JP2020094154A - 反応性接着剤、積層フィルム、及び包装体 - Google Patents

反応性接着剤、積層フィルム、及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、ハイレトルト殺菌処理後も、より高い接着剤を維持できる反応性接着剤を提供する。【解決手段】少なくとも多価アルコールとダイマー酸とを反応原料とするポリエステルポリオール(A1)を含有するポリオール組成物(A)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤、及び、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が前記記載の反応性接着剤の層である積層フィルム、包装体。【選択図】なし

Description

本発明は反応性接着剤、それを使用してなる積層フィルム及び包装体に関する。
従来より、各種プラスチックフィルム同士の貼り合わせや、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムや金属箔とを積層(ラミネート)させた積層体が、様々な用途、例えば食品や医薬品、生活用品の包装材料や、防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、電池用包装材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー等の屋外産業用途、射出成形同時加飾方法等に使用する加飾用途等で使用されている。
これらの積層体は、各々用途での要求特性に応じて、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせ、その要求特性に応じた接着剤が選択される。例えば食品や生活用品であれば、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性、耐内容物性、耐ピンホール性、といった機能が要求される。
更にこれらの積層体はシート状で流通することは少なく、例えば端をヒートシールした袋状としたり、あるいは熱成形用により成形加工を施される場合もあり、ヒートシール性や成型加工性を要求される場合もある。
このようなラミネートに使用する接着剤として、従来より、水酸基とイソシアネート基とを反応させる反応型接着剤(2液硬化型接着剤ともいう)が知られている。
例えば食品用途では、2個の水酸基を有するジオール化合物(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなる接着剤において、2個の水酸基を有するジオール化合物(A)が、(1)モノマー酸成分が10質量%以下、ダイマー酸成分が70質量%以上、トリマー酸成分が20質量%以下であるダイマー酸と多価アルコールを反応して得られるポリエステルポリオールや(例えば特許文献1参照)、ポリエステルポリウレタンポリオール(例えば特許文献2参照)であるドライラミネーションに適した2液硬化型ラミネート用接着剤組成物が知られている。
これらの接着剤は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム/ONy(2軸延伸したナイロンフィルム)/アルミ箔/CPP(無延伸ポリプロピレン)の4層の各層を接着させた後の複合フィルムにおいて、135℃で30分間の蒸気式のレトルト殺菌処理後もデラミネーション等がなく優れたレトルト性を示すものである。しかしながら、近年要望の高いONy(2軸延伸したナイロンフィルム)/アルミ箔/CPP(無延伸ポリプロピレン)の3層の各層を接着させた後の複合フィルムに対しては、要求特性である135℃で40分以上のハイレトルト殺菌処理や耐ピンホール性に対し、まだ改善の余地がある。
特開2003−13032号公報 特開2001−335771号公報
本発明が解決しようとする課題は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、ハイレトルト殺菌処理後も、より高い接着性を維持できる反応性接着剤を提供することにある。
本発明者らは、ナイロンフィルムへの水分浸透抑制に優れる疎水性であるダイマー酸を導入したポリエステルポリオールと、ハイレトルト殺菌処理時のナイロンフィルムの収縮に追従可能な、反応性が高く2官能のイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを組み合わせることが、効果的であることを見出した。
ハイレトルト殺菌処理時には、ナイロンフィルムの水分浸透が生じやすく、且つナイロンフィルムが最外装であるためにナイロンフィルムの過度な収縮も招くことがある。本発明者らは、反応性が高く2官能のイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、ナイロンフィルムへの水分浸透抑制に優れる疎水性であるダイマー酸を導入したポリエステルポリオールと組み合わせることで、両物性のバランスに優れ、更に耐ピンホール性も改良できることを見出した。
即ち本発明は、少なくとも多価アルコールとダイマー酸とを反応原料とするポリエステルポリオール(A1)を含有するポリオール組成物(A)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤を提供する。
また本発明は、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜4のいずれかに記載の反応性接着剤の層である積層フィルムを提供する。
また本発明は、第一のプラスチックフィルム、印刷層、接着剤層、第二のプラスチックフィルムをこの順に積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜4のいずれかに記載の反応性接着剤の層である積層フィルムを提供する。
また本発明は、前記記載の積層フィルムを袋状に成形してなる包装体を提供する。
本発明の反応性接着剤は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、高速塗工条件であっても、高い接着性とラミネート加工後の優れた外観を有する積層フィルムを得ることができる。さらに耐熱性と耐内容物性にも優れるため、特に食品包装袋として好適に使用することができる。
特に本発明の反応性接着剤は、該反応性接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得る場合に、前記第二のプラスチックフィルムとして汎用のCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレンフィルム)フィルム等のシーラントフィルムや、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)といったフィルムに特に濡れ性が高いことから、これらのフィルムを使用した積層フィルムの製造に特に好ましく使用できる。
(言葉の定義 溶剤)
本発明の反応性接着剤は、イソシアネート基と水酸基との化学反応によって硬化する接着剤であり、無溶剤型としても溶剤希釈型としても使用可能な接着剤である。なお本発明でいう無溶剤型の接着剤の「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネートやポリオールを溶解することの可能な、溶解性が高く揮発性の有機溶剤を指し、「無溶剤」とは、これらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸nープロピル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
本発明の反応性接着剤は、低粘度等の要求がある場合には、所望の粘度に応じて適宜前記溶解性の高い有機溶剤で希釈して使用してもよい。その場合は、ポリオール組成物(A)またはポリイソシアネート組成物(B)のいずれか1つを希釈してもよいし両方を希釈してもよい。このような場合に使用する有機溶剤としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸nープロピル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも溶解性の点から酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)が好ましく、特に酢酸エチルが好ましい。有機溶剤の使用量は所要される粘度によるが概ね0.1〜70質量%の範囲で使用することが多い。
また、本発明の接着剤の低粘度化を達成するために、トリアセチン、プロピレンカーボネート等の水酸基を有さないカルボニル基を有する沸点200℃以上の溶剤も使用してよい。これら高沸点の有機溶剤の使用量は所要される粘度と塗膜物性によるが概ね0.1〜10質量%の範囲で使用することが多い。
(数平均分子量)
本願発明において重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;+東ソー株式会社製 TSK−GEL 4000HXL、TSK−GEL 3000HX、TSK−GEL 2000HX、TSK−GEL 1000HX
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
(ポリオール組成物(A))
本発明で使用するポリオール組成物(A)は、少なくとも多価アルコールとダイマー酸とを反応原料とするポリエステルポリオール(A1)を含有する。
前記ポリエステルポリオール(A1)の原料である多価アルコールは特に限定なく公知のものを使用することができる。具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール等が挙げられる。
前記ポリエステルポリオール(A1)の原料であるダイマー酸とはオレイン酸、リノール酸などの炭素原子数18の不飽和脂肪酸のディールスアルダー型2量化反応による生成物であり、不飽和結合に水素を添加し飽和させたものなど種々のものが市販されている。代表的なものは、炭素原子数18のモノカルボン酸0〜5重量%、炭素原子数36のダイマー酸70〜98%および炭素原子数54のトリマー酸0〜30重量%からなるものである。
本発明においては、酸成分であるダイマー酸以外の多価カルボン酸を併用したポリエステルポリオール(A)でもよい。多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
ダイマー酸以外の多価カルボン酸を併用する場合、多価カルボン酸はダイマー酸に対し 0〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。
ポリエステルポリオール(A1)は、少なくとも多価アルコールとダイマー酸とを反応原料とするが、更に多価イソシアネートと反応させたポリエステルポリウレタンポリオールであってもよい。
多価イソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の脂肪族ポリイソシアネート;これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体、または、これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)、これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体などが挙げられるが、安定性の観点からジイソシアネートが好ましい。
前記ポリエステルポリオール(A1)の重量平均分子量は1000〜100000の範囲が好ましく、より好ましくは3000〜50000の範囲である。
本発明においては、前記ポリエステルポリオール(A1)以外のポリオールを含んでいてもよい。ポリオールとしては、原料としてダイマー酸を使用していない公知のポリオールであれば特に限定なく使用することができる。例えば、グリコール、ダイマージオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオールを挙げることができる。
グリコール等としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコールのトリオール体等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;ダイマージオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとしては、1分子中にウレタン結合を有するポリオールであり、例えば、数平均分子量200〜20,000のポリエーテルポリオールと有機ポリイソシアネートとの反応物で、NCO/OHが1未満が好ましく、より好ましくは0.9以下のものを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは後述のポリイソシアネート化合物、特にジイソシアネート化合物を使用することができる。
ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオールは、ポリエステルポリオールやポリエーテルエステルポリオール等と有機ポリイソシアネートとの反応物で、NCO/OHが1未満が好ましく、より好ましくは0.9以下のものを挙げることができる。
ポリエステルアミドポリオールとしては、上記エステル化反応に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料としてあわせて使用することによって得られる。
アクリルポリオールの例としては、1分子中に1個以上の水酸基を含むアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAの中から選ばれた1種又は2種以上のグリコールをジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られたものが挙げられる。
ポリヒドロキシアルカンとしては、ブタジエン、又はブタジエンとアクリルアミド等と共重合して得られる液状ゴムが挙げられる。
また、本発明に用いられるポリオール化合物として、ポリイソシアネートとビス(ヒドロキシアルキル)アミンの反応物であって末端にウレア結合基を有するものも好ましく用いることができる。
この中でも、ガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)が60℃以上のポリエステルポリオール(A2)が好ましい。ガラス転移温度が60℃以上のポリエステルポリオール(A2)としては、例えばテレフタル酸と1,2−プロパンジオールとの反応生成物であるポリエステルポリオールや、テレフタル酸とエチレングリコールとの反応生成物であるポリエステルポリオール等があげられる。
なお本発明において、ガラス転移温度とは、JIS K7121により定義されるものである。
<DSC測定方法>
示差走査熱量測定装置(日立ハイテクサイエンス/X−DSC7000(オートサンプラーおよび電子冷却器付き。以下DSCとする)を用い、試料5mgを30mL/minの窒素気流下で30℃から10℃/minで150℃まで昇温した後、10℃/minで−60℃まで冷却する。再び10℃/minで150℃まで昇温させてDSC曲線を測定し、二度目の昇温工程で観測される測定結果における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点をガラス転移点とし、このときの温度をガラス転移温度とする。
前記ポリエステルポリオール(A2)の重量平均分子量は、2000〜300,000の範囲が好ましく、より好ましくは6000〜100,000の範囲である。
(ポリイソシアネート組成物(B))
本発明で使用するポリイソシアネート組成物(B)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下4,4’−MDIと称する場合がある)を含有する。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量は、全ポリイソシアネート組成物(B)が含有する全ポリイソシアネート化合物の質量に対し0.5〜90質量%となることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%である。
他に反応原料として含んでいてもよいイソシアネート化合物は、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート以外の芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び該ジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体、アダクト体、アロファネート体、カルボジイミド変性イソシアネート、イソシアネートとポリオールを反応させたウレタンプレポリマー等が挙げられ、これらを単独でまたは複数組み合わせて使用することができる。
例えば芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
例えば芳香脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に1つ以上の芳香環を有する脂肪族イソシアネートを意味し、例えば、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(別名:XDI)、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(別名:TMXDI)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
例えば脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
例えば脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの中でも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートのビウレット体を併用することが、フィルムや金属箔への濡れ性をより高めることができ好ましい。この場合、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートのビウレット体との配合割合は、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)/芳香族ジイソシアネートのビウレット体が10/0.1〜10/8の範囲であることが好ましく、10/0.1〜10/1の範囲であることがなお好ましい。
(分岐構造濃度)
本発明における反応性接着剤は、反応性接着剤固形分1グラムあたりの分岐構造濃度が0.10mmol/g以下であることが好ましい。この範囲であると、デラミネーションおよび耐ピンホール性について好ましい。なお下限は特に限定はなく全く含まれていなくても特に問題はない。なお該分岐構造濃度は、下記式により定義されるものである。
Figure 2020094154

本発明において分岐構造とは、前記ポリオール組成物(A)が含有するポリオール及び/又はポリイソシアネート組成物(B)が含有するポリイソシアネートにおいて、ポリオールであれば主鎖の両末端に存在する水酸基、ポリイソシアネートであれば主鎖の両末端に存在するイソシアネート基以外の反応性基(これは多くは水酸基、カルボキシル基、あるいはイソシアネート基であることが多い)、あるいは炭素原子数6以上の長鎖アルキル基が、ポリオール主鎖あるいはポリイソシアネート主鎖にペンダントしてなる構造を表す。この場合多くは、ポリオール主鎖あるいはポリイソシアネート主鎖を構成する炭化水素基に前記反応性基を末端に有する鎖がペンダントした構造であったり、ポリオール主鎖あるいはポリイソシアネート主鎖を構成する炭化水素基に前記炭素原子数6以上の長鎖アルキル基がペンダントした構造である。
このような分岐構造は、前記ポリオール組成物(A)が含有するポリオール及び/又はポリイソシアネート組成物(B)が含有するポリイソシアネートの反応原料である多価アルコール又は多価カルボン酸として、3官能以上のアルコール、3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物、3官能以上のイソシアネート、あるいは長鎖アルキル基を分岐鎖に有する多価アルコール又は多価カルボン酸を使用することで導入が可能である。
例えば3官能以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコールが挙げられる。
また、3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族三塩基酸;トリメリット酸、無水トリメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族三塩基酸及びその無水物が挙げられる。
また、炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸としては、例えば前述のダイマー酸のほか、ダイマージオール、ひまし油、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールが挙げられる。
(芳香環濃度)
また、本発明における反応性接着剤は、該反応性接着剤固形分1グラムあたりの芳香環濃度が2.9〜3.8mmol/gの範囲内であることが好ましい。この範囲であると、デラミネーションについて好ましい。より好ましくは3.25〜3.60mmol/gの範囲内である。
なお、該芳香環濃度は、下記式により定義されるものである。
Figure 2020094154
本発明において芳香環濃度とは、前記ポリオール組成物(A)が含有するポリオール及び/又はポリイソシアネート組成物(B)が含有するポリイソシアネートが有する芳香環の数から算出する。芳香環はベンゼン環、ベンゼン環が2個縮合したナフタレン環、ベンゼン環が3個縮合したアントラセン環やフェナントレン環等があるが、これらはすべて1つと計算する。
本発明の反応性接着剤は、詳述した通り、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを必須成分とするものであるが、更に、脂肪族環状アミド化合物を、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合することにより、ラミネート包装体において芳香族アミンに代表される有害な低分子化学物質の内容物への溶出が効果的に抑制できる。
ここで用いる脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントールラクタム、η−カプリルラクタム、β−プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でも低分子化学物質の溶出量低減の効果に優れる点からε−カプロラクタムが好ましい。また、その配合量は、ポリオール成分A100質量部あたり、脂肪族環状アミド化合物を0.1〜5質量部の範囲で混合させることが好ましい。
本発明の反応性接着剤は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP−1000」、「PP−2000S」等が挙げられる。
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
本発明で用いる顔料の質量割合は、イソシアネート成分Bとポリオール成分Aの合計100質量部に対して、1〜400質量部、中でも10〜300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
また本発明の反応性接着剤には接着促進剤を用いることもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップチング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールのβ−メチルグリシジルエーテル、ノボラック樹脂のβ−メチルグリシジルエーテル、環状オキシラン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明で使用する反応性接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;湿潤分散剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤などが挙げられる。
これらの顔料、接着促進剤、添加剤は、イソシアネート成分B又はポリオール成分Aのどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合して使用することができる。これらのなかでも、顔料、接着促進剤、及び添加剤をポリオール成分Aに予め配合したプレミックスを本発明のラミネート接着剤用ポリオール組成物として調整し、反応性接着剤として使用することが、作業性の点から好ましい。
本発明の反応性接着剤において、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)との配合比は、ポリオール組成物(A)に含まれる水酸基の合計モル数[OH]と、ポリイソシアネート組成物(B)に含まれるイソシアネート基のモル数[NCO]との比[NCO]/[OH]を2.5〜10.0の範囲とすることが好ましく、より好ましくは、5.0〜8.5程度で使用するのがよい。これによりハイレトルト耐性、耐ピンホール性に優れる2液型接着剤となる。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に前記反応性接着剤からなる接着剤層を積層してなる。具体的には、前記反応性接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得られるものである。例えば前記反応性接着剤を、ロールコーター塗工方式で第一のプラスチックフィルムに塗布し、次いで、乾燥工程を経て、他の基材を貼り合わせる方法が挙げられる。また塗布量は、0.5〜5g/mが好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0g/m程度で使用するのがよい。
また、前記第一のプラスチックフィルム上に、印刷インキを印刷したものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキは溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを使用することができる。
本発明で使用する反応性接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12〜72時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
ここで用いる、第一のプラスチックフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロンフィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のKコートフィルム、各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔等が挙げられ、第二のプラスチックフィルムとしては、前記他の基材としては、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレンフィルム)フィルム等のシーラントフィルムが挙げられる。
本発明においては、無溶剤型ラミネート機で高速ラミネート加工しても優れた積層フィルム外観が得られるが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム/VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)のフィルム構成の場合200m/分以上、OPP/CPPのフィルム構成の場合350m/分以上の高速加工であっても良好な外観を呈することできる。
(包装体)
本発明の包装体は、前記積層フィルムを袋状に成形してなり、具体的には前記積層フィルムをヒートシールすることにより包装体の形態となる。また、包装体としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装体として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することもできる。通常は基材層、紙層、第2のシーラント層、不職布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。接着剤としては、前記反応性接着剤を使用してもよいし、他の1液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いてもよい。
具体的な積層体構成としては、一般の包装体や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層、第一のプラスチック層をバリア層にした、基材層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層や紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/紙層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック、第二のプラスチック層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層、紙層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/シーラント層やチューブ容器などに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/接着層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを有していても構わない。
第一のプラスチックフィルム層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられる。なかでも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。
また、第一のプラスチックフィルム層は、バリア機能を付与するためにアルミニウム箔などの軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層;塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層などを採用できる。
第二のプラスチックフィルム層としては、従来から知られたシーラント樹脂を使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などがあげられる。なかでも低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。シーラント層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性などを考慮して10〜90μmの範囲が好ましく、15〜80μmの範囲がより好ましい。また、シーラント層に高低差5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラント層に滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
紙層としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。第1および第2のシーラント層は、上述のシーラント層と同様の材料で形成することができる。基材層および紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
本発明の包装体の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラッシク、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
本発明の包装体は、主に食品、洗剤、薬剤を充填する包装体として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、医薬用タブレット等が挙げられる。また、上記の容器を包装する2次包装体にも使用できる。特に前記反応性接着剤を用いているため、溶出が問題となるような食品、医薬品用途の包装体として好適に使用することができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
〔合成例1〕ポリエステルポリオール(A−1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸の105部、イソフタル酸の105部、ダイマー酸(ツノダイム216、築野食品社製、AN=194mgKOH/g)の53.83部、アジピン酸の103.26部、エチレングリコールの48.94部、ネオペンチルグリコールの98.12部、1,6−ヘキサンジオールの48.94部、およびチタン触媒の0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し中間体ポリエステルポリオールを得た。
得られた中間体ポリエステルポリオールの100部に対し、イソホロンジイソシアネートの3.2部を加え90℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化の反応を行い酢酸エチルで希釈して不揮発分50%時にガードナー粘度W−Yのポリエステルウレタンポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−1)とする。ポリエステルポリオール(A−1)の固形分は、原料の合計579.18部から脱水量74.39部を引いた504.79部である。
〔合成例2〕ポリエステルポリオール(A−2)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸の227.5部、セバシン酸の204.8部、エチレングリコールの42.6部、ネオペンチルグリコールの199.0部、およびチタン触媒の0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し中間体ポリエステルポリオールを得た。
得られた中間体ポリエステルポリオールの100部に対し、イソホロンジイソシアネートの4.5部を加え90℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化の反応を行い酢酸エチルで希釈して不揮発分60%時にガードナー粘度V−Xのポリエステルウレタンポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−2)とする。ポリエステルポリオール(A−2)の固形分は、原料の合計673.90部から脱水量171.42部を引いた502.47部である。
〔合成例3〕ポリエステルポリオール(A−3)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸の166.12部、オルトフタル酸の166.12部、ネオペンチルグリコールの208.3部、1,2−プロパンジオールの76.09部およびチタン触媒の0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、3.0時間保持してエステル化反応を終了し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%に調整したポリエステルポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−3)とする。ポリエステルポリオール(A−3)の固形分は、原料の合計512.48部から脱水量144.00部を引いた368.48部である。
〔合成例4〕ポリエステルポリオール(A−4)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸の159.44部、イソフタル酸の139.52部、セバシン酸の40.52部、ネオペンチルグリコールの95.80部、エチレングリコールの67.00部およびチタン触媒の0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、3.0時間保持してエステル化反応を終了し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%に調整したポリエステルポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−4)とする。ポリエステルポリオール(A−4)の固形分は、原料の合計502.28部から脱水量143.90部を引いた358.30部である。
〔合成例5〕ポリエステルポリオール(A−5)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸の322.2部、エチレングリコールの37.24部、1,2−プロピレングリコールの106.53部およびチタン触媒の0.25部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、3.0時間保持してエステル化反応を終了し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%に調整したポリエステルポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−5)とする。ポリエステルポリオール(A−5)の固形分は、原料の合計476.01部から脱水量144.00部を引いた332.01部である。
〔合成例6〕ポリエステルポリオール(A−6)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸の166.12部、イソフタル酸の166.12部、エチレングリコールの59.59部、ネオペンチルグリコールの108.32部、およびチタン触媒0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、5.0時間保持してエステル化反応を終了し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%に調整したポリエステルポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−6)とする。ポリエステルポリオール(A−6)の固形分は、原料の合計500.14部から脱水量144.00部を引いた356.14部である。
〔合成例7〕ポリエステルポリオール(A−7)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸の338.88部、エチレングリコールの37.24部、1,2−プロピレングリコールの106.53部およびチタン触媒の0.15部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価が1.5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、7.0時間保持してエステル化反応を終了し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%に調整したポリエステルポリオール溶液を得た。これをポリエステルポリオール(A−7)とする。ポリエステルポリオール(A−2)の固形分は、原料の合計482.65部から脱水量146.88部を引いた335.77部である。
合成例1〜7のポリエステルポリオールの、分岐構造濃度と芳香環濃度とを、表1に示す。
(分岐構造濃度の算出方法)
合成例1のポリエステルポリオール(A−1)を例に説明する。ポリエステルポリオール(A−1)の原料のうち、ダイマー酸が分岐構造である長鎖アルキル基を有しており、具体的には組成中の重量比率14%有する。分岐構造をもつ分子の分子量を849.42としたときに、ダイマー酸1部に含まれる分岐構造を有する分子は0.14部であり、含まれる分岐構造は0.1648ミリモルと算出できる。ポリエステルポリオール(A−1)の固形分1部あたりの分岐構造濃度は、ダイマー酸1部あたりの分岐構造濃度0.1648にダイマー酸の使用量58.38を積算し、ポリエステルポリオール(A−1)の固形分504.79で除した値0.0176ミリモルである。
(芳香環濃度の算出方法)
合成例1のポリエステルポリオール(A−1)を例に説明する。ポリエステルポリオール(A−1)の原料のうち、テレフタル酸とイソフタル酸が芳香環を有している。テレフタル酸とイソフタル酸のモル数は、テレフタル酸(分子量166.14)、イソフタル酸(分子量166.14)をそれぞれの分子量で除した値0.6319モルと0.6319モルであるため、ポリエステルポリオール(A−1)に含まれる芳香環は、固形分1部につき、テレフタル酸のモル数とイソフタル酸のモル数を合計の固形分重量で除し、1000をかけた値、2.5095ミリモルと算出される。
Figure 2020094154
ポリイソシアネート組成物(B)としては以下のものを使用した。
ポリイソシアネート(B−1):HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)のビウレット体からなるポリイソシアネートであり、不揮発分は100%、NCO%は22.5%のものを使用した。1分子につき分岐構造を1つ有する。
ポリイソシアネート3(B−2):HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)のアロファネート体からなるポリイソシアネートであり、不揮発分は100%、NCO%は19.5%のものを使用。
ポリイソシアネート(B−3):4,4’−MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)(東ソー社製 ミリオネートMT―Fを酢酸エチルに溶解させたものであり、不揮発分は50%、NCO%(溶液)は16.7%)を使用。1分子につき芳香環を2つ有する。
ポリイソシアネート(B−4):D―110N(三井化学社製、ポリイソシアネート 不揮発分:75%、NCO%:11.5%)を使用。1分子につき分岐構造を1つ有し芳香環を3つ有する。
ポリイソシアネート(B−5):T1890(エボニック社製、ポリイソシアネート 不揮発分:100%、NCO%:21.5%)を使用。1分子につき分岐構造を1つ有する。
ポリイソシアネート(B−1)〜(B−5)の、分岐構造濃度と芳香環濃度とを、表2に示す。
(分岐構造濃度の算出方法)
ポリイソシアネート(B−1)を例に説明する。固形分1部に対しヘキサメチレンジイソシアネートビウレットの分子量477.61で除した値に1000を積算した値2.0937とした。
(芳香環濃度の算出方法)
イソシアネート(B−3)を例に説明する。芳香環濃度は固形分1部に対し4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの分子量250.25で除した値に2×1000をかけた値7.9920ミリモルとした。
Figure 2020094154
<Tgの測定>
各合成例におけるポリオールおよびポリエステルポリオールのTgは前記に示すDSC法により測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2020094154

(実施例1)反応性接着剤の調整
ポリエステルポリオール(A−1)を70部と、ポリエステルポリオール(A−3)を30部との混合溶液に、KBM−403(信越化学社製、シランカップリング剤 不揮発分100%)0.2部を加えてKBM−403が完全溶解するまでよく攪拌した。ここにイソシアネート(B−1)を2.0部、イソシアネート(B−3)を6.6部と不揮発分が30%になるように酢酸エチルを加えてよく攪拌し、反応性接着剤を作成した。各々の配合比率を表4に示す。
(実施例2)〜(実施例8)
接着剤の調整に用いる材料、配合を表4および表5に記載の値に調整した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例8の反応性接着剤を製造した。
(比較例1)〜(比較例7)
接着剤の調整に用いる材料、配合を表4および表5に記載の値に調整した以外は実施例1と同様にして、比較例1〜比較例7の反応性接着剤を製造した。
(反応性接着剤固形分1グラムあたりの分岐構造濃度の算出方法)
実施例1の配合を例にとり説明する。ポリエステルポリオール(A−1)は配合70部のうち35部が固形分であり、イソシアネート(B−1)は配合2.2部が全て固形分である。ポリエステルポリオール(A−1)、イソシアネート(B−1)の固形分1部あたりの分岐濃度を実施例1に配合された固形分量でそれぞれ積算し、合計した分岐濃度を実施例の全配合の固形分の合計55.5部で除した値0.0941を実施例1の分岐濃度とした。
(反応性接着剤固形分1グラムあたりの芳香環濃度の算出方法)
実施例1の配合を例にとり説明する。ポリエステルポリオール(A−1)は配合70部のうち35部が固形分であり、ポリエステルポリオール(A−3)は配合の30部のうち15部が固形分であり、イソシアネート(B−3)は配合6.6部のうち3.3部が固形分である。ポリエステルポリオール(A−1)、ポリエステルポリオール(A−3)、イソシアネート(B−3)の固形分1部あたりの芳香環濃度を実施例1に配合された固形分量でそれぞれ積算し、合計した芳香環モル数195.6264を実施例1の全配合の固形分の合計55.5部で除した値3.5248を実施例1の芳香環濃度とした。
各々の反応性接着剤の分岐構造濃度と芳香環濃度は、表6、表7に表示した。
(評価方法)
実施例または比較例の反応性接着剤を用いて、常態接着強度測定、耐レトルト性試験ならびに、耐ピンホール性試験を行った。これらの試験を行うための接着剤硬化塗膜の作成方法および、常態接着強度測定の方法、耐レトルト性試験および耐ピンホール性試験方法をそれぞれ以下に示す。
(複合フィルムの製造方法)
実施例または比較例の反応性接着剤を、テストラミネーター(武蔵野機械(株)製)を用いて、塗布量3.1g(固形分)/mとなるようにONy(2軸延伸ナイロン)フィルムに塗布し、温度80℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥させた。その後ONyフィルムの該接着剤面とアルミ箔とをラミネートし、ONyフィルム/アルミ箔の2層からなる複合フィルムを得た。次いで、この複合フィルムを50℃×3日間のエージングを行い、該接着剤の硬化を行って2層の複合フィルムを得た。
このONyフィルムとアルミ箔とをラミネートした2層の複合フィルムのアルミ箔面に、塗布量3.1g(固形分)/mとなるように当該接着剤を塗布、乾燥し、当該接着剤面上にCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムを重ね合わせラミネートし、ONyフィルム/アルミ箔/CPPフィルムの3層からなる複合フィルムを作成した。次いで、この複合フィルムを50℃×3日間のエージングを行い接着剤の硬化を行って、3層の複合フィルムを得た。
フィルムは以下のものを使用した。
ONyフィルム :ユニチカ(株)製 「エンブレム」15μm、あるいは東洋紡績(株)製「ONBC−RT」15μm
アルミ箔 :東洋アルミニウム工業(株)製「アルミハクC」9μm
CPPフィルム :東洋紡績(株)製 「ZK−207」70μm
(常態接着強度)
前記3層の複合フィルムを用いて、引張り試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、T型の剥離方法で測定した引張り強度を常態接着強度とした。接着強度の単位はN/15mmとする。
(耐ハイレトルト性)
前記3層の複合フィルムを用いて、120mm×180mmの大きさにトリミングし、CPPを内側とし半分に折り合わせ、切り口の3方に対し180℃×1秒間のヒートシールを行うことで120mm×90mmの大きさのパウチを作成し、内容物として水を10ml充填した。全てのパウチについて、135℃のレトルトスプレー中で30分もしくは40分の加圧加熱殺菌消毒処理をした後のパウチの外観を目視で評価した。ONy(2軸延伸ナイロン)とアルミ箔との間のデラミネーションの有無および外観の観察により評価した。記号の説明を下記に示す。
◎:実用上優れる
○:実用域
△:外観不良
×:デラミネーションあり
(耐ピンホール性)
前記3層の複合フィルムを、205mm×290mmの大きさにトリミングした。25℃の室内でゲルボフレックステスト機(BE−1006、テスター産業社製)によりゲルボフレックス試験(440度ねじり×3.5インチ直進)×10回を実施した。この試験後におけるフィルムの5cm×5cm四方中のピンホール数を浸透液にて数え、耐ピンホール性とした。耐ピンホール性評価結果についての記号の説明を下記に示す。
○:5以下
△:5以上
×:10以上
Figure 2020094154

Figure 2020094154
Figure 2020094154

Figure 2020094154


比較例1、2は、ポリオール成分の疎水性が不足しておりレトルト耐性が悪い結果となった。比較例3は、硬化剤に2官能であるイソシアネート(B−3)が入っていないため架橋密度が高すぎ、耐ピンホール性に劣る結果となった。比較例4−7は、硬化剤にイソシアネート(B−3)が入っておらず、レトルト処理時のナイロンの収縮に対し接着剤が追従できずにデラミが発生する結果となった。また耐ピンホール性にも劣る結果となった。
以上の結果より、本発明の反応性接着剤は、ハイレトルト耐性および耐ピンホール性に優れており、高温内容物の充填時やボイル・レトルト試験等に生じうるデラミネーションや輸送時のフィルム屈曲によるピンホールの発生抑制に寄与できることは明らかである。

Claims (7)

  1. 少なくとも多価アルコールとダイマー酸とを反応原料とするポリエステルポリオール(A1)を含有するポリオール組成物(A)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物(B)とを含有することを特徴とする反応性接着剤。
  2. 前記ポリオール組成物(A)が、前記ポリエステルポリオール(A1)及びガラス転移温度が60℃以上のポリエステルポリオール(A2)を含有する請求項1に記載の反応性接着剤。
  3. 反応性接着剤固形分1グラムあたりの分岐構造濃度が0.10mmol/g以下である請求項1または2に記載の反応性接着剤。
  4. 反応性接着剤固形分1グラムあたりの芳香環濃度が3.25〜3.60mmol/gの範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の反応性接着剤。
  5. 第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜4のいずれかに記載の反応性接着剤の層であることを特徴とする積層フィルム。
  6. 第一のプラスチックフィルム、印刷層、接着剤層、第二のプラスチックフィルムをこの順に積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜4のいずれかに記載の反応性接着剤の層であることを特徴とする積層フィルム。
  7. 請求項5又は6に記載の積層フィルムを袋状に成形してなる包装体。
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