JP2018199251A - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなラミネート用接着剤としては、例えばポリイソシアネートとポリオールからなる2液硬化型接着剤が知られており、プラスチックフィルム及び金属箔等を積層してラミネートフィルムを製造する際、養生後のフィルムへの初期接着強度に優れ、ラミネートフィルムで袋を作成後、内容物を入れて滅菌処理した後、ラミネートフィルムが剥離し難く(加熱及び加湿後の経時による接着強度の低下が小さく)、さらに、ラミネートフィルムの外観を長期にわたって維持できる接着剤として、ポリイソシアネートとポリオールに酸変性されたブチラール樹脂が配合されて得られるラミネート用接着剤が知られている(例えば特許文献1参照)
前記ウレタン接着剤層が酸無水物を有し、前記金属原子を有する基材フィルム(X)側に酸無水物が偏在している積層フィルムを提供する。
なお本発明でいう無溶剤型の接着剤の「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネート(A)やポリオールを溶解することの可能な、溶解性の高い有機溶剤を指し、「無溶剤」とは、これらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
本発明の積層フィルムは、金属原子を有する基材フィルム(X)と、基材フィルム(Y)の間にウレタン接着剤層を積層してなり、前記ウレタン接着剤層が酸無水物を有し、前記金属原子を有する基材フィルム(X)側に酸無水物が偏在していることが特徴である。
本発明で使用する酸無水物は、1分子中に酸無水基を有する化合物であれば特に限定はされないが、中でも1分子中に2個以上の酸無水基を有する酸無水物(以下「1分子中に2個以上の酸無水基を有する酸無水物」を酸無水物(C)と称する場合がある)であることが好ましい。酸無水物(C)として具体的には、無水ピロメリット酸、2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロカルボン酸無水物[CAS番号 73003−90−4]、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のような2官能無水物化合物、
前記ビニル酸無水物モノマーと不飽和基を有するモノマーの共重合体としては、構成するモノマーとして無水マレイン酸とスチレンとの組み合わせや無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせ等が挙げられ、中でも無水マレイン酸とスチレンとの組み合わせが好ましい。前記ビニル酸無水物モノマーと不飽和基を有するモノマーとは、ラジカル重合により共重合させることができ、その重量平均分子量(Mw)は5,000〜10,000の範囲にあるものが好ましい。
例えばn < 3の場合には、△viに4nを加える。
また例えばn ≧ 3の場合には、△viに2nを加える。
σi; 溶解性パラメータ
Ev; 蒸発エネルギー (cal/mol)
V; モル体積 (cm3/mol)
△ei; i成分の原子 又は 原子団の蒸発エネルギー
△vj; i成分尾原子 又は 原子団のモル体積
Tg; ガラス転移温度 (K°)
(1)金属原子を有する基材フィルム(X)に酸無水物(C)を偏在させる。
(2)加熱処理前において酸無水基が反応せず残留していること。
の2つが重要となる。
金属原子を有する基材フィルム(X)に酸無水物(C)を偏在した状態で加熱処理すると、酸無水物(C)の無水酸基と残留イソシアネート基、又は加水分解で生じたアミンが架橋反応する。これによりアミック酸、イミド結合が生じ結果的に高い強度を得ることができる。これらの反応で得られた架橋構造は、接着剤層よりも硬い架橋構造を有しており、即ちより強固なラミネート強度が得ることができる。
エージング時間としては、24〜240時間がこのましく、エージング温度としては、20〜50℃がこのましい。酸無水物が接着剤層に多く含まれるほどエージング時間が短縮することが可能である。
本発明で使用するポリイソシアネート(A)は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、及びこのアルファネート化合物;これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体;これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート体;これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体;トリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記した各種のポリイソシアネート、または混合物と、これら各種ポリイソシアネートとポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
なお本発明において「ポリイソシアネート(A)成分」とは、ポリイソシアネート(A)を含む組成物であり、2液硬化型接着剤の1成分であることを示す。
本反応の溶剤を使用しないポリイソシネート(A)成分にポリイソシアネート(A)のポリオール(B)がポリプロピレングリコールのようなポリエーテルグリコールである場合は、相溶性の問題から、無水ピロメリット酸等の分子量が小さい酸無水物(C)を使用することが望ましい。
本発明で使用するポリオール(B)は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
トリエチレングリコール等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
ダイマージオール;前記グリコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;該ポリエーテルポリオールを更に前記芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化したウレタン結合含有ポリエーテルポリオール;プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと前記グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
前記グリコール、ダイマージオール、又は前記ビスフェノール等の2官能型ポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2):
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);ジメチロールプロピオン酸、ひまし油脂肪酸等のヒドロキシル酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);前記ポリエステルポリオール(1)〜(5)と前記ポリエーテルポリオールと芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン結合含有ポリエステルポリエーテルポリオール;前記ポリエステルポリオール(1)〜(5)を芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化して得られるポリエステルポリウレタンポリオール;(6)ポリエーテルポリオール;(7)ヒマシ油等の水酸基の有する化合物;(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)と(7)又はこれらの混合物等が挙げられる。
前記酸無水物(C)を含有するポリイソシアネート(A)成分と、分子内に2個以上の水酸基を有するポリオール(B)成分とを必須成分とする2液硬化型接着剤において、前記ポリイソシアネート(A)成分と前記ポリオール(B)成分との配合割合は、前記ポリイソシアネート(A)中のイソシアネート基と前記ポリオール(B)中の水酸基の当量比〔イソシアネート基/水酸基〕が、1.0〜5.0の範囲であることが、接着強度やヒートシール時の耐熱性に優れる点から好ましく、特に1.5〜3.5の範囲であることがこれらの性能が顕著なものとなる点から好ましい。
本発明で使用する金属原子を含む基材フィルム(X)としては、金属蒸着層を有するフィルムまたは金属箔が好ましい。具体的には、アルミナ蒸着PET(PETとはポリエチレンテレフタレートの略語である)フィルム、アルミ蒸着OPP(OPPとは2軸延伸ポリプロピレンの略語である)フィルムのような各種蒸着フィルム等のベースフィルム、アルミ箔、又はCPP(CPPとは無延伸ポリプロピレンの略語である)フィルム、LLDPE(LLDPEとは直鎖低密度ポリエチレンの略語である)フィルム等のシーラントフィルムや、それらフィルムのアルミ蒸着フィルム等が挙げられる。
また基材フィルム(Y)は、金属原子を含まないプラスチックフィルムであることが好ましく、具体的には、PETフィルム、ナイロンフィルム、OPPフィルム、シリカ蒸着PETフィルム、又はCPPフィルム、LLDPEフィルム等のシーラントフィルムが挙げられる。
本発明の、金属原子を有する基材フィルム(X)と、基材フィルム(Y)の間にウレタン接着剤層を積層してなる積層フィルムは、前記ウレタン接着剤を第一の基材フィルムに塗布、次いで該塗布面に第二の基材フィルムを積層し該接着剤層を硬化させて得られるものである。この場合、金属原子を有する基材フィルム(X)は、第一の基材フィルムあるいは第二の基材フィルム、即ち塗布される側あるいは張り合わせる側でもどちらでも可能である。
通常接着剤硬化温度は、15〜60度の範囲で行うことが一般的である。
この様にして得られる積層フィルムは、主に洗剤、薬剤を充填する包装体として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー等が挙げられる。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、ジエチレングリコール 690質量部、トリメチロールプロパン8質量部を仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱して溶解した。更に撹拌しながらアジピン酸810質量部を反応容器に仕込み150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜220℃で1時間反応させ、酸価0.8mgKOH/g、分子量約1270の両末端に水酸基を有するポリオール樹脂(以下、これを「ポリオール樹脂Y1」と略記する)を得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、2−メチル−プロパンジオール333質量部、エチレングリコール179質量部、トリメチロールプロパン39質量部、を仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱して溶解した。更に撹拌しながらイソフタル酸106質量部、アジピン酸610質量部を反応容器に仕込み150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価0.5mgKOH/g、分子量約2100の両末端に水酸基を有するポリオール樹脂(以下、これを「ポリオール樹脂Y2」と略記する)を得た。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y1の1280質量部に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量33.3g/100g以上]1000質量部、スチレンと無水マレイン酸とを反応比率[スチレン/無水マレイン酸]が2/1で反応させて得られたスチレン・無水マレイン酸共重合体(クレイ・バレー社「SMA2000」、酸価355mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)7500、以下これを「SMA−B1」と略記する。)51質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が13.0質量%の2官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。
このSMA−B1を2質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X1」とする。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y1の1280質量部に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量33.3g/100g以上]1000質量部、無水ピロメリット酸51質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が13.4質量%の2官能ポリイソシアネートと無水ピロメリット酸との組成物を得た。
この無水ピロメリット酸を2質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X2」とする。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y1の1280質量部に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量33.3g/100g以上]1000質量部、2官能酸無水物、エピクロンB−4500[DIC株式会社;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロカルボン酸無水物 CAS番号 73003−90−4] 51質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約9時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が13.2質量%の2官能ポリイソシアネートの組成物を得た。
このエピクロンB−4500を2質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X3」とする。
調整例3において、SMA−B1の使用量を25質量部とした他は、調整例3と同様にして、2官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。
このSMA−B1を1質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X4」とする。
調整例3において、SMA−B1の使用量を306質量部とした他は、調整例3と同様にして、2官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。
このSMA−B1を6質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X5」とする。
ヘキサンメチレンジイソシアヌレート(住友コベストロジャパン製 ディスモデュールN3300)の1190質量部に対して、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート790部、SMA−B1の20質量部を容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃にて加熱溶解した。このSMA−B1を2質量%含有する3官能ポリイソシヌレート構成されるポリイソシアネート組成物をポリイソシアネート組成物X6とする。
3官能のポリプロピレングリコール[旭硝子社製;エクセノール430]の52質量部、Mw1,500のポリプロピレングリコール[三井化学社製;アクトコールD−1500]472質量部に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート173質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量33.3g/100g以上]303質量部、無水ピロメリット酸6質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱し約8時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が14.2質量%の2官能ポリイソシアネートと無水ピロメリット酸との組成物を得た。
この無水ピロメリット酸を0.6質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X7」とする。
酢酸エチル 500質量部、イソホロンイソシアヌレート450質量部、SMA−B1の50質量部を混合し、3官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。
このSMA−B1を5質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物X8」とする。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y2の900質量部に対し、3官能ポリプロピレングリコール(三井化学社製 アクトコールT−3000)100質量部を混合したポリオールをポリオール樹脂Y3とする。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 100部、ネオペンチルグリコール 211部、1,6−ヘキサンジオール 100部、セバシン酸 756部、イソフタル酸215部、テレフタル酸215部、アジピン酸234部及びチタン触媒0.06部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、水酸基価29の中間体ポリオールを得た。得られた中間体ポリオールの100部に対し、イソホロンジイソシアネートを8.9部加え120℃に加熱してイソシアネート%が3.0になるまでウレタン化の反応を行ってポリエステルウレタンポリイソシアネートを得た。これを酢酸エチル111.9部で希釈した後に40℃まで温度を下げて、50℃で約1時間保持し、不揮発分60%のポリオール組成物Y4を得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、ジエチレングリコール560質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱した。更に撹拌しながらアジピン酸600質量部を反応容器に仕込み150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価0.8mgKOH/g、分子量約840の両末端に水酸基を有するポリオール組成物(以下、これを「ポリオール組成物Hy1」と略記する)を得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール328質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃に加熱した。更に撹拌しながら無水フタル酸608質量部を反応容器に仕込み150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応容器を徐々に減圧し、1mmHg以下、200〜240℃で1時間反応させ、酸価1.0mgKOH/g、分子量約840の両末端に水酸基を有するポリオール組成物(以下、これを「ポリオール組成物Hy2」と略記する)を得た。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y2の1000質量部に対し、スチレンと無水マレイン酸とを反応比率[スチレン/無水マレイン酸]が2/1で反応させて得られたスチレン・無水マレイン酸共重合体 SMA−B1を20質量部添加し、80℃で2時間攪拌してSMA−B1を溶解した。このSMA−B1を2質量%含有する樹脂をポリオール組成物Hy3とする。
調整例1で得られたポリオール樹脂Y1の1100質量部に対して、4,4−メチレンビスジフェニルイソシアネート250質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量g/100g以上]1000質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が13.2質量%の2官能ポリイソシアネートを得た。このスチレン/無水マレイン酸樹脂を含まない樹脂をポリイソシアネート樹脂Hx1とする。
調整例1において、SMA−B1の8質量部を添加した他は、実施例1と同様にして、2官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。
このSMA−B1を0.3質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物Hx2」とする。
調整例1において、SMA−B1の代わりに無水フタル酸(PAn)の51質量部を添加した他は、実施例1と同様にして、2官能ポリイソシアネートとPAnとの組成物を得た。
このPAnを2質量%含有するポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物Hx3」とする
調整例3で得られたルポリオール樹脂Hy1の1800質量部に対して、m−キシレンジイソシアネート700質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートアルファネート体(BASF社製「Basonat HA300」)1000質量部、SMA−B1の70質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が8.5%末端の2官能ポリイソシアネートを得た。このSMA−B1を2質量%配合含有する低Tgポリイソシアネート組成物をポリイソシアネート組成物Hx4とする。
調整例4で得られたポリオール樹脂Hy2の1280質量部に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250質量部、MDI混合物[BASF社製「ルプラネートMI」、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(質量比)が1/1の混合物、NCO基含量g/100g以上]1000質量部、SMA−B1の8質量部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら85℃に加熱し約10時間反応させ、滴定法(ジ−n−ブチルアミン使用)によるイソシアネート%が13.2質量%の2官能ポリイソシアネートとSMA−B1との組成物を得た。このSMA−B1を2質量%配合含有するポリイソシアネート組成物を高Tgポリイソシアネート組成物Hx5とする。
酢酸エチル 500質量部、イソホロンイソシアヌレート500質量部を混合し、3官能ポリイソシアネートと酢酸エチルの組成物を得た。このポリイソシアネート組成物を「ポリイソシアネート組成物Hx6」とする。
表1〜表4の配合に従い接着剤を調整し、下記の各種評価を行った。結果を表1〜表4に示す。
表の配合に従い接着剤を配合した後、PETフィルムに、塗布量が固形分2.0g/m2程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とアルミ箔(15um)と貼合し、40℃の恒温槽に3日間保存した。その後、ラミネートフィルムのアルミ面にCPPフィルム(75um)と貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
ラミネートフィルムから15mm幅で切り取り、引張り試験機を使用して、T型剥離により剥離速度300mm/minで接着強度(N/15mm)を測定した。
表の配合に従い接着剤を配合した後、PETフィルムに、塗布量が固形分5.0g/m2程度となるように塗布し、溶剤を乾燥後、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とアルミ箔(15um)と貼合し、40℃の恒温槽に3日間保存した。その後、ラミネートフィルムのアルミ面にCPPフィルム(75um)と貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
ラミネートフィルムから15mm幅で切り取り、引張り試験機を使用して、T型剥離により剥離速度300mm/minで接着強度(N/15mm)を測定した
表の配合に従い接着剤を配合した後、蒸着PETフィルム(15um)に、塗布量が固形分2.0g/m2程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とLLDPEフィルム(60um)と貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。同様にラミネート強度を測定した。
表の配合に従い、接着剤を配合した後、蒸着PETフィルム(15um)に、塗布量が固形分3.5g/m2程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とLLDPEフィルム(60um)と貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。同様にラミネート強度を測定した。
前記調整例のポリイソシアネート組成物、ポリオール組成物等を、60℃にて10日間静置した後、表の配合に従い接着剤を配合し同様にしてラミネート強度を測定した。
接着剤を配合した後、印刷インキ(DIC(株)製「ユニビアNT」)で図柄をグラビア印刷したPETフィルムに、塗布量が固形分2.0g/m2(実施例8、比較例7は固形分5.0g/m2)程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とCPPフィルムと貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
このラミネートフィルムを150mm×300mmで切り取り、CPPが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース : 植物油 : 食酢=1 : 1 : 1)を加えた。
充填したパウチはスチーム殺菌処理を121℃−30分(実施例14、比較例8は135℃−30分)にて実施し、内容物を除去しヒートシール部のT型剥離による強度を測定した。
また、取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、デラミの発生の有無により、以下の評価を行った。
接着剤を配合した後、印刷インキ(DIC(株)製「ユニビアNT」)で図柄をグラビア印刷したPETフィルムに、塗布量が固形分2.0g/m2(実施例8、比較例7は固形分5.0g/m2)程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とアルミ箔(15um)と貼合し、40℃の恒温槽に3日間保存した。その後、ラミネートフィルムのアルミ面にCPP(75um)と貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
このラミネートフィルムを150mm×300mmで切り取り、CPPが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース : 植物油 : 食酢=1 : 1 : 1)を加えた。
充填したパウチはスチーム殺菌処理を121℃−30分にて実施し、内容物を除去しアルミ/CPP間のラミネート強度をT型剥離により測定した。
また、取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、デラミの発生の有無により、以下の評価を行った。
評価△:デラミ箇所が5点以下
評価×:デラミ箇所が6点以上
接着剤を配合した後、蒸着PETフィルムの蒸着面に、塗布量が固形分2.0g/m2(実施例8、比較例7は固形分5.0g/m2)程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とLLDPEと貼合し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
このラミネートフィルムを150mm×300mmで切り取り、LLDPEが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間でヒートシールしてパウチを作製した。内容物として1/1/1ソース(ミートソース : 植物油 : 食酢=1 : 1 : 1)を加えた。
充填したパウチは煮沸処理を98℃−60分にて実施し、内容物を除去し、蒸着PET/LLDPE間のT型剥離による強度を測定した。
また、取り出し後のそれぞれのパウチの外観を観察し、デラミの発生の有無により、以下の評価を行った。
なお使用蒸着フィルムは、アルミ蒸着PETフィルム、アルミナ蒸着PETフィルムである。
前記調整例のポリイソシアネート組成物、ポリオール組成物を製造した後、60℃にて10日間静置した。静置後、表1の配合に従い接着剤を配合し、前記と同様にしてレトルト後のラミネート強度及び外観を評価した。
表の配合に従い接着剤を配合した直後、レオメーターの測定部位に約0.8g程度乗せて、配合直後の粘度が1,000mPa・s程度となる温度で30分間測定した。測定スタート時と30分後の粘度値から、以下の評価を行った。
評価◎:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度が1以上2倍未満
評価○:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度が2以上3倍未満
評価△:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度が3以上4倍未満
評価×:30分後の粘度がスタート時の配合液の粘度が4倍以上
前記調整例のポリイソシアネート組成物、ポリオール組成物を製造した後、60℃にて10日間静置した。静置後、表1の配合に従い接着剤を配合し、測定スタート時と30分後の粘度値から、上記基準に従い評価した。
実施例及び比較例の接着剤を配合後、剥離フォルム上に固形分50−100g/m2になるように塗布し、40℃の恒温槽に10日間保存した。その後、硬化膜を単離して動的粘弾性を測定した。この時の得られたTanδのピーク値をTgとした。
昇温; −50 − 150℃ 3℃/分
周波数; 10kHz
実施例1、比較例2の組成の接着剤をアルミ蒸着LLDPEに3g/m2程度となるように塗布し、ラミネーターでこのフィルムの塗布面とLLDPEと貼合し、アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムを作製した。この積層フィルムを40℃の恒温槽に3日間保存した。
得られた積層フィルムをミクロトームで断面を切断後、高分解能フーリエ交換赤外分光装置(NanoIR)にてアルミ蒸着層から接着剤層の約1um、及びLLDPE層からから接着剤層の約1um付近の1720cm−1のピーク強度のケミカル像をマッピングした。
ウレタン結合構造由来のカルボニル濃度 10.1 mmol/g
ポリエステルのエステル結合由来のカルボニル濃度 7.8 mmol/g
酸無水物のカルボニル濃度 6.0 mmol/g
カルボニル濃度が小さい程、1720cm−1のピーク強度のケミカル像の色部分が大きくなる。一方で、1720cm−1のピーク強度が大きい程、画像が白色に近くなる。
図1において、アルミ蒸着付近になる符号4の接着剤層は、符号5の接着剤層および図2の符号5の接着剤層と比較して灰色の部分が多くなっている。
酸無水物を含有しない接着剤を使用した積層フィルムをマッピングした図3及び図4においては、アルミ蒸着側の接着剤層(符号5)も、LLDPE側接着剤層(符号5)も、画像に変化は見られず、即ちウレタン樹脂特有のポリエステル由来のカルボニル結合とジイソシアネート由来のウレタン結合の海/島分布が確認され、ウレタン樹脂特有の海/島構造を確認することができる。
一方、酸無水物を含まない接着剤を含有する積層フィルムをマッピングした図1及び図1は、接着剤層(符号4及び5)に変化が見られる。即ちアルミ蒸着層から接着剤層の約1umをマッピングした図1においては、符号5で表される接着剤層の様子と異なり、ウレタン樹脂特有の海島構造が確認できない接着剤層(符号4)がアルミ蒸着側(符号3)に観察される。即ち符号4で表される接着剤層では、ウレタン樹脂特有の海島構造ができず、また、カルボニル基の強度が小さいため、酸無水物がアルミ原子近傍400nm付近に偏在している。従って、図1及び図2に示す実施例1の組成の接着剤、即ち酸無水物を含有する積層フィルムは、接着剤層が傾斜構造を形成していることが示唆された。
2 アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムにおいて、アルミ蒸着のプライマー部分を表す。
3 アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムにおいて、アルミ蒸着部分を表す。
4 アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムにおいて、接着剤層を表す。灰色部分が多く占める部分は1720cm−1のピーク強度が小さい部分であり、酸無水物が偏在している領域である。
5 アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムにおいて、接着剤層を表す。白色に近い部分は1720cm−1のピーク強度が大きい部分であり、ウレタン成分/ポリオール成分の海島構造である。
6 アルミ蒸着LLDPE/(接着剤層)/LLDPEの積層フィルムにおいて、コロナ処理を実施したLLDPEを表す。
Claims (6)
- 金属原子を有する基材フィルム(X)と、基材フィルム(Y)の間にウレタン接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、
前記ウレタン接着剤層が酸無水物を有し、前記金属原子を有する第一の基材フィルム側に酸無水物が偏在していることを特徴とする積層フィルム。 - 前記ウレタン接着剤層が、
1分子中に2個以上の酸無水基を有する酸無水物を含有するポリイソシアネート(A)成分と、分子内に2個以上の水酸基を有するポリオール(B)成分とを必須成分とする2液硬化型接着剤である請求項1に記載の積層フィルム。 - 前記1分子中に2個以上の酸無水基を有する酸無水物が、
重量平均分子量が200〜10,000であり、且つFedorsの溶解性パラメーターが9.5以上であり、前記接着剤層中に0.3〜2.0重量%含有される請求項1または2に記載の積層フィルム。 - 前記ウレタン接着剤層の硬化後のガラス転移点温度が、0℃〜50℃の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記基材フィルムが、金属蒸着層を有するフィルムまたは金属箔である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記記載の積層フィルムを使用した包装体であって、90℃以上の過熱殺菌処理を実施することを特徴とする包装体。
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