図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。以下では、図1に示すように、本発明の車両の上部内装構造が1列目シート1aと2列目シート1bとを有する2列シートの車両1に適用された場合について説明する。
図1は、車両1の側部を車室側から見た概略側面図である。図2は、図1のII−II線を通る面における概略断面図である。以下の説明では、車両前後方向のことを単に前後方向という。各図において、「内」は車幅方向についての内方(内側)つまり車室側を表し、「外」は車幅方向についての外方(外側)つまり車外側を表している。
図1に示すように、車両1の側部には、1列目シート1a用の乗員昇降用の開口部1cと、2列目シート1b用の乗員昇降用の開口部1dとが形成されている。これら開口部1c、1dにはそれぞれ図示しないサイドドアが取り付けられる。車両1は、開口部1c、1dを区画するピラーとして、前から順に、Aピラー2、Bピラー3、Cピラー4を有する。また、車両1は、車室の天井部分の外面を構成するルーフパネル5を有する。各ピラー2、3、4は、車両1の車幅方向の両側にそれぞれ1つずつ設けられている。各ピラーおよびその周辺の構造は、車幅方向について対称である。
図1、図2に示すように、車両1は、車両の内装部材として、ルーフパネル5を下方から覆い車室の天井を覆うトップシーリング6と、各ピラー2、3、4を車室側から覆うピラートリム20、30、40とを有する。
トップシーリング6は、軟質材で形成されており比較的容易に変形可能である。トップシーリング6は、例えば、発砲ウレタン等の表面を不織布で覆ったもの等によって形成される。ピラートリム20、30、40は、硬質の合成樹脂(例えばポリプロピレン)で形成されており容易には塑性変形しないようになっている。
トップシーリング6は、鉛直断面において上側に凸の弓状に形成された本体部6bと、本体部6bの車幅方向の端部から略水平方向に延びる延出部6aとを有する。つまり、トップシーリング6の車幅方向の両外端部には、略水平に延びる延出部6aが設けられている。なお、延出部6aは、水平面とのなす角度が0度以上20度以下となるように構成されている。すなわち、本明細書でいう略水平とは、水平面との成す角度0度以上20度以下であるものをいう。
車両1は、車両の内装部材として、トップシーリング6を保持するためのブラケットを有する。本実施形態では、車両1は、ブラケットとして、Bピラー3の上端部に設けられたBブラケット50を有する。
車両1は、さらに、エアバッグ装置70を有する。エアバッグ装置70は、車両の衝突時に、乗員を保護するための装置である。エアバッグ装置70は、袋状のカーテンエアバッグ71と、カーテンエアバッグ71に膨張ガスを供給するインフレータ72とを備える。カーテンエアバッグ71は、請求項の「カーテンエアバッグ」に相当する。
カーテンエアバッグ71は、折り畳まれた状態で、トップシーリング6の上方に、つまり、トップシーリングよりも上側の空間に収納されている。カーテンエアバッグ71は、Aピラー2からCピラー4まで延びる長さを有しており、Aピラー2の上端部からBピラー3の上端部を通ってCピラー4の上端部まで延びている。
インフレータ72は、例えば横Gセンサからなる図外の側突センサにより車両の側突が検知された場合に作動し、カーテンエアバッグ71に瞬時に膨張ガスを供給する。カーテンエアバッグ71は、この膨張ガスの供給を受けて膨張し、トップシーリング6の下方つまり車室内に展開する。カーテンエアバッグ71は、サイドドアの内面等からなる車室側壁を覆うように展開して、ドライバーが車室側壁に衝突するのを阻止する。
ピラー周辺の構造について説明する。以下では、請求項に係るピラーがBピラー3である場合について説明し、Bピラー3周辺の構造について説明する。以下では、適宜、車幅方向の外側を車外側、車幅方向の内側を車室側という。
図3は、Bピラー3の上端部周辺を車室側から見た概略図である。図3は、トップシーリング6が取り外された状態の図である。図4は、図3に示す状態からピラートリム30およびカーテンエアバッグ71が取り外された状態の図である。図5は、Bピラー3とブラケット50との取付け構造を説明するための図であり、車室側からこれらを見た概略図である。図6は、ブラケット50とピラートリム30との取付け構造を説明するための図であり、車外側からこれらを見た概略図である。
図2に示すように、Bピラー3は、車外側に配置されるピラーアウタパネル3aと、車室側に配置されてピラーアウタパネル3aとで閉断面を区画するピラーインナパネル3bとを有する。本実施形態では、Bピラー3のピラーインナパネル3bは、Aピラー2の上端部から後方に延びるルーフサイドレール9と一体に形成されている。Bピラー3のピラーインナパネル3bは、ルーフサイドレール9の前後方向中間部から下方に延びている。以下では、Bピラー3のピラーインナパネル3bを、単にピラーインナパネル3bという。
(ピラーインナパネル)
ピラーインナパネル3bの上端部には、ブラケット50を固定するためのブラケット固定用孔3cが形成されている。本実施形態では、ピラーインナパネル3bの上縁付近の前後方向に離間する位置に、2つのブラケット固定用孔3cがほぼ同じ高さ位置で形成されるとともに、これら2つのブラケット固定用孔3cよりも下方の位置に1つのブラケット固定用孔3cが形成されている。ピラーインナパネル3bの上下中央付近には、ピラートリム30を固定するためのピラートリム固定用孔3dが形成されている。
(ピラートリム)
図6等に示すように、ピラートリム30は、車室側に膨出する形状を有しており、その水平断面は略コ字状となっている。ピラートリム30は、ブラケット50の下部を車室側から覆った状態でピラーインナパネル3aに固定されている。
ピラートリム30の車外側の側面の上部には、車外側に突出する突出部31が設けられている。この突出部31には、前後方向に離間した位置に、さらに車外側に突出する2つの位置決め用突起32、32が設けられている。
(ブラケット)
図7は、ブラケット50を車室側から見た概略斜視図である。図8は、ブラケット50を車外側から見た概略斜視図である。図9は、図7の概略IX−IX線断面図である。
ブラケット50は、ピラーインナパネル3bの上端部付近に取り付けられている。前記のように、ブラケット50の下部はピラートリム30によって覆われており、ブラケット50は、ピラートリム30の上縁33よりも下方の位置からこの上縁33よりも上方の位置まで延びる大きさを有している。
ブラケット50は、前後方向および上下方向に延びる第1立壁部110と、第1立壁部110の下縁110aから車外側に延びる底壁部120と、底壁部120の車外側の縁から下方に延びる第2立壁部130と、底壁部120の下面から下方に延びる複数の第1挟持片140と、底壁部120の下面から下方に延びる2つの第2挟持片150とを有する。前記の第1挟持片140および第2挟持片150は、請求項の「挟持部」に相当する。なお、第2挟持片150は省略してもよい。 第1立壁部110のうち前後方向の両端部分を除く部分111(以下、中央パネル部111という)は、概ね車幅方向と直交する鉛直面に沿って上下方向に延びている。つまり、第1立壁部110はその前後方向中央部分に、鉛直面に沿って延びる中央パネル部111を有している。
第1立壁部110の前後方向の両端部分は、中央パネル部111から前後方向に離間するほど車外側に位置するように湾曲している。第1立壁部110の前後方向の両端部分には、それぞれ、車外側に突出するブラケット被固定部112が設けられている。これらブラケット被固定部112には、それぞれその車外側の面と車室側の面と貫通するブラケット被固定孔112aが形成されている。これらブラケット被固定孔112aには、ブラケット50をピラーインナパネル3bに固定するためのクリップ90が取り付けられている。
中央パネル部111の下縁の高さ位置は、前後方向についてほぼ一定である。一方、第1立壁部110のうち中央パネル部111から前側および後側に延びる部分の下縁は、中央パネル部111から前後方向に離間するほど下方に位置するように湾曲している。つまり、第1立壁部110の下縁110aは、前後方向の中央部分において一定の高さで延びる一方、中央部分から前後方向に離れるほど下方に位置するように湾曲しており、車両の側方から見て、前後方向の中央部分が上方に膨出するような円弧状に形成されている。なお、第1立壁部110の前後方向の最外端部分は、その下縁の高さがほぼ一定の状態で車幅方向に延びている。
図8に示すように、第1立壁部110の車外側の面には、当該面から車外側に突出するリブ190が設けられており、第1立壁部110はこのリブ190によって補強されている。つまり、リブ190によって第1立壁部110の剛性は高められており、ブラケット50の上側部分は、リブ190と第1立壁部110とによって剛性の高い高剛性部となっている。本実施形態では、このリブ190は、車両の側方から見て格子状を有している。具体的には、リブ190は、上下方向に延びる複数の縦リブ191とこれらとそれぞれ交差して前後方向に延びるとともに上下に平行に並ぶ2本の横リブ192とを有している。リブ190の大部分は第1立壁部110のうち中央パネル部111の車外側の面に設けられており、中央パネル部111の剛性が特に高められている。
底壁部120は、第1立壁部110の下縁110a(詳細には、第1立壁部110のうち前後方向の最外端部分を除く部分の下縁)から車外側に延びる第1底壁部121と、第1底壁部121の車幅方向の外側縁から車外側に延びる第2底壁部122とを有している。
第1底壁部121は、車外側ほど下方に位置するように外斜め下方に傾斜している。第2底壁部122は第1底壁部121の車幅方向の外側縁すなわち下縁からほぼ水平に車外側に延びている。第2底壁部122の前後方向の両端部分は、第1立壁部110の前後方向の最外端部分につながっている。
本実施形態では、リブ190の一部は第1底壁部121の車外側の面にも位置している。ただし、リブ190は、第1底壁部121の上下方向の中央位置よりも上方に設けられており、底壁部120の剛性は、第1立壁部121の剛性よりも低く抑えられている。
第2立壁部130は、第2底壁部122の車外側の縁から下方に延びている。第2立壁部122は、前側に設けられる前側第2立壁部131と、後側に設けられる後側第2立壁部132とを有する。前側第2立壁部131は、後側第2立壁部132よりも下方まで延びている。これら前側第2立壁部131、後側第2立壁部132にはそれぞれ、その車外側の面と車室側の面とを貫通する位置決め用孔130aが形成されている。
位置決め用孔130aは、ブラケット50とピラートリム30との相対位置を規定するための孔である。具体的には、図6に示すように、位置決め用孔130a、130aには、ピラートリム30の位置決め用突起32、32が挿入される。位置決め用突起32の外径と位置決め用孔130aの内径とはほぼ同じ寸法に設定されており、位置決め用突起32が位置決め用孔130aに挿入されることで、ピラートリム30はブラケット50に係止されてピラートリム30のブラケット50に対する位置が規定される。
前側第2立壁部131には、位置決め用孔130aよりも下方の位置に、ブラケット被固定孔130bが形成されている。このブラケット被固定用孔130bには、第1立壁部110に設けられたブラケット被固定用孔112aと同様に、ブラケット50をピラーインナパネル3bに固定するためのクリップ90が取り付けられている。
第1挟持片140は、上下および車幅方向に延びる板状、つまり、車両前後方向と直交する面に沿う板状に形成されている。本実施形態では、1つのブラケット50に4つの第1挟持片140が設けられている。4つの第1挟持片140は、互いに同じ構造を有している。これら第1挟持片140は、前後方向について互いに離間した位置に、互いに平行に配置されている。本実施形態では、4つの挟持片140は、全て、前後方向について第1立壁部110のうち中央パネル部111が形成された領域に設けられており、中央パネル部111の下方に配置されている。
第1挟持片140は、第1底壁部121と第2底壁部122とにわたって延びており、これら各底壁部121、122の下面から下方に延びている。第1挟持片140は、第2立壁部130の車室側の面につながっており、この面から車室側に延びている。第1挟持片140は、車幅方向について、中央パネル部111の車室側の端面とほぼ同じ位置まで延びている。第1挟持片140の車幅方向の内側端は、中央パネル部111の車室側の端面とほぼ同じ位置において(車幅方向について)、鉛直方向にほぼまっすぐ延びており、中央パネル部111の車室側の端面と、第1挟持片140の車室側の端面とは、概ね連続して鉛直方向に延びている。
第1挟持片140の車外側の部分であって第2底壁部122から下方に延びる部分の高さ寸法は、車幅方向に概ね一定であり、この部分の下縁の高さ位置は車幅方向に概ね一定である。一方、第1挟持片140のうち車室側の部分であって第1底壁部121から下方に延びる部分は、その下縁が車室側ほど上方に位置するように内斜め上方に傾斜している。
第2挟持片150は、第2底壁部122の前端部と後端部とにそれぞれ1つずつ設けられており、最も前側の第1挟持片140よりも前側の部分と、最も後側の第1挟持片140よりも後側の部分とに設けられている。第2挟持片150は、第2底壁部122の下面から下方に延びている。第2挟持片150も第1挟持片140と同様に上下方向および車幅方向に延びる板状に形成されているが、第2挟持片150は車幅方向について湾曲している。具体的には、前側の第2挟持片150は前側ほど車外側に位置するように湾曲しており、後側の第2挟持片150は後側ほど車外側に位置するように湾曲している。
図2、図5に示すように、ブラケット50とピラートリム30とがピラーインナパネル3bに取り付けられた状態において、各第1挟持片140と各第2挟持片150とは、ピラートリム30の上縁33よりも上方においてこの上縁33と対向する。詳細には、第1挟持片140の車室側の部分であって内斜め上方に傾斜する部分とピラートリム30の上縁33とが上下方向に対向し、第2挟持片150は、その全長にわたってピラートリム30の上縁33の前後方向の両端部分と対向する。各挟持片140、150とピラートリム30の上縁33との間には上下方向に隙間が区画されている。トップシーリング6は、これらとピラートリム30の上縁33と挟持片140、150との間の隙間に配置されており、これら挟持片140、150とピラートリム30の上縁33との間で挟持されている。
ブラケット50と、ピラートリム30とをピラーインナパネル3bに取り付ける手順は、次のとおりである。
まず、ブラケット50にクリップ90を取り付ける。具体的には、ブラケット50のブラケット被固定孔112a、112a、130bにそれぞれクリップ90を挿通する。クリップ90は、その先端側の部分(車外側に配置される部分)が径方向に弾性変形可能に構成されており、この先端部分が縮径した状態で孔内に挿通されて挿通後に拡径することで各孔112a、112a、140bに取り付けられる。
次に、クリップ90を介してブラケット50をピラーインナパネル3bに取り付ける。具体的には、ピラーインナパネル3bのブラケット固定用孔3c内に、クリップ90のうちブラケット50から車外側に突出している部分を挿通する。このとき、前記のようにクリップ90の先端部分が縮径および拡径することでクリップ90はピラーインナパネル3bに固定される。これにより、ブラケット50は、ピラーインナパネル3bに固定される。
本実施形態では、ブラケット50は、ピラーインナパネル3bに車幅方向に相対移動不能に固定される。これに対して、ブラケット50は、クリップ90の径方向つまりピラーインナパネル3bの車室側の側面に沿う移動がある程度許容された状態でピラーインナパネル3bに固定される。具体的には、クリップ90のうちブラケット被固定孔112a、112a、130bに挿通される部分の外径は、ブラケット被固定孔112a、112a、130bの内径よりも小さく設定されており、クリップ90はブラケット50に対してクリップ90の軸方向と直交する面に沿って相対移動可能に取り付けられる。一方、クリップ90のうちブラケット固定用孔3cに挿通される部分の外径と、ブラケット固定用孔3cの内径とはほぼ同じ寸法に設定されているとともに、クリップ90はブラケット被固定孔112a、112a、130bとブラケット固定用孔3cとに挿通された状態でその軸方向の移動が規制されるように構成されている。これより、ブラケット50はクリップ90ひいてはピラーインナパネル3bに対して、車幅方向の相対移動は規制される一方、車室側の側面に沿って相対移動が許容された状態で取り付けられる。
次に、ピラートリム30とブラケット50との間にトップシーリング6の車幅方向の両端部を挟み込みつつ、ピラートリム30をピラーインナパネル3bに取り付ける。このとき、図6に示すように、また、前述のように、ブラケット50の位置決め用孔130a、130aにピラートリム30の位置決め用突起32、32を挿入して、ピラートリム30をブラケット50に係止する。そして、ピラートリム40に設けられたクリップ(不図示)をピラーインナパネル3bのピラートリム固定用孔3dに挿入して、ピラートリム30をピラーインナパネル3bに固定する。
これにより、ブラケット50とピラートリム30との相対位置が適切に維持された状態で、ピラートリム30は、ブラケット50の下部およびピラーインナパネル3bを車室側から覆うように取り付けられる。また、トップシーリング6は、ピラートリム30とブラケット50とによってピラートリム30の上方に保持される。詳細には、前記のように、ピラートリム30の上縁33と、第1挟持片140の下縁および第2挟持片150の下縁とによって、トップシーリング6は、ピラートリム30の上縁33に当接した状態で保持される。そして、ブラケット50は、その全体がピラートリム30とトップシーリング6によって車室側から覆われることになる。
ここで、前記のように、トップシーリング6の車幅方向の両端部には、延出部6aが設けられている。これより、トップシーリング6のうちこの延出部6aがピラートリム30とブラケット50とによって挟持される。
次に、前記のようにしてピラーインナパネル3bに取り付けられたブラケット50およびピラートリム30と、トップシーリング6と、エアバッグ装置70との位置関係について説明する。
図2、図3等に示すように、カーテンエアバッグ71は、ブラケット50よりも車室側に配置されている。カーテンエアバッグ71は、ブラケット50とトップシーリング6の本体部6bとの間を通って前後方向に延びている。ブラケット50とピラートリム30とは、延出部6aの車外側の端部を挟持しており、延出部6aの一部は、ブラケット50およびピラートリム30の上縁33から車室側に延びている。カーテンエアバッグ71は、延出部6aのうちこのブラケット50およびピラートリム30の上縁33から車室側に延びる部分、つまり、延出部6aの車室側の部分の上方に配置されている。カーテンエアバッグ71は、延出部6aから上方に離間した位置に配置されており、カーテンエアバッグ71と延出部6aとの間には空間が区画されている。
カーテンエアバッグ71は、少なくとも一部が第1立壁部110と車幅方向に対向するように配置されており、第1立壁部110の車室側を通って前後方向に延びている。詳細には、カーテンエアバッグ71は、第1立壁部110の中央パネル部111の車室側の面に沿って前後方向に延びている。本実施形態では、上下方向について、カーテンエアバッグ71は、第1立壁部110の上縁よりも下方の位置から、第1立壁部110の下縁110aよりも下方の位置までの範囲に位置している。図2の例では、上下方向について、カーテンエアバッグ71は、第1立壁部110の上縁から第1立壁部110の高さ寸法の1/3程度下方の位置から、第1挟持片140の上縁から第1挟持片140の最大高さ寸法の1/4程度下方の位置までの領域に配置されている。また、カーテンエアバッグ71のうち上から3/4程度の部分が第1立壁部110の下縁110aよりも上方に配置されている。
図3、図4に示すように、インフレータ72は、所定の方向に延びる筒状を有しており、その長手方向の一端にカーテンエアバッグ71に向けてガスを噴き出すガス供給部72aを備えている。インフレータ72は、車幅方向について、ブラケット50よりも車室側に配置されているとともに、ガス供給部72aが前側を向く姿勢で、ブラケット50の後端部分の上端部と対向する位置から後方に延びている。つまり、インフレータ72は、前後方向に延び、且つ、ガス供給部72aが前端となる姿勢でトップシーリング6の上方に取り付けられている。そして、インフレータ72のガス供給部72aは、車両側方からみてブラケット50の後端部分と重なる位置に配置されている。カーテンエアバッグ71は、このガス供給部72aから前方に延びた後、分岐部71aにおいて前方および後方に分岐している。
また、図2等に示すように、カーテンエアバッグ71は、ピラートリム30の上縁33よりも車室側に配置されている。ここで、ピラートリム30は、上方に向かって車室側に湾曲するような形状を有しており、ピラートリム30は、その上縁33が最も車室側に位置するように構成されている。従って、カーテンエアバッグ71は、車幅方向について、ピラートリム30の各部よりも車室側に位置していることになる。
(作用等)
図10(a)、(b)は、カーテンエアバッグ71の展開時の様子を示した図である。
車両が側突等するとインフレータ72のガス供給部72aからカーテンエアバッグ71にガスが供給される。カーテンエアバッグ71は、矢印で示すように、下方、車室側および車外側に膨張しようとする。ただし、前記のように、カーテンエアバッグ71は第1立壁部110と対向して配置されている。そのため、第1立壁部110によってカーテンエアバッグ71の車外側への膨張は規制される。特に、本実施形態では、第1立壁部110の剛性が高くされている。そのため、第1立壁部110の車外側への変位量が少なく抑えられて、カーテンエアバッグ71の車外側への膨張量が非常に小さく抑えられる。さらに、本実施形態では、第1立壁部110のうち剛性が最も高くされた中央パネル部111に沿うようにカーテンエアバッグ71が配置されているため、カーテンエアバッグ71の車外側への膨張がより確実に抑制される。また、中央パネル部111が鉛直面に沿って延びるように配設されていることで、カーテンエアバッグ71の下方への展開が促進される。
カーテンエアバッグ71は、第1立壁部110よりも下方においても車外側に膨出しようとする。しかし、第1立壁部110の下縁110aとトップシーリング6との間には、第1挟持片140が前後方向に並んで配置されている。そのため、第1立壁部110よりも下方においては、第1挟持片140によってカーテンエアバッグ71の車外側への膨張は規制される。また、仮に、第1挟持片140がない場合は、第1立壁部110とピラートリム30との間に前後方向に広がる比較的大きな隙間が形成されることなり、カーテンエアバッグ71がこの隙間に入り込んで、ピラートリム30の上縁33等に引っかかるおそれがある。これに対して、本実施形態では、ピラートリム30の車外側にカーテンエアバッグ71が入り込むのが第1挟持片140によって規制され、カーテンエアバッグ71がピラートリム30の上縁33等に引っかかるのが抑制される。
図10(a)の破線で示すように、下方に膨張したカーテンエアバッグ71は、トップシーリング6に衝突する。ここで、前記のように、カーテンエアバッグ71は、トップシーリング6のうちの延出部6aの上方に配置されている。そのため、カーテンエアバッグ71は、主に延出部6aに衝突する。延出部6aは略水平に延びている。そのため、矢印Y11で示すように下向きに膨張しているカーテンエアバッグ71から延出部6aに加えられる力の向きは延出部6aと略直交することになり、延出部6aにはカーテンエアバッグ71の膨張力が効果的に加えられる。また、膨張前、カーテンエアバッグ71は、延出部6aから上方に離間した位置に配置されている。そのため、延出部6aと衝突する時点でのカーテンエアバッグ71の下向きの膨張速度は比較的大きくなっている。従って、カーテンエアバッグ71は延出部6aに勢いよく衝突し、延出部6aにはより確実に下向きの大きな力が加えられることになる。図10(b)に示すように、カーテンエアバッグ71からの下向きの力を受けて、延出部6aはブラケット50とピラートリム30との間から下方に離脱する。このとき、前記のように延出部6aに対して下向きの大きな力が加えられることで、延出部6aは早期にブラケット50とピラートリム30との間から離脱する。
また、カーテンエアバッグ71のうちガス供給部72aに接続された部分は、最初に高圧のガスが加えられることでその膨張力は大きい。これに対して、本実施形態では、ガス供給部72aとブラケット50とが対向しているため、カーテンエアバッグ71のうちブラケット50と対向する部分の膨張力が大きくなる。これより、本実施形態では、トップシーリング6のうちのブラケット50に保持されている部分つまり延出部6aに、さらに確実にカーテンエアバッグ71から大きな力を付与することができ、トップシーリング6をブラケット50とピラートリム30とからより一層早期に離脱させることができる。
延出部6aがブラケット50とピラートリム30との間から離脱すると、延出部6aとピラートリム30との間の隙間から、カーテンエアバッグ71は車室内に進入し、車両の側壁に沿って展開する。前記のように、カーテンエアバッグ71は、車幅方向についてピラートリム30よりも車室側に配置されている。そのため、カーテンエアバッグ71は、ピラートリム30と干渉することなくピラートリム30の上縁33よりも下方の領域にすばやく展開する。
以上のように、本実施形態では、ブラケット50とピラートリム30の上縁33との間でトップシーリング6が挟持されるように構成されている。そのため、ピラートリム30に対してトップシーリング6が最適な位置からずれた場合でもブラケット30とピラートリム30との相対位置が適切に維持されることでトップシーリング6をこれらによって適切に保持することができる。そのため、ピラートリム30およびトップシーリング6の取付作業の作業性を高めることができる。しかも、トップシーリング6のうち略水平に延びる延出部6aの車室側の部分の上方にカーテンエアバッグ71が配置されていることで、カーテンエアバッグ71が下方に膨張するのに伴って、カーテンエアバッグ71からトップシーリング6に対してこれと直交する方向に力を付与することができる。そのため、インフレータ72のガス供給力を低く抑えつつ、トップシーリング6を早期にブラケット50とピラートリム30との間から離脱させて、カーテンエアバッグ71を車室側壁に沿って早期に展開させることができる。
また、前記のように、カーテンエアバッグ71が延出部6aから上方に離間した位置に配置されていることで、カーテンエアバッグ71を延出部6aに勢いよく衝突させることができる。そのため、延出部6aつまりトップシーリング6をより一層早期にブラケット50とピラートリム30との間から離脱させることができる。あるいは、インフレータ72のガス供給力をより低く抑えることができる。
また、前記のように、カーテンエアバッグ71がピラートリム30よりも車室側に配置されていることで、カーテンエアバッグ71の展開時に、これとピラートリム30との干渉を抑制でき、カーテンエアバッグ71をより円滑に展開させることができる。
また、前記のように、インフレータ72が、ガス供給部72aがブラケット50の前後方向の端部とほぼ一致する位置に配置されていることで、トップシーリング6のうちブラケット50とピラートリム30とに挟持された部分に効率よく強い力を付与することができ、インフレータ72のガス供給力を低く抑えながら、より確実にトップシーリング6をブラケット50とピラートリム30との間から早期に離脱させことができる。
(変形例)
前記の車両の上部内装構造は、Bピラー3以外のピラー回りに適用されてもよい。図11は、前記の内装構造がCピラー4回りに適用されたときのCピラー4の周辺部分を車室側からみた概略図である。図11では、トップシーリング6は省略されている。図12は、図11のXII−XII線を通る面における断面の概略断面図である。
図11、図12の例では、Cピラー4のピラーインナパネル4b(以下、Cピラーインナパネル4bという)にブラケット250(以下、Cブラケット250という)が取り付けられている。Cブラケット250は、Bピラー3に設けられた前記のブラケット50と同様に、鉛直方向に延びる第1立壁部251と、第1立壁部251の下縁251aから車外側に延びる底壁部252と、底壁部252の下面から下方に延びる複数の第1挟持片253を有している。これら第1挟持片253は、前記のブラケット50と同様に、前後方向について互いに平行に並んでいる。そして、この例においても、Cピラー4を車室側から覆うピラートリム40の上縁233と、ブラケット250とによって、トップシーリング6の延出部6aの車外側の部分が挟持され、この延出部6aの車室側の部分の上方にカーテンエアバッグ71が収納されるようになっており、トップシーリング6を容易に車体に取り付けることができるとともに、カーテンエアバッグ71を早期に車室内に展開させることができる。また、カーテンエアバッグ71が延出部6aから上方に離間した位置に配置されていることで、延出部6aに強い力を付与してより早期にカーテンエアバッグ71を車室内に展開させることができる。
前記実施形態では、ブラケット50の第1立壁部110の下縁110aが、車両側方から見て、前後方向の中央が上方に膨出するラインに沿って延びるように構成された場合について説明したが、これに代えて、図13、図14(図13のXIV−XIV線を通る面における断面の概略断面図)に示すようなブラケット250を用いてもよい。
具体的には、図13、図14に示す第2実施形態に係るブラケット350は、第1立壁部310の下縁310aの高さがその全体にわたって一定とされており、第1立壁部310の下縁310aから車外側に延びる底壁部320の全体が、第1立壁部310の下縁310aから車外側に略水平に延びている。そして、この略水平に延びる底壁部320の下面から下方に第1挟持片340が延びており、第1挟持片340の高さ寸法が車幅方向にほぼ一定となっている。なお、図13、図14において、図7等に示したブラケット50と同様の構造を有する部材については、図7等と同じ符号を付している。
また、図15、図16(図15のXVI−XVI線を通る面における断面の概略断面図)に示すようなブラケット450が用いられてもよい。具体的には、図15、図16に示す第3実施形態に係るブラケット450は、図7等に示したブラケット50と同様に、第1底壁部421および第2底壁部422を含む底壁部420と、第1立壁部410と、を有している。一方、第3実施形態に係るブラケット450は、図7等に示した第1挟持片140の代わりに、第1底壁部421から下方に延びて前後方向の幅が比較的大きい板状の第1延出片440aと、この第1延出片440aの下縁から車外側に略水平に延びる板状の第2延出片440bとを有している。これら第1延出片440aと第2延出片440bとは、第1実施形態に係るブラケット50の第1底壁部121および第2底壁部122の一部を押し出すことで形成することができ、第3実施形態に係るブラケット450によればこれら延出片440a、440bであって第1挟持片140と同様の機能(ピラートリム30の上縁33との間でトップシーリング6を挟持する機能、第1立壁部451の下方において、カーテンエアバッグ71の車外側への膨出を規制する機能)を有する部分を容易に形成することができる。また、底壁部421、422のうち第1延出片440aと第2延出片440bとに対向する部分が抜き取られることになるため、ブラケット450が軽量化される。なお、図13〜図16において、図7等に示したブラケット50と同様の構造を有する部材については、図7等と同じ符号を付している。