JP2020083735A - パージチューブ、単結晶引き上げ装置、および、シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明によれば、円筒部の中心軸と鉛直線とが平行になるように、パージチューブを単結晶引き上げ装置に設けることで、透過部の上面に対する光学観察手段の光軸の入射角を、上記特許文献1のような構成(以下、「従来の構成」という)と比べて小さくすることができる。したがって、透過部上面での反射成分が光学観察手段で観察されてしまうことを抑制でき、光学観察手段でシリコン単結晶の育成状況を適切に把握できる。
本発明は、シリコン単結晶の育成状況を適切に把握できるため、精密なギャップ制御、精密なシリコン単結晶の直径制御、あるいは、精密な引き上げ速度制御、もしくはこれらが同時に求められる半導体用のシリコン単結晶の製造に好適である。
本発明によれば、透過部上面での反射成分が光学観察手段で観察されてしまうことをより抑制できる。なお、上記入射角は、22.5°以下になるように形成されていることがより好ましい。
本発明によれば、透過部上面での反射成分が光学観察手段で観察されてしまうことを防止できる。
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、単結晶引き上げ装置の一般的な構成について説明する。
図1に示すように、単結晶引き上げ装置1は、CZ法(Czochralski法)に用いられる装置であって、引き上げ装置本体2と、光学観察手段3と、制御部4とを備えている。
引き上げ装置本体2は、チャンバ21と、このチャンバ21内に配置された坩堝22と、この坩堝22を加熱するヒータ23と、引き上げ部24と、熱遮蔽体25と、チャンバ21の内壁に設けられた断熱材26と、坩堝駆動部27とを備えている。
なお、単結晶引き上げ装置1は、二点鎖線で示すように、MCZ(Magnetic field applied Czochralski)法に用いられる装置であって、チャンバ21の外側において坩堝22を挟んで配置された一対の電磁コイル28を有していてもよい。
メインチャンバ211は、上面がする形状に形成され、坩堝22、ヒータ23、熱遮蔽体25などが配置される本体部211Aと、本体部211Aの上面を閉塞する蓋部211Bとを備えている。蓋部211Bには、Arガスなどの不活性ガスをメインチャンバ211に導入するための開口部211Cと、光学観察手段3がチャンバ21内部を観察するための石英製の窓部211Dとが設けられている。本体部211Aと蓋部211Bとの間には、内側に延びる支持部211Eが設けられている。
プルチャンバ213には、Arガスなどの不活性ガスをメインチャンバ211内に導入するガス導入口21Aが設けられている。メインチャンバ211の本体部211Aの下部には、当該メインチャンバ211内の気体を排出するガス排気口21Bが設けられている。
ヒータ23は、坩堝22の周囲に配置されており、坩堝22内のシリコンを融解する。
引き上げ部24は、一端に種結晶SCが取り付けられるケーブル241と、このケーブル241を昇降および回転させる引き上げ駆動部242とを備えている。
熱遮蔽体25は、支持部211E上に被支持部252が固定されることによって、坩堝22の上方に配置される。
坩堝駆動部27は、黒鉛坩堝222を下方から支持する支持軸271を備え、坩堝22を所定の速度で回転および昇降させる。
次に、単結晶引き上げ装置1に設けられるパージチューブの構成について説明する。
図3(A)〜(C)に示すように、パージチューブ5は、円筒状の円筒部51と、当該円筒部51の下端から外側に向けて鍔状に突出する鍔部52とを備えている。
鍔本体部521は、平面視において、厚さが均一の円錐台筒形状の一部が切り欠かれた略C字状に形成されている。つまり、鍔本体部521の上面521Aは、曲面になっている。
透過部522は、厚さが均一の平板状に形成されている。つまり透過部522の上面522Aは、平面になっている。透過部522は、鍔本体部521における切り欠かれた部分を埋めるように設けられている。透過部522は、側面視において、上面522Aと円筒部51の外周面51Aとのなす角度θ1が鈍角となるように設けられている。透過部522は、図2に示すように、その上面522Aに対する撮像手段31の光軸Pの入射角(上面522Aの法線Nに対する光軸Pの角度)が45°以下となるように設けられている。本第1実施形態では、入射角が0°、つまり上面522Aと光軸Pとのなす角度θ2が90°となるように設けられている。
図1および図3に示すように、パージチューブ5は、鍔部52が熱遮蔽体本体部251の内周面から突出するパージチューブ支持部251Aによって下方から支持されることによって、シリコン融液Mの液面から透過部522までの距離がL1となるように位置決めされている。この距離をL1にすることによって、透過部522の下端の位置が、後述する実施例におけるパージチューブ9の変色領域Aの上端位置よりも高くなる。また、パージチューブ5は、円筒部51の中心軸と熱遮蔽体25の中心軸とが一致するように、かつ、円筒部51の中心軸が鉛直線Vと平行になるように位置決めされている。
次に、単結晶引き上げ装置1を用いたシリコン単結晶SMの製造方法について説明する。
なお、本製造方法によって、200mm、300mm、450mmなどのシリコンウェーハを取得可能なシリコン単結晶SMを製造してもよい。
その後、制御部4は、ガス導入口21Aからチャンバ21内に不活性ガスを所定の流量で導入するとともに、チャンバ21内の圧力を減圧して、チャンバ21内を減圧下の不活性雰囲気に維持する。
その後、制御部4は、種結晶SCをシリコン融液Mに浸漬して、坩堝22およびケーブル241を所定の方向に回転させながら、当該ケーブル241を引き上げることで、シリコン単結晶SMを育成する。
第1実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)円筒部51と鍔部52とで構成されたパージチューブ5を、円筒部51の中心軸と鉛直線Vとが平行になるように、チャンバ21内で位置決めしている。
このため、透過部522の上面522Aに対する撮像手段31の光軸Pの入射角を、従来の構成と比べて小さくすることができる。その結果、透過部522の上面522Aでの反射成分が撮像手段31で撮像されることを抑制でき、チャンバ21の外部からシリコン単結晶SMの育成状況を適切に把握できる。
(3)また、平板状の透過部522の厚さを均一にしているため、二次元観察時の観察結果の歪みを抑制できる。
これら(2)、(3)の効果によって、撮像手段31は、シリコン融液Mやシリコン単結晶SMの実際の状況がほぼ正確に、かつ、クリアに映し出された像を撮像できる。特に、シリコン融液Mとシリコン単結晶SMの境界部およびその周辺の像をクリアに撮像できる。
その結果、チャンバ21の外部からシリコン単結晶SMの育成状況をほぼ正確に把握できる。そして、把握した育成状況に基づいて、シリコン単結晶SMの直径およびギャップGを精密に制御することができる。すなわち、クリアな像により、狙いの直径に対する乖離量、あるいは狙いのギャップGに対する乖離量を正確に把握し、その乖離量をなくすように制御することが可能となる。
この変色は、酸化ケイ素(SiOx)が透過部522に付着、結合することにより発生するため、フッ酸などによる酸洗浄により除去することができるが、除去費用が発生するため製造のコスト増につながる。
上記実施形態では、透過部522の変色を抑制できるため、コスト増を抑制できる。
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略または簡略にする。
まず、パージチューブの構成について説明する。
図4(A)〜(B)に示すように、パージチューブ7は、円筒状の円筒部71と、当該円筒部71の下端から外側に向けて鍔状に突出する鍔部72とを備えている。図5に示すように、鍔部72の外径は熱遮蔽体25の下端開口の内径よりも大きく、さらに熱遮蔽体25の上端開口の内径よりも大きいことを特徴とする。
鍔部72は、透明な石英により形成されている。鍔部72は、円筒部71の中心軸と直交する方向に延び、かつ、厚さが均一の円環板状に形成されている。鍔部72の外径は、熱遮蔽体25の下端開口の内径よりも大きく、さらに熱遮蔽体25の上端開口の内径よりも大きい。パージチューブ7がチャンバ21内に設けられたときに、鍔部72における撮像手段31の光軸Pと重なる部分を含む一部の領域が、透過部721として機能する。例えば、図4(A)において、二点鎖線で囲まれる領域が、透過部721として機能するが、パージチューブ7の設置状態によっては、他の領域が透過部721となり得る。このような構成によって、透過部721の上面721Aは、平面になる。
鍔部72の上面72Aには、円環板状の内縁に沿う円形の位置決め溝部72Bが設けられている。この位置決め溝部72Bに円筒部71の下端が嵌め込まれることで、円筒部71の中心軸と鍔部72の中心軸とが一致するように、両者が位置決めされる。透過部721は、側面視において、その上面721Aと円筒部71の外周面71Aとのなす角度θ3が直角となるように設けられる。
図5および図6に示すように、パージチューブ7は、単結晶引き上げ装置1Aのチャンバ21内に設けられる。パージチューブ7は、熱遮蔽体25の上端開口の内径よりも大きいので、熱遮蔽体25の被支持部252の上面に載置することができる。鍔部72が熱遮蔽体25の被支持部252の上面に載置されることによって、シリコン融液Mの液面から透過部721までの距離L2を、第1実施形態の距離L1よりも長くすることができ、透過部721の下端の位置を確実にパージチューブ9の変色領域Aの上端位置よりも高くすることができる。さらに、パージチューブ7が第1実施形態と比較して高温に晒されることを避けることができるので、より多くの繰り返しの使用が可能となる。
また、パージチューブ7は、円筒部71の中心軸と熱遮蔽体25の中心軸とが一致し、かつ、円筒部71の中心軸が鉛直線Vと平行になるように位置決めされている。さらに、パージチューブ7は、その上端側の一部分が蓋部211Bの開口部211C内に位置するように、位置決めされている。パージチューブ7と開口部211Cとが接触していないが、両者が接触していてもよい。
以上のように、パージチューブ7がチャンバ21内で支持されることによって、透過部721の上面721Aに対する撮像手段31の光軸Pの入射角θ4(上面721Aの法線Nに対する光軸Pの入射角θ4)は、45°以下になる。
次に、単結晶引き上げ装置1Aを用いたシリコン単結晶SMの製造方法について説明する。
なお、シリコン単結晶SMの製造工程は第1実施形態と同じため、パージチューブ5の代わりにパージチューブ7を設けたことによる相違点のみ説明する。
第2実施形態によれば、第1実施形態の(4)、(5)と同様の作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(6)円筒部71と鍔部72とで構成されたパージチューブ7を、円筒部71の中心軸と鉛直線Vとが平行になるように、チャンバ21内で位置決めしている。
このため、透過部721の上面721Aに対する撮像手段31の光軸Pの入射角θ4を、従来の構成と比べて小さくすることができ、チャンバ21の外部からシリコン単結晶SMの育成状況を適切に把握できる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
透過部522は、上面522Aと円筒部51の外周面51Aとのなす角度θ1が180°未満であれば、つまり従来の構成のように180°でなければ、上面522Aに対する光軸Pの入射角が45°を超えるように設けられてもよい。このような構成でも、上面522Aに対する光軸Pの入射角を、従来の構成と比べて小さくすることができ、透過部522での反射成分が撮像手段31で撮像されることを抑制できる。
透過部522,721は、厚さが不均一の板状であってもよい。
曲面状の鍔本体部521の上面521Aを透過部として機能させてもよく、この場合、鍔部52全体を円錐台筒状に形成してもよい。
熱遮蔽体25の熱遮蔽体本体部251は、円筒状であってもよいし、熱遮蔽体本体部251にパージチューブ支持部251Aを設けなくてもよい。
そして、パージチューブ9の下端91から変色領域Aの上端までの高さHと、熱遮蔽体25の内側表面の変色した位置とを確認した。
この確認結果に基づき、透過部522,721の下端の位置が、パージチューブ9の変色領域Aの上端位置、および、熱遮蔽体25内側の変色領域の上端位置よりも高くなるように、パージチューブ5,7を設置することで、変色を抑制できる可能性があることが確認できた。
実際に、第1,第2実施形態の構成において、上記確認結果に基づく位置にパージチューブ5,7を設置してシリコン単結晶SMを製造したところ、ヒータ23の通電開始後50時間を超えても変色は見られなかった。
Claims (11)
- 単結晶引き上げ装置のチャンバ内に設けられるパージチューブであって、
円筒状に形成され、前記チャンバの外部から導入される不活性ガスをシリコン融液側に案内する円筒部と、
前記円筒部の外周面から外側に向けて鍔状に突出する鍔部とを備え、
前記鍔部の少なくとも一部には、前記チャンバの外部に設けられた光学観察手段によって、シリコン単結晶の育成状況の観察を可能にする透過部が設けられていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項1に記載のパージチューブにおいて、
前記透過部は、当該透過部の上面に対する前記光学観察手段の光軸の入射角が45°以下になるように形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項2に記載のパージチューブにおいて、
前記透過部は、前記入射角が0°になるように形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパージチューブにおいて、
前記透過部は、厚さが均一の平板状の石英で形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパージチューブにおいて、
前記鍔部は、前記円筒部の中心軸と直交する方向に延びる円環板状に形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項5に記載のパージチューブにおいて、
前記鍔部は、厚さが均一に形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパージチューブにおいて、
前記鍔部の外径は、前記チャンバ内に設けられる円筒状または円錐台筒状の熱遮蔽体の下端の内径よりも大きいことを特徴とするパージチューブ。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパージチューブにおいて、
前記円筒部は、黒鉛により形成されていることを特徴とするパージチューブ。 - シリコン融液を収容する坩堝と、
種子結晶を前記シリコン融液に接触させた後に引き上げることで、シリコン単結晶を育成する引き上げ部と、
前記坩堝の上方において前記シリコン単結晶を囲むように設けられた円筒状の熱遮蔽体と、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパージチューブと、
前記坩堝、前記熱遮蔽体および前記パージチューブを収容するチャンバと、
前記チャンバの外部から当該チャンバの内部に不活性ガスを導入するガス導入部と、
前記チャンバの外部に設けられ、前記パージチューブの前記透過部を介して、前記シリコン単結晶の育成状況を観察する光学観察手段とを備えていることを特徴とする単結晶引き上げ装置。 - 請求項9に記載の単結晶引き上げ装置において、
前記熱遮蔽体の内周面には、前記パージチューブを下方から支持するパージチューブ支持部が設けられていることを特徴とする単結晶引き上げ装置。 - 請求項9または請求項10に記載の単結晶引き上げ装置を用いたシリコン単結晶の製造方法であって、
前記光学観察手段の観察結果に基づいて、前記シリコン単結晶の育成条件を制御することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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