JP2020066257A - 把持部材 - Google Patents

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【課題】基材端面に樹脂部材が付着する事態を抑制する。【解決手段】乗物に設けられ、乗員が把持することが可能な把持部41を備えるドアグリップ40であって、板状の基材本体部52を備える基材51と、基材本体部52の車室外側の面52Aを覆う形で配され、把持部41の車室外側の面41Aを構成する表皮材71と、を備え、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52Bには、表皮材71側に突出する突起部58が設けられていることに特徴を有する。【選択図】図8

Description

本明細書で開示される技術は、把持部材に関する。
従来、把持部材として特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1では、把持部材としてドアグリップが開示されており、このドアグリップは、基材(ドアグリップ本体)と、基材を覆う表皮と、を備える。また、表皮が樹脂部材である場合には、二色成形によって表皮を基材と一体的に成形する方法が知られている。
特開2007−326525号公報
二色成形によって樹脂部材を基材と一体的に成形する場合には、基材の表面と成形型の成形面との間に設けた成形空間に液状樹脂を充填させ、充填された液状樹脂が固化することで樹脂部材となる。この際、液状樹脂が基材端面と成形型の間に侵入すると、基材端面に樹脂部材の一部が付着してしまう。この結果、基材端面の寸法精度が低下し、基材を他部材に組み付ける際に妨げとなる事態が懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基材端面に樹脂部材が付着する事態を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される把持部材は、乗物に設けられ、乗員が把持することが可能な把持部を備える把持部材であって、板状の基材本体部を備える基材と、前記基材本体部の表面を覆う形で配され、前記把持部の表面を構成する樹脂部材と、を備え、前記基材本体部の前記表面における周端部には、前記樹脂部材側に突出する突起部が設けられていることに特徴を有する。
樹脂部材を射出成形(二色成形)によって成形する場合には、基材本体部と成形型によって構成された成形空間に対して、液状樹脂を充填する。その後、成形空間内の液状樹脂が固化することで樹脂部材となる。樹脂部材を構成する液状樹脂(例えば溶融樹脂)を成形空間に充填させる過程では、液状樹脂が基材本体部の表面に沿って流れる。上記構成によれば、基材本体部の表面の周端部に突起部が設けられている。このような構成とすれば、基材本体部の表面に沿って流れる液状樹脂が突起部を乗り越えて流れることになり、基材本体部の表面の周端部側から基材本体部の端面に向かって流れる液状樹脂の勢いを弱くすることができる。このため、基材本体部の端面と成形型との間に液状樹脂が侵入する事態を抑制することができ、基材本体部の端面に樹脂部材が付着した状態で成形される事態を抑制できる。
また、前記基材本体部の前記表面における前記周端部及び前記基材本体部の前記表面における前記周端部よりも内側の部分は、前記周端部が前記内側の部分よりも前記樹脂部材側に位置する段差状をなしているものとすることができる。樹脂部材を射出成形によって成形する場合において、基材本体部の表面に沿って流れる液状樹脂が、表面の内側の部分から表面の周端部に向かう際には、液状樹脂は、段差を乗り越えて流れることになる。このため、基材本体部の表面の周端部から基材本体部の端面に向かって流れる液状樹脂の勢いを弱くすることができ、基材本体部の端面と成形型との間に液状樹脂が侵入する事態を抑制することができる。
本発明によれば、基材端面に樹脂部材が付着する事態を抑制することができる。
本発明の一実施形態におけるドアグリップを備えるドアトリムを示す正面図 図1のドアトリムにおいて内装部品30を取り外した状態の図 グリップベースを車室内側から視た斜視図 グリップベースを車室内側から視た正面図 グリップベースを車室外側から視た図 ドアグリップを示す断面図(図4のVI−VI線で切断した図に対応) ドアグリップを示す断面図(図4のVII−VII線で切断した図に対応) 図7のグリップベースにおいて左側の側端部付近を拡大して示す図 成形型に基材を配置した状態を示す断面図 成形空間に液状樹脂を射出した状態を示す断面図 成形空間に液状樹脂が充填された状態を示す断面図 比較例のグリップベースの側端部付近を示す断面図 比較例のグリップベースにおいて基材端面に表皮材の一部が付着した状態を示す断面図
本発明の一実施形態を図1から図13によって説明する。本実施形態では、車両(乗物)に設けられた把持部材として、車両用のドアトリム20が備えるドアグリップ40を例示する。ドアトリム20は、ドアパネル(図6にドアパネルのインナパネル11を示す)と共に車両用のドアを構成するもので、図1に示すように、板状をなすトリム本体部21を備える。トリム本体部21は、アッパーボード22と、ロアボード23と、オーナメント24とを備える。オーナメント24は、アッパーボード22とロアボード23の間に配されている。また、ドアトリム20は、インサイドハンドル25、アームレスト26、スイッチベース27等を備える。また、ドアトリム20は、正面視において略L字状をなす板状の内装部品30を備える。内装部品30は、車両前後方向に沿って延びる延設部31と、延設部31の車両前端から上方に向かって延びるグリップカバー部39と、を備える。グリップカバー部39はドアグリップ40の一部を構成するものとされる。
ドアグリップ40は、長手状をなし、車両前方から車両後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びている。ドアグリップ40は、インサイドハンドル25及びスイッチベース27の車両前方に配され、オーナメント24とロアボード23の上部に跨る形で延びている。ドアグリップ40は、その上下両端部において、トリム本体部21及びインナパネル11に対してそれぞれ取り付けられている。ドアグリップ40は、グリップベース50(図1では破線で図示)と、グリップベース50を車室内側から覆うグリップカバー部39と、を備える中空状の部材である。
また、内装部品30の延設部31は、ロアボード23を車室内側から覆う構成となっており、ロアボード23において延設部31と対向する対向部分23A(図2参照)には、延設部31を取り付けるための取付孔23Bが複数個貫通形成されている。また、図2に示すように、グリップベース50における車両後端部と対向部分23Aの上端部の双方に跨る形で略L字状をなすブラケット34が設けられている。グリップベース50における車両後端部と、グリップカバー部39における車両後端部は、ブラケット34を介して結合されている。
グリップベース50は、ドアグリップ40における車室外側部分を主に構成するものとされる。グリップベース50は、図4に示すように、車両後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びる長手状をなしている。グリップベース50は、図7に示すように、基材51と、表皮材71(樹脂部材)と、を備える。基材51は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂によって構成されている。基材51は、板状の基材本体部52と、取付ボス53(図3参照)と、クリップ座54(図5参照)と、を備える。基材本体部52は、図7に示すように、湾曲した板状をなし、車室内側に開口されている。
取付ボス53は、図3及び図4に示すように、基材本体部52の車室内側の面に一体的に形成され、図6に示すように、ブラケット34に締結されている。なお、ブラケット34には、取付孔34Dが貫通形成されており、この取付孔34Dには、グリップカバー部39が有する係止爪39Dが取り付けられている。また、クリップ座54は、基材本体部52の車室外側の面52A(基材本体部の表面)に一体的に形成され、車室外側に突出する形状をなしている。クリップ座54はクリップ54Aを介してインナパネル11(ドアパネル)に取り付けられている。
また、図5に示すように、基材本体部52の車室外側の面52Aにおいて、各クリップ座54と隣接する箇所には、取付ボス57がそれぞれ形成されている。上側の取付ボス57は、例えば、オーナメント24に締結され、下側の取付ボス57は、例えば、ロアボード23に締結されている。つまり、グリップベース50は、その上下両端部において、トリム本体部21及びインナパネル11に対してそれぞれ取り付けられている。
表皮材71は、基材51に比べて柔軟性が高い軟質材(例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー)によって構成されている。図6に示すように、表皮材71は、基材本体部52の車室外側の面52Aを覆う形で配されている。ドアグリップ40の長手方向における中央部は、乗員が把持することが可能な把持部41とされる。表皮材71は、把持部41の車室外側の面41A(把持部の表面)を構成するものとされる。図6に示すように、把持部41の車室外側の面41Aと、トリム本体部21の車室内側の面との間には乗員が手指を挿入することが可能な空間S1が設けられている。また、図5に示すように、車室外側の面41Aにはドアグリップ40の延設方向に対して傾斜する方向の延びる複数の溝部42が形成されている。
基材本体部52において、車両前後方向(図7の左右方向)における両側の側端部55,55の各々は、図7に示すように、基材本体部52において側端部55よりも内側の部分56に比べて、表皮材71側に張り出している。このため、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部のうち、側端部付近の周端部を周端部52B(基材本体部の表面における周端部)、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52Bよりも内側の部分を内側の部分52Dとした場合、周端部52B及び内側の部分52Dは、周端部52Bが内側の部分52Dよりも表皮材71側に位置する段差状をなしている。
そして、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52Bには、表皮材71側に突出する突起部58(図8参照)が設けられている。図5に示すように、表皮材71は把持部41に対応する箇所に設けられており、突起部58は、周端部52Bにおいて表皮材71と重なる箇所に配されている。つまり、突起部58は周端部52B(ひいては基材本体部52の側端部)に沿って延びている。なお、突起部58は、基材本体部52の各側端部にそれぞれ設けられている。突起部58は、図8に示すように、基材本体部52の端面52Eと平行状をなす第1の面58Aと、第1の面58Aに対して交差する第2の面58Bとを有する。
表皮材71は、基材本体部52の車室外側の面52Aに倣う形状をなしている。つまり、表皮材71は、段差部52F(周端部52Bと内側の部分52Dからなる段差部)に倣う段差部72を有する。また、図7に示すように、表皮材71における一方の側端部73は、グリップカバー部39における一方の側端部39Aと隣接されている。また、表皮材71における他方の側端部74は、ブラケット34における一方の側端部34Aと隣接されている。
なお、図7に示すように、表皮材71の側端部73及びグリップカバー部39の側端部39Aの境界付近においては、グリップカバー部39の表面39Bが、表皮材71の表面73Aに対して、グリップベース50の中心側に配されている。つまり、表面39Bと表面73Aは段差である。また、表皮材71の側端部74及びブラケット34の側端部34Aの境界付近においては、ブラケット34の表面34Bが、表皮材71の表面74Aに対して、グリップベース50の中心側に配されている。つまり、表面34Bと表面74Aは段差である。また、図8に示すように、表皮材71の表面73Aは、突起部58と重なる箇所(側端部73付近)においては、平坦な面となっており、突起部58の形状に追従しない形状となっている。
次に、グリップベース50の製造方法について説明する。グリップベース50の製造方法は、基材51を射出成形によって成形する基材成形工程と、基材51に対して表皮材71を二色成形する表皮材成形工程とを備える。表皮材成形工程では、図9に示すように、グリップベース50の形状に倣う成形面を有する一対の成形型81,82のうち、一方の成形型81の成形面81A上に基材51を載置する。この状態では、基材本体部52の車室外側の面52Aと、他方の成形型82の成形面82Aの間に表皮材71を成形するための成形空間S2が形成されている。
次に、図10に示すように、成形空間S2に対して溶融樹脂12(液状樹脂)を射出する。成形空間S2に対して溶融樹脂12を射出することで、基材本体部52の車室外側の面52Aに沿って溶融樹脂12が流れ、段差部52F(周端部52B及び内側の部分52Dからなる段差部)を乗り越え、周端部52Bに向かう。そして、図11に示すように、成形空間S2に溶融樹脂12が充填し、充填された溶融樹脂12が冷却固化することで、表皮材71となる。これにより、表皮材71が基材51と一体的に形成されることで、グリップベース50が完成する。
次に、本実施形態の効果について説明する。表皮材71を射出成形(二色成形)によって成形する場合には、基材本体部52と成形型82によって構成された成形空間S2に対して、液状樹脂を充填する。その後、成形空間S2内の液状樹脂が固化することで表皮材71となる。表皮材71を構成する液状樹脂を成形空間S2に充填させる過程では、液状樹脂が基材本体部52の車室内側の面52A(表面)に沿って流れる。上記構成によれば、基材本体部52の車室外側の面における周端部52Bに突起部58が設けられている。
このような構成とすれば、基材本体部52の車室内側の面52Aに沿って流れる液状樹脂が、突起部58を乗り越えて流れることになり、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52B側から基材本体部52の端面52Eに向かって流れる液状樹脂の勢いを弱くすることができる。
仮に、基材本体部52に突起部58が設けられていない構成では、図12に示すように、溶融樹脂12が周端部52B付近に充填された後、図13に示すように、溶融樹脂12が基材本体部52の端面52Eと成形型81の成形面81Aとの間に侵入する事態が懸念される。端面52Eと成形面81Aとの間に侵入した溶融樹脂12が固化すると、表皮材71の一部172が基材本体部52の端面52Eに付着した状態で成形されてしまう。基材本体部52の端面52Eに表皮材71の一部172が付着すると、この一部172が、グリップカバー部39の端面39E(図8参照)やブラケット34の端面と干渉する事態が懸念される。つまり、端面52Eに表皮材71の一部172が付着すると、グリップカバー50の端末の寸法精度が低下する。
これに対して、本実施形態においては、突起部58を備えることで、基材本体部52の端面52Eと成形型82との間に液状樹脂が侵入する事態を抑制することができ、基材本体部52の端面52Eに表皮材71の一部が付着した状態で成形される事態を抑制できる。また、溶融樹脂12が基材本体部52の端面52Eと成形型81の成形面81Aとの間に侵入すると、図13に示すように、基材51が成形型81に対してわずかに浮いてしまい、表皮材71の成形精度が低下する場合があるため、突起部58を設けて、溶融樹脂12の侵入を抑制することで、表皮材71の成形精度をより高くすることができる。
また、図10及び図11に示すように、表皮材71成形時には、溶融樹脂12によって突起部58の第1の面58Aに圧力が作用することから、基材本体部52の端面52Eは成形型81側に押し付けられる。このため、端面52Eと成形面81Aとの間に隙間が生じ難くなり、液状樹脂が端面52Eに付着する事態を抑制できる。
また、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52B及び基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52Bよりも内側の部分52Dは、周端部52Bが内側の部分52Dよりも表皮材71側に位置する段差状をなしている。表皮材71を射出成形によって成形する場合において、基材本体部52の車室外側の面52Aに沿って流れる液状樹脂が、車室外側の面52Aの内側の部分52Dから車室外側の面52Aの周端部52Bに向かう際には、液状樹脂は、段差を乗り越えて流れることになる。このため、基材本体部52の車室外側の面52Aにおける周端部52Bから基材本体部52の端面52Eに向かって流れる液状樹脂の勢いを弱くすることができ、基材本体部52の端面52Eと成形型82との間に液状樹脂が侵入する事態を抑制することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、把持部材としてドアグリップを例示したが、これに限定されない。把持部材は、乗員が把持することが可能な部材であればよく、例えばアシストグリップを挙げることができる。
(2)上記実施形態では、樹脂部材としてエラストマーからなる表皮材を例示したがこれに限定されず、樹脂部材の材質は適宜変更可能である。しかしながら、エラストマーのような流動性が高い材料は、射出成形時において、基材の基材本体部52の端面52Eと成形型との間に入り込み易いことから、突起部58を備えることはより好適である。
40…ドアグリップ(把持部材)、41…把持部、41A…把持部41の車室外側の面(把持部の表面)、51…基材、52…基材本体部、52A…基材本体部の車室外側の面(基材本体部の表面)、52B…基材本体部52の車室外側の面における周端部(基材本体部の表面における周端部)、52D…基材本体部52の車室外側の面における側端部よりも内側の部分、58…突起部、71…表皮材(樹脂部材)

Claims (2)

  1. 乗物に設けられ、乗員が把持することが可能な把持部を備える把持部材であって、
    板状の基材本体部を備える基材と、
    前記基材本体部の表面を覆う形で配され、前記把持部の表面を構成する樹脂部材と、を備え、
    前記基材本体部の前記表面における周端部には、前記樹脂部材側に突出する突起部が設けられている把持部材。
  2. 前記基材本体部の前記表面における前記周端部及び前記基材本体部の前記表面における前記周端部よりも内側の部分は、前記周端部が前記内側の部分よりも前記樹脂部材側に位置する段差状をなしている請求項1に記載の把持部材。
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