JP2020095953A - アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法 - Google Patents

アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径が小さく、かつ、高いイオン伝導度を有し、残存原料が少ないアルジロダイト型固体電解質の製造方法を提供する。【解決手段】リチウム、硫黄、リン及びハロゲンを含む原料混合物を、耐圧容器を用いて又は還流しながら、溶媒中で熱処理すること、溶媒を除去すること、及び、熱処理により得られた処理物を焼成すること、を含む、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造及び材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質に変えて、電池を全固体化したリチウムイオン電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
リチウムイオン電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。硫化物固体電解質の結晶構造としては種々のものが知られているが、電池の使用温度領域を拡げるという観点からは、広い温度範囲で構造が変化し辛い安定な結晶構造が適している。このような硫化物固体電解質として、例えば、アルジロダイト(Argyrodite)型結晶構造を有する固体電解質(以下、アルジロダイト型固体電解質ということがある。)が開発されている。
アルジロダイト型固体電解質の製造方法として、例えば、特許文献1には原料を550℃で6日間加熱した後、徐々に冷却する方法が記載されている。また、特許文献2〜5には、原料をボールミルで15時間粉砕混合した後、400〜650℃で熱処理する方法が記載されている。また、非特許文献1には、原料を遊星型ボールミルで20時間メカニカルミリング処理した後、550℃で熱処理する方法が記載されている。また、非特許文献2にはLiS、LiBr及びLiPSを溶媒であるエタノールに溶解させ、溶液中で反応を進行させた後、150℃で溶媒を留去することで、LiPSBr結晶を合成できることが開示されている。
また、アルジロダイトよりも比較的低温で合成できる硫化物系結晶化ガラスの製造方法として、特許文献6には、硫化物系ガラスと反応しない溶媒との混合物を耐圧密閉容器内で加熱することにより硫化物系ガラスを結晶化させる方法が開示されている。
特表2010−540396号公報 国際公開第2015/011937号 国際公開第2015/012042号 特開2016−24874号公報 国際公開第2016/104702号 特開2010−241643号公報
電気化学会第82回講演要旨集(2015),2H08 J.Jpn.Soc.Colour Mater.,89[9],300−305(2016)
従来の高温で熱処理する工程を含む製造方法では、粒子が大きく成長するため、例えば、厚さがサブミクロンオーダーの固体電解質層に好適な微粒の固体電解質は得られなかった。固体電解質の粒径は、固体電解質を使用した電池(例えば、全固体リチウムイオン電池)に大きな影響を与える。例えば、電池の製造時や使用時に固体電解質の粒子が粗大化すると短絡の原因となる。また、電池の製造自体ができなくなる場合もある。そのため、粒径はイオン伝導度よりも重要視されることがある。
また、粒子の成長を抑制するために低温で熱処理した場合、未反応の原料等の不純物が固体電解質に残存しやすいという問題があった。非特許文献2の方法で得られる固体電解質でもLiBrが残存している。残存原料が存在すると、イオン伝導度が低下するおそれがある。また、ハロゲン化リチウムは吸水するため、固体電解質の耐水性が低下するおそれがある。
本発明の目的は、粒径が小さく、かつ、高いイオン伝導度を有し、残存原料が少ないアルジロダイト型固体電解質の製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態によれば、リチウム、硫黄、リン及びハロゲンを含む原料混合物を、耐圧容器を用いて又は還流しながら、溶媒中で熱処理すること、前記溶媒を除去すること、及び前記熱処理により得られた処理物を焼成すること、を含む、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、粒径が小さく、かつ、高いイオン伝導度を有し、残存原料が少ないアルジロダイト型固体電解質の製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る製造方法の一例のフロー図である。 実施例1で作製した処理物のXRDパターンである。 実施例2、4及び比較例1で作製した処理物のXRDパターンである。 実施例2〜4及び比較例1で作製した固体電解質のXRDパターンである。 実施例5で作製した処理物及び固体電解質のXRDパターンである。 比較例1の処理物のXRDデータをRietveld解析した結果を示す図である。 比較例2〜4で作製した固体電解質のXRDパターンである。
本発明の一実施形態に係るアルジロダイト型固体電解質の製造方法は、下記の3工程を含む。
工程1:リチウム、硫黄、リン及びハロゲンを含む原料混合物を、耐圧容器を用いて又は還流しながら、溶媒中で熱処理(仮焼)する。
工程2:上記溶媒を除去する。
工程3:上記熱処理により得られた処理物を焼成する。
図1は、本実施形態に係る製造方法の一例のフロー図である。
図1に示すように、本実施形態では原料混合物を溶媒中で熱処理する。溶媒中で熱処理することで、原料混合物が処理物(中間体)を形成し、その後の焼成の加熱時間を短縮することができるため、粒子の成長を抑えつつ、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質が製造できる。具体的には、第一の加熱(熱処理)で微小な種結晶、すなわちアルジロダイト型結晶構造において主構造であるPS構造を含む結晶を形成し、第二の加熱(焼成)でハロゲンを結晶中に取り込んでアルジロダイト型結晶構造を得る。
また、本実施形態では一次粒子の粒成長だけでなく、一次粒子同士の凝集に伴う二次粒子の粒成長を抑制することができる。凝集の程度によっては一次粒子に解砕することが難しくなる場合がある。そうなると、解砕にエネルギーを要し、解砕に伴ってイオン伝導度が低下する。本実施形態では、焼成時に粒子が成長し難いことから、安定して微粒の固体電解質を得ることができる。
原料混合物には、アルジロダイト型固体電解質の構成元素を全体として含むように、原料の化合物及び/又は単体を2種以上組み合わせて使用する。
原料混合物を構成する原料の化合物としては、リチウム、硫黄、リン及びハロゲンの1以上を構成元素とする化合物が使用できる。
リチウムを含む化合物としては、例えば、硫化リチウム(LiS)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)が挙げられる。中でも硫化リチウムが好ましい。
リンを含む化合物としては、例えば、三硫化二リン(P)、五硫化二リン(P)等の硫化リン、リン酸ナトリウム(NaPO)等のリン化合物が挙げられる。これらの中でも、硫化リンが好ましく、五硫化二リンがより好ましい。
ハロゲンを含む化合物としては、例えば、一般式(M−X)で表される化合物が挙げられる。
式中、Mは、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、又はこれらの元素に酸素元素、硫黄元素が結合したものを示す。MはLi又はPが好ましく、特にリチウム(Li)が好ましい。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲンである。
また、lは1又は2の整数であり、mは1〜10の整数である。mが2〜10の整数の場合、すなわち、Xが複数存在する場合は、Xは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、後述するSiBrClは、mが4であって、XはBrとClという異なる元素からなるものである。
上記式で表されるハロゲン化合物としては、具体的には、NaI、NaF、NaCl、NaBr等のハロゲン化ナトリウム;LiF、LiCl、LiBr、LiI等のハロゲン化リチウム;BCl、BBr、BI等のハロゲン化ホウ素;AlF、AlBr、AlI、AlCl等のハロゲン化アルミニウム;SiF、SiCl、SiCl、SiCl、SiBr、SiBrCl、SiBrCl、SiI等のハロゲン化ケイ素;PF、PF、PCl、PCl、PSCl、POCl、PBr、PSBr、PBr、POBr、PI、PSI、PCl、P等のハロゲン化リン;SF、SF、SF、S10、SCl、SCl、SBr等のハロゲン化硫黄;GeF、GeCl、GeBr、GeI、GeF、GeCl、GeBr、GeI等のハロゲン化ゲルマニウム;AsF、AsCl、AsBr、AsI、AsF等のハロゲン化ヒ素;SeF、SeF、SeCl、SeCl、SeBr、SeBr等のハロゲン化セレン;SnF、SnCl、SnBr、SnI、SnF、SnCl、SnBr、SnI等のハロゲン化スズ;SbF、SbCl、SbBr、SbI、SbF、SbCl等のハロゲン化アンチモン;TeF、Te10、TeF、TeCl、TeCl、TeBr、TeBr、TeI等のハロゲン化テルル;PbF、PbCl、PbF、PbCl、PbBr、PbI等のハロゲン化鉛;BiF、BiCl、BiBr、BiI等のハロゲン化ビスマス等が挙げられる。
中でも、ハロゲン化リチウム又はハロゲン化リンが好ましく、LiCl、LiBr、LiI又はPBrがより好ましく、LiCl、LiBr又はLiIがさらに好ましく、特にLiCl又はLiBrが好ましい。
ハロゲン化合物は、上記の化合物の中から一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料混合物を構成する単体としては、リチウム金属単体、赤リン等のリン単体又は硫黄単体が挙げられる。
上述した化合物及び単体は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。化合物及び単体は、高純度であることが好ましい。
上記化合物及び/又は単体は、リチウム、リン及び硫黄と、任意にハロゲン等の元素を、原料混合物が全体として含むように、2種以上組み合わせて使用される。
本発明の一実施形態では、原料混合物がリチウム化合物、リン化合物及びハロゲン化合物を含み、該リチウム化合物、及びリン化合物の少なくとも一方が硫黄元素を含むことが好ましく、LiSと硫化リンとハロゲン化リチウムとの組合せであることがより好ましく、LiSとPと、LiCl及び/又はLiBrとの組合せであることが更に好ましい。また、原料混合物が2種以上のハロゲンを含むことが好ましい。
例えば、アルジロダイト型固体電解質の原料として、LiS、P、LiCl及びLiBrを使用する場合には、各化合物のモル比を、LiS:P:LiClとLiBrの合計=30〜60:10〜25:15〜50とすることができる。好ましくは、LiS:P:LiClとLiBrの合計=45〜55:10〜15:30〜50であり、より好ましくは、LiS:P:LiClとLiBrの合計=45〜50:11〜14:35〜45であり、さらに好ましくは、LiS:P:LiClとLiBrの合計=46〜49:11〜13:38〜42である。
本発明の一実施形態では、予め上記化合物及び単体の体積基準平均粒子径を20μm以下とすることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、特に、12μm以下であることが好ましい。
体積基準平均粒子径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定により測定する。なお、体積基準平均粒子径の下限は、通常100nm程度である。
原料の粉砕に用いる装置としては、高速回転粉砕機、衝撃型微粉砕機、容器駆動型ミル、媒体撹拌ミルやジェットミルを用いることができ、例えば、高速回転粉砕機としてはピンミル、衝撃型微粉砕機としてはパルベライザー、容器駆動型ミルとしてはボールミル、媒体撹拌ミルとしてはビーズミルが挙げられる。なかでも、処理時間が短く、また、連続して粉砕操作が可能であることから、ピンミルが好ましい。ピンミルの処理時間は数秒程度であり極めて短時間である。
上記化合物及び単体は、それぞれ個別に粉砕してもよく、また、混合後に粉砕してもよい。
本発明の一実施形態では、上記化合物及び単体を、予め粗混合することが好ましい。粗混合には、容器回転型混合機、容器固定型混合機、乳鉢等を用いることができる。例えば、円錐スクリュー型混合機であるナウタミキサや高速撹拌混合機であるFMミキサ等が使用できる。
原料を、例えば、溶媒中で混合粉砕し、得られた原料混合物を熱処理することにより、処理物が得られる。
溶媒としては、有機溶媒を用いることができ、好ましくは非極性溶媒、極性溶媒又はこれらの混合溶媒が使用できる。非極性溶媒、又は、非極性溶媒を主成分とする溶媒、例えば、有機溶媒全体の95重量%以上が非極性溶媒であることが好ましい。
非極性溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましい。炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、トリデカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、トルエン又はキシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
本発明の一実施形態では、有機溶媒がニトリル化合物及びエーテル化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、R(CN)で表されるニトリル化合物が好ましい。式中、Rは、炭素数が1以上10以下のアルキル基、又は環形成炭素数が6以上18以下の芳香環を有する基である。nは、1又は2である。
例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、3−クロロプロピオニトリル、ベンゾニトリル、4−フルオロベンゾニトリル、ターシャリーブチロニトリル、イソブチロニトリル、シクロヘキシルニトリル、カプロニトリル、イソカプロニトリル、マロノニトリル、フマルニトリルが挙げられる。好ましくはプロピオニトリル、イソカプロニトリル、イソブチロニトリルである。
例えば、ニトリル化合物はトルエンと共沸するため、乾燥時にトルエンとともに処理物から除去しやすいため好ましい。
有機溶媒に含まれるニトリル化合物及びエーテル化合物の量は、0.01〜5重量%であることが好ましく、さらに、0.1〜3重量%であることが好ましく、特に0.3〜1重量%であることが好ましい。
混合粉砕には、例えば、遊星型ボールミル、振動ミル、転動ミル、ビーズミル等の粉砕機や、一軸混錬機、多軸混錬機等の混練機を使用できる。
混合粉砕後のスラリーから溶媒を除去して得られる原料混合物は、主に微粒結晶により形成されている。原料を混合粉砕することにより、原料の微粒化が進行し、各原料の微粒結晶からなる原料混合物が得られる。
原料混合物を、耐圧容器を用いて溶媒中で熱処理する。また、耐圧容器を用いる代わりに、原料混合物を、還流しながら溶媒中で熱処理することもできる。非特許文献2に記載されたように溶媒の留去を伴う加熱を行ったり、溶媒を留去した後で加熱したりすると、得られる処理物の二次粒子が大きくなることがわかった。一方、本実施形態では、溶媒を留去せずに熱処理することから、処理物同士の凝集を防ぐことができ、その結果、得られるアルジロダイト型固体電解質の二次粒子を小さくすることができる。
熱処理に用いる溶媒としては、リチウム等の原料の混合及び粉砕で例示した非極性溶媒、極性溶媒又はこれらの混合溶媒が使用できる。したがって、粉体である原料混合物が溶媒に分散されたスラリーを加熱する。熱処理に用いる溶媒は、原料の混合及び粉砕で用いた溶媒と同じでもよいし、異なっていてもよい。同じ溶媒を用いる場合は、混合粉砕後の原料混合物スラリーから溶媒を除去する工程が不要であるため好ましい。
熱処理における加熱温度及び時間は、原料の組成等を考慮して、適宜調整することができる。例えば、加熱温度は150℃〜300℃が好ましく、160℃〜280℃がより好ましく、さらに170℃〜270℃が好ましく、特に180℃〜260℃が好ましい。上記の温度範囲とすることにより、PS構造が形成され、ハロゲンが結晶中に取り込まれやすくなる。微粒結晶の原料混合物を溶媒中で熱処理することから、比較的低温でPS構造を含む結晶を形成することが可能となる。
加熱時間は10分〜6時間が好ましく、さらに、10分〜3時間が好ましく、特に30分〜2時間が好ましい。
熱処理で使用する耐圧容器は特に限定はないが、加熱温度が使用する溶媒の沸点を超える場合は、オートクレーブを使用することが好ましい。また、溶媒の還流は特に限定はなく、蒸気を冷却して溶媒に戻す冷却器(例えば、ジムロート)を用いることができる。
本実施形態では、処理物はPS構造を有する結晶を含むことが好ましい。PS構造を有する結晶としては、例えば、β−LiPS型結晶構造、LiPS型結晶構造が挙げられる。本発明者らの検討によれば、ハロゲンを取り込んでアルジロダイト型結晶構造が生成するときに、比表面積が小さくなることがわかった。本実施形態では、それよりも低温で熱処理してPS構造を形成することによって、短い焼成時間であってもハロゲンが結晶中に取り込まれやすくなり、粒子が大きく成長する前に、アルジロダイト型結晶構造を得ることができると考える。
処理物がβ−LiPS型結晶構造及び/又はLiPS型結晶構造を含むことは、X線回折測定により確認できる。β−LiPSの代表的なピークとして、2θ=17.5±1.0deg、18.1±1.0deg、25.9±1.0deg、27.5±1.0deg、29.0±1.0deg、29.7±1.0degが挙げられる。
LiPSの代表的なピークとして、2θ=15.5±1.0deg、17.9±1.0deg、25.3±1.0deg、29.8±1.0deg、31.2±1.0deg、36.2±1.0deg、39.5±1.0degが挙げられる。
処理物に含まれる全結晶構造に対する、β−LiPS型結晶構造の含有率が15重量%以上であることが好ましい。β−LiPS型結晶構造を所定量以上含有することにより、粒子の成長を抑えつつ、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質が製造できる。β−LiPS型結晶構造の含有率は20重量%以上であることがより好ましく、25重量%以上であることがさらに好ましく、特に、30重量%以上であることが好ましい。β−LiPS型結晶構造の含有率の上限は、100重量%以下とすることができ、90重量%以下としてもよい。
処理物はLiPS型結晶構造を含んでもよく、処理物に含まれる全結晶構造に対する、LiPS型結晶構造の含有率を10重量%以上とすることができる。LiPS型結晶構造の含有率は、15重量%以上とすることができ、20重量%以上としてもよい。LiPS型結晶構造の含有率の上限は、100重量%以下とすることができ、90重量%以下としてもよい。
処理物がβ−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造を含む場合、処理物に含まれる全結晶構造に対する、β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造の合計の含有率は、50重量%以上100重量%以下であることが好ましく、60重量%以上100重量%以下がより好ましく、さらに、65重量%以上100重量%以下が好ましい。
また、処理物に含まれるβ−LiPS型結晶構造とLiPS型結晶構造の重量比(β−LiPS型結晶構造の重量:LiPS型結晶構造の重量)は、30:70〜100:0が好ましく、40:60〜95:5より好ましく、50:50〜90:10がさらに好ましい。
β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造の含有率は、X線回折測定の結果をRietveld解析することにより求めた値である。処理物に含まれる全結晶構造とは、X線回折測定で特定される結晶構造の全部を意味する。
本実施形態では、処理物の比表面積が15m/g以上であることが好ましい。溶媒中で加熱して得られたPS構造を有する結晶を含む処理物は比表面積が大きく、その後の焼成において、一次及び二次粒子ともに、粒子が大きく成長することなくアルジロダイト結晶構造を得ることができる。ハロゲン等の原料が一次粒子に取り込まれており、さらに溶媒中で熱処理することで一次粒子同士の凝集も防ぐことができる。比表面積は、20m/g以上であることがより好ましく、30m/g以上であることがさらに好ましい。
処理物の比表面積は、例えば、加熱温度や時間を調整することによって制御することができる。
熱処理されたスラリーから溶媒を除去して処理物を回収する。溶媒除去の方法は特に限定されないが、常圧下又は減圧下にて溶媒を留去することができる。また、より生産性を上げるために、ろ過を併用することも可能である。
処理物を焼成することにより、アルジロダイト型固体電解質が得られる。
焼成における加熱温度及び時間は、処理物の組成等を考慮して、適宜調整することができる。例えば、加熱温度は300℃〜470℃が好ましく、300℃を超えて460℃以下がより好ましく、より320℃〜450℃が好ましく、さらに350℃〜440℃が好ましく、特に380℃〜430℃が好ましい。
加熱時間は1分〜6時間が好ましく、さらに、1分〜2時間が好ましく、特に5分〜1時間が好ましい。本実施形態では粒子が成長し難いことから、安定した生産が可能となる。
加熱時の雰囲気は特に限定しないが、好ましくは硫化水素気流下ではなく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。焼成工程には、静置式のハースキルン、回転式のロータリーキルン等の焼成炉を用いることができる。
アルジロダイト型結晶構造としては、特許文献1等に開示されている結晶構造を挙げることができる。組成式としては、例えば、LiPSX、Li7−xPS6−x(X=Cl,Br,I、x=0.0〜1.8)等が挙げられる。
製造した固体電解質が、アルジロダイト型結晶構造を有していることは、例えば、CuKα線を使用した粉末X線回折により確認できる。アルジロダイト型結晶構造は、2θ=25.2±1.0deg及び29.7±1.0degに強い回折ピークを有する。なお、アルジロダイト型結晶構造の回折ピークは、例えば、2θ=15.3±1.0deg、17.7±1.0deg、31.1±1.0deg、44.9±1.0deg又は47.7±1.0degにも現れることがある。アルジロダイト型固体電解質は、これらのピークを有していてもよい。
本発明では、固体電解質が上記のようなアルジロダイト型結晶構造のX線回折パターンを有していれば、その一部に非晶質成分が含まれていてもよい。また、アルジロダイト型結晶構造以外の結晶構造や原料を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
なお、評価方法は以下のとおりである。
(1)体積基準平均粒子径(以下、レーザ回折D50という。)
レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製、LA−950V2モデルLA−950W2)で測定した。
脱水処理されたトルエン(和光純薬製、特級)とターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を93.8:6.2の重量比で混合したものを分散媒として用いた。装置のフローセル内に分散媒を50mL注入し、循環させた後、測定対象を添加して超音波処理した後、粒子径分布を測定した。なお、測定対象の添加量は、装置で規定されている測定画面で、粒子濃度に対応する赤色光透過率(R)が80〜90%、青色光透過率(B)が70〜90%に収まるように調整した。また、演算条件には、測定対象の屈折率の値として2.16を、分散媒の屈折率の値として1.49をそれぞれ用いた。分布形態の設定において、反復回数を15回に固定して粒径演算を行った。
(2)電子顕微鏡写真の画像処理から求める、固体電解質の平均粒径(以下、画像解析d50という。)
各例で製造した固体電解質を、走査型電子顕微鏡(SEM)により形態観察した。得られたSEM画像から、粒子が200個以上含まれる四角形の領域を選び(四角形の外枠に接する粒子は数に含めない。)、無作為に200個以上の粒子を抽出した。画像処理ソフトImageJにて粒度分布を求め、d50を平均粒径とした。なお、本願においては、画像解析d50の平均粒径に対し、上記のレーザ回折D50が大きいことから、画像解析d50が一次粒径に相当し、レーザ解析D50が二次粒径(一次粒子が凝集した凝集粒の粒径)に相当するものと考えられる。
(3)イオン伝導度測定
各例で製造したアルジロダイト型固体電解質を、錠剤成形機に充填し、22MPaの圧力を加え成形体とした。電極としてカーボンを成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、測定用の成形体(直径約10mm、厚み0.1〜0.2cm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度を測定した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
(4)X線回折(XRD)測定
各例で製造したアルジロダイト型固体電解質の粉末を、直径20mm、深さ0.2mmの溝に充填し、ガラスで均して試料とした。この試料を、XRD用カプトンフィルムで空気に触れさせずに測定した。回折ピークの2θ位置は、XRD解析プログラムZ−Rietveldを用いてRietveld解析にて決定した。
株式会社BRUKERの粉末X線回折測定装置D2 PHASERを用いて以下の条件にて実施した。
管電圧:30kV
管電流:10mA
X線波長:Cu−Kα線(1.5418Å)
光学系:集中法
スリット構成:ソーラースリット4°、発散スリット1mm、Kβフィルター(Ni板)使用
検出器:半導体検出器
測定範囲:2θ=10−60deg
ステップ幅、スキャンスピード:0.05deg、0.05deg/秒
測定結果より結晶構造の存在を確認するためのピーク位置の解析では、XRD解析プログラムZ−Rietveldを用い、Sonneveld法により800点の自動推定値と4次のルジャンドル直行多項式を組み合わせてベースラインを補正し、ピークシフト値はZ1+Z2×cosθ+Z3×sin2θを用いて各係数Z1〜Z3によって補正し、Spilit−Psedo−Voigt関数を用いてRietveld解析した。解析結果の重み付き信頼度因子Rwpと指標χが、それぞれ下記式(1)及び(2)を満たす際に、各結晶構造の割合を下記式(3)で定量評価した。
式中、Wiは統計的重みであり、yiは観測強度であり、fi(x)は理論回折強度(解析強度)である。
式中、Nは全データ数であり、Pは精密化したパラメータ数である。
式中、Wは第m相の重量分率であり、Sは各相のスケール因子であり、Zは単位胞中に含まれる化学式単位の個数であり、Mは分子量であり、Vは単位胞体積である。
なお、処理物の評価では、XRDで特定された全結晶構造種(β−LiPS、LiPS、LiS、LiCl及びLiBr)の結晶構造(5相)で解析したが、生成相としてLiClとLiBrが一部固溶している場合も、LiCl及びLiBrの2相と仮定し、計5相として式(3)を評価した。LiClとLiBrが完全に固溶して1相となった場合は、LiClの1相と仮定し、計4相として式(3)を評価した。また、アルジロダイト型固体電解質の評価では、生成したアルジロダイト型結晶構造は仕込比通りの組成Li5.4PS4.4Cl1.0Br0.6とし、不純物相であるLiCl及びLiBrの固溶体は、LiClの1相と仮定し、計2相で式(3)を評価した。
(5)比表面積
ガス吸着量測定装置(AUTOSORB6(シスメックス(株)製))を用いて窒素法で測定した。
製造例1
硫化リチウム(LiS)の製造
LiSの製造及び精製は、下記のように行った。
非水溶性媒体としてトルエン(住友商事株式会社製)を脱水処理し、カールフィッシャー水分計にて測定し水分量が100ppmとなったもの303.8kgを窒素気流下で500Lステンレス製反応釜に加え、続いて無水水酸化リチウム33.8kg(本荘ケミカル株式会社製)を投入し、ツインスター撹拌翼131rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。
スラリー中に硫化水素(住友精化株式会社製)を100L/minの供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。反応釜からは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後24時間で水の留出は認められなくなった。なお、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態であり、トルエンから分層した水分は無かった。
この後、硫化水素を窒素に切り替え100L/minで1時間流通した。
得られた固形分をろ過及び乾燥して、白色粉末であるLiSを得た。LiSのレーザ回折D50は412μmであった。
実施例1
(A)粉砕工程
製造例1で得たLiSを、窒素雰囲気下にて、定量供給機を有するピンミル(ホソカワミクロン株式会社製 100UPZ)にて粉砕した。投入速度は80g/min、円板の回転速度は18000rpmとした。
同様に、P(サーモフォス製、レーザ回折D50=125μm)、LiBr(本荘ケミカル社製、レーザ回折D50=38μm)及びLiCl(シグマアルドリッチ社製、レーザ回折D50=308μm)を、それぞれ、ピンミルにて粉砕した。Pの投入速度は140g/min、LiBrの投入速度は230g/min、LiClの投入速度は250g/minとした。円板の回転速度はいずれも18000rpmとした。
粉砕処理後のLiSのレーザ回折D50は7.7μm、Pのレーザ回折D50は8.7μm、LiBrのレーザ回折D50は5.0μm、LiClのレーザ回折D50は10μmであった。
(B)原料混合物の調製
窒素雰囲気のグローブボックス内にて、上記粉砕工程(A)で粉砕した各化合物を、モル比がLiS:P:LiBr:LiCl=47.5:12.5:15.0:25.0であり、合計110gとなるように計量したものを、ガラス容器に投入し、容器を振盪することにより粗混合した。
粗混合した原料110gを、窒素雰囲気下で、脱水トルエン(和光純薬製)1140mLと脱水イソブチロニトリル(キシダ化学製)7mLとの混合溶媒中に分散させ、約10重量%のスラリーとした。スラリーを窒素雰囲気に保ったまま、ビーズミル(LMZ015、アシザワ・ファインテック社製)を用いて粉砕処理することにより原料混合物を得た。具体的に、粉砕媒体には直径0.5mmのジルコニアビーズ456gを使用し、周速12m/s、流量500mL/minの条件でビーズミルを稼働させ、スラリーをミル内に投入し、1時間循環運転した。処理後のスラリーを窒素置換したシュレンク瓶に入れた後、減圧乾燥することで原料混合物を得た。
(C)熱処理工程
上記(B)で得た原料混合物30gを、エチルベンゼン(和光純薬社製)300mLに分散させてスラリーとした。このスラリーを、撹拌機及び加熱用オイルバスを具備したオートクレーブ(容量1000mL、SUS316製)に投入し、回転数200rpmで撹拌しながら、200℃で2時間熱処理した。処理後、減圧乾燥して溶媒を留去して、処理物を得た。
処理物について、比表面積、平均粒径(レーザ回折D50)、β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造の含有率を評価した。結果を表1に示す。なお、原料混合物のXRD測定の結果、原料以外のピークは観察されなかった。
処理物のXRDパターンを図2に示す。
(D)焼成工程
上記(C)で得た処理物を、窒素雰囲気下のグローブボックス内の電気炉(F−1404−A、東京硝子器械株式会社製)で加熱した。具体的には、電気炉内にAl製の匣鉢(999−60S、東京硝子器械株式会社製)を入れ、室温から380℃まで1時間で昇温し380℃で1時間以上保持した。その後、電気炉の扉を開け、素早く処理物1gを匣鉢に注ぎ入れたのち、扉を直ちに閉じ、10分間加熱した。その後、匣鉢を電気炉より取り出し、徐冷することにより固体電解質を得た。
固体電解質のXRDパターンには、2θ=25.5±1.0deg及び29.9±1.0deg等にアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。なお、後述する実施例及び比較例のすべてに、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
固体電解質について、平均粒径(レーザ回折D50)及びイオン伝導度を評価した。結果を表2に示す。なお、実施例1〜5では、平均粒径(画像解析d50)は1μm以下の微粒であり、かつ残存原料であるLiX(X=Cl,Br)の含有率が1重量%未満の固体電解質が得られた。
実施例2
実施例1(B)において、ビーズミルによる処理後のスラリーを、乾燥させずに熱処理工程に使用した。該スラリーをオートクレーブに投入し、180℃で2時間熱処理した。その他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。
処理物のXRDパターンを図3に示す。また、固体電解質のXRDパターンを図4に示す。
実施例3
実施例1(D)において、加熱時間を10分間から1時間に変更した他は、実施例2と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。
固体電解質のXRDパターンを図4に示す。
実施例4
熱処理後のスラリーを、孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターで濾別し、処理物を回収した以外は、実施例3と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。
処理物のXRDパターンを図3に示す。また、固体電解質のXRDパターンを図4に示す。
実施例5
実施例1(B)において、脱水トルエンの代りにトリデカン(和光純薬社製)を使用した。ビーズミルによる処理後のスラリーを、乾燥させずに熱処理工程に使用した。該スラリーを撹拌子及びジムロートを具備した三つ口フラスコを使用して、常圧下、200℃で2時間オイルバスにて加熱し、熱処理した。熱処理後のスラリーを、孔径0.5μmのPTFE製メンブレンフィルターで濾別し、得られた固体成分を、ノルマルヘキサン10mLで洗浄した後、減圧乾燥して処理物を得た。その他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。
処理物及び固体電解質のXRDパターンを図5に示す。
比較例1
熱処理を、下記のように実施した。
実施例1(B)で得た原料混合物(減圧乾燥物)2gを、窒素雰囲気下のグローブボックス内で、タンマン管(PT2、東京硝子器械株式会社製)内に詰め、窒素雰囲気下のグローブボックス内の電気炉(F−1404−A、東京硝子器械株式会社製)にタンマン管を入れ熱処理した。具体的には、室温から200℃まで1時間で昇温し、200℃で2時間保持した。その後、徐冷して処理物を得た。
その他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。処理物のXRDパターンを図3に示す。また、固体電解質のXRDパターンを図4に示す。
アルジロダイト型固体電解質は得られるものの、実施例と比較すると、平均粒径(レーザ回折D50)が大きくなることが確認できる。なお、平均粒径(画像解析d50)は1μm以下であった。
処理物のXRDデータをRietveld解析した結果を図6に示す。図6に示すとおり、β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造を含んでいることが確認された。各結晶構造の含有率を表1に示す。なお、原料混合物のXRD測定の結果、原料以外のピークは観察されなかった。
比較例2
実施例1(B)で得た原料混合物(減圧乾燥物)を、熱処理を経ずに焼成した他は、実施例1と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。固体電解質のXRDパターンを図7に示す。
アルジロダイト型固体電解質は得られるものの、実施例と比較すると、平均粒径が大きくなることが確認できる。
比較例3
焼成において、加熱時間を10分間から1時間に変更した他は、比較例2と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。固体電解質のXRDパターンを図7に示す。
アルジロダイト型固体電解質は得られるものの、実施例と比較すると、平均粒径が大きくなることが確認できる。
比較例4
実施例1(B)において、ビーズミル処理後のスラリーを、孔径0.5μmのPTFE製メンブレンフィルターで濾別し、固体成分を回収した。固体成分を100℃で2時間加熱して原料混合物を得た。該原料混合物を使用した他は、比較例3と同様にして固体電解質を作製し評価した。結果を表1及び2に示す。固体電解質のXRDパターンを図7に示す。
アルジロダイト型固体電解質は得られるものの、実施例と比較すると、平均粒径が大きくなり、また、残存原料であるハロゲン化リチウムのピークが観測された。
表2から、本願の実施例は比較例と比べて、固体電解質のレーザ回折D50が極めて小さく、かつ、イオン伝導度も5mS/cm以上と十分に高いことが確認できる。また、一次粒子が小さいことに加え、一次粒子同士の凝集も抑制されていることがわかる。また、実施例3及び4から把握されるとおり、焼成の加熱時間を長くしても一次粒子の成長が抑えられている。したがって、溶媒中で熱処理を行うことにより、微粒かつ残存原料の少ないアルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質をより安定して製造することが可能となる。

Claims (12)

  1. リチウム、硫黄、リン及びハロゲンを含む原料混合物を、耐圧容器を用いて又は還流しながら、溶媒中で熱処理すること、
    前記溶媒を除去すること、及び
    前記熱処理により得られた処理物を焼成すること、を含む、アルジロダイト型結晶構造を有する固体電解質の製造方法。
  2. 前記熱処理の加熱温度が150℃以上300℃以下である、請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
  3. 前記焼成の加熱温度が300℃以上470℃以下である、請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
  4. リチウム、硫黄、リン及びハロゲンから選ばれる一以上を含む二以上の原料を溶媒中で混合及び粉砕して前記原料混合物を得る、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  5. 前記溶媒が、炭化水素系溶媒と、ニトリル化合物及びエーテル化合物の少なくとも一方と、を含む、請求項4に記載の固体電解質の製造方法。
  6. 前記処理物が、PS構造を有する結晶を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  7. 前記PS構造を有する結晶が、β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造から選ばれる一以上である、請求項6に記載の固体電解質の製造方法。
  8. 前記処理物が、β−LiPS型結晶構造を15重量%以上含む、請求項7に記載の固体電解質の製造方法。
  9. 前記処理物が、LiPS型結晶構造を10重量%以上含む、請求項7に記載の固体電解質の製造方法。
  10. 前記処理物に含まれる全結晶構造に対する、β−LiPS型結晶構造及びLiPS型結晶構造の合計の含有率が、50重量%以上100重量%以下である、請求項7〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  11. 前記耐圧容器がオートクレーブである、請求項1〜10のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  12. 前記処理物の比表面積が15m/g以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
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