JP2006193609A - シリコーンゴムスポンジ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡時の分解物の毒性も低減され、シリコーンゴムスポンジ組成物の架橋速度の制御や発泡剤と有機過酸化物のデリケートなバランスを考慮しなくても発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層が平滑となるシリコーンスポンジ、特に低硬度高発泡倍率となるシリコーンゴムスポンジを与えるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサン RaSiO4-a/2 (1)(Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である) 100質量部(B)熱分解により(A)成分を増粘又は硬化させ得る有機発泡剤 0.1〜20質量部 (C)炭酸水素ナトリウム 0.5〜50質量部 (D)硬化剤(A)成分を硬化させ得る量 を含有することを特徴とするシリコーンゴムスポンジ組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーンゴムスポンジ組成物、特には低硬度シリコーンゴムスポンジ与えるシリコーンゴムスポンジ組成物に関する。
シリコーンゴムスポンジは、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、難燃性、圧縮永久歪特性等に優れているため建築用ガスケット、各種スポンジシート、工業用ロール、事務機用ロール、断熱シート等に広く使用されている。
シリコーンゴムスポンジは一般的には加熱硬化型シリコーンゴムコンパウンドに発泡剤と硬化剤を混合し、加熱させることにより発泡・硬化させてスポンジを形成するものである。その場合、発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層が平滑で粘着性がなく、シリコーンゴム特有の特性を損なわないことが重要であるが、発泡速度と硬化速度のバランスは非常に微妙であり、このバランスが少しでも悪いと上記特性のスポンジは得られず、組成物や成形方法にいろいろな制約があった。
例えばシリコーンゴムスポンジの加工成形方法としては、連続成形が可能な常圧熱気中で硬化、発泡させることが一般的であるが、常圧熱気中で均一で微細なセル構造のスポンジを得るには発泡剤が分解する時に発生するガスをゴム内部に細かい泡の状態で押さえ込まなければならないため、発泡剤が分解する前にシリコーンゴムスポンジ組成物が発泡圧力を押さえ込むために増粘又は硬化している必要がある。そのため、スポンジ成形における反応順序としては一般的には1)硬化剤による(A)成分の増粘又は硬化(不完全)、2)発泡剤の分解によるガスの発生、3)(A)成分の完全硬化となることが望ましい。
そのために、付加架橋タイプでは触媒量を調整したり、反応制御剤を用いて反応制御をしたり、有機過酸化物架橋タイプでは有機過酸化物の分解温度を発泡剤の分解温度と同等か低いように選択したりすることが行われている。
しかし、このようなゴムの初期硬化の制御は非常に難しく、付加架橋であれば制御剤の量や触媒の活性度によって常に変化し、有機過酸化物架橋であれば分解温度が使用する発泡剤とほぼ同等かそれ以下のものを選択し、スポンジ成形温度範囲全域における分解挙動も類似したものを選択しなければならないという問題があった。
シリコーンゴムスポンジ用の発泡剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)が最も代表的(特公昭44−461号、特許文献1)であるが、これは得られるスポンジ特性は優れるものの、分解物の毒性が高いためスポンジの二次的処理が必要である。
また、特開平8-134350号(特許文献2)には1,1’-アゾビス-(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)を発泡剤に用いることが提案されているが、この分解物も不快臭が強いという問題があった。特開平8-259816号(特許文献3)ではAIBN以外の有機アゾ化合物を発泡剤に用いることが提案され分解物の毒性は低減したが、スポンジ特性、特に低硬度のスポンジ特性は十分満足するものではなかった。
また、特開平5-156061号(特許文献4)では、安全性の高い発泡剤として炭酸水素ナトリウム等の無機塩類を用いることが提案されているが、スポンジセルの均一性や
緻密性等が悪いという問題があった。また、特開2002-146078号(特許文献5)でも安全性を考慮した非ニトリル系の有機アゾ化合物を発泡剤として用いることが提案されているが、低硬度スポンジにおいてはセルの均一性、緻密性において十分満足するものではなかった。
特公昭44−461号公報 特開平8−134350号公報 特開平8−259816号公報 特開平5−156061号公報 特開2002−146078号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発泡時の分解物の毒性も低減され、シリコーンゴムスポンジ組成物の架橋速度の制御や発泡剤と有機過酸化物のデリケートなバランスを考慮しなくても発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層が平滑となるシリコーンスポンジ、特に低硬度高発泡倍率となるシリコーンゴムスポンジを与えるシリコーンゴムスポンジ組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、発泡剤として熱分解により(A)成分を増粘又は硬化させ得る有機発泡剤と炭酸水素ナトリウムを併用したシリコーンゴムスポンジ組成物が発泡時の分解物の毒性も低減され、シリコーンゴムスポンジ組成物の架橋速度の制御や発泡剤と有機過酸化物のデリケートなバランスを考慮しなくても発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層が平滑となるシリコーンスポンジ、特に低硬度高発泡倍率となるシリコーンゴムスポンジを与えることを知見し本発明をなすに至った。
従って、本発明は、(A)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサン RaSiO4-a/2 (1)
(Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である)
100質量部
(B)熱分解により(A)成分を増粘又は硬化させ得る有機発泡剤 0.1〜20質量部
(C)炭酸水素ナトリウム 0.5〜50質量部
(D)硬化剤 (A)成分を硬化させ得る量
を含有することを特徴とするシリコーンゴムスポンジ組成物を提供する。
本発明によれば、発泡時の分解物の毒性も低減され、シリコーンゴムスポンジ組成物の架橋速度の制御や発泡剤と有機過酸化物のデリケートなバランスを考慮しなくても発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層が平滑となるシリコーンスポンジ、特に低硬度高発泡倍率となるシリコーンゴムスポンジを与えるシリコーンゴムスポンジ組成物を得ることができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは下記平均組成式(1)で表される。
SiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示し、aは1.95〜2.04の正数である。)
上記平均組成式(1)中、Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基を示し、通常、炭素数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、或いはこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したトリフロロプロピル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。メチル基はR中80モル%以上特に90モル%以上であることが好ましい。
具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、又はこのジメチルポリシロキサンの主鎖の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。
また、このオルガノポリシロキサンは、付加架橋の場合は1分子中に2個以上のアルケニル基、好ましくはビニル基を有する必要があり、0.01〜10モル%、特に0.02〜5モル%がアルケニル基であることが好ましい。
有機過酸化物架橋の場合は有機過酸化物の種類によってはアルケニル基は必ずしも必要でないが、0.01〜10モル%、特に0.02〜5モル%がアルケニル基であることが好ましい。
なお、このアルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、側鎖のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。具体的には分子鎖末端がジメチルビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものが好ましい。
適量のアルケニル基を有し、特に末端にアルケニル基を有した場合、特に硬化特性が良好となり、得られるゴムの特性も優れたものとなる。
aは1.95〜2.04の正数であり、基本的には直鎖状であるがゴム弾性を損なわない範囲において分岐していてもよい。
このオルガノポリシロキサンの重合度は100以上であり、好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。重合度が100未満であると十分なゴム強度が得られない。
また、このオルガノポリシロキサンは1種でも分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
このようなオルガノポリシロキサンは、公知の方法、例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、或いは環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性触媒をもちいて開環重合することによって得ることができる。
(B)成分の発泡剤は熱分解により(A)成分を増粘又は硬化させ得る有機発泡剤である。これは、(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分の有機発泡剤を混合し、加熱して有機発泡剤を熱分解させた場合に(A)成分のオルガノポリシロキサンを増粘又は硬化させることができる特性を有している有機発泡剤である。この場合の硬化は完全硬化ではなく、まだ硬化が進行し得る状態を意味する。
この有機発泡剤は、発泡剤の分解によってガスを発生するだけではなく、(A)成分のオルガノポリシロキサン分子中に存在するメチル基やアルケニル基等の置換基をラジカル反応による架橋によりポリマー粘度を上昇させ得るものである。
このような特性を有する有機発泡剤を用いることにより、スポンジ成形時にゴム内で硬化剤によるベースポリマーの増粘・硬化と発泡剤の分解によるガスの発生をほぼ同時とするために付加架橋における触媒量を調整して反応を制御したり、有機過酸化物の分解温度による制約なしにシリコーンゴムスポンジの要求する硬さや圧縮永久歪特性のために架橋剤を自由に選択することができるようになる。また、スポンジ成形温度も低温から高温まで幅広い温度範囲において安定してスポンジを成形することができるようになり、成形方法においても常圧熱気加硫によるスポンジの成形だけでなく、加圧発泡や円筒形の管内発泡でも安定してスポンジを成形することができる。
(B)成分の有機発泡剤は上記特性を有するものなら特に制限されないが、(C)成分の炭酸水素ナトリウムが150℃前後で吸熱分解し、炭酸ガスを発生することから150℃以下で分解するものが好ましく、特に150℃以下の分解するアゾ系有機発泡剤が好ましい。具体的には、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部と(B)成分の有機発泡剤0.2〜5質量部を混合し、150℃で熱分解させた時、(A)成分のオルガノポリシロキサンのムーニー粘度ML(1+4)が5%以上、特に10〜300%粘度上昇させることができる有機発泡剤が好ましい。
具体的には、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)、1、1’アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2−プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]が特に好適に用いられる。
(B)成分の有機発泡剤の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、特に好ましくは0.2〜5質量部である。0.1質量部未満であると(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘度上昇が少なく、(C)成分より発生するガスをスポンジ内に留めることができず、ガス抜けが起こり、スポンジにならなかったり、スポンジとなっても不均一で粗いスポンジとなり、20質量部を超えると増粘が進みすぎて発泡圧力が抑えられてしまい高発泡倍率のスポンジ(低硬度スポンジ)が得られない。
(C)成分の炭酸水素ナトリウムは(B)成分の有機発泡剤とともに発泡作用を奏するものである。炭酸水素ナトリウムは炭酸アンモニウムや亜硝酸アンモニウム、アジド化合物などの無機発泡剤とはことなり、分解によって強い酸やアルカリを発生することなく無臭で、有機過酸化物架橋や付加架橋の硬化阻害とならず、発泡倍率を上げ低硬度スポンジを得るために比較的多く添加することができる。また、毒性のなく安全性も高い。
炭酸水素ナトリウムは炭酸水素ナトリウムへのスポンジ造核処理や造核剤の添加、分解促進剤としての酸の少量添加や他の無機発泡剤を微量添加したものであってもよい。
炭酸水素ナトリウムの添加量を多くすれば発泡倍率は高くなり、スポンジセル壁も薄くなるためこの添加量でスポンジ比重、スポンジ硬度、発泡倍率を容易にコントロールできる。
この添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。0.5質量部未満であると発生ガスが不十分で低硬度スポンジが得られず、50質量部を超えると発生ガスが多すぎてスポンジが内部より割れてしまうことがある。
(D)成分の硬化剤としては、本発明のゴム組成物を硬化させ得るものであれば特に限定されるものではないが、シリコーンゴム用硬化剤として公知の有機過酸化物による架橋反応、付加反応による架橋反応、即ちオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒の併用が好ましい。
有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミル-t-ブチルパーオキサイド、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いてもよい。これらの中で1分間半減期温度が160℃以上、特に160〜200℃の有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物の添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜20質量部、特に0.2〜10質量部が好ましい。
付加反応による架橋反応に用いられるヒドロシリル化触媒は、(A)成分の脂肪族不飽和結合(アルケニル基及びジエン基等)とオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(SiH基)を付加反応させる触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、白金族金属系触媒が挙げられ、白金族の金属単体とその化合物があり、これには従来、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の触媒として公知のものが使用できる。例えば、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられるが、白金又は白金化合物が好ましい。触媒の添加量は、付加反応を促進できる触媒量であればよく、白金系金属量に換算して1〜1000ppm、特に10〜500ppmの範囲が好ましい。添加量が少なすぎると付加反応が十分促進されず、硬化が不十分である場合があり、一方、多すぎるとこれより多く加えても反応性に対する影響も少なく、不経済となる場合がある。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のSiH基を含有すれば、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができ、例えば、下記平均組成式(II)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
pqSiO(4-p-q)/2 (II)
上記平均組成式(II)中、Rは、非置換又は置換の一価炭化水素基を示し、同一であっても異なっていてもよく、脂肪族不飽和結合を除いたものであることが好ましい。通常、炭素数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換した基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。なお、p,qは0≦p<3、好ましくは1≦p≦2.2、0<q≦3、好ましくは0.002≦q≦1、0<p+q≦3、好ましくは1.002≦p+q≦3を満たす正数である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、SiH基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあっても、その両方にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、25℃における粘度が0.5〜10,000cSt、特に1〜300cStであることが好ましい。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、ベースポリマーのオルガノポリシロキサン100重量部に対し0.1〜40重量部が好ましい。またベースポリマーのオルガノポリシロキサン脂肪族不飽和結合(アルケニル基及びジエン基等)1個に対し、ケイ素原子に結合した水素原子(≡SiH基)の割合が0.5〜10の範囲が適当であり、好ましくは0.7〜5となるような範囲が適当である。0.5未満だと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られない場合があり、また10を超えると硬化後の物理特性が低下し、特に耐熱性と圧縮永久歪特性が悪くなる場合がある。
また、硬化速度を調整する目的で、付加架橋制御剤を使用してもよい。具体的にはエチニルシクロヘキサノール等のアセチレン基含有アルコールやテトラシクロメチルビニルポリシロキサン、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
また、本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物には補強性シリカを配合することが好ましい、補強性シリカとしてはフュームドシリカ、沈降シリカが例示され、ヒュームドシリカが好ましい。比表面積(BET法)は50m/g以上、特に100〜400m/gであることが好ましい。比表面積(BET法)が小さすぎると機械的強度の付与が不十分となることがある
このシリカは必要に応じ表面をオルガノポリシロキサン、クロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、アルコキシシラン等の公知の処理剤で疎水化処理してもよい。
このシリカの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、10〜100質量部、好ましくは20〜70質量部、特に好ましくは30〜60質量部である。10質量部未満だと、添加量が少なすぎて補強効果が得られず、100質量部を超えると加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまうことがある。
(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分の湿式シリカの混合時に重合度が100未満の両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサンやメチルビニルシロキサン等のジオルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物、ジメチルジメトキシシランやビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン等の(E)分散剤を配合することが好ましい。
この配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部、特に0.5〜20質量部である。配合量が少なすぎると添加効果が少なく、多すぎると得られるゴム物性に悪影響を与えることがある。
常圧熱気加硫の条件としては加硫温度は通常100〜600℃、好ましくは200〜500℃、特に好ましくは250〜400℃で、加硫時間は数秒〜20分、好ましくは10秒〜10分程度である。また、100〜250℃で30分〜10時間程度ポストキュアーしてもよい。
また、本発明で使用されるシリコーンゴムスポンジ組成物には本発明の効果を妨げない範囲においてシリコーンゴム組成物に公知の添加剤を配合してもよい。例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリル酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ステアレート、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、ひまし油(グリセリンのリシノール酸エステル)、等の高級脂肪酸とアルコールのエステル、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド等の高級脂肪酸のアミド類等の離型剤、酸化鉄、ハロゲン化合物、酸化チタン、酸化セリウム等難燃性向上剤や耐熱性向上剤、紫外線吸収剤、防かび剤、着色剤等が例示される。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の部は質量部を示す。
[実施例1]
補強性シリカを約30質量%含有する熱硬化性シリコーンゴムコンパウンドKE951U(信越化学工業(株)製)100部に有機発泡剤として1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)0.5部、炭酸水素ナトリウム(平均粒子径5〜10μm)4部、付加架橋剤C-25A(信越化学工業(株)製)を0.5部、C-25B(信越化学工業(株)製)を2部を二本ロールで混練し、5mm厚のシートを作成した。これを200℃の乾燥器中に10分間放置しスポンジを作成し、その後200℃で4時間ポストキュアさせた。得られたスポンジについてスポンジの状態、スポンジ硬度(アスカC硬度)、発泡倍率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)の量を2部とした以外は実施例1と同様とした。
[実施例3]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)の量を5部とした以外は実施例1と同様とした。
[実施例4]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)の量を10部とした以外は実施例1と同様とした。
[実施例5]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)に変えた以外は実施例2と同様とした。
[実施例6]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を2、2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]に変えた以外は実施例2と同様とした。
[実施例7]
硬化剤を有機過酸化物である2、5-ジメチル-2、5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン0.5質量部とした以外は実施例2と同様とした。
[実施例8]
炭酸水素ナトリウムの量を2部とした以外は実施例2と同様とした。
[実施例9]
炭酸水素ナトリウムの量を10部とした以外は実施例2と同様とした。
[実施例10]
炭酸水素ナトリウムの量を20部とした以外は実施例2と同様とした。
Figure 2006193609
[比較例1]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を添加しない以外は実施例1と同様とした。その結果を表2に示す。
[比較例2]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)をアゾビスイソブチロニトリルに変えた以外は実施例2と同様とした。
[比較例3]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を2、2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリルに変えた以外は実施例2と同様とした。
[比較例4]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を1、1’アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)に変えた以外は実施例2と同様とした。
[比較例5]
炭酸水素ナトリウムを添加しない以外は実施例2と同様とした。
Figure 2006193609
*:発泡ガスが抜けてスポンジとは言えない。
[実施例11]
熱硬化性シリコーンゴムコンパウンドKE951U(信越化学工業(株)製)100部に1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)2部、炭酸水素ナトリウム4部、有機過酸化物硬化剤として2、5-ジメチル-2、5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン0.5部を二本ロールで混練し、2mm厚のシート状にシーテイングした。これを予め170℃に加熱しておいた6mm厚の金型にみ金型容積に対してゴム容積が30%となるように仕込み170℃で30分金型内発泡(金型にかかるプレス圧力は3.5Mpa)を行い、その後200℃で4時間ポストキュアを行った。得られたスポンジについてスポンジの状態、スポンジ硬度(アスカC硬度)、発泡倍率を測定した。その結果を表3に示す。
[実施例12]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)の量を5部とした以外は実施例11と同様とした。
[実施例13]
炭酸水素ナトリウムの量を10部とした以外は実施例11同様とした。
[比較例6]
1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)を添加しない以外は実施例11と同様とした。
[比較例7]
炭酸水素ナトリウムを添加しない以外は実施例11と同様とした。
[比較例8]
炭酸水素ナトリウムを添加しない以外は実施例12と同様とした。
Figure 2006193609
**:金型内でスポンジが十分に膨らんでおらず、材料が不足している状態

Claims (4)

  1. (A)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサン RaSiO4-a/2 (1)
    (Rは同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である)
    100質量部
    (B)熱分解により(A)成分を増粘又は硬化させ得る有機発泡剤 0.1〜20質量部
    (C)炭酸水素ナトリウム 0.5〜50質量部
    (D)硬化剤 (A)成分を硬化させ得る量
    を含有することを特徴とするシリコーンゴムスポンジ組成物。
  2. (B)成分の有機発泡剤が1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-メチルカルボキシレート)、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2、2’−アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
  3. (D)成分の硬化剤が付加反応硬化剤である請求項1又は2記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
  4. 得られるスポンジ硬度(アスカC)が30以下の低硬度スポンジである請求項1〜3いずれか1項に記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
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