JP4777629B2 - シリコーンゴムスポンジ組成物およびシリコーンゴムスポンジ - Google Patents
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(A)下記平均組成式(I):
R1 nSiO(4−n)/2 (I)
(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表されるオルガノポリシロキサンと補強性シリカとを含んでなり、架橋前の含有水分量が0.5質量%以下であるシリコーンゴムコンパウンド 100質量部、
(B)炭酸水素ナトリウム 0.5〜50質量部、および
(C)硬化剤 有効量
を含有するシリコーンゴムスポンジ組成物、ならびに該組成物を加熱して発泡させ硬化させることにより得られるシリコーンゴムスポンジを提供する。
(A)成分は、下記平均組成式(I):
R1 nSiO(4−n)/2 (I)
(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表されるオルガノポリシロキサンと補強性シリカとを含んでなり、架橋前の含有水分量が0.5質量%以下であるシリコーンゴムコンパウンドである。
上記平均組成式(I)中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の、好ましくは炭素原子数1〜12、特に好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;シクロアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、ビニル基が特に好ましい。上記平均組成式(I)中、nは1.95〜2.05の正数であるので、該オルガノポリシロキサンは基本的には分岐を有しない直鎖状であるが、本発明組成物のゴム弾性を損なわない範囲において分岐していてもよい。
(A)成分中の補強性シリカは機械的強度のすぐれたシリコ−ンゴムスポンジ組成物を得るために充填材として添加される。この目的のためには、BET法により測定された補強性シリカの比表面積が50m2/g以上であることが好ましく、100〜400m2/gであることがより好ましい。該比表面積がこの範囲だと、本発明組成物を発泡・硬化させることにより得られる硬化物の機械的強度を高く保つことができる。このような補強性シリカとしては、例えば、煙霧質シリカ、沈降シリカ等が挙げられる。
(A)成分のシリコーンゴムコンパウンドには、必要に応じ、更に重合度が100以下の両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、カーボンブラック、導電性金属酸化物等の導電性付与剤、石英粉、酸化亜鉛、けいそう土、炭酸カルシウム等の充填剤、酸化セリウム、酸化鉄等の耐熱性向上剤、着色剤、離型剤、難燃性付与剤等のシリコーンゴム組成物において公知の添加剤を本発明の目的を妨げない範囲で添加してもよい。
(A)成分のシリコーンゴムコンパウンドの架橋前の含有水分量は、0.5質量%以下であり、好ましくは0.3質量%以下である。該含有水分量が0.5質量%を超えると、発泡剤として使用する(B)成分中の炭酸水素ナトリウムの結晶はゴムコンパウンド中の吸着水分により溶解するか、または不安定状態となる。そのため、炭酸水素ナトリウムが、通常は約150℃程度で分解・発ガスするのに、100℃近辺の温度領域でも分解してしまう。結果的に、組成物中で架橋が生じる前にガスが発生していわゆる「ガス抜け」が発生しスポンジ状態とならなくなってしまったり、シリコーンゴムコンパウンドの吸湿度合いにより得られるスポンジの再現性にばらつきが生じてしまったりする。
(A)成分のシリコーンゴムコンパウンドの製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記オルガノポリシロキサンおよび補強性シリカならびに、必要に応じて、その他の添加剤の所定量を2本ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー等で均一に混練りすることによって得ることができる。このとき、該シリコーンゴムコンパウンド中の含有水分量を低減させるために、熱処理(加熱下での混練り)を行うことが好ましい。熱処理の温度、時間は特に限定されないが、例えば、100〜250℃における30分〜5時間の熱処理が挙げられる。
(B)成分の炭酸水素ナトリウムは、炭酸アンモニウム系発泡剤、亜硝酸アンモニウム系発泡剤、アジド化合物系発泡剤などの他の無機発泡剤と異なり、分解によって強い酸やアルカリを発生することがない。また、シリコーンの有機過酸化物架橋や白金系触媒を使用する付加架橋を阻害しないので、多量に添加できるというメリットがある。更に、無臭・無毒である。よって、本発明で使用される。
(C)成分の硬化剤としては、本発明のゴム組成物を硬化させ得るものであれば特に限定されず、その好ましい例としては、ゴム用硬化剤として公知の(i)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合わせ、(ii)有機過酸化物、および(i)と(ii)との併用系が挙げられる。
・ヒドロシリル化触媒
上記(i)の硬化剤は、付加反応による架橋を利用した硬化剤である。この付加反応に用いられるヒドロシリル化触媒は、(A)成分中の脂肪族不飽和基(アルケニル基、ジエン基等)と(i)の硬化剤中のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)とを付加反応させる触媒である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のSiH基を含有する限り、直鎖状および環状のいずれであってもよく、分岐していてもよい。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができ、例えば、下記平均組成式(II):
R2 pHqSiO(4-p-q)/2 (II)
(式中、R2は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、pおよびqは、0≦p<3、0<q≦3、および0<p+q≦3、好ましくは1≦p≦2.2、0.002≦q≦1、および1.002≦p+q≦3を満たす正数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを好適に用いることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらは一種単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(D)成分の有機発泡剤は任意成分である。(D)成分の有機発泡剤は、(B)成分の発泡剤と同様にシリコーンゴムスポンジ組成物を発泡させることができる限り、特に限定されない。例えば、ゴム用発泡剤として公知の有機発泡剤を(B)成分と併用することができる。
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上述した(A)〜(C)成分ならびに、必要に応じて、(D)成分およびその他の成分の所定量を2本ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー等で均一に混練りすることによって得ることができる。例えば、上記のように熱処理により含有水分量を低減させ、その後、冷却した(A)成分に(B)〜(D)成分等を添加する方法が挙げられる。
カールフィッシャー法を用いた加熱炉付き自動測定器である平沼産業製の水分測定装置(AQV−6、EV−6)を使用してシリコーンゴムコンパウンドの含有水分量を測定した。条件は下記の通りである。
シリコーンゴムコンパウンド量:1g
キャリアガス:乾燥窒素、0.3L/min
加熱温度/時間:150℃/5分間
脱水溶媒:CP溶媒(クロロホルム/プロピレンカーボネート混合溶媒)
ジメチルポリシロキサンおよび補強性シリカをニーダーで混合し、所定の条件で熱処理した。得られたシリコーンゴムコンパウンド100質量部に所定量の発泡剤および架橋剤を2本ロールミルで混合し、得られた組成物を2本ロールミルで6ミリメートル厚のシートに成形した。このシートを250℃の温度に加熱した熱風乾燥器の中で15分間発泡・硬化させた。できあがったスポンジのスポンジ硬さ(JIS S 6050に準拠してアスカーC型ゴム硬度計で測定)、発泡倍率(発泡後の体積/発泡前の体積×100%)および平均セル径を測定し、スポンジセルの状態を目視観察した。
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約8,000であるオルガノポリシロキサン100部、乾式シリカAerosil200(日本エアロジル(株)製、BET法による比表面積200m2/g)40部、両末端にシラノール基を有し、粘度が29mm2/s(23℃)のジメチルポリシロキサン5部をニーダーで混合し、180℃で2時間熱処理して、シリコーンゴムコンパウンドを作成した。
次に上記シリコーンゴムコンパウンド100部に対し、発泡剤として炭酸水素ナトリウム(試薬グレード)2.0質量部、ならびに硬化剤としてp-メチルベンゾイルパーオキサイド0.1質量部および2,4−ジクミルパーオキサイド0.9質量部を添加した後、2本ロールミルで混合し、得られた組成物を2本ロールミルで6ミリメートル厚のシートに成形した。このシートを250℃の内部温度に設定された乾燥器に15分間入れて加熱し、発泡・硬化させた。作成したスポンジシートをカッターにて切断して内部のスポンジセル状態を調べたところ、平均セル径は350μmでありかつ均一であることを目視で観察した。スポンジ常圧熱気加硫の評価結果を表1に示す。
補強性シリカとして、乾式シリカAerosil200 40部の代わりに乾式シリカAerosil200 30部および湿式シリカZeosil132(ローディアジャパン(株)製、BET法による比表面積200m2/g)10部を用いた以外は実施例1と同様にして、物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表1に示す。
補強性シリカとして、乾式シリカAerosil200 40部の代わりに湿式処理シリカSS−70(日本シリカ(株)製、BET法による比表面積49m2/g)40部を用いた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表1に示す。
硬化剤として、p-メチルベンゾイルパーオキサイド0.1質量部および2,4−ジクミルパーオキサイド0.9質量部の代わりに付加架橋剤であるC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)(ともに信越化学工業製)をそれぞれ0.5部/2.0部添加した以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表1に示す。
発泡剤として、炭酸水素ナトリウム(試薬グレード)2.0質量部とともに有機アゾ系発泡剤1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)1.0部を併用した以外は実施例4と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1のシリコーンゴムコンパウンドに蒸留水を添加し、2本ロールミルで混練りして該シリコーンゴムコンパウンドの含有水分量を0.3質量%に増加させた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表1に示す。
補強性シリカとして、乾式シリカAerosil200 40部の代わりに湿式シリカZeosil132 40部を用いた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表2に示す。
補強性シリカとして、乾式シリカAerosil200 40部の代わりに乾式シリカAerosil200 20部および湿式シリカZeosil132 20部を用いた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1のシリコーンゴムコンパウンドに蒸留水を添加し、2本ロールミルで混練りして該シリコーンゴムコンパウンドの含有水分量を0.6質量%に増加させた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表2に示す。
発泡剤として、炭酸水素ナトリウム(試薬グレード)2.0質量部の代わりにアゾ系有機発泡剤であるアゾビスイソブチルニトリル1.0質量部を用いた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表2に示す。
補強性シリカとして、乾式シリカAerosil200 40部の代わりに湿式シリカZeosil132 40部を用い、発泡剤として、炭酸水素ナトリウム(試薬グレード)2.0質量部の代わりにアゾ系有機発泡剤であるアゾビスイソブチルニトリル1.0質量部を用いた以外は実施例1と同様にして物性測定用シートおよびスポンジ発泡体を作成し、試験を行った。評価結果を表2に示す。
%:質量%(ただし、発泡倍率を表す場合を除く)
乾式シリカA:Arosil200(含有水分量0.7質量%)
湿式シリカB:Zeosil132(含有水分量6質量%)
湿式処理シリカC:SS−70(含有水分量2質量%)
重曹発泡剤:炭酸水素ナトリウム
アゾ発泡剤A:1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)
アゾ発泡剤B:アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)
パーオキサイドA:p-メチルベンゾイルパーオキサイド
パーオキサイドB:2,4−ジクミルパーオキサイド
*1:発泡ガスが抜けており、スポンジセルがパイ生地状に層状になっている。
*2:発泡ガスが抜けており、一部のスポンジセルはスポンジ状になっているが、残りはパイ生地状に層状になっている。
%:質量%(ただし、発泡倍率を表す場合を除く)
乾式シリカA:Arosil200(含有水分量0.7質量%)
湿式シリカB:Zeosil132(含有水分量6質量%)
湿式処理シリカC:SS−70(含有水分量2質量%)
重曹発泡剤:炭酸水素ナトリウム
アゾ発泡剤A:1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)
アゾ発泡剤B:アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)
パーオキサイドA:p-メチルベンゾイルパーオキサイド
パーオキサイドB:2,4−ジクミルパーオキサイド
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物からは、(A)成分のベースコンパウンドの含有水分量が0.5質量%以下のときに、良好なシリコーンゴムスポンジが得られることが分かる。
Claims (5)
- (A)下記平均組成式(I):
R1 nSiO(4−n)/2 (I)
(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表されるオルガノポリシロキサンと補強性シリカとを含んでなり、架橋前の含有水分量が0.5質量%以下であるシリコーンゴムコンパウンド 100質量部、
(B)炭酸水素ナトリウム 0.5〜50質量部、および
(C)硬化剤 有効量
を含有するシリコーンゴムスポンジ組成物。 - (A)成分中の補強性シリカの比表面積が50m2/g以上であり、該補強性シリカ単独での含有水分量が3質量%以下であり、(A)成分のシリコーンゴムコンパウンドに該補強性シリカが1〜50質量%の割合で含まれる請求項1に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
- (D)有機発泡剤 0.1〜10質量部
を更に含有することを特徴とする請求項1または2に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。 - (C)成分の硬化剤がヒドロシリル化触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの組み合わせ、または有機過酸化物、またはそれらの併用系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物を加熱して発泡させ硬化させることにより得られるシリコーンゴムスポンジ。
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