JPH10324579A - 断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置 - Google Patents
断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置Info
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- JPH10324579A JPH10324579A JP9132502A JP13250297A JPH10324579A JP H10324579 A JPH10324579 A JP H10324579A JP 9132502 A JP9132502 A JP 9132502A JP 13250297 A JP13250297 A JP 13250297A JP H10324579 A JPH10324579 A JP H10324579A
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Abstract
過率や断熱性を損なうことなく、その強度を改善してハ
ンドリングが可能な断熱用透明多孔体とその製造方法及
び製造装置を提供する。 【解決手段】 本発明の断熱用透明多孔体は、エアロゲ
ルからなる断熱用透明多孔体であって、超臨界乾燥に用
いる溶媒に可溶であると共に、可視光線透過率80%以
上で、熱伝導率が1W/m・K以下である樹脂を含有し
てなることを特徴とする。上記断熱用透明多孔体を製造
する方法としては、超臨界乾燥に用いる溶媒に、可視光
線透過率が80%以上で、熱伝導率が1W/m・K以下
である樹脂を溶解し、溶媒置換,エージング又は超臨界
乾燥の少なくともいずれかの工程中において、湿潤ゲル
中に上記樹脂を含有させ、上記樹脂の熱変性温度より低
い温度で超臨界乾燥を行う方法を採用すればよい。
Description
断熱性に優れる多孔体に関し、詳細には複合ガラスやソ
ーラーコレクター等に好適な断熱用透明多孔体とその製
造方法及び製造装置に関するものである。尚、本発明に
係る断熱用透明多孔体は、シリカエアロゲル等の透明か
つ多孔質なエアロゲルを意味するものであるが、以下で
はシリカエアロゲルを代表的に取りあげて本発明を説明
する。
て熱伝導率が極めて低い(緻密なシリカガラスの約10
0分の1である)ことから、断熱性能に非常に優れた材
料として注目されている。しかもシリカエアロゲルは透
明であり可視光線透過率も高いので、住宅用の断熱ガラ
スの充填材や、ソーラーコレクターの窓材等への適用が
検討されている。
は、図1に示す様に、金属アルコキシドであるアルコキ
シシランを用いて加水分解・縮重合することにより、湿
潤ゲルを作製し、溶媒をアルコール等に置換してエージ
ングした後、超臨界乾燥を行うことにより得ることがで
きる。原料のアルコキシシランに、テトラメチルオルソ
シリケート(TMOS)を用いた方法としてはU.S.P.43
27065 やU.S.P.4432956があり、テトラエチルオルソシ
リケート(TEOS)を用いた方法としてはU.S.P.4610
863 がある。
多量の空隙を有していることから、断熱性に優れる反
面、抗折強度が0.1〜0.05MPaと極めて低く
[日本風力エネルギー協会合同研究発表会講演論文集
(日本太陽エネルギー学会)p237,1993年]、
これを断熱ガラスやソーラーコレクターに内装して利用
しようとしてもハンドリングの際に壊れやすく、実用化
されていないのが現状である。
目してなされたものであって、シリカエアロゲルが有す
る優れた可視光線透過率や断熱性を損なうことなく、そ
の強度を改善してハンドリングが可能な断熱用透明多孔
体とその製造方法及び製造装置を提供しようとするもの
である。
明の断熱用透明多孔体とは、エアロゲルからなる断熱用
透明多孔体であって、超臨界乾燥に用いる溶媒に可溶で
あると共に、可視光線透過率が80%以上で、熱伝導率
が1W/m・K以下である樹脂を含有してなることを要
旨とするものである。
溶媒」とは、超臨界乾燥工程の前工程で行われる湿潤ゲ
ルの溶媒置換工程及び/又はエージング工程に用いられ
る溶媒(換言すれば、超臨界乾燥器内にセットするにあ
たり湿潤ゲルを浸漬させる溶媒)と、超臨界乾燥工程に
おいて超臨界状態を得る為に超臨界乾燥器内に充填され
る溶媒とを含むものであり、溶媒置換工程及び/又はエ
ージング工程と超臨界乾燥工程で用いられる溶媒は、夫
々同一の溶媒であっても良く、異なる溶媒であってもよ
い。但し、樹脂を溶かすことができる溶媒であると共
に、臨界温度が上記溶媒に可溶な樹脂の熱変性温度より
低いことが必要である。この様な溶媒としては、アルコ
ール,エーテル,CO2 又はこれらの混合物を用いるこ
とができる。
ては、金属アルコキシドを加水分解・縮重合して得た湿
潤ゲルを溶媒置換及び/又はエージングした後、超臨界
乾燥することによりエアロゲルを製造する方法におい
て、超臨界乾燥に用いる溶媒に、可視光線透過率が80
%以上で、熱伝導率が1W/m・K以下である樹脂を溶
解し、上記溶媒置換,エージング又は超臨界乾燥の少な
くともいずれかの工程中において、上記湿潤ゲル中に上
記樹脂を含有させ、上記樹脂の熱変性温度より低い温度
で超臨界乾燥を行う方法を採用すればよく、前記溶媒と
しては、アルコール,エーテル,CO2 又はこれらの混
合物が挙げられる。上記湿潤ゲル中に樹脂を含有させる
にあたっては、溶媒置換工程,エージング工程又は超臨
界乾燥工程に用いる溶媒に予め樹脂を溶解させたものを
用いても良く、或いは樹脂を溶解させていない溶媒を用
いて溶媒置換工程,エージング工程又は超臨界乾燥工程
を行い、その工程中に樹脂を溶解させた同一または異な
る溶媒を加えてもよい。
の可視光線透過率が80%以上で、熱伝導率1W/m・
K以下を維持できる最高温度を指すものである。本発明
に係る上記断熱用透明多孔体を内装すれば、より一層断
熱性に優れた複合ガラスやソーラーコレクターを得るこ
とができる。
る超臨界乾燥器としては、超臨界乾燥用溶媒と樹脂の混
合供給手段を有するものを用いることが推奨され、超臨
界乾燥用溶媒の供給ラインと超臨界乾燥器を有する超臨
界乾燥装置の場合には、上記超臨界乾燥用溶媒の供給ラ
インに、超臨界乾燥用溶媒と樹脂の混合供給手段を有す
るものを用いることが推奨される。尚、上記「超臨界乾
燥用溶媒」とは、前記した「超臨界乾燥に用いる溶媒」
と同じ意味である。
アロゲル中に、超臨界乾燥に用いる溶媒に可溶であると
共に、可視光線透過率が80%以上で、熱伝導率が1W
/m・K以下である樹脂を含有させることで、シリカエ
アロゲルの持つ優れた可視光線透過性や断熱性を劣化さ
せることなく、その強度を大幅に高めることができる。
しては、アルコール,エーテル,CO2 又はこれらの混
合物が好ましく、また本発明において用いる樹脂は、シ
リカエアロゲルに含有させられたとき、シリカエアロゲ
ルの有する優れた可視光線透過性や断熱性を劣化させな
いことが重要であり、可視光線透過率は80%以上で、
熱伝導率は1W/m・K以下であることが必要である。
る溶媒の臨界温度以上の温度に設定されるが、臨界温度
は溶媒ごとに異なり、例えばエタノールは243℃,エ
ーテルは127℃,CO2 は31℃である。また超臨界
乾燥温度が樹脂の熱変成温度より高いと、樹脂が変色し
可視光線透過性や断熱性を劣化させてしまう。従って、
超臨界乾燥に用いる溶媒の臨界温度と、上記溶媒に溶解
させる樹脂の熱変成温度を比較して、溶媒と樹脂の組合
わせを選択することが必要である。
が1W/m・K以下という条件を満足した上で、アルコ
ールに溶解する樹脂であり、しかもその熱変性温度がア
ルコールの臨界温度よりも高い樹脂としては、ヒドロキ
シプロピルセルロース(HPC),ポリビニルブチラー
ル(PVB),エチルセルロース(EC)等が挙げられ
る(尚、PVB及びECはアルコールに可溶で水には不
溶)。溶媒にエーテルを採用する場合には樹脂として塩
素系ポリエチレン等を選択し、またCO2 を溶媒として
採用する場合にはHPC等を選択することが望ましい。
た上で、超臨界乾燥のときに断熱用透明多孔体に含有さ
せる樹脂の熱変性温度より低く、溶媒の臨界温度以上
で、超臨界乾燥を行うことが必要である。
ルコキシシランの加水分解・縮重合の際に、水溶性高分
子等を添加することにより、湿潤ゲル内に上記水溶性高
分子等を存在させ、乾燥後のエアロゲルの強度を向上さ
せる技術が提案されている。但し、この方法では湿潤ゲ
ルの溶媒置換及び/又はエージングの際に、エタノール
等の溶媒中へ上記水溶性高分子が溶出したり、或いは溶
媒中に分散して、湿潤ゲル内に十分な水溶性高分子が残
存せず、満足できる程度に強度を上昇できない恐れがあ
った。
乾燥することによりエアロゲルを製造するにあたり、可
視光線透過率が80%以上で、熱伝導率1W/m・K以
下の条件を満足する樹脂を溶解したアルコール,エーテ
ルまたはCO2 (以下、樹脂含有溶媒ということがあ
る)を用いており、上記樹脂含有溶媒を金属アルコキシ
ドの加水分解・縮重合工程ではなく、湿潤ゲルの溶媒置
換工程及び/又はエージング工程に用いて上記湿潤ゲル
の内部に上記樹脂を存在させたまま超臨界乾燥を行うこ
とにより、或いは前記樹脂含有溶媒を超臨界乾燥工程に
用いることにより、シリカネットワークの間隙に上記樹
脂を均一に含有させ、エアロゲルの強度を大幅に高める
ことができる。
カエアロゲルの強度を十分に高める上で、シリカエアロ
ゲルに対する重量比で1%以上であると好ましく、10
%以上であるとより好ましい。但し、樹脂含有量が多過
ぎると、シリカエアロゲルが有する断熱性が損なわれる
ので、50%以下であることが好ましい。
に速やかに超臨界乾燥を行っても良いが、湿潤ゲルの強
化のために溶媒置換後で超臨界乾燥の前にエージングを
行うことが推奨され、エージングを行う場合には、この
エージング工程で溶媒中に上記樹脂を添加して前記湿潤
ゲル中に上記樹脂を含有させるようにすれば良い。ま
た、溶媒置換工程は加水分解で用いられる水の臨界温度
が高いことから、水が残存することのない様に臨界温度
の低い溶媒に置き換える工程であるが、製造条件によっ
ては溶媒置換工程を省略することができるので、その場
合には溶媒置換工程を行うことなく樹脂含有溶媒を用い
て湿潤ゲルのエージングや超臨界乾燥を行っても良い。
略説明図である。図2において、1は超臨界乾燥用溶媒
の貯槽タンク,2は中間槽,3は凝縮用熱交換器,4は
昇圧ポンプ,5は加熱用熱交換器,6は超臨界乾燥器,
7は減圧弁,8は加熱用熱交換器,9は分離器,10は
凝縮用熱交換器を夫々示す。
製造するにあたっては、アルコール等の溶媒に浸漬され
たままの湿潤ゲルを超臨界乾燥器6に装入し、内部を超
臨界状態にすればよい。超臨界状態の形成に用いられる
CO2 等の超臨界乾燥用溶媒は、上記溶媒が充填された
貯槽タンク1から供給され、中間槽2を通って熱交換器
3で冷却・凝縮され、昇圧ポンプ4で加圧されると共
に、熱交換器5で加熱された後、超臨界乾燥器6に導入
され、その内部を超臨界状態とする。超臨界乾燥器6か
ら排出された超臨界乾燥用溶媒は減圧弁7で減圧されて
熱交換器8で加熱された後、分離器9に導入される。例
えば、湿潤ゲルの浸漬用溶媒にアルコールを用い、超臨
界乾燥用溶媒にCO2 を用いる場合には、アルコールは
分離器9から系外に排出され、一方CO2 は熱交換器1
0により冷却・凝縮されて中間槽2に戻され、再利用さ
れる。この様にして超臨界状態を所定時間保持すること
により上記湿潤ゲルからエアロゲルが製造される。その
後、超臨界乾燥器内は大気圧まで減圧され、製造された
エアロゲルが取り出される。
媒に、特定の条件を満足する樹脂を溶解させるものであ
るが、溶媒置換やエージングに用いる溶媒に樹脂を溶解
させても良く、超臨界状態を形成するのに用いる溶媒に
樹脂を溶解させても良い。
超臨界乾燥用溶媒と樹脂の混合供給手段として混合器1
1を有する超臨界乾燥器6を用いることが推奨される。
上記混合器としては、撹拌手段を有する通常のミキサー
を用いることができ、樹脂を所定量計量して供給するホ
ッパーや、溶媒用タンクが配設されたものを用いても良
い。
は、超臨界乾燥器に直接配設する以外にも、図4に示す
様に、昇圧ポンプ12を介して、超臨界乾燥用溶媒の供
給ラインL3に接続してもよい。この場合には、CO2
等の超臨界乾燥用溶媒により超臨界乾燥器内が高圧にな
った状態でも、樹脂を溶解させた溶媒を供給できエアロ
ゲル内に樹脂をより均一に添加することができる。
媒に樹脂を溶解させる場合には、図5に示すような混合
容器21を用いることができる。即ち、フィルター2
2,24により容器内に樹脂充填部23が形成された混
合手段であり、或いは内部容器と外部容器からなり内部
容器の一部をフィルターで構成した樹脂充填部とした混
合容器を採用してもよい。上記フィルターとしては、樹
脂を充填することができると共に、溶媒を通過させるこ
とができるものを適宜選択して採用すれば良いが、複数
枚の金網を積層して焼結したフィルターが例示できる。
また、超臨界状態を形成するのに用いるCO2 等の溶媒
に樹脂を溶解させる場合には、図5に示す様に、樹脂を
混合する溶媒供給ラインL3に並列して、バイパスL4
を設けることが好ましい。
と超臨界乾燥器6の間の溶媒供給ラインL3に限らず、
熱交換器3と昇圧ポンプ4の間の溶媒供給ラインL1
(図2参照)や昇圧ポンプ4と熱交換器5の間の溶媒供
給ラインL2に配設しても良い。上記混合容器21を溶
媒供給ラインL1やL2に設ける場合であっても、バイ
パスラインを並設することが推奨される。
樹脂が溶解した溶媒が通過するライン内にラインミキサ
ーを介設すれば、より確実に樹脂を溶解することができ
るので望ましい。
の有する断熱性及び透明性を確保したままで、強度の向
上が図られているので、複合ガラスやソーラーコレクタ
ーに内装して用いることができ、熱効率の大幅な向上を
期待できる。本発明の断熱用透明多孔体を複合ガラスに
用いる場合には、本発明の断熱用透明多孔体を一対のガ
ラスの間に介装すれば良く、ソーラーコレクターに用い
る場合には防護板(強化ガラス)の裏に配設すれば良
い。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
での経過の実験を参考例として示た後、本発明の実施例
と比較例を示す。
解法で縮重合させ湿潤ゲル(アルコゲル状のシリカ)を
作製した。これをエタノール中常温で溶媒置換し、エー
ジングした。次いでエタノールを媒体にして、上記湿潤
ゲルを280℃で超臨界乾燥し、シリカエアロゲルを得
た。
たところ、0.05MPaであり、手で軽く触るだけで
微少な割れが生じた。また普通にハンドリングできず、
ソーラーコレクターや複合ガラスに組み込むことができ
なかった。
験により以下の条件で測定した。 試験片サイズ:10×10×80mm スパン長 :50mm ロードセル :100gfフルスケール 荷重印加速度:5mm/min
硬化剤を添加し、速やかに従来例で得られたシリカエア
ロゲル上に塗布した。その後、室温において2時間硬化
させたところ、樹脂は硬化中にシリカエアロゲル中に浸
透し、樹脂の表面は白濁してしまった。白濁した原因と
して、樹脂が硬化中にシリカエアロゲル中の微細な空隙
に浸透し、その時の表面張力でシリカエアロゲルが収縮
し、キセロゲル化して白濁したものと考えられる。
させた溶液を、シリカエアロゲル表面に塗布し、室温に
て真空中で12時間乾燥させた。ところが、この材料も
参考例1と同様表面が白濁してしまい、シリカエアロゲ
ルの有する透光性を著しく劣化させる結果となった。こ
の場合も参考例1と同様、液体が空隙に浸透し、表面張
力によってキセロゲル化したためと考えられる。
基づき、シリカエアロゲル中の空隙に樹脂を浸透させる
のではなく、樹脂を塗布して、シリカエアロゲルの表面
に保護皮膜を形成すればよいのではないかと考え、本参
考例を行った。即ち、シリカエアロゲルの表面は強い疎
水性を有していることから、水溶性樹脂を塗布して、乾
燥すれば白濁化(キセロゲル化)の問題なく樹脂層をシ
リカエアロゲル表面上に形成できると考えた。そこで、
ポリビニルアルコール(PVA)を純水に溶解して得ら
れた水溶液をシリカエアロゲル上に塗布し、50℃にて
真空中で12時間乾燥させた。しかしながら、乾燥中に
シリカエアロゲルから樹脂が剥離し、保護皮膜として形
成することができなかった。
解法で縮重合させて湿潤ゲルを作製した。次に、可視光
線透過率97%、熱伝導率0.5W/m・KであるHP
Cをエタノール中に3%添加して溶解させ、この溶液中
に上記湿潤ゲルを常温で2日間浸漬して溶媒置換及びエ
ージングを行った。
溶媒にして、HPC樹脂の熱変成温度より低い超臨界乾
燥温度である80℃で超臨界乾燥を行い(圧力は160
kgf/cm2)、HPC樹脂で強化された本発明のシリカエア
ロゲルを得た。このシリカエアロゲル中に含有されてい
る樹脂の定量分析を行うため、大気中600℃で熱処理
したところ、樹脂の分解に伴う重量減少は約18%であ
った。
アロゲルの抗折強度は0.84MPaであり、樹脂を添
加していないシリカエアロゲル(従来例)に比べ約17
倍の強度が得られた。従来例のシリカエアロゲルが手で
軽く触るだけで微少な割れが生じたのに対し、本発明の
シリカエアロゲルは普通にハンドリングでき、複合ガラ
ス及びソーラーコレクターに組み込むことができた。
含浸させたシリカエアロゲルを作製し、その後、エタノ
ール(臨界温度:243℃)を溶媒にしてHPCの熱変
性温度より高い温度である280℃で超臨界乾燥した。
しかしながら、乾燥後のシリカエアロゲルは黒色化し、
可視光線透過率が極端に劣化してしまった。これは、超
臨界乾燥温度がHPCの変性温度より高かった為に、樹
脂の熱変性による変色が原因と考えられる。このよう
な、シリカエアロゲルはソーラーコレクター等シリカエ
アロゲルの特性を生かした用途には全く使用できない。
また、HPC以外にもPVB,EC等のアルコールに可
溶な樹脂を検討したが、超臨界乾燥処理でいすれも黒色
化し、所望のシリカエアロゲルは得られなかった。
得られたシリカエアロゲルに関して、可視光線透過率及
び熱伝導率を調べた。結果は抗析強度及び樹脂含有量と
共に表1にまとめて示す。
装置(島津製作所製,UV-240)を用いて、硫酸バリウム
の白色粉末に、入射光を通過させた時の透過率を0%と
し、試料なし(空気)の場合の透過率を100%とし、
試料に入射光を通過させたときの透過度の強度を波長ス
キャンさせながら測定した。また熱伝導率の測定は、非
定常細線加熱法(JIS R 2619)に基づき行っ
た。
過率及び断熱性を従来例よりほとんど低下させることな
く、強度を大幅に向上させることが可能であることが分
かる。
解法で縮重合させて湿潤ゲルを作製した。次に、透過率
98%、熱伝導率0.3W/m・Kであるポリエチレン
グリコール(PEG)をエタノール中に3%添加して溶
解させ、この溶液中に上記湿潤ゲルを常温で2日間浸漬
して溶媒置換及びエージングを行った。
ールを溶媒にして、PEGの変性温度より低い温度であ
る280℃で超臨界乾燥を行い、PEG樹脂で強化され
た本発明のシリカエアロゲルを得た。
解法で縮重合させて湿潤ゲルを作製した。次に、透過率
98%、熱伝導率0.2W/m・Kである塩素系ポリエ
チレン(日本製紙製HE510)をエーテル中に3%添
加して溶解させ、この溶液中に上記湿潤ゲルを常温で2
日間浸漬して溶媒置換及びエージングを行った。
ルを溶媒にして、上記塩素系ポリエチレンの変性温度よ
り低い150℃で超臨界乾燥し、塩素系ポリエチレンで
強化された本発明のシリカエアロゲルを得た。
解法で縮重合させて湿潤ゲルを作製した。上記湿潤ゲル
をCO2 (臨界温度:31℃)を溶媒にして、HPC樹
脂の熱変成温度より低い80℃で超臨界乾燥させる際、
あらかじめ透過率97%、熱伝導率0.5W/m・Kあ
るHPCが充填された混合容器にCO2 を通すことによ
り、HPCが溶解されたCO2 を用いて超臨界乾燥し、
HPC樹脂で強化されたシリカエアロゲルを得た。
ゲルを用いて、実施例1と同様にして抗折強度,可視光
透過率及び熱伝導率を測定したところ、実施例1と同程
度の結果が得られた。
く触るだけで微少な割れが生じたのに対し、上記実施例
2〜4で得られたシリカエアロゲルは普通にハンドリン
グでき、複合ガラス及びソーラーコレクターに組み込む
ことができた。
で、シリカエアロゲルが有する優れた可視光線透過率や
断熱性を損なうことなく、強度を改善してハンドリング
が可能な断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置
が提供できることとなり、これまで実用化されていなか
った複合ガラス及びソーラーコレクターに適用すること
が可能となった。
る。
る。
ある。
説明図である。
説明図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 エアロゲルからなる断熱用透明多孔体で
あって、 超臨界乾燥に用いる溶媒に可溶であると共に、可視光線
透過率が80%以上で、熱伝導率が1W/m・K以下で
ある樹脂を含有してなることを特徴とする断熱用透明多
孔体。 - 【請求項2】 前記溶媒が、アルコール,エーテル,C
O2 又はこれらの混合物である請求項1に記載の断熱用
透明多孔体。 - 【請求項3】 金属アルコキシドを加水分解・縮重合し
て得た湿潤ゲルを溶媒置換及び/又はエージングした
後、超臨界乾燥することによりエアロゲルを製造する方
法において、 超臨界乾燥に用いる溶媒に、可視光線透過率が80%以
上で、熱伝導率が1W/m・K以下である樹脂を溶解
し、上記溶媒置換,エージング又は超臨界乾燥の少なく
ともいずれかの工程中において、上記湿潤ゲル中に上記
樹脂を含有させ、該樹脂の熱変性温度より低い温度で超
臨界乾燥を行うことを特徴とする断熱用透明多孔体の製
造方法。 - 【請求項4】 前記溶媒が、アルコール,エーテル,C
O2 又はこれらの混合物である請求項3に記載の断熱用
透明多孔体の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1または2に記載の断熱用透明多
孔体を内装してなることを特徴とする複合ガラス。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の断熱用透明多
孔体を内装してなることを特徴とするソーラーコレクタ
ー。 - 【請求項7】 断熱用透明多孔体の製造に用いる超臨界
乾燥器であって、 超臨界乾燥用溶媒と樹脂の混合供給手段を有してなるこ
とを特徴とする超臨界乾燥器。 - 【請求項8】 超臨界乾燥用溶媒の供給ラインと超臨界
乾燥器を有する超臨界乾燥装置であって、 上記超臨界乾燥用溶媒の供給ラインに、超臨界乾燥用溶
媒と樹脂の混合供給手段を有してなることを特徴とする
超臨界乾燥装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9132502A JPH10324579A (ja) | 1997-05-22 | 1997-05-22 | 断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9132502A JPH10324579A (ja) | 1997-05-22 | 1997-05-22 | 断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10324579A true JPH10324579A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=15082872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9132502A Pending JPH10324579A (ja) | 1997-05-22 | 1997-05-22 | 断熱用透明多孔体とその製造方法及び製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10324579A (ja) |
Cited By (12)
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