JP3838013B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
シリコン単結晶の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3838013B2 JP3838013B2 JP2000291637A JP2000291637A JP3838013B2 JP 3838013 B2 JP3838013 B2 JP 3838013B2 JP 2000291637 A JP2000291637 A JP 2000291637A JP 2000291637 A JP2000291637 A JP 2000291637A JP 3838013 B2 JP3838013 B2 JP 3838013B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- single crystal
- furnace
- growth
- silicon single
- growth furnace
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C30—CRYSTAL GROWTH
- C30B—SINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
- C30B29/00—Single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure characterised by the material or by their shape
- C30B29/02—Elements
- C30B29/06—Silicon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C30—CRYSTAL GROWTH
- C30B—SINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
- C30B15/00—Single-crystal growth by pulling from a melt, e.g. Czochralski method
- C30B15/14—Heating of the melt or the crystallised materials
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体単結晶の製造方法として、いわゆるチョクラルスキー法(Czochralski Method、以下、CZ法と称する)が知られている。この方法では、単結晶製造装置の育成炉内に配置されたルツボに原料塊を収容し、このルツボの周囲に配設されたヒータを高温加熱することによってルツボ内の原料を融液とする。そして、融液温度が安定したところで原料融液面に種結晶を着液させ、その後、種結晶を静かに引上げることによって種結晶の下方に所望の直径と品質とを有する半導体単結晶を育成する。
【0003】
また、最近のCZ法を用いた半導体単結晶の製造装置では、自動化の推進や光学機器の発達により、育成炉の外部に育成炉内部を観察する撮像装置や、融液から引上げられた結晶の直径を検出するための光学式の直径検出装置、あるいは融液温度を測定する放射温度計など、光学式の検出装置を装備したものが使用されるようになってきている。例えば撮像装置を使用する場合、育成炉の外に装置本体が取り付けられ、育成炉壁や育成炉内部に配設される上部炉内構造物に設けられた炉内観察窓を介して、育成炉内部の原料融液面や単結晶育成部が撮影される。該撮影により得られた画像データは、半導体単結晶の育成制御情報として使用される。このような炉内観察窓には、育成炉の内と外を隔てることや上部炉内構造物の機能を損なうことなく育成炉の内部を観察し計測できるように、透明なガラスが嵌め込まれているのが一般的であり、このガラスを通して単結晶の育成状況を確認したり、育成炉内部の情報を集めて処理し、単結晶育成に必要な各種の制御を行ったりしている。
【0004】
一方、最近の単結晶製造においては、単結晶育成時における欠陥を可及的に抑制するための、あるいは、育成された単結晶の冷却速度を高めて単結晶の引上速度ひいては生産性向上を図るための方法が種々模索されている。原料融液から引上げられた単結晶を効率良く冷却する方法としては、上部炉内構造物を原料融液面の直上に単結晶を囲繞するように配置し、ヒータや原料融液面からの輻射熱を遮蔽して速やかに結晶を冷却する方法が一般的である。この場合、使用される上部炉内構造物としては、上部育成炉から下垂するように配置される円筒状のガス整流筒や、逆円錐状の外観を有する熱遮蔽スクリーンを始め、育成炉内部の環境や結晶品質に合わせた様々な形状のものが検討されている。
【0005】
また、結晶育成時に取り込まれる結晶欠陥を低密度に抑制することや、結晶の成長速度を高速化して生産性の向上を図ること等を目的として、結晶周囲からの輻射熱を遮蔽するだけでなく、上部炉内構造物の熱伝導率を改善したり断熱構造を改良したりすることにより、積極的に結晶の冷却効率を高める対策を施した上部炉内構造物も検討され、実用化されつつある。
【0006】
ところで、ヒータにより1400℃以上もの高温に加熱された原料融液からは、SiO(一酸化珪素)などの蒸発物が育成炉内に向けて常に放出されている。この蒸発物は、育成炉内の比較的温度の低い部分に当たると、その低温部分で蒸発物が固体となって析出し、育成炉の炉壁や炉内の構造物に付着して次第に堆積していく。このような付着物の量が多くなりすぎると、操業の途中で付着物が剥がれ落ち、原料融液に落下したり、あるいは単結晶の育成部に付着したりして、転位等の結晶欠陥が発生する原因となり、正常な単結晶成長が阻害されることがある。また、付着物により部材が侵食され、短寿命化してしまう問題もある。
【0007】
また、原料融液からの蒸発物が前述の炉内観察窓に付着するとガラスが曇り、作業者が単結晶育成部を観察できなくなるとともに、育成炉の外側に取り付けた光学式計測機器の測定値を不安定なものとしたりし、最悪の場合は単結晶の育成作業そのものを継続することが不可能となる事態をも招く結果となる。
【0008】
従来のCZ法を用いた単結晶製造装置では、上記不具合を回避する手段として、単結晶の育成時においては、育成炉の内部を反応性の低いAr(アルゴン)ガス等の不活性ガスを十分な流量で流通し、原料融液からの蒸発物を該不活性ガスとともに育成炉外へ排出することが行なわれている。特に、単結晶を育成するのに時間を要する大直径長尺単結晶の引上げや、いわゆる多重引上法(Multiple Czochralski Method:単結晶を育成した後に、ルツボ内の原料融液を固化させることなく原料塊を再度ルツボに充填することにより、一つのルツボから複数本の半導体単結晶を育成する方法)を用いた単結晶の製造においては、原料融液からの蒸発物を効率良く育成炉外へ排出し、操業の開始から終了までの長時間にわたり育成炉内を清浄に保つことが、安定した操業を継続するための重要な要件となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、単結晶に取り込まれる結晶欠陥の低密度化や生産性向上のために、前述のように上部炉内構造物の結晶冷却機能を高めた場合、冷却機能の強化に伴い上部炉内構造物自体の温度低下も著しくなり、蒸発物の付着が却って促進されてしまう結果を招いている。また、上部炉内構造物への蒸発物の付着は、単結晶製造装置の大型化に伴いさらに促進されている傾向もある。具体的な要因としては、大型単結晶を育成するための単結晶製造装置では、大口径のルツボを用いて大量の原料溶融が保持されていること、あるいは、大口径のルツボを保持する必要から育成炉本体も大容積化し、熱源から離れた所では比較的温度の低い部分ができやすくなったこと等が挙げられる。
【0010】
本発明の課題は、CZ法を用いたシリコン単結晶の育成において、シリコン融液の直上に配置された上部炉内構造物に、シリコン融液からの蒸発物が析出し付着するのを効果的に抑制でき、例えば単結晶の育成や機器制御のために必要な炉内観測を妨げることなく長時間にわたり操業が継続可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の問題を解決するため、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法は、育成炉の内部において、シリコン融液を収容したルツボを配置し、また、育成した単結晶を囲繞するように上部炉内構造物を配設し、該上部炉内構造物内にて上方から前記ルツボ内のシリコン融液面に向かって不活性ガスを下流しながら、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成するとともに、該シリコン単結晶の育成中において、前記上部炉内構造物の先端開口部から流出した前記不活性ガスを、前記シリコン融液の直上かつ直近に位置し、かつ引上げられる前記シリコン単結晶を囲繞するように配置されたガス整流筒の下端部に取り付けられた前記上部炉内構造物としての熱遮蔽リングの外壁と、前記ルツボの内壁とに囲まれた空間を経て育成炉外へ排出させる際に、該不活性ガスが前記空間を通過する時の流速を6.5cm/sec以上20cm/sec以下となるよう調整することを特徴とする。
【0012】
上記本発明の方法によると、融液面を伝って上部炉内構造物外壁とルツボ内壁との間から育成炉内部へ流れ出る不活性ガスの流速を6.5cm/sec以上となるように調整することで、育成炉の上方にまで対流する不活性ガスの量を増すことができ、炉内上方の温度の低い部分、特に冷却効果を高めて低温化している上部炉内構造物に蒸発物が析出して付着物となることを効果的に抑制することができる。なお、本明細書において不活性ガスの流量は、ルツボの内壁と上部炉内構造物の外壁との、単結晶引上軸に関する半径方向の間隔が最小となる位置での値にて代表させるものとする。
【0013】
上記本発明の方法においては、育成炉の外から、該育成炉及び上部炉内構造物にそれぞれ形成された透明材料(例えば石英ガラス等の耐熱ガラスである)からなる炉内観察窓部を経て、上部炉内構造物の内側の状態を光学的に検出ないし観察しつつシリコン単結晶の育成を行なうことができる。本発明の採用により、炉内観察窓部が設けられる上部炉内構造物の温度が比較的低温となる状況下であっても、炉内観察窓部が前記付着物により曇ったりする不具合が生じ難くなる。これにより、カメラ等の撮影手段による育成中の単結晶の撮影・観察や、結晶直径検出装置等の光学系検出器による測定を、長期間問題なく継続することが可能となる。特に、融液面と結晶の境界にできる照環(フュージョンリング)を検出して育成結晶の直径制御を行なう半導体単結晶製造においては、炉内観察窓に蒸発物が付着した際に引き起こされる測定誤差が長時間にわたり軽減されるため、精度の高い直径制御が可能となり、ひいては単結晶の生産性と歩留り向上とを図ることが可能となる。また、誤差の少ない所望の直径を持つ結晶の引上げを継続できることから、結晶全長にわたって品質が安定し、酸素等の不純物バラツキを抑制した単結晶が育成可能となる。
【0014】
上記本発明の効果は、結晶育成に時間を要する大直径結晶の生産や長尺結晶の引上げにおいて特に顕著である。特に、育成炉本体の天井部の空間が比較的大きく、口径が50cmを超え、100kgあるいはそれ以上の多結晶シリコン原料を溶融可能な大口径のルツボを収容可能な大型単結晶製造装置においても、その効果を十分に発揮することができる。また、単結晶を引上げた後に原料融液を固化させることなく同じルツボに多結晶原料を再充填して、一つの石英製ルツボから複数本の単結晶を育成する多重引上げ法を用いた単結晶製造においても、十分に満足のいく効果が得られる。
【0015】
次に、本発明においては、前述の不活性ガスの流速を、上記の効果が十分に達成されるよう、6.5cm/secを下限として定めるが、必要以上に流速を上昇させることは、不活性ガスを無駄に消費することにもなり、製造コスト等を考慮すれば好ましいことではない。このような状況に鑑みて、上部炉内構造物外壁とルツボ内壁とに囲まれた空間(隙間)から流出する不活性ガスの流速は、最大でも20cm/secを超えないことが望ましい。なお、該流速は、より望ましくは、6.5〜8.5cm/secの範囲にて設定するのがよい。
【0016】
次に、上記上部炉内構造物は、育成される単結晶の熱履歴を調整する手段として機能するよう、育成された単結晶を囲繞するように配設され、この融液面直上に置かれた上部炉内構造物によりヒータや原料融液等からの輻射熱が直接結晶に当たるのを防ぐ役割を果たす。この場合、原料融液面と育成された単結晶とが接する結晶育成部は、これら融液直上に配置された上部炉内構造物の陰となって、育成炉の外部から直接観察するのは難しくなるから、前記炉内観察窓部を設けることが特に有効であり、その曇り等を防止する観点において、本発明の効果が一層顕著に発揮される。なお、上部炉内構造物は、例えば金属や黒鉛等の熱伝導性の良好な材質にて構成することができ、また、単結晶が引上げられた直後からその効果を発揮するように、構造物下端が原料融液面と5〜50mm程度のわずかの隙間を保って配置されることがある。
【0017】
上部炉内構造物は、熱伝導率や断熱構造を工夫したりすることで、上部炉内構造物に囲まれた単結晶部分の冷却温度雰囲気を調整することができる。特に、熱遮蔽スクリーン等のような円錐台を逆さにした形状の上部炉内構造物であれば、融液表面から吹き上げられた不活性ガスが上部炉内構造物の表面に当たり易いので効果的に蒸発物が構造物表面に付着するのを抑制できる。他方、ガス整流筒のように略円筒状の形状を有した上部炉構造物であっても、上部炉内構造物外壁とルツボ内壁の間から流れ出る不活性ガスの流速が6.5cm/sec以上となるように調整することによって、原料融液から蒸発した蒸発物の付着を効果的に抑制することが可能である。
【0018】
また、原料融液表面を保温して結晶成長界面付近での融液の温度変動を抑え、単結晶の育成がスムーズに行われるように、ガス整流筒として、原料融液面と対向する下端側に熱遮蔽リングを一体化したものを用いることができる。このような上部炉内構造物は、一層低温化しやすい傾向にあるといえるが、本発明の方法を用いるとにより効果的に蒸発物の付着を抑制できる。この場合、熱遮蔽リングの外周面とルツボ内壁との間から育成炉本体の内部へ流れる不活性ガスの流速を6.5cm/sec以上となるように調整するようにする。
【0019】
この他にも、CZ法を用いた単結晶製造においては、複雑で様々な形状の上部炉内構造物を原料融液の直上に配置して単結晶育成を行なうことが実施されているが、何れの場合においても上部炉内構造物と原料融液を収容したルツボ内壁の間に流れる不活性ガスの流速を6.5cm/sec以上となるように調整して育成炉内に流せばその効果を得ることができる。
【0020】
次に、本発明の方法においては、育成炉の内部を200hPa以下の減圧に保ってシリコン単結晶を育成することが望ましい。これにより、比較的低圧操業となるので育成炉の炉壁や上部炉内構造物の表面に原料融液からの蒸発物が堆積することをより軽減できる。また、育成炉内部に流す不活性ガスの量も少なくて済み経済的でもある。なお、操業中の育成炉内の圧力は、低くとも下限を50hPa程度に止めて操業を行なうことが望ましい。これは、必要とする不活性ガスの流速が容易に得られることと、これとは別に以下の理由にもよる。すなわち、融液表面から蒸発するSi中の酸素は、原料融液を収容している石英ルツボ壁から酸素が溶出することにより賄われている。そのため原料融液が保持されている育成炉内部の圧力が必要以上に低くなると、融液表面から蒸発するSiOの量が増え、結果として原料融液を収容している石英製ルツボ壁の劣化を早め長時間の操業継続が困難となる場合がある。従って、このような事態を回避するために、育成炉の炉内圧力を低くする場合でも50hPa程度に留めて単結晶育成を行なうのが好ましい。
【0021】
また、長時間にわたる操業により、融液からの蒸発物が、断熱材やヒータ、ヒータ電極等が配置される育成炉底部に堆積することも多い。従って、このような堆積を少なく抑えるためには、製造装置の育成炉底面部に排ガス口を設けるのが好ましい。例えば、育成炉本体の上部に半導体単結晶の回収空間を形成する回収空間形成部が一体化された形態の育成炉を使用する場合、ガス整流筒を、その回収空間の下端側から育成炉本体の内部に延出する形態で設け、不活性ガスを上記回収空間内に導入するとともに、育成炉本体の底面部に接続された排ガス管を経て育成炉外へ排出するようにする。このような方式の採用は、育成炉本体内でのスムーズなガス流を可能とし、不活性ガスの流速を6.5cm/sec以上に高める上でも有効である。
【0022】
排ガス口を育成炉本体の底部に備え、上部炉内構造物を配した単結晶の製造装置においては、育成炉本体上方から導入された不活性ガスは、例えばガス整流筒内を経て原料融液面を伝い、一部がルツボ外周から一部は上部炉内構造物の外周付近を通り育成炉本体の天井部にまで達した後に、育成炉の下部へと下流し排ガス口から炉外へと排出される。この場合、ガス排出口の位置が一つであると、育成炉内を還流するガスの流れにムラができやすく、不活性ガスの流速が遅くなるところや、十分に不活性ガスが還流しない場所において、蒸発物が付着しやすくなる場合がある。
【0023】
このような不具合を防止するには、育成炉本体の底面部において、前記単結晶引上軸の周囲に複数箇所に設けられたガス排出口から不活性ガスを排出することが有効である。また、本発明の半導体単結晶の製造装置は、育成炉の内部に、原料融液を収容したルツボが配置され、育成した単結晶を囲繞するように上部炉内構造物が配設され、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶育成のために該上部炉内構造物内にて育成炉上方からルツボ内の原料融液面に向かって不活性ガスが下流されるようになっており、さらに、不活性ガスを排気するための排ガス口を、育成炉の底面部において、単結晶引上軸を中心とする円周径路上に略等角度間隔にて複数形成したことを特徴とする。
【0024】
すなわち、上記本発明の半導体単結晶の製造装置によると、育成炉内に流れる不活性ガスを滞ることなく還流して育成炉外へと排出することが可能となり、本発明の単結晶育成方法により得られる効果をより確実なものとすることができる。また、育成炉に流れる不活性ガスを育成炉内に滞らせることなく円滑に育成炉の外部で排出することができるため、原料融液から蒸発したSiO等の酸化物を育成炉内の低温部分に析出させることを抑制し、育成炉内部を長時間にわたり清浄に保つことが可能となる。これにより炉内上部に析出物が堆積し難くなるので、操業中に原料融液に析出物が落下し、育成中の単結晶に付着する等して結晶にスリップ転位をもたらしたりする不具合も軽減できるようになり、結晶成長そのものを阻害する要因をも抑制して操業を行なうことが達成される。
【0025】
この場合、結晶の品質や長時間にわたる安定した操業の継続を考えると、結晶の引上軸を中心として可能な限り均等に不活性ガスを育成炉内に還流することが望ましく、具体的には、複数のガス排出口を、育成炉本体の底面部において、単結晶引上軸を中心とする円周径路上に略等角度間隔に形成するのがよい。また、育成炉本体内部を不活性ガスがより均等に還流するようにするためには、炉内底面部に排ガス口を2つ以上設け、それぞれ同程度のガス排気能力を持つように製造装置を構成することが望ましい。特に、育成炉内部の容積が大きい大型の単結晶育成装置ではより効果的に作用するものであり、単結晶製造装置をこのような構造とすることにより、上部炉内構造物と原料融液を収容したルツボ内壁の間から流出する不活性ガスを、隙間全体にわたって均一に保つことが可能とされる。これによって、育成炉本体の融液上方に流れる不活性ガスが澱みなく均一に還流されるため、育成炉の炉壁や上部炉内構造物に偏って蒸発物が付着することを防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら、CZ法により製造されるシリコン単導体単結晶の育成を例に取り説明する。図1は、本発明のCZ法による半導体単結晶製造装置の一つの実施形態を示す断面概略図である。該半導体単結晶製造装置(以下、単に単結晶製造装置ともう)1は、原料融液たるシリコン融液14を満たしたルツボ12を収容し、その育成炉は、シリコン単結晶23が育成される育成炉本体2と、該育成炉本体2の上方に一体形成され、シリコン融液14から引上げられたシリコン単結晶23を収容保持する回収空間形成部4を有する。育成炉本体2内部の略中央には、ルツボ支持軸13を介して内側に石英製ルツボ12aを、外側に黒鉛製ルツボ12bを配したルツボ12が置かれている。このルツボ12は、ルツボ支持軸13の下端に取り付けられているルツボ駆動機構19により、シリコン単結晶23の育成条件や作業工程に合わせて回転自在および上下動自在に動作可能なものである。
【0027】
ルツボ12に収容されたシリコン融液14の上方には、上部炉内構造物としてのガス整流筒5が、その下端面がシリコン融液14の直上かつ直近に位置し、かつ引上げられるシリコン単結晶23を囲繞するように配置されている。なお、本実施の形態では、融液面14aと対向する形で、ガス整流筒5の下端部に熱遮蔽リング30を取り付けている。熱遮蔽リング30は、多孔質あるいは繊維質の断熱材からなる断熱層からなり、シリコン融液14からの輻射熱をより効果的に遮蔽し、融液の保温効果を高めて融液14の温度変動をより小さくすることができる。特に、該断熱層を、カーボンファイバー製の繊維質断熱材等、断熱効果の高い材質にて構成すれば、より大きな保温効果が得られ、一層安定した結晶成長を行なうことができる。なお、断熱層の周囲は、融液に対する断熱層に由来したカーボンコンタミの影響を低減する等の目的で、黒鉛等からなる被覆層にて覆うことができる。
【0028】
次に、育成炉本体2と、上部炉内構造物であるガス整流筒8にはそれぞれ、石英ガラスからなる炉内観察窓部44及び8が形成されている。これら炉内観察窓部44及び8を経てガス整流筒8の内側の状態が、カメラ6等の撮影手段よりに検出ないし観察されつつ、シリコン単結晶の育成が行なわれる。
【0029】
ここで、図2に示すように、熱遮蔽リング30に代えて、逆円錐台上の外径を有する板状の熱反射リング130(例えば等方性黒鉛製である)を設けてもよい。また、図3は、上部炉内構造物として、下端部が狭められた円錐台状の外形を有する黒鉛製の熱遮蔽スクリーン55を設けた例である。この場合、その下端部には、内向きに突出する形で鍔状の熱反射板55a(ここでは、融液面と略平行なもの)を設けることができる。なお、図2及び図3において、図1と共通の要素には同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0030】
図1に戻り、ルツボ12の外側には、ルツボ12に入れられた多結晶原料を融解し、シリコン融液14を所望の温度に保つためのヒータ15が図示しないヒータ電極部を支えとして育成炉本体2の底面上に立設されている。単結晶育成時においては、そのヒータ電極部からヒータ15に電力を供給することによりヒータ15を発熱させ、シリコン融液14を高温に保つようにする。
【0031】
次に、回収空間形成部4には、育成炉にArガス等の不活性ガスを導入するためのガス導入口9aがあり、操業時においては、ガス導入口9aに接続された不活性ガス管9を介して不活性ガスが、該不活性ガス管9上にあるガス流量制御装置122により流量調整された後、育成炉内部に導入される。
【0032】
他方、育成炉本体2の内部には、該育成炉本体2の内部を効率よく保温することと炉壁を保護するために、断熱材16及び下部保温材3が設けられている。そして、育成炉本体2の底面部には、育成炉内に導入された不活性ガスを排気するためのガス排出口11が設けられ、育成炉内の不活性ガスはこの排ガス口11から排ガス管7を経由して育成炉外へと排出される。なお、排ガス管7は集合配管17に集められるとともに、その途中にはコンダクタンスバルブ18が設置され、さらにその先には、育成炉からの不活性ガスの排気を補助するための図示しない真空ポンブが設けられており、育成炉の内部が減圧状態に保たれるようになっている。なお、育成炉内部の圧力は、排ガス管に設けられたコンダクタンスバルブ18を調節することによって、結晶育成に適した炉内圧(例えば50〜200hPa)を保持している。そして、各排ガス管7は、略同じ軸断面積及び長さを有していて、集合配管17を介して前述の真空ポンプにより共通吸引される。これにより、各排ガス口11からは、各々等しい流量にて不活性ガスが排気される。
【0033】
本実施形態では、育成炉本体2内の不活性ガスを効率よく均一に育成炉内から排出するために、図4に示すように、排ガス口11(及び対応する排ガス管7)を、育成炉本体2の底部において育成炉中心位置、すなわち単結晶引上軸に関して対称な位置に2箇所設けている(すなわち、単結晶引上軸の周りの形成角度間隔は略180℃である)。なお、図6に示すように、3箇所あるいはそれ以上の排ガス口11(及び対応する排ガス管7)を、単結晶引上軸に関して略等角度間隔に形成することもできる。これにより、より均一な不活性ガスの還流が可能となる。
【0034】
また、本実施形態では図1に示すように、何らかの原因によりルツボ12からシリコン融液14が漏れ出し、育成炉本体2の下部に達した場合に、高温のシリコン融液14が排ガス口11から直接育成炉外部へ流れ出すことを防止できるように、以下のような工夫が施されている。すなわち、育成炉本体(育成炉)2の底面には、排ガス管7の連通位置に対応する形で、排気用突出部7aが底面から突出形成され、排ガス口11はその排気用突出部7aに対し、開口下縁位置が底面から所定高さHだけ離間する形にて形成されている。なお、図5(b)に示すように、排気用突出部7aにおいて排ガス口61を、上端面に開口する形で設けてもよいが、本実施形態では、排気用突出部7aは、先端部を閉塞する先端閉塞部7cを有し、排ガス口11を該排気用突出部7aの側面に開口させる形としている。これにより、上方から落下してくる融液14の飛沫などが排ガス管7内に直接侵入することを効果的に防止できる。図5(a)に示すように、この排ガス口11は、ここでは、排気用突出部7aの外周面周方向に所定の間隔で複数個形成されている。
【0035】
また、本実施形態では、排ガス管7の上端部を、育成炉本体2の底部を貫いて、該底面から所定長さHだけ突出させることにより排気用突出部7aを形成している。これにより、排ガス管7を形成する管部材により排気用突出部7aも同時に形成できるので、部品点数の削減が達成されている。ただし、図5(c)に示すように、排ガス管7の外側に筒状の排気用突出部67を別途形成する構成としてもよい。図5(c)では、排気用突出部67の上面側が開放して排ガス口69を形成しており、その上方には、所定の間隔をおいて先端閉塞部をなす遮蔽板68が設けられている。該遮蔽板68は、排気用突出部67の環状の上端面に、周方向に所定の間隔で並ぶ複数の支柱部69を介して結合されている。
【0036】
なお、いずれの場合においても、排ガス口11は、ルツボ12に収容可能なシリコン融液14の全てが育成炉内に流出した場合においても、排ガス口11からシリコン融液が流れ出さない位置に形成しておけば、より信頼性の高い装置とすることができる。具体的には、例えば図1において、排ガス口11の下縁に至るまでの高さをH、当該高さHまで育成炉内を満たすことのできる液体の体積をV(H)ルツボ12の内容積をVCとして、V(H)≧VCを満足するようにHを定めるのがよい。
【0037】
次に、回収空間形成部4の上方には、シリコン融液14からシリコン単結晶23を引上げるためにワイヤー22を巻き取ったり、単結晶育成時に結晶を回転させたりするための図示しないワイヤー巻取り巻出し機構が設けられている。そして、そのワイヤー巻取り巻出し機構から巻き出されたワイヤー22の先端には、種ホルダー20が取り付けられ、該種ホルダー20に種結晶21が係止されている。
【0038】
以下に、上記単結晶製造装置1を用いたシリコン単結晶の製造方法の例について説明する。始めに、単結晶製造装置1内に設けられた石英製ルツボ12bに多結晶シリコン原料を充填し、ヒータ15を発熱させることによりこれを融解して、シリコン融液14とする。そして、所望の温度で融液14が安定したら、前述のワイヤー巻取り巻出し機構を操作してワイヤー22を巻き出し、種ホルダー20に係止されている種結晶21先端をシリコン融液14の表面に静かに接触させる。その後、ルツボ12と種結晶21とを互いに反対方向に回転させながらワイヤー22を巻き取り、引上げることによって、種結晶21の下方にシリコン単結晶23を育成することができる。
【0039】
上記シリコン単結晶23の育成時には、ガス導入口9aから回収空間形成部4に流入した不活性ガスが、該回収空間形成部4内から、これに続く上部炉内構造物としてのガス整流筒5内へと流下し、原料融液面14a上に吹き出される。そして、該原料融液面14aを伝って、ガス整流筒5の下縁を経て上方へ回り込み、熱遮蔽リング30とルツボ12の内壁との隙間を経て、育成炉本体2内へと流出する。具体的には、育成炉本体2内に流れる不活性ガスの量と炉内圧力をコントロールすることで、シリコン融液14の直上に配置した熱遮蔽リング30と、ルツボ12の内壁との隙間Dを流れる不活性ガスの流速が6.5cm/sec以上となるように調整される(ここでは、単結晶引上軸に関する半径方向の隙間Dの大きさは、周方向においてほぼ一定である)。また、一部の不活性ガスは、そのままガス整流筒5付近を伝って育成炉本体2の天井近傍にまで達する。そして、その後、育成炉本体2の上方から排ガス口11に向かって流下し、育成炉本体2内を還流しつつ、育成炉本体2の底面に設けられた各排ガス口11から略均等に、排ガス管7及び集合管17を経て育成炉外部へと排気される。
【0040】
これにより、回収空間形成部4の天井壁やガス整流筒5の外面等に、シリコン融液14からのSiO等の蒸発物が付着することを効果的に抑制できる。特に、ガス整流筒5の炉内観察窓ガラス8への蒸発物の付着が防止されることで、炉内観察窓ガラス8が曇り、単結晶育成部位が観察できなくなる不具合を回避することができる。
【0041】
なお、上記単結晶製造装置1においては、排ガス口に連通する排ガス管7の、育成炉底面における開口形状又は軸断面形状(排ガス口形状)を、単結晶引上軸を中心とする円周経路に沿って引き延ばされた形状とすることができる。一例として、図7に示すように、該排ガス口形状を、円周経路に沿う円弧状形態とすることができる。このような形状とすることによって、ムラ無くより均一に育成炉内に不活性ガスを還流することができるようになる。
【0042】
また、排ガス口を、育成炉の底面部において、単結晶引上軸を中心として半径方向に互いに異なる位置に設定された複数の円周径路のそれぞれに沿って複数個ずつ形成することもできる。図8においては、図7に示す排ガス口形状の排ガス管7を、同心的に設定された2つの円周径路に沿って2列形成した例である。これにより、不活性ガスをさらに均一に還流することができるようになる。
【0043】
なお、本発明は、上記のようなシリコン単結晶の育成のみに限定されるものではない。例えば、本発明のシリコン単結晶の製造方法や半導体単結晶製造装置は、原料融液に磁場を印加しながら単結晶を育成するMCZ法を用いたシリコン単結晶の育成方法並びに製造装置に利用できることは当然可能であり、さらには化合物半導体等の他の半導体単結晶をCZ法により育成する場合においても本発明を適用できる。
【0044】
【実施例】
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
育成炉底面部にある排ガス管7及び排ガス口11の組を1つのみとした点を除き、他は図1と同様に構成された単結晶製造装置を用いて、シリコン単結晶の育成を行った。なお、熱遮蔽リング30の直径は400mmとした。そして、直径が440mmの石英製のルツボ12bを使用し、多結晶シリコン原料を60kg充填して、育成炉の内部をArガスで満たした後にヒータ15を発熱させることにより原料融液であるシリコン融液14とした。その後、シリコン融液14の温度を単結晶育成に適した温度に安定するのを待って、種結晶21をシリコン融液14の表面に着液し、ルツボ12と反対方向に回転させながら静かに融液上方に引上げることによって、種結晶の下方に直径150mmの単結晶を育成した。なお、シリコン融液14から出る蒸発物を育成炉外へ排出するため、100リットル/minのArガスを還流した。熱遮蔽リング30の外周とルツボ内壁との間隔Dは20mmであり、この隙間Dを流れる不活性ガスの流速は、約6.5cm/secと見積もられた。また、炉内の圧力は100hPaであった。
【0045】
この時、育成炉外部から内部を観察したところ、ガス整流筒5の炉内観察窓部8に汚れや曇りはなく、引上げられシリコン単結晶23の直径も目標値に対し±1mm程度の誤差であったため、シリコン融液14を固化させることなく多結晶シリコン原料をルツボ12に再充填して、再度単結晶の育成を行った。この時の原料融液量も60kgであり、このシリコン融液14から同じ直径150mmのシリコン単結晶23を成長させた。
【0046】
この操作を繰り返し、3本目の単結晶育成が終了した時点で育成炉内を確認したところ、炉内観察窓部8に曇りが現れ、ガス整流筒5の下方にシリコンの酸化物の付着が見られたため、これ以上単結晶製造を継続することは難しいものと判断し、ヒータ15の電源を切って育成炉内を降温し、作業を終了した。この時、3本目の単結晶の育成が終了したのは、操業開始から80時間が経過した後である。そして、最後に育成したシリコン単結晶23の直径を確認したところ、炉内観察窓部8に曇りが出た辺りから誤差が大きくなり、シリコン単結晶23の後半では目標値に対し±2mmの直径バラツキが観察された。なお、温度が常温近くまで下がってから、育成炉内部の酸化物の付着状態を確認したところ、排ガス口11の形成側において、育成炉本体2の天井付近やガス整流筒5の外面上部には、SiO等の付着物が多少観察された。また、その裏側の、排ガス口11から遠い位置では、ガス整流筒5の上部や育成炉本体2の天井付近に、より多くの付着物が見られた。
【0047】
(実施例2)
次に、図1に示す、排ガス管7及び排ガス口11の組を2箇所に設けた単結晶製造装置を用いて、その他の条件は実施例1と同一の条件でシリコン単結晶の育成を行った。その結果、実施例1と同様にシリコン単結晶を3本引上げたところで炉内観察窓部5に曇りが発生したため操業継続が困難となり、単結晶の引上げを終了した。そして、温度が十分低下してから実施例1と同様に炉内を観察したところ、育成炉本体2の天井部やガス整流筒5の外面上部への付着物は比較的少なく抑えられており、また、付着状態は偏りが少なく比較的一様であった。これは、不活性ガスが滞留することなく炉内に還流し、順調に原料融液からの蒸発物を炉外へ排出できていることを意味するものである。
【0048】
(実施例3)
図1に示す単結晶製造装置1を用いて、シリコン単結晶の育成を行った。なお、整流筒5の下端に配置した熱遮蔽リング30の直径を、多少大きい410mmとした以外は、実施例2と同様の条件を採用した。この時の熱遮蔽リング30の外周とルツボ内壁との間隔Dは15mmであり、隙間Dを流れる不活性ガスの流速は略8cm/secと見積もられた。また、炉内の圧力は100hPaであった。すると、4本目の単結晶の育成が終了したところでも、炉内観察窓部8に曇り等は認められず、ガス整流筒5の表面にも付着物による汚れはそれ程見られなかった。他方、この時点で操業時間が100時間を超えたため、ルツボ12の耐久性が限界に近づいているものと判断し、単結晶の育成作業を終了した。そして、4本目の単結晶の直径を確認したところ、結晶直径に大きなバラツキは見られず、目標値に対し±1mm程度の直径誤差があったのみでり、操業時間が100時間以上を経過していても検出装置の測定機能は十分確保できていたことがわかった。
【0049】
(比較例)
図1に示す単結晶製造装置1を用いて、シリコン単結晶の育成を行った。なお、整流筒5の下端に配置した熱遮蔽リング30の直径を、実施例1あるいは2より小さい390mmとした以外は、実施例2と同様の条件を採用した。この時の熱遮蔽リング30の外周とルツボ内壁との間隔は25mmであり、隙間を流れる不活性ガスの流速は略5cm/secと見積もられた。また、炉内の圧力は100hPaであった。
【0050】
そして、単結晶を1本引上げたところで育成炉内部を観察したところ、炉内観察窓部8に汚れや曇りはなく、引上げられた結晶の直径も目標値に対し±1mm程度の誤差であったため、シリコン融液14を固化させることなく多結晶シリコン原料を再充填して、再度シリコン単結晶の引上げを行った。2本目以降の単結晶の引上げにおいても1本目と同様に原料融液量を60kgまで戻し、この原料融液から1本目と同じ直径150mmの単結晶を育成した。
【0051】
しかし、2本目の単結晶の育成が終了し、3本目の単結晶を育成するための多結晶シリコン原料の溶融が完了したあたりで炉内観察窓部8の曇りが認められ始め、種結晶21をシリコン融液14に着液させる段階では曇りが一層激しくなり、育成されたシリコン単結晶23とシリコン融液14との境に見られる照環の確認も困難となったので、この時点で操業を中止した。この時の製造時間は、操業を開始してから50時間を経過していた。その後、育成炉内部の状態を観察したところ、ガス整流5の外面上部や育成炉本体2の上方には酸化物等の付着物が多量に堆積しており、ガス整流筒5の外面の略全体が付着物により覆われていた。また、炉内観察窓部8の一部にも酸化物の付着が顕著に観察された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単結晶製造装置の一例を縦断面にて示す模式図。
【図2】図1の単結晶製造装置において、ガス整流筒下端の熱遮蔽リングを熱反射板に変更した変形例を示す模式図。
【図3】同じく、ガス整流筒に代えて逆円錐状の熱遮蔽スクリーンを設けた変形例を示す模式図。
【図4】図1の、育成炉本体底部付近における横断面図。
【図5】排気用突出部を、その種々の変形例とともに示す模式図。
【図6】排ガス口及び排ガス管の組を3つ等間隔に形成した変形例を横断面及び部分縦断面にて示す模式図。
【図7】排ガス口形状の変形例を示す横断面図。
【図8】同じくさらに別の変形例を示す横断面図。
【符号の説明】
1 単結晶製造装置
2 育成炉本体
3 熱反射リング(上部炉内構造物)
4 回収空間形成部
5 ガス整流筒(上部炉内構造物)
6 カメラ(撮影手段)
7 排ガス管
7a,67 排気用突出部
7c,68 先端閉塞部
8,44 炉内観察窓部
9 不活性ガス管
11 排ガス口
12 ルツボ
12a 石英ルツボ
14 シリコン融液(原料融液)
18 コンダクタンスバルブ
23 シリコン単結晶
Claims (8)
- 育成炉の内部において、シリコン融液を収容したルツボを配置し、また、育成した単結晶を囲繞するように上部炉内構造物を配設し、該上部炉内構造物内にて上方から前記ルツボ内のシリコン融液面に向かって不活性ガスを下流しながら、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成するとともに、該シリコン単結晶の育成中において、前記上部炉内構造物の先端開口部から流出した前記不活性ガスを、前記シリコン融液の直上かつ直近に位置し、かつ引上げられる前記シリコン単結晶を囲繞するように配置されたガス整流筒の下端部に取り付けられた前記上部炉内構造物としての熱遮蔽リングの外壁と、前記ルツボの内壁とに囲まれた空間を経て育成炉外へ排出させる際に、該不活性ガスが前記空間を通過する時の流速を6.5cm/sec以上20cm/sec以下となるよう調整することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
- 前記育成炉の外から、該育成炉及び前記上部炉内構造物にそれぞれ形成された透明材料からなる炉内観察窓部を経て、前記上部炉内構造物の内側の状態を光学的に検出ないし観察しつつ前記シリコン単結晶の育成を行なうことを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記上部炉内構造物はガス整流筒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記ガス整流筒として、前記シリコン融液面と対向する下端側に熱遮蔽リングを一体化したものを用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記育成炉の内部を200hPa以下の減圧状態に保って前記シリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記育成炉は、育成炉本体の上部に前記シリコン単結晶の回収空間を形成する回収空間形成部が一体化されたものであり、前記ガス整流筒は、その回収空間の下端側から前記育成炉本体の内部に延出する形態で設けられるとともに、前記不活性ガスは前記回収空間内に導入され、前記育成炉本体の底面部に接続された排ガス管を経て育成炉外へ排出されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記育成炉本体の底面部において、前記単結晶引上軸の周囲において複数箇所に設けられたガス排出口から前記不活性ガスを排出することを特徴とする請求項6記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 複数の前記ガス排出口は、前記育成炉本体の底面部において、前記単結晶引上軸を中心とする円周径路上に略等角度間隔に形成される請求項7記載のシリコン単結晶の製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000291637A JP3838013B2 (ja) | 2000-09-26 | 2000-09-26 | シリコン単結晶の製造方法 |
TW90123730A TWI289614B (en) | 2000-09-26 | 2001-09-26 | Method of manufacturing silicon monocrystal and device for manufacturing semiconductor monocrystal |
PCT/JP2001/008408 WO2002027077A1 (fr) | 2000-09-26 | 2001-09-26 | Procede de fabrication d'un monocristal en silicium et dispositif de fabrication d'un monocristal semiconducteur |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000291637A JP3838013B2 (ja) | 2000-09-26 | 2000-09-26 | シリコン単結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002097098A JP2002097098A (ja) | 2002-04-02 |
JP3838013B2 true JP3838013B2 (ja) | 2006-10-25 |
Family
ID=18774686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000291637A Expired - Fee Related JP3838013B2 (ja) | 2000-09-26 | 2000-09-26 | シリコン単結晶の製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3838013B2 (ja) |
TW (1) | TWI289614B (ja) |
WO (1) | WO2002027077A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11629985B2 (en) * | 2019-06-26 | 2023-04-18 | Xi'an ESWIN Material Technology Co., Ltd. | Method for regulating inert gas flow, method for preparing monocrystalline silicon, and monocrystalline silicon |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007314375A (ja) * | 2006-05-26 | 2007-12-06 | Shin Etsu Handotai Co Ltd | 単結晶製造装置 |
JP4716331B2 (ja) * | 2006-09-29 | 2011-07-06 | コバレントマテリアル株式会社 | 単結晶の製造方法 |
JP4907396B2 (ja) * | 2007-03-16 | 2012-03-28 | コバレントマテリアル株式会社 | 単結晶の製造方法 |
KR100894295B1 (ko) | 2008-02-15 | 2009-04-24 | 주식회사 실트론 | 실리콘 단결정 잉곳 생산장치의 유량제어방법 및 이를이용한 실리콘 단결정 잉곳 생산방법 |
US8961686B2 (en) | 2008-07-25 | 2015-02-24 | Sumco Techxiv Corporation | Method of manufacturing monocrystal, flow straightening cylinder, and monocrystal pulling-up device |
KR100966755B1 (ko) * | 2009-05-25 | 2010-06-29 | (주)원익머트리얼즈 | 금속실리콘의 정제방법 및 그 정제장치 |
KR101427219B1 (ko) | 2012-09-17 | 2014-08-14 | (주) 다애테크 | 뷰포트 및 이를 포함하는 사파이어 잉곳 제조장치 |
CN104562184B (zh) * | 2015-01-26 | 2017-03-29 | 麦斯克电子材料有限公司 | 一种氩气填充稳流装置 |
TWI593836B (zh) * | 2016-04-13 | 2017-08-01 | 環球晶圓股份有限公司 | 熔湯液面位置的控制方法 |
JP7006573B2 (ja) * | 2018-11-30 | 2022-01-24 | 株式会社Sumco | 単結晶引き上げ装置、および、シリコン単結晶の製造方法 |
CN112481693A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-03-12 | 西安奕斯伟硅片技术有限公司 | 一种拉晶炉 |
JP7052912B1 (ja) * | 2021-06-14 | 2022-04-12 | 信越半導体株式会社 | 単結晶引上げ装置 |
CN114197059A (zh) * | 2021-12-14 | 2022-03-18 | 西安奕斯伟材料科技有限公司 | 单晶炉 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5826095A (ja) * | 1981-07-31 | 1983-02-16 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 単結晶シリコン引上装置 |
DE69301371T2 (de) * | 1992-03-31 | 1996-09-05 | Shinetsu Handotai Kk | Vorrichtung zum Ziehen eines Silizium-Einkristalls |
JP2735740B2 (ja) * | 1992-04-30 | 1998-04-02 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
JP2619611B2 (ja) * | 1993-05-31 | 1997-06-11 | 住友シチックス株式会社 | 単結晶の製造装置および製造方法 |
JP3787452B2 (ja) * | 1999-02-10 | 2006-06-21 | 株式会社Sumco | シリコン単結晶の製造方法 |
-
2000
- 2000-09-26 JP JP2000291637A patent/JP3838013B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-09-26 WO PCT/JP2001/008408 patent/WO2002027077A1/ja active Application Filing
- 2001-09-26 TW TW90123730A patent/TWI289614B/zh not_active IP Right Cessation
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11629985B2 (en) * | 2019-06-26 | 2023-04-18 | Xi'an ESWIN Material Technology Co., Ltd. | Method for regulating inert gas flow, method for preparing monocrystalline silicon, and monocrystalline silicon |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002097098A (ja) | 2002-04-02 |
TWI289614B (en) | 2007-11-11 |
WO2002027077A1 (fr) | 2002-04-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3838013B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
WO2001057293A9 (fr) | Dispositif et procede de production de monocristal et monocristal | |
KR20220110557A (ko) | 반도체 단결정 성장 용 온도 제어 시스템 및 방법 | |
JP2580197B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JPH10158091A (ja) | 単結晶の製造装置および製造方法 | |
US8236104B2 (en) | Single-crystal manufacturing apparatus and single-crystal manufacturing method | |
JP2002316896A (ja) | シリコン単結晶の製造装置並びに製造方法 | |
JP4862836B2 (ja) | 単結晶製造装置及び単結晶製造方法 | |
JP2002321997A (ja) | シリコン単結晶の製造装置及びそれを用いたシリコン単結晶の製造方法 | |
CN112899772B (zh) | 单晶生长装置、该单晶生长装置的使用方法及单晶 | |
JP3750174B2 (ja) | 単結晶の製造装置および製造方法 | |
KR20120116614A (ko) | 단결정 잉곳 성장장치 및 잉곳 성장장치에서의 가스분사방법 | |
JPH0688864B2 (ja) | 単結晶引上装置用整流筒 | |
JP3428626B2 (ja) | シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 | |
JP2937109B2 (ja) | 単結晶の製造装置および製造方法 | |
JP3123155B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2000007488A (ja) | シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 | |
JP2705810B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2580198B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2620999B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2710433B2 (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2004217469A (ja) | 単結晶体引き上げ装置 | |
JPH07223894A (ja) | 半導体単結晶製造装置 | |
JPH06199590A (ja) | 半導体単結晶棒製造装置 | |
JP3873568B2 (ja) | シリコン単結晶の引上げ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060220 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060316 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060517 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060621 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060711 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060724 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3838013 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |