JP2017132210A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射装置の製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凹部の深さ及び供給路の必要な長さを確保することができると共に小型化を図ることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射装置の製造方法を提供する。【解決手段】液体を吐出するノズル開口21に連通する個別流路12が形成された流路形成基板10と、複数の個別流路12に共通して連通する共通流路100の少なくとも一部を構成する凹部18が流路形成基板10とは反対側に開口して設けられた連通板15と、を具備し、連通板15には、凹部18と個別流路12とを連通する絞り部となる供給路19と、個別流路12とノズル開口21とを連通する連通路16とが形成されている。個別流路12においては、供給路19に連通する部分から連通路16に連通する部分までの間には個別流路12を絞る絞り部が設けられていない。【選択図】図4

Description

本発明は、ノズル開口から液体を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射装置の製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置並びにインクジェット式記録装置の製造方法に関する。
液滴を噴射する液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口と、ノズル開口に連通する圧力発生室と、を具備し、圧力発生手段によって圧力発生室内のインクに圧力変化を生じさせることで、ノズル開口からインク滴を吐出させるものがある。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、流路形成基板に圧力発生室と、圧力発生室にマニホールドのインクを供給する流路の絞り部である供給路とを設けた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドでは、複数の圧力発生室が形成された圧力室形成基板と、複数の圧力発生室に共通して連通する共通流路(マニホールドとも言う)の少なくとも一部を構成する凹部が形成された連通基板とを積層し、連通基板の圧力室形成基板とは反対側に凹部を設けると共に、連通基板に凹部と各圧力発生室とを連通する供給路を積層方向に沿って貫通して設けた構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−018642号公報 特開2014−037133号公報
しかしながら、供給路は、その流路抵抗がインクの吐出特性に大きな影響を及ぼすため、流路断面積(穴径)や流路長さを適切に設定しなければならないが、特許文献1のように流路形成基板に供給路を設けた構成では、供給路によって流路形成基板が大型化してしまうという問題がある。
また、特許文献2のように連通板に供給路を設けた構成では、流路長さを適切に設定すると、マニホールドの一部を構成する凹部の深さが減少し、凹部における流路抵抗が大きくなってしまうという問題がある。これに対して、凹部を深く形成すると、供給路の流路長が不足し、適切な流路長で供給路を形成することができなくなってしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに限定されず、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、凹部の深さ及び供給路の必要な長さを確保することができると共に小型化を図ることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を吐出するノズル開口に連通する個別流路が形成された流路形成基板と、複数の個別流路に共通して連通する共通流路の少なくとも一部を構成する凹部が前記流路形成基板とは反対側に開口して設けられた連通板と、を具備し、前記凹部は、第1凹部と、前記第1凹部よりも深さの深い第2凹部と、を具備し、前記連通板は、前記第1凹部の底面に開口して設けられて、前記凹部と前記個別流路とを連通して、前記個別流路に対して流路を絞った絞り部となる供給路と、前記個別流路と前記ノズル開口とを連通する連通路と、を具備し、前記個別流路において、前記供給路に連通する部分から前記連通路に連通する部分までの間に当該個別流路を絞る絞り部が設けられていないことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、供給路を第1凹部の底面に開口させることで、供給路の長さを確保して、圧力損失を低減して吐出効率を向上することができる。さらに、第2凹部を設けることで、マニホールドの容積を確保することができると共に小型化することができる。また、絞り部を流路形成基板に設けないようにすることで、流路形成基板の大型化を抑制して小型化を図ることができる。また、供給路と連通路とを連通板に設けることで、供給路と連通路との位置ずれによる液体の吐出特性のばらつきを抑制することができる。
ここで、前記連通路と前記供給路とは、前記連通板の一方面側から異方性エッチングすることにより形成されたものであることが好ましい。これによれば、連通路と供給路との相対的な位置ずれをさらに抑制することができる。
また、前記連通板が、1枚の基板からなることが好ましい。これによれば、積層基板を用いた場合に比べて、積層基板の位置ずれによる精度の低下を抑制することができる。
また、前記連通板が、複数枚の基板が積層されたものであることが好ましい。これによれば、エッチング等によって容易に加工することができる。
また、前記第1凹部と前記第2凹部との間には、前記第1凹部の底面から前記第2凹部の底面に向けて傾斜した傾斜面が形成されていることが好ましい。これによれば、傾斜面を設けることで、液体の流れの澱みを抑制して気泡排出性を向上することができる。
また、前記連通板は、表面の結晶面方位が{110}面となるシリコン基板であり、前記第1凹部及び前記第2凹部の底面は、結晶面方位が{110}面で形成されていることが好ましい。これによれば、異方性エッチングによって精密加工を行って、高精度な第1凹部、第2凹部を形成することができる。また、供給路を{110}面となる第1凹部の底面に開口させることで、加工精度を向上して形状安定性を向上することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、圧力損失を低減して吐出効率を向上することができると供に小型化した液体噴射装置を実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、液体を吐出するノズル開口に連通する個別流路が形成された流路形成基板と、複数の個別流路に共通して連通する共通流路の少なくとも一部を構成する凹部が前記流路形成基板とは反対側に開口して設けられた連通板と、を具備し、前記凹部は、第1凹部と、前記第1凹部よりも深さの深い第2凹部と、を具備し、前記連通板は、前記第1凹部の底面に開口して設けられて、前記凹部と前記個別流路とを連通して、前記個別流路に対して流路を絞った絞り部となる供給路と、前記個別流路と前記ノズル開口とを連通する連通路と、を具備し、前記個別流路において、前記供給路に連通する部分から前記連通路に連通する部分までの間に当該個別流路を絞る絞り部が設けられていない液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記連通板の前記凹部が開口する面とは反対面側から異方性エッチングすることによって前記連通路と前記供給路とを形成する工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、供給路と連通路とを連通板に設けることで、供給路と連通路との位置ずれによる液体の吐出特性のばらつきを抑制することができる。また、連通板の一方面側から連通路と供給路とを形成することで、連通板と供給路との相対的な位置ずれをさらに抑制することができる。
ここで、前記連通板に前記連通路と前記供給路とを形成する工程では、同一のマスクを用いることが好ましい。これによれば、同一のマスクを用いて連通路と供給路とを形成することで、異なるマスクを用いた場合に比べて連通路と供給路との相対的な位置ずれをさらに抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る流路形成基板の平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る連通板の平面図である。 本発明の実施形態1に係る連通板の要部を切り欠いた斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る連通板の平面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態2に係る連通板の要部を切り欠いた斜視図である。 本発明の実施形態2に係る連通板の変形例の平面図である。 本発明の実施形態3に係る連通板の平面図である。 本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態3に係る連通板の要部を切り欠いた斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、記録ヘッドの流路形成基板の要部平面図であり、図3は、図2のA−A′線断面図であり、図4は、図3の要部を拡大した断面図であり、図5は、図2のB−B′線断面図であり、図6は、連通板の平面図であり、図7は、連通板の要部を切り欠いた斜視図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1とも言う)を構成する流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された本実施形態の個別流路である圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの両方に直交する方向を第3の方向Zと称し、詳しくは後述するケース部材40側をZ1側、ノズルプレート20側をZ2側と称する。なお、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いにそれぞれ直交する方向としたが、特にこれに限定されず、直交以外の角度で交差する方向であってもよい。
また、本実施形態では、各個別流路である各圧力発生室12は、第2の方向Yに亘って第1の方向Xに横断する断面積が略同じ大きさとなるように形成されている。すなわち、圧力発生室12は、第1の方向Xの幅及び第3の方向Zの深さが、第2の方向Yに亘って略同一となっている。
このような流路形成基板10のZ2側の面側には、連通板15と、ノズルプレート20とが順次積層されている。
連通板15には、図3及び図4に示すように、圧力発生室12とノズル開口21とを連通する連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通する連通路16の開口を覆うだけで良いので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、複数の個別流路である圧力発生室12に共通して連通する共通流路であるマニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、本実施形態の凹部である第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられた凹部となっている。
ここで第2マニホールド部18は、図4〜図7に示すように、流路形成基板10とは反対側であるZ2側の面に開口する第1凹部181と、Z2側の面に開口して第1凹部181よりも深い第2凹部182と、を具備する。第1凹部181と第2凹部182とは、第2の方向Yに並んで形成されており、第2凹部182の第1マニホールド部17とは反対側に第1凹部181が配置されている。
このような第1凹部181と第2凹部182とは、第3の方向Zの深さの違いによって段差状に形成されている。言い換えると、第2凹部182から見ると、Z2側に盛り上がった台地状の部分に第1凹部181が形成されている。そして、第1凹部181と第2凹部182との間には、第2凹部182の底面から第1凹部181の底面に向かって傾斜する傾斜面183が設けられている。この傾斜面183は、第3の方向Zに対して傾斜して設けられており、傾斜面183の傾斜方向は、第2凹部182の底面から第1凹部181の底面に向かう方向、すなわち、第2凹部182の第2の方向Yの幅が徐々に漸大する方向となっている。なお、第1凹部181の底面及び第2凹部182の底面とは、第1凹部181及び第2凹部182のそれぞれのZ1側の面のことである。本実施形態では、第1凹部181の底面及び第2凹部182の底面は、第1の方向X及び第2の方向Yを含む平坦面としたが、特にこれに限定されず、例えば、第1凹部181の底面及び第2凹部182の底面は、第3の方向Zに直交する方向に対して傾斜した面であってもよい。
また、傾斜面183は、互いに角度の異なる第1傾斜面183aと、第2傾斜面183bとを第1の方向Xに交互に並設して形成されている。すなわち、角度の異なる第1傾斜面183aと第2傾斜面183bとを交互に繰り返して並設することで、傾斜面183が形成されている。
ここで、連通板15は、本実施形態では、表面の結晶面方位が{110}面のシリコン基板(シリコン単結晶基板)からなる。そして、少なくとも第2マニホールド部18は、連通板15をZ1側の面からKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより形成されている。異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。本実施形態では、連通板15のZ1及びZ2側の面の面方位が{110}のシリコン単結晶基板からなるため、シリコン単結晶基板の{110}面のエッチングレートと比較して{111}面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。すなわち、シリコン単結晶基板をアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に浸食されて{110}面に垂直な第1の{111}面と、この第1の{111}面と約70度の角度をなし且つ上記{110}面に垂直な第2の{111}面と、上記{110}面と約35度の角度をなし且つ第1の{111}面と54.74度の角度をなす第3の{111}面とが出現する。本実施形態では、第1凹部181の底面及び第2凹部182の底面を{110}面で形成した。また、本実施形態では、傾斜面183を構成する第1傾斜面183aは、(エッチングレートの大きい)任意の面で形成され、第2傾斜面183bは、第3の{111}面で形成されている。すなわち、傾斜面183は、互いに角度の異なる第1傾斜面183aと第2傾斜面183bとが第1の方向Xに交互に並設され形成されている。
また、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給路19が、圧力発生室12の各々に対応して独立して設けられている。この供給路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。本実施形態では、供給路19は、第1凹部181の底面である{110}面に開口して設けられている。また、供給路19は、圧力発生室12の並設方向である第1の方向Xに並設されている。ここで、供給路19は、圧力発生室12及びマニホールド100に対して流路を絞る絞り部として機能する。なお、本願発明の絞り部とは、流路の液体が流れる方向において、この方向を横断する面積が広い部分から狭くなった後、再度広くなる部分を言う。つまり、インクの流れる方向に対して、幅及び深さの少なくとも一方が減少した後、増大する部分を言う。ちなみに、流路の幅及び深さの少なくとも一方が減少したままのものや、流路の幅及び深さの少なくとも一方が増大したままのものは、絞り部とは言わない。本実施形態では、供給路19の横断面積は、圧力発生室12の横断面積よりも小さくなっている。このため、供給路19が、マニホールド100から圧力発生室12までの間で流路を絞る絞り部として機能する。
一方、流路形成基板10には、本実施形態では、圧力発生室12のみが形成されており、流路を絞る絞り部が形成されていない。つまり、本実施形態では、圧力発生室12をその第1の方向Xの幅及び第3の方向Zの深さが第2の方向Yに亘って略同一となるようにしたため、流路形成基板10には、流路の横断面積が基準となる部分から減少した後、増大する流路が形成されていない。なお、圧力発生室12の形状は特にこれに限定されず、例えば、第3の方向Zから平面視した際に、円形状、楕円形状、台形状等であってもよい。ちなみに、圧力発生室12が台形状の場合には、供給路19側が上底であっても下底側であってもよい。何れにしても、圧力発生室12を平面視した際に円形状、楕円形状、台形状等の場合には、圧力発生室12である流路の供給路19に連通する部分から連通路16に連通する部分までの間に、横断面積が減少した後、増大する、いわゆる絞り部が設けられていないことになる。
このように絞り部となる供給路19を流路形成基板10に設けずに、連通板15に設けることで、流路形成基板10の小型化を図ることができる。すなわち、流路形成基板10に圧力発生室12と供給路19とを設ける場合、供給路19を設けるスペースが必要となって大型化してしまうが、本実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12を設け、絞り部である供給路19等を設けないようにしたため、流路形成基板10の小型化を図ってコストを低減することができる。
また、連通板15に連通路16と供給路19とを設けることで、流路形成基板10に絞り部である供給路を設ける場合に比べて、連通路16と供給路19との位置ずれを抑制することができる。ちなみに、流路形成基板10に供給路を設けた場合、連通板15に設けられた連通路16と流路形成基板10に設けられた供給路との相対位置は、連通板15と流路形成基板10との位置決め精度が大きく影響されるため、位置決め精度によって位置ずれが生じ易い。これに対して、本実施形態では、連通板15に連通路16と供給路19とを設けているため、連通路16と供給路19との相対位置は、連通板15と流路形成基板10との位置決め精度が影響することがない。そして、圧力発生室12の実質的な長さは、供給路19に連通する部分から連通路16に連通する部分によって規定されるため、本実施形態において圧力発生室12の実質的な長さは、連通板15と流路形成基板10との位置ずれが影響することがなく、圧力発生室12の長さのばらつきを抑制してインクの吐出特性のばらつきを低減することができる。
また、連通板15において、連通路16と供給路19とは、第3の方向Zの一方面側から異方性エッチングによって形成するのが好ましい。すなわち、連通路16と供給路19とは、連通板15の一方面に設けられた同じマスクを用いて形成するのが好適である。このように、連通路16を形成するマスクと、供給路19を形成するマスクとを同一のマスクとすることで、連通路16と供給路19との相対的な位置ずれを抑制することができる。ちなみに、連通路16と供給路19との位置にばらつきが生じると、供給路19から連通路16までの圧力発生室12の実質的な長さにばらつきが生じ、インク滴の吐出特性にばらつきが生じて印刷品質が低下してしまう。本実施形態では、連通路16と供給路19とを同一のマスクを用いて形成することで、連通路16と供給路19との位置ずれを抑制して、圧力発生室12の実質的な長さのばらつきを抑制して、吐出特性のばらつきを抑制し、印刷品質を向上することができる。
また、マニホールド100と圧力発生室12とを連通する供給路19を、第1凹部181の底面に開口させることで、第2凹部182の深さに影響されることなく、供給路19の流路の長さを確保して、適切に設定することができる。すなわち、供給路19の長さを確保して、供給路19の圧力損失を低減して、吐出効率を向上することができる。ちなみに、供給路19における圧力損失は、供給路19の開口径と長さとによって決まるものであるが、開口径の小径化は技術的に限界がある。このため、供給路19の開口径によって吐出効率が足りない場合には、長さを確保して吐出効率を向上する必要がある。本実施形態では、供給路19を第2凹部182よりも浅い第1凹部181の底面に開口させることで、供給路19の開口径の小径化が困難であっても、供給路19の長さを確保して、吐出効率を向上させることができる。また、供給路19が開口する第1凹部181よりも深い第2凹部182を設けることで第2マニホールド部18の容積を確保することができ、第2マニホールド部18における圧力損失を低減して、吐出効率を向上することができる。そして、このような構成を採用することにより、連通板15の第3の方向Zの厚さが薄くなる傾向にあっても、供給路19の長さ及び第2マニホールド部18の深さ(第2凹部182の深さ)の確保を両立させることができるので、インク吐出特性等を低下させることなく、すなわち、吐出特性に影響を及ぼすことなく記録ヘッド1の小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、供給路19を第1凹部181の底面である{110}面、すなわち平坦面に開口させることで、第1凹部181をエッチングによって形成した際に、供給路19の流路長を高精度に規定することができると共に、供給路19の第1凹部181側における開口部分を高精度に形成することができる。ちなみに、供給路19を傾斜面183に開口させると、傾斜面183の位置のばらつきによって供給路19の流路長にばらつきが生じてしまう。また、傾斜面183に供給路19を開口させると、開口形状が安定せずに精度が低下してしまう。
また、本実施形態では、第1凹部181と第2凹部182との間に傾斜面183を設けるようにしたため、傾斜面183と第2凹部182の底面とがなす角度を鈍角とすることができる。したがって、この傾斜面183と第2凹部182の底面との間の角部のインクの流れを向上して、角部における気泡の滞留を抑制することができる。なお、本実施形態では、第1凹部181も異方性エッチングによって形成したため、第1凹部181と連通板15のノズルプレート20が接合される面との間にも傾斜面183と同様の傾斜面が形成されている。
このような連通板15のZ2側に接合されたノズルプレート20には、各圧力発生室12と連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
一方、流路形成基板10のZ1側の面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、流路形成基板10の振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが成膜及びリソグラフィー法によって積層されて圧電アクチュエーター300を構成している。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、圧電素子300ともいい、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。また、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分を能動部310と称する。本実施形態では、詳しくは後述するが、圧力発生室12毎に能動部310が形成されている。つまり、流路形成基板10上には複数の能動部310が形成されていることになる。そして、一般的には、能動部310の何れか一方の電極を複数の能動部310に共通する共通電極とし、他方の電極を能動部310毎に独立する個別電極として構成する。本実施形態では、第1電極60を個別電極とし、第2電極80を共通電極としているが、これを逆にしてもよい。なお、上述した例では、振動板50及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
ここで、本実施形態の圧電アクチュエーター300を構成する第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けてあり、圧電アクチュエーター300の実質的な駆動部である能動部310毎に独立する個別電極を構成する。この第1電極60は、圧力発生室12の第1の方向Xにおいては、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で形成されている。すなわち、圧力発生室12の第1の方向Xにおいて、第1電極60の端部は、圧力発生室12に対向する領域の内側に位置している。また、第2の方向Yにおいて、第1電極60の両端部は、それぞれ圧力発生室12の外側まで延設されている。
圧電体層70は、第2の方向Yが所定の幅となるように、第1の方向Xに亘って連続して設けられている。圧電体層70の第2の方向Yの幅は、圧力発生室12の第2の方向Yの長さよりも広い。このため、圧力発生室12の第2の方向Yでは、圧電体層70は圧力発生室12の外側まで設けられている。
圧力発生室12の第2の方向Yにおいて、圧電体層70のインク供給路側の端部は、第1電極60の端部よりも外側に位置している。すなわち、第1電極60の端部は圧電体層70によって覆われている。また、圧電体層70のノズル開口21側の端部は、第1電極60の端部よりも内側(圧力発生室12側)に位置しており、第1電極60のノズル開口21側の端部は、圧電体層70に覆われていない。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
このような圧電体層70には、各隔壁に対応する凹部71が形成されている。この凹部71の第1の方向Xの幅は、各隔壁の第1の方向Xの幅と略同一、もしくはそれよりも広くなっている。これにより、振動板50の圧力発生室12の第2の方向Yの端部に対向する部分(いわゆる振動板50の腕部)の剛性が押さえられるため、圧電アクチュエーター300を良好に変位させることができる。
第2電極80は、圧電体層70の第1電極60とは反対面側に設けられており、複数の能動部310に共通する共通電極を構成する。また、第2電極80は、凹部71の内面、すなわち、圧電体層70の凹部71の側面内に設けるようにしても良く、設けないようにしてもよい。
また、圧電アクチュエーター300の第1電極60からは、引き出し配線である個別配線91が引き出されている。また、第2電極80からは、引き出し配線である共通配線92が引き出されている。さらに、個別配線91及び共通配線92の圧電アクチュエーター300に接続された端部とは反対側の延設された端部には、フレキシブルケーブル120が接続されている。フレキシブルケーブル120は、可撓性を有する配線基板であって、本実施形態では、駆動素子である駆動回路121が実装されている。
このような流路形成基板10のZ1側の面側には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列の間に第2の方向Yに2つ並んで形成されている。また、保護基板30には、第2の方向Yで並設された2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出された個別配線91及び共通配線92の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、個別配線91及び共通配線92とフレキシブルケーブル120とは、貫通孔32内で電気的に接続されている。なお、個別配線91及び共通配線92と、フレキシブルケーブル120との接続方法は、特に限定されず、例えば、ハンダ付けやろう付けなどのろう接や、共晶接合、溶接、導電性粒子を含む導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)等が挙げられる。
また、保護基板30上には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100を流路形成基板10と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40と流路形成基板10とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40と流路形成基板10とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。マニホールド100は、圧力発生室12の並設方向である第1の方向Xに亘って連続して設けられており、各圧力発生室12とマニホールド100とを連通する供給路19は、第1の方向Xに並設されている。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口するZ2側の面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、可撓性を有する薄膜からなる封止膜46と、金属等の硬質の材料からなる固定基板47と、を具備する。固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通してフレキシブルケーブル120が挿通される接続口43が設けられている。
このような記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクを導入路44から取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路121からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各能動部310に電圧を印加することにより、能動部310と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
ここで、記録ヘッド1の製造方法、特に、連通板15の形成方法について、図8〜図14を参照して説明する。なお、図8〜図14は、記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
まず、図8に示すように、連通板15となるシリコン単結晶基板である基材150の表面に第1マニホールド部17となる部分に開口部152を有するマスク151を形成する。このとき、第2凹部182が形成される領域と、第1凹部181が形成される領域のマスク151をハーフエッチングすることにより段階的に薄くする。これにより、後の工程でマスク151の厚さを減らすことで、第1凹部181が形成される領域及び第2凹部182が形成される領域が段階的に開口するようにする。また、開口部152が形成された一方面側のマスク151とは反対の他方面側に設けられたマスク151には、供給路19が形成される領域に開口部155と、連通路16が形成される領域に開口部156とを形成する。
次に、連通路16及び供給路19を形成する。本実施形態では、図9に示すように、連通路16となる連通路下穴161と、供給路19となる供給路下穴191とを形成した後、後の工程で基材150を異方性エッチングして第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18等を形成する際に連通路下穴161及び供給路下穴191の内壁面を同時にエッチングすることで連通路16及び供給路19を形成する。なお、連通路下穴161及び供給路下穴191は、レーザー加工、ドライエッチング、サンドブラスト加工等によって形成することができる。
次に、図10に示すように、基材150をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチングすることにより、第1マニホールド部17の深さの一部を形成する。すなわち、ここでは、第1マニホールド部17の深さを完全に形成することなく、その一部のみを形成する。また、この第1マニホールド部17の一部を形成する異方性エッチングにおいて、同時に連通路下穴161及び供給路下穴191の内壁面をエッチングすることで、連通路16及び供給路19の深さ方向の一部を形成する。
次に、図11に示すように、マスク151の厚さを薄くする。これにより、第2凹部182が形成される領域に開口部153が形成される。
次に、図12に示すように、基材150を異方性エッチングすることにより、第2凹部182の深さの一部を形成する。また、同時に基材が異方性エッチングされることにより、第1マニホールド部17の深さの一部も形成される。さらに、同時に連通路下穴161及び供給路下穴191の内壁面をエッチングすることで、連通路16及び供給路19の深さ方向の一部を形成する。
次に、図13に示すように、マスク151の厚さを薄くする。これにより、第2凹部182が形成される領域に加えて第1凹部181が形成される領域も開口する開口部154を形成する。
次に、図14に示すように、基材150を異方性エッチングすることにより、第1凹部181と第2凹部182とを有する第2マニホールド部18を形成する。すなわち、この工程では、第1凹部181を形成すると同時に第2凹部182の残りを形成する。また、第1マニホールド部17が完全に形成される。また、このとき、同時に連通路下穴161及び供給路下穴191の内壁面をエッチングすることで、連通路16及び供給路19が完全に形成される。
以上の工程によって連通板15に連通路16と、供給路19と、第1凹部181及び第2凹部182を有する第2マニホールド部18と、第1マニホールド部17とが形成される。
このように、連通板15の基材150は、表面の結晶面方位が{110}面のシリコン単結晶基板からなるため、第1凹部181及び第2凹部182の底面は{110}面で形成される。また、第1凹部181と第2凹部182との間の傾斜面183は、(エッチングレートの大きい)任意の面である第1傾斜面183aと、第3の{111}面である第2傾斜面183bとで形成される(図7参照)。したがって、傾斜面183を別途形成する工程が不要となり、コストを低減することができる。
また、連通路16と供給路19とを一方面側から異方性エッチングすることによって形成することで、連通路16と供給路19とを同一のマスク151を用いて形成することができる。そして、同一のマスク151を用いて連通路16と供給路19とを形成することで、連通路16と供給路19との位置ずれを抑制することができる。したがって、圧力発生室12の実質的な長さのばらつきを抑制して、吐出特性のばらつきを抑制し、印刷品質を向上することができる。
(実施形態2)
図15は、本発明の実施形態2に係る連通板の平面図であり、図16は、図15のC−C′線に準じた記録ヘッドの要部を拡大した断面図であり、図17は、連通板の要部を切り欠いた斜視図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、圧力発生室12とマニホールド100とを連通する供給路19は、第1の方向Xに直線状に並設されている。そして、供給路19は、第1凹部181の底面に開口して設けられている。
本実施形態では、図15に示すように、傾斜面183を構成する第2傾斜面183bの第1の方向Xにおけるピッチdは、供給路19のピッチdよりも小さい(d<d)。ちなみに、傾斜面183における気泡排出性は、第1の方向Xのインク速度、インク物性、第2傾斜面183bのピッチdにより決定される。なお、ピッチdとは、第1の方向Xで互いに隣り合う第2傾斜面183bの中心間の距離のことであり、ピッチdとは、第1の方向Xで互いに隣り合う供給路19の中心間の距離のことである。
このように、第2傾斜面183bのピッチdを供給路19のピッチdよりも小さくすることで、傾斜面183において第1の方向Xに移動する気泡200の引っかかりを抑制して、気泡200を傾斜面183に沿って第1の方向Xに移動し易くすることができる。すなわち、マニホールド100内のインクに含まれる気泡200は、第2凹部182の底面(鉛直方向における天井面)において傾斜面183に沿って第1の方向Xに移動して成長し、成長した気泡200をインクによって押し流させて排出し易くすることができる。
また、第1凹部181と第2凹部182との間に傾斜面183を設けるようにしたため、傾斜面183と第2凹部182の底面とがなす角度を鈍角とすることができる。したがって、この傾斜面183と第2凹部182の底面との間の角部のインクの流れを向上して、角部における気泡の滞留を抑制することができる。なお、本実施形態では、第1凹部181も異方性エッチングによって形成したため、第1凹部181と連通板15のノズルプレート20が接合される面との間にも傾斜面183と同様の傾斜面が形成されている。この第1凹部181と連通板15のノズルプレート20が接合される面との間の傾斜面のピッチについては、傾斜面183と同様のピッチであってもよく、供給路19と同様のピッチであってもよい。
ちなみに、供給路19のピッチdは、ノズル開口21のピッチに合わせて形成されたものであり、ノズル開口21が300dpiの場合には、供給路19のピッチdは約84.7μmとなる。これに対して、第2傾斜面183bのピッチdとしては、84.7μmよりも小さなピッチであればよく、例えば、ノズル開口21が600dpiの場合のピッチ、すなわち、約42.4μm以下であるのが好ましく、1200dpiの場合のピッチ、すなわち、約21.3μmが好適である。このように、第2傾斜面183bのピッチdを約42.4μm以下、好ましくは21.3μm以下とすることで、傾斜面183の第2の方向Yへの出っ張りが小さくなるため、傾斜面183において気泡200が引っかかることなく、気泡200を第1の方向Xに移動させることができる。
なお、供給路19の一部をインクの吐出に用いないダミー圧力発生室に連通するダミー用供給路とし、ダミー用供給路からノズル開口21に至るまでの流路抵抗を小さくすることで、気泡200を傾斜面183に沿って第1の方向Xに移動させて、気泡200をダミー用供給路から容易に排出することができる。
ここで、このような例を図18に示す。なお、図18は、本発明の実施形態2に係る連通板の変形例を示す平面図である。
図18に示すように、供給路19は、吐出用供給路19Aと、ダミー用供給路19Bとに分けられる。ダミー用供給路19Bは、供給路19の並設方向である第1の方向Xの両端部のそれぞれに1個以上、本実施形態では、2個設けられている。
ダミー用供給路19Bのピッチdは、吐出用供給路19Aのピッチdよりも大きくなっている(d>d)。このようにダミー用供給路19Bのピッチdを、吐出用供給路19Aのピッチdよりも大きくすることで、ダミー用供給路19Bからノズル開口21までの流路の断面積を大きくすることができる。すなわち、隣り合うダミー用供給路19Bのピッチdを大きくすることで、隣り合うダミー用供給路19Bの間にスペースを確保することができる。したがって、ダミー用供給路19Bの開口径を大きくすることができる。また、ダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12のピッチもダミー用供給路19Bに合わせて大きくすれば、ダミー用供給路19Bの開口径に関わらずダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12の横断面積を大きくすることができる。同様に、連通路16の横断面積も大きくすることができると共に、ノズル開口21も大きくすることができる。すなわち、ダミー用供給路19Bのピッチdを大きくすることで、それに連通する圧力発生室12、連通路16及びノズル開口21などの流路のピッチも大きくすることができる。つまり、ダミー用供給路19Bのピッチdを大きくすることで、ダミー用供給路19B、圧力発生室12、連通路16及びノズル開口21から選択される少なくとも1つの横断面積を大きくすることができる。これによりダミー用供給路19Bからノズル開口21までの流路抵抗を、吐出用供給路19Aからノズル開口21までの流路抵抗に比べて低減することができ、気泡排出性をさらに向上することができる。
このようにマニホールド100内のインクに含まれる気泡200は、ダミー用供給路19Bを介してノズル開口21から排出され易くすることで、気泡200が印刷などの吐出に用いる吐出用供給路19Aや圧力発生室12、連通路16及びノズル開口21に侵入するのを抑制することができるため、インク滴の吐出不良を抑制することができる。
なお、図18に示す例では、ダミー用供給路19Bを供給路19の並設方向である第1の方向Xの両端部のそれぞれに設けるようにしたが、特にこれに限定されず、ダミー用供給路19Bの位置は特に限定されるものではない。ダミー用供給路19Bが何れの位置に配置されていても、傾斜面183に沿って気泡200がダミー用供給路19Bに向かって移動し易く、気泡排出性を向上することができる。もちろん、ダミー用供給路19Bの数、すなわち、ダミー圧力発生室12Bの数も特にこれに限定されず、1つであってもよく、2以上の複数であってもよい。
また、図18に示す例では、吸引クリーニングを全てのノズル開口21に対して行った場合について説明したが、もちろん、吸引クリーニングをダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21のみに対して行うようにしてもよい。つまり、ダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21のみから吸引動作を行う吸引手段を具備するようにしてもよい。吸引手段としては、液体噴射面20aに当接してノズル開口21を覆うキャップと、キャップ内を吸引して負圧にする吸引ポンプ等の吸引装置とを具備する従来周知のものを用いることができる。ちなみに、吸引手段がダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21のみを吸引する場合には、ダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21のみを覆うキャップを用いればよい。また、キャップが全てのノズル開口21を覆う場合には、ダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21以外を閉塞する閉塞手段等をさらに設ければよい。このように、ダミー用供給路19Bに連通する圧力発生室12に連通するノズル開口21のみから吸引クリーニングを行った場合であっても、気泡200を傾斜面183に沿って第1の方向Xに移動させ易くして、ダミー用供給路19Bからインクの気泡の排出を効率よく行うことができる。また、図18に示す例では、ダミー用供給路19Bを供給路19の並設方向である第1の方向Xの両端部にそれぞれ設けるようにした。このため、マニホールド100内において気泡の滞留し易い第1の方向Xの両端部の気泡をダミー用供給路19Bから排出することができ、気泡の滞留をさらに抑制することができる。もちろん、吸引手段による吸引動作は、ダミー用供給路19Bを有さない記録ヘッドのノズル開口21に対して選択的に行うようにしてもよい。これにより、吸引動作を行ったノズル開口21に連通する供給路19に向かって傾斜面183を気泡200が移動して、吸引動作を行ったノズル開口21からの気泡排出性を向上することができる。
(実施形態3)
図19は、本発明の実施形態3に係る連通板の平面図であり、図20は、図19のD−D′線に準じた記録ヘッドの要部を拡大した断面図であり、図21は、図19のE−E′線に準じた記録ヘッドの要部を拡大した断面図であり、図22は、図19のF−F′線に準じた記録ヘッドの要部を拡大した断面図であり、図23は、連通板の要部を切り欠いた斜視図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態では、図示するように、圧力発生室12は、連通するノズル開口21からインク滴の吐出に用いられる吐出用圧力発生室12Aと、連通するノズル開口21からインク滴の吐出に用いられないダミー圧力発生室12Bとに分けられる。なお、インク滴の吐出に用いられないダミー圧力発生室12Bとは、紙や記録シート等の被噴射媒体にインク滴を着弾させて文字や画像を形成する、所謂、印刷に用いられないものを言う。すなわち、印刷には吐出用圧力発生室12Aに連通するノズル開口21から吐出されたインク滴が用いられる。ちなみに、印刷に用いなければ、つまり、被噴射媒体にインク滴を着弾させなければ、ダミー圧力発生室12Bに連通するノズル開口21から圧電アクチュエーター300の駆動によりインク滴を吐出させてもよい。なお、ダミー圧力発生室12Bに連通するノズル開口21からは、クリーニング時のインクの排出が行われる。ちなみに、クリーニングとは、インク滴の吐出、所謂、フラッシングや、ノズル開口21をキャップで覆い、キャップ内を吸引ポンプ等で負圧にすることによってノズル開口21からダミー圧力発生室12B及びマニホールド100内のインクを気泡やゴミ等の異物と共に吸引する吸引クリーニング等が挙げられる。
本実施形態では、第1の方向Xに並設された圧力発生室12のうち、第1の方向Xの両端部側に設けられた1以上の圧力発生室12をダミー圧力発生室12Bとし、それ以外の圧力発生室12を吐出用圧力発生室12Aとした。また、本実施形態では、ダミー圧力発生室12Bを第1の方向Xの両端部のそれぞれに4個ずつ、合計8個設けるようにした。
また、供給路19は、吐出用圧力発生室12Aに連通する吐出用供給路19Aと、ダミー圧力発生室12Bに連通するダミー用供給路19Bとに分けられる。そして、吐出用供給路19Aは、図19、図20、図21及び図23に示すように、第1凹部181の底面に開口して設けられている。これにより、マニホールド100と吐出用圧力発生室12Aとを連通する吐出用供給路19Aの流路長を長く確保することができる。
これに対して、ダミー用供給路19Bは、図19、図20、図22及び図23に示すように、第2凹部182の底面に開口して設けられている。すなわち、供給路19のうち、ダミー用供給路19Bが開口する部分には、第2凹部182が形成されている。つまり、供給路19は、第1の方向Xに並設されているため、第1凹部181は、供給路19の並設方向の中央部側に設けられ、第2凹部182は、供給路19の並設方向の両端部側に延設されている。ダミー用供給路19Bを第2凹部182の底面に開口させることで、マニホールド100とダミー圧力発生室12Bとを連通するダミー用供給路19Bの流路長を吐出用供給路19Aに比べて短くすることができる。なお、本実施形態では、吐出用供給路19Aとダミー用供給路19Bとは、本実施形態では、第3の方向ZのZ1側において同じ面に開口することで、その長さに差が生じるものである。このため、吐出用供給路19Aとダミー用供給路19BとがZ1側で開口する位置が異なる場合には、吐出用供給路19Aとダミー用供給路19Bとの長さの関係が、上述した条件と同じになるようにZ1側の開口を配置する必要がある。
このように、吐出用供給路19Aを第1凹部181の底面に開口させることで、吐出用供給路19Aの長さを第2凹部182の深さに左右されることなく、必要な長さを適切に設定することができる。すなわち、吐出用供給路19Aの長さを確保して、吐出用供給路19Aの圧力損失を低減して、吐出効率を向上することができる。また、吐出用供給路19Aが開口する第1凹部181よりも深い第2凹部182を設けることで第2マニホールド部18の容積を確保することができ、第2マニホールド部18における圧力損失を低減して、吐出効率を向上することができる。そして、このような構成を採用することにより、連通板15の第3の方向Zの厚さが薄くなる傾向にあっても、吐出用供給路19Aの長さ及び第2マニホールド部18の深さ(第2凹部182の深さ)の確保を両立させることができるので、インク吐出特性等を低下させることなく、すなわち、吐出特性に影響を及ぼすことなく記録ヘッド1の小型化を図ることができる。
また、ダミー用供給路19Bを第2凹部182の底面に開口させて、その長さを短くすることで、ダミー用供給路19Bの流路抵抗を吐出用供給路19Aの流路抵抗よりも低減することができる。したがって、全てのノズル開口21から吸引動作による吸引クリーニングを行った際に、マニホールド100からノズル開口21までの供給路19を通過する経路において、ダミー用供給路19Bを通る経路の流量が多くなる。このため、マニホールド100内のインクに含まれる気泡が、流路抵抗の低いダミー用供給路19Bを介して排出される。また、ダミー用供給路19Bは、第2凹部182の底面に開口しているため、第1マニホールド部17から第2マニホールド部18に供給されたインク及びそれに含まれる気泡は、傾斜面183を乗り越えずにダミー用供給路19Bの開口に到達しやすい。特に、圧力発生室12が第2マニホールド部18に対して鉛直方向上側となるように配置されていると、インクに含まれる気泡は浮力によって鉛直方向上側に移動するため、気泡は傾斜面183を鉛直方向下側に移動して乗り越えるのが困難となり、気泡が吐出用供給路19Aの開口に到達し難い。このため、図19に示すように、マニホールド100内のインクに含まれる気泡200は、第2凹部182の底面(鉛直方向における天井面)において傾斜面183に沿って第1の方向Xに移動して、第2凹部182の底面に開口するダミー用供給路19Bに到達し易い。したがって、マニホールド100内のインクに含まれる気泡200は、ダミー用供給路19B及びダミー圧力発生室12Bを介してノズル開口21から排出され易く、気泡排出性を向上することができる。また、インクに含まれる気泡200が吐出用供給路19Aから吐出用圧力発生室12Aに侵入するのを抑制することができるため、吐出用圧力発生室12Aに侵入した気泡200が排出されずに滞留することによるインク滴の吐出不良を抑制することができる。なお、吸引クリーニングを全てのノズル開口21に対して行った場合について説明したが、もちろん、吸引クリーニングをダミー圧力発生室12Bに連通するノズル開口21のみに対して行うようにしてもよい。すなわち、ダミー圧力発生室12Bに連通するノズル開口21のみから吸引クリーニングを行った場合であっても、流路抵抗の低いダミー用供給路19Bからインクの気泡の排出を効率よく行うことができる。また、本実施形態では、ダミー用供給路19Bを供給路19の並設方向である第1の方向Xの両端部にそれぞれ設けるようにした。このため、マニホールド100内において気泡の滞留し易い第1の方向Xの両端部の気泡をダミー用供給路19Bから排出することができ、気泡の滞留をさらに抑制することができる。
さらに、第1凹部181と第2凹部182との間に傾斜面183を設けるようにしたため、傾斜面183と第2凹部182の底面とがなす角度を鈍角とすることができる。したがって、この傾斜面183と第2凹部182の底面との間の角部のインクの流れを向上して、角部における気泡の滞留を抑制することができる。
なお、本実施形態3の構成において、上述した実施形態2と同様の傾斜面183とすることで、気泡200をさらにさらにダミー用供給路19B側に移動させ易くして、気泡200を、ダミー用供給路19Bを介して排出させる排出性の向上を図ることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態2及び3では、ダミー用供給路19Bを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、マニホールド100に開口すると共に、外部に開口する排出路を別途設けるようにしてもよい。また、排出路は、マニホールド100とインクタンク等の液体貯留手段とを循環する循環路の一部を構成するものであってもよい。このような排出路を、傾斜面183の近傍に配置することで、気泡200を傾斜面183に沿って効率よく移動させて排出路から排出させることができ、気泡排出性を向上させることができる。
また、上述した各実施形態では、傾斜面183を互いに角度の異なる第1傾斜面183aと第2傾斜面183bとで構成したが、特にこれに限定されず、例えば、第1傾斜面183a及び第2傾斜面183bと角度の異なる第3傾斜面を有するものであってもよい。すなわち、傾斜面183は、少なくとも第1傾斜面183aと第2傾斜面183bとを有するものであれば、3つ以上の角度の異なる傾斜面を有するものであってもよい。
さらに、上述した各実施形態では、連通板15として、表面の結晶面方位が{110}のシリコン基板を用いて、第2マニホールド部18を異方性エッチングによって形成したが、特にこれに限定されず、例えば、連通板15として、結晶面方位が{100}面のシリコン基板であってもよく、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。また、第2マニホールド部18の形成方法も異方性エッチングに限定されず、例えば、ドライエッチング、機械加工等であってもよい。また、上述した各実施形態では、連通板15を1枚の基板としたが、特にこれに限定されず、連通板15を複数枚の基板を積層して構成してもよい。このような例を図24に示す。なお、図24は、他の実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。
図24に示すように、連通板15は、第3の方向ZにZ2側からZ1側に向かって順番に積層された第1連通板15a、第2連通板15b、第3連通板15cを具備する。
第1連通板15aは、第1凹部181の深さと同じ厚さで形成されている。また、第2連通板15bは、Z2側の面で第1凹部181の底面を形成し、第2凹部182の深さと同じ厚さで形成されている。また、第3連通板15cは、Z2側の面で第2凹部182の底面を形成する。このような第1連通板15a、第2連通板15b及び第3連通板15cは、それぞれ第1凹部181、第2凹部182及び第1マニホールド部17等を、例えば、異方性エッチングによって形成した後、接着剤等で互いに接着することで形成することができる。また、第1連通板15a、第2連通板15b及び第3連通板15cに連通路16及び供給路19を形成した後で積層してもよく、これらを積層した後に連通路16及び供給路19を形成してもよい。何れの場合であっても、第3連通板15cにおいて、連通路16及び供給路19を同一面側からの異方性エッチングによって形成することで、連通路16及び供給路19の相対位置ずれを抑制して、インク吐出特性のばらつきを抑制することができる。ただし、連通板15を複数枚の基板を積層して形成した場合に比べて、上述した各実施形態のように1枚の基板からなる連通板15を用いた方が、第1凹部181、第2凹部182等の相対位置ずれを抑制して第1マニホールド部17、第2マニホールド部18、連通路16及び供給路19等を高精度に形成することができる。
なお、図24に示す例では、連通板15を3枚の基板で構成したが、連通板15を構成する積層基板の枚数は2枚以上であれば特に限定されない。また、連通板15を構成する積層基板の境界は、図24に示すように、第1凹部181、第2凹部182等の深さに合わせた位置とすることで、第1凹部181、第2凹部182及び傾斜面183等を高精度に形成することができるが、積層基板の境界は特にこれに限定されるものではなく、例えば、積層基板の境界が傾斜面183の途中等であってもよい。
また、図24に示す例では、連通路16及び供給路19のそれぞれを第1連通板15a、第2連通板15b、第3連通板15cに亘って同じ開口面積となるように設けたが、特にこれに限定されず、第1連通板15a、第2連通板15b、第3連通板15cの各連通路16及び各供給路19の開口面積を異なる大きさで形成してもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
このような記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置Iに搭載される。図25は、本実施形態のインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図25に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、記録ヘッド1は、液体供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、この記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、インク供給手段であるカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体供給手段を装置本体4に固定して、液体供給手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体供給手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置Iを挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…カートリッジ、10…流路形成基板(基板)、11…隔壁、12…圧力発生室(個別流路)、12A…吐出用圧力発生室、12B…ダミー圧力発生室、15…連通板、16…連通路、17…第1マニホールド部、18…第2マニホールド部(凹部)、19…供給路、19A…吐出用供給路、19B…ダミー用供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル開口、30…保護基板、40…ケース部材、45…コンプライアンス基板、50…振動板、60…第1電極、70…圧電体層、71…凹部、80…第2電極、91…個別配線、92…共通配線、100…マニホールド(共通流路)、120…フレキシブルケーブル、121…駆動回路、181…第1凹部、182…第2凹部、183…傾斜面、183a…第1傾斜面、183b…第2傾斜面、300…圧電アクチュエーター(圧電素子)、310…能動部

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズル開口に連通する個別流路が形成された流路形成基板と、
    複数の個別流路に共通して連通する共通流路の少なくとも一部を構成する凹部が前記流路形成基板とは反対側に開口して設けられた連通板と、
    を具備し、
    前記凹部は、
    第1凹部と、
    前記第1凹部よりも深さの深い第2凹部と、を具備し、
    前記連通板は、
    前記第1凹部の底面に開口して設けられて、前記凹部と前記個別流路とを連通して、前記個別流路に対して流路を絞った絞り部となる供給路と、
    前記個別流路と前記ノズル開口とを連通する連通路と、を具備し、
    前記個別流路において、前記供給路に連通する部分から前記連通路に連通する部分までの間に当該個別流路を絞る絞り部が設けられていないことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記連通路と前記供給路とは、前記連通板の一方面側から異方性エッチングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記連通板が、1枚の基板からなることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記連通板が、複数枚の基板が積層されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記第1凹部と前記第2凹部との間には、前記第1凹部の底面から前記第2凹部の底面に向けて傾斜した傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記連通板は、表面の結晶面方位が{110}面となるシリコン基板であり、
    前記第1凹部及び前記第2凹部の底面は、結晶面方位が{110}面で形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  8. 液体を吐出するノズル開口に連通する個別流路が形成された流路形成基板と、
    複数の個別流路に共通して連通する共通流路の少なくとも一部を構成する凹部が前記流路形成基板とは反対側に開口して設けられた連通板と、
    を具備し、
    前記凹部は、
    第1凹部と、
    前記第1凹部よりも深さの深い第2凹部と、を具備し、
    前記連通板は、
    前記第1凹部の底面に開口して設けられて、前記凹部と前記個別流路とを連通して、前記個別流路に対して流路を絞った絞り部となる供給路と、
    前記個別流路と前記ノズル開口とを連通する連通路と、を具備し、
    前記個別流路において、前記供給路に連通する部分から前記連通路に連通する部分までの間に当該個別流路を絞る絞り部が設けられていない液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記連通板の前記凹部が開口する面とは反対面側から異方性エッチングすることによって前記連通路と前記供給路とを形成する工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記連通板に前記連通路と前記供給路とを形成する工程では、同一のマスクを用いることを特徴とする請求項8記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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