JP2020065490A - Lps高含有組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】農産物等から効率よくリポポリサッカライド(LPS)を得る技術を提供する。【解決手段】植物素材の微生物発酵物を活性炭カラムに通し、エタノール及び/又は含水エタノールで溶出することにより、リポポリサッカライド(LPS)を高含有に含む組成物を得る。植物素材の微生物発酵物は、酵母及び/又は麹菌による発酵物であることが好ましい。また、植物素材はブドウ及び/又は米であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、リポポリサッカライドを含有するLPS高含有組成物の製造方法に関する。
リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide、以下「LPS」とも称する。)やその構成部分であるリピドAは、従来、細菌由来のエンドトキシンとして知られていた。すなわち、ヒトや動物において強力な炎症応答を引き起こして、例えば敗血症などの重篤な疾病の発症に関与することが知られていた。
近年、LPSによる免疫賦活作用など、生体に有益な機能性の側面が注目されている。例えば、非特許文献1には、小麦粉から単離され、特徴づけられたLPSが、マウスにおける1型糖尿病の発生率に対して抑制効果を発揮したことが記載されている。また、非特許文献2には、大腸菌由来のLPSの経口投与により、腸内Toll様受容体4が刺激し、マウスの先天性免疫抵抗性を高めて、抗生物質耐性細菌による感染を防御したことが記載されている。また、非特許文献3には、小麦粉共生菌であるパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)由来のLPSが、ドキソルビシンとの併用により、メラノーマ保有マウスの平均生存期間を延長したことが記載されている。また、非特許文献4には、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)由来のLPSを含有する小麦発酵抽出物の経口投与により、卵巣摘出(OVX)骨粗鬆症マウスモデルの骨密度及び皮質骨の厚さの減少を抑制したことが記載されている。
一方、上記小麦に由来するもの以外にも、農作物等に由来するLPS素材の開発も進められている。例えば、特許文献1には、イネに共生するパントエア・アグロメランスから得られるLPSが記載されている。また、特許文献2には、林檎から単離したグラム陰性細菌(パントエア・バガンス)から得られるLPSが記載されている。また、特許文献3には、米糠を水に浸漬・膨潤する一次工程と90〜100℃で加熱・撹拌する二次工程と、ミキサーで微粒子化して濾過する三次工程からなることを特徴とするLPS含有米糠エキスの製造方法が記載されている。
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特許第5449834号公報 特開2018−44038号公報 特許第6376502号公報
しかしながら、特許文献1,2などのように、イネや林檎等から単離した微生物を培養してLPSを得る方法では、培養中の環境バイアスや製造バッチによる品質の変化等により、経口摂取等する場合の安全面にリスクが皆無とはいえなかった。また、特許文献3などのように一般に食経験豊富な農産物等から直接に抽出すれば、安全面のリスクはより低減されると考えられるが、その一方で抽出効率が悪いという問題があった。
本発明の目的は、農産物等から効率よくLPSを得る技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究した結果、一般に食経験豊富な農産物として知られる赤ワインや酒粕等を基原として、これを活性炭カラムに通し、エタノールもしくは含水エタノールで溶出させることにより、LPSを高含有に含む組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、植物素材の微生物発酵物を活性炭カラムに通し、エタノール及び/又は含水エタノールで溶出することを特徴とするLPS高含有組成物の製造方法を提供するものである。
上記製造方法においては、前記微生物発酵物が酵母及び/又は麹菌による発酵物であることが好ましい。
また、上記製造方法においては、前記植物素材はブドウ及び/又は米であることが好ましい。
また、上記製造方法においては、前記エタノール及び/又は含水エタノールは、該エタノール含有量が40〜100質量%であることが好ましい。
また、上記製造方法においては、前記微生物発酵物は、前記植物素材を微生物発酵させた後、その残渣物を再度微生物発酵させ、その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものであることが好ましい。
また、上記製造方法においては、前記微生物発酵物は、ワイン醸造の際のブドウ搾りかすを再度酵母で発酵させ、その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものであることが好ましい。
また、上記製造方法においては、前記活性炭カラムに通す前の固形分換算LPS濃度に比して、5倍以上の固形分換算濃度でLPSを含む組成物を得ることが好ましい。
また、上記製造方法においては、LPSを固形分濃度換算で5000ng/g以上含む組成物を得ることが好ましい。
本発明によれば、植物素材の微生物発酵物を基原として、これを活性炭カラムに通し、エタノールもしくは含水エタノールで溶出させるだけで、LPSを高含有に含む組成物が得られるので、免疫賦活作用など、生体に有益な機能性を有するLPS素材を、簡便に、コスト安く提供することができる。
本発明の目的物であるリポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)は、当業者に周知の物質である。すなわち、グラム陰性細菌の膜壁構造のうちの外膜の構成成分であり、脂質二重層に埋め込まれる脂質部を有するリピドAと、そのリピドAから外膜の外側方向に連なるコア多糖と、そのコア多糖から更に外膜の外側方向の遠位に連なるO側鎖多糖とからなる。リピドAは、グルコサミンの2量体を骨格(β−1,6−ジグルコサミン骨格)とし、通常はそれぞれのグルコサミンの1位と4’位の水酸基に1つずつリン酸残基を有し、更に2位と2’位のアミノ基と3位と3’位の水酸基に、それぞれに脂肪酸が結合している。その脂肪酸は、β位に水酸基をもつ中鎖飽和脂肪酸であり、更にその脂肪酸のβ位の水酸基にも脂肪酸が結合しており、通常、グルコサミンの2量体骨格に対して脂肪酸が6個程度結合している。
本発明においては、その第1の着想は、植物素材の微生物発酵物を基原としてLPSを得ようとするものである。すなわち、例えば赤ワインは、黒ブドウや赤ブドウを原料にして酵母によりアルコール発酵させて得られるが、後述する実施例に示すとおり、赤ワインやその醸造の際のブドウ搾りかすにはLPSが豊富に含まれている。また、米を原料にして麹菌や酵母で発酵されてなる酒粕についても同様に、LPSが豊富に含まれている。
これは、ブドウ、米等の植物素材には、それに付着している常在菌のなかにLPSを産生するものが生育しており、微生物発酵の過程でその活性が高められて、LPSを豊富に産生するようになるからであると考えられる。よって、植物素材としては、一般に食品として適性のある農産物等の植物素材であればよく、ブドウや米に限られない。典型的に、例えば大豆、さつまいも、じゃがいも、サトウキビ、乳(牛乳、馬乳)、リンゴ等が挙げられる。また、発酵用微生物についても同様であり、上記した酵母や麹菌が典型的ではあるが、その属種等の種類に制限はなく、酵母や麹菌以外の微生物(乳酸菌、酢酸菌、酪酸菌、糖化菌等)による発酵物であってもよい。また、2種以上の微生物による共発酵物であってもよい。なお、赤ワインは果実をその果皮や種子ごと原料にしているので、一般に果皮や種子は除いて原料にしている白ワインに比べて、果皮や種子に付着している常在菌に由来するLPS産生能が高くなるものと考えられる。よって、LPSの基原として用いる微生物発酵物として、より好ましい。
本発明の好ましい態様においては、LPSの基原として用いる微生物発酵物は、植物素材を微生物発酵させた後、その残渣物を再度微生物発酵させ、その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものを用いる。例えば、より具体的には、ワイン醸造の際のブドウ搾りかすに、必要な水、酵母、糖分等を加えたうえ、蒸気により撹拌しながら30〜40℃に加温して発酵させることにより、再度の発酵工程を行うことができる。発酵後には、約90℃まで加温して加熱殺菌してもよい。その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものである。この態様によれば、植物素材に付着している常在菌のなかにLPSを産生するものが生育しており再度繰り返される微生物発酵の過程でその活性がより高められて、LPSを豊富に産生するようになる。
本発明においては、その第2の着想は、LPSを夾雑物から分離するため活性炭カラムを用いるというものである。すなわち、植物素材の微生物発酵物を基原としてLPSを得ようとする場合、その発酵物に含まれる夾雑物の除去が問題となるが、後述する実施例に示すとおり、植物素材の微生物発酵物を活性炭カラムに通し、エタノールもしくは含水エタノールで溶出させるだけで、LPSを高含有に含む組成物が得られる。ここで含水エタノールの場合、そのエタノール濃度は、20質量%100質量%未満であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることが最も好ましい。上記範囲を外れると、活性炭カラムからLPSを溶出させ難くなる傾向となる。なお、エタノールもしくは含水エタノールによる溶出であれば、特別な規制を受けることなく、健康食品等の経口摂取用の素材として利用することが可能である。
植物素材の微生物発酵物の活性炭カラムへの通液量としては、基原として用いる植物素材の種類や発酵用微生物の種類、あるいはカラム設置条件等によっても異なり、一概ではないが、典型的には、例えば活性炭カラムの容量に対して300〜1500倍量を通液することが好ましく、800〜1200倍量を通液することがより好ましい。植物素材の微生物発酵物は、必要に応じて、膜ろ過や遠心分離等の固液分離手段により、その固部を除いた液部を採取してから活性炭カラムに供してもよい。また、上記した酒粕等、固形のものは、適宜適当な抽出溶媒でその抽出液を調製したうえ、必要に応じてフィルターろ過にかけ、上記微生物発酵物として活性炭カラムに供してもよい。溶出溶媒の通液溶出量としては、上記同様、一概ではないが、典型的には、例えば活性炭カラムの容量に対して2〜10倍量を通液することが好ましく、3〜5倍量を通液することがより好ましい。上記した活性炭カラムへの通液や溶出の際の温度条件としては、特に制限はなく、典型的には20〜30℃程度の温度条件であればよく、室温で行うこともできる。
カラムからの溶出物(液体)は、必要に応じてろ過したり、溶媒を減圧留去したり、濃縮したり、乾燥したり、また、乾燥後に粉砕したり、微粒子化したり、造粒したり、粉末化したりしてもよく、溶出後の処理に特に制限はない。例えばスプレードライにより乾燥・粉末化することができる。より具体的には、スプレードライ後に、篩にかけ、水分含量10質量%以下、より好ましくは水分含量8%質量以下の粉体を調製することができる。粉体は、例えば、全体の80質量%以上がJIS規格による標準篩を用いて60メッシュ(目開き250μm)をパスする粉末の形態に調製することが好ましく、全体の90質量%以上がJIS規格による標準篩を用いて60メッシュ(目開き250μm)をパスする粉末の形態に調製することがより好ましい。このような粉末形態によれば、保存安定性が良く、他の素材と配合する場合にも調合しやすい。また、必要に応じてLPSを更に分画・精製してもよい。分画・精製の手段としては、ポリスチレン樹脂、ODS、ゲル濾過・サイズ排除カラム等を用いたカラムクロマトグラフィーを好ましく例示することができる。
以上に説明したようにして、LPSを高含有に含有する組成物を得ることができる。そのLPS含量としては、基原として用いる植物素材の種類や発酵用微生物の種類、あるいは溶出条件等によっても異なり、一概ではないが、典型的には、例えばLPSを固形分濃度換算で5000ng/g以上含む組成物を得ることができる。より好ましくは、LPSを固形分濃度換算で9000ng/g以上含む組成物を得ることができ、更により好ましくは、LPSを固形分濃度換算で11000ng/g以上含む組成物を得ることができる。また、LPS濃縮の程度としてみたとき、活性炭カラムに通す前の固形分換算LPS濃度に比して、5倍以上の固形分換算濃度でLPSを含む組成物を得ることができる。より好ましくは、8倍以上の濃度で含む組成物を得ることができ、更により好ましくは、10倍以上の濃度で含む組成物を得ることができる。なお、LPSの濃度は、公知のHPLC分析により、別途標準品により求めた検量線にあてはめて定量する方法などにより求めることができる。あるいは、カブトガニ血球抽出溶解液に対するゲル化能を利用した比濁時間分析やエンドポイントアッセイによる蛍光定量等により行うことができる。
本発明によるLPS高含有組成物は、LPSを豊富に含有するので、生体への様々な有益な効果が期待できる。よって例えば、健康食品、サプリメント、栄養補助食品、機能性食品、化粧品、医薬品、医薬部外品、動物用健康食品、動物用サプリメント、動物用栄養補助食品、動物用機能性食品、動物用医薬品、動物用医薬部外品など各種の製品形態で、あるいはそれら製品と組み合わせて使用されることが可能である。また、各種の飲食品や動物・魚類用飼料と組み合わせて使用されることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>
調味料用の赤ワインやブドウ発酵物の蒸留酒(グラッパ)に用いられる、ワイン醸造の際のブドウ搾りかすを入手し、常法の赤ワイン醸造の手法に準じて、必要な水、酵母、糖分等を加えたうえ、30000リットル容のタンクで発酵させ、得られたブドウ発酵物を搾汁した後の一次的な搾汁液を、活性炭を充填してなるカラムに通液した。通液後、ブドウ発酵物に含まれる成分(LPSを含む)を吸着したおよそ1200kgの活性炭に対して、エタノール濃度60質量%の含水エタノール(水:エタノール=40:60)を4800リットル通液し、その溶出物およそ5200リットルを得た。これを減圧濃縮し、スプレードライ後、粉砕、篩にかけて、約500kgのブドウ発酵物由来組成物を得た。この組成物は、水分含量3.8質量%で、全体の95質量%以上がJIS規格による標準篩を用いて60メッシュ(目開き250μm)をパスする、粉体状組成物であった。
得られたブドウ発酵物由来組成物につき、LPS含量測定キット(「リムルス ES-II シングルテストワコー」、和光純薬工業株式会社)を使用して、LPS含量を測定した。具体的には、LPSによるLAL試薬(カブトガニ血球抽出溶解液)に対するゲル化能を利用し、ゲル化に伴って生じる濁度を透過光量比として予め設定した閾値に達するまでの時間をゲル化時間Tgとし、そのゲル化時間TgとLPS濃度の関係からLPS濃度を求めた。LPS標準品としては、キット添付の大腸菌由来エンドトキシン(「コントロールスタンダードエンドトキシン(CSE)(E. coli UKT-B)」、和光純薬工業株式会社)を用いた。なお、LPS含量の測定は、上記方法で得られたロット1のブドウ発酵物由来組成物とともに、上記方法で別途調製したロット2のブドウ発酵物由来組成物についても、同様にして行った。
Figure 2020065490
その結果、表1に示すように、ロット1ではLPS含量は固形分濃度換算で11,922ng/gであり、ロット2では19,558ng/gであった。このLPS含量は、別途、比較対照として試験を行った山芋からの抽出エキスのLPS含量がおよそ30ng/g程度であり、それに比べて顕著に含有量が高かった。また、白米の約6倍、およそ530ng/g程度のLPSを含むことを特徴として販売されている「金芽米(登録商標)」(東洋ライス株式会社)(亜糊粉層と胚芽の基底部である金芽を残す精米方法で加工された米)などよりも、有意に含有量が高かった。
<試験例2>
試験例1の結果から、活性炭カラムによりLPSが夾雑物から分離され濃縮されるものと考えられた。そこで、食品に適用可能な吸着剤素材として用いられる活性炭、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びシリカについて、LPS濃縮用としての性能を評価するため、それらをオープンカラムに3g容量で充填して、LPS濃縮用のモデルカラムとした。
試験例1の結果からは、また、植物素材の微生物発酵物にLPSが豊富に含まれていると考えられた。そこで、LPSの基原として、下記の試料1〜3を準備した。
試料1:赤ワインを醸造した際の一次搾汁液
試料2:試料1のワイン醸造の際のブドウ搾りかすを使用して赤ワインを再度醸造した際の一次搾汁液
試料3:酒粕100gにエタノール500mLを加えてミキサーで微粉砕した後、超音波振とう抽出した抽出液に水をおよそ等量加えて1Lに調整した酒粕抽出液
上記モデルカラムにそれぞれの試料1Lを流下させ、更に表2に示す各エタノール濃度の溶出用の溶媒100mLを流下して、その溶出液を採取した。得られた溶出液について減圧濃縮して5mLに調整後、試験例1と同様にして、LPS含量を測定した。
Figure 2020065490
その結果、表2に示すように、PVDやシリカではLPSを含有する溶出液が得られなかった。これに対して、活性炭では、溶出用の溶媒としてエタノール濃度が40質量%の含水エタノール、60質量%の含水エタノール、又は100%エタノールを使用して、LPSを高含有に含有する溶出液が得られた。よって、上記吸着剤素材のうち、LPS濃縮用としては活性炭のみが適していることが明らかとなった。
また、同じ溶出用溶媒を使用した場合の試料1と試料2の結果を比較すると、試料2のほうが試料1より溶出液中のLPS含量が高くなった。これは、試料2が試料1のワイン醸造の際のブドウ搾りかすを使用して赤ワインを再度醸造した際の一次搾汁液であるため、ブドウ搾りかすに生息する常在菌に由来するLPSがより収量良く回収できたためと考えられた。
<試験例3>
試験例2においてLPSの基原とした植物素材の微生物発酵物のLPS含量を調べた。具体的には、酒粕については、活性炭カラムに通す前の酒粕抽出液について、ワイン醸造の際のブドウ搾りかすについては、酒粕と同様にして調製した、そのブドウ搾りかす抽出液について、試験例1と同様にして、LPS含量を測定した。
Figure 2020065490
その結果、表3に示すように、ブドウ搾りかす抽出液中の固形分換算のLPS含量は834ng/g程度、酒粕のLPS含量は314ng/g程度であった。よって、活性炭カラムによる濃縮の程度は、カラムに供する前の固形分換算LPS濃度に比して、少なくとも5倍以上、最大では10倍以上であることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 植物素材の微生物発酵物を活性炭カラムに通し、エタノール及び/又は含水エタノールで溶出することを特徴とするLPS高含有組成物の製造方法。
  2. 前記微生物発酵物が酵母及び/又は麹菌による発酵物である、請求項1記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  3. 前記植物素材はブドウ及び/又は米である、請求項1又は2記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  4. 前記エタノール及び/又は含水エタノールは、該エタノール含有量が40〜100質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  5. 前記微生物発酵物は、前記植物素材を微生物発酵させた後、その残渣物を再度微生物発酵させ、その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  6. 前記微生物発酵物は、ワイン醸造の際のブドウ搾りかすを再度酵母で発酵させ、その再度の発酵工程を1回行うか、あるいは2回以上繰り返して行って得られたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  7. 前記活性炭カラムに通す前の固形分換算LPS濃度に比して、5倍以上の固形分換算濃度でLPSを含む組成物を得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載のLPS高含有組成物の製造方法。
  8. LPSを固形分濃度換算で5000ng/g以上含む組成物を得る、請求項1〜7のいずれか1項に記載のLPS高含有組成物の製造方法。
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