<第1実施形態>
[プリンタ・メディア切断装置の構成]
添付図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、メディアMeに印刷を行うと共にメディアMeを切断可能なプリンタ・メディア切断装置10(以下、単に「プリンタ装置10」という。)が示されている。なお、プリンタ装置10は、メディアMeを切断可能である点において、メディア切断装置の一つの例である。
以下の説明では、図1に示すようにプリンタ装置10を正面から見たときに、プリンタ装置10から遠ざかる方向を前方とし、プリンタ装置10に近づく方向を後方とする。後述するように、メディアMeに印刷を行うときに、テーブル20上のメディアMeは前方に向かって搬送される。以下の説明における前後とは、メディアMeの搬送方向を基準とした前後に対応する。すなわち、搬送方向の下流側が前側に対応し、搬送方向の上流側が後側に対応する。図中の符号Frは前、Rrは後を示す。また、符号Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下をそれぞれ示している。
プリンタ装置10は、メディアMeを搬送可能に支持するテーブル20と、メディアMeに対して印刷を行う印刷ヘッド12A(図2参照)が搭載されたキャリッジ12と、メディアMeを切断可能なカッター機構13と、メディアMeの左右の端部をテーブル20にクランプする(すなわち、押しつける)左右のクランプ部材30と、を有している。また、プリンタ装置10は、メディアMeを前後に移動させるフィードローラ61(図4参照)と、フィードローラ61とともにメディアMeを挟み込むピンチローラ62とを備えている。
プリンタ装置10は、フィードローラ61により、前後方向にメディアMeを搬送可能である。キャリッジ12は左右方向に移動可能である。カッター機構13はキャリッジ12に接続されており、キャリッジ12と共に左右方向に移動可能である。前後に順次搬送されるメディアMeに対して、キャリッジ12を左右に移動させながら印刷ヘッド12Aからインクを吐出することにより、メディアMeに印刷を行うことができる。一方、メディアMeの切断時には、メディアMeを所定の位置に搬送し、メディアMeの左右の端部をクランプ部材30によってクランプした状態で、カッター機構13を左右に移動させる。
図2に示すように、キャリッジ12は、左右に延びるガイドレール15に移動可能に支持されている。図示は省略するが、キャリッジ12は、駆動プーリ及び従動プーリに巻きかけられたベルトに連結されている。駆動プーリは、後述するキャリッジ駆動モータ81(図10参照)に連結されている。キャリッジ駆動モータ81により駆動プーリが駆動されると、ベルトが走行し、キャリッジ12はガイドレール15上を左右に移動する。キャリッジ12には複数の印刷ヘッド12Aが搭載されている。キャリッジ12に搭載される印刷ヘッド12Aの個数は特に限定されない。ここでは、キャリッジ12には、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の印刷ヘッド12Aが収納されている。
カッター機構13は、キャリッジ12と共にガイドレール15に沿って左右に移動可能に構成されている。カッター機構13はガイドレール15に移動可能に支持されている。カッター機構13は、キャリッジ12を介してガイドレール15に間接的に支持されていてもよく、ガイドレール15に直接支持されていてもよい。カッター機構13は、メディアMeを切断可能な刃(カッター)13aを有している。刃13aは、上下方向にスイング可能に設けられている。刃13aを上方に回転させると、メディアMeから離間した退避位置に位置づけることができ、刃13aを下方に回転させると、メディアMeに当接する当接位置に位置づけることができる。メディアMeを切断する際には、刃13aを当接位置まで回転させ、カッター機構13を左右方向に移動させる。
メディアMeは、例えば、ロール状に巻かれたロールメディアである。メディアMeの材質は、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよい。メディアMeは、様々な材料で構成可能である。メディアMeは、印刷時には、フィードローラ61によって後方から前方に向かって搬送される。
図3に示すように、テーブル20の上面部21は、前後左右に広がった平面状に形成されており、この上面部21の上をメディアMeが移動する。上面部21の一部には、左右方向に亘って溝22が形成されている。すなわち、溝22は、メディアMeの搬送方向に直交する方向に延びている。溝22が延びる方向を第1の方向、テーブル20上でメディアMeが搬送される方向を第2の方向とすると、第1の方向と第2の方向とは互いに直交している。上面部21は、溝22の後方に位置する第1上面部21Aと、溝22の前方に位置する第2上面部21Bとを含んでいる。言い換えると、溝22は、第1上面部21Aと第2上面部21Bとの間に形成されている。少なくとも第2上面部21Bには、メディアMeを下方に吸着するための吸着穴21hが形成されている。吸着穴21hの個数及び配置は特に限定されないが、ここでは、複数の吸着穴21hが左右方向に配列されることにより、吸着穴列が形成されている。吸着穴列は、前後に2列設けられている。
図9に示すように、吸着穴21hには吸引装置の一例であるファン83が連通している。ファン83は、上方から吸着穴21hに向けて空気を吸い込むように構成されている。ファン83は、メディアMeを少なくとも第2上面部21Bに吸着するように構成されている。なお、ファン83に連通する吸着穴21hは、第1上面部21Aにも形成されていてもよい。この場合、ファン83は、メディアMeを第1上面部21A及び第2上面部21Bに吸着することとなる。
図4に示すように、溝22は、上下が反転した略T字状に形成されている。溝22は、左右(図4の表裏方向)に延びる底面部22aと、底面部22aの前側に位置する側壁部22Cと、底面部22aの後側に位置する側壁部22Bとを有している。前側の側壁部22C及び後側の側壁部22Bは、底面部22aと交差している。また、前側の側壁部22C及び後側の側壁部22Bは、互いに前後に離間している。後側の側壁部22Bは、底面部22aと交差する収容壁部22Bbと、収容壁部22Bbよりも上方に位置する抜け止め壁部22Bdとを有している。同様に、前側の側壁部22Cは、底面部22aと交差する収容壁部22Cbと、収容壁部22Cbよりも上方に位置する抜け止め壁部22Cdとを有している。収容壁部22Bbと収容壁部22Cbとは前後に対向し、抜け止め壁部22Bdと抜け止め壁部22Cdとは前後に対向している。
後側の抜け止め壁部22Bdは、収容壁部22Bbよりも前側に突出している。抜け止め壁部22Bdと収容壁部22Bbとの間には、前方に延びるストッパ壁22Bcが形成されている。前側の抜け止め壁部22Cdは、収容壁部22Cbよりも後側に突出している。抜け止め壁部22Cdと収容壁部22Cbとの間には、後方に延びるストッパ壁22Ccが形成されている。
前側の抜け止め壁部22Cdの上部は、上方に行くほど前方に向かうように傾いている。すなわち、テーパ状に形成されている。後側の抜け止め壁部22Bdは、上下に延びている。ただし、これらの形状は一例に過ぎない。後側の抜け止め壁部22Bdと同様、前側の抜け止め壁部22Cdを上下に延びる面としてもよい。また、前側の抜け止め壁部22Cdと同様、後側の抜け止め壁部22Bdの上部は上方に行くほど後方に向かうように傾いていてもよい。すなわち、テーパ状に形成されていてもよい。
[クランプ部材の構成]
次に、メディアMeをテーブル20にクランプするクランプ部材30について、詳細に説明する。前述したように、クランプ部材30は、メディアMeの左右の端部をそれぞれクランプするよう2つ用いられる(図1参照)。以下、右のクランプ部材30について説明する。左のクランプ部材30は右のクランプ部材30と左右対称であるが、それ以外は右のクランプ部材30と同様の構成を有している。そのため、左のクランプ部材30についての説明は省略する。
図3及び図4に示すように、クランプ部材30は、溝22に収納される基部31と、基部31に支持された第1部材32及び第2部材33と、第1スペーサ36及び第2スペーサ37と、を有している。
基部31は、硬質樹脂を素材とした樹脂成形品である。例えば、基部31の素材として、ポリアセタール(POM)やポリプロピレン(PP)を採用することができる。図4に示すように、基部31は、前側の収容壁部22Cbと後側の収容壁部22Bbとの間に収容される。基部31の前後の上面部は、溝22のストッパ壁22Cc,22Bcに当接している。これにより、基部31が溝22から上方に抜けないようになっている。
基部31の前後方向の中央部は凹んでいる。基部31の第1部材32が差し込まれている部位と第2部材33が差し込まれている部位との間の部位は、第1部材32及び第2部材33が差し込まれている部位に比べて、肉厚が薄い薄肉部31aとなっている。薄肉部31aは、基部31の左右方向の全体にわたって形成されている。薄肉部31aは、第1部材32及び第2部材33が差し込まれている部位に比べて、上面が下方に向かって抉られた形状を呈する。
図3及び図4に示すように、第1部材32は屈曲板によって形成されている。第1部材32は、例えば、鋼板をプレス成形することにより形成される。ただし、第1部材32の素材は特に限定されず、鉄鋼材以外の金属や樹脂等、任意の素材を採用することができる。第1部材32は、右方から見たときに略L字状を呈する。第1部材32は、第1立ち上げ部41と、第1延出部42と、第1クランプ部34とを有している。図4に示すように、第1立ち上げ部41は、基部31から立ち上がった部分であり、基部31から上方に延びている。第1延出部42は、第1立ち上げ部41からテーブル20の第1上面部21Aに沿って延びる部分である。第1延出部42は第1立ち上げ部41の先端から後方に曲がっており、後方に延びている。第1延出部42は、溝22から離隔する方向に延びている。第1延出部42の先端部42aは、斜め上方に向かって曲げられている。先端部42aは、後方に行くほど上方に向かうように、第1上面部21Aに対して傾斜している。
第2部材33は、第1部材32とほぼ同様の構成を有している。すなわち、第2部材33は屈曲板によって形成されている。第2部材33は、例えば、鋼板をプレス成形することにより形成される。ただし、第2部材33の素材は特に限定されず、鉄鋼材以外の金属や樹脂等、任意の素材を採用することができる。第2部材33は、右方から見たときに略L字状を呈する。第2部材33は、第2立ち上げ部46と、第2延出部47と、第2クランプ部35とを有している。図4に示すように、第2立ち上げ部46は基部31から立ち上がった部分であり、基部31から上方に延びている。第2延出部47は、第2立ち上げ部46からテーブル20の第2上面部21Bに沿って延びる部分である。第2延出部47は第2立ち上げ部46の先端から前方に曲がっており、前方に延びている。第2延出部47は、溝22から離隔する方向に延びている。第2延出部47の先端部47aは、斜め上方に向かって曲げられている。先端部47aは、前方に行くほど上方に向かうように、第2上面部21Bに対して傾斜している。
第2立ち上げ部46は、第1立ち上げ部41に対して略平行に設けられている。第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46とは離間しており、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との間には、左右方向に延びる隙間52が形成されている(図3も参照)。第1立ち上げ部41の後面と第2立ち上げ部46の前面との距離は、前側の抜け止め壁部22Cdと後側の抜け止め壁部22Bdとの間隔よりも小さい。そのため、第1立ち上げ部41は後側の抜け止め壁部22Bdから離間しているか、あるいは、第2立ち上げ部46は前側の抜け止め壁部22Cdから離間している。
図3に示すように、第1延出部42の前後方向の長さL1は、第2延出部47の前後方向の長さL2よりも短い。第1延出部42の左右方向の長さL3は、第2延出部47の左右方向の長さL4と等しい。ただし、それらは特に限定されない。L1=L2であってもよく、L1>L2であってもよい。また、L3>L4であってもよく、L3<L4であってもよい。
図3に示すように、基部31の左右方向の長さL5は、第1延出部42の左右方向の長さ及び第1クランプ部34の左右方向の長さの和L6よりも大きく、且つ、第2延出部47の左右方向の長さ及び第2クランプ部35の左右方向の長さの和L7よりも大きい。なお、L6=L7である。ただし、L6<L7であってもよく、L6>L7であってもよい。
第1クランプ部34は第1延出部42と一体的に形成されている。第1立ち上げ部41、第1延出部42、及び第1クランプ部34は、一枚の板材によって構成されている。第1クランプ部34は、第1延出部42から第1上面部21Aに沿って左方(溝22が延びる方向であって第1立ち上げ部41から離隔する方向)に延びており、メディアMeを第1上面部21Aに向かって押さえつける。メディアMeの端部は、第1クランプ部34に覆われることにより、第1上面部21Aから浮き上がることが防止される。第1クランプ部34の先端部34aは、斜め上方に向かって曲げられている。先端部34aは、後方に行くほど上方に向かうように、第1上面部21Aに対して傾斜している。先端部34aは、前方に向かって搬送されるメディアMeを第1クランプ部34の下方に導くためのガイドの役割を果たす。なお、第1上面部21Aに対して傾斜した先端部34aは、第1クランプ部34の後側部分だけでなく、左側部分にも形成されていてもよい。
第2クランプ部35は第2延出部47と一体的に形成されている。第2立ち上げ部46、第2延出部47、及び第2クランプ部35は、一枚の板材によって構成されている。第2クランプ部35は、第2延出部47から第2上面部21Bに沿って左方(溝22が延びる方向であって第2立ち上げ部46から離隔する方向)に延びており、メディアMeを第2上面部21Bに向かって押さえつける。メディアMeの端部は、第2クランプ部35に覆われることにより、第2上面部21Bから浮き上がることが防止される。第2クランプ部35の先端部35aは、斜め上方に向かって曲げられている。先端部35aは、前方に行くほど上方に向かうように、第2上面部21Bに対して傾斜している。先端部35aは、後方に向かって搬送されるメディアMeを第2クランプ部35の下方に導くためのガイドの役割を果たす。なお、第2上面部21Bに対して傾斜した先端部35aは、第2クランプ部35の前側部分だけでなく、左側部分にも形成されていてもよい。
図示は省略するが、カッター機構13(図2参照)はメディアMeを押さえつけるローラを備えていてもよい。カッター機構13が左右に移動すると、このローラはメディアMeの上を転がりながら、メディアMeをテーブル20に向けて押しつける。第1クランプ部34及び第2クランプ部35は、当該ローラに押しつけられるように構成されていてもよい。上記ローラで第1クランプ部34及び第2クランプ部35を押圧した状態でカッティング動作を行うことにより、メディアMeの浮きを解消した状態で刃13aをメディアMeに当てることができ、切断精度が向上する。
図3に示すように、第1スペーサ36及び第2スペーサ37は、矩形状の樹脂製の板である。ただし、第1スペーサ36及び第2スペーサ37の形状及び寸法は特に限定されない。第1スペーサ36及び第2スペーサ37の寸法及び形状は互いに相違していてもよいが、同じでもよい。第1スペーサ36及び第2スペーサ37として、共通化された部品、すなわち同一の寸法及び形状の部品を用いることができる。第1スペーサ36は第1延出部42の下面に設けられており、第1上面部21Aに接触する。第1スペーサ36は、第1上面部21Aと第1延出部42との間に配置される。第2スペーサ37は第2延出部47の下面に設けられており、第2上面部21Bに接触する。第2スペーサ37は、第2上面部21Bと第2延出部47との間に配置される。第1スペーサ36及び第2スペーサ37は、例えば、それぞれ第1延出部42及び第2延出部47の下面に接着剤を介して接着されている。第1クランプ部34は、第1スペーサ36の厚みの分だけ、テーブル20の第1上面部21Aから離間している。第2クランプ部35は、第2スペーサ37の厚みの分だけ、テーブル20の第2上面部21Bから離間している。これにより、第1クランプ部34と第1上面部21Aとの間、及び、第2クランプ部35と第2上面部21Bとの間に、メディアMeの厚み以上の間隔の隙間が形成されている。
本実施形態では、第1スペーサ36は第1部材32と別体であり、第1延出部42に貼り付けられている。第2スペーサ37は第2部材33と別体であり、第2延出部47に貼り付けられている。しかし、第1スペーサ36と第1部材32とが一体化されていてもよく、第2スペーサ37と第2部材33とが一体化されていてもよい。第1部材32及び第1スペーサ36は単一の物品であってもよく、第2部材33及び第2スペーサ37は単一の物品であってもよい。
クランプ部材30の製造方法は特に限定されないが、例えば、インサート成形を利用してもよい。例えば、まず、一枚の金属板を加工し、第1部材32を形成する。また、他の一枚の金属板を加工し、第2部材33を形成する。次に、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46とが向かい合うように、第1部材32及び第2部材33を型にセットする。そして、型に樹脂を流し込み、第1立ち上げ部41の先端部と第2立ち上げ部46の先端部とを当該樹脂によって結合する。なお、この樹脂は基部31を構成することとなる。その後、基部31、第1部材32、及び第2部材33を型から抜き、第1延出部42及び第2延出部47の裏面に、それぞれ第1スペーサ36及び第2スペーサ37を接着する。このようにして、クランプ部材30を製造することができる。
なお、図4に示すように、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46のうち基部31に覆われている部位には、それぞれ貫通穴41a、46aが形成されていてもよい。貫通穴41a、46aに樹脂が充填されることにより、基部31は、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46をより強固に支持することができる。ただし、貫通穴41a、46aは必ずしも必要ではない。
図6(a)は、テーブル20に取り付けられる前のクランプ部材30を右方から見た図である。図6(b)は、クランプ部材30が取り付けられていないテーブル20の一部を右方から見た図である。
図6(a)に示すように、テーブル20に取り付けられる前の状態のクランプ部材30では、第1立ち上げ部41と第1延出部42とがなす角θ1は90°よりも小さい。θ1<90°である。本実施形態では、第1立ち上げ部41と第1延出部42とがなす角は、第2立ち上げ部46と第2延出部47とがなす角と等しい。第2立ち上げ部46と第2延出部47とがなす角もθ1であり、90°よりも小さい。ただし、特に限定されない。第2立ち上げ部46と第2延出部47とがなす角は、第1立ち上げ部41と第1延出部42とがなす角θ1と異なる角度であって、かつ90°未満の角度であってもよい。
基部31の上面から第1スペーサ36の下端までの高さはH1である。基部31の上面から第2スペーサ37の下端までの高さもH1である。一方、図6(b)に示すように、ストッパ壁22Bcから第1上面部21Aまでの高さ、及び、ストッパ壁22Ccから第2上面部21Bまでの高さは、それぞれH2である。ここで、H1<H2である。基部31の上面から第1スペーサ36の下端までの高さは、ストッパ壁22Bcから第1上面部21Aまでの高さよりも小さければ足り、基部31の上面から第2スペーサ37の下端までの高さは、ストッパ壁22Ccから第2上面部21Bまでの高さよりも小さければ足り、それらの具体的な数値は何ら限定されない。基部31の上面から第1スペーサ36の下端までの高さは、基部31の上面から第2スペーサ37の下端までの高さと異なっていてもよい。また、ストッパ壁22Bcから第1上面部21Aまでの高さは、ストッパ壁22Ccから第2上面部21Bまでの高さと異なっていてもよい。
[クランプ部材の取り付け方法]
クランプ部材30は、テーブル20に対して着脱可能である。次に、クランプ部材30をテーブル20に取り付ける方法について説明する。
図7に示すように、クランプ部材30をテーブル20に取り付ける際には、テーブル20の側方からクランプ部材30をスライドさせて、溝22に差し込む。より詳細には、底面部22a、収容壁部22Bb、22Cb、及び、抜け止め壁部22Bc、22Ccによって囲われた領域に、基部31を差し込む。そして、第1クランプ部34が第1上面部21Aの上方に位置し、第2クランプ部35が第2上面部21Bの上方に位置するまで、基部31を押し込む。
前述したように、基部31の上面部から第1スペーサ36の下端までの高さH1は、抜け止め壁部22Bcから第1上面部21Aまでの高さH2よりも小さい。また、基部31の上面部から第2スペーサ37の下端までの高さH1は、抜け止め壁部22Ccから第2上面部21Bまでの高さH2よりも小さい。そのため、基部31を更に押し込む際には、図6(c)に示すように、第1スペーサ36が第1上面部21Aの上方に位置し、かつ、第2スペーサ37が第2上面部2Bの上方に位置するように、第1延出部42及び第2延出部47を弾性変形させる。
図6(c)は、クランプ部材30がテーブル20に取り付けられたときのクランプ部材30及びテーブル20を右方から見た図である。第1延出部42及び第2延出部47を弾性変形させながら基部31を溝22に押し込むと、基部31の上面がストッパ壁22Bc,22Ccに当接し、第1及び第2スペーサ36、37がそれぞれテーブル20の第1上面部21A及び第2上面部21Bに当接する。テーブル20の第1上面部21Aには、第1スペーサ36を介して、第1延出部42の弾性力が加えられる。テーブル20の第2上面部21Bには、第2スペーサ37を介して、第2延出部47の弾性力が加えられる。
クランプ部材30がテーブル20に取り付けられた状態において、第1立ち上げ部41と第1延出部42とがなす角をθ2とすると、第2立ち上げ部46と第2延出部47とがなす角もθ2である。ここでは、θ2=90°である。ただし、θ2はθ1よりも大きければよく、必ずしも90°である必要はない。また、第2の立ち上げ部46と第2の延出部47とがなす角は、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42とがなす角と異なる角度であってもよい。
テーブル20の第1上面部21A及び第2上面部21Bには、それぞれ第1延出部42及び第2延出部47の弾性力が加わるので、そのままではクランプ部材30を左右にスライドさせにくい。そこで、図6(d)に示すように、クランプ部材30を溝22に沿ってスライドさせる際には、第1立ち上げ部41と第1延出部42との境界部B1、及び、第2立ち上げ部46と第2延出部47との境界部B2を下方に押しながらスライドさせるとよい。これにより、第1スペーサ36の一部のみが第1上面部21Aに当接し、第2スペーサ37の一部のみが第2上面部21Bに当接することになる。加えて、立ち上げ部41,46を介して基部31が押し下げられるため、基部31がストッパ壁部22Bc,22Ccから離間する。
なお、基部31の中央部分は、他の部位に比べて薄肉に形成された薄肉部31aとなっている。これにより、基部31を容易に撓ませることができる。薄肉部31aは、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46の間に連続して形成されていることが好ましい。
クランプ部材30を所望の位置までスライドさせた後、クランプ部材30の境界部B1,B2から指を離す。すると、第1延出部42及び第2延出部47の弾性力により、第1スペーサ36は第1上面部21Aに押しつけられ、第2スペーサ37は第2上面部21Bに押しつけられる。また、基部31がストッパ壁部22Bc,22Ccに押しつけられる。これにより、クランプ部材30がテーブル20に固定される。
前述したように、図3に示すように本実施形態では、基部31の左右方向の長さL5は、第1延出部42の左右方向の長さ及び第1クランプ部34の左右方向の長さの和L6よりも大きく、且つ、第2延出部47の左右方向の長さ及び第2クランプ部35の左右方向の長さの和L7よりも大きい。すなわち、基部31は比較的長く形成されている。基部31が比較的長いことにより、以下に説明するような効果を得ることができる。
図8(a)には、クランプ部材の他の実施形態の一例として、基部231の左右方向の長さL15が比較的短いクランプ部材230が模式的に示されている。このクランプ部材230では、基部231の長さL15は、第1延出部42及び第1クランプ部34の合計の左右方向の長さL6よりも短い。その他の構成要素については、前記実施形態に係るクランプ部材30と同じであるため、前述の符号を流用し、詳しい説明は省略する。
クランプ部材30,230は溝22に沿ってスライド可能であるため、図6(a)及び図6(b)に示すように、基部31,231の前後の幅W31は、前側の収容壁部22Cbと後側の収容壁部22Bbとの間隔G1よりも小さい。そのため、上方から見たときに、基部31,231が溝22の内部において傾いてしまうおそれがある。
図8(b)は、クランプ部材230が溝22の内部で傾いた状態を表している。図8(c)はクランプ部材30を模式的に表す図であり、図8(d)はクランプ部材30が溝22の内部で傾いた状態を表している。図8(b)及び図8(d)に示すように、クランプ部材230の基部231が溝22の中心線に対して傾いたときの傾斜角度をθ3、クランプ部材30の基部31が溝22の中心線に対して傾いたときの傾斜角度をθ4とする。すると、θ4<θ3である。すなわち、基部31の左右方向の長さL5が長いクランプ部材30の方が、基部231の左右方向の長さL15が短いクランプ部材230よりも、傾きの程度は小さくなる。よって、本実施形態に係るクランプ部材30によれば、メディアMeの搬送方向に対する傾きを抑制することができる。
[制御システム]
次に、プリンタ装置10が備える制御システムについて説明する。図10に示すように、プリンタ装置10は、キャリッジ12を駆動するキャリッジ駆動モータ81と、フィードローラ61を駆動するフィードモータ82と、テーブル20の吸着穴21hから空気を吸引することによりメディアMeをテーブル20に吸着するファン83と、制御装置70とを備えている。制御装置70は、印刷ヘッド12A、カッター機構13、キャリッジ駆動モータ81、フィードモータ82、及びファン83と通信可能に接続されており、これらの動作を制御する。制御装置70は、印刷部76と、シートカット部71と、吸引停止部72と、フィード部73とを備えている。印刷部76、シートカット部71、吸引停止部72、及びフィード部73が行う処理については後述する。
[プリンタ装置の動作]
図11は、プリンタ装置10の動作の一例を説明するためのフローチャートである。次に、図11を参照しながら、プリンタ装置10の動作の一例について説明する。
まず、印刷部76により、メディアMeに対する印刷が行われる(ステップS1)。印刷部76は、メディアMeの搬送を停止した状態においてキャリッジ12を左右方向に移動させながら印刷ヘッド12Aからインクを吐出する吐出動作と、フィードローラ61を回転させることによりメディアMeを所定長さだけ前方に搬送するフィード動作とを繰り返し行う。印刷部76は、吐出動作とフィード動作とを繰り返し行うことによって、メディアMe上に画像を形成する。なお、以下では、印刷時のフィード動作のときにメディアMeが前方に搬送される速度のことを、印刷フィード速度V1と呼ぶこととする。
印刷が終了すると、シートカット部71により、メディアMeを左右方向の全体にわたって切断するシートカットが行われる。シートカット部71はまず、ファン83の駆動を開始し、メディアMeをテーブル20に吸着させる(ステップS2)。すなわち、メディアMeの吸引を開始する。次に、キャリッジ駆動モータ81を駆動し、カッター機構13の刃13aを溝22に沿って移動させる。これにより、メディアMeにおける印刷部分(前記画像が形成された部分)の後側部分(すなわち、上流側部分)が、左右方向の全体にわたって切断される(ステップS3)。図12(a)は、切断後のメディアMeを側方から見た図である。メディアMeはクランプ部材30の第1クランプ部34及び第2クランプ部35によってテーブル20に押しつけられているので、メディアMeがテーブル20から浮き上がることが防止される。そのため、メディアMeは良好に切断される。以下では、切断後のメディアMeのうち、上流側の部分を第1メディアMe1、下流側の部分を第2メディアMe2と呼ぶこととする。
シートカットの後、吸引停止部72がファン83を停止し、フィード部73がフィードモータ82を駆動し、第1メディアMe1を前方に送り出す。フィード部73は、ファン83に対する駆動信号の供給が停止されると同時にフィードモータ82の駆動を開始してもよいが、駆動信号の供給が停止されても、ファン83の回転が止まるまでに多少の時間がかかる場合がある。そこで本実施形態では、フィード部73は、吸引停止部72がファン83に対する駆動信号の供給を停止してから、所定時間(例えば2秒)が経過したか否かを判定し(ステップS5)、所定時間が経過してからフィードモータ82の駆動を開始する(ステップS6)。これにより、第2メディアMe2に対する吸着力が十分に消失した後に、フィードローラ61の回転が開始されることになる。また、フィード部73は、フィードローラ61を比較的低速で回転させる。このときの第1メディアMe1の搬送速度を低速フィード速度V2と称すると、ここでは、低速フィード速度V2は、前述の印刷フィード速度V1よりも小さい。ただし、低速フィード速度V2の大きさは特に限定される訳ではない。図12(b)に示すように、第1メディアMe1がフィードローラ61によって前方に搬送されると、第2メディアMe2は第1メディアMe1によって前方に押される。これにより、第2メディアMe2及び第1メディアMe1は、連なって前方に搬送される。
ところで、クランプ部材30では、第1クランプ部34と第2クランプ部35との間に隙間51が形成されている。そのため、第2メディアMe2に対する吸着力が残存している場合、または、第1メディアMe1の搬送速度が比較的大きい場合には、図12(c)に示すように、第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げてしまうおそれがある。しかし、本実施形態によれば、フィードモータ82の駆動を開始する時点では、第2メディアMe2に対する吸着力は十分に消失し、また、第1メディアMe1の搬送速度は比較的小さい。そのため、第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げてしまうことを防止することができ、第1メディアMe1及び第2メディアMe2を良好に搬送することができる(図12(b)参照)。
図1に示すように、プリンタ装置10では、テーブル20の前方が開放されている。そのため、切り離された第2メディアMe2が前方に送り出されると、そのままでは第2メディアMe2は自重によってテーブル20から落下する。そこで、本実施形態では、フィードローラ61を低速で回転させることにより第1メディアMe1及び第2メディアMe2を前方に搬送した後、ファン83を駆動し、第2メディアMe2をテーブル20の第2上面部21Bに吸着させる(ステップS7)。これにより、第2メディアMe2をテーブル20の前側部分に保持することができ、第2メディアMe2が落下することを防止することができる。
ただし、テーブル20の下方に第2メディアMe2を収納する部分が設けられている場合、または、第2メディアMe2を落下させても問題がない場合などでは、第2メディアMe2を吸着する動作は不要である。この場合、ステップS7の処理は省略してもよい。
その後は、フィードモータ82を駆動し、第1メディアMe1の前端が次の印刷開始位置に到達するまで、第1メディアMe1を前方に搬送する(ステップS8)。以上が、プリンタ装置10の動作の一例である。
[実施形態の効果]
前記実施形態に係るクランプ部材30及びプリンタ装置10によれば、様々な効果を得ることができる。次に、本実施形態に係るクランプ部材30及びプリンタ装置10がもたらす効果について説明する。
図3に示すように、クランプ部材30によれば、メディアMeをテーブル20の第1上面部21Aに向かって付勢する第1クランプ部34と、メディアMeをテーブル20の第2上面部21Bに向かって付勢する第2クランプ部35とを備え、第1クランプ部34と第2クランプ部35との間に、テーブル20の溝22の上方に位置する隙間51が形成されている。そのため、メディアMeをテーブル20から浮き上がらないように押さえることができると共に、カッター機構13の刃13aを溝22に沿ってメディアMeの端部にまで移動させることができる。クランプ部材30によってメディアMeをクランプした状態のまま、溝22に沿ってメディアMeを切断することができ、メディアMeを幅方向の全体にわたって切断する場合であっても、カッター機構13の刃13aとクランプ部材30との干渉を避けることができる(図5参照)。よって、上記干渉を避けるためにクランプ部材30をテーブル20から取り外す必要はない。クランプ部材30をテーブル20から取り外さなくても、メディアMeの幅方向の一端から他端にまで刃13aを移動させることができる。したがって、メディアMeの切断作業が容易となり、また、切断作業に要する時間を短縮することができる。よって、メディアMeの浮き上がりを防止すると共にメディアMeの切断作業を容易かつ迅速に行うことが可能となる。
また、クランプ部材30によれば、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との間にも、溝22の上方に位置する隙間52が形成されている。第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との間にも、カッター機構13の刃13aを通すことができる。よって、クランプ部材30の左右方向の全体にわたって、刃13aを溝22に沿って移動させることができる。
図2に示すように、カッター機構13はテーブル20よりも右側のホームポジションにまで移動可能である。すなわち、カッター機構13は、クランプ部材30よりも左右方向の外側にまで移動可能である。本実施形態によれば、カッター機構13がクランプ部材30を通過し、ホームポジションに到達してから、刃13aを上方に回動させることが可能となる。
また、プリンタ装置10には、様々な仕様のメディアMeが用いられる。プリンタ装置10には、横幅の異なる複数種類のメディアMeを利用することができ、クランプ部材30の左右方向の位置はメディアMeの横幅に応じて変更される。比較的横幅の小さいメディアMeを用いる場合、左右のクランプ部材30の間隔は小さくなる。左右のいずれか一方のクランプ部材30は、テーブル20の左右方向の中央側に設置されることになる。しかし、本実施形態によれば、クランプ部材30の左右方向の全体にわたって刃13aを溝22に沿って移動させることができる。したがって、クランプ部材30をテーブル20の左右方向の中央側に配置しても、刃13aがクランプ部材30と干渉することがない。クランプ部材30は、溝22の左右の端部に限らず、任意の箇所に設置することが可能である。
基部31は第1部材32及び第2部材33と一体化されていてもよいが、本実施形態では第1部材32及び第2部材33と別部材である。本実施形態によれば、基部31によって第1部材32及び第2部材33を支持することにより、第1部材32及び第2部材33をそれぞれ正確な位置に配置することができる。このため、溝22の幅が小さい場合であっても、第1クランプ部34と第2クランプ部35との間に所定の幅の隙間51を正確に形成することができ、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との間に所定の幅の隙間52を正確に形成することができる。よって、それらの隙間51,52にカッター機構13の刃13aを確実に通過させることができる。
図6(a)に示すように、基部31に支持された第1部材32及び第2部材33は、テーブル20に取り付けられたときに第1上面部21A及び第2上面部21Bに付勢力を加えることができるよう、略L字状に形成されている。しかし、第1部材32及び第2部材33の角度θ1に多少の誤差があっても、第1上面部21A及び第2上面部21Bに付勢力を加えることができる。このため、寸法管理が容易である。
さらに、基部31は硬質樹脂によって形成されている。これにより、基部31を溝22に配置された状態のまま溝22に沿って容易にスライドさせることができる。クランプ部材30を溝22に沿って容易に移動させることができるため、クランプ部材30の位置を容易に調整することができる。
図3に示すように、本実施形態に係るクランプ部材30は、第1延出部42の下面に設けられた第1スペーサ36と、第2延出部47の下面に設けられた第2スペーサ37とを備えている。これにより、第1クランプ部34と第1上面部21Aとの間、及び、第2クランプ部35と第2上面部21Bとの間に、メディアMeが搬送可能に挿入される隙間を正確に形成することができる。また、第1延出部42及び第1クランプ部34が第1上面部21Aに直接的に当接することを防止し、かつ、第2延出部47及び第2クランプ部35が第2上面部21Bに直接的に当接することを防止することができる。クランプ部材30とテーブル20との接触面積が小さくなるので、クランプ部材30をスライドさせる際に、スライド操作の抵抗を低減することができる。これにより、クランプ部材30の高い操作性を確保することができる。なお、スライド操作の抵抗を更に低減するために、第1スペーサ36を第1部材32よりも滑りやすい材料で形成し、第2スペーサ37を第2部材33よりも滑りやすい材料で形成してもよい。
本実施形態に係るクランプ部材30によれば、図8(c)に示すように、基部31の左右方向の長さL5は、第1延出部42及び第1クランプ部34の左右方向の合計の長さL6よりも長く、かつ、第2延出部47及び第2クランプ部35の左右方向の合計の長さL7よりも長い。そのため、クランプ部材30を溝22に沿ってスライドさせるときに、溝22内における基部31の傾きを小さくすることができる(図8(d)参照)。これにより、クランプ部材30をスライドさせる際に、基部31がスライド操作の抵抗になることを抑制することができる。したがって、クランプ部材30の高い操作性を確保することができる。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ装置10によれば、溝22は、第1収容壁部22Bbよりも第2側壁部22C側に突出した第1抜け止め壁部22Bdと、第2収容壁部22Cbよりも第1側壁部22B側に突出した第2抜け止め壁部22Cdとを備えている。そのため、基部31が溝22から上方に抜け出すことを防止することができ、より確実にメディアMeをクランプすることができる。
本実施形態に係るプリンタ装置10によれば、制御装置70は、シートカットの後にファン83を停止させる吸引停止部72と、ファン83の停止後にフィードモータ82を駆動するフィード部73とを有している(図10参照)。そのため、クランプ部材30の第1クランプ部34と第2クランプ部35との間に隙間51が形成されているにも拘わらず、切断後の第1メディアMe1及び第2メディアMe2を前方に搬送する際に、第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げること(図12(c)参照)を防止することができる。よって、切断後の第1メディアMe1及び第2メディアMe2を良好に搬送することができる。
また、本実施形態に係るプリンタ装置10によれば、フィード部73は、シートカットが終了してから所定時間が経過したときにメディアMeが移動し始めるようにフィードモータ82を制御する。そのため、ファン83による吸着力が十分に消失してからメディアMeを搬送することができる。よって、切断後の第1メディアMe1及び第2メディアMe2を良好に搬送することができる。
また、本実施形態に係るプリンタ装置10によれば、フィード部73がメディアMeを搬送させる速度V2は、印刷部76がメディアMeを搬送させる速度V1よりも小さい。すなわち、シートカット後のメディアMeの搬送速度V2は、印刷時のメディアMeの搬送速度V1よりも小さい。シートカット後のメディアMeは比較的小さな速度で搬送されるので、第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げること(図12(c)参照)を防止することができ、切断後の第1メディアMe1及び第2メディアMe2を良好に搬送することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係るクランプ部材の他の実施形態について説明する。図13は、第2実施形態に係るクランプ部材30Aの断面図であり、図14はクランプ部材30Aの平面図である。第2実施形態に係るクランプ部材30Aにおいても、第1部材32及び第2部材33は、1枚の金属板によって構成されている。その他の基本的な構成も、第1実施形態に係るクランプ部材30と同様である。そのため、以下の説明では、第1実施形態と同様または対応する部分には同様の符号を付し、説明を省略することとする。
本実施形態に係るクランプ部材30Aでは、第1立ち上げ部41の下端と第2立ち上げ部46の下端とは、接続部38によって接続されている。加えて、接続部38の前端は前方に突出し、後端は後方に突出し、それらは基部31からの抜けを防止する抜け防止部39となっている。
本実施形態においても、境界部B1、B2を下方に押すと、第1クランプ部34及び第2クランプ部35の先端は上方に移動する(図6(d)参照)。特に本実施形態では、第1クランプ部34及び第2クランプ部35の先端が上方に移動しやすい。すなわち、境界部B1、B2を下方に押すと、第1クランプ部34と第1上面部21Aとの上下方向の隙間、及び、第2クランプ部35と第2上面部21Bとの上下方向の隙間は、大きくなりやすい。
図14に示すように、第1延出部42及び第2延出部47の側面はメディアMeの搬送方向と平行であるが、第1クランプ部34及び第2クランプ部35の側面はメディアMeの搬送方向から傾斜している。第1クランプ部34の側面は、基部31に近づくほど第1延出部42側に向かうように傾斜している。第2クランプ部35の側面は、基部31に近づくほど第2延出部47側に向かうように傾斜している。第1クランプ部34の左右方向の長さは、先端部34aに近づくほど大きくなり、第2クランプ部35の左右方向の長さは、先端部35aに近づくほど大きくなる。また、境界部B1、B2を下方に押したときに、第1クランプ部34と第1上面部21Aとの上下方向の隙間は、先端部34aに近づくほど大きくなり、第2クランプ部35と第2上面部21Bとの上下方向の隙間は、先端部35aに近づくほど大きくなる。すなわち、第1クランプ部34及び第2クランプ部35は、テーブル20との上下方向の隙間が大きい部分である先端部34a,35a側の部分の方が、基部31側の部分よりも左右方向の長さが長い。したがって、クランプ部材30Aをテーブル20に取り付ける際に、境界部B1、B2を下方に押しながらメディアMeを左右方向に移動させると、メディアMeはテーブル20との隙間の大きな部分(先端部34a,35a側)に先に入り込む。
ところで、第1実施形態に係るクランプ部材30(図4参照)では、第1立ち上げ部41の下端及び第2立ち上げ部42の下端において、基部31に応力が集中する傾向がある。そのため、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部42のうち基部31に埋設される部分の長さが短いと、第1部材32及び第2部材33が基部31に対してぐらつく場合がある。一方、第2実施形態に係るクランプ部材30Aでは、図13に示すように、第1立ち上げ部41の下端及び第2立ち上げ部46の下端は、接続部38によって接続されている。第1立ち上げ部41と接続部38と第2立ち上げ部42とは、一体的に形成されている。また、第1立ち上げ部41の下端及び第2立ち上げ部42の下端は、基部31に接続されている。よって、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部42の下端の応力を分散させ、基部31に加わる負荷を軽減することができる。したがって、クランプ部材30Aのぐらつきを防止することができる。
詳細な説明は省略するが、プリンタ装置10のテーブル20に第2実施形態に係るクランプ部材30Aを取り付けた場合にも、プリンタ装置10において前述の動作を行うことができる。したがって、クランプ部材30AによってメディアMeの浮き上がりを防止すると共に、メディアMeの切断作業を容易かつ迅速に行うことができる。また、切断後の第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げてしまうことを防止することができ、切断後の両メディアMe1,Me2を良好に搬送することができる。その他、前述した各種の効果を得ることができる。
第2実施形態に係るクランプ部材30Aでは、図14に示すように、第1クランプ部34の左右方向の長さは、先端34a側から基部31側に行くほど短くなる。メディアMeの搬送方向に沿った単位長さ当たりの面積は、基部31に近くなるほど小さくなる。同様に、第2クランプ部35の左右方向の長さは、先端部35a側から基部31側に行くほど短くなる。メディアMeの搬送方向に沿った単位長さ当たりの面積は、基部31に近くなるほど小さくなる。そのため、第1クランプ部34及び第2クランプ部35がメディアMeを押さえる局所的な力は、基部31に近くなるほど弱くなる。したがって、第2実施形態に係るクランプ部材30Aは、第1実施形態に係るクランプ部材30に比べて、切断後のメディアMeを搬送する際に、第1メディアMe1が第2メディアMe2に重なりやすい性質を有している。よって、制御装置70による前述の制御の効果、すなわち、両メディアMe1,Me2の重なりを防止する効果は、より顕著となる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るクランプ部材及びプリンタ装置について説明する。以下の説明では、第1実施形態と同様または対応する部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略することとする。
図15はプリンタ装置10Aの斜視図であり、図16はプリンタ装置10Aの内部の正面図であり、図17はプリンタ装置10Aの内部の側面図である。
図15及び図16に示すように、プリンタ装置10Aは、印刷ヘッド12A及びカッター機構13が収容されたキャリッジ12と、筐体100と、テーブル20と、テーブル20に対して着脱可能な左右一対のクランプ部材30Bとを有する。図15では、クランプ部材30Bがテーブル20から取り外された状態が示されている。図16及び図17では、クランプ部材30Bがテーブル20に取り付けられた状態が示されている。
図16及び図17に示すように、プリンタ装置10Aは、ガイドレール15、キャリッジ駆動機構112、フィードローラ61、フィードモータ82、及びピンチローラ62を有する。
ガイドレール15は、テーブル20の上方において、主走査方向に延在するよう筐体100に取り付けられている。キャリッジ駆動機構112は、ガイドレール15に沿って、キャリッジ12を主走査方向に往復移動させる。キャリッジ12には、テーブル20及びメディアMeに対して上下に対向する複数の印刷ヘッド12Aが搭載されている。印刷ヘッド12Aはインクジェットヘッドである。つまり、印刷ヘッド12Aの下面には複数のノズル(図示せず)が形成されており、印刷ヘッド12AがノズルからメディアMeに向けてインクを吐出し、これによりメディアMeに画像が形成される。
図17に示すように、フィードローラ61は溝22よりも搬送方向上流側に配置されている。フィードローラ61の一部はテーブル20に埋設され、フィードローラ61の上側の周面がテーブル20の上面から露出している。フィードローラ61の上方には、昇降可能なピンチローラ62が配設されている。
カッター機構13は、メディアMeを裁断するための機構である。カッター機構13は駆動機126及び刃13aを有する。駆動機126はキャリッジ12に搭載されている。刃13aは、駆動機126に連結されている。駆動機126は例えばソレノイドまたはモータであり、刃13aをテーブル20に対して昇降させるように駆動する。上述の溝22は、刃13aの下方に形成されており、下降した刃13aは溝22に挿入される。
例えばカッター機構13は、印刷動作後にメディアMeを裁断する。具体的に、フィードモータ82によるメディアMeの搬送が停止した状態で、駆動機126は、刃13aを下降させる。そして、サーボモータ116は、キャリッジ12を主走査方向に移動させる。キャリッジ12の移動に伴い、刃13aは溝22に沿って主走査方向に移動して、メディアMeを裁断する。
前記各実施形態と同様、ピンチローラ62は印刷ヘッド12Aよりも搬送方向の上流側に配置されているので、ピンチローラ62よりも下流側ではメディアMeがテーブル20から浮き上がってしまう虞がある。また、メディアMeの幅方向の端部がピンチローラ62から主走査方向にずれて配置された場合にも、メディアMeがテーブル20から浮き上がってしまう虞がある。以上のようなことを防止するべく、クランプ部材30BはメディアMeの幅方向の両側の端部をテーブル20に押さえつける。
次に、第3実施形態に係るクランプ部材30Bの詳細な構成について説明する。図18及び図19はテーブル20及び右のクランプ部材30Bの斜視図であり、図20は図17の20部拡大図である。図18では、クランプ部材30Bがテーブル20に取り付けられていない状態が示されており、図19では、クランプ部材30Bがテーブル20に取り付けられた状態が示されている。図20では、テーブル20に取り付けられた状態のクランプ部材30Bを実線により示し、テーブル20から取り外された状態のクランプ部材30Bを二点鎖線により示す。なお、左のクランプ部材30Bの形状は、右のクランプ部材30Bの形状に対して左右対称であるため、詳細な説明を省略する。
図18及び図19に示すように、第3実施形態に係るクランプ部材30Bは、金属薄板(例えば、ステンレス鋼薄板)をプレス加工することによって成形された板ばねにより構成されている。本実施形態において、基部31、第1立ち上げ部41、第2立ち上げ部46、第1延出部42、第2延出部47、第1クランプ部34、及び第2クランプ部35は、一体成形されてなる一体成形品である。
第1クランプ部34及び第2クランプ部35は薄板状に形成されている。第1クランプ部34と第2クランプ部35との間には、隙間51が形成されている。メディアMeを押さえた状態において、メディアMeは両クランプ部34,35の間の隙間51において露出する。
第1延出部42の先端部42a及び第1クランプ部34の先端部34aは、先端側に行くほど上方に向かうように第1上面部21Aに対して傾斜している。第1クランプ部34の第2クランプ部35側の先端部168Rも、先端側に行くほど上方に向かうように第1上面部21Aに対して傾斜している。第2延出部47の先端部47a及び第2クランプ部35の先端部35aは、先端側に行くほど上方に向かうように第2上面部21Bに対して傾斜している。第2クランプ部35の第1クランプ部34側の先端部167Rも、先端側に行くほど上方に向かうように第2上面部21Bに対して傾斜している。
第2クランプ部35には貫通孔164R,165Rが形成されている。貫通孔164R,165Rを通じてメディアMeの有無を視認することにより、メディアMeに対するクランプ部材30Bの左右方向の相対的な位置を調整することができる。なお、第1クランプ部35と同様に、第2クランプ部34にも貫通孔が形成されていてもよい。また、前述の実施形態に係るクランプ部材30,30Aにおいて、同様の貫通孔が形成されていてもよい。
基部31と第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46とは、V字型、半円弧型、門形型の凹形状に形成されていてもよいが、ここでは図20に示すように、弓型(U字型または半長円弧型)に形成されている。また、溝22も弓型に形成されている。そのため、基部31と第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との全体は、溝22に沿って滑らかに嵌まりやすい。
図20中の二点鎖線で示すように、クランプ部材30Bが溝22から外れた状態では、第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46との間の隙間52の幅W1は、溝22の上端の幅W2よりも広い(図18も参照)。そのため、図20中の実線で示すように、クランプ部材30Bが溝22に嵌合した状態では、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46は弾性的に圧縮されている(図19も参照)。これにより、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46は溝22に固定され、溝22から外れ難い。
図20に示すように、クランプ部材30Bがテーブル20から取り外された状態では、第1延出部42及び第2延出部47は、互いに近づく方に行くほど上方に向かうように、左右方向から傾斜している。一方、クランプ部材30Bがテーブル20に取り付けられた状態では、第1延出部42及び第2延出部47は、テーブル20の上面に沿って左右方向に延びる。第1延出部42及び第2延出部47には、下向きの付勢力が加えられる。これにより、第1延出部42に連続する第1クランプ部34は、メディアMeを第1上面部21Aに押さえつけ、第2延出部47に連続する第2クランプ部35は、メディアMeを第2上面部21Bに押さえつける。
図17に示すように、クランプ部材30Bの前後長、つまりクランプ部材30Bの下流側の端から上流側の端までの長さは、印刷ヘッド12Aの前後長よりも長く、また、キャリッジ12の前後長よりも長い。クランプ部材30Bがテーブル20に取り付けられた状態において、第2クランプ部35の下流側の端は印刷ヘッド12Aの前端及びキャリッジ12の前端よりも前に位置し、第1クランプ部34の上流側の端は印刷ヘッド12Aの後端及びキャリッジ12の後端よりも後ろに位置する。そのため、印刷ヘッド12Aの前後方向の全体及びキャリッジ12の前後方向の全体にわたって、テーブル20からメディアMeが浮き上がることを抑制できる。なお、フィードローラ61及びピンチローラ62から第1クランプ部34の後端までの距離が短い程、メディアMeの浮き上がりの抑制効果が高くなる。
次に、クランプ部材30Bの取り付け方法について説明する。まず、図18に示すように、メディアMeの側縁Meeの上方にクランプ部材30Bを位置付け、クランプ部材30Bの姿勢を決める。具体的には、基部31を溝22の上方に配し、第1延出部42及び第2延出部47をメディアMeの右方に配し、第1クランプ部34及び第2クランプ部35をメディアMeの上方に配する。
そして、クランプ部材30Bを下降させて、基部31、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46を溝22に嵌め込む。これにより、図19に示すように、第1クランプ部34と第1上面部21Aとの間、及び、第2クランプ部35と第2上面部21Bとの間に、メディアMeを挟む。この際、貫通孔164R,165Rを通してメディアMeを視認して、貫通孔164R,165RをメディアMeの右側縁Meeに重ねるようにして、メディアMeを両クランプ部34,35によって押さえる。これにより、クランプ部材30Bの左右方向の位置を決めることができる。
クランプ部材30Bを溝22に嵌め込む際には、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46の上部同士の間隔が狭まるように、第1立ち上げ部41及び第2立ち上げ部46が弾性的に圧縮される。また、第1延出部42及び第2延出部47が、第1上面部21A及び第2上面部21Bに沿うように弾性変形する。クランプ部材30Bの内部に生じる弾性力は、両クランプ部34,35がメディアMeをテーブル20に押し付ける力として機能する。
説明は省略するが、左のクランプ部材30Bも同様にしてテーブル20に取り付けることができ、左のクランプ部材30BによってメディアMeの左端部をテーブル20に押さえることができる。
クランプ部材30Bをテーブル20から取り外すときには、第1延出部42及び第1クランプ部34、並びに、第2延出部47及び第2クランプ部35の少なくとも一方を引き上げる。具体的には、例えば次のようにする。
まず、指先等を先端部34aまたは先端部42aに引っ掛けて上方に引っ張ることによって、基部31を支点にして第1クランプ部34及び第1延出部42を起こし上げる。すると、第1立ち上げ部41は第2立ち上げ部46に近づくように弾性的に圧縮され、基部31と第1立ち上げ部41と第2立ち上げ部46とが溝22から上方に抜ける。これにより、クランプ部材30Bをテーブル20からから上方へ離間させることができる。なお、指先等を先端部35aまたは先端部47aに引っ掛けて上方に引っ張ることによっても、クランプ部材30Bを溝22から簡単に抜き出すことができる。
左のクランプ部材30Bも同様にしてテーブル20から取り外すことができる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、詳細な説明は省略するが、本実施形態においても、プリンタ装置10Aのテーブル20にクランプ部材30Bを取り付けた状態において、プリンタ装置10Aにおいて前述の動作を行うことができる。すなわち、前述と同様の印刷及びシートカット制御を実行することができる。したがって、クランプ部材30BによってメディアMeの浮き上がりを防止すると共に、メディアMeの切断作業を容易かつ迅速に行うことができる。また、切断後の第1メディアMe1が第2メディアMe2の上に乗り上げてしまうことを防止することができ、切断後の両メディアMe1,Me2を良好に搬送することができる。
<第4実施形態>
図21は、第4実施形態に係るクランプ部材30Cの平面図である。第4実施形態に係るクランプ部材30Cでは、第1延出部42の第1クランプ部34側と反対側(図22の右側)に、第1延長部91が設けられている。また、第2延出部47の第2クランプ部35側と反対側に、第2延長部92が設けられている。第1延長部91と第2延長部92とは、前後方向に離間している。その他の基本的な構成は、前記各実施形態に係るクランプ部材と同様である。
前述したように、カッター機構13(図2参照)はメディアMeを押さえつけるローラを備えていてもよい。その場合、カッター機構13が左右に移動すると、このローラはメディアMeの上を転がりながら、メディアMeをテーブル20に向けて押しつける。ここで、第1〜第3実施形態に係るクランプ部材30,30A,30Bでは、上記ローラが外側から中央に向かって移動する場合(図3、図14及び図19において左向きに向かって進む場合)、ローラは、まず、第1立ち上げ部41から第1延出部42に至る部分の端面及び第2立ち上げ部46から第2延出部47に至る部分の端面に突き当たる。第1立ち上げ部41と第1延出部42との間及び第2立ち上げ部46と第2延出部47との間には、曲がった部分が設けられている。そのため、ローラがこの曲がった部分を乗り上げる際に抵抗が発生し、クランプ部材30,30A,30Bがローラの進行方向(左方)に押され、クランプ部材30,30A,30Bの位置がずれることが懸念される。
しかし、本実施形態に係るクランプ部材30Cによれば、第1延出部42と第2延出部47とは基部31を介して前後に連結されているが、第1延長部91と第2延長部92とは基部31を介して前後に連結されていない。第1延長部91と第2延長部92とは、前後方向に離間している。第1延長部91及び第2延長部92は、第1延出部42及び第2延出部47に比べると弾性変形しやすい。そのため、上記ローラが左向きに移動して第1延長部91または第2延長部92に乗り上げた際に、第1延長部91または第2延長部92が弾性変形することにより、上記ローラが乗り上げるときの衝撃を緩和することができる。よって、クランプ部材30Cの位置がずれてしまうことを抑制することができる。
<第5実施形態>
前記各実施形態に係るクランプ部材30,30A,30B,30Cは、立ち上げ部41,42、延出部42,47、およびクランプ部34,35を、それぞれ前後に一対ずつ備えていた。しかし、クランプ部材30,30A,30B,30Cは、立ち上げ部、延出部、およびクランプ部を、前方および後方のいずれか一方のみに備えていてもよい。すなわち、クランプ部材30,30A,30B,30Cは、第1立ち上げ部41、第1延出部42、および第1クランプ部34を備え、第2立ち上げ部42、第2延出部47、および第2クランプ部35を備えていなくてもよい。または、クランプ部材30,30A,30B,30Cは、第2立ち上げ部42、第2延出部47、および第2クランプ部35を備え、第1立ち上げ部41、第1延出部42、および第1クランプ部34を備えていなくてもよい。
このような実施形態であっても、メディアMeをテーブル20に押しつけた状態のまま、カッター13aを溝22に沿って動かすことにより、メディアMeを切断することができる。メディアMeの切断時にカッター13aとクランプ部材30,30A,30B,30Cとが干渉しないので、クランプ部材30,30A,30B,30Cを取り外す必要がない。したがって、このような実施形態においても、メディアMeの浮き上がりを防止することができるとともに、容易かつ迅速にメディアMeを切断することができる。
<変形例>
以上、本発明を実施するためのいくつかの形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。前記の実施形態及び以下に説明する変更点は、可能な限り相互に組み合わせて適用してもよい。
上述の実施形態では、第1部材32及び第2部材33は金属からなるが、それらの材料を変更してもよい。例えば、第1部材32及び第2部材33は、樹脂、繊維強化樹脂または複合材(例えば金属と樹脂の複合材)からなっていてもよい。
上述の実施形態では、クランプ部材30Bは左右非対称な形状を有しており、メディアMeの左側または右側に専用のものであった。一方、図22に示すように、クランプ部材30Bを左右対称な形状として、メディアMeの右側及び左側に兼用できるようにしてもよい。クランプ部材30,30Aについても同様である。
上述の実施形態では、プリンタ装置10,10Aはカッター機構13を有していた。それに対して、プリンタ装置10,10Aがカッター機構13を有さなくてもよい。この場合でも、テーブル20の溝22にクランプ部材30,30A,30Bを取り付けることができる。プリンタ装置10,10Aがカッター機構13を有さなくても、ユーザーが手持ちのカッターをメディアMeの上から溝22に差し込んで、そのカッターをクランプ部材30,30A,30Bに干渉されることなく左右に移動させることによって、メディアMeを裁断することができる。
上述の実施形態では溝22は有底状であったが、溝22はテーブル20を上下に貫通していてもよい。
上述の実施形態では、メディアMeを貫通した刃13aの逃げ用のために溝22が形成されていたが、溝22が他の用途にも利用されてもよい。例えば、メディアMeを検出する媒体検出センサ(例えば、光学センサ)が溝22に設けられていてもよい。
上述の実施形態では、印刷ヘッド12Aはインクジェットプリンタ式の印刷ヘッドであったが、他の印刷方式(例えば、レーザープリンタ式若しくはLEDプリンタ式等の感光式、熱転写式)の印刷ヘッドであってもよい。
本発明に係るクランプ部材は、プリンタ・メディア切断装置に限らず、メディアに印刷する機能のみを有するプリンタ装置や、メディアを切断する機能のみを有するメディア切断装置にも適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
なお、ここに開示される発明には、下記の発明が含まれる。
[第1の発明]
第1上面部と、第2上面部と、前記第1上面部と前記第2上面部との間に形成されて第1の方向に延びる溝と、を有するテーブルに取り付けられ、前記第1上面部及び前記第2上面部の上に載置されるメディアを前記第1上面部及び前記第2上面部に押しつけるクランプ部材であって、
前記テーブルの前記溝に収納される基部と、
前記基部から立ち上がった第1立ち上げ部と、
前記第1立ち上げ部から前記テーブルの前記第1上面部に沿って延びる第1延出部と、
前記基部から立ち上がった第2立ち上げ部と、
前記第2立ち上げ部から前記テーブルの前記第2上面部に沿って延びる第2延出部と、
前記第1延出部から前記第1上面部に沿って前記第1の方向に延び、前記メディアを前記第1上面部に向かって付勢する第1クランプ部と、
前記第2延出部から前記第2上面部に沿って前記第1の方向に延び、前記メディアを前記第2上面部に向かって付勢する第2クランプ部と、を備え、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に、前記テーブルの前記溝の上方に位置する隙間が形成されている、クランプ部材。
[第2の発明]
前記第1立ち上げ部と前記第2立ち上げ部との間に、前記テーブルの前記溝の上方に位置する隙間が形成されている、第1の発明に係るクランプ部材。
[第3の発明]
前記基部は、前記第1立ち上げ部及び前記第2立ち上げ部と別体であり、
前記第1立ち上げ部及び前記第2立ち上げ部は、前記基部に固定されている、第1または第2の発明に係るクランプ部材。
[第4の発明]
前記基部は、硬質樹脂によって形成されている、第1〜3のいずれか一つの発明に係るクランプ部材。
[第5の発明]
前記第1延出部の下面に設けられ、前記テーブルの前記第1上面部に載置される第1スペーサと、
前記第2延出部の下面に設けられ、前記テーブルの前記第2上面部に載置される第2スペーサと、
を備えている、第1〜4のいずれか一つの発明に係るクランプ部材。
[第6の発明]
前記基部の前記第1の方向の長さは、前記第1延出部及び前記第1クランプ部の前記第1の方向の合計の長さよりも長く、かつ、前記第2延出部及び前記第2クランプ部の前記第1の方向の合計の長さよりも長い、第1〜5のいずれか一つの発明に係るクランプ部材。
[第7の発明]
第1上面部と、第2上面部と、前記第1上面部と前記第2上面部との間に形成されて第1の方向に延びる溝と、を有するテーブルと、
前記溝に沿って前記第1の方向に移動可能に設けられ、前記第1上面部及び前記第2上面部に載置されるメディアを切断するカッター機構と、
前記テーブルに取り付けられ、前記メディアを前記第1上面部及び前記第2上面部に押しつけるクランプ部材と、を備え、
前記クランプ部材は、
前記テーブルの前記溝に収納される基部と、
前記基部から立ち上がった第1立ち上げ部と、
前記第1立ち上げ部から前記テーブルの前記第1上面部に沿って延びる第1延出部と、
前記基部から立ち上がった第2立ち上げ部と、
前記第2立ち上げ部から前記テーブルの前記第2上面部に沿って延びる第2延出部と、
前記第1延出部から前記第1上面部に沿って前記第1の方向に延び、前記メディアを前記第1上面部に向かって付勢する第1クランプ部と、
前記第2延出部から前記第2上面部に沿って前記第1の方向に延び、前記メディアを前記第2上面部に向かって付勢する第2クランプ部と、を備え、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間に、前記テーブルの前記溝の上方に位置する隙間が形成されている、メディア切断装置。
[第8の発明]
前記溝は、第1側壁部と、前記第1側壁部から離間した第2側壁部とを有し、
前記第1立ち上げ部及び前記第2立ち上げ部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部から離間している、第7の発明に係るメディア切断装置。
[第9の発明]
前記溝は、底壁部と、前記底壁部の前記第1上面部側から立ち上がった第1側壁部と、前記底壁部の前記第2上面部側から立ち上がり、前記第1側壁部から離間した第2側壁部と、を有し、
前記第1側壁部は、前記底壁部と交差する第1収容壁部と、前記第1収容壁部の上方に位置し、前記第1収容壁部よりも前記第2側壁部側に突出した第1抜け止め壁部と、を有し、
前記第2側壁部は、前記底壁部と交差する第2収容壁部と、前記第1抜け止め壁部に対向するように前記第2収容壁部の上方に位置し、前記第2収容壁部よりも前記第1側壁部側に突出した第2抜け止め壁部と、を有し、
前記基部の前記第1の方向と直交する第2の方向の寸法は、前記第1収容壁部と前記第2収容壁部との間隔よりも小さく、かつ、前記第1抜け止め壁部と前記第2抜け止め壁部との間隔よりも大きい、第7の発明に係るメディア切断装置。
[第10の発明]
前記テーブルの前記第2上面部に形成された吸着穴と、
前記吸着穴に向けて上方から空気を吸い込むように前記吸着穴に連通し、前記メディアを前記第2上面部に吸着する吸引装置と、
前記メディアを前記テーブルの前記第1上面部及び前記第2上面部に沿って送るフィード機構と、
前記カッター機構、前記吸引装置、及び前記フィード機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記メディアが前記第1上面部及び前記第2上面部に載置されているときに、前記吸引装置を駆動するとともに前記カッター機構を前記溝に沿って移動させるシートカットを実行するシートカット部と、
前記シートカットの後に、前記吸引装置を停止させる吸引停止部と、
前記吸引装置の停止後に、前記メディアを前記第1上面部側から前記第2上面部側に搬送するように前記フィード機構を制御するフィード部と、を有している、第7〜9のいずれか一つの発明に係るメディア切断装置。
[第11の発明]
前記フィード部は、前記シートカットが終了してから所定時間が経過したときに前記メディアの搬送を開始するように前記フィード機構を制御する、第10の発明に係るメディア切断装置。
[第12の発明]
前記第1の方向に移動可能に設けられ、インクを吐出する印刷ヘッドを備え、
前記制御装置は、前記印刷ヘッドを前記第1の方向に移動させながら前記印刷ヘッドからインクを吐出させる吐出動作と、前記フィード機構により前記メディアを前記第1上面部側から前記第2上面部側に搬送するフィード動作とを繰り返すことにより印刷を実行する印刷部を有し、
前記フィード部が前記メディアを搬送させる速度は、前記印刷部が前記メディアを搬送させる速度よりも小さい、第10または第11の発明に係るメディア切断装置。
本発明に係るメディア切断装置は、上面部と、前記上面部に形成されて第1の方向に延びる溝と、を有するテーブルと、前記溝に沿って前記第1の方向に移動可能に設けられ、前記上面部に載置されるメディアを切断するカッター機構と、前記テーブルに取り付けられ、前記メディアを前記上面部に押しつけるクランプ部材と、を備える。前記カッター機構は、前記第1の方向に移動しながら前記メディアを切断するように構成されている。前記クランプ部材は、その全体が前記テーブルの前記溝に収納される基部と、前記基部から立ち上がった立ち上げ部と、前記立ち上げ部から前記テーブルの前記上面部に沿って、前記溝から離隔する方向に延びる延出部と、前記延出部から前記上面部に沿って、前記第1の方向であって前記立ち上げ部から離隔する方向に延び、前記メディアを前記上面部に向かって付勢するクランプ部と、を備えている。