JP2024023075A - 空気入りタイヤの設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インフレート時の歪みを低減することができる空気入りタイヤを設計することが可能な方法を提供する。【解決手段】 コードプライで補強された空気入りタイヤを設計するための方法である。この方法は、コードプライをモデリングしたコードプライモデルを含む内圧充填前のタイヤモデルを入力する工程S1と、コンピュータによるタイヤモデルの内圧充填計算時において、コードプライモデルの膨張変形が抑制されるようにコードプライモデルに第1パラメータを定義する工程S2と、タイヤモデルに充填するための内圧条件を入力する工程S3と、コンピュータが、第1パラメータ及び内圧条件に基づいて、タイヤモデルの平衡形状を計算する工程S4と、タイヤモデルの平衡形状を出力する工程S5とを含む。【選択図】図4

Description

本開示は、空気入りタイヤの設計方法に関する。
下記特許文献1には、空気入りタイヤの設計方法が記載されている。この方法では、タイヤ断面形状又はタイヤ構造を決定する設計変数を定めるステップと、制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めるステップと、目的関数の最適値を与える設計変数に基づいてタイヤを設計するステップとが実施される。
国際公開第94/16877号
一般に、上記のような最適化手法では、設計変数の自由度を高くすることで、様々な形状の空気入りタイヤを作成することができる。しかしながら、設計変数の自由度が高くなると、平衡形状から大きくかけ離れた歪な形状を有する空気入りタイヤが作成される場合がある。このような空気入りタイヤは、インフレート時の歪みが大きくなって耐久面で不利になるという問題があった。
本開示は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、インフレート時の歪みを低減することができる空気入りタイヤを設計することが可能な方法を提供することを主たる目的としている。
本開示は、コードプライで補強された空気入りタイヤを設計するための方法であって、前記コードプライをモデリングしたコードプライモデルを含む、内圧充填前のタイヤモデルを、コンピュータに入力する工程と、前記コンピュータによるタイヤモデルの内圧充填計算時において、前記コードプライモデルの膨張変形が抑制されるように前記コードプライモデルに第1パラメータを定義する工程と、前記タイヤモデルに充填するための内圧条件を、前記コンピュータに入力する工程と、前記コンピュータが、前記第1パラメータ及び前記内圧条件に基づいて、前記タイヤモデルの平衡形状を計算する工程と、前記タイヤモデルの前記平衡形状を出力する工程とを含む、空気入りタイヤの設計方法である。
本開示のタイヤの設計方法は、上記の工程を採用することにより、インフレート時の歪みを低減することができる空気入りタイヤを設計することが可能となる。
空気入りタイヤの設計方法を実行するためのコンピュータを示す斜視図である。 空気入りタイヤを示す断面図である。 (a)は、カーカスプライを示す部分斜視図、(b)は、ベルトプライを示す部分斜視図である。 空気入りタイヤの設計方法の処理手順を示すフローチャートである。 内圧充填前のタイヤモデルを示す断面図である。 カーカスプライモデルの分解斜視図である。 ベルトプライモデルの分解斜視図である。 平衡形状計算工程の処理手順を示すフローチャートである。 タイヤモデルの平衡形状を示す断面図である。 出力された平衡形状を示す図である。 本開示の他の実施形態の平衡形状計算工程の処理手順を示すフローチャートである。 本開示のさらに他の実施形態の設計方法を示すフローチャートである。 タイヤモデルの内圧と、タイヤモデルの変形量(タイヤ最大幅、タイヤ外径)との関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、開示の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本開示の内容理解のためのものであって、本開示は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
本実施形態の空気入りタイヤの設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある。)は、コードプライで補強された空気入りタイヤが設計される。本実施形態の設計方法では、コンピュータが用いられる。
[コンピュータ]
図1は、空気入りタイヤの設計方法を実行するためのコンピュータを示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の設計方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
[空気入りタイヤ]
図2は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)2を示す断面図である。本実施形態のタイヤ2は、例えば、重荷重用タイヤとして構成されている。なお、重荷重用タイヤに限定されるわけではなく、例えば、乗用車用タイヤや、自動二輪車用タイヤ等として構成されてもよい。
タイヤ2には、コードプライ3が含まれる。本実施形態のコードプライ3は、カーカスプライ6Pと、ベルトプライ7Pとが含まれている。なお、コードプライ3は、例えば、カーカスプライ6P及びベルトプライ7Pの一方のみであってもよいし、他のコードプライ(例えば、バンドプライ(図示省略)等)がさらに含まれてもよい。
本実施形態のカーカスプライ6Pは、カーカス6を構成している。本実施形態のカーカス6は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に延びており、トロイド状に形成されている。カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Pで構成されている。
図3(a)は、カーカスプライ6Pを示す部分斜視図である。本実施形態のカーカスプライ6Pは、カーカスコード11と、カーカスコード11を被覆するトッピングゴム12とを含んで構成されている。カーカスコード11は、タイヤ赤道Cに対して、例えば70~90度の角度θ1で配列されている。カーカスコード11としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、又は、アラミドなどの有機繊維コード等が採用される。
図2に示されるように、本実施形態のベルトプライ7Pは、ベルト層7を構成している。本実施形態のベルト層7は、カーカス6のタイヤ半径方向外側、かつ、トレッド部2aの内部に配されている。本実施形態のベルト層7は、4枚のベルトプライ7Pから構成されているが、このような態様に限定されない。
図3(b)は、ベルトプライ7Pを示す部分斜視図である。本実施形態のベルトプライ7Pは、ベルトコード13と、ベルトコード13を被覆するトッピングゴム14とを含んで構成されている。本実施形態のベルトコード13は、タイヤ周方向に対して、例えば10~60度の角度θ2で配列されている。ベルトコード13の向きは、各ベルトプライ7Pにおいて適宜設定されうる。ベルトコード13としては、例えば、アラミド又はレーヨン等の高弾性の有機繊維コードや、スチールコード等が採用される。
図2に示されるように、タイヤ2には、ゴム部分15が含まれている。本実施形態のゴム部分15には、例えば、トレッドゴム15a、サイドウォールゴム15b、インナーライナーゴム15c、ビードエーペックスゴム15d及びクリンチゴム15eが含まれる。
トレッドゴム15aは、ベルト層7のタイヤ半径方向外側に配されている。サイドウォールゴム15bは、カーカス6のタイヤ軸方向外側に配されている。インナーライナーゴム15cは、カーカス6の内側に配されている。ビードエーペックスゴム15dは、ビードコア5からタイヤ半径方向外側に延びている。クリンチゴム15eは、ビード部2cのタイヤ軸方向の外側に配されている。
ところで、上記の特許文献1では、最適化手法に基づいて、例えば、タイヤ2(例えば、図2に示す)が設計されている。このような手法では、予め定められた目的関数の最適値を与えることが可能な設計変数に基づいて、タイヤ2が設計される。しかしながら、設計変数の自由度が高く設定されると、目的関数を満足する設計因子を具えた様々な形状のタイヤを作成することができるものの、平衡形状から大きくかけ離れた歪な形状を有するタイヤが作成される場合がある。このようなタイヤは、インフレート時(内圧充填時)の歪みが大きくなって耐久面で不利になるという問題がある。ここで、「平衡形状」とは、充填される内圧とつり合いのとれた空気入りタイヤの形状である。
一方、設計されたタイヤ2に内圧を充填して得られる形状を、内圧充填前のタイヤ2の平衡形状として取得することも考えられる。しかしながら、このような平衡形状には、内圧充填によって膨張変形したコードプライ3の形状が反映されるため、最適化手法で得られた(目的関数を満足する)コードプライ3の設計因子が変更されるという問題がある。さらに、膨張変形したコードプライ3の形状が反映された内圧充填前のタイヤ2に、内圧が充填されると、コードプライ3の歪みが大きくなるという問題もある。
[空気入りタイヤの設計方法(第1実施形態)]
本実施形態の設計方法では、インフレート時の歪みを低減することができるタイヤ2が設計される。図4は、空気入りタイヤの設計方法の処理手順を示すフローチャートである。
[内圧充填前のタイヤモデルを入力]
本実施形態の設計方法では、先ず、コンピュータ1(図1に示す)に、内圧充填前のタイヤモデルが入力される(工程S1)。本実施形態のタイヤモデルには、コードプライ3(図2に示す)をモデリングしたコードプライモデルが含まれる。図5は、内圧充填前のタイヤモデル21を示す断面図である。図6は、カーカスプライモデル26の分解斜視図である。図7は、ベルトプライモデル27の分解斜視図である。
本実施形態では、コードプライ3(図2に示す)を含むタイヤ部材のプロファイル等が確定していない試作段階のタイヤ(図示省略)に基づいて、タイヤモデル21がモデリングされる。試作段階のタイヤは、図2に示したタイヤ2と同様の構造を有している。また、本実施形態の試作段階のタイヤは、内圧充填前の状態で設計される。
試作段階のタイヤ(図示省略)は、例えば、特許文献1のような最適化手法に基づいて設計されてもよいし、一般的なCAD等のソフトウェアを用いて設計されてもよい。最適化手法の一例としては、遺伝的アルゴリズム(GA(Genetic Algorithm))や、粒子群最適化(PSO(Particle Swarm Optimization))が挙げられる。本実施形態では、最適化手法に基づいて、予め定められた目的関数(例えば、縦バネ定数や横バネ定数等)を満足する設計因子を具えた試作段階のタイヤが設計される。
本実施形態の工程S1では、試作段階のタイヤ(図示省略)が、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)、及び、要素G(i)(i=1、2、…)で離散化される。これにより、タイヤモデル21がモデリングされる。
本実施形態のタイヤモデル21は、3次元モデルとして定義されている。なお、タイヤモデル21は、3次元モデルに限定されるわけではなく、2次元モデルとして定義されてもよい。タイヤモデル21のモデリングには、従来のシミュレーション方法と同様に、メッシュ化ソフトウェア(例えば、Altair社製のHypermesh等)が用いられる。
要素F(i)及び要素G(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用できるが、本実施形態では有限要素法が採用されている。各要素F(i)及びG(i)は、複数個の節点22が設けられる。このような各要素F(i)及びG(i)には、要素番号、節点22の番号、節点22の座標値、及び、材料特性(例えば密度等)などの数値データが定義される。
図5に示されるように、本実施形態のタイヤモデル21には、コードプライ3(図2に示す)をモデリングしたコードプライモデル23と、ゴム部分15(図2に示す)をモデリングしたゴムモデル25とが含まれる。さらに、本実施形態のタイヤモデル21には、ビードコア5(図2に示す)をモデリングしたビードコアモデル28が含まれる。
本実施形態のゴムモデル25は、トレッドゴムモデル25a、サイドウォールゴムモデル25b、インナーライナーゴムモデル25c、ビードエーペックスゴムモデル25d及びクリンチゴムモデル25eが含まれる。
本実施形態のゴムモデル25及びビードコアモデル28は、要素F(i)でモデリングされる。要素F(i)としては、例えば、タイヤモデル21が2次元である場合、複雑な形状を表現するのに適した三角形要素や四辺形要素等が用いられる。なお、タイヤモデル21が3次元である場合には、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素などが用いられるのが望ましい。
本実施形態のコードプライモデル23には、カーカスプライ6Pをモデリングしたカーカスプライモデル26と、ベルトプライ7Pをモデリングしたベルトプライモデル27とが含まれる。
図6に示されるように、本実施形態のカーカスプライモデル26は、カーカスコードモデル31と、トッピングゴムモデル32、32とを含んで構成される。
カーカスコードモデル31は、図3(a)に示したカーカスコード11の配列体を、有限個の要素G(i)を用いてモデリングしたものである。要素G(i)には、例えば、カーカスコード11の長手方向に沿った強度異方性を定義することができる膜要素又はシェル要素を採用することができ、本実施形態では、膜要素が採用される。
要素G(i)には、例えば、図3(a)に示したカーカスコード11の物理量(例えば、引張剛性)や、タイヤ赤道Cに対する角度θ1が定義される。これにより、カーカスコードモデル31は、カーカスコード11の配列体を再現することができる。
トッピングゴムモデル32、32は、図3(a)のカーカスプライ6Pのトッピングゴム12を、有限個の要素F(i)でモデリングしたものである。これらのトッピングゴムモデル32、32を、カーカスコードモデル31の両側(内側及び外側)に一体に固定されることで、カーカスプライモデル26が設定される。
図7に示されるように、本実施形態のベルトプライモデル27は、ベルトコードモデル33と、トッピングゴムモデル34、34とを含んで構成される。図7では、図2に示した4枚のベルトプライ7Pのうち、2枚のベルトプライ7Pをモデリングしたベルトプライモデル27、27が代表して示されている。
ベルトコードモデル33は、図3(b)に示したベルトコード13の配列体を、有限個の要素G(i)を用いてモデリングしたものである。要素G(i)には、例えば、ベルトコード13の長手方向に沿った強度異方性を定義することができる膜要素又はシェル要素を採用することができ、本実施形態では、膜要素が採用される。
要素G(i)には、例えば、図3(b)に示したベルトコード13の物理量(例えば、引張剛性)や、タイヤ周方向に対する角度θ2が定義される。これにより、ベルトコードモデル33は、ベルトコード13の配列体を再現することができる。
トッピングゴムモデル34、34は、図3(b)に示したベルトプライ7Pのトッピングゴム14を、有限個の要素F(i)でモデリングしたものである。これらのトッピングゴムモデル34、34を、ベルトコードモデル33の両側(内側及び外側)に一体に固定されることで、ベルトプライモデル27が設定される。
本実施形態の工程S1では、ゴムモデル25と、コードプライモデル23(カーカスプライモデル26及びベルトプライモデル27)と、ビードコアモデル28とがそれぞれモデリングされることで、タイヤモデル21が設定される。
本実施形態のタイヤモデル21(すなわち、試作段階のタイヤ)は、内圧充填前において、サイドウォール部21bの一部が、タイヤ軸方向の内側に凹んでおり、平衡形状から大きくかけ離れた歪な形状を有している。なお、タイヤモデル21は、このような形状に限定されない。タイヤモデル21は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[第1パラメータを定義]
次に、本実施形態の設計方法では、コードプライモデル23(図5~7に示す)に、第1パラメータが定義される(工程S2)。第1パラメータは、コンピュータ1(図1に示す)によるタイヤモデル21の内圧充填計算時(後述の平衡形状計算工程S4)において、コードプライモデル23の膨張変形を抑制するためのものである。本実施形態では、カーカスプライモデル26及びベルトプライモデル27の膨張変形が抑制される。
第1パラメータは、コードプライモデル23(図5~図7に示す)の膨張変形が抑制されれば、適宜定義されうる。本実施形態の第1パラメータには、コードプライ3(図2及び図3に示す)の引張剛性よりも大きい値に設定されたコードプライモデル23の引張剛性が含まれる。このような引張剛性により、本実施形態では、内圧充填計算時にコードプライモデル23に作用する引張力に対して、実際のコードプライ3(図2に示す)よりも大きな引張応力を、コードプライモデル23で計算することができる。したがって、コードプライモデル23の膨張変形が抑制されうる。
本実施形態では、図6に示したカーカスコードモデル31の各要素G(i)に定義されている引張剛性が、実際のカーカスコード11(図3(a)に示す)の引張剛性よりも大きく(例えば、10~100倍)設定される。さらに、図7に示したベルトコードモデル33の各要素G(i)に定義されている引張剛性が、実際のベルトコード13(図3(b)に示す)の引張剛性よりも大きく(例えば、10~100倍)設定される。これにより、カーカスプライモデル26及びベルトプライモデル27の膨張変形(例えば、タイヤ周方向の伸長)が抑制される。
本実施形態の第1パラメータには、図3(b)に示したベルトコード13のタイヤ周方向に対する角度θ2よりも小さく(例えば、0~10度)設定されたベルトコードモデル33のベルトコード13の角度θ2(図7に示す)が含まれてもよい。このような角度θ2は、ベルトプライ7P(図2及び図3に示す)に比べて、ベルトプライモデル27によるタガ効果を高めることができ、ベルトプライモデル27(タイヤモデル21)の膨張変形が抑制されうる。
第1パラメータとして、コードプライモデル23(図5~7に示す)の引張剛性、及び、図7に示したベルトコードモデル33の角度θ2のいずれか一方のみが定義されてもよいし、これらの全てが定義されてもよい。本実施形態では、これらの第1パラメータの全てが定義される。さらに、第1パラメータとして、コードプライモデル23の膨張変形を抑制可能な他のパラメータが定義されてもよい。第1パラメータは、コンピュータ1(図1に示す)に入力される。
[内圧条件を入力]
次に、本実施形態の設計方法では、タイヤモデル21に充填するための内圧条件が、コンピュータ1(図1に示す)に入力される(工程S3)。内圧条件は、タイヤモデル21(図5に示す)の平衡形状が計算できれば、特に限定されない。本実施形態の内圧条件は、タイヤが基づいている規格体系において定められている正規内圧(最大内圧)が含まれる。
正規内圧(最大内圧)は、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。内圧条件(正規内圧)は、コンピュータ1(図1に示す)に入力される。
[タイヤモデルの平衡形状を計算(平衡形状計算工程)]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、第1パラメータ及び内圧条件に基づいて、図5に示したタイヤモデル21の平衡形状を計算する(平衡形状計算工程S4)。タイヤモデル21の平衡形状は、第1パラメータ及び内圧条件に基づいて、適宜計算されうる。図8は、平衡形状計算工程S4の処理手順を示すフローチャートである。
[ビードコアモデルを拘束]
本実施形態の平衡形状計算工程S4では、先ず、タイヤモデル21のビードコアモデル28が移動不能に拘束される(工程S41)。ビードコアモデル28の拘束は、適宜設定することができる。本実施形態の工程S41では、ビードコアモデル28を構成する各要素F(i)について、シミュレーションが実施される計算空間(例えば、x軸、y軸及びz軸の直交座標系で定義された空間)での座標値が固定される。これにより、ビードコアモデル28が移動不能に拘束される。ビードコアモデル28が拘束されたタイヤモデル21は、コンピュータ1(図1に示す)に入力される。
[平衡形状を計算]
次に、本実施形態の平衡形状計算工程S4では、ビードコアモデル28が拘束された後に、タイヤモデル21の平衡形状が計算される(工程S42)。本実施形態の工程S42では、コードプライモデル23に、第1パラメータが定義される。次に、本実施形態の工程S42では、タイヤモデル21の内腔面21iの全体に、内圧条件に相当する等分布荷重wが定義される。これにより、工程S42では、内圧条件(等分布荷重w)に基づくタイヤモデル21の変形が計算される。
タイヤモデル21の変形計算は、各要素F(i)及び各要素G(i)の形状及び材料特性などに基づいて、各要素F(i)及び各要素G(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス、及び、減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1(図1に示す)が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらをシミュレーションの単位時間T(x)(x=0、1、…)毎にタイヤモデル21の変形計算を行う。
変形計算は、例えば、Dassault Systems 社製のABAQUSなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。なお、単位時間T(x)については、求められるシミュレーション精度によって、適宜設定することができる。
本実施形態の工程S42では、内圧条件(等分布荷重w)とつり合いがとれるまで、タイヤモデル21の変形計算が実施される。本実施形態では、ビードコアモデル28、28が移動不能に拘束されるため、内圧充填前のタイヤモデル21のビード部21c、21cの位置が維持される。これにより、タイヤモデル21の平衡形状29が計算される。図9は、タイヤモデル21の平衡形状29を示す断面図である。
本実施形態では、タイヤモデル21の平衡形状29が計算されることにより、図5に示したサイドウォール部21bにおいて、タイヤ軸方向の内側に凹んだ部分が、タイヤ軸方向外側に押し出される。これにより、タイヤモデル21の歪な形状が取り除かれる。
さらに、本実施形態では、第1パラメータにより、コードプライモデル23(図5~7に示す)の膨張変形が抑制(例えば、タイヤ周方向の長さが固定)されるため、内圧充填によるタイヤモデル21の外径成長が抑制される。
このように、本実施形態の平衡形状計算工程S4では、内圧充填による外径成長(図5に示したタイヤ外径D1の増大)を抑制しつつ、歪な形状を取り除いたタイヤモデル21の平衡形状29を計算することができる。このような平衡形状29は、コードプライモデル23の膨張変形や、タイヤモデル21の外径成長が抑制されているため、内圧充填前のタイヤモデル21(設計されたタイヤ2)の平衡形状として取得されうる。
本実施形態では、ビードコアモデル28、28の拘束により、内圧充填前のタイヤモデル21のビード部21c、21cの位置が維持される。これにより、内圧充填によるビード部21c、21cのタイヤ軸方向の移動が、平衡形状(内圧充填前の平衡形状)29に反映されるのを防ぐことができる。タイヤモデル21(平衡形状29)は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[タイヤモデルの平衡形状を出力]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、タイヤモデル21の平衡形状29を出力する(工程S5)。タイヤモデル21の平衡形状29は、適宜出力されうる。本実施形態のタイヤモデル21の平衡形状29は、ディスプレイ装置1d(図1に示す)に表示されてもよいし、プリンタ等に印刷されてもよい。これにより、タイヤモデル21の平衡形状29が、上記の出力を通じて、オペレータ等に認識させることができる。
図10は、出力された平衡形状29を示す図である。出力される平衡形状29には、例えば、図9に示したタイヤモデル21のプロファイル29a、カーカスプライモデル26のプロファイル29b、及び、ベルトプライモデル27のプロファイル29cが含まれる。本実施形態では、図9に示した要素F(i)及びG(i)が省略されているが、プロファイル29a~29cとともに、要素F(i)及びG(i)が表示されてもよい。また、平衡形状29には、図9に示した他のタイヤ部材(例えば、ビードコアモデル28やビードエーペックスゴムモデル25dなど)のプロファイル(図示省略)が含まれてもよい。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、タイヤモデル21の平衡形状29が良好か否かを判断する(工程S6)。平衡形状29が良好か否かの判断は、適宜実施されうる。例えば、平衡形状のタイヤモデル21を用いた従来の転動シミュレーションを実行することで得られた物理量等に基づいて、平衡形状29が、良好か否かが判断されうる。
工程S6において、平衡形状29が良好であると判断された場合(工程S6で「Yes」)、次の工程S7が実施される。一方、平衡形状29が良好でないと判断された場合(工程S6で「No」)、タイヤ2(図2に示す)の設計因子の少なくとも一部が変更され(工程S8)、工程S1~S6が再度実施される。これにより、本実施形態の設計方法では、インフレート時の歪を低減しつつ、所望の性能を有するタイヤモデル21の平衡形状29を取得することが可能となる。
[空気入りタイヤの形状を設計]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(図1に示す)が、出力されたタイヤモデル21の平衡形状29に基づいて、内圧充填前のタイヤの形状を設計する(工程S7)。本実施形態では、タイヤモデル21の平衡形状29が、内圧充填前のタイヤ2の形状として取得される。
内圧充填前のタイヤ2の形状は、適宜設計されうる。本実施形態では、図10に示したタイヤモデル21の平衡形状29(プロファイル29a~29c)に基づいて、内圧充填前のタイヤ2(図2に示したカーカスプライ6P及びベルトプライ7Pを含む)のプロファイルが設計される。内圧充填前のタイヤ2の形状は、例えば、タイヤモデル21の平衡形状29の座標値に基づいて、CAD等のソフトウェアを用いて設計されうる。これにより、インフレート時の歪を低減することができる(耐久性を向上させた)タイヤ2が設計されうる。
内圧充填前のタイヤ2の形状は、例えば、タイヤ2の加硫金型等の設計に用いられる。これにより、インフレート時の歪を低減することができる(耐久性を向上させた)タイヤ2が製造されうる。
本実施形態の設計方法では、上述の平衡形状計算工程S4において、内圧充填による外径成長を抑制しつつ、歪な形状を取り除いたタイヤモデル21の平衡形状29(図9及び図10に示す)を計算することができる。そして、このようなタイヤモデル21の平衡形状29に基づいて、内圧充填前のタイヤ2が設計(製造)されることにより、その内圧充填前のタイヤ2は、歪な形状(図5に示す)が取り除かれているため、インフレート時の歪を低減することができる。このようなインフレート時の歪は、タイヤ2の耐久性を悪化させる要因となる。したがって、本実施形態の設計方法では、耐久性を向上させたタイヤ2を確実に設計することが可能となる。
さらに、本実施形態では、膨張変形(外径成長)が抑制されたコードプライモデル23のプロファイル(平衡形状)29b及び29c(図10に示す)に基づいて、内圧充填前のタイヤ2のコードプライ3(図2に示す)が設計される。これにより、設計された内圧充填前のコードプライ3において、最適解で得られた(目的関数を満足する)コードプライ3の設計因子が変更されるのを抑制することができ、さらに、インフレート時のコードプライ3の歪が大きくなるのが防がれうる。
本実施形態では、平衡形状計算工程S4に先立ち、ビードコアモデル28、28(図5に示す)が移動不能に固定されている。このため、内圧充填によるビード部21c、21cのタイヤ軸方向の移動や、クリンチゴムモデル25e、25eの圧縮変形が、平衡形状29(図10に示す)に反映されるのを防ぐことができる。したがって、本実施形態では、内圧充填前のタイヤ2を適切に設計することが可能となる。
本実施形態の設計方法では、出力されたタイヤモデル21の平衡形状29に基づいて、内圧充填前のタイヤ2の仕様(設計因子)等を容易に決定することができる。したがって、本実施形態の設計方法では、インフレート時の歪を低減することが可能な(耐久性を向上させた)タイヤ2を、確実に設計及び製造することが可能となる。
[空気入りタイヤの設計方法(第2実施形態)]
[平衡形状計算工程(第2実施形態)]
これまでの実施形態の平衡形状計算工程S4では、図8に示した工程S41において、ビードコアモデル28が移動不能に拘束されたが、このような態様に限定されない。図11は、本開示の他の実施形態の平衡形状計算工程S4の処理手順を示すフローチャートである。
この実施形態の平衡形状計算工程S4では、図5に示されるように、タイヤモデル21のリム接触領域35、35が移動不能に拘束される(工程S43)。リム接触領域35、35は、図2に示したタイヤ2のリム組み時において、タイヤ2がリム9との接触が予定されている領域である。このリム接触領域35、35は、タイヤモデル21に定義される。
リム接触領域35は、適宜定義することができ、例えば、正規リムに基づいて定義されうる。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムである。したがって、正規リムは、例えば、JATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
次に、この実施形態の工程S43では、タイヤモデル21の要素F(i)のうち、リム接触領域35、35に配置されている要素F(i)について、シミュレーションが実施される計算空間(例えば、直交座標系で定義された空間)での座標値が固定される。これにより、リム接触領域35、35が移動不能に拘束される。
次に、この実施形態の平衡形状計算工程S4では、リム接触領域35、35が拘束された後に、タイヤモデル21の平衡形状が計算される(工程S44)。平衡形状29の計算は、これまでの実施形態の工程S42(図8に示す)と同様の手順で計算される。
この実施形態の工程S44では、リム接触領域35が移動不能に固定されているため、これまでの実施形態と同様に、リムモデルの押圧に起因するクリンチゴムモデル25e、25eの圧縮変形が抑制される。これにより、内圧充填によるビード部21c、21cのタイヤ軸方向の移動や、クリンチゴムモデル25e、25eの圧縮変形が、タイヤモデル21の平衡形状29に反映されるのが抑制されるため、内圧充填前のタイヤ2を適切に設計することが可能となる。
さらに、この実施形態では、リム接触領域35の固定により、例えば、ビードコアモデル28、28が固定されたこれまでの実施形態に比べて、ビード部21c、21cを広い範囲に亘って拘束することができる。これにより、この実施形態では、これまでの実施形態に比べて、内圧充填に伴うビード部21c、21cの部分的な変形(屈曲)が抑制されうる。
[空気入りタイヤの設計方法(第3実施形態)]
これまでの実施形態の設計方法では、平衡形状計算工程S4において、予め定められた内圧条件(例えば、正規内圧(最大内圧))に基づいて変形させたタイヤモデル21(図9に示す)の形状が平衡形状29として特定されたが、このような態様に限定されない。例えば、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21の変形量に対して、予め定められた変形率となったタイヤモデル21の形状が、平衡形状29として特定されてもよい。図12は、本開示のさらに他の実施形態の設計方法を示すフローチャートである。
[タイヤモデルの変形量を計算]
この実施形態の平衡形状計算工程S4では、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21(図5に示す)の変形量が計算される(工程S45)。この実施形態の工程S45は、タイヤモデル21のビードコアモデル28を移動不能に拘束する工程S41の後に実施されているが、工程S41に代えて、図11に示したリム接触領域35、35を移動不能に拘束する工程S43が実施されてもよい。
この実施形態の工程S45では、内圧充填前(内圧がゼロ)から最大内圧までにおいて、内圧を徐々に増加させながら、タイヤモデル21の変形量がそれぞれ計算される。内圧に基づくタイヤモデル21の変形計算は、これまでの実施形態と同様の手順で実施される。
計算される変形量は、適宜選択することができる。本実施形態の変形量は、図5及び図9に示されるように、タイヤ最大幅W1の変化量、及び、タイヤ外径D1の変化量を少なくとも1つ(本例では、双方)が含まれる。この実施形態において、タイヤ最大幅W1は、最大内圧が充填された状態で(図9に示す)、カーカスプライモデル26が最もタイヤ軸方向の外側に張り出す位置(タイヤ最大幅位置)36において特定されるものとする。
図13は、タイヤモデル21の内圧と、タイヤモデル21の変形量(タイヤ最大幅W1、タイヤ外径D1)との関係を示すグラフである。このグラフでは、内圧充填前のタイヤ最大幅W1(図5に示す)を0%とし、かつ、最大内圧充填時のタイヤ最大幅W1(図9に示す)100%として、内圧充填前からのタイヤ最大幅W1の変形率が示されている。同様に、内圧充填前のタイヤ外径D1(図5に示す)を0%とし、かつ、最大内圧充填時のタイヤ外径D1(図9に示す)を100%として、内圧充填前からのタイヤ外径D1の変形率が示されている。
図13のグラフでは、内圧の増加に伴って、タイヤモデル21のタイヤ最大幅(変形率)W1が増加している。このようなタイヤ最大幅W1の増加により、上述のタイヤモデル21の歪な形状(図5に示す)が取り除かれうる。一方、内圧の増加に伴って、タイヤモデル21のタイヤ外径(変形率)D1が増加している。これは、第1パラメータによってコードプライモデル23(図5~7に示す)の膨張変形が抑制されているものの、内圧の増加に伴う他のタイヤ部材モデル(例えば、ゴムモデル25など)の変形によって、タイヤ外径D1が増加しているためである。タイヤモデル21の変形量は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
[タイヤモデルの形状を特定]
次に、この実施形態の平衡形状計算工程S4では、内圧充填前(内圧:0kPa)から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21の変形量に対して、予め定められた変形率となったタイヤモデル21の形状が特定される(工程S46)。変形率は、タイヤモデル21の変形量に基づいて、適宜設定されうる。
この実施形態のタイヤ最大幅W1の変形率は、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21のタイヤ最大幅の変化量(100%)に対して、90%以上に設定される。これにより、タイヤモデル21の歪な形状(図5に示す)が取り除かれうる。一方、この実施形態のタイヤ外径D1の変形率は、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21のタイヤ外径の変化量(100%)に対して、20%以下に設定される。これにより、タイヤ外径D1の増加を抑制することが可能となる。
図13に示したグラフにおいて、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデル21の変形量(100%)に対して、上記の変形率(タイヤ最大幅の変形率:90%以上、タイヤ外径の変形率:20%以下)となる内圧は、第1内圧A(kPa)である。この第1内圧A(kPa)で内圧が充填されたタイヤモデル21の形状(図示省略)が、タイヤモデル21の平衡形状29として特定される。
特定されたタイヤモデル21の平衡形状29は、タイヤモデル21の歪な形状(図5に示す)が取り除かれている。さらに、特定された平衡形状29は、最大内圧が充填されたこれまでの実施形態の平衡形状29(図9に示す)に比べて、タイヤ外径D1の増加(外径成長)を抑制することが可能となる。したがって、この実施形態では、耐久性をさらに向上させたタイヤ2の設計が可能となる。特定されたタイヤモデル21の平衡形状29は、コンピュータ1(図1に示す)に記憶される。
以上、本開示の特に好ましい実施形態について詳述したが、本開示は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示したコードプライで補強された空気入りタイヤが設計された(実施例1~3及び比較例)。実施例1~3及び比較例では、先ず、図5に示したコードプライモデルを含む内圧充填前のタイヤモデルが入力された。
次に、実施例1~3では、図4に示した処理手順に基づいて、コードプライモデルに、膨張変形を抑制するための第1パラメータが定義された。実施例1と、実施例2及び3とは、互いに異なる第1パラメータが設定された。第1パラメータの詳細は、下記のとおりである。
次に、実施例1~3では、第1パラメータ及び内圧条件に基づいて、タイヤモデルの平衡形状が計算された。実施例1~3では、タイヤモデルのリム接触領域を移動不能に拘束した後に、平衡形状が計算された。
実施例1及び2は、最大内圧に基づいて、タイヤモデルの平衡形状が計算された。一方、実施例3では、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデルの変形量に対して、予め定められた変形率となったタイヤモデルの形状を、平衡形状として特定された。
比較例では、コードプライモデルに第1パラメータが定義されることなく、内圧条件(最大内圧)に基づいて、タイヤモデルの平衡形状が計算された。比較例の平衡形状の計算には、リムをモデリングしたリムモデルを用いて、タイヤモデルのビード部がリム組みされた。
そして、実施例1~3及び比較例では、出力されたタイヤモデルの平衡形状に基づいて、内圧充填前の空気入りタイヤの形状が設計された。第1パラメータ及び内圧条件など、共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:315/45R22.5
最大内圧(正規内圧):900kPa
実施例1:
第1パラメータ:
コードプライモデルの引張剛性を、
コードプライの引張剛性よりも大きい値に設定
実施例2:
第1パラメータ:
コードプライモデルの引張剛性を、
コードプライの引張剛性よりも大きい値に設定
ベルトコードの角度を小さく設定(0度)
実施例3:
第1パラメータ:
コードプライモデルの引張剛性を、
コードプライの引張剛性よりも大きい値に設定
ベルトコードの角度を小さく設定(0度)
変形率:
タイヤ最大幅:90%
タイヤ外径:20%
テストの結果、実施例1~3は、比較例に比べて、内圧充填による外径成長を抑制しつつ、歪な形状を取り除いたタイヤモデルの平衡形状を計算することができた。これにより、実施例1~3では、タイヤモデルの平衡形状に基づいて、インフレート時の歪を低減することができる(耐久性を向上させた)空気入りタイヤを設計することができた。
実施例2及び3では、第1パラメータとして、コードプライモデルの引張剛性が大きい値に設定され、かつ、ベルトコードの角度を小さく設定された。これにより、実施例2及び3では、ベルトコードの角度が小さく設定されていない実施例1に比べて、内圧充填による外径成長を効果的に抑制でき、インフレート時の歪みがさらに低減された。
実施例3では、内圧充填前から最大内圧が充填されるまでのタイヤモデルの変形量に対して、上記の変形率となったタイヤモデルの形状を、平衡形状として特定された。これにより、実施例3では、最大内圧での平衡形状が計算された実施例1及び2に比べて、内圧充填による外径成長をさらに抑制することができ、インフレート時の歪みがさらに低減された。
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
[本開示1]
コードプライで補強された空気入りタイヤを設計するための方法であって、
前記コードプライをモデリングしたコードプライモデルを含む、内圧充填前のタイヤモデルを、コンピュータに入力する工程と、
前記コンピュータによるタイヤモデルの内圧充填計算時において、前記コードプライモデルの膨張変形が抑制されるように前記コードプライモデルに第1パラメータを定義する工程と、
前記タイヤモデルに充填するための内圧条件を、前記コンピュータに入力する工程と、
前記コンピュータが、前記第1パラメータ及び前記内圧条件に基づいて、前記タイヤモデルの平衡形状を計算する工程と、
前記タイヤモデルの前記平衡形状を出力する工程とを含む、
空気入りタイヤの設計方法。
[本開示2]
前記コンピュータが、出力された前記タイヤモデルの前記平衡形状に基づいて、内圧充填前の空気入りタイヤの形状を設計する工程をさらに含む、本開示1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示3]
前記第1パラメータは、前記コードプライの引張剛性よりも大きい値に設定された前記コードプライモデルの引張剛性を含む、本開示1又は2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示4]
前記コードプライモデルは、カーカスプライをモデリングしたカーカスプライモデルを含む、本開示3に記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示5]
前記コードプライモデルは、ベルトコードを有するベルトプライをモデリングしたベルトプライモデルを含む、本開示3又は4に記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示6]
前記第1パラメータは、前記ベルトコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さく設定されたベルトコードモデルのベルトコードの角度を含む、本開示5に記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示7]
前記タイヤモデルは、前記タイヤのビードコアをモデリングしたビードコアモデルを含み、
前記平衡形状を計算する工程は、前記タイヤモデルの前記ビードコアモデルを移動不能に拘束した後に、前記タイヤモデルの前記平衡形状を計算する工程を含む、本開示1ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示8]
前記タイヤモデルは、前記タイヤがリムとの接触が予定されているリム接触領域が定義されており、
前記平衡形状を計算する工程は、前記タイヤモデルの前記リム接触領域を移動不能に拘束した後に、前記タイヤモデルの前記平衡形状を計算する工程を含む、本開示1ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示9]
前記内圧条件は、前記タイヤが基づいている規格体系において定められている最大内圧を含み、
前記平衡形状を計算する工程は、前記内圧充填前から前記最大内圧が充填されるまでの前記タイヤモデルの変形量に対して、予め定められた変形率となった前記タイヤモデルの形状を、前記平衡形状として特定する工程を含む、本開示1ないし8のいずれかに記載の空気入りタイヤの設計方法。
[本開示10]
前記変形量は、タイヤ最大幅の変化量、及び、タイヤ外径の変化量を少なくとも1つを含む、本開示9に記載の空気入りタイヤの設計方法。
S1 内圧充填前のタイヤモデルを入力する工程
S2 コードプライモデルに第1パラメータを定義する工程
S3 内圧条件を入力する工程
S4 タイヤモデルの平衡形状を計算する工程
S5 タイヤモデルの平衡形状を出力する工程

Claims (10)

  1. コードプライで補強された空気入りタイヤを設計するための方法であって、
    前記コードプライをモデリングしたコードプライモデルを含む、内圧充填前のタイヤモデルを、コンピュータに入力する工程と、
    前記コンピュータによるタイヤモデルの内圧充填計算時において、前記コードプライモデルの膨張変形が抑制されるように前記コードプライモデルに第1パラメータを定義する工程と、
    前記タイヤモデルに充填するための内圧条件を、前記コンピュータに入力する工程と、
    前記コンピュータが、前記第1パラメータ及び前記内圧条件に基づいて、前記タイヤモデルの平衡形状を計算する工程と、
    前記タイヤモデルの前記平衡形状を出力する工程とを含む、
    空気入りタイヤの設計方法。
  2. 前記コンピュータが、出力された前記タイヤモデルの前記平衡形状に基づいて、内圧充填前の空気入りタイヤの形状を設計する工程をさらに含む、請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  3. 前記第1パラメータは、前記コードプライの引張剛性よりも大きい値に設定された前記コードプライモデルの引張剛性を含む、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  4. 前記コードプライモデルは、カーカスプライをモデリングしたカーカスプライモデルを含む、請求項3に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  5. 前記コードプライモデルは、ベルトコードを有するベルトプライをモデリングしたベルトプライモデルを含む、請求項3に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  6. 前記第1パラメータは、前記ベルトコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さく設定されたベルトコードモデルのベルトコードの角度を含む、請求項5に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  7. 前記タイヤモデルは、前記タイヤのビードコアをモデリングしたビードコアモデルを含み、
    前記平衡形状を計算する工程は、前記タイヤモデルの前記ビードコアモデルを移動不能に拘束した後に、前記タイヤモデルの前記平衡形状を計算する工程を含む、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  8. 前記タイヤモデルは、前記タイヤがリムとの接触が予定されているリム接触領域が定義されており、
    前記平衡形状を計算する工程は、前記タイヤモデルの前記リム接触領域を移動不能に拘束した後に、前記タイヤモデルの前記平衡形状を計算する工程を含む、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  9. 前記内圧条件は、前記タイヤが基づいている規格体系において定められている最大内圧を含み、
    前記平衡形状を計算する工程は、前記内圧充填前から前記最大内圧が充填されるまでの前記タイヤモデルの変形量に対して、予め定められた変形率となった前記タイヤモデルの形状を、前記平衡形状として特定する工程を含む、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  10. 前記変形量は、タイヤ最大幅の変化量、及び、タイヤ外径の変化量を少なくとも1つを含む、請求項9に記載の空気入りタイヤの設計方法。
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