JP2020056700A - 硬さ試験機 - Google Patents
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Abstract
Description
この硬さ試験機では、サーボモータが片持ちの板バネを変形させることで試験力を発生させている。具体的には、片持ちの板バネの変形量を測り、その変形量をサーボモータによって制御する試験力発生機構を有しており、例えば、3〜187.5kgfの試験力を発生させることを可能にしている。
また、この硬さ試験機において片持ちの板バネを変形させた際、その自由端が円弧移動するので、試験力発生機構には板バネの自由端の位置のずれを吸収して、所定の試験力を好適に伝達するための機構を付加しなければならず、煩雑であった。
試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させることによって前記試料の硬さを測定する硬さ試験機であって、
前記試料が載置される試料台と、
先端部に前記圧子を備えた圧子軸と、
前記圧子を前記試料の表面に押し込むように、前記圧子軸を前記試料台に向けて直線移動させる荷重負荷部と、
前記荷重負荷部と前記圧子軸の間に介装されている試験力発生ばねと、
前記圧子軸を介して前記圧子を前記試料に押し込む際の前記試験力発生ばねの変位量を検出するばね変位検出部と、
前記圧子が前記試料に押し込まれる際の前記圧子軸の変位量を検出する圧子軸変位検出部と、
を備え、
前記試験力発生ばねは、略矩形状の金属製ブロックの一の側面から対向する他の側面に向けて形成された左右一対の貫通孔と、その一対の貫通孔間を連通するように形成されたスリットとを有して、左右対称形状を呈しており、
前記圧子軸は、前記試験力発生ばねの下面の略中央に固定され、前記荷重負荷部は、前記試験力発生ばねの上面の略中央に固設されていることを特徴とする。
前記試験力発生ばねの上面と下面の少なくとも一方には、前記左右一対の貫通孔に沿う溝部が形成されていることを特徴とする。
ここで、試験力発生ばねの上面や下面において、貫通孔に沿って溝部が形成された部分が薄肉化されているものとする。
前記試験力発生ばねには、前記左右一対の貫通孔と前記スリットとで構成されている略眼鏡型貫通孔が、上下に重なる配置に複数形成されており、
前記略眼鏡型貫通孔の間には、前記左右一対の貫通孔に沿って形成された一対の並列貫通孔と、その一対の並列貫通孔よりも外側の領域を上下に分断するように形成された分断スリットとが設けられていることを特徴とする。
ここで、試験力発生ばねの略眼鏡型貫通孔の間において、一対の貫通孔に沿って一対の並列貫通孔が形成された部分が薄肉化されているものとする。
なお、並列貫通孔と分断スリットは、同じ寸法の間隙を有していてもよい。
本実施形態の硬さ試験機は、試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させることによって、試料の硬さを測定するロックウェル硬さ試験機である。
なお、この硬さ試験機1では、図2に示す制御部100により、各部の動作制御が行われる。
また、荷重負荷部2の負荷部本体21の下部側には、荷重負荷部2と基準部保持部材71(基準部7)とを連結する連結機構24が設けられている。
この突出部22(荷重負荷部2)は、後述するコラム軸33の回転駆動により、可動駒34とともに上下に移動する。つまり、荷重負荷部2は、作動部3の動作に伴い、ボールねじ様の仕組みで上下動するようになっている。
なお、負荷部本体21に設けられているガイド部21aが、試験機筐体1aに設けられている垂直レール1bに案内されるようにして、荷重負荷部2が直線的に上下動するようになっている。
そのコラム軸33の回転駆動によって可動駒34が上下に移動する。
このように、作動部3は、モータ31の駆動に基づいて可動駒34を上下動させ、可動駒34と接続している荷重負荷部2の突出部22にその駆動力を伝達させて、荷重負荷部2を上下動させる。
そして、作動部3によって上下動される荷重負荷部2は、圧子61を試料Sの表面に押し込むように、圧子軸6を試料台8に向けて直線移動させるようになっている。
つまり、試験力発生ばね4は、荷重負荷部2(基部23)と圧子軸6の間に介装されている。
試験力発生ばね4は、荷重負荷部2の下方への移動に伴い、圧子軸6を下方へと押圧し移動させる。つまり、試験力発生ばね4は、荷重負荷部2の上下動などの動作を圧子軸6に伝達するようになっている。
この試験力発生ばね4は、左右対称形状を呈する環状ばねであるが、その具体的形状等については後述する。
また、荷重負荷部2の基部23の下面の端には、荷重負荷部2が作動(上下動)した際の試験力発生ばね4の変位量(変形量)を検出するばね変位検出部42が備えられている。
ばね変位検出部42は、例えば、試験力発生ばね4に備えられたスケール41の目盛を光学的に読み取るリニアエンコーダである。
このばね変位検出部42は、圧子軸6等を介して圧子61を試料Sに押し込む際の試験力発生ばね4の変位量を検出し、検出した変位量に基づくばね変位信号を制御部100に出力する。なお、この変位量は、圧子61が試料Sを押し込む押圧力(試験力)又は試料Sに加わる荷重に対応するようになっている。
なお、圧子61は、例えば、ロックウェル硬さ試験用の先端角120°の円錐形ダイヤモンド圧子又は球圧子(例えば、直径が1/16インチ、1/8インチ、1/4インチ、1/2インチのもの)を使用する。
また、圧子軸6の表面には、所定の間隔の目盛が刻まれたスケール62が一体形成されている。
この基準部7は、後述する圧子軸変位検出部63が圧子軸6の変位量を検出する際の基準面を有している。
連結機構24は、負荷部本体21側に配設されているガイドレール24aと、基準部保持部材71側に配設されているガイドブロック24bとで構成されており、上下に延在しているガイドレール24aに沿ってガイドブロック24bが上下動可能に配されている。このガイドレール24aとガイドブロック24bとにより、ガイドレール24a上をガイドブロック24bがスライドすることで直線運動をガイドする、所謂LMガイド(登録商標)が構成される。なお、LMガイド(ガイドレール24a及びガイドブロック24b)の具体的な構造は、従来公知の技術(例えば、特開2011−12735号公報等)であるため、詳細な説明は省略する。
また、負荷部本体21の下端部には、ガイドブロック24bの下方への移動を規制する規制部25が設けられている。
上記の構成により、基準部保持部材71(基準部7)は、ガイドレール24aに沿って上下動することができるようになっている。
この基準部7は、圧子軸6(圧子61)を挿通可能な中空形状に形成されている。また、基準部7の下面は、圧子軸6に垂直な面(水平面)となるように形成されている。
なお、基準部7を、基準部保持部材71および荷重負荷部2とともに下方に移動させることで、基準部7の下面を試料Sの表面に当接させた状態とすることができる。
圧子軸変位検出部63は、例えば、圧子軸6の表面に一体形成されたスケール62の目盛を光学的に読み取るリニアエンコーダである。
この圧子軸変位検出部63は、圧子61が試料Sに押し込まれる際の圧子軸6の変位量(即ち、試料Sに押し込まれた圧子61の侵入量(押込み深さ))を検出し、検出した変位量に基づく圧子軸変位信号を制御部100に出力する。
これによって、圧子軸変位検出部63により、圧子61の試料Sの表面からの侵入量を検出することができ、試験時に形成されたくぼみの深さの検出が可能となる。
CPU101は、記憶部103に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM102に展開して実行することにより、硬さ試験機1全体の制御を行う。
RAM102は、CPU101により実行された処理プログラム等を、RAM102内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
記憶部103は、例えば、プログラムやデータ等を記憶する記録媒体(図示省略)を有しており、この記録媒体は、半導体メモリ等で構成されている。また、記憶部103は、CPU101が硬さ試験機1全体を制御する機能を実現させるための各種データ、各種処理プログラム、これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
具体的には、この試験力発生ばね4には、左右一対の貫通孔4a,4aとスリット4bとで構成されている略眼鏡型貫通孔40が、上下に重なる配置に3つ設けられており、その略眼鏡型貫通孔40の間には、左右一対の貫通孔4a,4aに沿って形成された一対の並列貫通孔4d,4dと、その一対の並列貫通孔4d,4dよりも外側の領域を上下に分断するように形成された分断スリット4eとが設けられている。
また、試験力発生ばね4の上面と下面には、左右一対の貫通孔4a,4aに沿う溝部4cが設けられている。
具体的には、貫通孔4aと並列貫通孔4dの間の金属材料と、貫通孔4aと溝部4cの間の金属材料が薄肉化されている。
つまり、この試験力発生ばね4は、左右両側や中央側よりも、貫通孔4a、並列貫通孔4d、溝部4cが形成されている部分が薄肉化されたばね構造を有している。
このような接続構造で、荷重負荷部2と圧子軸6の間に介装されている試験力発生ばね4であれば、作動部3によって下方に移動される荷重負荷部2によって、圧子61を試料Sの表面に押し込むように圧子軸6を直線移動させる際の弾性変形が直線運動になり、好適に試験力を発生させることができる。
例えば、従来技術の硬さ試験機で片持ちの板バネを変形させることで発生させていた3〜187.5kgfの試験力を上回る、1〜250kgfの広ダイナミックレンジの試験力を、この試験力発生ばね4の直線運動の変形で発生させることができる。
特に、荷重負荷部2と圧子軸6の間に介装されている試験力発生ばね4がそれらの間で直線運動して収縮する(弾性変形する)場合、試験力発生ばね4には摩擦など試験力以外の力が生じないので、その試験力発生ばね4は高精度で試験力を発生させることができる。
その基本構造とした図3(b)の試験力発生ばね4は、略矩形状の金属製ブロックの一の側面から裏側の他の側面に向けて形成された左右一対の貫通孔4a,4aと、その一対の貫通孔4a間を連通するように形成されたスリット4bとで構成されている略眼鏡型貫通孔40を1つ有しており、その上面と下面には左右一対の貫通孔4a,4aに沿う溝部4cが形成されている環状ばねである。
つまり、本実施形態では、試験力発生ばね4が有する略眼鏡型貫通孔40の数を基準に環状ばねを設計しており、図3(b)に示した基本構造の試験力発生ばね4が一段構造の環状ばねであるとしたとき、図3(a)に示した試験力発生ばね4は三段構造の環状ばねに相当する。
なお、図3(b)に示した基本構造の試験力発生ばね4を多段に重ねる設計の際、溝部4cが向き合って重なった部分に対応させて設計したのが並列貫通孔4dである。
例えば、図3(b)に示した一段構造の試験力発生ばね4のばね定数が100[kgf/mm]であるとき、図3(a)に示した三段構造の試験力発生ばね4のばね定数は、約三分の一の30[kgf/mm]である。
つまり、基本構造の環状ばねの段数を増やすことに応じて、ばね定数を下げることができるので、二段構造や四段構造など様々な段数の試験力発生ばね4を設計して様々なばね定数の試験力発生ばね4を得ることができる。
本実施形態の硬さ試験機1の試験力発生ばね4に替えて、コイルばねを組み付けても、同様の作用効果が得られるのではという仮説が立てられたが、コイルばねの弾性変形には直線運動以外の要素が含まれているため、本実施形態の試験力発生ばね4に替えてコイルばねを用いることにメリットは無いという結論が出た。
具体的には、金属線を巻回して形成されているコイルばねを収縮させる際、その金属線の巻回方向に沿うねじれの変形が発生するので、そのねじれを逃がす機構を付加しなければならないことが判明した。これは、従来技術の硬さ試験機において、片持ちの板バネの自由端の位置のずれを吸収するための機構を付加しなければならない煩わしさと同様のデメリットであると判断した。
また、金属線の巻回数が少なくそのピッチも小さなコイルばねであれば、そのコイルばねを収縮させる際に座屈することは殆んどないが、ある程度の長さを有するコイルばねであると収縮させる際に座屈変形してしまうことがあるので、その座屈を防ぐための機構を付加しなければならないことがあるのも判明した。
このように、試験力発生ばね4に替えてコイルばねを用いる場合、ねじれを逃がす機構や座屈を防ぐための機構を付加しなければならない煩わしさがあることが判明した。加えて、ねじれを逃がす機構や座屈を防ぐための機構を付加した場合、その機構で発生する摩擦力が試験力の精度に影響を及ぼす可能性があることも分かった。
このような検証の結果から、本実施形態の試験力発生ばね4は、コイルばねでは成し得ない高精度の試験力を発生させることができると結論付けた。
また、溝部4cが形成されていない試験力発生ばね4であってもよい。
2 荷重負荷部
21 負荷部本体
22 突出部
23 基部
3 作動部
31 モータ
32 タイミングベルト
33 コラム軸
34 可動駒
4 試験力発生ばね
40 略眼鏡型貫通孔
4a 貫通孔(左右一対の貫通孔)
4b スリット
4c 溝部
4d 並列貫通孔(一対の並列貫通孔)
4e 分断スリット
41 スケール
42 ばね変位検出部
6 圧子軸
61 圧子
62 スケール
63 圧子軸変位検出部
8 試料台
100 制御部
S 試料
Claims (3)
- 試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させることによって前記試料の硬さを測定する硬さ試験機であって、
前記試料が載置される試料台と、
先端部に前記圧子を備えた圧子軸と、
前記圧子を前記試料の表面に押し込むように、前記圧子軸を前記試料台に向けて直線移動させる荷重負荷部と、
前記荷重負荷部と前記圧子軸の間に介装されている試験力発生ばねと、
前記圧子軸を介して前記圧子を前記試料に押し込む際の前記試験力発生ばねの変位量を検出するばね変位検出部と、
前記圧子が前記試料に押し込まれる際の前記圧子軸の変位量を検出する圧子軸変位検出部と、
を備え、
前記試験力発生ばねは、略矩形状の金属製ブロックの一の側面から対向する他の側面に向けて形成された左右一対の貫通孔と、その一対の貫通孔間を連通するように形成されたスリットとを有して、左右対称形状を呈しており、
前記圧子軸は、前記試験力発生ばねの下面の略中央に固定され、前記荷重負荷部は、前記試験力発生ばねの上面の略中央に固設されていることを特徴とする硬さ試験機。 - 前記試験力発生ばねの上面と下面の少なくとも一方には、前記左右一対の貫通孔に沿う溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
- 前記試験力発生ばねには、前記左右一対の貫通孔と前記スリットとで構成されている略眼鏡型貫通孔が、上下に重なる配置に複数形成されており、
前記略眼鏡型貫通孔の間には、前記左右一対の貫通孔に沿って形成された一対の並列貫通孔と、その一対の並列貫通孔よりも外側の領域を上下に分断するように形成された分断スリットとが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬さ試験機。
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