JP2007068476A - 健康食品およびd−キロ−イノシトールを得る方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柑橘類の新しい有効利用の途を開拓し、柑橘類を原料として、D−キロ−イノシトールを高含有する、インスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つ健康食品を提供すること。
【解決手段】柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とする、あるいはインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用をもつことを特徴とする、健康食品。
【選択図】なし
【解決手段】柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とする、あるいはインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用をもつことを特徴とする、健康食品。
【選択図】なし
Description
本発明は、柑橘類または柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とするか、あるいはインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つことを特徴とする、健康食品に関する。さらには、柑橘類または柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経ることを特徴とする、D−キロ−イノシトールの製造方法に関する。
柑橘類には、代表的なものとして、オレンジ、温州みかん、レモン、グレープフルーツ、八朔、夏みかん、イヨカン、柚子、ポンカン、紀州みかん、キンカン、ライムなどがあげられ、それぞれ生食に供されるほかジュースなどに加工されて食されることもある。
柑橘類は、果実数が多くなる年(表年)と少なくなる年(裏年)とが交互におこる隔年結果が顕著であることが知られている。しかし、需要が表年と裏年に合わせて変化することはなく、表年で多く取れた分は、果汁用か缶詰などの加工食品に回されることが多くなる。このため、果汁以外の保存性のよい加工方法が求められている。また、果汁を得たあとの搾汁かすは、畜産飼料などに使用されるが、さらに付加価値の高い用途が求められている。
日本においては、みかんに代表される柑橘類は古くから食用に用いられており、さらにみかんをはじめとする柑橘類の健康増進についていくつかの知見がある。例えば、温州みかんの摂取量と疾病との頻度に関して独立行政法人農業技術研究機構果樹研究所が行った疫学的調査では、温州みかんを毎日摂取しているグループでは糖尿病、高血圧、心臓病、痛風などの有病率が有意に低く、温州みかんの摂取がこれらの生活習慣病に対して予防効果を有する可能性があることを見出したとの結論が得られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、温州みかんエキスを1〜10%含有させたエサを10週間摂取させた糖尿病ラットでは耐糖能と血管障害が改善されることも知見されている(例えば、非特許文献2参照。)。
さらに、ミカン区に属する柑橘類からの抽出液を添加した黒麹菌抽出液、黒麹菌と酵母との共生発酵液が、血圧上昇ならびに血糖値上昇を抑制する効果を示すということも知見されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、シトラス・ウェイスト(柑橘類廃棄物、エタノール製造会社から譲り受けたとの記載がある。)の中に含まれる微量成分の分析についての報告があり、イノシトール異性体9種類の内7種類の異性体が存在し、この中には、D−キロ−イノシトールも含まれていることが報告されている。シトラス・ウェイストの性状は明らかではないが、その報告の記載内容から固体と液体との混合物であると推定されるが、それらのうちの液体成分の中に含まれるD−キロ−イノシトールの含有量は、1.58mg/gであると報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。このD−キロ−イノシトールは、インスリン抵抗性を改善する作用を持ち、インスリン非依存性糖尿病や不妊の一因である多嚢胞性卵巣症候群等に効果がある物質として公知である(例えば、特許文献2参照。)。
さらに柑橘類を発酵させた健康食品としては、下記のものが知られている。
(1)柑橘類搾汁残渣の圧縮汁を濃縮して得られる柑橘糖蜜を脱パルプし、得られた脱パルプ柑橘糖蜜、あるいは柑橘類を搾汁し得られた果汁の少なくともひとつをアルコール発酵処理して得られた発酵産物がある。この発酵産物は、柑橘由来の有効成分を効率的に濃縮したもので、天然由来の食品素材として、食品組成物や栄養組成物の調製に使用できるとされている。該特許によれば、得られた発酵産物には肝機能増強効果のあるエタノールアミンのほか、血圧降下作用のあるγ-アミノ酪酸、血圧降下作用、血中コレステロール値を改善する作用、中性脂肪を低下させる作用および抗アレルギー作用など様々な生理作用を持つヘスペリジン、交感神経興奮作用を有するシネフリン、イノシトールなど種々の成分が含有されており、漢方で用いられる陳皮と同様の効果を持っている。しかし、該特許公報実施例1に記載されているように、種々の有用性分の減少を避けるため発酵を途中で止めているので、一般には糖尿病の危険因子と捉えられるブドウ糖およびショ糖が十分量残ってしまう(特許文献3参照。)。
(2)(1)と同様に、ヘスペリジンやナリンギンを含有する柑橘属発酵物も知られている。柑橘属果実から果汁を搾汁した後の搾汁残渣を原料とし、アスペルギルス属黒麹菌を用いて微生物発酵処理することにより得られるが、これもまた完全な発酵を行わないことが好ましいというものである(例えば、特許文献4参照。)。
(3)また、柑橘類外皮を含む発酵物として、外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させたことを特徴とする発酵物も知られている。該発酵物は、リパーゼ阻害作用、血液浄化作用、便通改善作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用が高められたものである(例えば、特許文献5参照。)。
(1)柑橘類搾汁残渣の圧縮汁を濃縮して得られる柑橘糖蜜を脱パルプし、得られた脱パルプ柑橘糖蜜、あるいは柑橘類を搾汁し得られた果汁の少なくともひとつをアルコール発酵処理して得られた発酵産物がある。この発酵産物は、柑橘由来の有効成分を効率的に濃縮したもので、天然由来の食品素材として、食品組成物や栄養組成物の調製に使用できるとされている。該特許によれば、得られた発酵産物には肝機能増強効果のあるエタノールアミンのほか、血圧降下作用のあるγ-アミノ酪酸、血圧降下作用、血中コレステロール値を改善する作用、中性脂肪を低下させる作用および抗アレルギー作用など様々な生理作用を持つヘスペリジン、交感神経興奮作用を有するシネフリン、イノシトールなど種々の成分が含有されており、漢方で用いられる陳皮と同様の効果を持っている。しかし、該特許公報実施例1に記載されているように、種々の有用性分の減少を避けるため発酵を途中で止めているので、一般には糖尿病の危険因子と捉えられるブドウ糖およびショ糖が十分量残ってしまう(特許文献3参照。)。
(2)(1)と同様に、ヘスペリジンやナリンギンを含有する柑橘属発酵物も知られている。柑橘属果実から果汁を搾汁した後の搾汁残渣を原料とし、アスペルギルス属黒麹菌を用いて微生物発酵処理することにより得られるが、これもまた完全な発酵を行わないことが好ましいというものである(例えば、特許文献4参照。)。
(3)また、柑橘類外皮を含む発酵物として、外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させたことを特徴とする発酵物も知られている。該発酵物は、リパーゼ阻害作用、血液浄化作用、便通改善作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用が高められたものである(例えば、特許文献5参照。)。
このように柑橘類を原料とした健康食品にはいくつかの知見がある。しかし、柑橘類や柑橘類の搾汁かすを原料としたD−キロ−イノシトールを高含有する健康食品や、柑橘類や柑橘類の搾汁かすを原料としたインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用に注目した健康食品はない。また柑橘類を原料として発酵過程を経て、柑橘類由来のD−キロ−イノシトールを得る方法についても、知見されていない。
特開2001−224329号公報
国際公開第90/10439号パンフレット
特開2002−153231号公報
特開2003−102430号公報
特開2004−189718号公報
杉浦 実、外2名、「ウンシュウミカンの摂取頻度と健康に関する疫学的解析」、全文、[online]、2001年、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構果樹研究所、 [平成15年11月25日検索]、インターネット<URL:http://www.fruit.affrc.go.jp/announcements/ronbun/mikankouka01.html>
「日本栄養・食糧学会総会講演要旨集」, 1999年, 第53巻 , p.36
「ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリー(Journal of Agricultural and Food Chemistry)」,(米国), 2000年, 第48巻, p.2843−2847
以上のように、柑橘類については、多くの研究が先行しているが、柑橘類には、さらなる保存性のよい加工方法および高付加価値の用途が求められている。また、一方、糖尿病の予防や改善に有効な健康食品が求められている。本発明は、このような課題を解決するため、柑橘類の新しい有効利用の途を開拓し、柑橘類を原料として、D−キロ−イノシトールを高含有するインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つ健康食品を全く新規に提供することを目的とする。
本発明者らは、柑橘類を原料とした発酵食品について、その作用・機能を鋭意研究した。その結果、柑橘類を原料として発酵工程を経て作成される健康食品であってD−キロ−イノシトールを高含有する健康食品、そしてインスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つことを特徴とする健康食品を獲得するに至った。ここで、D−キロ−イノシトールを高含有する健康食品とは、含有されるD−キロ−イノシトールの含有量が飲み物の形態の場合は、0.1〜100g/リットル、固体形態の場合は、0.0001〜0.1g/g、カプセルや錠剤形態の場合は、0.01〜0.95g/gである健康食品であり、そしてより好ましい含有量は、飲み物の形態の場合は、0.2〜50g/リットル、固体形態の場合は、0.0002〜0.05g/g、カプセルや錠剤形態の場合は、0.02〜0.95g/gである。
本発明は要約すると以下のとおりである。
(1)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とする、健康食品。
(2)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、インスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つことを特徴とする、健康食品。
(3)酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトール含有量以下に低減させる工程を経て得られることを特徴とする、(1)または(2)に記載の健康食品。
(4)発酵工程に用いる菌が酵母であり、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て製造され、かつアルコール濃度が1%以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の健康食品。
(5)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として、D−キロ−イノシトールを資化しない菌を用いて発酵を行い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て、さらに固液分離を行い、分離された液体成分を脱イオン化することを特徴とする、D−キロ−イノシトールの製造方法。
(6)酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用いることを特徴とする、(5)に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
(7)発酵工程に用いる菌が、酵母であることを特徴とする、(5)に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
(1)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とする、健康食品。
(2)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、インスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つことを特徴とする、健康食品。
(3)酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトール含有量以下に低減させる工程を経て得られることを特徴とする、(1)または(2)に記載の健康食品。
(4)発酵工程に用いる菌が酵母であり、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て製造され、かつアルコール濃度が1%以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の健康食品。
(5)柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として、D−キロ−イノシトールを資化しない菌を用いて発酵を行い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て、さらに固液分離を行い、分離された液体成分を脱イオン化することを特徴とする、D−キロ−イノシトールの製造方法。
(6)酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用いることを特徴とする、(5)に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
(7)発酵工程に用いる菌が、酵母であることを特徴とする、(5)に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
本発明によれば、古くから食品として親しまれてきた柑橘類や柑橘類の加工食品を製造した後のかすを主原料として発酵工程を経て作成される健康食品であってD−キロ−イノシトールを高含有し、インスリン抵抗性改善作用および/また血糖値低下作用を持つ健康食品が提供される。また、柑橘類由来のD−キロ−イノシトールが得られる。
以下に、本発明に係る健康食品をさらに詳細に説明する。まず、本発明に係る健康食品は、原料を柑橘類としている。原料の柑橘類としては、一般に食用に供されているものであって柑橘類に分類されるものはすべて使用できる。柑橘類は種類も多く、品種改良も盛んに行われているためすべてを記載することは出来ないが、代表的なものとして、オレンジ、温州みかん、レモン、グレープフルーツ、八朔、夏みかん、イヨカン、柚子、ポンカン、紀州みかん、キンカン、ライムなどがあげられる。
さらに、本発明に係る健康食品は、柑橘類を原料として、発酵工程を経て製造される。発酵に用いる菌は、食用として使用できるものはすべて使用できるが、例示を行えば、酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌、酢酸菌などがあげられる。発酵条件は、通常知られている、その菌に適した条件を用いればよい。菌の培養条件は、菌の種類によって異なるが、例えば通気条件や微通気条件で、10〜40℃、攪拌もしくは静置培養などが一般的な条件といえる。培養操作はブドウ糖、ショ糖および果糖の合計含有量がD−キロ−イノシトールの含有量以下となり、自然に発酵が終了するまで行う。
発酵させる柑橘類原料は、単に柑橘類をつぶしただけの固液混合の状態でもよいが、液状のものが好適である。果汁を用いる場合は、搾汁した果汁をそのまま使用することができる。一方、搾汁かすを用いる場合は、搾汁かすを水につけ、可溶性成分を溶け出させた溶液を固液分離したものが好適である。また、可溶性成分を溶け出させる際に、殺菌を兼ねた加熱処理を行うことも好適である。また、水以外のもの、例えばアルコールで抽出した成分を発酵原料としてもよいものである。
上記の発酵工程で得られた発酵物をそのまま、健康食品とすることもできる。また、アルコール発酵を行った場合は、加熱や減圧、膜分離などによりアルコールを除去することが望ましい。さらに、濃縮や乾燥操作を行った後錠剤型などに加工してもよい。
発酵に用いた菌体は、食用できる菌体であれば取り除く必要はない。前記の菌のうち、酵母菌体は健康食品として一般に知られており、そのまま摂取することによりプラスアルファの効果も期待できる。しかし、食感、食味などに配慮し、ろ過や遠心分離などにより菌体などの固形物を適宜除去してもよい。通常の精製法、例えばイオン交換樹脂による精製、膜分離、クロマト分離、晶析、凍結分離などにより精製を行ってもよい。
クロマト分離、晶析、凍結分離などを行うと、D−キロ−イノシトールと、D−キロ−イノシトールに性質のよく似たミオ−イノシトールとを分けることができる。発酵物を精製する方法と、D−キロ−イノシトールとミオ−イノシトールとを分ける方法の1つ以上とを組み合わせることにより、柑橘類由来のD−キロ−イノシトールを得ることができる。
本発明において提供される健康食品は、そのまま飲用してもよく、濃縮などにより固形化、もしくはカプセル型、錠剤型の食品としてもよい。その際、フィルムコーティング、ゼラチンやセラックのコーティングをしてもよい。また、前記健康食品は、味を整え飲食しやすくするために調味料などの種々の成分、例えばクエン酸などを加えてもよいが、甘味料を加える際には、血糖値を上げない種類の甘味料、例えば、キシリトールやフルクトースなどの甘味料を加えることが望ましい。なお、食品的に許容される他の食材、防腐剤、増粘剤、着色料、酸化防止剤その他添加剤を加えることもできる。また、他の食品と合わせて摂取してもよい。
後述するように、本発明に係る健康食品中には、柑橘類発酵物に由来する液状物および粉状物が含まれる。ここで、製品としての健康食品中には、このような発酵物に由来する成分が、濃縮させていない液体を基準として、2%以上含まれることが好ましい。また、使用する原料により好適な量は異なるが、温州みかん果汁を原料に用いた発酵物を例に取れば、このような液体量をベースとして、体重1kg当たり0.5〜10mlの摂取が好適である。
ここで、発明に係る健康食品の具体的形態を、さらに健康食品およびD−キロ−イノシトールの製造方法も含めて以下に列挙する。
なお、本明細書の記載および特許請求の範囲の記載で、%で表示されるものは特に断りのない限り重量%である。
(1)健康食品(形態1、果汁発酵タイプのもの)
柑橘類より得られた果汁に、酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ろ過分離等の分離操作により、固液を分離し、液体成分を含有アルコール量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、果汁発酵タイプの液状の健康食品を製造する。
(2)健康食品(形態2、搾汁かす抽出液発酵タイプのもの)
柑橘類搾汁かすを細かく砕き、水を加え可溶性画分を抽出する。得られた可溶性画分に酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ろ過分離などの分離操作により、固液を分離し、含有アルコール量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、柑橘類搾汁かす抽出液発酵タイプの液状の健康食品を製造する。また、さらに水分を蒸発させ、濃縮しカプセルにいれてもよい。
(3)健康食品(形態3、個体タイプのもの)
柑橘類搾汁かすを細かく砕き、水を加え、そのまま、酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ミキサーにかけてヨーグルト状にする。これを濃縮し、デキストリンを添加し、固体状にした健康食品を製造する。
(4)健康食品(形態4、精製タイプのもの)
タンパク質などの不純物の除去を行い、呈味を少なくし、健康食品を製造する。不純物の除去は、イオン交換樹脂を用いた。例えば、形態2の健康食品を強酸性陽イオン交換樹脂を充填したカラムに通過させ、その後このカラムにイオン交換水を通過させて洗浄する。この通過液および洗浄液を、強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通過させ、その後このカラムにイオン交換水を通過させて洗浄した。得られた通過液および水洗浄液を減圧下で濃縮し、D−キロ−イノシトールの含有割合が増加した健康食品を製造することができる。
(5)柑橘由来のD−キロ−イノシトールの製造
形態4の健康食品を強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムにアプライし、その後このカラムにイオン交換水を通液させて、分画を行う。D−キロ−イノシトールの画分を集めることにより、柑橘由来のD−キロ−イノシトールを得ることができる。
柑橘類より得られた果汁に、酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ろ過分離等の分離操作により、固液を分離し、液体成分を含有アルコール量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、果汁発酵タイプの液状の健康食品を製造する。
(2)健康食品(形態2、搾汁かす抽出液発酵タイプのもの)
柑橘類搾汁かすを細かく砕き、水を加え可溶性画分を抽出する。得られた可溶性画分に酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ろ過分離などの分離操作により、固液を分離し、含有アルコール量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、柑橘類搾汁かす抽出液発酵タイプの液状の健康食品を製造する。また、さらに水分を蒸発させ、濃縮しカプセルにいれてもよい。
(3)健康食品(形態3、個体タイプのもの)
柑橘類搾汁かすを細かく砕き、水を加え、そのまま、酵母を植菌し、よく攪拌しながら培養する。培養後、ミキサーにかけてヨーグルト状にする。これを濃縮し、デキストリンを添加し、固体状にした健康食品を製造する。
(4)健康食品(形態4、精製タイプのもの)
タンパク質などの不純物の除去を行い、呈味を少なくし、健康食品を製造する。不純物の除去は、イオン交換樹脂を用いた。例えば、形態2の健康食品を強酸性陽イオン交換樹脂を充填したカラムに通過させ、その後このカラムにイオン交換水を通過させて洗浄する。この通過液および洗浄液を、強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通過させ、その後このカラムにイオン交換水を通過させて洗浄した。得られた通過液および水洗浄液を減圧下で濃縮し、D−キロ−イノシトールの含有割合が増加した健康食品を製造することができる。
(5)柑橘由来のD−キロ−イノシトールの製造
形態4の健康食品を強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムにアプライし、その後このカラムにイオン交換水を通液させて、分画を行う。D−キロ−イノシトールの画分を集めることにより、柑橘由来のD−キロ−イノシトールを得ることができる。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例において、発酵工程の培養液、得られた健康食品およびD−キロ−イノシトールは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。高速液体クロマトグラフィーの分析条件は次の通りである。
カラム:Wakosil 5NH2(4.6×250mm)
カラム温度:40℃
検出器:RI DETECTER RI−1530(日本分光株式会社)
注入量:20μl
溶媒:アセトニトリル−水=4:1
流量:2ml/min
なお、本実施例において、発酵工程の培養液、得られた健康食品およびD−キロ−イノシトールは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。高速液体クロマトグラフィーの分析条件は次の通りである。
カラム:Wakosil 5NH2(4.6×250mm)
カラム温度:40℃
検出器:RI DETECTER RI−1530(日本分光株式会社)
注入量:20μl
溶媒:アセトニトリル−水=4:1
流量:2ml/min
オレンジ果汁を原料とした健康食品(形態1)の製造
オレンジ果実20個(全量約4kg)を半分に切り、約1Lの果汁を搾り取った。
オレンジ果汁1Lに、酵母を植菌し、よく撹拌しながら30℃でブドウ糖、ショ糖、果糖が資化されるまで3日間培養した。ブドウ糖、ショ糖、果糖が資化されていることは、高速液体クロマトグラフィーで確認した。3日間培養後、90℃の湯浴で培養液からアルコール含量が1%以下となるまでアルコール分を蒸発させ、オレンジ果汁を原料とした液状の健康食品約500mlを製造した。
オレンジ果実20個(全量約4kg)を半分に切り、約1Lの果汁を搾り取った。
オレンジ果汁1Lに、酵母を植菌し、よく撹拌しながら30℃でブドウ糖、ショ糖、果糖が資化されるまで3日間培養した。ブドウ糖、ショ糖、果糖が資化されていることは、高速液体クロマトグラフィーで確認した。3日間培養後、90℃の湯浴で培養液からアルコール含量が1%以下となるまでアルコール分を蒸発させ、オレンジ果汁を原料とした液状の健康食品約500mlを製造した。
オレンジ果汁からのD−キロ−イノシトールに富んだ健康食品(形態4)の製造
実施例1の工程により製造した健康食品250mlを遠心し、菌体などの不溶物を除去した後、得られた上清について活性炭処理、陰イオン交換樹脂処理および陽イオン交換樹脂処理を順次行った。その結果、D−キロ−イノシトールに富んだ粗精製画分約1gを得た。その画分中のイノシトール類成分量は、イノシトール類合計で77%であり、その内訳はD−キロ−イノシトール29%、ミオ−イノシトール48%であった。
粗精製画分をカプセルに封入することにより健康食品を製造した。
実施例1の工程により製造した健康食品250mlを遠心し、菌体などの不溶物を除去した後、得られた上清について活性炭処理、陰イオン交換樹脂処理および陽イオン交換樹脂処理を順次行った。その結果、D−キロ−イノシトールに富んだ粗精製画分約1gを得た。その画分中のイノシトール類成分量は、イノシトール類合計で77%であり、その内訳はD−キロ−イノシトール29%、ミオ−イノシトール48%であった。
粗精製画分をカプセルに封入することにより健康食品を製造した。
オレンジ果汁からの柑橘由来のD−キロ−イノシトールの製造
実施例2の工程により製造した粗精製画分1gにイオン交換水を加えて全量2mlとし、エタノールを少しずつ加え6mlとした。上清を集めエバポレーターで濃縮し、強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)CG−400(OH−型)100mlを充填したカラムを用いてクロマトグラフィーを行い、分画を行った。その結果、97%純度(HPLC分析値)のD−キロ−イノシトールを0.15g得た。
実施例2の工程により製造した粗精製画分1gにイオン交換水を加えて全量2mlとし、エタノールを少しずつ加え6mlとした。上清を集めエバポレーターで濃縮し、強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)CG−400(OH−型)100mlを充填したカラムを用いてクロマトグラフィーを行い、分画を行った。その結果、97%純度(HPLC分析値)のD−キロ−イノシトールを0.15g得た。
搾汁かす(オレンジ果皮)を原料とした健康食品(形態2)の製造
オレンジ果実20個(全量約4kg)のそれぞれの果実を剥き、果皮500g(フレッシュウェイト)を得た。果皮をフードプロセッサーにより、荒く破砕した後、水溶性画分抽出のためにイオン交換水5Lを加え、一晩4℃に放置した。ろ過を行い、抽出液を回収、その抽出液を2Lに濃縮し滅菌した三角フラスコに入れ、酵母を植菌した。その後、27℃で3日間振とうしながら培養を行った。ブドウ糖、ショ糖および果糖が資化されていることは、高速液体クロマトグラフィーで確認した。3日間培養後、90℃の湯浴で培養液からアルコール含量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、オレンジ果皮を原料とした液状の健康食品約1.5Lを製造した。さらに、該健康飲料をエバポレーターで濃縮して水あめ状物質約50gを得た。この水あめ状物質をカプセルに入れることによりカプセル形の健康食品も製造した。
オレンジ果実20個(全量約4kg)のそれぞれの果実を剥き、果皮500g(フレッシュウェイト)を得た。果皮をフードプロセッサーにより、荒く破砕した後、水溶性画分抽出のためにイオン交換水5Lを加え、一晩4℃に放置した。ろ過を行い、抽出液を回収、その抽出液を2Lに濃縮し滅菌した三角フラスコに入れ、酵母を植菌した。その後、27℃で3日間振とうしながら培養を行った。ブドウ糖、ショ糖および果糖が資化されていることは、高速液体クロマトグラフィーで確認した。3日間培養後、90℃の湯浴で培養液からアルコール含量が1%以下となるまでアルコールを蒸発させ、オレンジ果皮を原料とした液状の健康食品約1.5Lを製造した。さらに、該健康飲料をエバポレーターで濃縮して水あめ状物質約50gを得た。この水あめ状物質をカプセルに入れることによりカプセル形の健康食品も製造した。
搾汁かす(オレンジ果皮)を原料とした健康食品(形態4)の製造
実施例4の工程により製造した健康食品1.5Lを遠心し、菌体などの不溶物を除去し、活性炭処理、陰イオン交換樹脂処理、陽イオン交換樹脂処理を行った。その結果、D−キロ−イノシトールに富んだ粗精製画分9.3gを得た。その画分中のイノシトール類含有量は、イノシトール類合計で37%であり、その内訳はD−キロ−イノシトール16%、ミオ−イノシトール21%であった。粗精製画分をカプセルに封入することにより健康食品を製造した。
実施例4の工程により製造した健康食品1.5Lを遠心し、菌体などの不溶物を除去し、活性炭処理、陰イオン交換樹脂処理、陽イオン交換樹脂処理を行った。その結果、D−キロ−イノシトールに富んだ粗精製画分9.3gを得た。その画分中のイノシトール類含有量は、イノシトール類合計で37%であり、その内訳はD−キロ−イノシトール16%、ミオ−イノシトール21%であった。粗精製画分をカプセルに封入することにより健康食品を製造した。
オレンジ果皮からのD−キロ−イノシトールの製造
実施例5の工程により製造した粗精製画分9.3gにイオン交換水を加えて全量15mlとし、エタノールを少しずつ加え45mlとした。上清を集めエバポレーターで濃縮し、強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)CG−400(OH−型)100mlを充填したカラムを用いてクロマトグラフィーを行い、分画を行った。その結果、97%純度のD−キロ−イノシトールを1.1g得た。
実施例5の工程により製造した粗精製画分9.3gにイオン交換水を加えて全量15mlとし、エタノールを少しずつ加え45mlとした。上清を集めエバポレーターで濃縮し、強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)CG−400(OH−型)100mlを充填したカラムを用いてクロマトグラフィーを行い、分画を行った。その結果、97%純度のD−キロ−イノシトールを1.1g得た。
オレンジ果汁を原料とした健康食品(形態1)の製造
オレンジ果実2個(全量約0.4kg)をそれぞれ半分に切り、合計約0.1Lの果汁を搾り取った。果汁に市販キムチから分離した乳酸菌を植菌し、振とうしながら25℃で7日間培養した。7日間培養後そのままオレンジ果汁を原料とした健康飲料とした(全量約0.1L)。
オレンジ果実2個(全量約0.4kg)をそれぞれ半分に切り、合計約0.1Lの果汁を搾り取った。果汁に市販キムチから分離した乳酸菌を植菌し、振とうしながら25℃で7日間培養した。7日間培養後そのままオレンジ果汁を原料とした健康飲料とした(全量約0.1L)。
健康食品の糖尿病に対する効果の検討1
STZ2型糖尿病マウスを用いた血糖値低下作用(平常時血糖値)
実施例1と同一の工程で最終量を1Lとした液体状の健康食品を製造した。該健康食品をAとする。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、Aには、1mg/ml(1000ppm)の濃度のD−キロ−イノシトールが含まれていた。
実施例4と同一の工程で最終量を1.5Lとした液体状の健康食品を製造した。該健康食品をBとする。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、Bには、1mg/ml(1000ppm)の濃度のD−キロ−イノシトールが含まれていた。
STZ2型糖尿病マウスを用いた血糖値低下作用(平常時血糖値)
実施例1と同一の工程で最終量を1Lとした液体状の健康食品を製造した。該健康食品をAとする。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、Aには、1mg/ml(1000ppm)の濃度のD−キロ−イノシトールが含まれていた。
実施例4と同一の工程で最終量を1.5Lとした液体状の健康食品を製造した。該健康食品をBとする。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、Bには、1mg/ml(1000ppm)の濃度のD−キロ−イノシトールが含まれていた。
糖尿病モデルとしてICRマウス(6週齢)を日本クレア株式会社より購入し、まず環境に馴らすために2週間飼育(馴化期間)した。えさは特に断らない限りMF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を自由に与えた。その後、これらの動物にストレプトゾトシン(STZ)を注射し、2型糖尿病モデルとした。STZは、8.5mg/mlの濃度になる様に0.05Mクエン酸バッファー(pH4.5)に直前溶解し、10ml/kg(85mg/kg)を腹腔内投与した。これらの動物を体重が均一になるように4群(1群5匹)に分け、第1群(対照群)には飲水としてイオン交換水を自由に与え、第2群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Aを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第3群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Bを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第4群(投与群)には飲水としてD−キロ−イノシトール 0.1mg/ml(100ppm)を含むイオン交換水を自由に与え、各群ともに37日間飼育を続けた。28日目までの飼育中、一週間毎に尾静脈より採血し、平常時血糖値を測定した。血糖値はグルコーステストワコー(和光純薬工業株式会社製)にて測定した。
結果を図1に示す。
結果を図1に示す。
第2群および3群では、第1群と比較して、28日間に渡り低い血糖値を示した。また、D−キロ−イノシトールを100ppm含むイオン交換水を与えた第4群には大きな改善は見られなかったが、これはD−キロ−イノシトールの投与濃度が低いためであると考えられた。しかし、21日目から28日目における血糖値の上昇はD−キロ−イノシトールをそれぞれ100ppm含む2〜4群で抑えられており、長期的なD−キロ−イノシトールの効果が少しずつ現れてきているものと考えられた。該健康食品はD−キロ−イノシトールと他の成分の相乗効果により、血糖値低下効果が強く見られたものと考えられた。
これらの結果から、柑橘類あるいは柑橘類搾汁かすを原料として発酵過程を経て製造される健康食品が、インスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下に有効であること、さらには糖尿病の予防、改善に有効であることが確認された。
健康食品の糖尿病に対する効果の検討2
STZ2型糖尿病マウスを用いた血糖値低下作用(糖負荷試験)
実施例8に示したマウスに対し、35日飼育後に糖負荷試験を行い、血糖値低下作用を見た。すなわち、糖尿病モデルとしてICRマウス(6週齢)を日本クレア株式会社より購入し、まず環境に馴らすために2週間飼育(馴化期間)した。えさは特に断らない限りMF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を自由に与えた。その後、これらの動物にストレプトゾトシン(STZ)を注射し、2型糖尿病モデルとした。STZは、8.5mg/mlの濃度になる様に0.05Mクエン酸バッファー(pH4.5)に直前溶解し、10ml/kg(85mg/kg)を腹腔内投与した。これらの動物を体重が均一になるように4群(1群5匹)に分け、第1群(対照群)には飲水としてイオン交換水を自由に与え、第2群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Aを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第3群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Bを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第4群(投与群)には飲水としてD−キロ−イノシトール 0.1mg/ml(100ppm)を含むイオン交換水を自由に与え、各群ともに37日間飼育を続けた。35日目に、マウスを20時間絶食し、糖負荷試験を実施した。糖負荷試験は、グルコースを1g/kg体重 腹腔内投与することにより行った。糖負荷直前(0分)、負荷後30分、60分、90分、120分にマウスの尾静脈より採血し、血糖値をグルコーステストワコー(和光純薬工業株式会社製)にて測定した。
結果を図2に示す。
STZ2型糖尿病マウスを用いた血糖値低下作用(糖負荷試験)
実施例8に示したマウスに対し、35日飼育後に糖負荷試験を行い、血糖値低下作用を見た。すなわち、糖尿病モデルとしてICRマウス(6週齢)を日本クレア株式会社より購入し、まず環境に馴らすために2週間飼育(馴化期間)した。えさは特に断らない限りMF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を自由に与えた。その後、これらの動物にストレプトゾトシン(STZ)を注射し、2型糖尿病モデルとした。STZは、8.5mg/mlの濃度になる様に0.05Mクエン酸バッファー(pH4.5)に直前溶解し、10ml/kg(85mg/kg)を腹腔内投与した。これらの動物を体重が均一になるように4群(1群5匹)に分け、第1群(対照群)には飲水としてイオン交換水を自由に与え、第2群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Aを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第3群(投与群)には飲水として先に製造た健康食品Bを10%含んだイオン交換水を自由に与え、第4群(投与群)には飲水としてD−キロ−イノシトール 0.1mg/ml(100ppm)を含むイオン交換水を自由に与え、各群ともに37日間飼育を続けた。35日目に、マウスを20時間絶食し、糖負荷試験を実施した。糖負荷試験は、グルコースを1g/kg体重 腹腔内投与することにより行った。糖負荷直前(0分)、負荷後30分、60分、90分、120分にマウスの尾静脈より採血し、血糖値をグルコーステストワコー(和光純薬工業株式会社製)にて測定した。
結果を図2に示す。
第2群および3群では、第1群と比較して、明らかに血糖値上昇を抑制した。また、D−キロ−イノシトールを100ppm含むイオン交換水を与えた第4群に比べても高い抑制効果を示した。該健康食品はD−キロ−イノシトールと他の成分の相乗効果により、血糖値低下効果が見られたものと考えられる。
これらの結果から、柑橘類および柑橘類搾汁かすを主原料として発酵過程を経て作成される健康食品が、インスリン抵抗性改善および/また血糖値低下に有効であること、さらには糖尿病の予防、改善に有効であることが確認された。
Claims (7)
- 柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、D−キロ−イノシトールを高含有することを特徴とする、健康食品。
- 柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として発酵工程を経て製造される健康食品であって、インスリン抵抗性改善作用および/または血糖値低下作用を持つことを特徴とする、健康食品。
- 酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトール含有量以下に低減させる工程を経て得られることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の健康食品。
- 発酵工程に用いる菌が酵母であり、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て製造され、かつアルコール濃度が1%以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の健康食品。
- 柑橘類あるいは柑橘類の搾汁かすを原料として、D−キロ−イノシトールを資化しない菌を用いて発酵を行い、ショ糖、ブドウ糖および果糖の合計含有量を、D−キロ−イノシトールの含有量以下に低減させる工程を経て、さらに固液分離を行い、分離された液体成分を脱イオン化することを特徴とする、D−キロ−イノシトールの製造方法。
- 酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌および酢酸菌の中から選ばれる少なくとも1種類の菌を発酵工程に用いることを特徴とする、請求項5に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
- 発酵工程に用いる菌が、酵母であることを特徴とする、請求項5に記載のD−キロ−イノシトールの製造方法。
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JP2005260013A JP2007068476A (ja) | 2005-09-08 | 2005-09-08 | 健康食品およびd−キロ−イノシトールを得る方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101462160B1 (ko) * | 2012-11-26 | 2014-11-14 | 주식회사 해이래 | 감귤 유산균 발효물을 이용한 항당뇨 조성물 |
CN113677219A (zh) * | 2018-08-22 | 2021-11-19 | 雀巢产品有限公司 | 包含肌醇异构体的组合物及其用途 |
CN115484939A (zh) * | 2019-09-24 | 2022-12-16 | 雀巢产品有限公司 | 鲨肌醇及其作为胰岛素敏化剂的用途 |
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JP2002153231A (ja) * | 2000-11-24 | 2002-05-28 | Meiji Milk Prod Co Ltd | 柑橘類搾汁副産物に含まれる有用成分の濃縮方法及びそれを含む栄養組成物 |
JP2004189718A (ja) * | 2002-11-29 | 2004-07-08 | Toyo Shinyaku:Kk | 柑橘類外皮を含む発酵物 |
-
2005
- 2005-09-08 JP JP2005260013A patent/JP2007068476A/ja active Pending
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