現在既知の材料の誘電性質は材料内部の孔隙率の増加に従って徐々に低下する。このため、エアロゲル材料及び関連する複合材料が将来5G産業にとって必要な低誘電率関連製品となっている。公知のように、エアロゲルは立体網状構造を有している多孔質材料であり、孔隙率は80%に達し(さらには95%以上にもなる)、エアロゲル材料は低密度(約0.005乃至0.2g/cm3)、高比表面積(500乃至2000m2/g)、低熱伝導率(k=15乃至40mW/mk)、低誘電率性質(Dk=0.1乃至2.5)、及び低誘電損(Df<0.001以下)を有している科学技術製品である。エアロゲルは大量の孔隙を有する極めて低密度な材料であり、高断熱、保冷、防音、或いは低誘電率等が求められる製品に応用されている。将来の5G高周波伝送の応用では、低比誘電率(Dk<2.5)及び低信号損失(Df<0.005)を有する誘電材料が切望されている。多孔性のため電子電動伝送特性が低く、無機材料か有機材料かを問わず構造の孔隙率が高くなるほど、誘電性質が低くなった。このため、将来の5G高周波の応用では多孔質材料を主要な機材とすることが望まれている。日本特許出願公開第8-228105号には半導体装置の製造方法が記載されている。この方法では、ウェットゲルフィルムを基板に形成し、且つウェットゲルフィルムを含侵する溶剤を超臨界及び亜臨界乾燥プロセスにより蒸発してエアロゲルフィルムを形成している。調製された乾燥エアロゲルフィルムはウェットゲルフィルムの網状構造をなおも維持し、且つ高孔隙率及び低比誘電率を有する多孔質材となる。このため、エアロゲルを誘電層及び絶縁内層とする新しい材料となる。
しかしながら、超臨界または亜臨界の乾燥プロセスをトランジスタ構造の調製プロセスに利用することでプロセスが複雑化し、設備投資が高くなる等の欠点があった。「超臨界乾燥」とは、水と有機溶剤とを高温及び高圧下で超臨界状態にし、有機溶剤及び水が同時に気液混合特性を有し、超臨界状態で溶剤を直接気化させて乾燥することを指す。よって、超臨界条件で網状構造中の余剰の溶剤を除去し、ウェットゲルが収縮しないようにしている。しかしながら、トランジスタ構造の調製において、低誘電率フィルムを溶液の調整から塗布するまでにかかる時間は一定ではない。また、エアロゲル溶液の縮合過程では、シリカゲル分子間に集合凝結が発生し、エアロゲル溶液の粘性が時間と共に増した。固定速度で回転塗布を実施すると、基体上にある塗膜の厚さも増加した。同様に、トランジスタフィルム構造に塗布する厚さも調製プロセス時間の増加に従って厚さが変化し、高品質のトランジスタフィルム構造を調製することができなかった。
従来のエアロゲルの調製方法はゾルゲル合成法であり、主にまずアルコキシシラン(alkoxysilane)、ケイ酸メチル、または水ガラス等の前駆物質と有機溶剤とを混合した後、酸触媒を添加して加水分解反応(hydrolysis)を発生させる。一定時間加水分解反応を発生させた後、塩基性触媒を添加して縮合反応(condensation)を発生させ、縮合反応過程で徐々にゾルを形成し、ゾル内の分子を継続的に反応性結合を発生させ、半固体のポリマーゲルを徐々に形成する。さらに一定時間熟成(aged)した後、ゲルが構造が安定した立体網状構造を形成する。最後にn-ブタノール、n-ヘキサノール、n-ヘキサン、またはシクロヘキサン等の溶剤により溶媒置換を行った後、超臨界乾燥技術によりエアロゲル体系の溶剤を抽出し乾燥する。
疏水性エアロゲルの調製方法はゾルゲル合成法であり、主にまずメチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTMS)またはメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane、MTES)等のメチルシラン系前駆物質と有機溶剤とを混合した後、塩基性触媒を添加し、加水分解反応を発生させる。一定時間加水分解反応を発生させた後に縮合反応を発生させ、縮合反応過程でゾルを徐々に形成し、ゾル内の分子を継続的に反応性結合を発生させ、半固体のポリマーゲルを徐々に形成する。さらに一定時間熟成(aged)した後、2-プロパノール、アセトン、n-ヘキサン、或いはシクロヘキサン等の溶剤により2日間から3日間溶媒置換を行い、疏水性ゲルが構造が安定した立体網状構造を形成する。最後に、常圧乾燥技術によりエアロゲル体系の溶剤を乾燥させ、多孔質の乾燥したエアロゲルモノリスを獲得する。
上述のエアロゲル調製方法に採用されている乾燥技術は超臨界乾燥技術であるか、または2日間から3日間複数回溶媒置換を行うことにより、常圧乾燥過程において水分の表面張力の影響でエアロゲルが破裂しないようにしている。但し、超臨界乾燥技術は高圧下で実行する必要があるため、極少量のエアロゲルにのみ適用可能である。複数回溶媒置換を行うのも相当に時間がかかるため量産には適さず、エアロゲルの製造コストを抑制することができなかった。
従来の特許文献では、例えば、下記特許文献1の「低誘電率材料を使用した電子装置の製造」という記載があって、低誘電率材料(ポリイミドエアロゲルを含む)を主に使用して電子装置及び半導体素子を製造する材料及び方法を開示している。この先行特許案では誘電材料特性を操作し、システム全体の誘電特性に影響を与える方法をさらに提供している。具体的には、ポリアミン酸プレゾル、触媒、及び極性溶剤を混合してゾル混合物層を形成した後、ゾル成分を架橋してウェットゲル材料を形成し、且つ超臨界流体により溶剤を除去してポリイミドエアロゲルフィルムを形成している。この技術を利用して無孔の低k型基材表面にポリイミドエアロゲルフィルムを組み合わせている。この先行案では低K誘電材料を使用して電子装置を製造し、且つ圧力循環方式により超臨界流体技術を利用して複数回溶剤の除去を行うが、技術全体に時間とコストがかかり、調製プロセスに必要な時間が長過ぎてコストパフォーマンスが見合わなかった。
また、例えば、下記特許文献2の「誘電率層構造、半導体素子構造及びその形成方法」という記載があって、二酸化ケイ素エアロゲルで構成される低K誘電層構造を主に使用している。この先行特許案では半導体素子構造及びその形成方法をさらに提供し、形成方法は、基体を提供し、基体には第一誘電層及びエッチングマスク層を形成し、第一誘電層及びエッチングマスク層には共に開口部を形成し、開口部内にはプラグとして金属を充填するステップと、エッチングマスク層及びプラグに犠牲酸化層を形成するステップと、犠牲酸化層に開口部を形成し、その開口部内に金属を充填してプラグに電気的に接続される相互連結構造を形成するステップと、犠牲酸化層を選択的に除去し、前記相互連結構造の間に隙間を形成するステップと、相互連結構造間の隙間に低K誘電層として二酸化ケイ素エアロゲルを形成するステップと、を含む。この先行特許案では低K誘電層構造を使用し、テトラエトキシシラン(tetraethyl orthosilicate、TEOS)またはオルトケイ酸テトラメチル(tetramethyl orthosilicate、TMOS)を材料構造として利用している。また、乾燥は常温または超臨界流体技術を使用して低誘電率フィルムの調製を複数回実行するため、技術全体に時間とコストがかかり、調製プロセスに必要な時間が長過ぎ、コストパフォーマンスが見合わなかった。
また、例えば、下記特許文献3の「エアロゲル絶縁パネル及びその製造」という記載があって、主にポリイミドエアロゲルを絶縁パネルとして調製し、航空宇宙用積層パネルとして適用している。このパネルはポリイミドエアロゲル表層及び表層にある反射保護層を備えている。この先行特許案のポリイミドエアロゲルの調製プロセスは、(a)無水物及びジアミンモノマーの混合物を双極性アルカリ性溶剤(DMAcまたはNMP)中で重合させてポリイミド溶液を形成するステップと、(b)ポリイミド溶液をファイバーリント中に鋳込むステップと、(c)無水酢酸及びピリジンを使用して化学イミド化反応によりポリイミド溶液をゲル化するステップと、(d)超臨界または亜臨界CO2乾燥技術を使用してゲル中の溶剤を除去し、ファイバー/ポリイミドエアロゲル複合材料を形成するステップと、を含む。
また、例えば、下記特許文献4の「エアロゲル/ポリマー複合材料」という記載があって、エアロゲル及び熱可塑性ポリマー材料を含む。エアロゲル対熱可塑性ポリマーの重量比は20:100未満である。この複合材料は優れた絶縁特性を有し、低温環境下では好ましい柔軟性及び低い脆性を有している。
また、例えば、下記特許文献5の「架橋型ポリイミドエアロゲルの調製方法」という記載があって、ゾルゲル法を主に採用し、(a)無水物及びジアミンモノマーの混合物を双極性アルカリ性溶剤(DMAcまたはNMP)中で重合させてポリイミド溶液を形成するステップと、(b)ポリイミド溶液をファイバーリント中に鋳込むステップと、(c)無水酢酸及びピリジンを使用して化学イミド化反応によりポリイミド溶液をゲル化するステップと、(d)超臨界または亜臨界CO2乾燥技術を使用してゲル中の溶剤を除去し、ファイバー/ポリイミドエアロゲル複合材料を形成するステップと、を含む。
ナノ多孔性誘電体を製造する場合、好ましくはウェットゲルフィルムに従来の熟成加工を施す。ゲル点では加水分解及び縮合反応が停止せず、意図的に反応を止めるまでゲル構造が継続的に改変(または熟成)される。熟成期間では、固体構造が部分的にまず溶解してから沈殿することで、強度がさらに高くなる、孔隙の均一性がさらに高まる、乾燥中の微小孔の収縮に対する抵抗力がさらに高まる等の有利な結果を生む。
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。本出願人の先行のモノリスエアロゲル製造技術において、高速縮合技術を用いてモノリスエアロゲル調製時の収縮率を7%以下まで低下させ、且つエアロゲルウェットゲルを溶剤に浸漬して溶媒置換を行う必要がなく、よって結晶構造を高速に調製可能である。この先行技術では高速ゲル化技術を利用してゲル構造を高速に形成し、且つ脱イオン水中で洗浄を行い、構造中のイオンを除去し、後続の応用過程におけるイオンの蓄積を減らしている。また、全体的な調製プロセスでウェットゲルフィルムを液体に浸漬するステップ、及び超臨界流体技術を利用して溶剤を除去するステップ等を排除し、約数分で熟成して多孔性低誘電率フィルムを取得している。
よって、従来の低誘電率エアロゲル及び低誘電率ポリマーエアロゲル等の製造において、光電素子または電子素子への応用について存在する欠点を改善するため、例えば、低誘電率エアロゲル構造が不均一になること、エアロゲルの誘電性質または誘電損の低下が不明瞭であること、超臨界乾燥技術を集積回路構造の調製に応用するのは困難である等の問題を改善するため、本発明ではゾル-ゲル合成技術を結合して低誘電率無機エアロゲルまたは低誘電率有機/無機エアロゲル複合板材、或いは厚さ数十mm乃至数百mmの低誘電率無機エアロゲルフィルムを調製する製造技術を提供し、(1)アルコキシシラン化合物と、疎水性修飾アルコキシシラン化合物と、有機混合溶剤と、を混合し、混合溶液を形成する、または修飾アルコキシシラン化合物と、有機混合溶剤と、を混合し、混合溶液を形成する混合ステップと、(2)酸触媒をいずれかの上記混合溶液に添加し、加水分解反応を発生させる加水分解ステップと、(3)塩基性触媒を加水分解後の混合溶液に添加して縮合反応を発生させ、且つ縮合反応過程で界面活性剤を添加してエアロゲルの表面張力を減少し、エアロゲル構造の破裂を回避する縮合ステップと、(4)形成されたエアロゲル板材を特定の温度下で熟成させ、エアロゲル構造をさらに縮合させて構造を安定させる熟成ステップと、(5)エアロゲル構造をゲル化して安定させた後、常圧高温環境下で高温乾燥を行って構造が均一で高孔隙率且つ高比表面積の低誘電率無機エアロゲル板材を獲得し、特にシリカエアロゲル板材を指す乾燥ステップと、を含む。また、調製低誘電率有機/無機エアロゲル複合板材の製造技術は、(6)調製された低誘電率シリカエアロゲル板材をポリマー希薄溶液に含侵し、ポリマー鎖をシリカエアロゲル板材内部に均一に浸透させてウェットポリマー/シリコン系複合材を形成するポリマー溶液を含侵するステップと、(7)前記ウェットポリマー/シリコン系複合材を特定の温度下でポリマー希薄溶液中の溶剤を気化させ、この段階でウェットポリマー/シリコン系複合材内部のポリマーに液-固相分離を行ってポリマー鎖を低誘電率シリカエアロゲル網状骨格構造に被覆させて乾燥させる相分離及び乾燥ステップと、(8)乾燥後のポリマー/シリコン系複合材を特定の高温環境下で低誘電率シリカエアロゲル網状骨格構造に被覆しているポリマー鎖の架橋反応を発生させ、架橋反応中のポリマー鎖間及びポリマー鎖とシリカエアロゲル分子との間で化学反応を発生させて結合させ、高温架橋後に多孔性を有し、軽量化された低誘電率の有機/無機エアロゲル複合板材を獲得する架橋及び硬化ステップと、をさらに含む。本技術は低誘電率の無機エアロゲルまたは有機/無機エアロゲル複合板材を高速に製造し、全体的な調製プロセスが簡単になり、数十mm乃至数百mmのフィルムまたは数mm乃至cm単位のエアロゲル板材を調製可能である。全体的な製造速度が高速化されて12乃至36時間以内に完了するまでに短縮し、これにより低誘電率の無機エアロゲルまたは有機/無機エアロゲル複合板材の調製の生産効率を向上している。
さらに、アルコキシシラン化合物(alkoxysilane)はテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane、TMOS)及びテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane、TEOS)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。疎水性修飾アルコキシシラン化合物はメチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTMS)及びメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane、MTES)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。前記疎水性修飾アルコキシシランを添加することで、主に乾燥過程でエアロゲル体系に発生する亀裂現象を低減させている。前記アルコキシシランを添加することで、主にエアロゲル体系内部の微細構造を調節し、構造中の孔隙の含有量を増加させている。
さらに、有機混合溶剤は水、純粋、脱イオン水、アルコール系、酸系、ケトン系、アルカン系、及び芳香族系で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。
さらに、加水分解ステップでは、前記前記混合溶液中の酸触媒の含有量が多いほど、加水分解速度が速くなる。但し、酸触媒の含有量が高いほど、エアロゲル構造全体におけるイオン含有量も多くなり、エアロゲルの誘電損も多くなる。よって、調製過程では脱イオン水によりエアロゲルの調製を行ってエアロゲル構造中の誘電性質を低下させる。
さらに、前記縮合反応過程で微量の界面活性剤を添加する目的は、縮合後のエアロゲル構造の表面張力を減少、エアロゲルの乾燥過程で表面張力により生じる亀裂を減少させることである。
さらに、乾燥ステップでは、熟成して安定させた後の無機エアロゲルを常圧高温環境下で体系中の含水溶剤を蒸発させる。また、本発明は微量の界面活性剤を添加することにより、乾燥過程で無機エアロゲルに生じる亀裂が明確に抑制され、低密度で高孔隙率の低誘電率無機エアロゲル板材を調製可能であり、特に低誘電率シリカエアロゲル板材を指す。
さらに、本技術では低誘電率有機/無機エアロゲル複合板をさらに調製し、特に調製された低誘電率シリカエアロゲル板材のポリマー溶液を含侵するステップを利用し、ポリマー鎖が溶剤と共にシリカエアロゲル板材内部の孔隙に均等に浸透してウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を形成する。また、ポリマー濃度が低いほど、ポリマーがシリカエアロゲル内部の孔隙に浸透する効率が高まる。反対に、ポリマー濃度が高いほど、ポリマーがシリカエアロゲル内部に被覆される含有量も多くなり、調製された低誘電率有機/シリカエアロゲル複合板の強度も高くなる。
さらに、相分離及び乾燥ステップにおいて、ウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材内部のポリマー希薄溶液をまず相分離させ、ポリマー分子鎖を高孔隙率シリカエアロゲル内部のエアロゲル骨架構造に被覆させ、同時に高孔隙率シリカエアロゲル内部の有機溶剤も気化され、ウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材が徐々に乾燥する。
さらに、本調製プロセスでは、まず低誘電率エアロゲル構造を調製した後、調製された低誘電率エアロゲルを含侵、スプレー塗装、流し塗り、または浸漬等の方式をさらに利用してポリマー希薄溶液に接触させ、ポリマー鎖を溶剤と共に低誘電率エアロゲル板材内部の孔隙に均等に浸透させ、且つ無機エアロゲル構造と相互に混合させ、ウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を形成する。次いで、常圧高温乾燥及び高温架橋により高強度、高孔隙率、低誘電率の有機/無機エアロゲル複合材料を獲得し、特に低誘電率ポリマー/シリカエアロゲル複合材料を指す。全体的に調製プロセスが簡単であり、製造コストが低く、調製プロセスの速度が速く、且つ超臨界乾燥等の複雑な製造技術を使用しない。有機/無機エアロゲル複合板材のバッチ生産速度が高速化されて24乃至36時間以内に完了するまでに短縮され、或いは連続生産方式により有機/無機エアロゲルフィルムを調製することで、生産効率を高めている。
このように、本発明によれば、次のような効果がある。
1、本発明の調製方法は従来のゾルゲル反応プロセスを利用して高孔隙率、低誘電率の無機エアロゲル材を簡単に調製する。また、プロセス中では異なる比率のアルコキシシラン化合物または疎水性修飾アルコキシシラン化合物の比率、含水有機溶剤の含有量、酸触媒及び塩基性触媒の含有量及び比率等の要素により、エアロゲル構造の孔隙率、孔径の大きさ、及びエアロゲル構造の緻密性を容易に調節可能であり、調製されたエアロゲルの誘電性質をさらに調節し、エアロゲルの実用性を高めている。
2、本発明の調製方法は純無機エアロゲル材料を調製し、各種ポリマー希薄溶液をさらに利用して含侵することで高強度、高孔隙率、低誘電率の有機/無機エアロゲル複合材料を調製し、特に低誘電率ポリマー/シリカエアロゲル複合材料を指す。
3、本発明の調製方法におけるポリマー溶液を含侵するステップは、シリカエアロゲル板をポリマー希薄溶液に含侵し、ポリマー鎖を溶剤と共にシリカエアロゲル板材内部の孔隙に均等に浸透させてウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を形成する。ポリマー濃度が低いほど、ポリマーがシリカエアロゲル内部の孔隙に浸透する効率が高まる。反対に、ポリマー濃度が高いほど、シリカエアロゲル内部に被覆させるポリマーの含有量も多くなり、調製される低誘電率有機/シリカエアロゲル複合板の強度も高まる。よって、調製される低誘電率有機/シリカエアロゲル複合板の比誘電率及び強度はポリマー希薄溶液の濃度により調節可能である。
4、本発明の調製方法に係るポリマー希薄溶液は、熱硬化ポリマー(thermoset polymer)、液晶ポリマー(liquid crystal polymer)、及び一般的な熱可塑性ポリマー(thermal plastic polymer)のうちの1種類またはそれらが混合されたポリマーの組み合わせで構成されている。具体的には、例えば、エポキシ樹脂(epoxy)、ポリイミド樹脂(polyimide)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、メラミン樹脂(melamine resin)、ポリエーテルケトン液晶ポリマー(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン液晶ポリマー(PEEK)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリアミド(polyamide、PA)、ポリエステルアミド(POLYESTERAMIDE、PEA)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、或いはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)である。本プロセスでは各種ポリマー溶液を混合することで異なる性質の各種低誘電率ポリマー/シリカエアロゲル複合材料を調製し、低誘電率ポリマー/シリカエアロゲル複合材料の強度、耐用温度、他の材料との結合性、及び製品の比誘電率(約1.23乃至1.89)、誘電損(0.0052乃至0.023)等の性質を調節する。
5、本発明の調製方法で添加する酸触媒及び塩基性触媒はアルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシランの加水分解及び縮合反応を加速させる。反応体系における酸触媒の、前記アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量と酸触媒の含有量とのモル比は1:0.05乃至1:0.00001の間の範囲である。縮合反応中の酸触媒と塩基性触媒とのモル比は1:0.8乃至1:1.05の間の範囲である。混合溶液中の酸触媒及び塩基性触媒の含有量が多くなるほど、反応速度が速くなる。相対的に、酸触媒及び塩基性触媒の含有量が多くなるほど、エアロゲル構造全体におけるイオンの含有量も多くなり、エアロゲルの誘電損も多くなる。このため、プロセスの速度及び製品性質を調節する。
6、本発明に係る低誘電率ポリマー/シリカエアロゲル複合材料の全体的な調製プロセスは簡単であり、製造コストが低く、調製プロセスの速度が早く、且つ超臨界乾燥等の複雑製造技術を使用しない。有機/無機エアロゲル複合板材のバッチ生産速度が高速化され、24乃至36時間以内に完了するまでに短縮されており、或いは連続生産方式で調製し、生産効率を高めている。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
図1は本発明の一実施形態に係る低誘電率エアロゲルプロセスステップを模式的に示したフローチャートであって、混合ステップ(S1)と、加水分解ステップ(S2)と、縮合ステップ(S3)と、熟成ステップ(S4)と、乾燥ステップ(S5)と、を含む。
前記混合ステップ(S1)では、アルコキシシラン化合物と、疎水性修飾アルコキシシラン化合物と、有機混合溶剤とを混合し、混合溶液を形成する、または修飾アルコキシシラン化合物と、有機混合溶剤と、を混合し、混合溶液を形成する。前記アルコキシシラン化合物(alkoxysilane)はテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane、TMOS)及びテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane、TEOS)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。前記疎水性修飾アルコキシシラン化合物は、疏水性メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTMS)及びメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane、MTES)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。疎水性修飾アルコキシシラン化合物を添加する目的は、乾燥過程においてエアロゲル体系に生じる亀裂を減少させることである。アルコキシシラン化合物を添加する目的は、エアロゲル体系内部の微細構造を調節し、構造中の孔隙の含有量を増加することである。混合溶液全体において、アルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物の総含有量のモル比は3.0mol%乃至60mol%の範囲であり、前記有機溶剤の含有量のモル比は97mol%乃至40mol%の範囲である。アルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物のモル比は0:100乃至35:65の範囲であり、好ましい比率は22:78である。
前記混合ステップ(S1)の有機混合溶剤は水、処理水、脱イオン水、C1~C16アルコール系、C3~C16ケトン系、C3~C16アルカン系、或いはC3~C16芳香族系等である。具体的には、例えば、水、処理水、脱イオン水、エタノール、アセトン、シクロヘキサン、トルエン等のうちの1種類またはそれらの異なる組み合わせの混合である。
前記加水分解ステップ(S2)では、酸触媒を前記混合溶液に添加し、加水分解反応(hydrolysis)を発生させる。前記アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量と酸触媒の含有量とのモル比は1:0.05乃至1:0.00001であり、前記アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合溶液中の前記酸触媒の含有量比が高くなるほど、加水分解速度が速くなる。即ち、酸触媒の含有量比が高くなるほど、エアロゲル構造全体におけるイオンの含有量が多くなり、エアロゲルの誘電損も多くなる。本実施例の好ましい条件は、アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量と酸触媒の含有量とのモル比が1:0.0075である。
前記縮合ステップ(S3)では、塩基性触媒を前記混合溶液に添加し、特定の温度下で縮合反応(condensation reaction)を発生させる。また、前記縮合反応過程で微量の界面活性剤を添加する。前記添加される界面活性剤の含有量と、前記アルコキシシラン化合物及び前記疎水性修飾アルコキシシラン化合物の総含有量との重量比は1:100乃至1:3000の範囲である。本実施例の好ましい条件の含有量の重量比は1:1000である。微量の界面活性剤を添加する目的は、縮合後のエアロゲル構造の表面張力を減少し、乾燥過程でエアロゲルに生じる亀裂を減少させることである。塩基性触媒と水及びエタノール混合溶液とを混合して添加し、縮合反応を発生させ、水とエタノールとのモル比が100:0.1乃至4:1の間の範囲となり、本実施例の好ましい条件例では50:1となる。
前記縮合ステップでの温度の上昇は縮合反応時間(即ち、エアロゲルのゲル化時間)を顕著に短縮する。塩基性触媒及び酸触媒の含有量の重量比が1.0:1.0である場合、縮合反応温度が室温25℃でる場合のゲル化時間は約220分間であり、縮合反応温度が70℃である場合のゲル化時間は約10分間である。また、塩基性触媒と水及びエタノールとの混合溶液中の塩基性触媒の含有量が増加すると縮合反応時間も顕著に短縮する。1M塩基性触媒及び1M酸触媒の含有量の体積比が0.8:1.0である場合、ゲル化時間は約360分間である。1M塩基性触媒及び1M酸触媒の含有量比が1.2:1.0である場合、ゲル化時間が約15分間まで短縮する。
前記熟成ステップ(S4)では、形成される低誘電率シリカエアロゲル板材を特定の温度下で熟成し、エアロゲルのウェットゲル構造を安定させる。本実施例の好ましい熟成温度は70℃である。
前記乾燥ステップ(S5)では、前記低誘電率シリカエアロゲル板材の構造を熟成して安定させた後、常圧高温環境でエアロゲル体系中の含水溶剤を蒸発させる。材料は界面活性剤を含むため、乾燥過程で界面活性剤結合作用力によりゲルの乾燥中に生じる亀裂が高速に減少し、これにより低密度で高孔隙率の低誘電率シリカエアロゲル板材を調製する。図2及び図3を参照すると、本技術により調製される低誘電率シリカエアロゲル板材の外観及び内部の微細構造は、図3に示される調製された低誘電率シリカエアロゲル板材では、外観構造が均一なエアロゲル粒子を相互に結合させて三次元網状構造を形成し、且つエアロゲル粒子のサイズは数μm乃至サブミクロンであり、粒子のサイズは酸触媒及び塩基性触媒の比率により調節する。
図4は本発明の第二実施形態に係る低誘電率有機/シリコン系エアロゲル複合板のプロセスステップを模式的に示したフローチャートであって、混合ステップ(S1)と、加水分解ステップ(S2)と、縮合ステップ(S3)と、熟成ステップ(S4)と、乾燥ステップ(S5)と、ポリマー溶液を含侵するステップ(S6)と、相分離及び乾燥ステップ(S7)と、架橋及び硬化ステップ(S8)と、を含む。
前記混合ステップ(S1)では、アルコキシシラン化合物または疎水性修飾アルコキシシラン化合物を有機溶剤に混合して混合溶液を形成する。アルコキシシラン化合物(alkoxysilane)はテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane、TMOS)及びテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane、TEOS)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択され、前記疎水性修飾アルコキシシラン化合物は疏水性メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTMS)及びメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane、MTES)で構成されるグループの物質のうちから1種類または複数種類が選択されている。前記疎水性修飾アルコキシシランを添加することで主に乾燥過程でエアロゲル体系に生じる亀裂現象を減少させている。しかしながら、前記アルコキシシランを添加することで主にエアロゲル体系内部の微細構造を調節し、構造中の孔隙の含有量を増加させている。混合溶液全体において、アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量のモル比は3.0mol%乃至60mol%の間の範囲であり、前記有機溶剤の含有量のモル比は97mol%乃至40mol%の間の範囲である。アルコキシシラン化合物及び疏水性改質アルコキシシラン化合物のモル比は0:100乃至35:65の間の範囲であり、好ましくは5:95である。
前記混合ステップ(S1)で使用される有機混合溶剤は水、処理水、脱イオン水、C1~C16アルコール系、C3~C16ケトン系、C3~C16アルカン系、或いはC3~C16芳香族系等である。具体的には、例えば、水、処理水、脱イオン水、エタノール、アセトン、シクロヘキサン、トルエン等のうちの1種類またはそれらの異なる組み合わせの混合である。
前記加水分解ステップ(S2)では、酸触媒を前記混合溶液に添加し、加水分解反応(hydrolysis)を発生させる。前記アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量と酸触媒の含有量とのモル比は1:0.05乃至1:0.00001の間の範囲であり、前記アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合溶液中の前記酸触媒の含有量比が高いほど、加水分解速度が速くなる。即ち、酸触媒の含有量比が高いほど、エアロゲル構造全体におけるイオンの含有量が多くなり、エアロゲルの誘電損も多くなる。本実施例の好ましい条件は、アルコキシシラン及び疎水性修飾アルコキシシラン混合物の総含有量と酸触媒の含有量とのモル比が1:0.0075である。
前記縮合ステップ(S3)では、塩基性触媒を前記混合溶液に添加し、特定の温度下で縮合反応(condensation reaction)を発生させる。前記縮合反応過程で界面活性剤を添加して縮合後のエアロゲル構造の表面張力を減少し、乾燥中に亀裂が生じるのを避けている。酸触媒、塩基性触媒、及び界面活性剤を含む混合溶液に界面活性剤含有量は0.01mol%乃至0.5mol%の間の範囲であり、好ましくは0.2mol%である。また、前記添加される界面活性剤の含有量と、前記アルコキシシラン化合物及び前記疎水性修飾アルコキシシラン化合物の総含有量との重量比は1:100乃至1:3000の範囲であり、本実施例における好ましい条件の含有量の重量比は1:1000である。また、塩基性触媒と水及びエタノール混合溶液とを混合させて添加し、縮合反応を発生させ、水とエタノールとのモル比が100:0.1乃至4:1の間の範囲となり、本実施例の好ましい条件では50:1である。
前記縮合ステップの温度の上昇は縮合反応時間(即ち、エアロゲルのゲル化時間)を顕著に短縮させる。塩基性触媒及び酸触媒の含有量の重量比が1.0:1.0である場合、温度が室温(25℃)である場合のゲル化時間は約220分間である、温度が70℃である場合のゲル化時間は約10分間である。また、塩基性触媒と水及びエタノールとの混合溶液中の前記塩基性触媒の含有量が増加すると縮合反応時間が顕著に短縮する。前記1M塩基性触媒及び1M酸触媒の含有量の体積比が0.8:1.0である場合、ゲル化時間は約360分間である。前記1M塩基性触媒及び1M酸触媒の含有量比が1.2:1.0である場合、ゲル化時間が約15分間まで短縮する。前記1M塩基性触媒及び1M酸触媒の好ましい含有量比は1.05:1.0である。
前記熟成ステップ(S4)では、形成されるシリカエアロゲル板材を特定の温度下で熟成し、エアロゲルのウェットゲル構造を安定させる。本実施例における好ましい温度は70℃である。
前記乾燥ステップ(S5)では、前記シリカエアロゲル板材構造を熟成して安定させた後、常圧高温環境下でエアロゲル体系中の含水溶剤を蒸発させる。材料中には界面活性剤を含むため、乾燥過程では界面活性剤水溶性の天によりゲルの乾燥中に生じる亀裂が高速に減少し、低密度で高孔隙率の低誘電率シリカエアロゲル板材を調製する。
前記ポリマー溶液を含侵するステップ(S6)では、前記シリカエアロゲル板材構造を乾燥した後に構造が完全な適度な強度を有するシリカエアロゲル板を形成し、その後にシリカエアロゲル板をポリマー希薄溶液に含侵してポリマー鎖を溶剤と共にシリカエアロゲル板材内部の孔隙に均等に浸透させてウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を形成する。ここでは、前記ポリマー希薄溶液の濃度は0.01wt%乃至60wt%の間の範囲であり、好ましくは0.05wt%乃至60wt%の間の範囲である。ポリマー濃度が低くなるほど、ポリマーがシリカエアロゲル内部の孔隙に浸透する効率が高くなる。反対に、ポリマー濃度が高くなるほど、ポリマーをシリカエアロゲル内部に被覆させる含有量が多くなり、調製される低誘電率有機/シリカエアロゲル複合板の強度も高くなる。即ち、調製される低誘電率有機/シリカエアロゲル複合板の比誘電率及び強度は、ポリマー希薄溶液の濃度により調節可能である。さらに好ましいポリマー希薄溶液の濃度は3.0wt%乃至8.5wt%の間の範囲である。
前記相分離及び乾燥ステップ(S7)では、前記ウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材は含侵が完了した後、常圧高温環境下でウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材中の溶剤を蒸発させる。乾燥過程ではウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材内部のポリマー希薄溶液に対しまず液-固相分離(liquid-solid phase separation)を行い、ポリマー分子鎖を高孔隙率シリカエアロゲル内部のエアロゲル骨架構造に被覆させ、同時に高孔隙率シリカエアロゲル内部の有機溶剤も気化させ、ウェットポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を徐々に乾燥する。ここでは、乾燥温度は有機溶剤の沸点に基づいて決定し、例えば、溶剤がエタノールである場合、乾燥温度は60乃至65℃の間の範囲となる。溶剤がブタノンである場合、乾燥温度は80乃至85℃となる。これにより、乾燥されたポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を調製する。
前記架橋及び硬化ステップ(S8)では、乾燥されたポリマー含侵シリカエアロゲル複合材を特定の高温環境下でシリカエアロゲル網状骨格に被覆しているポリマー鎖の架橋反応を発生させる。この架橋反応では、シリカエアロゲル網状骨格に被覆しているポリマー鎖間及びポリマー鎖とシリカエアロゲル分子との間で架橋反応を発生させて相互に結合させるため、この高温環境下では、ポリマーの架橋後に多孔性を有している軽量化された低誘電率のポリマー/シリカエアロゲル複合材料を獲得する。図5及び図6を参照し、調製される低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板の一般的な外観及び断面の微細構造は、調製される低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板内部のポリマーがエアロゲル粒子の網状構造に被覆して形成されており、且つ外観構造が均一な多孔性エアロゲル構造である。全体的には、ポリマー/シリカエアロゲル複合材料の構造の均一性、収縮率、及び強度は、アルコキシシラン化合物または疎水性修飾アルコキシシラン化合物の含有量、溶剤の総含有量、加水分解条件、縮合速度、界面活性剤含有量、熟成速度、乾燥速度、ポリマー希薄溶液の濃度、ポリマー鎖の浸透の均一性、及びポリマー鎖の架橋程度の要素を調節することで調製可能である。
図7は本発明により調製された低誘電率エポキシ/シリコン系エアロゲル複合板の外観写真である。図8は本発明により調製された低誘電率エポキシ/シリコン系エアロゲル複合板を示す走査電子顕微鏡の写真画像である。すなわち、調製される低誘電率エポキシ樹脂/シリカエアロゲル複合板内部のポリマーがエアロゲル粒子の網状構造を被覆することで形成されており、且つ外観構造が均一な多孔性エアロゲル構造である。
下記の表1は本発明に係る調製された低誘電率シリカエアロゲル板、低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板、及び低誘電率エポキシ樹脂/シリカエアロゲル複合板の基本物性を示し、本実施例の縮合過程では界面活性剤を添加している。下記の表1から分かるように、本発明に係る調製された誘電シリカエアロゲル板の密度はアルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物の混合物における疎水性修飾アルコキシシラン化合物の含有量が増加するに連れて約0.178g/cm3から0.123g/cm3まで低下する。また、Agilent基板誘電率測定用SPDR誘電体共振器により10GHzの周波数のテストを行って比誘電率及び誘電損を測定した(テスト標準:IPC TM650 2.5.5.13)。その比誘電率がアルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物混合物における疎水性修飾アルコキシシラン化合物の含有量の増加に従って1.526から1.276まで徐々に低下する。また、表から分かるように、調製された低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板の密度はポリイミドの含有量の増加に従って約0.178g/cm3から0.456g/cm3まで上昇する。また、10GHzの周波数のテストでは、比誘電率がポリイミドの含有量の増加に従って約1.526から1.987まで徐々に上昇する。最後に、表から分かるように、調製された低誘電率エポキシ樹脂/シリカエアロゲル複合板の密度はエポキシ樹脂の含有量の増加に従って約0.178g/cm3から0.461g/cm3まで上昇する。また、10GHzの周波数のテストでは、比誘電率がエポキシ樹脂の含有量の増加に従って約1.526から1.821まで徐々に上昇する。以上は本発明に係る調製された低誘電率シリカエアロゲル板及び低誘電率ポリマーシリカエアロゲル複合板が共に極めて優れた誘電性質を有していることを示している。
表2は本発明により調製された低誘電率シリカエアロゲル板、低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板、低誘電率エポキシ樹脂/シリカエアロゲル複合板の基本物性表である。本実施例の縮合過程では界面活性剤を未添加である。表から分かるように、本発明により調製された誘電シリカエアロゲル板の密度は、アルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物混合物における疎水性修飾アルコキシシラン化合物の含有量の増加に従って約0.178g/cm3から0.123g/cm3まで低下している。また、Agilent基板誘電率測定用SPDR誘電体共振器により10GHzの周波数のテストを行って比誘電率及び誘電損を測定した(テスト標準:IPC TM650 2.5.5.13)。その比誘電率はアルコキシシラン化合物及び疎水性修飾アルコキシシラン化合物混合物における疎水性修飾アルコキシシラン化合物の含有量の増加に従って1.526から1.276へと徐々に低下している。また、表から分かるように、調製された低誘電率ポリイミド/シリカエアロゲル複合板の密度はポリイミドの含有量の増加に従って約0.178g/cm3から0.652g/cm3まで上昇している。なお、その比誘電率はポリイミドの含有量の増加に従って約1.350から1.821まで徐々に上昇している。最後に、表から分かるように、調製された低誘電率エポキシ樹脂/シリカエアロゲル複合板の密度はエポキシ樹脂の含有量の増加に従って約0.178g/cm3から0.421g/cm3まで上昇している。ちなみに、その比誘電率はエポキシ樹脂の含有量の増加に従って約1.526から1.933まで徐々に上昇している。以上、本発明により調製された低誘電率シリカエアロゲル板及び低誘電率ポリマーシリカエアロゲル複合板が極めて優れた誘電性質を有していることを示している。
このプロセスでは、まず、アルコキシシラン系化合物を混合した後、ゾルゲル技術により常圧下で無機エアロゲル材料を調製する。シリカエアロゲルを主とし、孔隙率は70%以上になり、密度は約0.12g/cm3乃至0.18g/cm3の間の範囲である。また、本製品の誘電性質は孔隙率の増加に従って低下し、比誘電率は1.28乃至1.53の間の範囲となり、誘電損は0.0026乃至0.0087間の範囲となり、よって、低比誘電率及び低誘電損という性質を有している。関連製品は将来の5Gの高周波回路の誘電層または高周波装置の絶縁層とする。その後、無機エアロゲル材料はポリイミド(polyimide)またはエポキシ樹脂(epoxy)等の熱硬化ポリマーや他の液晶ポリマー溶液(ポリ半芳香族液晶ポリマー及びポリ芳香族液晶ポリマー)に直接含侵した後、高温環境下で乾燥すると共に架橋または硬化を行って有機/無機エアロゲル複合材料を形成する。その孔隙率は60%以上となり、密度は約0.12/cm3乃至0.42g/cm3(好ましくは0.2g/cm3乃至0.32/cm3)の間の範囲となり、比誘電率は約1.35至1.93間の範囲となり、誘電損は0.0033至0.0144間の範囲となる。よって、低比誘電率及び低誘電損という性質を有している。本発明はまず常圧下で高孔隙率及び低誘電率の無機エアロゲルを高速に調製した後、有機/無機複合エアロゲルを調製する。本発明は冗長な溶媒置換が不要であり、超臨界乾燥設備も使用しないため、全体的なプロセスが簡単で高速になり、コストも低下する。ポリイミド等のポリマーにより被覆した後、強度が顕著に向上する。また、この低誘電率製品は高周波回路の誘電層や半導体装置の絶縁層として適用可能である。なお、5G通信回路のマイクロ波回路及び関連する低誘電率材料等としても適用可能である。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。