JP2020082550A - タイヤ加硫金型の設計方法、コンピュータプログラム及び設計装置 - Google Patents

タイヤ加硫金型の設計方法、コンピュータプログラム及び設計装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 タイヤ加硫金型の設計コストを低減する。【解決手段】 タイヤ加硫金型の設計方法である。この設計方法では、生タイヤをモデリングした生タイヤモデルを入力する工程S1と、タイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する工程S2と、タイヤ加硫金型モデル内に生タイヤモデルを配置して、生タイヤモデルを膨張変形させることにより、タイヤ成形面に生タイヤモデルを接触させる工程S5と、生タイヤモデルとタイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、タイヤ成形面を改修する工程S6と、改修されたタイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する工程S7とを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤ加硫金型を、コンピュータを用いて設計するための方法等に関する。
下記特許文献1は、タイヤ製造時のタイヤの断面形状を予測するための方法を提案している。この種の方法では、先ず、カーカスの構造仕様情報と、製造条件情報とに基づいて、カーカスの断面形状が求められる。次に、求めたカーカス断面形状を基準として、前記カーカス以外のタイヤ構成部材が、前記カーカスの内外に配される。これにより、タイヤの断面形状が描かれる。そして、前記タイヤの断面形状と、加硫モールド(加硫用金型)とのマッチングを確認して、気抜き穴の設置場所等が決定される。
特開2006−168294号公報
上述の方法では、予め定められた関数を用いて、前記カーカスの断面形状等が求められており、タイヤ製造時に、各部材に生じる応力、歪み及び張力等が考慮されていない。このため、前記タイヤの断面形状を高い精度で予測することができず、所望の性能を有する加硫金型を設計するには、さらなる改善の余地があった。したがって、設計された加硫金型を製造した後に、その加硫金型を改造する修正工程が必要となり、設計コストが増加するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、設計コストを低減しうるタイヤ加硫金型の設計方法、コンピュータプログラム及び設計装置を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤ加硫金型を設計するための方法であって、コンピュータに、加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する工程と、前記コンピュータに、前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する工程と、前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる工程と、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する工程と、前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記パラメータは、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との間の隙間の大きさを含み、前記改修する工程は、前記隙間の大きさに基づいて、前記タイヤ成形面にベントホールを設ける工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記改修する工程は、前記生タイヤモデルの前記膨張変形の過程において、前記隙間の大きさの変化率が相対的に小さい位置に対応する前記タイヤ成形面に、前記ベントホールを設ける工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記タイヤ成形面は、模様形成用の形成部が適用される領域を有し、前記改修する工程は、前記タイヤ成形面の前記領域を除いて、前記ベントホールを設ける工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記タイヤ成形面は、溝形成用の凸部を有し、前記パラメータは、前記凸部と前記生タイヤモデルとの接触によって、前記凸部に作用する応力を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記改修する工程は、前記応力が小さくなるように、前記凸部の形状を変更する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤ加硫金型の設計方法において、前記凸部の根本には、面取を形成可能なコーナ部を有し、前記改修する工程は、前記応力が大きいほど、前記コーナ部に前記面取を形成するか、又は、その面取の曲率半径を大きくする工程を含んでもよい。
本発明は、タイヤ加硫金型を設計するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する手段と、前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する手段と、前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる手段と、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する手段と、前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する手段として機能させることを特徴とする。
本発明は、タイヤ加硫金型を設計する演算処理装置を有する設計装置であって、前記演算処理装置は、加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する手段と、前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する手段と、前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる手段と、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する手段と、前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する手段とを含むことを特徴とする。
本発明のタイヤ加硫金型の設計方法は、生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルの膨張変形が計算されるため、実際の生タイヤやタイヤ加硫金型の各部材に生じる応力、歪み及び張力等を考慮することができる。これにより、前記設計方法は、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態を、高い精度で求めることができる。そして、前記設計方法では、前記接触状態に関するパラメータを用いて改修された前記タイヤ成形面に基づいて、前記タイヤ加硫金型が設計されることにより、従来必要とされていた修正工程を最小限に抑えることができる。したがって、前記設計方法では、設計コストを低減することができる。
タイヤ加硫金型の設計方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 生タイヤの加硫工程の一例を示す断面図である。 タイヤ加硫金型の設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 生タイヤモデルの一例を示す概念図である。 タイヤ加硫金型モデルの一例を示す概念図である。 ブラダーモデルの一例を示す概念図である。 膨張したブラダーモデルの一例を示す概念図である。 金型モデル内に配置された生タイヤモデルの一例を示す概念図である。 膨張変形した生タイヤモデルの一例を示す概念図である。 図9の部分拡大図である。 凸部に作用する応力の一例を示すコンター図である。 形状変更後の凸部の一例を示す図である。 形状変更後の凸部に作用する応力の一例を示すコンター図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤ加硫金型の設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある。)では、コンピュータを用いて、タイヤを加硫成形するためのタイヤ加硫金型(以下、単に「金型」と記載する場合がある。)が設計される。図1は、タイヤ加硫金型の設計方法を実行するためのコンピュータ1の一例を示す斜視図である。
コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態の設計方法を実行するための処理手順(タイヤ加硫金型を設計するためのコンピュータプログラム)が予め記憶されている。コンピュータプログラムは、演算処理装置によって実行される。これにより、コンピュータ1は、タイヤ加硫金型を設計するための手段として機能し、コンピュータ1を設計装置として構成させている。
図2は、生タイヤの加硫工程の一例を示す断面図である。本実施形態の加硫工程では、先ず、生タイヤTを成形するためのタイヤ成形面2を有する金型M内に、生タイヤTが配置される。次に、ゴム風船状のブラダーBによって、生タイヤTを膨張変形させる。これにより、生タイヤTの外面3を、金型Mに接触させることができ、生タイヤTを加硫成形することができる。
本実施形態の生タイヤTは、未加硫の複数のタイヤ部材4が積層されることで製造されている。ここで、未加硫とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態はこの「未加硫」に含まれる。タイヤ部材4は、ビードコア5と、カーカスプライ6と、ベルトプライ7A、7Bと、ゴム部材8とを含んでいる。
ビードコア5は、例えば、スチール製のビードワイヤを螺旋巻きにしたものを、ゴム被覆することによって形成される。本実施形態のビードコア5は、断面矩形状に形成されている。
本実施形態のカーカスプライ6は、トレッド部11からサイドウォール部12を経てビード部13のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りを軸方向内側から外側に折り返されたはみ出し部(折り返し部)6bとを含んでいる。カーカスプライ6には、カーカスコード(図示省略)が設けられている。
本実施形態のベルトプライ7A、7Bは、タイヤ赤道Cにおいて、タイヤ半径方向内側に配置される内側ベルトプライ7Aと、内側ベルトプライ7Aのタイヤ半径方向外側に配置される外側ベルトプライ7Bとに区分されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、カーカスプライ6のタイヤ半径方向外側、かつ、トレッド部11の内部に配されている。内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bには、ベルトコード(図示省略)が設けられている。
ゴム部材8は、トレッドゴム8a、サイドウォールゴム8b、クリンチゴム8c、ビードエーペックスゴム8d、及び、インナーライナーゴム8eを含んで構成されている。
本実施形態の金型Mは、第1金型片M1と、第2金型片M2とを含んで構成されている。第1金型片M1は、トレッド部11を成形するための第1成形面2aを有している。第2金型片M2は、サイドウォール部12及びビード部13を成形するための第2成形面2bを有している。これらの第1金型片M1及び第2金型片M2が組み立てられることにより、金型Mには、第1成形面2aと第2成形面2bとを連続させたタイヤ成形面2が形成される。
本実施形態のタイヤ成形面2には、凸部15が設けられている。凸部15は、生タイヤTの外面3に、溝16を形成するためのものである。凸部15は、主溝16aを形成するための第1凸部15aと、細溝16bを形成するための第2凸部15bとを含んでいる。このような凸部15は、加硫成形時の生タイヤTとの接触によって、生タイヤTの外面3に溝16を形成することができる。本実施形態の凸部15は、第1金型片M1に設けられているが、第2金型片M2にも設けられてもよい。
凸部15の根本には、コーナ部17が形成されている。このコーナ部17には、面取18が形成されてもよい。本実施形態の面取18は、円弧状に形成されている。このような面取18は、生タイヤTとの接触時において、凸部15に作用する応力を小さくすることができ、凸部15の破損等の防止に役立つ。
本実施形態のタイヤ成形面2には、模様形成用の形成部(図示省略)が設けられている。このような形成部は、加硫成形時の生タイヤTとの接触によって、生タイヤTの外面3に、模様(図示省略)を形成することができる。模様の一例としては、ロゴマークやブランド名等を表す文字等である。本実施形態の形成部は、第2金型片M2に設けられているが、第1金型片M1に設けられてもよい。
本実施形態の金型Mには、ベントホール19が設けられている。ベントホール19は、金型Mのタイヤ成形面2と、生タイヤTの外面3との間の空気を、金型Mの外部に排出するためのものである。ベントホール19は、その一端19aがタイヤ成形面2で開口し、その他端19bが金型Mの外部に連通する流路として構成されている。ベントホール19の他端19b側には、例えば、図示しないポンプ等が接続され、ベントホール19内を負圧にしている。これにより、ベントホール19は、生タイヤTの外面3を、金型Mのタイヤ成形面2に密着させることができ、ベア等の成形不良を防ぐことができる。
ベントホール19は、タイヤ周方向に隔設されるのが望ましい。これらのベントホール19は、タイヤ周方向の広範囲に亘って、生タイヤTの外面3を、金型Mのタイヤ成形面2に効果的に密着させることができる。
ベントホール19は、タイヤ成形面2のうち、模様形成用の形成部(図示省略)を除いて形成されるのが望ましい。これにより、模様(図示省略)に、髭状のスピュー(図示省略)が形成されるのを防ぐことができる。
図3は、タイヤ加硫金型の設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の設計方法では、先ず、コンピュータ1に、加硫前の生タイヤT(図2に示す)を有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルが入力される(工程S1)。工程S1では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、生タイヤモデルを入力する手段として機能させている。
本実施形態の生タイヤモデル21は、図2に示した生タイヤTの子午線断面について、タイヤ赤道面Csに対してタイヤ軸方向の一方側のみがモデル化されている。なお、生タイヤモデル21は、一方側と他方側とがモデル化されてもよい。また、本実施形態の生タイヤモデル21は、タイヤ周方向に厚さを有する三次元モデルである場合が例示されるが、二次元モデルであってもよい。なお、生タイヤモデル21のタイヤ周方向の厚さについては、適宜設定することができる。本実施形態では、生タイヤの軸心を中心とする回転角度において、例えば、0.1〜2.0°(本実施形態では、0.4°)に相当する厚さに設定される。なお、生タイヤモデル21は、実際の生タイヤTに基づいて、タイヤ周方向に連続するものでもよい。
生タイヤモデル21は、図2に示した各タイヤ部材4をモデリングしたタイヤ部材モデル22が含まれる。タイヤ部材モデル22は、ビードコア5(図2に示す)をモデリングしたビードコアモデル23、カーカスプライ6(図2に示す)をモデリングしたカーカスプライモデル24、ベルトプライ7A、7B(図2に示す)をモデリングしたベルトプライモデル25、26、及び、ゴム部材8をモデリングしたゴム部材モデル27を含んで構成されている。ゴム部材モデル27は、トレッドゴムモデル27a、サイドウォールゴムモデル27b、クリンチゴムモデル27c、ビードエーペックスゴムモデル27d、及び、インナーライナーゴムモデル27eを含んで構成されている。
これらのタイヤ部材モデル22は、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデリングされている。要素F(i)は、数値解析法により取扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用されている。
三次元に展開された要素F(i)としては、三次元のソリッド要素又はビーム要素等として定義されている。また、各要素F(i)には、要素番号、節点29の番号、節点29の座標値、及び、材料特性(例えば、密度、引張剛性、圧縮剛性、せん断剛性、曲げ剛性、又は、捩り剛性など)等の数値データが定義される。
なお、未加硫ゴムの材料特性としては、例えば、文献(針間浩、「未加硫ゴムの一定伸長速度下での大変形挙動」、日本レオロジー学会誌、社団法人日本レオロジー学会、1976年、Vol.4、p.3−9)や、文献(戸崎近雄、外3名、「グリーンストレングス指標、降伏応力の粘弾性的取扱い」、日本ゴム協会誌、一般社団法人日本ゴム協会、1969年、第42巻、第6号、p.433−438)等に開示されている。本実施形態では、これらの文献に基づいて、未加硫ゴムの材料特性が定義される。
工程S1では、例えば、特開2018−106280号公報に記載の手順と同様に、タイヤ部材モデル22がそれぞれ積層される。これにより、工程S1では、加硫前の生タイヤTを、有限個の要素F(i)でモデリングした生タイヤモデル21を設定することができる。このように、本実施形態の工程S1では、実際の生タイヤTの成形工程と同様の手順に基づいて、タイヤ部材モデル22がそれぞれ積層されるため、精度の高い生タイヤモデル21を定義することができる。生タイヤモデル21は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1に、タイヤ加硫金型モデルが入力される(工程S2)。工程S2では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、タイヤ加硫金型モデルを入力する手段として機能させている。図5は、タイヤ加硫金型モデル31の一例を示す概念図である。
本実施形態の工程S2では、図2に示した金型Mのタイヤ成形面2の輪郭を含む設計データに基づいて、金型Mを有限個の要素G(i)(i=1、2、…)でモデリングしている。これにより、工程S2では、生タイヤモデル21(図4に示す)を成形するためのタイヤ成形面32を有するタイヤ加硫金型モデル(以下、単に「金型モデル」と記載する場合がある。)31を定義することができる。
本実施形態の要素G(i)は、図4に示した生タイヤモデル21の要素F(i)と同様に、有限要素法が採用されており、三次元のソリッド要素として定義されている。さらに、要素G(i)には、要素番号、節点33の番号、節点33の座標値、及び、金型M(図2に示す)の材料特性等の数値データが定義される。
本実施形態の金型モデル31は、第1金型片M1(図2に示す)をモデリングした第1金型片モデル31A、及び、第2金型片M2(図2に示す)をモデリングした第2金型片モデル31Bを含んで構成されている。第1金型片モデル31Aは、図4に示した生タイヤモデル21のトレッド部35を成形するための第1成形面32Aを有している。第2金型片モデル31Bは、図4に示した生タイヤモデル21のサイドウォール部36及びビード部37を成形するための第2成形面32Bを有している。これらの第1金型片モデル31A及び第2金型片モデル31Bが組み立てられることにより、金型モデル31には、第1成形面32Aと第2成形面32Bとを連続させたタイヤ成形面32が形成される。
本実施形態のタイヤ成形面32には、図2に示した金型Mと同様に、溝形成用の凸部38が設けられている。凸部38は、主溝を形成するための第1凸部38aと、細溝を形成するための第2凸部38bとを含んでいる。凸部38の根本には、面取(図示省略)を形成可能なコーナ部39を有している。さらに、タイヤ成形面32には、模様形成用の形成部(図示省略)が適用される領域40を有している。本実施形態の領域40は、形成部の形状をタイヤ成形面32に定義したものではなく、タイヤ成形面32において形成部が設けられる位置を特定するための座標値として定義されている。なお、本実施形態の金型モデル31には、図2に示した金型Mのベントホール19が省略されている。金型モデル31は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1に、ブラダーモデルが入力される(工程S3)。工程S3では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、ブラダーモデルを入力する手段として機能させている。図6は、ブラダーモデル41の一例を示す概念図である。
本実施形態の工程S3では、図2に示したブラダーBの設計データに基づいて、ブラダーBを有限個の要素H(i)(i=1、2、…)でモデリングしている。これにより、工程S3では、ブラダーモデル41を定義することができる。
本実施形態の要素H(i)は、図4に示した生タイヤモデル21の要素F(i)や、図5に示した金型モデル31の要素G(i)と同様に、有限要素法が採用されており、三次元のソリッド要素として定義されている。さらに、要素H(i)には、要素番号、節点42の番号、節点42の座標値、及び、図2に示したブラダーBの材料特性等の数値データが定義される。ブラダーモデル41は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1が、金型モデル31内に、生タイヤモデル21を配置する(工程S4)。工程S4では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、金型モデル31内に、生タイヤモデル21を配置するための手段として機能させている。図7は、膨張したブラダーモデル41の一例を示す概念図である。図7では、図4、図5及び図6に示した要素F(i)、G(i)及びH(i)等を省略し、金型モデル31及びブラダーモデル41を色付けして示している。
本実施形態の工程S4では、先ず、生タイヤモデル21の半径方向の内側に、ブラダーモデル41が配置される。次に、工程S4では、ブラダーモデル41の半径方向の内面に、第1等分布荷重w1が定義される。第1等分布荷重w1としては、加硫成形前において、実際にブラダーB(図2に示す)に充填される内圧(例えば、0.05〜0.08MPa程度)が設定される。これにより、工程S4では、ブラダーモデル41を膨張変形させて、ブラダーモデル41の半径方向の外面と、生タイヤモデル21の内腔面21iとを接触させることができる。本実施形態の工程S4では、第1等分布荷重w1と、ブラダーモデル41及び生タイヤモデル21の応力とが釣り合うまで、ブラダーモデル41及び生タイヤモデル21の変形が計算される。
生タイヤモデル21、金型モデル31、及び、ブラダーモデル41等の変形計算は、図4、図5及び図6に示した各要素F(i)、G(i)及びH(i)の形状や材料特性などに基づいて、微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとに実施される。このような変形計算は、例えば、JSOL社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算することができる。
次に、工程S4では、生タイヤモデル21の半径方向の外側に、第1金型片モデル31Aが配置される。さらに、工程S4では、生タイヤモデル21の軸方向の外側に、第2金型片モデル31Bが配置される。そして、工程S4では、第1金型片モデル31Aを半径方向内側に移動させ、かつ、第2金型片モデル31Bを軸方向内側に移動させて、第1金型片モデル31Aと第2金型片モデル31Bとを連結する。図8は、金型モデル31内に配置された生タイヤモデル21の一例を示す概念図である。図8では、図4、図5及び図6に示した要素F(i)、G(i)及びH(i)等を省略し、金型モデル31及びブラダーモデル41を色付けして示している。
このように、工程S4では、金型モデル31のタイヤ成形面32に、生タイヤモデル21の外面28の一部を接触させつつ、生タイヤモデル21を半径方向及び軸方向に変形させながら、金型モデル31内に、生タイヤモデル21を配置した状態(金型を閉じた状態)を計算することができる。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1が、生タイヤモデル21を徐々に膨張変形させることにより、金型モデル31のタイヤ成形面32に、生タイヤモデル21を徐々に接触させる(工程S5)。工程S5では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、生タイヤモデル21を徐々に膨張変形させることにより、金型モデル31のタイヤ成形面32に、生タイヤモデル21を徐々に接触させるための手段として機能させている。図9は、膨張変形した生タイヤモデル21の一例を示す概念図である。図9では、図4、図5及び図6に示した要素F(i)、G(i)及びH(i)等を省略し、金型モデル31及びブラダーモデル41を色付けして示している。
工程S5では、ブラダーモデル41の半径方向の内面に、第2等分布荷重w2が定義される。第2等分布荷重w2としては、加硫成形時に、実際にブラダーB(図2に示す)に充填される内圧(例えば、2.0〜2.4MPa程度)が設定される。これにより、工程S5では、ブラダーモデル41を介して、生タイヤモデル21を徐々に膨張変形させることができる。このような生タイヤモデル21の膨張変形により、図2に示した実際の加硫工程と同様に、金型モデル31のタイヤ成形面32に、生タイヤモデル21の外面28を徐々に接触させることができる。
本実施形態の工程S5では、第2等分布荷重w2と、生タイヤモデル21、金型モデル31及びブラダーモデル41の応力とが釣り合うまで、生タイヤモデル21の膨張変形が、シミュレーションの微小時間(単位時間Tx)毎に計算される。
本実施形態の工程S5では、図2に示した生タイヤTを、図4に示した有限個の要素F(i)でモデリングした生タイヤモデル21の膨張変形が計算されるため、図2に示した実際の生タイヤTや金型Mの各部材に生じる応力、歪み及び張力等を考慮することができる。これにより、本実施形態の設計方法は、膨張変形した生タイヤモデル21とタイヤ成形面32との接触状態を、高い精度で求めることができる。計算結果は、コンピュータ1に記憶される。
工程S5では、膨張変形した生タイヤモデル21と、タイヤ成形面32との接触状態に関するパラメータが計算される。パラメータについては、前記接触状態を示すものであれば、適宜設定することができる。図10は、図9の部分拡大図である。
本実施形態のパラメータは、膨張変形した生タイヤモデル21とタイヤ成形面32との間の隙間43の大きさを含んでいる。なお、複数の隙間43が形成される場合には、それぞれの隙間43の大きさが計算される。大きさとしては、隙間43の断面積であってもよいし、隙間43の体積であってもよい。本実施形態では、隙間43の体積である場合が例示される。
本実施形態の工程S5では、生タイヤモデル21の膨張変形が開始してから(図8に示す)、膨張変形が終了するまでの間(図9に示す)、予め定められた時間間隔ごとに、接触状態に関するパラメータが計算される。時間間隔については、適宜設定することができる。本実施形態の時間間隔は、シミュレーションの微小時間(単位時間Tx)に設定される。パラメータは、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、パラメータに基づいて、タイヤ成形面32の少なくとも一部を改修する(工程S6)。工程S6では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、コンピュータ1を、パラメータに基づいて、タイヤ成形面32の少なくとも一部を改修するための手段として機能させている。
タイヤ成形面32の改修対象としては、適宜選択することができる。本実施形態の工程S6では、隙間43の大きさに基づいて、タイヤ成形面32にベントホール45が設けられる。なお、工程S6において、ベントホール45の設定は、タイヤ成形面32でのベントホール45の位置を示す座標値を特定してもよいし、タイヤ成形面32(金型モデル31)を貫通させたベントホール45が設定されてもよい。本実施形態では、ベントホール45の位置の座標値を特定しており、図10において、ベントホール45の位置を二点鎖線で示している。
本実施形態の工程S6では、工程S5での生タイヤモデル21の膨張変形の過程(即ち、図8に示した膨張変形が開始してから、図9に示した膨張変形が終了するまでの間)において、隙間43の大きさの変化率が相対的に小さい位置に対応するタイヤ成形面32に、ベントホール45が設けられている。このような変化率が相対的に小さい隙間43は、タイヤ成形面32に、生タイヤモデル21の外面28が密着しにくい部分を示しており、図2に示した実際の加硫工程では、その部分でベア等の成形不良が生じやすいと考えられる。本実施形態の工程S6では、変化率が相対的に小さい隙間43に対応するタイヤ成形面32に、ベントホール45の一端が開口するように設けられることで、ベア等の成形不良を効果的に防ぐことが可能なタイヤ成形面32に改修している。
変化率については、適宜設定することができる。本実施形態では、図8に示した工程S5での生タイヤモデル21の膨張変形開始時の隙間43の大きさV1と、図9に示した膨張変形終了時の隙間43の大きさV2との比V2/V1が、5%以上である隙間43の位置に対応するタイヤ成形面32に、ベントホール45が設けられている。これにより、ベア等の成形不良を効果的に防ぐこと可能なタイヤ成形面32に改修することができる。
本実施形態では、隙間43の大きさの変化率が相対的に小さい位置に対応するタイヤ成形面32に、ベントホール45が設けられたが、このような態様に限定されない。例えば、工程S5での生タイヤモデル21の膨張変形が終了したとき(図9及び図10に示す)において、予め定められた基準よりも大きい隙間43に対応するタイヤ成形面32に、ベントホール45が設けられてもよい。これにより、工程S6では、ベア等の成形不良を効果的に防ぐことが可能なタイヤ成形面32に改修することができる。基準については、例えば、生タイヤモデル21のサイズ等に基づいて、適宜設定することができる。
工程S6では、隙間43が大きいほど、タイヤ周方向に隔設されるベントホール45の個数を多くしてもよい。このように、多くのベントホール45が設けられることにより、図2に示した金型Mでは、隙間43が大きい部分に対応する位置において、空気を効率よく排出できるため、ベア等の成形不良を効果的に防ぐことが可能なタイヤ成形面32に改修することができる。
上述したように、模様形成用の形成部(図示省略)に、ベントホール45が設けられると、タイヤの模様(図示省略)に、髭状のスピュー(図示省略)が形成される恐れがある。このため、工程S6では、タイヤ成形面32のうち、形成部が適用される領域40(図5に示す)を除いて、ベントホール45が設けられるのが望ましい。なお、ベントホール45を設けるべき隙間43と、領域40とが重複する場合には、タイヤ周方向において、模様が途切れた部分に、ベントホール45が設けられるのが望ましい。一方、模様がタイヤ周方向に連続している場合には、領域40の半径方向の内側又は外側に位置ずれした位置に、ベントホール45が設けられるのが望ましい。ベントホール45は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、改修されたタイヤ成形面32に基づいて、図2に示したタイヤ加硫金型Mが設計される(工程S7)。工程S7では、コンピュータプログラムが、演算処理装置によって実行されることにより、改修されたタイヤ成形面32に基づいて、タイヤ加硫金型Mを設計するための手段として機能させている。
本実施形態の工程S7では、工程S6後の金型モデル31のタイヤ成形面32でのベントホール45の位置に基づいて、金型Mの設計データ(例えば、CADデータ)が作成される。なお、金型Mの設計データが既に存在する場合には、その設計データが更新されてもよい。設計データは、コンピュータ1に記憶される。
設計データは、金型M(図2に示す)の製造に用いられる。製造された金型Mは、タイヤの製造ラインにおいて、タイヤの加硫成形に用いられる。
上述したように、本実施形態の設計方法では、膨張変形した生タイヤモデル21とタイヤ成形面32との接触状態を、高い精度で求めることができる。このため、本実施形態の設計方法では、接触状態に関するパラメータに基づいて、タイヤ成形面32が改修されることにより、所望の性能を有する金型Mを設計することができる。これにより、本実施形態の設計方法では、従来必要とされていた金型Mの修正工程(本実施形態では、ベントホール45の位置の修正等)を最小限に抑えることができる。したがって、本実施形態の設計方法では、金型Mの設計コストを低減することができる。
これまでの実施形態の改修する工程S6では、隙間43の大きさに基づいてタイヤ成形面32にベントホール45が設けられる態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、ベントホール45に代えて、金型モデル31(金型M)の分割面30(図8に示す)が設けられてもよい。図2に示されるように、分割面20は、ベントホール19と同様に、金型Mのタイヤ成形面2と、生タイヤTの外面3との間の空気を、金型Mの外部に排出することができる。したがって、この実施形態の設計方法でも、ベア等の成形不良を効果的に防ぐこと可能なタイヤ成形面32に改修することができる。
これまでの実施形態の改修する工程S6では、ベントホール45や分割面30が設けられたが、このような態様に限定されない。改修する工程S6では、図5に示した凸部38の形状が改修されてもよい。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の設計方法では、膨張変形した生タイヤモデル21と、タイヤ成形面32との接触状態に関するパラメータとして、凸部38と生タイヤモデル21との接触によって、凸部38に作用する応力を含んでいる。図11は、凸部38に作用する応力の一例を示すコンター図である。
図11は、図9に示した膨張変形終了時の凸部38の応力(本例では、ミーゼス応力)を示している。この例では、凸部38(第2凸部38b)の内部からコーナ部39、39にかけて、応力が高い部分46が存在している。このような応力は、図2に示した生タイヤTとの接触時での凸部15(第2凸部15b)の破損のしやすさを予測するのに役立つ。応力は、全ての凸部38において計算されるのが望ましい。
この実施形態の工程S5では、前実施形態と同様に、図8に示した生タイヤモデル21の膨張変形が開始してから、図9に示した膨張変形が終了するまでの間、予め定められた時間間隔(本例では、単位時間Tx)ごとに、凸部38に作用する応力が計算される。応力は、コンピュータ1に記憶される。
この実施形態の改修する工程S6では、凸部38に作用する応力に基づいて、凸部38の形状が変更される。この実施形態では、応力が小さくなるように、凸部38の形状を変更している。図12は、形状変更後の凸部38の一例を示す図である。図12では、図5に示した要素G(i)を省略している。
凸部38の形状を変更する手順については、適宜設定することができる。上述したように、凸部38のコーナ部39に面取48を形成することで、凸部38に作用する応力を小さくすることができる。このため、この実施形態の工程S6では、応力が大きいほど、コーナ部39に、円弧状の面取48を形成している。これにより、凸部38の破損等を効果的に防止しうるタイヤ成形面32に改修することができる。面取48の曲率半径については、例えば、凸部38の大きさ等に基づいて、適宜設定することができる。
この実施形態の工程S6では、応力が予め定められた閾値以上の場合に、面取48が形成されている。閾値については、例えば、図2に示した金型Mを構成する材料の破損に関するパラメータ(例えば、引張強さ等)に基づいて、適宜設定することができる。図2に示した凸部15の破損等を効果的に防ぐために、閾値は、凸部15の引張強さの70%〜90%に設定されるのが望ましい。
工程S6において、コーナ部39に面取48が既に形成されている場合には、その面取48の曲率半径Rを大きくするのが望ましい。これにより、凸部38に作用する応力を効果的に小さくすることができる。
工程S6では、凸部38のコーナ部39に面取48を形成した後、又は、面取48の曲率半径を大きくした後に、応力が閾値未満になった否かを確認するためのシミュレーションが実施されるのが望ましい。このシミュレーションは、改修した凸部38を適用した金型モデル31を用いて、図8及び図9に示したように、生タイヤモデル21を膨張変形させる工程S5が再度実施されてもよいし、改修した凸部38のみを取り出し、その取り出した凸部38の表面に、生タイヤモデル21の膨張変形時の圧力を定義したシミュレーションが実施されてもよい。そして、工程S6では、応力が閾値未満になるまで、凸部38が改修されるのが望ましい。
図13は、形状変更後の凸部に作用する応力の一例を示すコンター図である。この例では、応力が高い部分46が小さくなっており、コーナ部39、39での応力も小さくなっている。この実施形態の設計方法では、凸部38の破損等を効果的に防止しうるタイヤ成形面32に改修することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
[実施例A]
図3に示した手順に基づいて、タイヤ加硫金型が設計された(実施例1)。実施例1では、膨張変形した生タイヤモデルとタイヤ成形面との間の隙間の大きさに基づいて、タイヤ成形面にベントホールが設けられた。また、比較のために、上記特許文献1の方法に基づいて、タイヤ加硫金型が設計された(比較例1)。比較例1では、タイヤ製造時に生じる応力、歪み及び張力等を考慮せずに求められたタイヤの断面形状に基づいて、ベントホール(気抜き穴)の設置場所が決定された。
実施例1のベントホールが設けられたタイヤ加硫金型と、比較例1のベントホールが設けられたタイヤ加硫金型が製造された。そして、実施例1及び比較例1のタイヤ加硫金型を用いて、10本のタイヤ(サイズ:205/60R14)を加硫成形し、ベア等の成形不良の有無が目視にて確認された。
テストの結果、比較例1では、一部のタイヤでベアが発生し、加硫金型を改造する修正工程が必要となった。一方、実施例1では、ベアが発生しなかったため、修正工程が必要なかった。これにより、実施例1の設計コストは、比較例1の設計コストに比べて、15%低減することができた。
[実施例B]
図3に示した手順に基づいて、タイヤ加硫金型が設計された(実施例2)。実施例2では、タイヤ成形面に形成された凸部に作用する応力に基づいて、凸部の形状が変更された。そして、実施例2では、凸部の形状を変更したタイヤ加硫金型が製造された。また、比較のために、凸部の形状を変更する工程を省略して、タイヤ加硫金型が製造された(比較例2)。そして、実施例2及び比較例2のタイヤ加硫金型を用いて、1000本のタイヤ(サイズ:205/60R14)を加硫成形し、凸部の破損の有無が目視にて確認された。
テストの結果、比較例2では、凸部の一部で破損し、加硫金型を改造する修正工程が必要となった。一方、実施例2では、凸部が破損しなかったため、修正工程が必要なかった。これにより、実施例2の設計コストは、比較例2の設計コストに比べて、20%低減することができた。
S1 生タイヤモデルを入力する工程
S2 タイヤ加硫金型モデルを入力する工程
S5 タイヤ成形面に生タイヤモデルを徐々に接触させる工程
S6 タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する工程
S7 タイヤ加硫金型を設計する工程

Claims (9)

  1. タイヤ加硫金型を設計するための方法であって、
    コンピュータに、加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する工程と、
    前記コンピュータに、前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する工程と、
    前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる工程と、
    前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する工程と、
    前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する工程とを含む、
    タイヤ加硫金型の設計方法。
  2. 前記パラメータは、前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との間の隙間の大きさを含み、
    前記改修する工程は、前記隙間の大きさに基づいて、前記タイヤ成形面にベントホールを設ける工程を含む、請求項1記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  3. 前記改修する工程は、前記生タイヤモデルの前記膨張変形の過程において、前記隙間の大きさの変化率が相対的に小さい位置に対応する前記タイヤ成形面に、前記ベントホールを設ける工程を含む、請求項2記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  4. 前記タイヤ成形面は、模様形成用の形成部が適用される領域を有し、
    前記改修する工程は、前記タイヤ成形面の前記領域を除いて、前記ベントホールを設ける工程を含む、請求項2又は3記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  5. 前記タイヤ成形面は、溝形成用の凸部を有し、
    前記パラメータは、前記凸部と前記生タイヤモデルとの接触によって、前記凸部に作用する応力を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  6. 前記改修する工程は、前記応力が小さくなるように、前記凸部の形状を変更する工程を含む、請求項5記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  7. 前記凸部の根本には、面取を形成可能なコーナ部を有し、
    前記改修する工程は、前記応力が大きいほど、前記コーナ部に前記面取を形成するか、又は、その面取の曲率半径を大きくする工程を含む、請求項5又は6記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
  8. タイヤ加硫金型を設計するためのコンピュータプログラムであって、
    コンピュータを、
    加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する手段と、
    前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する手段と、
    前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる手段と、
    前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する手段と、
    前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する手段として機能させる、
    タイヤ加硫金型を設計するためのコンピュータプログラム。
  9. タイヤ加硫金型を設計する演算処理装置を有する設計装置であって、
    前記演算処理装置は、加硫前の生タイヤを有限個の要素でモデリングした生タイヤモデルを入力する手段と、
    前記生タイヤモデルを成形するためのタイヤ成形面を有するタイヤ加硫金型モデルを入力する手段と、
    前記タイヤ加硫金型モデル内に前記生タイヤモデルを配置して、前記生タイヤモデルを徐々に膨張変形させることにより、前記タイヤ成形面に前記生タイヤモデルを徐々に接触させる手段と、
    前記膨張変形した前記生タイヤモデルと前記タイヤ成形面との接触状態に関するパラメータに基づいて、前記タイヤ成形面の少なくとも一部を改修する手段と、
    前記改修された前記タイヤ成形面に基づいて、タイヤ加硫金型を設計する手段とを含む、
    タイヤ加硫金型の設計装置。
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