JP7428614B2 - エアロゲル複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟で、断熱性能が高く、粉落ちが少ないエアロゲル複合材及びその製造方法に関する。
エアロゲルは、低密度で空隙率の高い乾燥ゲル体の総称であり、湿潤ゲルを乾燥させて得られる多孔質体である。
例えば、シリカ化合物を原料とする一般的なシリカエアロゲルの細孔径は、空気の平均自由行程である67nm以下であり、気体分子同士の衝突(対流による熱伝達)がほとんどないため、気体成分による熱伝導率の影響を無視することができ、シリカエアロゲルの熱伝導率が低くなるため、軽量な断熱材として期待されている。
一方、シリカエアロゲルは極めて脆く、単体でのハンドリングが非常に困難である問題があり、産業界にはなかなか受け入れられてこなかった。
そこで、シリカエアロゲルと当該シリカエアロゲルを保持する基材を複合させたエアロゲル複合材が提案されている。
例えば、特許文献1及び2は、不織布繊維にシリカエアロゲル前駆体となるゾル溶液を含浸しゲル化させて得られた、不織布とエアロゲルとを含む複合材が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2では、エアロゲルの脱落防止のためカップリング剤を用いているが、加工工程においてエアロゲル粒子が脱落(以降『粉落ち』と称する)しやすく、エアロゲルの減少により、断熱性能が低下するという問題が発生する。
また、基材として、不織布ではなく連続気泡発泡体を採用し、当該連続気泡発泡体中にエアロゲルを充填させ複合化させることも提案されている。
例えば、特許文献3及び4では、連続気泡発泡体にゾル溶液を含浸させ、湿潤ゲルを形成させた後、超臨界流体を用いてゲルを乾燥させて得られた、発泡体とエアロゲルとを含むエアロゲル複合材が開示されている。
特許第6064149号 特開2011-178925号公報 特開2010-047710号公報 特表2016-521670号公報
しかしながら、特許文献3及び4で開示された複合材においては、特許文献1及び2の場合と同様にエアロゲルの脱落を十分に抑制できないため、エアロゲルの減少により断熱性能が低下する問題が発生する。
また、発泡体を基材とするエアロゲル複合材は、発泡体内部にエアロゲルが充填されるため、剛直となり折り曲げ等の加工が行い難い場合がある。柔軟性を向上させるためには、発泡体中のエアロゲルの含有量を少なくすればよいが、そうすると断熱性能に問題が生じる。また、発泡体として比較的軟質で、耐熱性や難燃性に優れるメラミン発泡体やポリイミド発泡体等を使用することにより、柔軟性および耐熱性、難燃性の向上が期待できるが、上述のように粉落ちを効果的に抑制する手段は見出されていないため、加工の際に多量の粉落ちが発生し、所望の断熱性能が発揮されない場合がある。
以上を踏まえ、本発明の目的は、柔軟でありながら、粉落ちが少なく、断熱性能が高い、エアロゲル複合材を提供することである。
本発明者らは、上記課題のもと鋭意研究を行い、特定の発泡体を含む特定のエアロゲル複合材料とすることにより、上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
連続気泡を有する発泡体である発泡基材と、前記発泡基材の内部に充填されているエアロゲルと、を含むエアロゲル複合材であって、
前記発泡基材の密度が0.015~0.20g/cmであり、
前記エアロゲル複合材の密度が0.05~0.40g/cmであり、
前記発泡基材の通気度が0.5~300(cm/cm/sec)であり、
前記発泡基材が、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、または、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体である
ことを特徴とするエアロゲル複合材である。
本発明(2)は、
連続気泡を有する発泡体である発泡基材と、前記発泡基材の内部に充填されているエアロゲルと、を含むエアロゲル複合材の製造方法であって、
前記発泡基材の内部にエアロゲル原料を充填する充填工程と、
前記発泡基材の内部に充填された前記エアロゲル原料を乾燥させて前記エアロゲルを得る乾燥工程と
を含み、
前記発泡基材の密度が0.015~0.20g/cmであり、
前記エアロゲル複合材の密度が0.05~0.40g/cmであり、
前記発泡基材の通気度が0.5~300(cm/cm/sec)であり、
前記発泡基材が、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、または、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体である
ことを特徴とするエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(3)は、
前記充填工程の前工程として、前記発泡基材の前駆体である発泡素材を熱圧縮して前記発泡基材を得る熱圧縮工程を含む、前記発明(2)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(4)は、
前記発泡素材がメチロール基を含むメラミン発泡体である、前記発明(3)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(5)は、
前記熱圧縮工程が、前記発泡素材を熱圧縮する前に、前記発泡素材に硬化剤を含浸させる硬化剤含浸工程を含む、前記発明(3)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(6)は、
前記硬化剤が、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される1種以上である、前記発明(5)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(7)は、
前記硬化剤含浸工程が、前記発泡素材を100質量部とした際に、0.5~10.0質量部の前記硬化剤を前記発泡素材に含侵させる工程である、前記発明(5)又は(6)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明によれば、柔軟でありながら、粉落ちが少なく、断熱性能が高い、エアロゲル複合材を提供可能である。
以下、本発明にかかるエアロゲル複合材及びその製造方法について詳述する。
本発明において、常圧下とは、特に減圧も、加圧も行っていない圧力を示す。また、減圧下とは、人為的に大気圧よりも減圧された状態を示す。
本発明における密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して測定された見掛け密度である。
本発明にかかるエアロゲル複合材は、発泡基材にエアロゲルが充填されたものであるが、エアロゲルを充填する前の発泡基材と、エアロゲルを充填した後の発泡基材とを、同じものと取扱い、どちらか一方の説明を省略するまたは他方の説明に読み替える場合がある。
<<<エアロゲル複合材>>>
本発明にかかるエアロゲル複合材は、連続気泡を有する発泡体である発泡基材と、前記発泡基材の内部に充填されているエアロゲルと、を含むエアロゲル複合材である。
エアロゲル複合材の密度は0.05~0.40g/cmであり、好ましくは0.1~0.35g/cmであり、より好ましくは0.16~0.30g/cmである。エアロゲル複合材の密度をこのような範囲とすることにより、高い断熱性能を発現できるだけでなく、柔軟性と粉落ちの抑制とを両立させることができる。
エアロゲル複合材の厚みは、例えば、0.01~50.0mmであり、好ましくは0.1~20.0mmであり、より好ましくは0.5~10.0mmであり、特に好ましくは0.5~4.0mmである。
本発明は、発泡基材の性質等を所定の範囲とすることにより、柔軟性と粉落ちの抑制とを両立させることができる。
また、粉落ちが少ない場合において、断熱効果が維持できるため、難燃性の向上にも寄与するものと考えられる。
エアロゲル複合材の形状及び大きさは特に限定されない。例えば、シート状;円形状、楕円形状、多角形状等の板材;長尺材;細長い紐状(糸状、繊維状);粒状等;の形状を挙げることができる。
エアロゲル複合材は、優れた柔軟性および断熱性を有する材料であるため、保温対象物を覆ったり、巻き付ける等して用いられる。そのような用途の場合、エアロゲル複合材は、シート状、板状、長尺材等の形状にして、保温対象物の表面を覆うことで、保温対象物の保温が可能となる。また、混合や混錬が可能な材質の断熱効果を高めたい場合等には、粒状に加工したエアロゲル複合材を混ぜ合わせることで、対象物の断熱効果を高めることができる。
<<発泡基材>>
発泡基材は、所定の物性を満たす、連続気泡を有するメラミン発泡体、ポリイミド発泡体、または、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体である。
メラミン発泡体は、通常、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合によって得られる熱硬化性のメラミン樹脂からなる発泡体である。
また、ポリイミド発泡体とは、通常、酸二無水物とアミン化合物との重縮合によって得られる熱硬化性のポリイミド樹脂からなる発泡体である。
熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体は、換言すれば、後述する熱圧縮工程が実施されたポリウレタン発泡体である。ポリウレタン発泡体を熱圧縮成形することで、気泡の形状(平均サイズ、アスペクト比)や気泡の均一性を調整することができる。
メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体を使用した場合、汎用の連続気泡発泡体と比較して、気泡の平均径が小さく、気泡の均一性に優れるため、本発明の効果を高めることが可能と考えられる。気泡の平均径は、500μm以下、400μm以下または300μm以下であることが好ましく、より効果を高めることが可能である。気泡の平均径の下限値は特に限定されないが、例えば、1μm、10μmまたは50μmである。
気泡の平均サイズは、以下の方法によって測定できる。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフト(例えば、Image-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver))を用いて、各気泡径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストで気泡を認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理で気泡の形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、気泡の平均径を算出する。
メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、ポリウレタン発泡体としては、所定の性質を有する限りにおいては特に限定されず、一般的な製造方法によって得られたものを使用可能である。なお、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、ポリウレタン発泡体の一般的な製造方法については後述する。
連続気泡を有するとは、発泡体内部に連通した気泡を有することを示す。発泡体が連続気泡を有することで、一方の表面から他方の表面に通気することが可能となり、発泡体中にエアロゲル原料を充填させることが可能となる。発泡基材中の一部の気泡が独立気泡であってもよい。
発泡基材としては、後述する熱圧縮工程を実施して得られる、熱圧縮されたメラミン発泡体、ポリイミド発泡体、またはポリウレタン発泡体であることが好ましい。
発泡基材の密度は0.015~0.20g/cmであり、好ましくは0.04~0.15g/cmであり、より好ましくは0.05~0.10g/cmである。
発泡基材の通気度は0.5~300(cm/cm/sec)であり、好ましくは1~200(cm/cm/sec)であり、より好ましくは1~100(cm/cm/sec)であり、特に好ましくは10~100(cm/cm/sec)である。10cm/cm・sec.以上の場合、本発明のエアロゲル複合材は、後述する充填工程において、時間のかかる真空引きを行う必要がなく、効率的な製造方法とすることが可能である。
この通気度は、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に記載の方法を用いて測定することが可能である。
発泡基材の、形状、大きさ、厚みは、エアロゲル複合材と同様である。
発泡基材の密度は、後述する発泡素材形成工程における発泡倍率および後述する熱圧縮工程における熱圧縮率等を変更することにより調整可能である。
通気度は、発泡基材の密度および厚み等を変更することにより調整することが可能である。また、メラミン発泡体およびポリイミド発泡体は、共に、後述する熱圧縮工程における熱プレス温度を向上させることで、セル形状が著しく変化し通気度を低減させることが可能な場合がある。
<<エアロゲル>>
本発明にかかるエアロゲルは、低密度の乾燥ゲルであれば、特に限定されない。超臨界流体乾燥法を用いて得られたエアロゲルだけでなく、通常の乾燥過程によるキセロゲル、凍結乾燥によるクライオゲル等も含む。
エアロゲルとしては、任意の好適なエアロゲル成分を使用することができる。例えば、シリカエアロゲルやアルミナエアロゲルのような無機エアロゲル、レゾルシノール・ホルムアルデヒド・エアロゲル(RFエアロゲル)、セルロースナノファイバー・エアロゲル(CNFエアロゲル)のような有機エアロゲル、炭素エアロゲル、及びそれらの混合物から選択することができる。本発明にかかるエアロゲルは、シリカ(SiO)を含有するシリカエアロゲルを好適に用いることができる。
<<<エアロゲル複合材の物性、性質>>>
<<粉落ち率>> エアロゲル複合材の粉落ち率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K6254:2016「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-応力-ひずみ特性の求め方」に準拠して、繰り返し圧縮試験を行い、試験前後に質量を測定することで測定が可能である。
具体的には、試験片は50mm×50mm、厚みは任意とし、試験片が25%のひずみに達するまで10mm/分の速度で圧縮した。これを2000回繰り返し、試験前後の試験片重量から粉落ち率を算出する。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)-試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算する。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。
<<熱伝導率>>
エアロゲル複合体の熱伝導率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS A1412-1:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第1部:保護熱板法(GHP法)」、JIS A1412-2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法)」に準ずる方法で測定することができる。
具体的には、熱伝導率は熱流束計を用いて、上板温度を15℃とし、下板温度を35℃として熱伝導率を測定する。環境温度は、特に制限はないが常温、常圧とする。試験時に用いるサンプルの厚みは5mm以上とし、5mmに試験サンプル厚みが満たない場合には、試験サンプルを積層して熱伝導率を測定し、断熱性能の評価を実施する。
熱伝導率が、0.020W/m・K以下であることが好ましく、0.018W/m・K以下であることがより好ましく、0.016W/m・K以下であることがさらに好ましい。
<<<エアロゲル複合材の製造方法>>>
本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法は、好ましくは以下の工程を含む。
(1)発泡基材の前駆体である発泡素材を熱圧縮して発泡基材を得る熱圧縮工程
(2)発泡基材にエアロゲル原料を充填する充填工程
(3)発泡基材に充填されたエアロゲル原料を後乾燥させる乾燥工程
充填工程に供される発泡基材が既に準備されている場合には、熱圧縮工程を実施せずともよい。
また、本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法は、以下の工程を含んでもよい。
(0)発泡素材を得る発泡素材形成工程
以下、それぞれの工程について説明する。
なお、本発明にかかる製造方法は、上記工程以外の工程をさらに含んでもよい。
また、以下の工程におけるエアロゲルの説明に関しては、好適例であるシリカエアロゲルを例として詳述する。
<<発泡素材形成工程>>
発泡素材形成工程としては、発泡素材であるメラミン発泡体、ポリイミド発泡体またはポリウレタン発泡体を形成可能であれば特に限定されず、一般的なメラミン発泡体、またはポリイミド発泡体の製造方法に基づいて実施できる。以下、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、およびポリウレタン発泡体の製造方法の一例について説明する。
<メラミン発泡体>
メラミン発泡体は、主原料であるメラミンとホルムアルデヒド又はそれらの前縮合体に、発泡剤、触媒及び乳化剤などを配合し、混合した後、型に注入し、加熱、或いは電磁波の照射等、適宜の手段によって発泡原料を発熱させ、発泡、硬化させることにより調製することができる。
前縮合体を生成させるためのメラミンとホルムアルデヒドとのモル比は、メラミン:ホルムアルデヒド=1:1.5~4、特に1:2~3.5とすることが好ましい。また、数平均分子量が200~1000、特に200~400の前縮合体が好ましい。尚、ホルムアルデヒドとしては、通常、その水溶液であるホルマリンが使用される。
前縮合体を生成させるための単量体としては、メラミンとホルムアルデヒドの他に、これら単量体を100質量部(以下、部と略記する。)とした場合に、50部以下、特に、20部以下の各種の単量体を使用することができる。
メラミンに対応する他の単量体としては、アルキル置換メラミン、尿素、ウレタン、カルボン酸アミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホン酸アミド、脂肪族アミン、フェノール及びその誘導体等を使用することができる。更に、アルデヒド類としては、アセトアルデヒド、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフロール、グリオキサール、フタルアルデヒド及びテレフタルアルデヒド等を用いることができる。
また、発泡剤としては、ペンタン、トリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン等を使用することができる。
触媒としては、通常、ギ酸が用いられ、乳化剤としては、スルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤などを使用することができる。
発泡原料の硬化反応を促進するために照射される電磁波は、その電力消費量が発泡原料に対して500~1000kW、特に600~800kWとなるように調整することが好ましい。
<ポリイミド発泡体>
ポリイミド発泡体は、主原料である酸二無水物とアミン化合物又はそれらの前縮合体に、触媒などを配合し、混合した後、型に注入し、加熱、或いは電磁波の照射等、適宜の手段によって発泡原料を発熱させ、発泡、硬化させることにより調製することができる。
前縮合体を生成させるため、エステル化溶媒と均一混合することが好ましく、エステル化溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノールなどの低級一級アルコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒としては、1,2-ジメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソキノリン、
置換ピリジン等のイミド化触媒が挙げられる。
発泡原料の硬化反応を促進するために照射される電磁波は、その電力消費量が発泡原料に対して500~1000kW、特に600~800kWとなるように調整することが好ましい。
<ポリウレタン発泡体>
ポリウレタン発泡体は、例えば、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤、その他の添加剤などを含む原料混合物を調製し、成形、発泡させることにより製造することができる。以下、ポリウレタン発泡体の製造方法の具体例を述べる。
(原料調製工程)
ポリオール成分としては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオールのようなポリエステル系ポリオール;ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びそれらの変性体のようなポリエーテルポリオール等が例示される。このポリオール成分は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の官能基数や水酸基価を変えることができ、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネート成分としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フフェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。また発明の効果を損なわない範囲において、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
触媒としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とのウレタン化反応を促進するものであれば特に限定されず、N,N,N-トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン類;オクチル酸スズ、ジラウリル酸ジブチルスズ、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の有機金属化合物が例示される。
発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、及びそれらの混合ガスのような無機ガス;プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、シクロペンタン、n―ヘキサン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素;水等が例示される。この発泡剤としては、水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。
任意に配合する成分として、使用目的に応じて、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系化合物、含フッ素化合物のような整泡剤;リン酸エステル、リン酸メラミン又はリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4′-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤などを配合することができる。
前記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とのウレタン化反応を行なう場合には、ワンショット法又はプレポリマー法などが採用される。ワンショット法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール成分又はポリイソシアネート成分を反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことから好ましい方法であり、製造コストを低減させることができる。
発泡素材の厚み及び密度としては、熱圧縮工程の条件、および、所望の発泡基材の厚み及び密度にあわせて適宜設定すればよい。
ここで、メラミン発泡体については、発泡素材中に、未反応のメチロール基を残存させ、後述する熱圧縮工程において、当該メチロール基を反応させることも可能である。
得られた発泡体を所定のサイズに加工してもよい。
<<熱圧縮工程>>
発泡素材形成工程により得られた発泡素材を熱圧縮し、発泡素材を塑性変形させ、所定の密度および通気度を有する発泡基材を得る。
熱圧縮工程は、例えば、圧縮成形機の熱板間で加熱圧縮する方法によって実施できる。この際、熱板の温度(プレス温度)は、好ましくは100~250℃、より好ましくは120~200℃、更に好ましくは150~180℃である。特に、後述する復元防止方法として、硬化剤を含浸させる場合、プレス温度は硬化剤の硬化温度付近であればよく、好ましくは硬化剤の硬化温度±10℃である。プレス温度をこのような範囲とすることにより、発泡体を十分に塑性変形させつつも、各気泡の形状を望ましいものとし、得られる発泡基材の通気度等を所望の範囲とし易い。なお、熱圧縮の時間および荷重としては、所望の厚みの発泡基材となるように調整すればよい。
なお、熱圧縮工程は、発泡基材の厚み/発泡素材の厚みが、1/2~1/15、又は1/3~1/10となるように熱圧縮を実施することが好ましい。このような範囲とすることで、熱圧縮成形により発泡基材のセルが緻密となりエアロゲルの脱落を抑制でき、エアロゲル複合材へ柔軟性を付与することも可能となる。
発泡素材であるポリウレタン発泡体としては、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを含む、ポリエステル系ポリウレタン発泡体が好ましい。このようなポリウレタン発泡体を用いることで、熱圧縮時にポリウレタン発泡体の樹脂成分が熱分解し、溶融残渣によりポリウレタン発泡体の表面に被膜を形成することができる。
ここで、熱圧縮により発泡体を塑性変形させた場合に、熱圧縮のみであると、圧縮の荷重を除去した際に、発泡体に復元力が働く場合がある。そこで、追加的に、発泡体が熱圧縮された状態を維持させる方法(復元防止方法)を採用することが好ましい。
復元防止方法としては、前述した、発泡素材に未反応のメチロール基を含むようにし、熱圧縮工程において当該メチロール基を反応させる方法が挙げられる。
発泡素材に含まれる未反応のメチロール基は、フーリエ変換赤外分光器(FT-IR)での吸収スペクトルの測定により確認することができ、1000~1100cm-1付近での吸収スペクトルのピーク強度からメチロール基の含有量を推定することができる。また、発泡素材を熱圧縮した発泡基材にも、未反応のメチロール基は残存しており、同様の手法により、メチロール基の含有量を推定することができる。
また、復元防止方法として、その他にも、熱圧縮工程前の発泡素材に、硬化剤を予め含浸させる硬化剤含浸工程を設け、熱圧縮工程によって当該硬化剤を熱硬化させる方法が挙げられる。複数種類及び/又は複数回の復元防止方法を実施してもよい。特に、発泡素材がメラミン発泡体である場合、硬化剤含浸工程を行うことが好ましい。
硬化剤含浸工程における硬化剤としては、加熱することで樹脂中の硬化剤が活性化され、硬化するものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
硬化剤含浸工程において、前記発泡素材に含侵させる硬化剤の量としては、発泡素材を100質量部とした際に、硬化剤が0.5~10.0質量部であることが好ましく、1.0~5.0質量部であることがより好ましい。このような範囲とすることで、十分な柔軟性や断熱性と、熱圧縮工程後の形状維持性と、を両立させることが可能となる。硬化剤含浸工程は実施しても実施しなくともよい。例えば、発泡素材がポリウレタン発泡体またはイミド発泡体である場合、硬化剤含浸工程を実施せずに熱成形してもよい。
<<表皮層形成工程>>
エアロゲルの脱落防止機能を更に高めるために、次工程である充填工程の前に、発泡体に表皮層を形成させる表皮層形成工程を設けることができる。即ち、エアロゲル複合材の発泡基材が表皮層を有していてもよい。
本工程における表皮層の形成方法としては、例えば、連続気泡を有する発泡体層の熱プレス機や熱ロール機による加熱処理や、繊維体やフィルムといった面材との貼り合わせを挙げることができる。表皮層の形成条件は、材質などによって適宜選択することができるが、例えば、加熱した熱プレス機を用いて、連続気泡を有する発泡体層をプレス処理することで、連続気泡を有する発泡体層の表面に表皮層を形成することができる。プレス条件の例としては、プレス機を250℃に加熱し、圧力を200kg/cmかけて、5分間プレスする条件を挙げることができる。
表皮層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.01~30μmとすることができ、0.01~15μmが好ましく、0.01~10μmがより好ましい。表皮層の厚みがかかる範囲にある場合には、粉落ち防止性が高まる。
<<充填工程>>
本発明において、シリカエアロゲル原料とは、シリカエアロゲルの原料液であるゾル溶液、および、当該ゾル溶液をゲル化させて得られた湿潤ゲルの両方を含むものとする。
<ゾル溶液の原料>
シリカエアロゲルのシリコーン原料として、シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体やケイ酸アルカリ金属塩を用いることができ、水系溶媒に混合してゾル溶液とする。
シリコーン原料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。シリコーンアルコキシドやその誘導体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシランオリゴマー、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、モノヘキシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げることができる。前記シリコーン原料は、複数を組み合せて用いることができる。複数を用いる場合には、その組み合わせ及び配合比率は、目的に応じて選択することができる。
シリコーン原料の加水分解には、水と、水に相溶性を有し、シリコーン原料を溶解する溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール等の芳香族ジオール又は脂環式ジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノペンタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン等の多価アルコール、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン原料を効率良く加水分解するためには、反応系に予め触媒を添加しておくことが好ましい。触媒としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、例えば、酸性触媒としては、ギ酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、炭酸、リン酸等が、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属酸化物及び/又は水酸化物、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、アニリン、1,5-ナフタレンジアミン等の脂肪族及び/又は芳香族アミン、アンモニア、2価金属のナフテン酸、2価金属の水酸化物などが挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<充填方法>
ゾル溶液の充填方法は、通常、常圧下、又は減圧下で行われる。
ゾル溶液の充填方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した方法により得られた発泡基材を、減圧下で、調製したゾル溶液に完全に含浸することで充填する方法等が挙げられる。
具体的には、ゾル溶液を、テトラメトキシシラン(以下TMOSとする):メタノール:水:触媒(アンモニア)をモル比1:7.2:4:0.01で混合したゾル溶液を例にすると、セパラブルフラスコ内に発泡基材を設置し、徐々に前記ゾル溶液を導入することで、発泡基材を完全にゾル溶液内に浸漬し、ゾル溶液を発泡基材に充填することができる。そのままゲル化まで2~3時間放置する。
<ゲル化>
発泡基材に充填されたゾル溶液は、ゾル-ゲル反応によって、TMOSが水、触媒により加水分解され、ゾル状態を経て、湿潤ゲルを形成する。ここで湿潤ゲルとは、ゲル化後のゾル溶液の残液等の液体を含んだまま固体状になったものを示す。
シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体の加水分解によるゾル-ゲル反応により前記発泡基材内の連続気泡内部に湿潤ゲルが形成される。
本発明においては、湿潤ゲルを形成した後に、湿潤ゲル中の水や未反応物を除去する工程を有してもよい。この工程で用いられる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、アセトニトリル等が挙げられる。湿潤ゲルが充填された発泡基材を、前記溶媒に浸漬し、数回溶媒を新しいものに入れ替えることで、工程が完了する。
本発明においては、親水性を持つシラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有する疎水化処理剤によって、シリカエアロゲル表面のOH基を疎水化する工程を有してもよい。該疎水化処理剤は、シラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有するものを用いる。シラノール基に対して反応する官能基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、及び水酸基が挙げられる。疎水基としては、例えばアルキル基、フェニル基、及びそれらのフッ化物等が挙げられる。疎水化処理剤は、上記官能基及び疎水基を、それぞれ1種のみを有してもよいし、2種以上を有してもよい。例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等の有機シラン化合物が挙げられ、これ以外にも、酢酸、蟻酸、コハク酸等のカルボン酸や、メチルクロリド等のハロゲン化アルキル等の有機化合物が挙げられる。疎水化処理剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明において、エアロゲルと発泡基材の密着性を上げて、エアロゲルの脱落を抑制するために、カップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては特に制限されず、任意の好適なカップリング剤を使用することができる。本発明にかかるカップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが好適で、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
<<乾燥工程>>
本発明においては、シリカエアロゲル原料(湿潤ゲル)を乾燥させる乾燥工程を含む。乾燥方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。
湿潤ゲルを乾燥させる場合には、シリカエアロゲルが壊れ難いため、超臨界流体乾燥が好ましい。超臨界流体乾燥としては、例えば、80℃、20MPa程度の条件で溶媒の全部を、この溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換しながら除去する方法が挙げられる。
<<<エアロゲル複合材の用途>>>
本発明にかかるエアロゲル複合材は、断熱性能が高く、粉落ちが少なく、形状追従性に優れていることから、プラント配管に巻きつけて使用する断熱材、熱電素子に貼り付けて熱の拡散を防ぎ発電効果をあげる断熱材、各種電池の筐体等に断熱材を組付け電池性能を安定させる断熱材及び各種車両で生じる廃熱を利用するための装置に用いられる断熱材への使用が見込まれる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<<<シリカエアロゲル複合材の製造>>>
<<原料>>
<発泡素材>
・メラミン発泡体1
未反応のメチロール基を有するメラミン発泡体、密度0.010g/cm
・メラミン発泡体2
メラミン発泡体、密度0.010g/cm
・メラミン発泡体3
未反応のメチロール基を有するメラミン発泡体、密度0.070g/cm
・メラミン発泡体4
未反応のメチロール基を有するメラミン発泡体、密度0.040g/cm
・メラミン発泡体5
メラミン発泡体、密度0.040g/cm
・ポリイミド発泡体1
ポリイミド発泡体、密度0.010g/cm
・ポリイミド発泡体2
ポリイミド発泡体、密度0.040g/cm
・ポリウレタン発泡体1
ポリエステル系発泡体、密度 0.015g/cm
・ポリウレタン発泡体2
ポリエーテル系発泡体、密度 0.015g/cm
・ポリウレタン発泡体3
ポリエステル系発泡体、密度 0.040g/cm
<硬化剤>
・硬化剤1
メラミン樹脂、硬化温度160℃
・硬化剤2
エポキシ樹脂、硬化温度110℃
・硬化剤3
フェノール樹脂、硬化温度120℃
<ゲル素原料>
テトラメトキシシラン(信越化学工業社製)
<溶媒>
・溶媒1
メタノール(和光純薬工業社製)
・溶媒2
イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
<触媒>
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
<<実施例1>>
<熱圧縮工程>
未反応のメチロール基を有するメラミン発泡体1を発泡素材とし、表1に示すプレス温度にて、表1に示す発泡基材となるよう、発泡素材を圧縮成形機の熱板間で熱圧縮した。
<充填工程>
(ゾル溶液調製)
テトラメトキシシランを主剤として使用し、主剤1モルに対し、7.2モルのメタノール、4モルのイオン交換水、0.01モルの触媒を混合してゾル溶液とした。
(ゾル溶液充填)
前記発泡基材を、セパラブルフラスコに収納できる大きさに裁断して収納した。調製したゾル溶液を発泡基材が完全に浸漬するまで加えて、常圧下で3時間静置し、湿潤ゲルが充填された発泡基材を得た。
湿潤ゲルが充填された発泡基材をエタノールに浸漬し、撹拌しながらエタノールを繰り返し交換し、溶媒置換を24時間行った。
次に、ゲル表面を疎水化するため、ヘキサメチルジシラザンのエタノール溶液(濃度20質量%)中に浸漬し、撹拌しながら疎水化処理を24時間行った。
<乾燥工程>
充填工程後の発泡基材を、80℃、20MPaの二酸化炭素中に含浸させ、超臨界流体乾燥を12時間行って、実施例1にかかるエアロゲル複合材を得た。
得られたシリカエアロゲル複合材の密度を表1に示す。
<<実施例2~8、18~22、26~31、比較例1~9、15~26>>
各表に示した条件とした以外は実施例1と同様に、シリカエアロゲル複合材を得た。
<<実施例9>>
<熱圧縮工程>
メラミン発泡体2を発泡素材とし、熱圧縮前に、硬化剤含浸工程を設けた以外は、実施例1と同様に発泡基材を得た。
使用した硬化剤の種類および発泡体100部に対する硬化剤の含浸量(充填量)を表2に示す。
<充填工程、乾燥工程>
実施例1と同様にして、充填工程および乾燥工程を行い、実施例9にかかるエアロゲル複合材を得た。
得られたシリカエアロゲル複合材の密度を表2に示す。
<<実施例10~17、23~25、32~34、比較例10~14>>
各表に示した条件とした以外は実施例9と同様に、シリカエアロゲル複合材を得た。
<<<評価>>>
各実施例および比較例にかかるシリカエアロゲル複合材について、熱伝導率、粉落ち率、柔軟性の評価を行った。
<<熱伝導率の測定>>
各実施例及び比較例の熱伝導率を以下の方法で測定した。
熱伝導率の測定は、JIS A1412-2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法)」に準拠して、熱伝導率測定装置(英弘精機社製:HC-72)を用いて測定した。測定結果を各表に示す。
<<粉落ち評価>>
各実施例及び比較例の粉落ち性を以下の方法で評価した。
各実施例及び比較例のエアロゲル複合材を50mm×50mmの試験片に加工した。JIS K6254:2016「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-応力-ひずみ特性の求め方」に準拠して、試験片が25%のひずみに達するまで10mm/分の速度で圧縮した。これを2000回繰り返し、試験前後の試験片重量から粉落ち率を算出した。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)-試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算した。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。評価基準を下記に、評価結果を各表に示す。
<評価基準>
◎:粉落ち率が3%以下
○:粉落ち率が3%超10%以下
△:粉落ち率が10%超15%以下
×:粉落ち率が15%超
<<柔軟性評価>>
各実施例及び比較例の柔軟性(屈曲性)を以下の方法で評価した。
柔軟性の評価は、JIS K7171:2016「プラスチック-曲げ特性の求め方」に準拠して、評価した。評価基準を下記に、評価結果を各表に示す。
<評価基準>
○:試験片が割れなく折れ曲がる
△:135度超180度以下の屈曲で割れる
×:135度以下の屈曲で割れる
各実施例に係る発泡基材の平均セル径は、50~300μmの範囲であった。
Figure 0007428614000001
Figure 0007428614000002
Figure 0007428614000003
Figure 0007428614000004
Figure 0007428614000005
Figure 0007428614000006
Figure 0007428614000007
Figure 0007428614000008
Figure 0007428614000009
Figure 0007428614000010
Figure 0007428614000011


Claims (7)

  1. 連続気泡を有する発泡体である発泡基材と、前記発泡基材の内部に充填されているエアロゲルと、を含むエアロゲル複合材であって、
    前記発泡基材の密度が0.015~0.20g/cmであり、
    前記エアロゲル複合材の密度が0.05~0.40g/cmであり、
    前記発泡基材の通気度が0.5~300(cm/cm/sec)であり、
    前記発泡基材が、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、または、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体である
    ことを特徴とするエアロゲル複合材。
  2. 連続気泡を有する発泡体である発泡基材と、前記発泡基材の内部に充填されているエアロゲルと、を含むエアロゲル複合材の製造方法であって、
    前記発泡基材の内部にエアロゲル原料を充填する充填工程と、
    前記発泡基材の内部に充填された前記エアロゲル原料を乾燥させて前記エアロゲルを得る乾燥工程と
    を含み、
    前記発泡基材の密度が0.015~0.20g/cmであり、
    前記エアロゲル複合材の密度が0.05~0.40g/cmであり、
    前記発泡基材の通気度が0.5~300(cm/cm/sec)であり、
    前記発泡基材が、メラミン発泡体、ポリイミド発泡体、または、熱圧縮成形により得られるポリウレタン発泡体である
    ことを特徴とするエアロゲル複合材の製造方法。
  3. 前記充填工程の前工程として、前記発泡基材の前駆体である発泡素材を熱圧縮して前記発泡基材を得る熱圧縮工程を含む、請求項2に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  4. 前記発泡素材がメチロール基を含むメラミン発泡体である、請求項3に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  5. 前記熱圧縮工程が、前記発泡素材を熱圧縮する前に、前記発泡素材に硬化剤を含浸させる硬化剤含浸工程を含む、請求項3に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  6. 前記硬化剤が、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される1種以上である、請求項5に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  7. 前記硬化剤含浸工程が、前記発泡素材を100質量部とした際に、0.5~10.0質量部の前記硬化剤を前記発泡素材に含侵させる工程である、請求項5又は6に記載のエアロゲル複合材の製造方法。

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