JP2020019925A - エアロゲル複合材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、シリカエアロゲルは極めて脆く、単体でのハンドリングが非常に困難である問題があり、産業界にはなかなか受け入れられてこなかった。
本発明(1)は、
連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体において、
前記表皮層は、前記表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、
前記表皮層の表面を、表皮層の表面の法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000〜1/2であり、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部に、エアロゲルを含む、エアロゲル複合材である。
本発明(2)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂の少なくとも1つを含む、前記発明(1)のエアロゲル複合材である。
本発明(3)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の厚みが、0.03mm〜50.0mmである、前記発明(1)又は(2)のエアロゲル複合材である。
本発明(4)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量が、0.5cm3/cm2・sec.以上であることを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかのエアロゲル複合材である。
本発明(5)は、
エアロゲル複合材の製造方法であって、
前記製造方法は、
連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体に、
常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に充填するゾル溶液充填工程と、
前記充填されたゾル溶液を湿潤ゲルにするゲル化工程と、
前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含む、エアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(6)は、
前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、水分散性樹脂と、アニオン性界面活性剤とを、含む水系樹脂分散体であることを特徴とする、前記発明(5)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(7)は、
前記アニオン性界面活性剤の配合量が、前記水系樹脂分散体の樹脂固形分の配合量を100質量部とした場合に、1〜10質量部である、前記発明(6)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(8)は、
前記水系樹脂分散体が、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ゴムラテックスのうち、少なくとも1つを含む、前記発明(5)〜(7)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(9)は、
前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、アルケニル基を有するシロキサン化合物を含む、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、前記発明(5)に記載のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(10)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程は、シリコーン発泡体原料の反応時に発生する水素ガス、又は、有機発泡剤、により発泡させることを特徴とする、前記発明(8)に記載のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(11)は、
前記エアロゲルが、シリカエアロゲルである、前記発明(5)〜(10)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(12)は、
前記乾燥工程が、超臨界流体乾燥を含む、前記発明(5)〜(11)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明にかかるエアロゲル複合材は、連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の対向する二つの表面に形成された、通気性を有する表皮層とを、有する、表皮付き連続気泡樹脂発泡体(以降、単に『樹脂発泡体』と略す場合がある)において、前記表皮層は、該表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、前記表皮層の表面を法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000〜1/2であり、前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部にエアロゲルが充填されているエアロゲル複合材である。
本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、上述したように連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の対向する二つの表面に形成された、通気性を有する表皮層を含む。また前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、市販のものを用いることができる。
材質についての詳細は後述する製造方法の説明において詳述する。
本発明にかかる発泡体層は、連続気泡を有する。また、連続気泡は、セル同士が、連通貫通孔によって結合している。
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage−ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフト(例えば、Image−ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver))を用いて、セルの個数を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの個数を読み取る。観察に用いた断面写真の樹脂発泡体の断面の面積で、測定したセルの個数を除した値をセル密度とする。
本発明にかかる表皮層は、発泡体層の対向する二つの表面に存在する。前述したように、表皮層は、発泡した水系液体媒体を剥離シート上に供給し、シート状等に成形される際に、PET製シート及び塗工器具に接触する発泡体層の表面が変質して形成される。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフト(例えば、Image−ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver))を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する。
本発明にかかるエアロゲルは、低密度の乾燥ゲルであれば、特に限定されない。超臨界流体乾燥法を用いて得られたエアロゲルだけでなく、通常の乾燥過程によるキセロゲル、凍結乾燥によるクライオゲル等も含む。
2−1.見掛けの密度
エアロゲル複合体の見掛けの密度は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K7222−2005「発泡プラスチック及びゴム―見掛け密度の求め方」に準ずる方法で測定することができる。
エアロゲル複合材の粉落ち率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K6404−6:1999「ゴム引布・プラスチック引布試験方法−第6部:もみ試験」に記載されているもみ試験を行い、試験前後に質量を測定することで測定が可能である。
エアロゲル複合体の熱伝導率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS A1412−1:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第1部:保護熱板法(GHP法)」、JIS A1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」に準ずる方法で測定することができる。
本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法は、前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に、常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を充填するゾル溶液充填工程と、前記充填されたゾル溶液をゲル化するゲル化工程と、前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含む。以下に各工程について詳述する。なお、エアロゲルの説明に関しては、好適例であるシリカエアロゲルを例として詳述する。また、本発明にかかる製造方法として、下記に説明した工程以外の工程を、さらに含むことができる。
下記には、発泡体形成工程について詳述するが、本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、市販の表皮付き連続気泡樹脂発泡体を用いることができる。従って、本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法において、発泡体形成工程を必ずしも含む必要はない。以下では、水分散性樹脂を原料とする場合の発泡体形成工程と、水分散性樹脂を原料としない場合の発泡体形成工程とについて、それぞれ好適例の方法について詳述する。
本実施形態にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、原料として、水系樹脂分散体と、気泡剤としてのアニオン性界面活性剤とを、含む。さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他添加物を添加することができる。
3−1−1−1−1.水分散性樹脂
本発明にかかる樹脂発泡体の製造方法に用いられる水分散性樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。水分散性樹脂としては、安定分散型水分散性樹脂と不安定分散型水分散性樹脂を含む。本願発明においては、ポリマーの親水性が高く、真空工程等を経ることなく効率的にエアロゲル複合材を製造できるため、安定分散型水分散性樹脂が好適である。
水分散性樹脂の分散安定性を評価するために、水分散性樹脂に凝固剤水溶液(0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液)を添加し、生成する析出物の量から析出率を算出することができる。具体的な析出率は下記式(1)によって求められる{なお、式(1)中、Aは析出物の乾燥質量(g)、Bは水分散性樹脂の質量(g)、Cは水分散性樹脂の固形分濃度(質量%)である}。
析出率(%)=A/{B×(C/100)}×100・・・(1)
以下には、好適例である安定分散型水分散性樹脂について、説明する。
安定分散型水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等を挙げることができる。これらの内、特に好適なウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョンについて詳述する。なお、ウレタンエマルジョンを用いることで、得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなるため好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、アクリルエマルジョンを用いることも好適である。
不安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ゴムラテックス等を挙げることができる。ゴムラテックスは、発泡体の感触がよく弾性に優れるため好適である。次に、ゴムラテックスについて詳述する。
本発明において、水系液体媒体の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、水系液体媒体の起泡剤として機能する。
なお、本発明において、HLB値とは、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLB値の求め方は、「新・界面活性剤入門」第195〜196頁及び1957年3月20日槙書店発行小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492〜502頁に記載されており、HLB値=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
その他の添加剤として、金属カチオン源、ゲル化剤、水分散性樹脂分散用界面活性剤(乳化剤)、硬化剤、水溶性ポリマー等を添加してもよい。
(金属カチオン源)
本発明にかかる金属カチオン源は、アニオン性界面活性剤と結合して水不溶性の塩を形成できる金属カチオンを水中に放出可能な成分である。このような成分を系に存在させることにより、アニオン性界面活性剤と結合し水不溶性の塩を形成する。その結果、気体を混入させた発泡体原料混合物にチキソ性を付与し流動性を低下させることにより、加熱時でも気泡の合一を抑制できる。
本発明において、ゲル化剤を配合してもよい。ゲル化剤は、エマルジョン組成物中において、乳濁液の状態、すなわちエマルジョンの状態で存在するポリマー粒子の化学的安定性を低下させるとともに、この粒子を凝集させて、所謂ゲル化状態とするための物質である。
本発明にかかる水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。例えば、水分散性樹脂を、ウレタンエマルジョンとした場合、アクリルエマルジョンとした場合、ゴムラテックスとした場合の具体的な水分散性樹脂分散用界面活性剤に関しては、上述の通りである。
本発明にかかる硬化剤とは、水分散性樹脂用の架橋剤であり、用途等に応じて、必要量添加すればよい。硬化剤による架橋手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。
本発明にかかる水溶性ポリマーとは、溶解度が1g/100g水以上であるポリマーである。表皮付き連続気泡樹脂発泡体の親水性を高め、ゾル溶液を樹脂発泡体へ浸透しやすくするために、水溶性ポリマーを水系液体媒体中に添加して樹脂発泡体を成形することが好ましい。水溶性ポリマーとしては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、−COOM基、−SO3M基(Mは水素原子、周期表第I、II、III族元素、アミン、アンモニウムを示す)、−NH2、−OHなどの親水基を有するポリマーが例示できる。水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーが好適であるが、カルボキシル基と比較して、多価の電解質水溶液に対して官能基同士が架橋しにくいため吸水性を失いにくく、高い酸解離定数によってイオン濃度差が増し、高い吸水力が期待できるため、スルホニル基含有ポリマーであることがより好適である。また、前記水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることがさらに好適である。
本発明においては、その他、任意に配合する成分として、得られる発泡体に適切な性質を与え、又は発泡体の作製や加工を容易にするために、この水系樹脂分散体に、使用目的に応じて、流動パラフィン、炭化水素系プロセスオイル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アミドのような滑剤;リン酸エステル、リン酸メラミン又はリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;導電性カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉、酸化スズのような導電材;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤;ならびにシリカ、アルミナ、酸化チタン及び上記の各種添加剤のうち充填剤の機能を有するもののような充填剤等を配合することができる。
原料調製では、以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物である水系液体媒体を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
・撹拌、発泡工程
攪拌、発泡工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させて水系液体媒体中に気泡が多数存在する状態(発泡水系液体媒体)にする。この攪拌、発泡工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の樹脂発泡体の原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
攪拌、発泡工程で水系液体媒体に混合される発泡用気体は、樹脂発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる樹脂発泡体の発泡倍率及び見掛けの密度が決まる。
本形態にかかる樹脂発泡体の製造方法で使用される発泡方法としては、発泡体の製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、例えば、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。
以上のようにして発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
加熱工程は、成形された発泡水系液体媒体中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
本実施形態にかかる発泡体の材質としては、特に限定されないが、難燃性、耐熱性の観点からシリコーン樹脂、シリコーンゴムが好適である。
3−1−2−1−1.原料
3−1−2−1−1−1.シリコーン樹脂
シリコーン樹脂発泡体原料は、特に限定されないが、含有される成分の反応により発生する水素ガスで発泡するシリコーン樹脂を原料として用いることができる。
前記2液の混合攪拌の効率を高めるため、発泡剤、界面活性剤、粘度調整剤、乳化剤、希釈剤等、その他の添加剤を必要に応じて用いることができる。
以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
・撹拌、発泡工程
攪拌、発泡工程では、上記原料調製工程で得られた液状の樹脂発泡体の原料混合物をミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
以上のようにして発泡した樹脂発泡体の原料混合物は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
加熱工程では、原料の硬化(架橋)反応を進行及び完了させる。シリコーン発泡体原料は、室温(例えば、20〜30℃)でも反応させることができるが、加熱して反応を促進することが好ましい。具体的には、上述した硬化剤により原料同士が架橋され、硬化した樹脂発泡体が形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を硬化(架橋)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を硬化(架橋)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、30〜200℃とすることができ、30〜170℃とすることが好ましく、加熱時間は1時間程度とすればよい。加熱速度は、室温から緩やかに昇温させることが好ましく、反応温度は広い温度範囲で管理することができる。
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
3−1−2−2−1.原料
3−1−2−2−1−1.シリコーンゴム
シリコーンゴム発泡体原料は、特に限定されないが、生ゴム(高重合度ジオルガノポリシロキサン)であるアルケニル基を有するシロキサン化合物と、Si−H基を有するシロキサン化合物、有機過酸化物、及び有機発泡剤の混合物である。これらのシロキサン化合物の付加反応、又はアルケニル基を有するシロキサン化合物と有機過酸化物の反応により架橋し、有機発泡剤の分解により、シリコーンゴム発泡体が形成される。
有機発泡剤は、分解温度が50〜250℃であり、シリコーンゴム中で、加熱により分解し気体を発生させ、シリコーンゴム発泡体を形成させるものである。有機発泡剤の分解温度が50℃未満では、貯蔵安定性や取り扱い性に劣り、250℃を超えると、成形性や生産性に劣る。
有機過酸化物は、発泡時に架橋をさらに進行させて、より強度の優れたシリコーンゴム発泡体にするものである。有機過酸化物としては、分解温度が有機発泡剤の分解温度以上であれば特に制限されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p―クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ビス(t―ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルへキサン、2,5―ビス(t―ブチルパーオキシ)―2,5―ジメチルへキシン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4―t―ブチルシクロへキシル)―パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
シリカ粉末、金属炭酸塩、クレイ、タルク、マイカ、酸化チタン等の補強性無機充填剤、シリコーンオイル等の加工助剤、カーボンブラック等の導電性充填剤、顔料、粘度調整剤、酸化防止剤等、その他の添加剤を必要に応じて用いることができる。
原料調製では、以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、万能混練機、ニーダー等の混合手段によって均一に混練して調製することができる。
・成形
均一な厚さのシ一卜状や三次元形状等のシリコーンゴム発泡体とする方法としては、押出成形、カレンダー成形、モールド成形等の成形方法が挙げられる。
以上のようにして得られた樹脂発泡体原料を有機発泡剤の分解温度以上の温度で加熱処理することで、表皮付きシリコーンゴム発泡体が得られる。加熱処理の温度は、有機発泡剤の分解温度以上であれば特に制限されないが、該分解温度より50〜150℃高い温度が好ましい。加熱処理の方法としては、オープン等で加熱処理する方法が挙げられる。
前述の発泡体形成工程にて、連続気泡を有する発泡体層の表面に、連続気泡を含む表皮層が形成されていない、又は表皮層の形成が不十分でエアロゲルの脱落が容易な場合、次工程であるゾル溶液充填工程の前に、発泡体に表皮層を形成させることができる。
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
以下には、本発明の好適例であるシリカエアロゲルの製造方法を一例として詳細を説明するが、本発明は、シリカエアロゲルにのみ限定されるものではない。
シリカエアロゲルのシリコーン原料として、シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体やケイ酸アルカリ金属塩を用いることができ、水系溶媒に混合してゾル溶液とする。
ゾル溶液の充填方法は、常圧下、又は減圧下で行われる限りにおいて、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した方法により得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、減圧下で、調製したゾル溶液に完全に含浸することで充填する方法等が挙げられる。特に、通気度量が10cm3/cm2・sec.以上の場合、常圧下での充填が可能である。
前記発泡体に充填されたゾル溶液は、ゾル−ゲル反応によって、TMOSが水、触媒により加水分解され、ゾル状態を経て、湿潤ゲルを形成する。ここで湿潤ゲルとは、ゲル化後のゾル溶液の残液等の液体を含んだまま固体状になったものを示す。
本発明においては、湿潤ゲルを乾燥させる乾燥工程を含む。乾燥方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。湿潤ゲルを乾燥させる場合には、シリカエアロゲルが壊れ難いため、超臨界流体乾燥が好ましい。超臨界流体乾燥としては、例えば、80℃、20MPa程度の条件で溶媒の全部を、この溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換しながら除去する方法が挙げられる。
本発明にかかるエアロゲル複合材は、断熱性能が高く、粉落ちが少なく、形状追従性に優れていることから、プラント配管に巻きつけて使用する断熱材、熱電素子に貼り付けて熱の拡散を防ぎ発電効果をあげる断熱材、各種電池の筐体等に断熱材を組付け電池性能を安定させる断熱材及び各種車両で生じる廃熱を利用するための装置に用いられる断熱材への使用が見込まれる。
<水分散性樹脂分散体>
・水分散性樹脂分散体1
ポリエーテルカーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、固形分60%
・水分散性樹脂分散体2
アクリロニトリル・アクリル酸アルキルエステル・イタコン酸共重合体(安定分散型水分散性樹脂;析出率4.9%)、pH9、固形分60%
・水分散性樹脂分散体3
アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(牛脂由来のアルキルスルホコハク酸ナトリウム)、
分散媒;水、pH9.4、固形分30%
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%
・アニオン性界面活性剤3(オレイン酸カリウム石鹸)
分散媒;水、pH11.2、固形分30%
<硬化剤>
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
10質量部の硫黄、6質量部のチアゾール系加硫促進剤、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
<破泡抑制剤>
トリメンベース(ユニロイヤル社製)
<ゲル化剤>
ケイフッ化ナトリウム
<ゲル素原料>
テトラメトキシシラン(信越化学工業社製)
<溶媒>
・溶媒1
メタノール(和光純薬工業社製)
・溶媒2 イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
<触媒>
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
(樹脂発泡体・原料調製)
水分散性樹脂分散体1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、3質量部のアニオン性界面活性剤1、3質量部のアニオン性界面活性剤2 、6質量部の硬化剤を混合して樹脂発泡体原料とした
調製した樹脂発泡体原料に空気を加えて発泡させ、離型処理したPETフィルム(厚み38μm)上にキャスティングし、ドクターナイフを用いて成膜した。ドクターナイフは、後述する加熱後の発泡体の厚みが2mmとなるように設定した。
得られた膜状の樹脂発泡体を、80℃のオーブンで、1時間加熱して、水分を完全に乾燥させ、表皮付き連続気泡樹脂発泡体を得た。
テトラメトキシシランを主剤として使用し、主剤1モルに対し、7.2モルのメタノール、4モルのイオン交換水、0.01モルの触媒を混合してゾル溶液とした。
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、表皮層を付けたまま、セパラブルフラスコに収納できる大きさに裁断して収納した。調製したゾル溶液を表皮付き連続気泡樹脂発泡体が完全に浸漬するまで加えて、常圧下で3時間静置し、湿潤ゲルが充填された表皮付き連続気泡樹脂発泡体を得た。
ゲル表面が疎水化された前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、80℃、20MPaの二酸化炭素中に含浸させ、超臨界流体乾燥を12時間行って、実施例1のエアロゲル複合材を得た。
水分散性樹脂分散体として、アクリルエマルジョンである水分散性樹脂分散体2を主剤として使用し、主剤100質量部に対し、3質量部のアニオン性界面活性剤1、3質量部のアニオン性界面活性剤2、3質量部の硬化剤を混合して樹脂発泡体原料とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。実施例1と同様に実施例2のアクリレート基も有極性基であり、電気的に結合する疑似的架橋構造を有する。
水分散性樹脂分散体として、ゴムラテックスである水分散性樹脂分散体3を主剤として使用し、主剤100質量部に対し、7.6質量部の加硫系ペースト、0.2質量部のアニオン性界面活性剤3、0.4質量部の破泡抑制剤、10質量部のゲル化剤を混合して樹脂発泡体原料とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
実施例1のエアロゲル複合材の表皮層をスライスして、取り除いたものを、比較例1とした。スライス後のエアロゲル複合材の厚みは1mmであった。
発泡体形成工程において、加熱温度を120℃とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
<シリコーン樹脂発泡体原料>
シリコーン樹脂1:ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:XE18−C1103(A)) 白金触媒含有
シリコーン樹脂2:ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:NI−0539(B))
発泡助剤:フルオロ変性シリコーンオイル
<シリコーンゴム発泡体原料>
シリコーン樹脂3:ビニル基を有するポリオルガノシロキサン
シリコーン樹脂4:ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
プロセスオイル:両末端シラノ一ル基含有直鎖状ポリジメチルシロキサン
有機発泡剤:1,1’―アゾビス(1 ―アセトキシ― 1―フェニルエタン)
有機過酸化物:2,5―ビス(t―ブチルパーオキシ)―2,5−ジメチルへキサン
シリカ:表面をへキサメチルジシラザンで処理されたシリカ
白金触媒:(メチルシクロペンタジェニル)卜リメチル白金
<ゲル素原料>
テトラメトキシシラン(信越化学工業社製)
<溶媒>
・溶媒1
メタノール(和光純薬工業社製)
・溶媒2 イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
<触媒>
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
(樹脂発泡体・原料調製)
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:13で混合し、シリコーン樹脂発泡体原料とした。
(発泡体形成工程)
調製した樹脂発泡体原料に空気を加えて発泡させ、離型処理したPETフィルム(厚み38μm)上にキャスティングし、ドクターナイフを用いて成膜した。ドクターナイフは、後述する加熱後の発泡体の厚みが2mmとなるように設定した。
得られた膜状の原材料を150℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させ、表皮付きのシリコーン樹脂発泡体を得た。
得られたシリコーン樹脂発泡体について、実施例1と同様にして、ゾル溶液調製、ゾル溶液充填、乾燥を行い、実施例4のエアロゲル複合材を得た。
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:18で混合し、100質量部のシリコーン樹脂1に対し、1質量部の発泡助剤を加えた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:5で混合した以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:18で混合し、180℃で、1時間加熱して硬化させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
100質量部のシリコーン樹脂3に対し、1質量部のシリコーン樹脂4、1質量部のプロセスオイル、3質量部の有機発泡剤、1質量部の有機過酸化物、30質量部のシリカ、0.01質量部の白金触媒を混合してシリコーンゴム発泡体原料とした。調製したシリコーンゴム発泡体原料をシート状に成形し、200℃のオーブンで2時間加熱して完全に硬化させ、連続気泡シリコーンゴム発泡体を得た。得られた連続気泡シリコーンゴム発泡体を熱プレス機にて250℃、5分間処理することで、シリコーンゴム発泡体に表皮層を形成させた。
実施例4のエアロゲル複合材の表皮層をスライスして、取り除いたものを、比較例3とした。スライス後のエアロゲル複合材の厚みは1mmであった。
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:23で混合した以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
原材料を200℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:23で混合し、100質量部のシリコーン樹脂1に対し、1質量部の発泡助剤を加え、原材料を120℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
熱プレス機で加熱しなかったこと以外は、実施例8と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
発泡体をスライダー社製のメラミンフォームを用いた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例9
発泡体をブリジストン社製の除膜加工した軟質スラブストックポリウレタン樹脂発泡体とした以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
以下の評価を各実施例及び比較例について行った。
(通気度量の測定)
各実施例及び比較例の通気度量を以下の方法で測定した。
通気度量の測定は、JIS L1096−7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に準拠して、織布通気度試験機(東洋精機工業社製:KM−404P)を用いて測定した。評価基準を下記に、評価結果を表1〜表3に示した。
◎:通気度量が25cm3/cm2・sec.以上
○:通気度量が10cm3/cm2・sec.以上25cm3/cm2・sec.未満
△:通気度量が0.5cm3/cm2・sec.以上10cm3/cm2・sec.未満
△△:通気度量が0.1cm3/cm2・sec.以上0.5cm3/cm2・sec.未満
×:通気度量が0.1cm3/cm2・sec.未満
各実施例及び比較例のエアロゲル複合材のRA及びRBを以下の方法で求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、表皮層の法線方向からのセル写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage−ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver)を用いて、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節した。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出し、RAとした。
表皮層表面に垂直な断面についても、同様にセル写真を撮影し、RBを求めた。
各実施例と比較例の測定結果を表1〜表3に示した。
各実施例及び比較例の見掛けの密度を以下の方法で測定した。
見掛けの密度の測定は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に準拠して、測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
各実施例及び比較例の熱伝導率を以下の方法で測定した。
熱伝導率の測定は、JIS A1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」に準拠して、熱伝導率測定装置(英弘精機社製:HC−72)を用いて測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
各実施例及び比較例の粉落ち性を以下の方法で評価した。
各実施例及び比較例のエアロゲル複合材を10mm×50mmの試験片に加工した。スコット型揉み試験機(東洋精機製作所製)を用いて、試験片間隔を20mm、ストローク間隔40mm、圧縮荷重200gfとして1200回(往復速度120回/分)揉んだ前後の試験片重量から粉落ち率を算出した。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)−試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算した。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。評価基準を下記に、評価結果を表1〜表3に示した。
◎:粉落ち率が2%以下
○:粉落ち率が2%超5%以下
△:粉落ち率が5%超10%以下
×:粉落ち率が10%超
粉落ち性評価前後での試験片を前述の熱伝導率測定装置を用いて測定し、試験前後での熱伝導率の変化率を算出した。熱伝導率の変化率(%)は(試験後の熱伝導率(W/m・K)−試験前の熱伝導率(W/m・K))/試験前の熱伝導率(W/m・K)×100で計算した。評価基準を下記に、評価結果を表1〜表3に示した。
○:熱伝導率の変化率が25%以下
△:熱伝導率の変化率が25%超50%以下
×:熱伝導率の変化率が50%超
各実施例及び比較例の柔軟性(屈曲性)を以下の方法で評価した。
柔軟性の評価は、JIS K7171:2016「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して、評価した。評価基準を下記に、評価結果を表1〜表3に示した。
○:試験片が割れなく折れ曲がる
×:180度以下の屈曲で割れる
実施例4〜7及び比較例3〜9について、難燃性を以下の方法で評価した。
難燃性の評価は、IEC60695−11−10 B法、ASTM D3803に準拠して、UL94∨垂直燃焼試験を行った。評価基準を下記に、評価結果を表2及び表3に示した。
◎:各試験片の燃焼時間10秒以下、燃焼+グローイング時間30秒以下、滴下物による綿着火 なし(燃焼性分類∨−0相当)
○:各試験片の燃焼時間30秒以下、燃焼+グローイング時間60秒以下、滴下物による綿着火 なし(燃焼性分類∨−1相当)
△:各試験片の燃焼時間30秒以下、燃焼+グローイング時間60秒以下、滴下物による綿着火 あり(燃焼性分類∨−2相当)
×:各試験片の燃焼時間30秒超、燃焼+グローイング時間60秒超、滴下物による綿着火 あり
実施例4〜7及び比較例3〜9について、耐熱性(高温時の寸法安定性)を以下の方法で評価した。
耐熱性の評価は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠して、評価した。具体的には、150℃に保持した熱風循環式乾燥機の中に、実施例4〜7及び比較例3〜9のエアロゲル複合材を設置し、22時間加熱を行い、厚みの加熱前後の寸法変化率を算出した。評価基準を下記に、評価結果を表2及び表3に示した。
◎:加熱前後の寸法変化率が5%以下
○:加熱前後の寸法変化率が5%超10%以下
△:加熱前後の寸法変化率が10%超15%以下
×:加熱前後の寸法変化率が15%超
実施例及び比較例の性能を評価した。表1〜表3にその結果を示した。これらの結果から、本発明の効果が理解できる。
Claims (12)
- 連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体において、
前記表皮層は、前記表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、
前記表皮層の表面を、表皮層の表面の法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000〜1/2であり、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部に、エアロゲルを含む、エアロゲル複合材。 - 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエアロゲル複合材。
- 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の厚みが、0.03mm〜50.0mmである、請求項1又は2に記載のエアロゲル複合材。
- 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量が、0.5cm3/cm2・sec.以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材。
- エアロゲル複合材の製造方法であって、
前記製造方法は、
連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体に、
常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に充填するゾル溶液充填工程と、
前記充填されたゾル溶液を湿潤ゲルにするゲル化工程と、
前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含む、エアロゲル複合材の製造方法。 - 前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、水分散性樹脂と、アニオン性界面活性剤とを、含む水系樹脂分散体であることを特徴とする、請求項5に記載のエアロゲル複合材の製造方法。 - 前記アニオン性界面活性剤の配合量が、前記水系樹脂分散体の樹脂固形分の配合量を100質量部とした場合に、1〜10質量部である、請求項6に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
- 前記水系樹脂分散体が、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ゴムラテックスのうち、少なくとも1つを含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
- 前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、アルケニル基を有するシロキサン化合物を含む、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のエアロゲル複合材の製造方法。 - 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程は、シリコーン発泡体原料の反応時に発生する水素ガス、又は、有機発泡剤、により発泡させることを特徴とする、請求項9に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
- 前記エアロゲルが、シリカエアロゲルである、請求項5〜10のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
- 前記乾燥工程が、超臨界流体乾燥を含む、請求項5〜11のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
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