JP6866635B2 - 多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents

多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法に関する。
多孔質膜は、例えば、飲料水製造、浄水処理、又は排水処理等の水処理分野等、様々な分野で利用されている。
近年、多孔質膜には、高い分画性能や親水性といった膜本来の性能に加え、製造工程の簡略化も求められるようになっている。
多孔質膜としては、一般に、以下のようなものが知られている。
例えば、特許文献1には、三次元網目構造の層と球晶構造の層とを有するフッ素樹脂系高分子組成物からなり、かつ、親水性高分子が、セルロースエステル、脂肪族ビニルエステル、ビニルピロリドン、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくとも1種を重合成分として含む、実質的に水不溶性の親水性高分子である高分子分離膜が開示されている。
また、特許文献2には、両親媒性ブロックを有するコポリマーに関し、上記両親媒性ブロックが、n‐ブチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートモノマーから得ることができる少なくとも1つの第1の親水性ブロックと、メチルメタクリレートモノマーから得ることができる第2の疎水性ブロックとを含む多孔質膜が開示されている。
国際公開第2008/001426号 特表2016−516108号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多孔質膜においては、膜厚が10〜80μmと薄いことから、無機物等を含むような排水で使用した場合の経時的な摩耗により、排水処理に求められる阻止性能を損なうおそれがある。
また、特許文献2に記載の多孔質膜においては、ブロックコポリマーを合成するために実質的に制御下ラジカル重合を用いることから、各ブロックを段階的に合成する必要があり、製造工程が煩雑になる。また、特許文献2では、透水性に優れたポリビニルピロリドンを添加剤として用いることも記載されているが、仮に、ポリビニルピロリドンを用いた場合には、優れた透水性能、具体的には10〜200(m/m/MPs/h)の透水性能を有する膜が得られる。しかしながら、特許文献2では、ブロック共重合体のようにポリマーセグメント中にヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有モノマーの連鎖が長く存在すると、ポリフッ化ビニリデンとポリビニルピロリドンを溶解した製膜原液の安定性が低下することで膜構造が独立気泡化し、膜厚を100μm以上にすると膜の透水性が低下してしまう恐れがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、高い親水性及び透水性の両方を有し、摩耗や外傷等を受けた場合であっても高い阻止性能を維持できる多孔質膜、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含み、膜厚が100μm以上である多孔質膜。
[2] 少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜700,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含む製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備え、膜厚が100μm以上の多孔質膜を製造する、多孔質膜の製造方法。
[3] さらに、前記凝固工程で得られた多孔質膜前駆体を、次亜塩素酸Na水溶液で処理する洗浄工程を備える、上記[2]に記載の多孔質膜の製造方法。
[4] 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである上記[2]又は[3]に記載の多孔質膜の製造方法。
[5] 前記水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)が、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールの群から選ばれる少なくとも1種以上である、上記[2]〜[4]の何れかに記載の多孔質膜の製造方法。
[6] 前記多孔質膜が、中空状の支持体を含む中空状多孔質膜である、上記[2]〜[5]の何れかに記載の多孔質膜の製造方法。
本発明に係る多孔質膜によれば、親水性及び透水性に優れ、膜の透過流束が10以上(m/m/MPs/h)であり、バブルポイント圧力が100(kPa)以上であることから、高い親水性及び透水性の両方を有し、摩耗や外傷等を受けた場合であっても高い阻止性能を維持できる、非常に信頼性の高い多孔質膜が実現できるものである。
また、本発明に係る多孔質膜の製造方法によれば、親水性の高い水酸基含有(メタ)アクリレート共重合体を含むポリマー(B)、及び、透水性に優れたポリビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の両方を含有する製膜原液を凝固させる方法を採用することにより、高い親水性及び透水性の両方を有し、摩耗や外傷等を受けた場合であっても高い阻止性能を維持できる多孔質膜を製造することが可能になる。
本発明に係る多孔質膜の製造方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、多孔質膜製造装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る多孔質膜、及びその製造方法の一実施形態を挙げ、図面を適宜参照しながら詳述する。なお、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、本明細書において説明する「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
<多孔質膜>
以下、本発明に係る多孔質膜について詳述する。
本発明に係る多孔質膜は、詳細を後述する本発明の製造方法によって製造することができるものであり、後述する膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を含有する製膜原液を用いて製膜されたものである。即ち、本発明に係る多孔質膜は、少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含み、膜厚が100μm以上のものである。
[膜形成ポリマー(A)]
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構成成分の一つである。
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構造を維持させるためのものであり、多孔質膜に求められる特性に応じて、膜形成ポリマー(A)の組成を選択することができる。
例えば、多孔質膜に耐薬品性、耐酸化劣化性、及び耐熱性が要求される場合には、膜形成ポリマー(A)として、フッ素含有ポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、又はセルロースアセテート等を用いることが好ましい。これらの中でも、膜が純水に溶解し難く、膜の構造維持が容易である観点から、膜形成ポリマー(A)は疎水性を有する材料からなることがより好ましい。ここで、本明細書において説明する疎水性とは、膜形成ポリマー(A)のバルクの純水に対する接触角が60°以上であることをいう。また、バルクの接触角とは、膜形成ポリマー(A)を後述する溶剤(S)に溶解し、溶解した溶液を流涎した後に溶媒(S)を蒸発させることで平滑なフィルムを形成した後、その表面に水滴を付着させたときの接触角のことを言う。
上記の中でも、膜形成ポリマー(A)としては、多孔質膜に耐薬品性及び耐酸化劣化性を付与できる点から、フッ素含有ポリマーが特に好ましい。
フッ素含有ポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDF−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)コポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリフッ化ビニル、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。これらの中でも、多孔質膜に耐酸化劣化性及び機械的耐久性を付与できる点から、PVDFが好ましい。
また、膜形成ポリマー(A)としては、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
膜形成ポリマー(A)としては、後述する溶剤(S)に溶解可能であり、純水に溶解しにくいポリマーを用いることが好ましい。
即ち、上述したポリマーの中でも、溶剤(S)への溶解性、多孔質膜の耐薬品性及び耐熱性が良好となる点から、PVDFが好ましい。
膜形成ポリマー(A)の質量平均分子量(Mw)は、100,000〜2,000,000であることが好ましい。膜形成ポリマー(A)のMwが100,000以上であれば、多孔質膜の機械的強度が良好になる傾向にあり、また、2,000,000以下であれば、溶剤(S)への溶解性が良好となる傾向にある。一方、膜形成ポリマー(A)のMwの下限値は、300,000以上がより好ましく、上限値は1,500,000以下がより好ましい。
なお、膜形成ポリマー(A)として上記のMwを有するものを使用する場合、異なるMwを有するものを混合して、所定のMwを有する膜形成ポリマー(A)とすることができる。
膜形成ポリマー(A)のMwは、例えば、ポリスチレンを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によって求められる。
[ポリマー(B)]
ポリマー(B)は、多孔質膜の構成成分の一つである。
ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマーを含有する共重合体である。
ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル単位及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)単位以外の単位(その他のモノマー(b2)単位)を含んでもよい。また、ポリマー(B)は、メタクリル酸メチル単位及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)単位を含有する共重合体に加えて、さらに、ポリメタクリル酸メチル及び/又は水酸基含有(メタ)アクリレートのホモポリマーを含んでもよい。
(メタクリル酸メチル)
メタクリル酸メチルは、ポリマー(B)の構成成分の一つである。ポリマー(B)にメタクリル酸メチル単位を含有させることにより、膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)との相溶性が高まり、膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)を含む多孔質膜を効率的に得ることが可能になる。
ポリマー(B)を構成する全ての構成単位(単量体単位)の合計を100質量%としたとき、メタクリル酸メチル単位の含有量は20〜99質量%が好ましい。メタクリル酸メチル単位の含有量が20質量%以上であれば、膜形成ポリマー(A)との相溶性が高められる効果が得られ、ポリマーが実質的に非水溶性であるため、使用環境下における溶出の懸念が少なくなる傾向にある。一方、メタクリル酸メチル単位の含有量が99質量%以下であれば、多孔質膜が得られやすくなる傾向にある。また、メタクリル酸メチル単位の含有量の下限値は25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、37質量%以上が特に好ましい。一方、メタクリル酸メチル単位の含有量の上限値は、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
(水酸基含有(メタ)アクリレート(b1))
水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)は、ポリマー(B)の構成成分の一つである。ポリマー(B)に水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)単位を含有させることにより、高い親水性を有する多孔質膜を得ることが可能になる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、又は(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等があげられる。
また、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(B)を構成する全ての構成単位(単量体単位)の合計を100質量%としたときに、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)単位の含有量は1〜35質量%が好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の含有量が1質量%以上であれば、多孔質膜の表面を親水化できる傾向にあり、35質量%以下であればポリマー(B)と後述のビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)との相溶性が高められ、膜厚を100μm以上とした場合であっても、高い透水性が得られる傾向にある。また、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の含有量の下限値は5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。一方、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)単位の含有量の上限値は、30質量%以下がより好ましい。
(その他のモノマー(b2))
その他のモノマー(b2)は、ポリマー(B)に含有させることができる構成成分の一つである。
その他のモノマー(b2)としては、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)と共重合可能であれば特に制限されないが、ポリマー(B)の溶剤(S)への溶解性の点から、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、プラクセルFM(商品名(登録商標)、株式会社ダイセル製;カプロラクトン付加モノマー)、メタクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマーPME−200(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、ブレンマーPME−400(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの))、ブレンマーPME−1000(商品名(登録商標)、日油株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が23であるもの))、ブレンマー50POEP−800B(商品名(登録商標)、日油株式会社製、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの))、ブレンマー20ANEP−600(商品名(登録商標)、日油株式会社製、ノニルフェノキシ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノアクリレート)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルスルフェート、3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、及び3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート等が挙げられる。
また、その他のモノマー(b2)としては、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(B)を構成する全ての構成単位(単量体単位)の合計を100質量%としたとき、その他のモノマー(b2)単位の含有量は60質量%以下が好ましい。その他のモノマー(b2)の含有量が60質量%以下であれば、得られる多孔質膜の表面を親水化できる傾向にある。また、その他のモノマー(b2)単位の含有量の下限値は、得られる多孔質膜の柔軟性の点から、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、その他のモノマー(b2)単位の含有量の上限値は、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
(ポリマー(B)の物性)
ポリマー(B)の質量平均分子量(Mw)は、30,000〜800,000であることが好ましい。ポリマー(B)のMwが上記範囲内であれば、ポリマー(B)の熱安定性、及び、得られる多孔質膜の機械強度や、外表面の親水性が高められる傾向にある。また、ポリマー(B)のMwが上記範囲であることで、後述のビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を含有する製膜原液への相溶性が高められる傾向にある。ポリマー(B)のMwの下限値は50,000以上がより好ましく、80,000以上がさらに好ましく、100,000が特に好ましい。一方、ポリマー(B)のMwの上限値は、700,000以下がより好ましく、600,000以下がさらに好ましく、550,000以下が特に好ましい。
ポリマー(B)は、1種を単独で用いてもよいし、異なる組成比、分子量分布又は分子量のポリマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
(ポリマー(B)の製造方法)
ポリマー(B)の製造方法としては、例えば、溶液重合法が挙げられる。
ポリマー(B)を溶液重合法で製造する際に使用される溶剤(S)としては、得られるポリマー(B)が可溶であれば特に制限されないが、重合後の重合液(D)をそのまま製膜原液に用いる場合には、膜形成ポリマー(A)を溶解できるものが好ましい。このような溶剤(S)としては、例えば、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラメチルウレア(TMU)、トリエチルフォスフェート(TEP)、及びリン酸トリメチル(TMP)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いやすく、しかも、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(B)の溶解性に優れる点から、アセトン、DMF、DMAc、DMSO、又はNMPが好ましい。
溶剤(S)は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(B)を製造する際には、連鎖移動剤やラジカル重合開始剤を使用することができる。
連鎖移動剤はポリマー(B)の分子量を調節するものであり、この連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン、水素、αメチルスチレンダイマー、及びテルペノイド等が挙げられる。
連鎖移動剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、及びジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、入手しやすく、しかも重合条件に好適な半減期温度を有する点から、ベンゾイルパーオキサイド、AIBN、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、又は2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、上記のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、メタクリル酸メチル、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)、及びその他のモノマー(b2)の合計100質量部に対して、0.0001〜10質量部が好ましい。
ポリマー(B)を製造する際の重合温度は、例えば、使用する溶剤(S)の沸点やラジカル重合開始剤の使用温度範囲を考慮すると、−100〜250℃が好ましい。また、重合温度の下限値は0℃以上がより好ましく、上限値は200℃以下がより好ましい。
ポリマー(B)を溶液重合法により製造した場合、重合後の重合液をそのまま製膜原液に用いることができる。
[ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)]
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)は、製膜原液の構成成分の一つである。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)は、膜形成ポリマー(A)と溶剤(S)との相分離を制御するための開孔助剤として添加される。本明細書において説明する、ビニルピロリドン単位を含むポリマーとは、その分子内に、ビニルピロリドンのモノマーユニットを有するポリマーのことを指す。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)としては、例えば、ポリビニルピロリドン又はビニルピロリドン単位、及びその他のモノマー(b2)単位を含有するポリマーが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)としては、本発明の多孔質膜の物性等の点で、RI検出器を使用したGPC測定で得られたクロマトグラムのピーク面積の総面積値に対する質量平均分子量1×10以上のピーク面積値が10%以下の分子量分布を有するポリマーであることが好ましい。
上記の分子量分布を有するビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を用いることにより、相分離制御剤として良好な洗浄性(除去性)を発揮し、本発明の多孔質膜の構造中に微細な割れが発生しやすくなるため、多孔質膜の濾過性能を良好にすることができる傾向がある。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)中における、質量平均分子量が1×10以上である高分子ポリマーの含有量の下限値としては、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を後述の多孔質膜前駆体中から取り除きやすい点、及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)が多孔質膜に残存することで、多孔質膜が水で膨潤して孔が閉塞しにくく、多孔質膜が良好な透水性を有する点から、5質量%が好ましく、8質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。また、上記の高分子ポリマーの含有量の上限値としては、25質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。
ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)中における、質量平均分子量が1×10以上の高分子ポリマーの含有量を5質量%以上とすることにより、特に、本発明の多孔質膜を下排水用濾過膜として使用する場合に、濾過特性を良好にすることができる傾向がある。
[多孔質膜の物性・構造]
本発明の多孔質膜は、上述した膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)を含む。また、多孔質膜の膜厚が100μm以上であり、さらに、膜の透過流束が10(m/m/MPs/h)以上であり、バブルポイント圧力が100(kPa)以上である。
多孔質膜が中空糸膜(中空状多孔質膜)の場合、この中空糸膜の膜厚とは、多孔質膜の外径から中空部の直径を差し引き、その値を2で割った肉厚のことを言う。また、膜は網目構造を有していることが好ましいが、一部独立気泡構造でも構わない。
中空糸膜の膜厚は100〜500μmが好ましい。中空糸膜の肉厚が100μm以上であれば、膜表面が摩耗した場合や、無機物が膜表面に外傷を与えた場合にも高い濾過性能を維持しやすい傾向があり、500μm以下であれば、高い透水性を有する傾向にある。また、中空糸膜の肉厚の下限値は110μm以上であることがより好ましく、120μm以上がさらに好ましい。一方、中空糸膜の肉厚の上限値は400μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
本発明の多孔質膜の純水透過流束(WF、Water Flux)は、ビニルピロリドン単位を含むポリマーを用いて製膜することから、10(m/m/MPa/h)以上であり、実質的に上限は200(m/m/MPa/h)未満と高い純水透過流束を有する。純水透過流束が10(m/m/MPa/h)以上であれば、一定時間内に多量の水を処理できることから、水処理膜用途として好ましく、200(m/m/MPa/h)未満とすることで、膜内における欠陥を少なくすることができるため、上水や下排水などの幅広い分野で利用できる。
本発明の多孔質膜中に含まれる膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)の合計に対するポリマー(B)の含有量は、0.1〜40質量%であることが好ましい。多孔質膜中に含まれる膜形成ポリマー(A)とポリマー(B)の合計に対するポリマー(B)の含有量が0.1質量%以上であれば、多孔質膜表面を親水化できる傾向にあり、40質量%以下であれば、ポリマー(B)が膜内を閉塞することが少なく水が良好に通水できることから、純水透過流束が10(m/m/MPa/h)以上の多孔質膜が得られやすい傾向にある。
本発明の多孔質膜の表面における細孔の平均孔径は、バクテリアやウイルスの除去、たんぱく質もしくは酵素の精製、または上水用途等で利用可能な観点から、1〜1200nmが好ましい。細孔の平均孔径が1nm以上であれば、水を処理する際に高い透水圧力を必要としなくなる傾向にあり、1200nm以下であれば、バクテリアやウイルス、上水中の懸濁物質等を容易に除去できる傾向にある。
上記観点から、多孔質膜表面における細孔の平均孔径は、500nm以下がより好ましく、400nm以下がさらに好ましく、350nm以下が特に好ましい。
本明細書において説明する、多孔質膜の表面における細孔の平均孔径とは、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
上記のように、多孔質膜の形態としては、中空状多孔質膜(中空糸膜)が挙げられる。また、膜中にはマクロボイド、又は球晶構造を有することができる。
多孔質膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の外径は20〜2,000μmが好ましい。多孔質膜の外径が20μm以上であれば、製膜時に糸切れが発生しにくい傾向にあり、2,000μm以下であれば、中空形状を保ちやすく、特に、外圧が付与された場合でも扁平化しにくい傾向にある。中空糸膜の外径の下限値は30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。一方、中空糸膜の外径の上限値は1,800μm以下がより好ましく、1,500μm以下がさらに好ましい。
本発明の多孔質膜のバブルポイント圧力は、100kPa以上である。ここで、本明細書において説明するバブルポイント圧力とは、多孔質膜が中空糸の場合、水中に浸漬した中空糸膜内部の空洞に加圧空気を供給し、膜外表面から気泡が出てくることを確認できた時の空気圧である。一般的に、膜にはマクロボイド等が存在するため、公知のハーゲン・ポワズイユの式から与えられる、バブルポイント孔径に対応する圧力よりも低い値で気泡が観測される。この値が100kPaを下回ると、膜に構造欠陥が多いことが考えられるとともに、使用中に摩耗や外傷を受けて阻止率が大幅に低下するおそれがある。
バブルポイント圧力は100〜1000kPaが好ましい。バブルポイント圧力が100kPa以上であれば、膜表面が摩耗した場合や、無機物が膜表面に外傷を与えた場合にも、高い濾過性能を維持しやすい傾向にあり、1000kPa以下であれば、高い透水性を有する傾向にある。中空糸膜のバブルポイント圧力の下限値は120kPa以上が好ましく、140kPa以上がさらに好ましい。一方、中空糸膜のバブルポイント圧力の上限値は500kPa以下がより好ましい。
<多孔質膜の製造方法>
以下、本発明に係る多孔質膜の製造方法の一例について詳述する。
本発明に係る多孔質膜の製造方法は、少なくとも、膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、を含む製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備え、膜厚が100μm以上の多孔質膜を製造する方法である。
本発明の多孔質膜の製造方法においては、まず、上記成分とされた膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)、及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を、溶剤(S)に溶解させて製膜原液(多孔質膜調製用溶液)を調製する(調製工程)。
次いで、調製工程で得られた製膜原液を支持体上に塗布し、凝固液に浸漬して凝固させて多孔質膜前駆体を得る(凝固工程)。
次いで、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の一部、又は大部分を洗浄して取り除き(洗浄工程)、洗浄後の多孔質膜前駆体を乾燥して(乾燥工程)、多孔質膜を得る。ここで、得られた多孔質膜中の残存ビニルピロリドン量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。残存ビニルピロリドン量が0.1質量%を下回ることは、工業生産上、困難であるため現実的ではなく、また、5質量%を上回ると、膜同士が接着して欠陥等が出来やすくなることから好ましくない。
(製膜原液)
上述したように、製膜原液は、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を、溶剤(S)に溶解させることで得られる。また、溶剤(S)を用い、溶液重合法によってポリマー(B)を製造した場合には、重合後の重合液(D)に、直接、膜形成ポリマー(A)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を添加して溶解させてもよい。このとき、さらに溶剤(S)を添加して、重合液(D)を所望の濃度になるように希釈してもよい。
なお、製膜原液は、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の一部が溶剤(S)中に溶解せずに分散している場合でも、均一性を維持できているのであれば、その分散した状態のものでもよい。
また、製膜原液を調製する際、溶剤(S)の沸点以下であれば、溶剤(S)を加熱しながら、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(B)及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を溶解させてもよい。この際、さらに、溶剤(S)を必要に応じて冷却してもよい。
製膜原液100質量%中の膜形成ポリマー(A)の含有量は、5〜40質量%が好ましい。膜形成ポリマー(A)の含有量が5質量%以上であれば、容易に多孔質膜とすることができる傾向にあり、40質量%以下であれば、溶剤(S)中に容易に溶解することができる傾向にある。また、膜形成ポリマー(A)の含有量の下限値は8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。一方、膜形成ポリマー(A)の含有量の上限値は30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
製膜原液100質量%中のポリマー(B)の含有量は、0.1〜10質量%が好ましい。ポリマー(B)の含有量が0.1質量%以上であれば、容易に多孔質膜とすることができる傾向にあり、10質量%以下であれば、膜形成ポリマー(A)の溶剤(S)中への溶解性が高まる傾向にある。また、ポリマー(B)含有量の下限値は0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましい。一方、ポリマー(B)の含有量の上限値は8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
製膜原液100質量%中のビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の含有量は、5〜30質量%が好ましい。ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の含有量が5質量%以上であれば、容易に多孔質膜とすることができる傾向にあり、30質量%以下であれば、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(B)の溶剤(S)中への溶解性が高まる傾向にある。また、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)含有量の下限値は6質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。一方、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の含有量の上限値は25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
製膜原液100質量%に対する溶剤(S)の含有量は、50〜90質量%が好ましい。溶剤(S)の含有量が50質量%以上であれば、得られる多孔質膜が高い透過流束を得られるようになる傾向にあり、90質量%以下であれば、容易に多孔質膜とすることが出来る。また、溶媒(S)の含有量の下限値は55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。一方、ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の含有量の上限値は85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
(凝固液)
多孔質膜前駆体を得る際に使用される凝固液としては、膜の孔径制御の点から、溶剤(S)の0〜50質量%水溶液が好ましい。
凝固液に含まれる溶剤(S)と、製膜原液に含まれる溶剤(S)とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同じ種類であることが好ましい。
凝固液の温度は、10〜90℃が好ましい。凝固液の温度が10℃以上であれば、多孔質膜の透水性能が向上する傾向にあり、90℃以下であれば、得られる多孔質膜の機械強度を良好に維持できる傾向にある。
(洗浄工程)
凝固工程によって得られた多孔質膜前駆体は、40〜100℃の熱水及び/又は次亜塩素酸Na等の水溶液中に浸漬することにより、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の一部又は全部を洗浄して取り除くことが好ましい。
(乾燥工程)
洗浄工程後の多孔質膜前駆体は、60〜120℃で、1分間〜24時間乾燥させることが好ましい。
乾燥温度が60℃以上であれば、乾燥処理時間を短縮でき、生産コストを抑えることができることから、工業生産上、好ましい。一方、乾燥温度が120℃以下であれば、乾燥工程で多孔質膜前駆体が収縮しすぎるのを抑制でき、多孔質膜の外表面に微小な亀裂等が発生し難くなる傾向にある。
<作用効果>
以上説明したように、本発明の多孔質膜によれば、少なくとも、上述した組成の膜形成ポリマー(A)、メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及びビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)を含むものであり、且つ、膜厚が100μm以上の多孔質膜なので、膜の透過流束が10以上(m/m/MPs/h)であり、バブルポイント圧力が100(kPa)以上であることから、非常に信頼性の高い多孔質膜が実現できるものである。
また、本発明に係る多孔質膜の製造方法によれば、親水性の高い水酸基含有(メタ)アクリレート共重合体を含むポリマー(B)、及び、透水性に優れたポリビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の両方を含有する製膜原液を凝固させる方法を採用することにより、高い親水性及び透水性の両方を有し、摩耗や外傷等を受けた場合であっても高い阻止性能を維持できる多孔質膜を製造することが可能になる。
<用途>
本発明に係る多孔質膜は、例えば、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理分野に用いられる多孔質膜として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
本実施例においては、ポリマーの組成及び構造は、以下に説明する方法によって解析した。また、ポリマーのMw(質量平均分子量)、Mn(数平均分子量)、及びMw/Mnは、以下の方法によって測定した。
<評価方法(測定方法)>
(1)ポリマー(B)、ポリマー(B’)の組成及び構造の解析
ポリマー(B)、ポリマー(B’)の組成及び構造を、1H−NMR(日本電子株式会社製、「JNM−EX270」(製品名))を用いて解析した。なお、重水素化溶媒としては、TMS(テトラメチルシラン)が添加されたN,N−ジメチルアセトアミド−d9を用いた。
また、ポリマー(B)、ポリマー(B’)中の、メタクリル酸メチル、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)及びその他のモノマー(b2)の組成は、独立行政法人産業技術総合研究所の提供する有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)を参考に算出した。
(2)膜形成ポリマー(A)のMwの測定
膜形成ポリマー(A)のMwは、GPC(東ソー株式会社製、「HLC−8020」(製品名))を使用して、以下の条件で求めた。
・カラム:TSK GUARD COLUMN α(7.8mm×40mm:東ソー株式会社製、登録商標)と3本のTSK−GEL α―M(7.8×300mm:東ソー株式会社製、登録商標)とを直列に接続
・溶離液:臭化リチウム(LiBr)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液(LiBrの濃度:20mM)
・測定温度:40℃
・流速:0.1mL/分
なお、膜形成ポリマー(A)のMwは、東ソー株式会社製のポリスチレンスタンダード(Mp(ピークトップ分子量)=76,969,900、2,110,000、1,260,000、775,000、355,000、186,000、19,500、1,050の8種類)、及びNSスチレンモノマー株式会社製のスチレンモノマー(M(分子量)=104)を用いて作製した検量線を使用して求めた。
(3)ポリマー(B)、ポリマー(B’)のMn及びMw/Mnの測定
ポリマー(B)、ポリマー(B’)のMn、及びMw/Mnは、GPC(東ソー株式会社製、「HLC−8220」(製品名))を使用して以下の条件で求めた。
・カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER H−L(4.6×35mm:東ソー株式会社製、登録商標)と、2本のTSK−GEL SUPER HZM−H(4.6×150mm:東ソー株式会社製、登録商標)とを直列に接続
・溶離液:塩化リチウム(LiCl)のDMF溶液(LiClの濃度:0.01M)
・測定温度:40℃
・流速:0.6mL/分
なお、ポリマー(B)、ポリマー(B’)のMn及びMw/Mnは、東ソー株式会社製のポリスチレンスタンダード(Mp(ピークトップ分子量)=6,200,000、2,800,000、1,110,000、707,000、354,000、189,000、98,900、37,200、9,830、5,870、870、及び500の12種)を用いて作製した検量線を使用して求めた。
(4)多孔質膜の外径
中空状多孔質膜の外径は、以下の方法で測定した。
まず、測定するサンプルを約10cmの長さに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。この際、ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入り込むようにした。そして、ポリウレタン樹脂の硬化後、カミソリ刃を用いて、厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFIE PROJECTOR V−12(登録商標))を用い、対物レンズ100倍にて観察した。そして、観察している中空状多孔質膜断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して、中空状多孔質膜の外径の平均値を求めた。
(5)多孔質膜層の膜厚
本実施例における多孔質膜層の膜厚は、支持体の表面から中空状多孔質膜の表面までの厚さであり、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは、上記したような、外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12(登録商標))を用い、対物レンズ100倍にて観察した。そして、観察している中空状多孔質膜断面の3時方向位置の膜厚の外表面と内表面の位置にマーク(ライン)をあわせて膜厚を読み取った。同様に、9時方向、12時方向、6時方向の順で膜厚を読み取った。これを3回測定して、多孔質膜層の膜厚の平均値を求めた。
(6)多孔質膜層の孔径
多孔質膜層の孔径は、以下の方法で測定した。
まず、測定したい断面構造を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率5,000倍で撮影し、その後、得られた写真の画像解析処理により、その構造の平均孔径を求めた。この際、画像解析処理ソフトとしては、Media Cybernetics社のIMAGE−PRO PLUS version5.0を使用した。
(7)中空状多孔質膜の透水性能:WFの測定
まず、測定する中空状多孔質膜のサンプルを長さ4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
次に、上記のサンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に5分以上浸して置換した。そして、容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面にチューブを繋ぎ、容器に100kPaの空気圧を付与して、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して、その平均値を求めた。そして、この数値をサンプルの表面積で割り、湿潤状態の透水性能Ww100としとした。
(8)中空状多孔質膜のバブルポイント圧力
まず、測定する中空状多孔質膜サンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で塞ぐことで中空部を封止した。
次に、上記のサンプルをエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に5分以上浸して置換した。そして、サンプルを純水(25℃)に浸漬し、サンプルの他端面にチューブを繋ぎ、チューブからサンプルの中空部にゆっくりと空気圧をかけていった。徐々に昇圧し、サンプルの外表面から気泡が出てくることを確認できた圧力を測定した。これを10回測定して、中空状多孔質膜のバブルポイント圧力の平均値を求めた。
<ポリマーの合成>
(ポリマー(B−1)の合成)
まず、冷却管付フラスコに、メタクリル酸メチル25部、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)としてメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルHO」(商品名:登録商標))25部、その他のモノマー(b2)としてメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルDM」(商品名:登録商標))50部、及び、溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)200部を含有するモノマー組成物を投入し、窒素バブリングによって内部を窒素置換した。
次いで、上記のモノマー組成物を加温して内温を70℃に保った状態で、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部(和光純薬工業株式会社製、和光特級)を加えた後、4時間保持した。引き続き、モノマー組成物を加温して内温を80℃に昇温させ、先に加えたのと同量(0.2部)の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを追添加した後、60分間保持して重合を完結させた。その後、室温まで冷却し、ポリマー(B−1)を33%含有する重合液(D−1)を得た。
重合液(D−1)に含まれるポリマー(B−1)のMw及びMw/Mnを測定したところ、Mwは339,000であり、Mw/Mnは4.6であった。その結果を下記表1に示す。
また、重合液(D−1)からポリマー(B−1)を取り出し、乾燥させた後にポリマー(B−1)の組成及び構造を解析したところ、メタクリル酸メチルの割合が25%であり、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの割合が25%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルの割合が50%であった。即ち、ポリマー(B−1)は、メタクリル酸メチル単位25%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル単位25%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル50%からなる共重合体であることが確認できた。その結果を下記表1に示す。
(ポリマー(B−2)〜(B−3)の合成)
モノマー組成物の組成を下記表1に示すように変更した点以外は、上述したポリマー(B−1)と同様の方法でポリマー(B−2)を含有する重合液(D−2)、ポリマー(B−3)含有する重合液(D−3)をそれぞれ得た。
そして、ポリマー(B−2)〜(B−3)のMw及びMw/Mnを測定し、組成及び構造を解析した。その結果を下記表1に示す。
(ポリマー(B’−1)の合成)
冷却管付フラスコに、メタクリル酸メチル30部、水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)としてメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルHO」(商品名:登録商標))30部、その他のモノマー(b2)としてメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルDM」(商品名:登録商標))40部、及び溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)100部を含有するモノマー組成物を投入し、窒素バブリングによって内部を窒素置換した。
次いで、モノマー組成物を加温して内温を70℃に保った状態で、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部(和光純薬工業株式会社製、和光特級)を加えた後、4時間保持した。引き続き、モノマー組成物を加温して内温を80℃に昇温させ、先に加えたのと同量(0.2部)の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを追添加した後、60分間保持し重合を完結させた。その後、室温まで冷却し、ポリマー(B’−1)を33%含有する重合液(D−4)を得た。
重合液(D−4)に含まれるポリマー(B’−1)のMw及びMw/Mnを測定したところ、Mwは846,000であり、Mw/Mnは5.8であった。その結果を下記表1に示す。
また、重合液(D−4)からポリマー(B’−1)を取り出し、乾燥させた後にポリマー(B’−1)の組成及び構造を解析したところ、メタクリル酸メチルの割合が30%であり、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの割合が30%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルの割合が40%であった。即ち、ポリマー(B’−1)は、メタクリル酸メチル単位30%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル単位30%、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル40%からなる共重合体であることが確認できた。その結果を下記表1に示す。
(ポリマー(B’−2)の合成)
モノマー組成物の組成を下記表1に示すように変更した点以外は、上述したポリマー(B’−1)と同様の方法でポリマー(B’−2)を含有する重合液(D−5)を得た。
そして、ポリマー(B’−2)のMw及びMw/Mnを測定し、組成及び構造を解析した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0006866635
ここで、上記の表1中に記載した各略号は、以下の化合物を示す。
・MMA:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルM」(商品名:登録商標))
・HEAM:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルHO」(商品名:登録商標))
・DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製、「アクリエステルDM」(商品名:登録商標))
・AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製、和光特
級)
・DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)
<実施例1>
(製膜原液の調製)
膜形成ポリマー(A)としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kynar761A」(商品名:登録商標)、Mw=550,000)1.2部、ポリマー(B)として上記のポリマー(B−1)を含む重合液(D−1)0.18部、ポリマー(C)としてポリビニルピロリドン樹脂を0.72部、及び、溶剤(S)としてN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、和光特級)4.98部をステンレス容器中に配合し、60℃で5時間攪拌して製膜原液を調製した。そして、得られた製膜原液を、25℃下で一日静置した(調製工程)。
(中空状多孔質膜の調製)
まず、図示略の支持体製造装置を用いて、ポリエステル繊維(PET製、繊度417dtex)のマルチフィラメントを円筒状に丸編みし、210℃にて熱処理を施して中空の支持体を得た。得られた支持体の外径は1.45mmであった。
そして、図1に示すような製造装置1を用いて、中空状膜形状の多孔質膜を作製した。
まず、製造装置1の原液供給装置2から、上記の手順で調製した製造原液を送液し、塗布部3において支持体4に製膜原液を塗布した。
次いで、製膜原液が塗布された支持体4を、77℃の凝固浴槽5中の凝固液中で浸潤させ、その後、製膜原液が凝固することで、多孔質層を有する中空糸膜前駆体(多孔質膜前駆体)6を得た(凝固工程)。
上記の凝固液としては、DMAcの40質量%水溶液を用いた。また、本実施例においては、中空糸膜前駆体を60℃の熱水に浸漬する工程と、次亜塩素酸Na水溶液に浸漬する工程とを繰り返し実施した後、最後に115℃に熱した乾燥炉にて3分間乾燥させ(乾燥工程)、水分を蒸発させて中空状多孔質膜を得た。
得られた中空状多孔質膜の膜厚は115μm、外径は1623μm、バブルポイント圧力は161kPa、平均孔径は0.1μm WFは18.5(m/m/MPa/h)であることが確認できた。
<実施例2、実施例3>
製膜原液を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
<比較例1>
重合液を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
<比較例2>
重合液を下記表2に示す組成のものに変更した点以外は、上記の実施例1と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
<比較例3>
膜厚が下記表2に示す値になるようにした点以外は、上記の実施例3と同様にして中空状多孔質膜を得た。この評価結果を下記表2に示す。
Figure 0006866635
ここで、上記の表2中に記載した各略号は、以下の化合物を示す。
・Kynar761A:ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kynar761A」(商品名:登録商標)、Mw=550,000)
・K80:ポリビニルピロリドン(日本触媒製、「PVP K80」(商品名)、Mw=900,000)
・DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)
<評価結果>
上記の表2に示した結果から明らかなように、各実施例で得られた中空状多孔質膜は、透水性能(WF)が10(m/m/MPa/h)以上と高い透水性を有し、バブルポイント圧力が100(kPa)以上であり、且つ、膜厚が100μm以上あることから、例え、摩耗や外傷等を受けた場合であっても、高い阻止性能を有する多孔質膜であることが明らかである。
一方、比較例1においては、ポリマー(B’−1)のMwが846,000と高かったため、得られた中空状多孔質膜の構造は独立気泡化したものとなり、WFが3.9(m/m/MPa/h)と低い結果となった。
また、比較例2においては、ポリマー(B’−2)中に含まれる水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が40%と高く、得られた膜に欠陥が多かったため、バブルポイント圧力が73(kPa)と低く、高い阻止性能を有する多孔質膜が得られなかった。
また、比較例3においては、膜厚を100μm以下にしたため、バブルポイント圧力が94(kPa)と低く、高い阻止性能を有する多孔質膜が得られなかった。
本発明の多孔質膜は、水酸基含有(メタ)アクリレート共重合体を含むポリマー(B)、及び、ポリビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)の両方を含有する製膜原液を凝固させる方法なので、高い親水性及び透水性の両方を有し、摩耗や外傷等を受けた場合であっても高い阻止性能を維持できる。従って、本発明の多孔質膜は、例えば、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理分野において好適なものである。
1…製造装置、
2…原液供給装置、
3…塗布部、
4…支持体、
5…凝固浴槽、
6…中空糸膜前駆体(多孔質膜前駆体)

Claims (6)

  1. 少なくとも、
    膜形成ポリマー(A)、
    メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、
    ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、
    を含み、膜厚が100μm以上である多孔質膜。
  2. 少なくとも、
    膜形成ポリマー(A)、
    メタクリル酸メチル及び水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)を含むモノマー組成物を重合して得られるポリマー(B)であって、質量平均分子量(Mw)が30,000〜800,000であり、且つ、当該ポリマー(B)中に含まれる全てのモノマー単位の合計100質量%に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)の割合が1〜35%であるポリマー(B)、及び、
    ビニルピロリドン単位を含むポリマー(C)、
    を含む製膜原液を凝固させて多孔質膜前駆体を得る凝固工程を備え、膜厚が100μm以上の多孔質膜を製造する、多孔質膜の製造方法。
  3. さらに、前記凝固工程で得られた多孔質膜前駆体を、次亜塩素酸Na水溶液で処理する洗浄工程を備える、請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
  4. 前記膜形成ポリマー(A)がフッ素含有ポリマーである請求項2又は請求項3に記載の多孔質膜の製造方法。
  5. 前記水酸基含有(メタ)アクリレート(b1)が、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールの群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
  6. 前記多孔質膜が、中空状の支持体を含む中空状多孔質膜である、請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
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