JP4854480B2 - シリコーンゴムスポンジ、その製造方法及びそれを用いた定着ロール、並びに、該定着ロールを用いた電子写真式画像形成装置 - Google Patents

シリコーンゴムスポンジ、その製造方法及びそれを用いた定着ロール、並びに、該定着ロールを用いた電子写真式画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、建築ガスケット、各種スポンジシート、吸水用スポンジ、断熱シート、工業用ロールや、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置を初めとする事務機用スポンジロールに関し、特にトナー溶融定着ロール、給紙ロール、トナー搬送ロールおよびクリーニングロールなどに使用される、連泡率の高いシリコーンゴムスポンジに関する。
シリコーンゴムスポンジは、シリコーンゴム特有の物理特性をもっており、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、難燃性、耐圧縮永久ひずみ等に優れた性質を有している。このシリコーンゴムスポンジは、基本的に、熱硬化性シリコーンゴム組成物と硬化剤、および発泡剤とを組み合わせ、加熱により発泡、硬化させてスポンジを形成させるものである。この場合、発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有すると共に、シリコーンゴム特有の物理特性を損なわないことが重要である。
また、このようなシリコーンゴムスポンジの加工成形方法としては、連続成形が可能となる、常圧熱気中で硬化・発泡させる常圧熱気架橋が多く行われている。このような常圧熱気中の成形によって均一かつ微細なセル構造のスポンジを作るためには、発泡剤が分解するときに発生するガスを、ゴム内部に細かい泡の状態で押さえ込まなければならない。従って通常は、発泡剤が分解する前に発泡圧力を押さえ込めるように、ゴム組成物が増粘し、或いは硬化している必要がある。
従って、スポンジを形成させる場合にゴム内でおきる反応順序は、一般的に以下の通りである。
1)硬化剤によってベースポリマーであるオルガノポリシロキサンが増粘(硬化)し、ゴム表面が硬化する。
2)発泡剤が分解してガスが発生し、スポンジセルが形成される。
3)ベースポリマーであるオルガノポリシロキサンが完全に硬化する。
実際には、上記の順番で反応が起こるように付加架橋の触媒量を調整して反応を制御したり、有機過酸化物として、その分解温度が発泡剤の分解温度以下であるものを選択し、上記のような反応順序を設定することが行われている。
このように、通常のスポンジ組成物は、架橋させることによって発泡圧力を押さえ込んで作成されるために、スポンジセルは通常独立泡である。従って、通常は連泡率が10%以下で空気がスポンジセルにとじこめられた状態となっている。このようにスポンジセルが独立泡になっているスポンジ成形物を加熱すると、閉じこめられた空気がボイルシャルルの法則に従って熱膨張し、ガスケット材のような閉じられた空間を満たすスポンジの場合には空気バネ成分が強くなるのでスポンジ硬度が高くなる。また、定着スポンジロール等のロール材料の場合には、熱膨張によってスポンジ径が大きくなるので定着圧力が変わることになる。逆にスポンジロールが冷えた状態では、ヒーターロールとバックアップロールの設定間隔が広くなってロールががたつくので異音の発生源となったりする。
特に電子写真式記録装置用の定着スポンジロール用途の場合には、省電力の観点から、スタンバイ状態で定着スポンジロールが通常の定着温度よりも冷えた状態となる機種が増加していることから、加熱温度によらずスポンジ径が一定となりやすい、連泡率が高く微細なセルを有するシリコーンゴムスポンジの開発が望まれていた。このようなニーズに対応して、連泡スポンジを作成するのに好適な発泡剤及び硬化剤が提案されている(特許文献1および2)ものの、微細セルとするために満たすべきゴムコンパウンドの必要特性については明らかにされていない。
特開2006−77099号公報 特開2006−193609号公報
また本発明とは逆に、発泡前におけるゴムコンパウンドの含有水分量を低くすると共に、架橋剤として低温分解型パーオキサイドまたは付加架橋を用いた発明も開示されているが(特許文献3)、この文献においては連泡率に関する記載がないだけでなく、本発明で必須成分とされている高温分解型の非アシル系有機過酸化物の必要性に関して示唆する記載もない。更に、無機塩類が有する結晶水を利用して発泡させるシリコーンゴムスポンジ組成物も開示されている(特許文献4)が、この文献には、連泡型のスポンジに関する記載はない。
このように、連泡率が15%以上で微細セルを有するシリコーンゴムスポンジを製造するために、使用するゴムコンパウンドの含有水分量を調整するという技術思想は未だ開示されていない。
特開2006−83237号公報 特開平5−156061号公報
従って本発明の第1の目的は、15%以上という高い連泡率を有すると共に、微細なセルを均一に有するシリコーンゴムスポンジを提供することにある。
本発明の第2の目的は、加熱温度によらずスポンジ径が一定となりやすい定着ロールを提供することにある。
本発明の第3の目的は、スポンジロールが冷えた状態でも異音の発生が生じない、省エネルギー型電子写真式画像形成装置を提供することにある。
更に本発明の第4の目的は、15%以上という高い連泡率を有すると共に、微細なセルを均一に有するシリコーンゴムスポンジを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の諸目的を達成するために鋭意研究した結果、一定の組成を有する発泡前のシリコーンゴムコンパウンドの含有水分を調整し、これを常圧熱気架橋させて発泡・硬化させることにより、ゴムの架橋速度の制御や発泡ガス速度のデリケートなバランスを考慮することなく、連泡率が15%以上でありしかも微細セルを均一に有するシリコーンゴムスポンジを容易に製造することができることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、少なくとも、下記(A)〜(C)成分を含有する組成物を、常圧熱気架橋させ、発泡、硬化させることにより、連泡率が15%以上である微細セルを均一に形成させてなることを特徴とする、シリコーンゴムスポンジ、該スポンジを使用した定着ロール、該定着ロールを有する電子写真式画像形成装置、および前記シリコーンゴムスポンジの製造方法である。
(A)下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン100質量部に対して比表面積(BET)が50m/g以上の補強性シリカを5〜100質量部含有する混合物であって、架橋前の含有水分量が0.5%以上であるシリコーンゴムコンパウンド:100質量部;
nSiO(4−n)/2 (I)
上式中のRは、同一または異種の非置換又は置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.05の正数である。
(B)少なくとも、有機アゾ発泡剤または炭酸水素ナトリウム系発泡剤:0.5〜50質量部、及び
(C)1分間半減期温度が150℃以上の非アシル系有機過酸化物: (A)成分を硬化し得る有効量。
本発明のシリコーンゴムスポンジには、更に導電性物質および/または熱伝導性付与剤を含有させても良い。また、前記(B)成分の発泡剤として、発泡時に前記(A)成分を増粘させる特性を有する発泡剤を使用して製造しても良い。
本発明のシリコーンゴムスポンジは、連泡率が15%以上と高いのでガスケット材のように閉じられた空間で使用され加熱されても、スポンジ硬度が高くなるということがない。また、定着ロール等のロール材料として使用した場合には、熱膨張によってスポンジ径が大きくなるということがないので定着圧力が変化することがない上、ロールが冷えた状態でも電子写真式画像形成装置の異音の発生源となることがない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシリコーンゴムスポンジの原料となる、架橋前の組成物における(A)成分は下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン、補強性シリカ及び必要に応じて用いられるその他の添加剤によって構成される。
nSiO(4−n)/2 (I)
上式中のRは、同一または異種の非置換又は置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.05の正数である。
上記Rは、同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。通常、炭素数は1〜12であり、特に1〜8のものが好ましい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、或いはこれらの基における水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基を挙げることができる。本発明においては、これらのうちメチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基およびビニル基が好ましい。
前記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、該オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、又はこのジメチルポリシロキサンの主鎖の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、あるいはメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。具体的には、1分子中に2個以上のアルケニル基、特にビニル基を有することが好ましく、0.01〜20モル%、特に0.02〜10モル%がアルケニル基であることが更に好ましい。
なお、上記のアルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖中のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。また、nは1.95〜2.05の正数であり、基本的には直鎖状であるが、ゴム弾性を損なわない範囲において分岐していてもよい。
前記(A)成分のオルガノポリシロキサンの重合度は500〜100,000であることが好ましく、特に4,000〜20,000であることが好ましい。重合度が500未満であると十分なゴム強度が得られず、100,000を超えたものは合成が困難である。また本発明においては、(A)成分のオルガノポリシロキサンとして1種のみを用いても、分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合させることにより、或いは、環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
本発明においては、前記したように上記のポリマーの他に少なくとも補強性シリカを使用する。この補強性シリカは機械的強度にすぐれたシリコーンゴムを得るために添加されるものであるが、この目的のためには特にその比表面積(BET)が50m2/g以上であることが必要であり、100〜400m2/gであることが好ましい。比表面積が50m2/g未満であると、硬化物の機械的強度が低くなるので好ましくない。このような補強性シリカとしては、例えば煙霧質シリカ、沈降シリカ等が挙げられる。
これらの補強性シリカの添加量は、前記のオルガノポリシロキサン100質量部当り5〜100質量部とするが、10〜90質量部とすることが好ましく、特に30〜80質量部とすることが好ましい。5質量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られないだけでなく、後述する組成物の含有水分量を制御することができない。一方、100質量部より多くすると得られるシリコーンゴムスポンジの加工性が悪くなるだけでなく、物理特性が低下することがある。
本発明のシリコーンスポンジは、高連泡率スポンジセルを微細なものとするためにゴムコンパウンドに含まれる含有水分量に着目したものである。ゴムコンパウンドの吸水性が高い場合に微細な連泡スポンジを得られるため、本発明においては、含有水分量(あるいは吸着水分量ともいう)が大きいシリカが、上記補強性シリカとして好適に使用される。
具体的には、少なくとも含有水分量が1%以上の湿式シリカを1種類以上使用することが好ましい。湿式シリカは内部に細孔が存在し水分を吸着しやすいため、粉体自身の含有水分量が5〜8%である未処理品や、含有水分量が0.1〜3%である疎水化処理湿式シリカを利用することによりゴムコンパウンドの吸水性を高くすることができる。また、乾式シリカ(粉体含有水分量0.1%以下)を併用し、機械的強度と含有水分量を満足する、本発明に適合するシリコーンゴムコンパウンドとしてもよい。一般的にシリカの含有水分量の測定は、105℃/2hの条件におけるシリカの加熱減量を測定することによって行なう。
なお、これらのシリカ微粉末と、表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理したシリカを併用してもよい。
本発明の(A)成分のゴム組成物の製造方法は、特に限定されることはないが、上述した成分の所定量を2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練りすることによって得ることができる。また、必要に応じて、100〜250℃の条件でゴムコンパウンドを熱処理してもよい。熱処理時間は特に限定されることはないが、例えば30分〜5時間とすることができる。
ゴムコンパウンドを熱処理した場合は、補強性シリカに担持された水分が蒸発してしまうため、本発明において好適に使用される含有水分量に調整する必要がある。具体的には、湿度が高く設定された恒湿槽にゴムコンパウンドを放置したり、水槽にゴムコンパウンドを沈めて吸湿させることができる。また、水を担持させた粉体シリカを熱処理したゴムコンパウンドへ、2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で後添加混合することによって、好適な含有水分量に調整することも可能である。
ゴムコンパウンドに含まれる含有水分は、(B)発泡剤の結晶性や安定性を低下させ、発泡剤の分解点をより低温かつ緩やかに進行させることができ、これによって微細セルが得られ易くなると考えられる。
ゴムコンパウンド含有水分量は、0.5%以上であることが好ましく、0.5〜3.0%であることがより好ましく、更に、0.7〜2.0%であることが特に好ましい。ゴムコンパウンド含有水分量が0.5%以下であると、スポンジ発泡倍率は高くなるもののスポンジセルは非常に粗くなり、場合によってはスポンジ内部が破裂した状態となって良好な成形体が得られない。一方、ゴムコンパウンド含有水分量が3.0%以上となると、HAV架橋時に短時間で多量の水蒸気が発生するため、ゴムが破裂したり、(B)成分の発泡剤の発泡圧力を保持できずに硬いソリッドのようなスポンジとなる場合がある。
シリコーンゴムコンパウンドの含有水分量の測定方法は、予めゴムコンパウンドを25℃/50%RHの雰囲気下において24時間放置後、乾燥窒素をキャリアガスとし、サンプルを150℃/5分間加熱することによって発生した水分(水蒸気)を検出するカールフィッシャー法加熱炉付き自動測定器等で測定する。
本発明においては、(B)成分として、少なくとも有機アゾ発泡剤または炭酸水素ナトリウム系発泡剤を使用する。
本発明において(B)成分として用いられる有機アゾ発泡剤としては、例えば、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロへキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビズ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等の有機アゾ化合物が挙げられる。中でも、例えばアゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビズ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕等の分子内にシリコーンゴムの硬化を阻害する硫黄化合物、リン酸塩類、強いアミン類等を持たないアゾ系有機発泡剤が好ましい。
これらの有機アゾ発泡剤のなかには、有機アゾ発泡剤の分解ラジカルによって、前記(A)成分の不飽和基を持つオルガノポリシロキサンを増粘することができる発泡剤が存在する。具体的には、増粘可能な該発泡剤を添加した(A)成分のゴムコンパウンドを150℃で熱分解させながら測定したムーニー粘度ML(1+4)が、前記ベースゴムコンパウンド単独で、同温度で測定したムーニー粘度よりも10−300%高い値を示すアゾ系有機発泡剤が該当する。
上記の有機発泡剤は、熱分解によって本発明の組成物を増粘あるいは硬化させることのできる特性を有するので、このような有機発泡剤を併用すると、スポンジセルがより緻密でより均一となる。このような特徴をもった有機発泡剤は、具体的には、発泡剤の分解によってガスを発生させるだけでなく、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子中に存在するメチル基及びアルケニル基をラジカル反応によって架橋反応させ、ポリマー粘度を上昇させることができる。
従って、このような粘度上昇を示す有機発泡剤を単独または他の発泡剤と併用して使用することによって、有機発泡剤の分解前或いは分解と同時に、ゴム内で「有機発泡剤の分解による(A)成分の増粘、及び場合により硬化」と「有機発泡剤の分解によるガスの発生」がほぼ同時に起こり、スポンジの造核作用として働くので、連泡スポンジセルが均一で微細となる。
更に該有機発泡剤は、(C)成分の硬化剤の分解温度よりも低いものであることがよく、150℃以下の分解点をもつアゾ系有機発泡剤であることが好ましい。
有機発泡剤の分解ラジカルにより(A)成分を増粘させる有機発泡剤を使用することにより、本発明で用いられる組成物を常圧熱気加硫させて発泡させて得られるスポンジの平均スポンジセル径を、400μm以下微細セルとすることが可能である。このような有機発泡剤の分解ラジカルによる増粘特性を有するアゾ系有機発泡剤としては、例えば、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕等が挙げられ、一種または二種以上を組み合せて使用することができる。
本発明において(B)成分として用いられる炭酸水素ナトリウムは、他の炭酸アンモニウム系や亜硝酸アンモニウム、アジド化合物などの無機発泡剤と異なり、分解によって強い酸やアルカリを発生することがないため無臭であり、しかも、シリコーンの有機過酸化物架橋や白金系触媒を使用する付加架橋の架橋阻害を起こさないので、スポンジを得るために多量に添加できるというメリットがある。また、毒性もないことから、本発明の発泡剤として好適に使用される。
炭酸水素ナトリウム系の発泡剤は、発泡剤の主剤が炭酸水素ナトリウムであれば特に限定されるものではない。また、粒子径や製品純度、炭酸水素ナトリウムへのシリコーン系疎水化処理等についても、特に制限されるものではないが、純度50〜100%、平均粒子径50μm以下であることが望ましい。発泡剤へのスポンジの造核処理や造核剤の添加、分解促進剤として酸の少量添加や他の無機発泡剤の微量添加などは任意である。
本発明における(B)成分である発泡剤の添加量としては、通常(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜50質量部添加することが必要であり、1.0〜20質量部添加することが好ましい。0.5質量部未満であると発生ガスが不十分でスポンジ状態となりにくく、連泡率も上がらない。逆に50質量部を超えると、物理的に発泡剤の添加が困難となる場合があり、スポンジ成形時に発生ガスが多くなるためにセルが不均一となったり、スポンジが内部より割れてしまったりする場合がある。
本発明において(C)成分として用いられる有機過酸化物加硫剤は、(A)成分を硬化させるために使用するものであり、1分間半減期温度が150℃以上の非アシル系有機過酸化物を使用する。
具体的には、常圧熱気加硫(HAV)時に、酸素阻害によりゴム表面が架橋阻害される(固まりにくい)、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドのような有機過酸化物が望ましい。
通常の独立泡スポンジをHAV加硫する場合には、発泡ガスをゴムに閉じこめる必要があるため、使用される有機過酸化物には、酸素による架橋阻害の少ないジアシル系パーオキサイド(2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド等)や、パーオキシエステル系で特異的に酸素阻害に強い有機過酸化物である1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン、或いは酸素架橋阻害のない付加架橋を選択する必要がある。
そのため一般的に、常圧熱気加硫では、酸素阻害によりゴム表面が架橋しない(発泡体とならない)ジアルキルパーオキサイド系の有機酸過酸化物が単独で使用されることはなく、また単独で使用した場合、スポンジセルが均一で高発泡倍率をもつスポンジとはならない。
本発明において(C)成分として用いられる有機過酸化物加硫剤は、(B)成分の発泡剤の分解温度よりも高い温度で分解するものを選択すると、スポンジ連泡率が高くなるため好ましい。一例をあげると、炭酸水素ナトリウム系発泡剤を使用する場合に、主な分解温度である150℃とほぼ同じかそれよりも高く設定された有機過酸化物加硫剤である。このような有機過酸化物加硫剤は、シリコーンゴムの表層(スキン層)があまり架橋しないため、炭酸水素ナトリウム系の発泡剤の分解によって発生した炭酸ガスが、スポンジセルを突き破りスポンジ外へ出やすくする役割をもっている。
本発明において(C)成分として用いられる有機過酸化物の具体例を以下に挙げるが、括弧内は各化合物の1分間半減期温度である。t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーオキシエステル系、155℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン(ジアルキル系、180℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシン(ジアルキル系、194℃)、ジt−ブチルパーオキサイド(ジアルキル系、186℃)、ジクミルパーオキサイド(ジアルキル系、175℃)、クミル−t−ブチルパーオキサイド(ジアルキル系、173℃)、p−メンタンハイドロパーオキサイド(ハイドロパーオキサイド系、200℃)等が好適に用いられるが、その中でも特に1分間半減期温度が170℃以上であるジアルキルパーオキサイド系の有機過酸化物が、有機過酸化物の安定性などから好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
上記の架橋システムは、発泡ガスの通り道がないと連泡とならないことから、圧縮成形ではなく常圧熱気加硫が好適である。常圧熱気加硫には、ビーズ成分をガラスビーズとするパウダーキュアリングメソッドも含まれる。
本発明における(C)成分の配合量は有効量でよく、具体的には、通常、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜50質量部、特に0.5〜10質量部であることが好ましい。多すぎても硬化速度の向上はなく、未反応物や分解残査の除去に長時間必要となる。
また本発明は導電性物質を添加することにより導電スポンジとすることも出来る。
導電性材料としてはその種類、配合量は制限されないが、導電性カーボンブラック、導電性酸化金属系粒子、たとえば、導電性亜鉛華、導電性酸化チタンなどが使用できる。また、導電材料は1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。その場合、カーボンは有機過酸化物の架橋阻害物質となるため、カーボン添加量の減少や有機過酸化物の増量が望ましい。
前記カーボンブラックとしては、通常導電性ゴム組成物に常用されているものが使用することができ、例えばアセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1,500〜3,000℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック等を挙げることができる。
具体的な市販品としては、アセチレンブラックでは、デンカブラック(電気化学社製)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等が、コンダクティブファーネスブラックでは、コンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンC(キャボット社製)等が、スーパーコンダクティブファーネスブラックでは、コンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製)、パルカンSC(キャボット社製)等が、エクストラコンダクティブファーネスブラックでは、旭HS−500(旭カーボン社製)、パルカンXC−72(キャボット社製)等が、コンダクティブチャンネルブラックでは、コウラックスL(デグッサ社製)等が挙げられる。
また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC及びケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)を用いることもできる。ファーネスブラックは、不純物、特に硫黄や硫黄化合物の量が硫黄元素の濃度で6,000ppm以下であることが好ましく、3,000ppm以下であることが望ましい。
なお、これらのうちでは、その卓越して大きい比表面積から低充填量でも優れた導電性を示すケッチェンブラックEC300JDやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用できる。
上記導電性カーボンブラックの添加量は、上述した(A)成分のゴム成分100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることが特に好ましい。添加量が1質量部未満では所望の導電性を得ることができない場合があり、20質量部を超えるとゴム硬化性が低下したりする可能性があり、目的とするゴム弾性を得られないことがある。
また、導電性金属酸化物微粒子としては、導電性亜鉛華、酸化チタン、スズアンチモン系微粒子等が挙げられる。具体的には、導電性酸化亜鉛としては、例えばハクスイテック(株)製の酸化亜鉛23−K(商品名)や本庄ケミカル株式会社製の導電性亜鉛化FX(商品名)が、白色導電性酸化チタンとしては、例えばET−500W(商品名、石原産業(株)製)を挙げることができる。これらの微粒子は、単独で、あるいはカーボンとの併用で、1〜300質量部添加することにより、目的の電気抵抗を得ることができる。
本発明に係るシリコーンゴムスポンジ組成物には、必要に応じてさらに熱伝導性付与材として粉砕石英、酸化亜鉛、アルミナ、酸化アルミや、非補強性シリカとして珪藻土を添加してもよい。その他にも、炭酸カルシウム等の充填剤、着色剤、耐熱向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤等の添加剤や離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール封鎖低分子シロキサン等の分散剤などを添加してもよい。
本発明に係るシリコーンゴムスポンジの製造方法は、特に限定されることはないが、上述した成分の所定量を2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練りすることによって得ることができる。具体的には(A)成分とその他添加剤を混練・熱処理し、冷却後に(B)、(C)、(D)を添加する方法等が挙げられる。
本発明に係るシリコーンゴムスポンジの硬化発泡方法は、スポンジセルの連泡率を高める必要があるために常圧熱気加硫が望ましく、押出成形を用いた加熱炉による連続加硫、バッチ式乾燥器による熱気架橋などが好適に採用される。ただし金型架橋でも内部に十分に空間が確保されている場合は、その限りではない。一般的には、80〜400℃、好ましくは100〜300℃で5秒〜1時間程度常圧熱気加熱発泡硬化させることにより、高連泡率スポンジを得ることができる。また、100〜230℃で10分〜10時間程度ポストキュアーしてもよい。
上記のようにして、常圧熱気加硫により発泡及び硬化することにより得られた連泡率が15%以上である高連泡率微細シリコーンゴムスポンジは、該スポンジからなる層を少なくとも1層有する定着ロールの製造に有用である。このような定着ロールとしては、連泡スポンジからなる単層を有する定着ロール、該スポンジからなる二層以上の層にPFAチューブ等の表層離形材を接着させた2層以上の複層定着ロール、ソリッドゴムとスポンジゴム層及びトナー離形層を複合した多層構造定着ロール構造をもつ、トナー溶融定着用途の定着ロール等が挙げられる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、特に記載がない場合には、以下における「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約8,000であるオルガノポリシロキサン100部、BET表面積200m/gの乾式シリカ Aerosil200(日本アエロジル(株)製、粉体含有水分量0.3%以下)10部、BET表面積200m/gの湿式シリカ NipsilLP(日本シリカ工業(株)製、粉体含有水分量7%)30部、及び両末端にシラノール基を有し、粘度29mm/s(23℃)のジメチルポリシロキサン5部をニーダーで配合し、180℃で2時間熱処理してシリコーンゴムコンパウンドAを作製した。
得られたシリコーンゴムコンパウンドAを、常温で24時間純水中に放置してシリコーンゴムコンパウンドの含有水分量を増加させた後、シリコーンゴムコンパウンドの含有水分量を測定した。
測定方法は、シリコーンゴムコンパウンドを25℃/50%RHの雰囲気下で24時間放置した後、乾燥窒素をキャリアガスにしてサンプルを150℃/5分間加熱し、発生した水分(水蒸気)を検出するカールフィッシャー法、加熱炉付き自動測定器等で測定した。
上述のように水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドA/100部に対し、有機発泡剤A[1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)]/1.5部及びPO硬化剤A[ジクミルパーオキサイド]/1.0部を、2本ロールミルを用いて添加混合し、9mm厚のシリコーンゴムコンパウンドシートを作製した。次に、この9mm厚シートを、230℃の熱風乾燥器を用いて30分間常圧熱気加硫させ、シリコーンスポンジを得た。その後、200℃で4時間2次加硫を行った。得られたスポンジからスキン層をとり除いた後に、スポンジ硬さ、発泡倍率、スポンジセルの状態、スポンジの平均セル径、及び連泡率を下記の方法により測定し、評価した。評価結果を表1〜4に示す。
<スポンジ硬さ>
JIS S 6050規定のアスカーC硬度を測定した。
<セルの状態>
目視にて観察した。
<平均セル径>
スポンジ切断面にあるセル径を、顕微鏡を用いて測定し、平均値を算出した。
<連泡率の測定方法>
1)スポンジ試料の比重と重量を測定する。
2)スポンジを真空容器に置いた容器中の水に沈め、その状態で真空容器内を10mmHg以下に減圧する。
3)真空容器内を常圧に戻した後に5分間放置してスポンジに吸水させる。
4)吸水した状態でスポンジの重量を計量する。次に、次式に従って連泡率を求める。
[(減圧下吸水後のスポンジ試料の重量−当初スポンジ試料の重量)/水の比重(1.00)]
/[(1−(スポンジ比重/未発泡のゴム材料比重))×(スポンジ試料重量/スポンジ比重)]×100(%)
シリコーンゴムコンパウンドAに使用したフィラーの種類と量を、乾式シリカ Aerosil200/10部、湿式シリカ NipsilLP/30部から、それぞれAerosil200/20部、湿式シリカ NipsilLP/20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンドBを得た。
更に、実施例1で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドAの代わりに、水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドBを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、スポンジを成形し、物性を測定した。
シリコーンゴムコンパウンドAに使用したフィラーの種類と量を、乾式シリカ Aerosil200/10部、湿式シリカ NipsilLP/30部から、それぞれAerosil200/30部、湿式シリカ NipsilLP/10に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンドCを得た。
更に、実施例1で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドAの代わりに、水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドCを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、スポンジを成形し、物性を測定した。
シリコーンゴムコンパウンドAに使用したフィラーの種類と量を、乾式シリカ Aerosil200/10部、湿式シリカ NipsilLP/30部から、Aerosil200/40部に変更し、NipsilLPを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンドEを得た。得られたシリコーンゴムコンパウンドEの含有水分量を実施例1に記載された測定方法で測定したところ、含有水分量は0.2%であった。
更に、含有水分量を増加させるため、上記シリコーンゴムコンパウンドEに添加剤A(Aerosil200/3部、純水/7部を混合したペースト)を1.4部添加して含有水分量を1.0%とした後、実施例1と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
実施例3で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドC/100部に対して、有機発泡剤B[アゾビスイソブチロニトリル]/1.5部を使用して発泡させたこと以外は、実施例3と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
実施例3で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドC/100部に対して、無機発泡剤C(炭酸水素ナトリウム)/2.5部を使用して発泡させたこと以外は、実施例3と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例1〕
シリコーンゴムコンパウンドAに使用したフィラーの種類と量を、乾式シリカ Aerosil200/10部、湿式シリカ NipsilLP/30部から、湿式シリカ NipsilLP/40に変更し、Aerosil200を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムコンパウンドDを得た。得られたシリコーンゴムコンパウンドDの含有水分量を実施例1に記載された測定方法で測定したところ、含有水分量は0.4%であった。
得られたシリコーンゴムコンパウンドDを含有水分量の調整を行なわずそのまま使用したこと以外は、実施例1と同様にスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例2〕
比較例1で使用したシリコーンゴムコンパウンドD/100部を、実施例4で使用したシリコーンゴムコンパウンドE/100部に変更したこと以外は、比較例1と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。なお、含有水分量の調整を行なうことなくシリコーンゴムコンパウンドEの含有水分量を実施例1に記載された測定方法で測定したところ、含有水分量は0.2%であった。
〔比較例3〕
実施例1で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドA/100部に対し、硬化剤および発泡剤を、有機発泡剤B[アゾビスイソブチロニトリル]/1.5部、PO硬化剤A[ジクミルパーオキサイド]/1.0部、PO硬化剤B[p−メチルベンゾイルパーオキサイド]/0.1部とした他は、実施例1と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例4〕
比較例3で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドA/100部を、実施例3で使用した水中に放置し含有水分量を増加させたシリコーンゴムコンパウンドC/100部に変更したこと以外は、比較例3と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例5〕
比較例2で使用したシリコーンゴムコンパウンドE/100部に対し、硬化剤および発泡剤を、有機発泡剤A[1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)]/1.5部、PO硬化剤A[ジクミルパーオキサイド]/1.0部、PO硬化剤B[p−メチルベンゾイルパーオキサイド]/0.1部とした他は、比較例2と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例6〕
比較例5で使用したシリコーンゴムコンパウンドE/100部に対し、硬化剤および発泡剤を、有機発泡剤A[1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)]/1.5部及び付加硬化剤C[C−25A(信越化学社製:白金触媒ペースト)/C−25B(信越化学社製:オルガノハイドロジェンシロキサン系架橋剤)]0.5部/2.0部に変更したこと以外は、比較例5と同様にしてスポンジを成形し、物性を測定した。
〔比較例7〕
シリコーンゴムコンパウンドAを含有水分量の調整を行なわずそのまま使用したこと以外は、実施例1と同様にスポンジを形成し、物性を測定した。
なお、含有水分量の調整を行なうことなくシリコーンゴムコンパウンドAの含有水分量を実施例1に記載された測定方法で測定したところ、含有水分量は0.4%であった。
実施例1〜6および比較例1〜7で得られたスポンジの特性と結果を表1〜4に示す。表中、「表層エアー溜り」とは、表層下1〜2mmの場所に発生ガスが溜ってできる直径3〜15mm程度のドーム型の空間を示す。破裂はしておらず、その下のセルにも異常はない状態である。
表1〜4の結果から明らかなように、本発明のシリコーンスポンジにおける発泡セルが、連泡率が高く、極めて均一であることが実証された。
注1):実施例4の含有水分量は添加剤A添加後の数値である。
注2):含有水分を調製していないシリコーンゴムコンパウンドの含有水分量である。
注2):含有水分を調製していないシリコーンゴムコンパウンドの含有水分量である。
<表中の硬化剤、発泡剤の説明>
・添加剤A:Aerosil200/3部、純水/7部を混合したペースト
・有機発泡剤A:1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)(ガス発生温度:約107℃)
・有機発泡剤B:アゾビスイソブチロニトリル(ガス発生温度:約106℃)
・無機発泡剤C:炭酸水素ナトリウム(平均粒子径20μm)(ガス発生温度:約150℃)
・PO硬化剤A :ジクミルパーオキサイド(ジアルキル系、1分間半減期温度:175℃)
・PO硬化剤B :p−メチルベンゾイルパーオキサイド(ジアシル系、1分間半減期温度:128℃)
・付加硬化剤C :C−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンシロキサン系架橋剤)=0.5部/2.0部)
本発明のシリコーンゴムスポンジは、建築ガスケット、各種スポンジシート、吸水用スポンジ、断熱シート、工業用ロール、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置を初めとする事務機用スポンジロール、特にトナー溶融定着ロール、給紙ロール、トナー搬送ロールおよびクリーニングロールなどに使用される、高連泡率微細シリコーンゴムスポンジとして有用である。

Claims (7)

  1. 少なくとも、下記(A)〜(C)成分を含有する組成物を常圧熱気架橋させ、発泡、硬化させることにより、連泡率が15%以上である微細セルを均一に形成させてなることを特徴とする、シリコーンゴムスポンジ。
    (A)下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン100質量部に対して比表面積(BET)が50m/g以上の補強性シリカを5〜100質量部含有する混合物であって、架橋前の含有水分量が0.5%以上であるシリコーンゴムコンパウンド:100質量部;
    nSiO(4−n)/2 (I)
    上式中のRは、同一または異種の非置換又は置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.05の正数である。
    (B)少なくとも、有機アゾ発泡剤または炭酸水素ナトリウム系発泡剤:0.5〜50質量部、及び
    (C)1分間半減期温度が150℃以上の非アシル系有機過酸化物: (A)成分を硬化し得る有効量。
  2. 更に導電性物質を含有する、請求項1に記載されたシリコーンゴムスポンジ。
  3. 更に熱伝導性付与剤を含有する、請求項1または2に記載されたシリコーンゴムスポンジ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載されたシリコーンゴムスポンジからなる層を少なくとも1層有することを特徴とする定着ロール。
  5. 請求項4に記載された定着ロールを有することを特徴とする、電子写真式画像形成装置。
  6. 少なくとも、下記(A)〜(C)成分を含有する組成物を常圧熱気架橋させ、発泡、硬化させることにより、連泡率が15%以上である微細セルを均一に形成させることを特徴とする、シリコーンゴムスポンジの製造方法。
    (A)下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン100質量部に対して比表面積(BET)が50m/g以上の補強性シリカを5〜100質量部含有する混合物であって、架橋前の含有水分量が0.5%以上であるシリコーンゴムコンパウンド:100質量部;
    nSiO(4−n)/2 (I)
    上式中のRは、同一または異種の非置換又は置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.05の正数である。
    (B)少なくとも、有機アゾ発泡剤または炭酸水素ナトリウム系発泡剤:0.5〜50質量部、及び
    (C)1分間半減期温度が150℃以上の非アシル系有機過酸化物: (A)成分を硬化し得る有効量。
  7. 前記(B)成分の発泡剤として、発泡時に前記(A)成分を増粘させる特性を有する発泡剤を使用する、請求項6に記載されたシリコーンゴムスポンジの製造方法。
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