JP2020026046A - インクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造が容易なインクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法を提供する。【解決手段】一実施形態にかかるインクジェットヘッドは、ベースと、ノズルプレートと、カバープレートと、を備える。ベースは、第1方向に並び前記第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方に開口する複数の第1の溝及び複数の第2の溝を有する。ノズルプレートは、前記第1の溝に連通するノズルを有する。カバープレートは、ドライフィルムレジストで形成され、前記ベースの前記第2方向の少なくとも一方側に配置され、前記第2の溝を塞ぐとともに、前記第1の溝に連通する開口を有する。【選択図】図7

Description

本発明の実施形態は、インクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
複数の圧力室を備えるシェアモードシェアードウォール方式のインクジェットヘッドにおいて、ノズルに連通する複数の圧力室と、これらの圧力室間に配される複数の空気室とを、所定の並列方向に交互に備える構成が知られている。このような液体吐出ヘッドは、例えば平板状のベース基板の端縁部に、複数の溝を形成し、ベース基板の両面に、空気室を覆う薄いセラミックス・ガラスなどからなるカバープレートを接着している。
特開2000−168094号公報
カバープレートは、複数の圧力室に対応する位置に開口を有するため、高い加工精度が求められる。また、ベース基板とカバープレートとを接着する際には高い位置合わせ精度が求められる。
本発明が解決しようとする課題は、製造が容易なインクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
一実施形態にかかるインクジェットヘッドは、ベースと、ノズルプレートと、カバープレートと、を備える。ベースは、第1方向に並び前記第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方に開口する複数の第1の溝及び複数の第2の溝を有する。ノズルプレートは、前記第1の溝に連通するノズルを有する。カバープレートは、ドライフィルムレジストで形成され、前記ベースの前記第2方向の少なくとも一方側に配置され、前記第2の溝を塞ぐとともに、前記第1の溝に連通する開口を有する。
第1実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図。 同インクジェットヘッドの一部を破断して内部構造を示す斜視図。 同インクジェットヘッドの一部を示す説明図。 同インクジェットヘッドの一部を示す説明図。 同インクジェットヘッドの動作を示す説明図。 同インクジェットヘッドの動作を示す説明図。 同インクジェットヘッドの製造工程を示す説明図。 同インクジェットヘッドを用いたインクジェットプリンタの構成を示す説明図。
以下に、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッド1及びインクジェット装置であるインクジェットプリンタ100について、図1乃至図8を参照して説明する。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。図中矢印X、Y,Zは、互いに直交する3方向を示している。本実施形態において、インクジェットヘッド1の第1方向がX軸に、第2方向がY軸に、第3方向がZ軸に、それぞれ沿って配置された例を示す。
図1は、第1実施形態に係るインクジェットヘッド1の斜視図であり、図2は、インクジェットヘッド1の一部を破断して内部構造を示す斜視図である。図3はインクジェットヘッド1のケース部材40の内部の構造を示す説明図である。図4はインクジェットヘッド1のベース10の構成を示す説明図である。図5及び図6はインクジェットヘッド1の動作を示す説明図である。
図1乃至図6に示すインクジェットヘッド1は、いわゆるエンドシューター型のシェアモードシェアードウォール方式のインクジェットヘッドである。
インクジェットヘッド1は、ベース10と、複数のノズル21を有するノズルプレート20と、カバー部材であるカバープレート30と、ケース部材40と、を備える。
ベース10は、基板12と、圧電部である積層圧電体13とを備える。
基板12は、方形の板状に構成されている。基板12は、好ましくは、PZT、セラミックス、ガラス、快削性セラミックス、あるいはこれらを含む材料で、構成される。
積層圧電体13は、基板12のノズルプレート20側の端縁に位置する。積層圧電体13は、2枚の圧電部材が積層されて構成される。圧電部材は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系圧電セラミックス材料で構成されている。この他、圧電部材として、環境に配慮してKNN(ニオブ酸ナトリウムカリウム)等の無鉛系圧電セラミックスを使用してもよい。2枚の圧電部材は分極方向が逆向きになるように分極され、接着層を介して接着されている。
積層圧電体13の、ノズルプレート20と対向する端面には、第1方向に並ぶ複数の溝14を有する溝列14Aが形成されている。積層圧電体13のXZ面に沿う断面は櫛歯形状である。隣接する溝14の間に形成された支柱状の部分が、溝14の容積を変化させる駆動部となる積層圧電素子15を構成する。
溝列14Aは、複数の第1の溝14aと、複数の第2の溝14bとが、第1方向に交互に配列されている。複数の溝14は、第1方向に複数並列して配置され、第2方向に沿って延び、互いに平行に配される。溝14a,14bはそれぞれ、ベース10の第2方向の全長に亘って形成されている。すなわち、溝14a,14bは、ノズルプレート20側及びカバープレート30側に開口する。各溝14a,14bの内面底部及び両側面には、電極16が形成されている。
第1の溝14aは、第2方向の両端が、フレーム部材40aの内側にて開口し、共通室C3に連通する。また、第1の溝14aに対向する位置にはノズル21が設けられている。すなわち、第1の溝14aは、共通室C3に連通するとともにノズル21に連通する圧力室C1を構成する。
第2の溝14bは、第2方向の両端部がフレーム部材40a内においてカバープレート30によって覆われている。第2の溝14bは閉塞され、共通室C3及び圧力室C1から隔てられた空気室C2を構成する。
積層圧電素子15は、ベース10の一端側において複数の溝14の間に配される。すなわち、複数の積層圧電素子15が、第1方向に並列する。各積層圧電素子15は、第1の圧電素子15aと、第1の圧電素子15aに積層される第2の圧電素子15bと、を備える。
電極16はニッケルなどの導電性材料で構成される導電膜である。電極16は、溝14a,14bの底部から基板12の上面に至って形成され、配線パターン17に接続されている。電極16は、例えば、真空蒸着法や無電解ニッケルメッキ法等の手法で形成される。例えば、無電解メッキ法であれば、微細な溝14内にも容易に金属膜を形成できる。なお、本実施形態において電極16の材料はニッケルを用いるが、これに限られるものではない。
電極16は、例えば金や銅等で形成してもよい。あるいは2種以上の導電性の膜を積層しても良い。
配線パターン17(配線電極)は、例えば電極16と同様のニッケルなどの導電性材料で形成され所定のパターン形状を有する導電膜である。配線パターン17は、ベース10の一対の主面10a,10bに形成される。配線パターン17は、例えば真空蒸着法や無電解メッキ法等の手法で電極16を形成する際に、同時に形成される。なお、基板12のZ方向他方側の部分は枠部材の外側に露出する。このため、この部位に配される配線パターン17にFPCなどで駆動回路を接続することができる。
ノズルプレート20は、例えば、厚さ10μm〜100μmのポリイミドフィルムから方形の板状に構成される。ノズルプレート20には、厚さ方向に貫通する複数のノズル21を有するノズル列が形成されている。ノズルプレート20はベース10の一端側の溝列14Aの第2方向における開口を覆うように対向配置されている。ノズル21は、複数の圧力室C1に対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、ノズルプレート20は、第1の溝14aで構成される圧力室C1に連通するノズル21を有するとともに、第2の溝14bの開口を塞ぐ。
カバープレート30はドライフィルムレジストで構成される。カバープレート30は例えばエポキシ樹脂ベースの永久膜用のフォトレジスト(永久レジスト)で形成されている。カバープレート30は、例えば膜厚が40μm〜50μm程度であり、ベース10の両端面にそれぞれ設けられる。
カバープレート30は、ノズルプレート側である一方の縁部が櫛歯状に形成された方形の板状部材である。カバープレート30の縁部には開口である複数の切欠部31が形成されている。すなわち、カバープレート30は、複数の切欠部31と、切欠部31の間に配される凸形状の複数のカバー片32とを有する。複数の切欠部31と、複数のカバー片32とを有する。複数の切欠部31と、複数のカバー片32とは交互に並ぶ。切欠部31は、カバープレート30の厚み方向に貫通して形成されている。切欠部31は第1の溝14aに対応する位置に配される。このため、第1の溝14aの第2方向の両端は、カバープレート30によって覆われずに、フレーム部材40aの内部にて開口している。したがって、第1の溝14aで構成される圧力室C1はカバープレート30の外側に形成される共通室C3に連通し、切欠部31を通じてインク等の液体が圧力室C1に流入する。
一方、カバー片32は、第2の溝14bに対応する位置に配される。このため、第2の溝14bの第2方向の両端の開口はカバープレート30のカバー片32によって塞がれ、インクの流入が防止される。
すなわち、ベース10の一端側には、共通室C3に連通する圧力室C1と、閉塞された空気室C2とが、交互に構成される。
ケース部材40は、方形の枠状に構成されるフレーム部材40aと、フレーム部材40aの開口を塞ぐプレート状の蓋部材40bと、を一体に備える。フレーム部材40aはベース10の外周を囲み、ベース10の一部の領域の外周を覆う。具体的には、フレーム部材40aは、ベース10の第1方向の端面に接合されるプレート状の一対の第1フレーム片41と、ベース10の外面である両主面10a,10bに所定距離離間して配されるプレート状の一対の第2フレーム片42と、を備える。フレーム部材40aは、カバープレート30で覆われたベース10との間に、共通室C3を形成する。共通室C3は、カバープレート30の切欠部31を通じて圧力室C1に連通する。フレーム部材40aは、インクなどの液体を案内するガイド機能を果たす。フレーム部材40aの一方側の開口縁である端縁はノズルプレート20の外周に接合され、フレーム部材40aの他方側の開口縁である端縁に蓋部材40bが設けられている。
蓋部材40bはフレーム部材40aと一体に構成されている。蓋部材40bは、外部から共通室C3にインクを流入させる供給口と、共通室C3から外部にインクを排出する排出口と、を有する矩形の板状部材である。供給口には供給流路133aが接続され、排出口には回収流路133bが接続される。蓋部材40bは、フレーム部材40aの開口の一方側を塞ぎ、共通室C3を構成する。
すなわち、ノズルプレート20とフレーム部材40aと蓋部材40bによって、ベース10のノズルプレート20側の部分であるアクチュエータ部分が覆われている。また、ベース10のうちノズルプレート20の反対側でフレーム部材40a及び蓋部材40bの外側に延びる部分の配線パターン17に駆動回路などの各種電子部品が実装される。
以上のように構成されたインクジェットヘッド1のフレーム部材40aの内部には、ノズル21に連通する複数の圧力室C1と、カバープレート30で塞がれた複数の空気室C2と、複数の圧力室C1に連通する共通室C3と、が形成される。インクジェットヘッド1は、内部に形成される圧力室C1及び共通室C3を通る流路においてインクを循環させる。
以下、本実施形態に係るインクジェットヘッド1の製造方法について図1、図3、及び図7を参照して説明する。
まず、ST1として、溝14を有さないベース10を形成する。具体例として、図7に示すように、板厚方向に分極された2枚の板状の圧電部材を分極方向が互い違いになるよう積層し、その積層体を所望の幅及び長さにカットして積層圧電体13を形成する。
さらに、積層圧電体13を構成する圧電部材とは異なる材質の板状の基板12に積層圧電体13を接着剤等で貼り付け、表面の研磨処理や、ダイシングソーやスライサー等を使用した機械加工を施して所定形状の外形を有するベース10を成形する。なお、例えば予め複数枚分の厚さのブロック状のベース部材を形成してから分割し、所定形状のベース10を複数枚製造してもよい。
続いて、ST2として、機械加工によりベース10の積層圧電体13に第1の溝14a及び第2の溝14bを形成する。さらに、各溝14a,14b内を含むベース10の外面の所定箇所に、真空蒸着法等により電極16や配線パターン17等の導電膜を形成する。
続いて、ST3として、ベース10の両面に、カバープレート30となる板状のドライフィルムレジスト30Aを貼付ける。具体的には、例えば板状のドライフィルムレジスト30Aを、ベース10の第2方向の両端面に押し当て、50℃前後の熱ローラによって熱圧着する。
続いて、ST4として、露光処理を行う。具体的には、まず、例えばネガ型のパターン形状を有するフォトマスク50をベース10の端面に重ねて配置し、フォトマスクを用いて90℃前後でプリベーク処理を施すことで、ドライフィルムレジスト30Aのフォトマスク50に覆われていない所定部位を仮硬化する。さらに、ドライフィルムレジスト30Aを専用の現像液に浸すことで、フォトマスク50のパターン形状に対応する所定部位を溶解して切欠部31となる開口を形成する。さらに120℃前後でポストベーク処理を行うことにより、ドライフィルムレジスト30Aを本硬化させる。以上の露光及び現像により、図3に示すように複数の切欠部31と凸形状のカバー片32とが交互に配される所定形状にドライフィルムレジスト30Aが成形される。例えば本実施形態においては、第1の溝14aに対向する位置に切欠部31が配されるとともに、第2の溝14bがカバー片32によって覆われる。
さらにカバープレート30の外側にフレーム部材40aを接合固定し、研磨するとともに、上面の共通室C3を覆うように蓋部材40bを接着して取り付ける。そして、溝14a,14bを覆うようにノズルプレート20を接着して取り付ける。このとき、第1の溝14aにノズル21が対向して配されるとともに第2の溝14bが閉塞される位置にノズルプレート20を取付ける。さらに、図1に示すように基板12の主面に形成された配線パターン17に、フレキシブルケーブル51を介して駆動ICチップ52や回路基板53を接続することで、インクジェットヘッド1が完成する。
次に、インクジェットヘッド1を有するインクジェットプリンタ100について、図8を参照して説明する。図8はインクジェットプリンタ100の構成を示す説明図である。図8に示すように、インクジェットプリンタ100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、搬送装置115と、制御部116と、を備える。
インクジェットプリンタ100は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る所定の搬送路A1に沿って、吐出対象物である記録媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行う液体吐出装置である。
媒体供給部112は複数の給紙カセット112aを備える。媒体排出部114は、排紙トレイ114aを備える。画像形成部113は、用紙を支持する支持部117と、支持部117の上方に対向配置された複数のヘッドユニット130と、を備える。
支持部117は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト118と、搬送ベルト118を裏側から支持する支持プレート119と、搬送ベルト118の裏側に備えられた複数のベルトローラ120と、を備える。
ヘッドユニット130は、複数のインクジェットヘッド1と、各インクジェットヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしての複数のインクタンク132と、インクジェットヘッド1とインクタンク132とを接続する接続流路133と、循環部である循環ポンプ134と、を備える。ヘッドユニット130は、液体を循環させる循環型のヘッドユニットである。
本実施形態において、インクジェットヘッド1としてシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド1C,1M,1Y,1Bと、これらの各色のインクをそれぞれ収容するインクタンク132として、インクタンク132C,132M,132Y,132Bを備える。インクタンク132は接続流路133によってインクジェットヘッド1に接続される。接続流路133は、インクジェットヘッド1の供給口に接続される供給流路133aと、インクジェットヘッド1の排出口に接続される回収流路133bと、を備える。
また、インクタンク132には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結されている。そして、インクジェットヘッド1とインクタンク132との水頭圧に対応して、負圧制御装置によりインクタンク132内を負圧制御することで、インクジェットヘッド1の各ノズルに供給されたインクを所定形状のメニスカスに形成させている。
循環ポンプ134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。循環ポンプ134は、供給流路133aに設けられている。循環ポンプ134は、配線により制御部116の駆動回路に接続される。CPU(Central Processing Unit)116aは循環ポンプ134を制御可能に構成されている。循環ポンプ134は、インクジェットヘッド1とインクタンク132を含む循環流路で液体を循環させる。
搬送装置115は、媒体供給部112の給紙カセット112aから画像形成部113を通って媒体排出部114の排紙トレイ114aに至る搬送路A1に沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置115は、搬送路A1に沿って配置される複数のガイドプレート対121a〜121hと、複数の搬送用ローラ122a〜122hと、を備えている。
制御部116は、コントローラであるCPU116aと、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
インクジェットヘッド1及びインクジェットプリンタ100において、ノズル21から液体を吐出する駆動時には、制御部116は、駆動回路により、配線パターン17を介して駆動電圧を印加する。電圧の印加により駆動する圧力室C1内の電極と、両隣の空気室C2の電極に電位差を与えると、第1の圧電素子15aと第2の圧電素子15bは互いに逆向きに変形し、両圧電素子の変形により、駆動素子が屈曲変形する。例えば、図5に示す様に、まず駆動する圧力室C1を開く方向に変形させ圧力室C1内を負圧にすることで、切欠部31からインクを圧力室C1内に導く。続いて、図6に示す様に、圧力室C1を閉じる方向に変形させ、圧力室C1内を加圧することで、ノズル21からインク滴を吐出させる。
本実施形態にかかるインクジェットヘッド1及びインクジェットプリンタ100によれば、空気室C2を塞ぎ圧力室C1を開口するカバープレート30をドライフィルムレジストで形成したことにより、複数の切欠部31を高い位置精度で構成することができるため、密に配列された圧力室C1及び空気室C2を精度良く形成することができる。例えばベース10がセラミックス材料で構成されている場合に、樹脂材料で構成されたカバープレートを熱圧着により接着すると、例えば接着時の熱処理の際にベースとカバープレートとの熱膨張率の相違により位置ずれが生じることから、高精度に製造することが困難である。一方、低温で接着できる接着剤を利用する場合には、材料の制約により耐薬品性を確保することが難しくなるため、使用できるインクが限られる。また、ベースと同様にセラミックス材料でカバープレートを形成することも考えられるが、セラミックスの板部材に高精細な加工を施す必要が生じることから、製造が困難となる。これに対し、上記本実施形態によれば、カバープレート30をドライフィルムレジストで構成することで、露光処理を用いて容易に高精細な成形が可能となるため、例えば金属材料やセラミックスの板部材を機械加工する場合と比べて製造が容易であり、製造コストを低く抑えることができる。さらに樹脂材料で構成されたカバープレート30を熱圧着により接着する場合と比べて、熱変形による位置ずれが生じ難い。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上記実施形態ではいわゆるエンドシューター型のインクジェットヘッド1を例示したが、これに限られるものではない。例えばサイドシューター型のインクジェットヘッドに適用してもよい。また、上記実施形態において、ベース10は第2方向の両端に至る溝14a,14bを有し、両側にカバープレート30が設けられた例を示したが、これに限られるものではない。例えばベース10の一方側に開口する第1の溝14a及び第2の溝14bを有し、ベース10の一方側のみにカバープレート30が配される構成としてもよい。この場合も上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、基板12に圧電部材からなる積層圧電体13を備えたベース10を例示したが、これに限るものではない。例えば基板12を用いずに圧電部材のみでベース10を形成しても良い。また、2枚の圧電部材を用いずに、1枚の圧電部材としてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、製造が容易なインクジェットヘッド及びインクジェット装置を提供できる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…インクジェットヘッド、10…ベース、12…基板、13…積層圧電体、14…溝、14A…溝列、14a…第1の溝、14b…第2の溝、15…積層圧電素子、15a…圧電素子、15b…圧電素子、16…電極、17…配線パターン、20…ノズルプレート、21…ノズル、30…カバープレート、30A…ドライフィルムレジスト、31…切欠部、32…カバー片、40…ケース部材、40a…フレーム部材、40b…蓋部材、41…フレーム片、42…フレーム片、50…フォトマスク、51…フレキシブルケーブル、52…駆動ICチップ、53…回路基板、100…インクジェットプリンタ、111…筐体、112…媒体供給部、112a…給紙カセット、113…画像形成部、114…媒体排出部、114a…排紙トレイ、115…搬送装置、116…制御部、116a…CPU、133…接続流路、133a…供給流路、133b…回収流路、134…循環ポンプ、A1…搬送路、C1…圧力室、C2…空気室、C3…共通室。

Claims (5)

  1. 第1方向に並び前記第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方に開口する複数の第1の溝及び複数の第2の溝を有する、ベースと、
    前記第1の溝に連通するノズルを有するノズルプレートと、
    ドライフィルムレジストで形成され、前記ベースの前記第2方向の少なくとも一方側に配置され、前記第2の溝を塞ぐとともに、前記第1の溝に連通する開口を有する、カバープレートと、
    を備える、インクジェットヘッド。
  2. 前記カバープレートは、永久レジストで構成された、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記ベースの外面に対向配置されるフレーム片を有し、前記ベースとの間に共通室を構成するフレーム部材を備え、
    前記第1の溝は、前記ノズル及び前記共通室に連通する圧力室を構成し、
    前記第2の溝は、前記圧力室に隣接するとともに前記カバープレートによって前記共通室から隔てられた空気室を構成する、
    請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドと、
    所定の搬送路に沿って媒体を搬送する搬送装置と、を備えることを特徴とするインクジェット装置。
  5. 第1方向に並びび前記第1方向と交差する第2方向の少なくとも一方に開口する複数の第1の溝及び複数の第2の溝を有するベースの、前記第2方向の少なくとも一方側に、ドライフィルムレジストを貼付し、
    露光処理により、前記ドライフィルムレジストを前記第1の溝に対向する部位が開口する形状に成形する、インクジェットヘッドの製造方法。
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