1の多孔質膜において、膜形成ポリマー(A)の含有量は、第1の多孔質膜の総質量に対し、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。膜形成ポリマー(A)の含有量が前記下限値以上であれば、多孔質膜の機械物性がより優れる傾向にある。
第1の多孔質膜がポリマー(D)を含む場合、ポリマー(D)の含有量は、第1の多孔質膜の総質量に対し、0.01~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.5~15質量%がさらに好ましい。ポリマー(D)の含有量が前記下限値以上であれば、多孔質膜の耐ファウリング性及び透水性を損なわない傾向にあり、前記上限値以下であれば、ポリマー(D)による孔の閉塞が少なくなる。また、ポリマー(D)は水に溶解するため、ポリマー(D)の含有量を前記上限値以下とすることは、処理水にポリマー(D)が溶け出すことによって水質を損なう恐れを少なくする。
なお、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)の合計の含有量は、第1の多孔質膜の総質量に対し、100質量%を超えない。
第1の多孔質膜の平均細孔径は、第2の多孔質膜をバクテリアやウイルスの除去、たんぱく質や酵素の精製、又は上水用途で利用可能な点から、1~1200nmが好ましい。平均細孔径が1nm以上であれば、水を処理する際に高い透水圧力を必要としなくなる傾向にある。平均細孔径が1200nm以下であれば、バクテリアやウイルス、上水中の懸濁物質等を容易に除去できる傾向にある。
第1の多孔質膜の平均細孔径は、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。
平均細孔径は、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の断面を撮影し、画像解析処理によって求めた値である。例えば、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、30個の細孔の最長径を平均して求める。
第1の多孔質膜は、膜形成ポリマー(A)を含む複数の多孔質層を有した多孔質膜であってもよい。複数の多孔質層の少なくとも一部は、ポリマー(D)をさらに含んでいてもよい。複数の多孔質層の少なくとも一部は、他の成分をさらに含んでいてもよい。
複数の多孔質層それぞれにおける膜形成ポリマー(A)の含有量は同一でもよく、異なっていてもよい。
第1の多孔質膜が複数の多孔質層を有する場合、複数の多孔質層の間に支持体を有していてもよい。
被覆層は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、両親媒性コポリマー(B)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
被覆層における他の成分としては、例えば、両親媒性コポリマー(B)以外のポリマー、エチレングリコール、前記した無機塩が挙げられる。
被覆層は、膜形成ポリマー(A)を含まないことが好ましい。
被覆層において、両親媒性コポリマー(B)の含有量は、被覆層の総質量に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。両親媒性コポリマー(B)の含有量が前記下限値以上であれば、第2の多孔質膜の防汚性がより優れる。
本多孔質膜(又は第1の多孔質膜)の形態としては、中空糸膜、平膜等が挙げられ、任意の長さで加工しやすく、膜モジュールに高い充填率で膜を充填可能な点から、中空糸膜が好ましい。第1の多孔質膜は、膜中にマクロボイド又は球晶構造を有してもよい。
本多孔質膜の形態が中空糸膜の場合、中空状の組紐又は編紐をそのまま支持体として用いることができる。紐の内表面又は外表面に多孔質層を設けることによって補強中空糸膜となる。
本多孔質膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の外径は、20~3,000μmが好ましく、30~2,800μmがより好ましく、40~2,700μmがさらに好ましい。中空糸膜の外径が前記下限値以上であれば、製膜時に糸切れが発生しにくい傾向にある。中空糸膜の外径が前記上限値以下であれば、中空形状を保ちやすく、特に外圧がかかっても扁平化しにくい傾向にある。
本多孔質膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の膜厚(但し、支持体を含む場合には支持体を除いた膜厚を意味する。)は、5~250μmが好ましく、30~200μmがより好ましく、50~180μmがさらに好ましい。中空糸膜の膜厚が前記下限値以上であれば、製膜時に糸切れが発生しにくい傾向にある。中空糸膜の膜厚が前記上限値以下であれば、高い透水性を有する傾向にある。
<多孔質膜の特性>
本多孔質膜の表面における、XPSによる膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)との組成比(以下、「(A):(B)」とも記す。)は、100:10~100:50であり、100:12~100:40が好ましく、100:15~100:30がより好ましい。(A):(B)が上記範囲内であれば、多孔質膜表面に膜形成ポリマー(A)が存在しないか存在してもわずかであるため、優れた防汚性が発現する。
(A):(B)の測定に際し、XPSにおけるTake off Angle(取り出し角)は45°とする。XPSの測定条件によって(A):(B)が変化する。これは、Take OFF Angleが異なる場合、検出深さが異なるためである。Take off Angleが45°の場合、凡そ、多孔質膜最表面から10nm程度の情報であると考えられる。XPSの詳しい測定条件は後述する実施例に記載のとおりである。
(A):(B)は、例えば、後述する製造方法において、液状組成物中の両親媒性コポリマー(B)の含有量、接触工程における液状組成物の接触時間によって調節できる。
膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである場合、本多孔質膜の表面は、XPSにおいて、フッ素含有ポリマーのCFに対応するC1sのピークが292eVに観測される。また、両親媒性コポリマー(B)に対応するC1sのピークが287eVに観測される。287eVには、膜形成ポリマー(A)に対応するピークも観測されるため、287eVのピーク面積から、292eVのピークから算出した膜形成ポリマー(A)に対応するピーク面積を差し引くことで、両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積が得られる。膜形成ポリマー(A)が水処理膜、特に排水処理膜の大部分を占めるポリフッ化ビニリデンである場合は、膜形成ポリマー(A)に対応する287eVのピーク面積と292eVのピーク面積は、その化学構造から凡そ1:1で得られる。
多孔質膜の表面において、膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比(以下、「ピーク面積比(A):(B)」とも記す。)は、1.0:0.75~1.0:5.0が好ましい。ピーク面積比(A):(B)が上記範囲内であれば、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下となりやすい。また、多孔質膜の表面に非常に薄く両親媒性コポリマー(B)が存在するため、多孔質膜の孔の閉塞を軽減することが出来る。ピーク面積比(A):(B)は、親水性と透水性を両立する観点から、1.0:1.0~1.0:4.0がより好ましく、1.0:0.75~1.2:3.0がさらに好ましい。
本多孔質膜の表面における水中のヘキサデカンの接触角は、100°以上180°以下であり、110°以上180°以下が好ましく、120°以上180°以下がより好ましい。水中のヘキサデカンの接触角が前記下限値以上であれば、親水性に優れ、優れた防汚性が得られる。なお、水中のヘキサデカンの接触角が180°を超えることは実質考えられない。
水中のヘキサデカンの接触角は、ヘキサデカンの液滴量6.0μL、25℃の条件で測定される。詳しい測定方法は後述する実施例に記載のとおりである。
本多孔質膜の平均細孔径は、本多孔質膜をバクテリアやウイルスの除去、たんぱく質や酵素の精製、又は上水用途で利用可能な点から、1~1200nmが好ましい。平均細孔径が1nm以上であれば、水を処理する際に高い透水圧力を必要としなくなる傾向にあり、細孔の平均孔径が1200nm以下であれば、バクテリアやウイルス、上水中の懸濁物質等を容易に除去できる傾向にある。
本多孔質膜の平均細孔径は、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。
本多孔質膜は、例えば、以下に示す製造方法により製造できる。ただし、本多孔質膜の製造方法はこれに限定されるものではない。
〔多孔質膜の製造方法〕
本発明の一態様に係る多孔質膜の製造方法(以下、「本製造方法」とも記す。)は、膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程(以下、「接触工程」とも記す。)を含む。接触工程により、前記した第2の多孔質膜が得られる。
本製造方法は、必要に応じて、接触工程の前に、第1の多孔質膜を製造する工程をさらに含んでいてもよい。
本製造方法は、必要に応じて、接触工程の前に、液状組成物を調製する工程をさらに含んでいてもよい。
<第1の多孔質膜の製造方法>
第1の多孔質膜は、公知の方法により製造できる。
第1の多孔質膜の製造方法の一例を以下に説明する。
膜形成ポリマー(A)及び必要に応じてポリマー(D)を溶剤(S)と混合して製膜原液(多孔質膜調製用液)を調製する(調製工程)。
得られた製膜原液を凝固液に接触させることで凝固させて多孔質膜前駆体を得る(凝固工程)。
得られた多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やポリマー(D)の一部又は全部を洗浄して取り除く(洗浄工程)。
洗浄した多孔質膜前駆体を乾燥して、多孔質膜を得る(乾燥工程)。
「調製工程」
製膜原液は、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)を溶剤(S)と混合することにより得られる。このとき、必要に応じて、他の成分を混合してもよい。
製膜原液においては、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(D)、及び他の成分が含まれる場合には他の成分の一部又は全部が、溶剤(S)中に溶解していることが好ましいが、均一に分散していれば必ずしも溶解していなくてもよい。
製膜原液に他の成分を加える場合、溶剤(S)に直接投入してもよく、溶剤(S)に溶解させた状態で加えてもよく、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)に予めコンパウンドしていてもよい。
また、製膜原液を調製する際、溶剤(S)の沸点以下であれば、溶剤(S)を加熱しながら膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)を溶解してもよく、溶剤(S)を必要に応じて冷却してもよい。
製膜原液(100質量%)中の膜形成ポリマー(A)の濃度は、10~30質量%が好ましく、12~28質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。膜形成ポリマー(A)の濃度が前記下限値以上であれば、容易に多孔質膜とすることができる傾向にあり、前記上限値以下であれば、溶剤(S)へ容易に溶解することができる傾向にある。
製膜原液(100質量%)中のポリマー(D)の濃度は、0~30質量%が好ましく、5~28質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。ポリマー(D)の濃度が前記下限値以上であれば、容易に多孔質膜とすることができる傾向にあり、前記上限値以下であれば、膜形成ポリマー(A)の溶剤(S)への溶解性が高まる傾向にある。
製膜原液(100質量%)中の溶剤(S)の濃度は、40~90質量%が好ましく、50~85質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。溶剤(S)の濃度が前記下限値以上であれば、高い透過流束を得られる傾向にあり、前記上限値以下であれば、容易に多孔質膜とすることができる。
「凝固工程」
凝固液としては、膜の孔径制御の点から、溶剤(S)を50質量%以下含む水溶液が好ましい。
凝固液に含まれる溶剤(S)と、製膜原液に含まれる溶剤(S)とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同じ種類であることが好ましい。
凝固液の温度は、10~90℃が好ましい。凝固液の温度が前記下限値以上であれば、多孔質膜の透水性能が向上する傾向にあり、前記上限値以下であれば、多孔質膜の機械強度を良好に維持できる傾向にある。
「洗浄工程」
多孔質膜前駆体は、40~100℃の、水及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の水溶液のいずれか一方又は両方に接触させることにより、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やポリマー(D)の一部又は全部を洗浄して除去することが好ましい。
ポリマー(D)を除去するため、水及び/又は次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の水溶液へ接触させる工程は、複数回繰り返すことができる。
「乾燥工程」
洗浄された多孔質膜前駆体の乾燥は、60~120℃で、1分間~24時間にて行われることが好ましい。乾燥温度が前記下限値以上であれば、乾燥処理時間が短縮され、生産コストを抑えることができるため、工業生産上好ましく、前記上限値以下であれば、乾燥工程で多孔質膜前駆体が収縮しすぎることを抑制でき、多孔質膜の外表面に微小な亀裂が発生しにくくなる傾向にある。
第1の多孔質膜が、膜形成ポリマー(A)を含む複数の多孔質層を有する多孔質膜である場合には、例えば、以下の工程を含む方法によって製造することができる。
工程(a):膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)を含む複数の製膜原液を調製する工程。
工程(b):複数の製膜原液を用いて、複数の製膜原液のそれぞれに対応した複数の多孔質前駆体層を有する多孔質膜前駆体を製膜する工程。
工程(c):多孔質膜前駆体からポリマー(D)の一部又は全部を除去して、膜形成ポリマー(A)を含む複数の多孔質層を有する多孔質膜を得る工程。
「工程(a)」
工程(a)においては、例えば、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)、必要に応じて他の成分を溶剤(S)に溶解させて、複数の製膜原液を調製する。
工程(a)は、前述の調製工程に準じて行うことができる。
「工程(b)」
工程(b)においては、例えば、複数の製膜原液を層状に配置した状態で凝固液に接触させ、凝固させて、複数の製膜原液のそれぞれに対応した複数の多孔質前駆体層を有する多孔質膜前駆体を製膜する。
工程(b)は、前述の凝固工程に準じて行うことができる。
「工程(c)」
工程(c)は、前述の洗浄工程及び乾燥工程に準じて行うことができる。
<液状組成物>
液状組成物は、両親媒性コポリマー(B)と液状媒体(C)とを含む。
液状媒体(C)は、典型的には、水を含む。水を含む液状媒体は、水であってもよく、水と水溶性有機溶剤との混合媒体であってもよい。水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性のアミド系、アセトンが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液状媒体(C)としては、コスト及び環境への負荷の点から、水が好ましい。
液状組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
液状組成物における他の成分としては、例えば、両親媒性コポリマー(B)以外のポリマー、エチレングリコール、前記した無機塩が挙げられる。
液状組成物は、膜形成ポリマー(A)を含まないことが好ましい。
液状組成物において、両親媒性コポリマー(B)の含有量は、液状組成物の総質量に対し、0.0001~1.0質量%が好ましく、0.001~0.5質量%がより好ましく、0.01~0.1質量%がさらに好ましい。両親媒性コポリマー(B)の含有量が前記下限値以上であれば、第2の多孔質膜の防汚性がより優れ、前記上限値以下であれば、第2の多孔質膜の細孔を充分に確保でき、透水性等の膜性能がより優れる。
他の成分の含有量は、例えば、液状組成物の総質量に対し、0~10質量%である。
液状組成物は、例えば、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)、必要に応じて他の成分を混合することによって製造できる。
<接触工程>
接触工程では、第1の多孔質膜を液状組成物に接触させる。これにより、第2の多孔質膜が得られる。
接触方法としては、例えば、第1の多孔質膜を液状組成物に浸漬する方法が挙げられる。第1の多孔質膜を液状組成物に接触させる際、液状組成物中の両親媒性コポリマー(B)は、液状媒体(C)に溶解していることが好ましい。
液状組成物と第1の多孔質膜とが接触すると、第1の多孔質膜の表面に満遍なく両親媒性コポリマー(B)が接触するとともに、両親媒性コポリマー(B)の疎水性部が第1の多孔質膜の膜形成ポリマー(A)に吸着及び/又相溶し、固液界面に両親媒性コポリマー(B)が自発的に集積する。これにより、第1の多孔質膜の表面が満遍なく両親媒性コポリマー(B)によって被覆される。また、熱エネルギーによって膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)の分子運動が活性化され、膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)の疎水性部とが相溶することで、両親媒性コポリマー(B)が第1の多孔質膜の表面に固定される可能性が考えられる。両親媒性コポリマー(B)の親水性部は液状媒体(C)側に偏在するため、得られる第2の多孔質膜と液状媒体(C)との界面に両親媒性コポリマー(B)の親水性部が高度に集積することになる。よって、得られる第2の多孔質膜においては、第1の多孔質膜の上に、膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)の疎水部との相溶物の層、両親媒性コポリマー(B)の親水性部の層が順次積層した構造を有する場合があると考えられる。第2の多孔質膜表面に膜形成ポリマー(A)が存在しないか存在してもわずかであるため、優れた防汚性が発現すると考えられる。
接触工程の後、得られた第2の多孔質膜を液状組成物から取り出し、乾燥する。乾燥は風乾、加熱乾燥等の公知の方法により実施できる。乾燥温度は、例えば50~100℃である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」は、特に記載のない場合、「質量部」、「質量%」である。
〔使用材料〕
(1)メタクリル酸メチル(MMA):市販品(富士フイルム和光純薬社製、純度98.0%)を水酸化ナトリウム水溶液で分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。水素化カルシウム存在下で減圧蒸留し、冷蔵庫で保管した。
(2)2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):市販品(富士フイルム和光純薬社製、純度98.0%)をメタノールで再結晶した。析出した結晶を吸引ろ過で濾別し、冷蔵庫で保管した。
(3)N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド:市販品(東京化成工業社製、純度98.0%)を減圧蒸留し、冷蔵庫で保管した。
(4)以下のものは市販品をそのまま使用した。
4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸(CPADB):Aldrich社製。
水酸化ナトリウム:富士フイルム和光純薬社製、純度85.0%。
水素化カルシウム:富士フイルム和光純薬社製。
硫酸マグネシウム:富士フイルム和光純薬社製、純度95.0%。
ジクロロメタン:富士フイルム和光純薬社製。
ヘキサン:富士フイルム和光純薬社製。
1,3-プロパンスルトン:富士フイルム和光純薬社製、純度97.0%。
メタノール:富士フイルム和光純薬社製、純度99.8%。
トルエン:富士フイルム和光純薬社製、純度99.0%。
アセトン:富士フイルム和光純薬社製。
エタノール:富士フイルム和光純薬社製。
N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc):東京化成工業社製、純度99.0%。
2,2,2-トリフルオロエタノール:東京化成工業社製、純度99.0%。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF):アルケマ社製、商品名:カイナー761A、重量平均分子量(Mw)550,000。
〔合成例1.3-(メタクリルアミノ)プロピル-N,N-ジメチル)アンモナトプロパンスルホネート(SBMA)の合成〕
200mLナスフラスコにN-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド3.0mL(17mmol)、アセトン20mLを加えた。アセトン5mLに1,3-プロパンスルトン1.5mL(17mmol)を溶かした溶液を氷冷したフラスコに滴下し、室温で5時間撹拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、少量のメタノールに溶解させ、アセトンに滴下して再沈殿精製した。減圧濾過で粉末を濾別し、減圧乾燥した(収量4.1g、収率81.6%)。得られた乾燥粉末についてH-NMR測定により分子構造を確認した。H-NMRシグナルのケミカルシフト、カップリング状態と積分値からSBMAに帰属されるシグナルが観測できたので、生成物はSBMAであると同定した。また、不純物由来のシグナルは観測されておらず、十分に純度の高いSBMAであると判断した。
H-NMR(0.1M NaCl重水溶液):/ppm 1.8(s,3H,CHCH(CH)CO-),1.9-2.0(m,2H,-CHCHSO),2.0-2.1(m,4H,-CHCHN(CH3)CHCHCH-),2.8-2.9(t,2H,-CHN(CH)2-),3.0(s,6H,-CHN(CH)2-),3.2-3.3(m,2H,-CONHCH-),3.3-3.4(m,2H,-N(CH)2CH2-),5.3-5.4(s,1H,CHC(CHCO-),5.6(s,1H,CHC(CHCO-)
Figure 2023080616000002
〔合成例2.RAFT重合によるPMMAの合成〕
重合管にMMA10.65mL(100mmol)、AIBN65.7mg(0.4mmol)、CPADB558.7mg(2.0mmol)、トルエン5.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、75℃で16時間撹拌した。生成物をジクロロメタンで希釈し、ヘキサンで再沈殿した。減圧濾過で沈殿物を濾別し、減圧乾燥した(収量11.0g、収率73.6%)。得られた乾燥粉末についてH-NMR測定により分子構造を確認した。H-NMRスペクトルより算出したモノマー転化率は97.6%であった。また、GPC測定により求めたMnは5000、Mw/Mnは1.14であった。
Figure 2023080616000003
〔合成例3.RAFT重合によるブロックコポリマー(PMMA-b-PSBMA)の合成〕
重合管に、合成例2で得たPMMA697mg(0.14mmol)、合成例1で得たSBMA3.00g(10mmol)、AIBN16.4mg(0.10mmol)、トリフルオロエタノール10.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、65℃で20時間撹拌した。生成物をメタノールに滴下して再沈殿精製し、減圧濾過で粉末を濾別し、減圧乾燥した(収量2.8818g、収率77.6%)。得られた乾燥粉末についてH-NMR測定とIR測定により分子構造を確認した。なお、H-NMRスペクトルにPSBMA由来のシグナルは観測されたが、PMMA鎖は凝集するためNMRシグナルが観測されなかった。H-NMRスペクトルより算出したモノマー転化率は66.1%であった。PMMAとSBMAのmol比(PMMA/SBMA=1/70)とモノマー転化率より、PMMA-b-PSBMAのPSBMA部分のMnは13500と見積もられた。
Figure 2023080616000004
〔合成例4.RAFT重合によるPSBMAの合成〕
重合管にSBMA200mg(0.6mmol)、開始剤VA-044(2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド)1.3mg(0.004mmol)、CPADB5.6mg(0.02mmol)、メタノール/0.1M NaCl水溶液=3/1(質量比)の混合溶媒4.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、45℃で15時間撹拌した。透析を2日間行い、凍結乾燥により重合物を得た(収量72.5mg、収率36.3%)。得られた重合物について、H-NMR測定とIR測定により分子構造を確認した。また、GPC測定により求めたMnは8700、Mw/Mnは1.06であった。
Figure 2023080616000005
〔合成例5.RAFT重合によるPBMAの合成〕
重合管にn-ブチルメタクリレート(BMA)5.56mL(35.2mmol)、CPADB272.8mg(0.98mmol)、AIBN64.1mg(0.39mmol)、トルエン3.3mLを加えた。Arガスで20分間バブリングし、重合管を密閉して75℃で6時間撹拌し、重合反応を停止させた。メタノール/ヘキサンで再沈殿精製してジクロロメタンに溶解させ、ジクロロメタンを減圧留去して乾燥した重合物(PBMA)を得た。得られた重合物のH-NMR測定を行い、構造確認した(H-NMR 重溶媒:CDCl)。モノマーと連鎖移動剤のモル比(モノマー/CPADB=36/1)とモノマー転化率から計算した分子量は、Mn_NMR=5280g/molであった。
Figure 2023080616000006
〔合成例6.RAFT重合によるブロックコポリマー(PBMA-b-PSBMA)の合成〕
重合管に、合成例5で得たPBMA500mg(0.046mmol)、合成例1で得たSBMA947.6mg(3.24mmol)、AIBN15.2mg(0.09mmol)、トリフルオロエタノール6.5mLを加えた。Arガスで20分間バブリングし、重合管を密閉して65℃で16時間撹拌し、重合反応を停止させた。メタノール:水=1:1の混合溶媒で再沈殿精製して遠心分離した。吸引ろ過して得られた重合物(PBMA-b-PSBMA)のIR測定を行い、構造確認した。図1にPBMA-b-PSBMAのIRスペクトルを示す。PBMA-b-PSBMAのIRスペクトルから1040cm-1にスルホン酸基の対称伸縮振動、1730cm-1にエステル基のカルボニル伸縮振動、1645cm-1にアミド基のカルボニル伸縮振動に帰属されるシグナルが観測された。この結果より、PBMA-CTAを高分子連鎖移動剤とするRAFT重合による鎖延長によりPBMA-b-PSBMAの合成を確認することができた。エステル基のカルボニル伸縮振動とアミド基のカルボニル伸縮振動のIR吸収強度がPBMAとPSBMAの重合度と対応すると仮定し、これらのピークをIgorでピーク分離して積分比を求め、PSBMA鎖の分子量を計算したところ、Mn_PSBMA=18300g/mоlであった。
Figure 2023080616000007
合成例1~6で用いた測定条件を以下に示す。
<核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)測定>
AVANCE III 400 MHz(Bruker製)にて、PMMAは重溶媒にクロロホルム-d1、SBMAとPMMA-b-PSBMAは重溶媒に0.1M NaCl重水溶液を用いた。25℃で測定した。
<ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)>
RID-10A(島津製作所(株)製)RI検出器、LC-20AD(島津製作所(株)製)ポンプ、CTO-10ASVP(島津製作所(株)製)カラムオーブンを備えたGPCシステムにて、TSKgel a-4000(排除限界分子量:1.0×10、東ソー社製)(島津製作所(株)製)分離カラム、TSKguardcolumn PWXLガードカラムを用い、40℃、流速0.8mL/分で測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)はポリスチレン(M=133,000、55,100、19,600、7,210、3,070を標準試料として検量線を作成し算出した。高分子濃度2.0mg/mLのPMMA THF溶液を孔径0.2μm親水化PTFEフィルターADVANTEC,HP020ANでろ過して測定した。
<赤外吸収分光(IR)測定>
IRAffinity-1(島津製作所(株)製)を用いた。検出器はTGS検出器を用いた。
・PSBMA
CaF光学結晶を用いて、薄膜法にて積算回数:64回、分解能:2.0cm-1で測定した。
・PMMA-b-PSBMA、PBMA-b-PSBMA
KBr錠剤を作成し、透過法にて積算回数:64回、分解能:2.0cm-1で測定した。
〔実施例1〕
<液状組成物の調製>
PMMA-b-PSBMAに、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように水を加えて液状組成物を調製した。これらの液状組成物においてPMMA-b-PSBMAは、室温では水に完全に溶解せず、白濁した分散状態を示した。
<PVDF薄膜の作製>
ビーカーにPVDFとDMAcを入れて攪拌し、PVDF濃度が2%のPVDF DMAc溶液を調製した。シリコンウエハ(10mm×20mm×0.5mm厚)をエタノールに接触させ、10分間超音波処理して洗浄した。洗浄したシリコンウエハを、2体積%のシラン化合物(3-Aminopropyl trimethoxysilane)を含む95%エタノール水溶液中に5分間浸漬させた後、過剰量のエタノールで洗浄し、室温で24時間静置することでシランカップリング剤処理を行った。このシランカップリング処理をしたシリコンウエハを、スピンコーター(K-359S1簡易型、株式会社共和理研)のサンプルステージに設置した。そこに、細孔径0.2m再生セルロースフィルター(Sartorius RC 0.20mm)で濾過したPVDF DMAc溶液を滴下し、室温にて3000rpmで30秒間スピンコートしてPVDFの薄膜(第1の多孔質膜)を製膜した。
<接触工程>
製膜した薄膜を減圧乾燥し、調製した液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)に室温下で1時間浸積した。浸漬後、薄膜を液状組成物から取り出し、純水で充分洗浄し、室温下に放置して乾燥させることで第2の多孔質膜1-1を得た。
〔実施例2〕
実施例1の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を80℃に加熱し、そこに薄膜を浸漬した以外は、同じ方法で第2の多孔質膜1-2を得た。
〔実施例3〕
実施例1の液状組成物の調製において、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように、水ではなく0.1MのNaCl水溶液を加えた以外は、同じ方法で第2の多孔質膜2-1を得た。
〔実施例4〕
実施例2の液状組成物の調製において、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように、水ではなく0.1MのNaCl水溶液を加えた以外は、同じ方法で第2の多孔質膜2-2を得た。
〔実施例5〕
実施例1の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜3-1を得た。
〔実施例6〕
実施例2の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜3-2を得た。
〔実施例7〕
実施例3の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜4-1を得た。
〔実施例8〕
実施例4の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜4-2を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、接触工程を行わず、製膜したPVDF薄膜を比較例1の多孔質膜とした。
〔比較例2〕
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、合成例4で得られたPSBMA1.0mgを10mLの水に溶解した水溶液を、細孔径0.2m親水化PTFEフィルター(ADVANTEC,HP020AN)で濾過し、得られた濾液をPVDF薄膜上に滴下し、減圧乾燥させることで、PSBMAをコーティングした比較例2の多孔質膜を得た。
〔比較例3〕
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、合成例4で得られたPSBMA10mgを10mLの水に溶解した水溶液を、細孔径0.2m親水化PTFEフィルター(ADVANTEC,HP020AN)で濾過し、得られた濾液をPVDF薄膜上に滴下し、減圧乾燥させることで、PSBMAをコーティングした比較例3の多孔質膜を得た。
〔評価〕
<薄膜の表面組成(XPS)>
各例の多孔質膜について、以下に示す条件で、XPS C1sスペクトルを測定した。
また、PVDFの代わりに合成例2で得たPMMAを用いた以外は上記と同様にしてスピンコートによりPMMAの薄膜を製膜した。このPMMA薄膜についても同様にXPS C1sスペクトルを測定した。
図2に、比較例1の多孔質膜(接触工程前のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルを示す。図3に、PMMA薄膜のXPS C1sスペクトルを示す。図4~5に、比較例2~3各々の多孔質膜(PSBMAをコーティングしたPVDF多孔質膜)のXPS C1sスペクトルを示す。図6~9に、第2の多孔質膜1-1、1-2、2-1、3-1各々のXPS C1sスペクトルを示す。
「XPS測定条件」
装置:K-Alpha Thermo Fisher Scientific
検出器:180°二重収束半球型アナライザー 128チャネル検出器
Take OFF Angle:45°
X線源:AlK,X線スポットサイズ:400mm
Survey scan:Energy step size:1.00eV,1351 Energy Channels,Pass Energy:200eV,Number of scan:3,Dwell Time:10msec
Narrow scan:Energy step size:0.100eV,191 Energy Channels,Pass Energy:50 eV,Number of scan:10,Dwell Time:50 msec
図2より、比較例1の多孔質膜(接触工程前のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PVDFのCHとCFに起因するシグナルが明確に観測された。
図3より、PMMA薄膜のXPS C1sスペクトルでは、カルボニル炭素のシグナル、主鎖のCHと主鎖に結合したメチル基に起因するシグナル、エステル結合したメチル基に起因するシグナルが観測された。
図4より、比較例2の多孔質膜のXPS C1sスペクトルでは、PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、比較例2の多孔質膜においては非常に薄膜のPSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図5より、比較例3の多孔質膜のXPS C1sスペクトルでは、PSBMAに由来するシグナルが明確に観測され、PVDFのCHとCFに起因するシグナルが観測されなかったことから、比較例3の多孔質膜においては非常に厚いPSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図6より、第2の多孔質膜1-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜1-1には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図7より、第2の多孔質膜1-2(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜1-2には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図8より、第2の多孔質膜2-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜2-1には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図9より、第2の多孔質膜3-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PBMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜3-1には非常に薄膜のPBMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
291eV付近のPVDFのCFに由来するピークの積分値を1とし、286eV付近のPVDFのCHとPMMA-b-PSBMAの炭素の積分値からPVDFのCFに由来するピークの積分値を1差し引き、残りの値をPMMA-b-PSBMAの炭素の総量とした。この総量から、PMMA-b-PSBMAの骨格における数平均分子量と構成するモノマーの分子量からPMMA-b-PSBMAにおけるMMAとPSBMAの組成比を計算した。この組成比をもとに、PMMA-b-PSBMAの炭素の総量からPVDFとPMMA-b-PSBMAの第2の多孔質膜の表面における存在比(理論存在比)を算出した。同様にその他の多孔質膜についても理論存在比を算出した。結果を表1~2に示す。
<水中のヘキサデカンの接触角>
各例の多孔質膜の表面の水中のヘキサデカンの接触角(以下、「水中油滴接触角」とも記す。)を、以下に示す条件で測定した。結果を表3に示す。水中でヘキサデカン油滴が多孔質膜に付着せず、水中油接触角を測定することができなかった場合は、水中油滴接触角を180°とした。水中油滴接触角が大きいほど親水性が高く、防汚性に優れる。
「水中油滴接触角測定条件」
水温:25℃
ヘキサデカン油滴量:6.0μL
油滴:ヘキサデカン表面張力:27.6mN/m(25.0℃)
水とヘキサデカンの界面張力:53.7mN/m(25.0℃)
Figure 2023080616000008
Figure 2023080616000009
Figure 2023080616000010
第2の多孔質膜1-1、1-1、2-1、2-2、3-1、3-2、4-1、4-2は、水中でヘキサデカン油滴が付着しないか、又は水中油滴接触角が110°以上であり、非常に優れた親水性を有していた。
優れた親水性が発現したのは、PVDF膜を、PMMA-b-PSBMAを含む液状組成物に接触させることで、PMMA-b-PSBMAのPMMA鎖がPVDF膜に吸着し、PMMA-b-PSBMAがPVDF膜に固定化されると考えられる。この吸着挙動は自発的かつ均一な表面を形成するため、ヘキサデカン油滴が付着しないほどの親水性が付与できたと考えられる。
PVDF膜を、PBMA-b-PSBMAを含む液状組成物に接触させることで、PMMA-b-PSBMAと同様にPVDF膜を親水化できる。
単純な親水性材料であるPSBMAを分散させた溶液をPVDF膜上にコーティングしてもコーティングした厚みが少ないと親水性が高くならなかった。また、厚くコーティングすれば親水性を付与することはできるが、PSBMAを大量に付着させる必要があり、多孔質膜の孔を閉塞させてしまう懸念がある。
このことから、上記現象は、PMMA-b-PSBMAのようなブロックコポリマーを用いた場合に特異的な現象であると考えられる。また、PMMA-b-PSBMAの液状組成物を、浸漬工程を経ずにコーティングすると、コート液の濃度を高くする必要があり経済的に不利に働く。一方、薄くコートしようとすると不均一化してしまい、親水性が付与しにくいというデメリットがある。
本発明の多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理分野に用いられる多孔質膜として好適である。特に、本発明の多孔質膜を用いた中空状の多孔質膜及び中空糸膜モジュールは、膜分離活性汚泥法(MBR法)の水処理装置用として好適である。

Claims (9)

  1. 膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む多孔質膜であって、
    前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)と前記両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である、多孔質膜。
  2. 前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 前記両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである請求項1又は2に記載の多孔質膜。
  4. 前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
  5. 前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と前記両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比が1.0:0.75~1.0:5.0である、請求項4に記載の多孔質膜。
  6. 膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程を含む多孔質膜の製造方法。
  7. 前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む請求項6に記載の多孔質膜の製造方法。
  8. 前記両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである請求項6又は7に記載の多孔質膜の製造方法。
  9. 前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである請求項6から8のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
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