JP7274302B2 - エアロゲル複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゲル複合材及びその製造方法に関し、特に、軽量で、断熱性能が高く、粉落ちが少ないエアロゲル複合材と、効率的にエアロゲル複合材を製造する製造方法に関する。
エアロゲルは、低密度で空隙率の高い乾燥ゲル体の総称であり、湿潤ゲルを乾燥させて得られる多孔質体である。
例えば、シリカ化合物を原料とする一般的なシリカエアロゲルの細孔径は、空気の平均自由行程である67nm以下であり、気体分子同士の衝突(対流による熱伝達)がほとんどないため、気体成分による熱伝導率の影響を無視することができ、シリカエアロゲルの熱伝導率が低くなるため、軽量な断熱材として期待されている。
一方、シリカエアロゲルは極めて脆く、単体でのハンドリングが非常に困難である問題があり、産業界にはなかなか受け入れられてこなかった。
そこで、特許文献1及び2のように不織布とエアロゲルを一体成形した断熱シート、特許文献3及び4のように連続気泡発泡体とエアロゲルを一体成形した断熱材、特許文献5及び6のようなバインダー樹脂との組み合わせによる断熱材料等が提案されている。
特許第6064149号 特開2011-178925号公報 特開2010-047710号公報 特表2016-521670号公報 特表2012-525290号公報 特開1998-147664号公報
特許文献1及び2は、不織布繊維にシリカエアロゲル前駆体となるゾル溶液を含浸しゲル化させた後、不織布とエアロゲルからなる、複合層を形成させる。これらの文献ではエアロゲルの脱落防止のためカップリング剤を用いているが、加工工程においてエアロゲル粒子が脱落(以降『粉落ち』と称する)しやすく、エアロゲルの減少により、断熱性能が低下する。
特許文献3及び4では、連続気泡発泡体にゾル溶液を含浸させ、湿潤ゲルを形成させた後、超臨界流体を用いてゲルを乾燥させる方法が採用されており、連続気泡発泡体として、軟質ポリウレタンフォームやメラミンフォームが用いられている。しかしながら、軟質ポリウレタンフォームやメラミンフォームでは、不織布の場合と同様に、エアロゲルの脱落を抑制できないため、エアロゲルの減少により断熱性能が低下する。
また、特許文献4のメラミンフォームを用いた複合材料は、剛直な遮音性パネルにラミネートされた場合に、難燃材として働くことができることが開示されている。しかしながら、これは、前記複合材料自体が難燃性を示すのではなく、前記複合材料の断熱効果により、遮音性パネルを含めた複合材料が難燃性を示している。従って、特許文献4の複合材料自体の難燃性について評価したものではなく、その評価結果も示されていない。
特許文献5及び6には、接着剤や水溶性高分子等をバインダー成分とし、エアロゲルシートを作製する方法が提案されている。しかしながら、エアロゲル粒子表面のバインダーを通じて熱が伝導しやすくなりエアロゲルの断熱性能が阻害されるため、エアロゲル単体と比較して熱伝導率が高くなる。
また、特許文献6に開示されている複合材料が、難燃性を有することが開示されている。前記複合材料のバインダーは、セメント、石膏、石灰、アクリレート及びそれらのいずれかの組み合わせからなるものであり、これらのうち、セメント、石膏、石灰は元々難燃性が高い。アクリレートは難燃性が高くはないが、実施例には、難燃性の評価結果が示されておらず、さらにバインダーとして、アクリレート単独で用いた例もない。従って、バインダーとしてアクリレートを単独で用いた場合の難燃性について、何ら示されていない。
従って、本発明の目的は、軽量で、粉落ちが少なく、断熱性能が高い、エアロゲル複合材を提供することである。さらに難燃性の高い基材を用いることで、基材の示す難燃性以上の難燃性を示すエアロゲル複合材を提供することにある。
発明者らは、鋭意研究を行い、特定の大きさの連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮層付き連続気泡樹脂発泡体と、エアロゲルのエアロゲル複合材が、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は下記の通りである。
本発明(1)は、
連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体において、
前記表皮層は、前記表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、
前記表皮層の表面を、表皮層の表面の法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000~1/2であり、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部に、エアロゲルを含む、エアロゲル複合材である。
本発明(2)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂の少なくとも1つを含む、前記発明(1)のエアロゲル複合材である。
本発明(3)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の厚みが、0.03mm~50.0mmである、前記発明(1)又は(2)のエアロゲル複合材である。
本発明(4)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量が、0.5cm/cm・sec.以上であることを特徴とする、前記発明(1)~(3)のいずれかのエアロゲル複合材である。
本発明(5)は、
エアロゲル複合材の製造方法であって、
前記製造方法は、
連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体に、
常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に充填するゾル溶液充填工程と、
前記充填されたゾル溶液を湿潤ゲルにするゲル化工程と、
前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含む、エアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(6)は、
前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、水分散性樹脂と、アニオン性界面活性剤とを、含む水系樹脂分散体であることを特徴とする、前記発明(5)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(7)は、
前記アニオン性界面活性剤の配合量が、前記水系樹脂分散体の樹脂固形分の配合量を100質量部とした場合に、1~10質量部である、前記発明(6)のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(8)は、
前記水系樹脂分散体が、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ゴムラテックスのうち、少なくとも1つを含む、前記発明(5)~(7)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(9)は、
前記エアロゲル複合材の製造方法は、
原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
前記原料が、アルケニル基を有するシロキサン化合物を含む、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、前記発明(5)に記載のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(10)は、
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程は、シリコーン発泡体原料の反応時に発生する水素ガス、又は、有機発泡剤、により発泡させることを特徴とする、前記発明(8)に記載のエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(11)は、
前記エアロゲルが、シリカエアロゲルである、前記発明(5)~(10)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明(12)は、
前記乾燥工程が、超臨界流体乾燥を含む、前記発明(5)~(11)のいずれかのエアロゲル複合材の製造方法である。
本発明によれば、特に、軽量で、粉落ちが少なく、断熱性能が高く、今まで断熱材の設置が難しかった省スペースの空間にも設置をすることができるエアロゲル複合材を提供することができる。また、難燃性が高い基材を用いることで、基材の難燃性を大きく上回る難燃性の向上効果を発現するエアロゲル複合材を提供することができる。
本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体の断面の写真である。 本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体の表皮層表面の法線方向からの写真である。
以下、本発明にかかるエアロゲル複合材及びその製造方法について詳述する。
本願において、常圧下とは、特に減圧も、加圧も行っていない圧力を示す。また、減圧下とは、人為的に大気圧よりも減圧された状態を示す。
1.エアロゲル複合材
本発明にかかるエアロゲル複合材は、連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の対向する二つの表面に形成された、通気性を有する表皮層とを、有する、表皮付き連続気泡樹脂発泡体(以降、単に『樹脂発泡体』と略す場合がある)において、前記表皮層は、該表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、前記表皮層の表面を法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000~1/2であり、前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部にエアロゲルが充填されているエアロゲル複合材である。
前記平均セル径比は、後述する配合条件(添加される気泡剤としてのアニオン性界面活性剤の配合量、主剤と硬化剤の配合比率、有機発泡剤や発泡助剤の配合量)や成形条件(撹拌速度、乾燥温度)等を変更することで、調整することができる。前記平均セル径比が、かかる範囲にある場合には、エアロゲル複合材は、優れた粉落ち防止性を有することにより、優れた断熱性を有する。即ち、粉落ちが少ない場合には、断熱材であるエアロシリカゲルが発泡体内から脱落することが少なく、エアロゲル複合材として、高い断熱性を維持することができる。平均セル径比の詳細は後述する。
また、粉落ちが少ない場合において、断熱効果が維持できるため、難燃性の向上にも寄与するものと考えられる。
前記エアロゲル複合材の形状及び大きさは特に限定されない。例えば、シート状;円形状、楕円形状、多角形状等の板材;長尺材;細長い紐状(糸状、繊維状);粒状等;の形状を挙げることができる。
前記エアロゲル複合材は、優れた断熱材であるため、保温対象物を覆ったり、巻き付ける等して用いられる。そのような用途の場合、前記エアロゲル複合材は、シート状、板状、長尺材等の形状にして、保温対象物の表面を覆うことで、保温対象物の保温が可能となる。また、混合や混錬が可能な材質の断熱効果を高めたい場合等には、粒状に加工した前記エアロゲル複合材を混ぜ合わせることで、対象物の断熱効果を高めることができる。
前記エアロゲル複合材(又は、表皮付き連続気泡樹脂発泡体)の厚みは、0.03mm~50.0mmとすることができる。後述する発泡体形成工程にて、水分散性樹脂を原料とする場合は、0.2mm~2.0mmが好ましく、0.5mm~1.5mmがより好ましい。また、水分散性樹脂を原料としない場合は、0.5mm~50.0mmが好ましく、1.0mm~30.0mmがより好ましい。前記エアロゲル複合材の厚みがかかる範囲にある場合には、製造時にピンポール等の欠陥が生じにくく、また、可撓性を高くすることができる。
本明細書におけるエアロゲル複合材の厚みとは、発泡体層の対向する二つの表面に形成された表皮層の表面間の厚みを示す。従って、何の断りもなく、エアロゲル複合材の厚みと記載された場合には、エアロゲル複合材の厚みは二つの表皮層の厚みと、発泡体層の厚みの和となる。
1-1.表皮付き連続気泡樹脂発泡体
本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、上述したように連続気泡を有する発泡体層と、該発泡体層の対向する二つの表面に形成された、通気性を有する表皮層を含む。また前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、市販のものを用いることができる。
発泡体層と、表皮層とは、本発明のエアロゲル複合材の製造方法における、発泡体形成工程において、発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)、又は、混合したシリコーン樹脂発泡体原料を離型処理されたPET製シート上に供給し、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。このとき、PET製シート及びドクターナイフ等の塗工器具に接触する発泡体層の表面が変質して、表皮層が形成される。従って、発泡体層と表皮層は一体のものである。
このため、発泡体層に含まれる連続気泡と、表皮層に含まれる連続気泡とは、連通しており、発泡体層も通気性を有する。即ち、表皮付き連続気泡樹脂発泡体としても、通気性を有する。通気性については後述する。
また、表皮層は、連続気泡を有する発泡体層を作製したのち、連続気泡を有する発泡体層に、熱プレス機や熱ロール機による加熱処理を施すことによっても形成することができる。
表皮付き連続気泡樹脂発泡体の、形状、大きさ、厚みは、前記エアロゲル複合材と同様である。
また、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の材質は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂の少なくとも1つを含むことができる。
材質についての詳細は後述する製造方法の説明において詳述する。
前記材質のうち、発泡体として、柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなることからウレタン樹脂発泡体が好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、アクリル樹脂発泡体を用いることも好適である。さらに、難燃性、耐熱性に優れていることから、シリコーン樹脂発泡体、及びシリコーンゴム発泡体を用いることも好適である。
表皮付き連続気泡樹脂発泡体の空隙率は、発泡後の表皮付き連続気泡樹脂発泡体の見掛けの密度を未発泡の原料樹脂の密度で割り、1からこの除数を引き、百分率とすることによって算出する。見掛けの密度の測定は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠する。
前記空隙率は、エアロゲル複合材に含まれるエアロゲルの充填量を増やすことができるため、高いほうが好ましい。断熱性の高いエアロゲルの充填量が多いほど、エアロゲル複合材としての断熱性を高くすることができる。
前記空隙率は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、前記空隙率は50~99%とすることができ、65~99%であることが好ましく、85~99%であることがより好ましい。前記空隙率がかかる範囲にある場合には、表皮付き連続気泡樹脂発泡体に対し、十分な量のエアロゲルを充填することができるため、エアロゲル複合材を、軽量で、優れた断熱性を有するものとすることができる。
1-1-1.発泡体層
本発明にかかる発泡体層は、連続気泡を有する。また、連続気泡は、セル同士が、連通貫通孔によって結合している。
前記連続気泡の、表皮層表面と垂直な断面における平均セル径(RB)は、特に限定されないが、例えば、5μm~300μmとすることができ、5μm~200μmであることが好ましく、5μm~100μmであることがより特に好ましい。発泡体層に含まれる連続気泡の平均セル径がかかる範囲にある場合には、後述するゾル溶液充填工程において、常圧下であっても、毛細管現象により、ゾル溶液が充填しやすくなり、工程時間が短縮される。
さらに、連続気泡内に内包されるエアロゲルの大きさがこの連続気泡の平均セル径に制約され、エアロゲルの大きさも同等の大きさとなる。
エアロゲルは、極めて脆性的であるため、クラック等の欠陥が存在していた場合には破損しやすい。エアロゲルの大きさが小さい程、前記欠陥が存在する確率が低下するため、形成されたエアロゲルが破損しにくい。
従って、前記連続気泡の平均セル径がかかる範囲にある場合には、エアロゲルの大きさは小さくできるので、エアロゲルが欠陥を有する確率を低くすることができ、エアロゲルの破損、即ち、粉落ちを低減することが可能となる。
また、連続気泡発泡体の見掛けの密度が同じであれば、セル径が小さいほど障壁数を増大させることができる。障壁数の増大は輻射に対して有効となり、連続気泡発泡体の熱伝導率が低くなるので、エアロゲル複合材の熱伝導率も低くなる。
発泡体層の平均セル径の測定は以下の方法で行うことができる。
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver)を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する。
連通貫通孔の平均径は、ゲルの原料溶液を充填させるためには大きいほうが好ましいが、エアロゲルの粉落ちを抑えるためには小さいほうが好ましい。連通貫通孔の平均径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。連通貫通孔の平均径の下限値は、ゲルの原料溶液を充填させることが可能である限りにおいて、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上とすることができる。連通貫通孔の平均径がかかる範囲にある場合には、エアロゲル複合材を裁断もしくはエアロゲル複合材を屈曲した場合に、エアロゲルの脱落が起こらず、粉落ち防止性も向上することができる。
連通貫通孔の平均径は、西華デジタルイメージ販売の貫通細孔径測定装置(パームポロメータ)を用いて測定することができる。連通貫通孔の平均径は、具体的には、無作為に選択した少なくとも20個以上の連通貫通孔の直径について、前記測定装置で測定した値を平均することで得ることができる。
発泡体層の、表皮層表面と垂直な断面におけるセル密度は、特に限定されないが、10個/mm~200個/mmとすることができ、20個/mm~170個/mmが好ましく、40個/mm~150個/mmがより好ましい。前記発泡体層のセル密度が、かかる範囲にある場合に、エアロゲル複合材は、エアロゲルが十分に充填されることが可能となり、優れた断熱性を有する。
ここで、前記セル密度は、表皮層表面と垂直な断面の任意の面積に含まれる、単位断面積当あたりのセル数(連続気泡数)である。
前記発泡体層の表皮層表面と垂直な断面におけるセル密度の測定は以下の方法で行うことができる。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフト(例えば、Image-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver))を用いて、セルの個数を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの個数を読み取る。観察に用いた断面写真の樹脂発泡体の断面の面積で、測定したセルの個数を除した値をセル密度とする。
1-1-2.表皮層
本発明にかかる表皮層は、発泡体層の対向する二つの表面に存在する。前述したように、表皮層は、発泡した水系液体媒体を剥離シート上に供給し、シート状等に成形される際に、PET製シート及び塗工器具に接触する発泡体層の表面が変質して形成される。
表皮層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.01~30μmとすることができ、0.01~15μmが好ましく、0.01~10μmがより好ましい。表皮層の厚みがかかる範囲にある場合には、粉落ち防止性が高まる。
また、表皮層は、連続気泡を含み、前記連続気泡は、表皮層の表面に到達しているものを含む。従って、表皮層は外気を透過することができる。即ち、通気性を有する。
また、表皮層に含まれる連続気泡と、発泡体層に含まれる連続気泡は、連通貫通孔によって接続されており、外気などの流体は、表皮層に含まれる連続気泡と、発泡体層に含まれる連続気泡とを、行き来することができる。
ここで、表皮層単独の通気性は測定できないが、表皮層表面を介して、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量を測定することで、表皮層が通気性を有するか判定できる。表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量の測定方法は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に記載の方法を用いて測定することができる。
本発明において、通気性を有するとは、測定された表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量(又は通気度)が、0.1cm/cm・sec.以上であることとする。この場合に、表皮層も通気性を有するものとする。
表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量は0.5cm/cm・sec.以上が好ましく、10cm/cm・sec.以上がより好ましい。10cm/cm・sec.以上の場合、本発明のエアロゲル複合材は、後述するゾル溶液充填工程において、時間のかかる真空引きを行う必要がなく、効率的な製造方法とすることが可能である。また、通気度量の上限は、高ければ高いほど良いため、特に限定されないが、一般に連続気泡発泡体の場合には300cm/cm・sec.とすることができる。
表皮層に含まれる連続気泡の表皮層表面の法線方向から観察した平均セル径RAと、表皮層表面と垂直な断面における発泡体層の連続気泡の平均セル径RBとの比(RA/RB)は、1/1000~1/2であり、1/30~1/2が好ましく、1/30~1/6がより好ましい。前記平均セル径の比がかかる範囲にある場合には、エアロゲル複合材は、粉落ち防止性が高く、優れた断熱性と難燃性を有する。
また、表皮層に含まれる連続気泡の表皮層表面の法線方向から観察した平均セル径(RA)は、特に限定されないが、例えば、1μm~150μmとすることができ、1μm~100μmが好ましく、1μm~50μmがより好ましい。表皮層に含まれる連続セル径が、前記の比及び前記範囲にある場合には、エアロゲルの粉落ちが防止でき、断熱性を低下させることがない。
ここで、表皮層に含まれる連続気泡の表皮層表面の法線方向から観察した平均セル径は、以下の方法で測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、樹脂発泡体の断面のセル写真を撮影する。その後、画像処理ソフト(例えば、Image-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver))を用いて、各セル径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出する。
1-2.エアロゲル
本発明にかかるエアロゲルは、低密度の乾燥ゲルであれば、特に限定されない。超臨界流体乾燥法を用いて得られたエアロゲルだけでなく、通常の乾燥過程によるキセロゲル、凍結乾燥によるクライオゲル等も含む。
エアロゲルとしては、任意の好適なエアロゲル成分を使用することができる。例えば、シリカエアロゲルやアルミナエアロゲルのような無機エアロゲル、レゾルシノール・ホルムアルデヒド・エアロゲル(RFエアロゲル)、セルロースナノファイバー・エアロゲル(CNFエアロゲル)のような有機エアロゲル、炭素エアロゲル、及びそれらの混合物から選択することができる。本発明にかかるエアロゲルは、シリカ(SiO)を含有するシリカエアロゲルを好適に用いることができる。
本発明にかかるエアロゲルは、エアロゲルの前駆体であるゾル溶液を、表皮層付き連続気泡樹脂発泡体に充填し、前記発泡体内でゲル化、乾燥してエアロゲルを形成する。
本発明にかかるエアロゲルの、発泡体層に含まれる個々の気泡(セル)を占める平均充填率(充填されたエアロゲルが気泡内に占める体積の割合)は、特に限定されないが、50%~100%とすることができ、70%~100%がより好ましく、90%~100%がより好ましい。本発明にかかるエアロゲルの、発泡体層に含まれる個々の気泡(セル)を占める平均充填率が、かかる範囲にある場合には、エアロゲル複合材は優れた断熱性を有する。
2.エアロゲル複合材の特性評価
2-1.見掛けの密度
エアロゲル複合体の見掛けの密度は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K7222-2005「発泡プラスチック及びゴム―見掛け密度の求め方」に準ずる方法で測定することができる。
2-2.粉落ち率
エアロゲル複合材の粉落ち率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K6404-6:1999「ゴム引布・プラスチック引布試験方法-第6部:もみ試験」に記載されているもみ試験を行い、試験前後に質量を測定することで測定が可能である。
具体的には、試験片は10mm×50mm、厚みは任意とし、試験片間隔を20mm、ストローク間隔40mm、圧縮荷重200gfとして1200回(往復速度120回/分)揉んだ前後の試験片重量から粉落ち率を算出する。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)-試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算する。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。
2-3.熱伝導率
エアロゲル複合体の熱伝導率は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS A1412-1:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第1部:保護熱板法(GHP法)」、JIS A1412-2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法)」に準ずる方法で測定することができる。
具体的には、熱伝導率は熱流束計を用いて、上板温度を15℃とし、下板温度を35℃として熱伝導率を測定する。環境温度は、特に制限はないが常温、常圧とする。試験時に用いるサンプルの厚みは5mm以上とし、5mmに試験サンプル厚みが満たない場合には、試験サンプルを積層して熱伝導率を測定し、断熱性能の評価を実施する。
熱伝導率が、0.020W/m・K以下であることが好ましく、0.018W/m・K以下であることがより好ましく、0.016W/m・K以下であることがさらに好ましい。
3.エアロゲル複合材の製造方法
本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法は、前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に、常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を充填するゾル溶液充填工程と、前記充填されたゾル溶液をゲル化するゲル化工程と、前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含む。以下に各工程について詳述する。なお、エアロゲルの説明に関しては、好適例であるシリカエアロゲルを例として詳述する。また、本発明にかかる製造方法として、下記に説明した工程以外の工程を、さらに含むことができる。
3-1.発泡体形成工程
下記には、発泡体形成工程について詳述するが、本発明にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、市販の表皮付き連続気泡樹脂発泡体を用いることができる。従って、本発明にかかるエアロゲル複合材の製造方法において、発泡体形成工程を必ずしも含む必要はない。以下では、水分散性樹脂を原料とする場合の発泡体形成工程と、水分散性樹脂を原料としない場合の発泡体形成工程とについて、それぞれ好適例の方法について詳述する。
3-1-1.水分散性樹脂を原料とする場合の発泡体形成工程
本実施形態にかかる表皮付き連続気泡樹脂発泡体は、原料として、水系樹脂分散体と、気泡剤としてのアニオン性界面活性剤とを、含む。さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他添加物を添加することができる。
3-1-1-1.原料
3-1-1-1-1.水分散性樹脂
本発明にかかる樹脂発泡体の製造方法に用いられる水分散性樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。水分散性樹脂としては、安定分散型水分散性樹脂と不安定分散型水分散性樹脂を含む。本願発明においては、ポリマーの親水性が高く、真空工程等を経ることなく効率的にエアロゲル複合材を製造できるため、安定分散型水分散性樹脂が好適である。
なお、安定分散型の水分散性樹脂とは析出率(析出率の具体的な算出方法に関しては以下の方法に従う)が10%未満である水分散性樹脂を示し、その構造や製造方法は何ら限定されない。また不安定分散型の水分散性樹脂とは析出率が10%以上である水分散性樹脂を示し、その構造や製造方法は何ら限定されない。
・析出率の算出方法
水分散性樹脂の分散安定性を評価するために、水分散性樹脂に凝固剤水溶液(0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液)を添加し、生成する析出物の量から析出率を算出することができる。具体的な析出率は下記式(1)によって求められる{なお、式(1)中、Aは析出物の乾燥質量(g)、Bは水分散性樹脂の質量(g)、Cは水分散性樹脂の固形分濃度(質量%)である}。
析出率(%)=A/{B×(C/100)}×100・・・(1)
より具体的には、23℃の室内で、容量100mlの樹脂容器に、水分散性樹脂を10g入れ、撹拌しながら、凝固剤水溶液として濃度0.5質量%の硝酸カルシウム水溶液を10g滴下する。凝固剤水溶液の全量を滴下した後、1時間静置する。次に、全量をガラス濾過器(柴田科学株式会社製、吸引濾過瓶1L、柴田科学株式会社製、ガラスフィルターベースφ47mm用、有限会社桐山製作所製、桐山セパロート55Z)及び40メッシュフィルタ(株式会社ヤマニ製、T230LY-40)に投入し、減圧濾過して析出物を回収する。さらに、濾液が透明になるまで水洗したのち、110℃で3時間乾燥させる。析出物の乾燥質量を測定し、上記式(1)に基づいて析出率を計算し、当該析出率から水分散性樹脂の分散安定性を評価する。即ち、析出率が10%未満のものは樹脂粒子が凝集しにくいことを意味するため、「安定分散型の水分散性樹脂」と評価する。一方、析出率が10%以上のものは樹脂粒子が凝集しやすいことを意味するため、「不安定分散型の水分散性樹脂」と評価する。
なお、本発明にかかる水分散性樹脂としては、1種類の水分散性樹脂に限定されず、複数種類の水分散性樹脂を組み合わせて用いてもよい。このように、水分散性樹脂が、複数の水分散性樹脂からなる場合にも、水分散性樹脂全体において当該析出率を算出し、安定分散型であるか、不安定分散型であるか、を判別する。
3-1-1-1-1-1.安定分散型の水分散性樹脂
以下には、好適例である安定分散型水分散性樹脂について、説明する。
安定分散型水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等を挙げることができる。これらの内、特に好適なウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョンについて詳述する。なお、ウレタンエマルジョンを用いることで、得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなるため好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、アクリルエマルジョンを用いることも好適である。
ウレタン樹脂の水分散体(ウレタンエマルジョン)の製造方法としては、下記方法(I)~(III)を挙げることができる。
(I)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液に、必要に応じ、中和剤を含む水溶液を混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(II)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤を含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後水を混合して水に分散させた後、ポリアミンと反応させて、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
(III)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤及びポリアミンを含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後、ポリアミンを含む水溶液を添加混合し、ウレタン樹脂水分散体を得る方法。
前記ウレタン樹脂の製造において用いるポリイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フフェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。また発明の効果を損なわない範囲において、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
また、前記親水性基を有する化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等を挙げることができる。これら高分子量化合物は、2種以上を併用してもよい。前記ポリエステルポリオールとしては、公知のものを使用してもよい。
上記方法(I)~(III)において、発明の効果を損なわない範囲で、さらに乳化剤を使用してもよい。かかる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤;等を挙げることができる。
アクリル樹脂の水分散体(アクリルエマルジョン)の製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、さらに必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。
上記アクリル樹脂エマルジョンの製造に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。
なお、アクリルエマルジョンの製造時に乳化剤を使用する場合には、上述の乳化剤等を使用すればよい。
3-1-1-1-1-2.不安定分散型の水分散性樹脂
不安定分散型の水分散性樹脂としては、特に限定されないが、ゴムラテックス等を挙げることができる。ゴムラテックスは、発泡体の感触がよく弾性に優れるため好適である。次に、ゴムラテックスについて詳述する。
本発明にかかるゴムの水分散体(ゴムラテックス)としては、天然ゴムラテックスであってもよいし、合成ゴムラテックスであってもよい。合成ゴムラテックスの製法としては、脂肪族共役ジエン系単量体と、共重合可能な他の重合性単量体と、を乳化重合することによって得られる。ここで、脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,2-ブタジエン、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、等を挙げることができる。
共重合可能な他の重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びその無水物、フマル酸、イタコン酸、不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル(例えばマレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル)等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4-ジブロモスチレン等のエチレン性不飽和芳香族単量体;アクリロニトリル、メタクロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン臭化ビニリデン等のビニリデンハライド;(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;(メタ)アクリルアミド、Nメチロール(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルミド;等を挙げることができる。
水分散性樹脂として使用可能なゴムラテックス(合成ゴムラテックス)は、乳化剤、フリーラジカル発生触媒等の存在下に水性媒体中で上記単量体を乳化重合することにより得ることができる。この際2段重合法を採用することもできる。乳化剤としては、各種の陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤等を使用することができる。
3-1-1-1-2.分散媒
本発明において、水系液体媒体の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N-メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
分散媒に対する、水分散性樹脂(固形分)の配合量としては、分散媒100質量部に対して、30~70質量部が好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡体を成形することができるという効果が得られる。
3-1-1-1-3.アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、水系液体媒体の起泡剤として機能する。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本発明に用いられるアニオン性界面活性剤は、水系液体媒体に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適であり、30以上であることが特に好適である。
・HLB
なお、本発明において、HLB値とは、親水性-疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLB値の求め方は、「新・界面活性剤入門」第195~196頁及び1957年3月20日槙書店発行小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492~502頁に記載されており、HLB値=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
アニオン性界面活性剤は、水系分散体に含まれる樹脂固形分を100質量部とした場合に、1~10質量部とすることができる。
3-1-1-1-4.その他の添加剤
その他の添加剤として、金属カチオン源、ゲル化剤、水分散性樹脂分散用界面活性剤(乳化剤)、硬化剤、水溶性ポリマー等を添加してもよい。
3-1-1-1-4-1.金属カチオン源
(金属カチオン源)
本発明にかかる金属カチオン源は、アニオン性界面活性剤と結合して水不溶性の塩を形成できる金属カチオンを水中に放出可能な成分である。このような成分を系に存在させることにより、アニオン性界面活性剤と結合し水不溶性の塩を形成する。その結果、気体を混入させた発泡体原料混合物にチキソ性を付与し流動性を低下させることにより、加熱時でも気泡の合一を抑制できる。
このような、金属カチオン源としては、水中で溶解し金属イオンを生じる成分であれば特に限定されず、無機金属塩や有機金属塩のような金属塩、例えば、硝酸カルシウム;アルカリ、例えば、水酸化カルシウムや酸化カルシウム;金属単体、例えば、カルシウムが挙げられる。これらの内、水中での電離定数が比較的大きいという理由から、金属塩が好適である。
前記成分としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、無機酸(例えば、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸等)、及び、有機酸(例えば、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸、及び、有機スルホン酸)等との塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛、等の多価金属類の塩等が挙げられる。
安定分散型の水分散性樹脂の存在する系では、金属カチオンの金属カチオン源となる成分が水溶性金属塩であるものの中でも、ゲル化強度が強く、ゲル化時間が短いため、溶解度が10g/100g水以上であることが好適であり、30g/100g水以上であることがより好適であり、100g/100g水以上であることが特に好適である。このような成分である電解質としては、例えば、硝酸カルシウム(溶解度138g/100g水)、硫酸アルミニウム(溶解度38.6g/100g水)、硫酸マグネシウム(溶解度36.3g/100g水)、等が挙げられる。
不安定分散型の水分散性樹脂の存在する系では、金属カチオンの金属カチオン源となる成分が水難溶性金属塩であるものの中でも、凝集物等の異物が生成しにくいため、溶解度が10g/100g水未満であることが好適であり、3g/100g水未満であることがより好適であり、1g/100g水未満であることが特に好適である。なお、下限値は特に限定されないが、0.0001g/100g水以上である。このような成分である電解質としては、例えば、クエン酸カルシウム(溶解度25.9mg/100g水)、炭酸カルシウム(溶解度0.81g/100g水)、第1リン酸カルシウム(溶解度1.8g/100g水)、等が挙げられる。
なお、金属カチオン(金属カチオン源)によるアニオン性界面活性剤の不溶化を行い、金属カチオン源として電解質を用いる場合、電解質の配合量としては、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂(固形分)100質量部に対して1.0~10質量部が好ましく、2~5質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切なゲル化強度、ゲル化時間となるため、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
なお、金属カチオン(金属カチオン源)によるアニオン性界面活性剤の不溶化を行う場合には、水分散性樹脂の混合物中において、不溶化する対象構成成分である金属カチオンの価数/不溶化する対象構成成分である前記アニオン性界面活性剤の価数は、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、価数のモル当量である1.0以上が特に好ましい。このような範囲とすることで、適切なゲル化強度、ゲル化時間となるため、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
3-1-1-1-4-2.ゲル化成分
本発明において、ゲル化剤を配合してもよい。ゲル化剤は、エマルジョン組成物中において、乳濁液の状態、すなわちエマルジョンの状態で存在するポリマー粒子の化学的安定性を低下させるとともに、この粒子を凝集させて、所謂ゲル化状態とするための物質である。
このようなゲル化剤としては、ゲル化方法に応じて適宜添加すればよく、例えば、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ケイフッ化カルシウムのようなヘキサフルオロケイ酸塩;又はシクロヘキシルアミンの酢酸塩、スルファミン酸塩のようなシクロヘキシルアミン塩等を使用でき、一般には、これらの化合物を水溶液状態とした液状物が使用される。例えば、ケイフッ化ナトリウムを用いることで、ゲル化開始時間の制御等の反応制御が容易となる。
ゲル化剤を配合する場合、その配合量は、特に限定されないが、水分散性樹脂の混合物中において、水分散性樹脂の固形分100質量部に対して1~10質量部程度が好適である。ゲル化剤の配合量が上記範囲外となると、好適なゲル化を発現できない、すなわち、長時間経過しても液状のままゲル化しなかったり、短時間でゲル化が進行して所望の形状への成形が困難になったりする。これにより、具体的にはゲル化の完了に必要な時間(ゲル化時間)が長くなり過ぎたり、短くなり過ぎたりしてしまうことにより、好適な樹脂発泡体が得られなくなってしまう。
3-1-1-1-4-3.水分散性樹脂分散用界面活性剤
本発明にかかる水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。例えば、水分散性樹脂を、ウレタンエマルジョンとした場合、アクリルエマルジョンとした場合、ゴムラテックスとした場合の具体的な水分散性樹脂分散用界面活性剤に関しては、上述の通りである。
3-1-1-1-4-4.硬化剤
本発明にかかる硬化剤とは、水分散性樹脂用の架橋剤であり、用途等に応じて、必要量添加すればよい。硬化剤による架橋手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。
硬化剤としては、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤等を、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。
なお、水分散性樹脂として、ゴムラテックスを用いる場合、樹脂発泡体の製造に慣用される架橋剤(ゴムポリマー同士を架橋するための添加剤であり、例えば、加硫剤)、架橋促進剤(架橋剤による架橋反応を促進するための添加剤であり、例えば、加硫促進剤)を添加してもよい。
架橋剤としては、ゴムポリマーの種類及び架橋反応機構に応じて、硫黄、有機過酸化物、又はフェノール化合物等が用いられる。硫黄による架橋の場合、コロイド状硫黄及び微粉末硫黄の他、二塩化硫黄及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物等を用いることができる。有機過酸化物による架橋の場合、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシド等のアシルペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブトキシペルオキシ)ヘキサン等のアルキルペルオキシド;t-ブトキシペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサノアート、t-ブトキシペルオキシベンゾアート等のペルオキシエステル;1,1-ビス(t-ブトキシペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブトキシペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサ等のペルオキシケタール;t-ブトキシペルオキシイソプロピルカルボナート、t-ブトキシペルオキシ-2-エチルヘキシルカルボナート等のペルオキシカルボナート、等の有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物は、そのまま配合してもよく、モレキュラーシーブ等の無機粉末に吸着させたり、炭化水素や可塑剤に溶解したり、ポリジメチルシロキサン等の不活性の液体に混和したりして安定化したものを、配合に使用してもよい。フェノール化合物による架橋の場合、アルキフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、硫化-p-第三ブチルフェノール樹脂及びアルキルフェノール・スルフィド樹脂等を用いることができる。架橋剤の配合量は、ゴムポリマーの種類、架橋機構、及び架橋剤によっても異なるが、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.02~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
架橋促進剤としては、各種物質が使用できるが、極性油に対する膨潤性を下げることから、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛のようなジチオカルバミン酸亜鉛類;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドのようなチウラム類;N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアリルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアリルスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアジルスルフェンアミドのようなスルフェンアミド類;2-メルカプトベンゾチアゾール及びその塩(ナトリウム塩、亜鉛塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホリニル-2-ベンゾチアジルジスルフィド、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール類;並びにそれらの混合物が好ましい。これらのうち、ジチオカルバミン酸亜鉛類がさらに好ましく、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛が特に好ましい。架橋促進剤の配合量は、ゴムラテックスの混合物中において、ゴムポリマー100質量部に対して0.02~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
なお、架橋剤、架橋促進剤及び老化防止剤については、ゴムラテックス中での分散性を向上させるため、これらの副原料を、予め分散剤等を用いて水中に分散させてペースト状にしたもの(加硫系ペースト)を調製し、この加硫系ペーストをゴムラテックス中に添加してもよい。
水分散性樹脂として、ゴムラテックスを用いる場合、樹脂発泡体の製造に慣用される破泡抑制剤を添加してもよい。例えば、塩化エチル等の塩化アルキルを、ホルムアルデヒド及びアンモニアと反応させて得られる反応生成物、例えばエチルクロリド・ホルムアルデヒド・アンモニア反応生成物;アルキル第四級アンモニウムクロリド;アルキルアリールスルホン酸塩;及び高級脂肪酸アンモニウム、例えば、ポリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体等が例示される。これらのうち、気泡安定効果が優れることから、塩化アルキル・ホルムアルデヒド・アンモニアの反応生成物がより好ましい。
破泡抑制剤の配合量は、ゴムラテックス組成物中の固形分100質量部に対して、0.1~0.9質量部が好ましく、0.3~0.6質量部がより好ましい。
3-1-1-1-4-5.水溶性ポリマー
本発明にかかる水溶性ポリマーとは、溶解度が1g/100g水以上であるポリマーである。表皮付き連続気泡樹脂発泡体の親水性を高め、ゾル溶液を樹脂発泡体へ浸透しやすくするために、水溶性ポリマーを水系液体媒体中に添加して樹脂発泡体を成形することが好ましい。水溶性ポリマーとしては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、-COOM基、-SOM基(Mは水素原子、周期表第I、II、III族元素、アミン、アンモニウムを示す)、-NH、-OHなどの親水基を有するポリマーが例示できる。水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーが好適であるが、カルボキシル基と比較して、多価の電解質水溶液に対して官能基同士が架橋しにくいため吸水性を失いにくく、高い酸解離定数によってイオン濃度差が増し、高い吸水力が期待できるため、スルホニル基含有ポリマーであることがより好適である。また、前記水溶性ポリマーとしては、スルホニル基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの共重合体であることがさらに好適である。
具体例として、-COOM基又は-SOM基含有ポリウレタン、-COOM基又は-SOM基含有ポリウレタン、-COOM基又は-SOM基含有ポリエステル、-COOM基又は-SOM基含有エポキシ化合物、-COOM基又は-SOM基含有ポリアミド酸、-COOM基又は-SOM基含有アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、-COOM基又は-SOM基含有スチレン-ブタジエンコポリマー、-COOM基又は-SOM基含有ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(MRC)、メチルセルロース(MC)、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、及び該化合物誘導体等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
水溶性ポリマーは、高親水性を発現するために、溶解度が1g/100g水以上であることが好ましく、10g/100g水以上であることがより好ましい。なお、上限値としては特に限定されないが、例えば500g/100g水以下である。また、水溶性ポリマーは、重量平均分子量は500以上1000000以下が好ましく、1000以上100000以下がより好ましく、1000以上10000以下がさらに好ましく、3000以上5000以下が特に好ましい。また、水溶性ポリマーは、水系分散体に含まれる樹脂の固形分を100質量部とした場合に、1~15質量部が好ましく、3~8質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、高親水性が発現し、発泡時の液粘度上昇が抑制できる。
3-1-1-1-4-6.その他成分
本発明においては、その他、任意に配合する成分として、得られる発泡体に適切な性質を与え、又は発泡体の作製や加工を容易にするために、この水系樹脂分散体に、使用目的に応じて、流動パラフィン、炭化水素系プロセスオイル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アミドのような滑剤;リン酸エステル、リン酸メラミン又はリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4′-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;導電性カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉、酸化スズのような導電材;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤;ならびにシリカ、アルミナ、酸化チタン及び上記の各種添加剤のうち充填剤の機能を有するもののような充填剤等を配合することができる。
3-1-1-2.原料調製
原料調製では、以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物である水系液体媒体を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
3-1-1-3.発泡
・撹拌、発泡工程
攪拌、発泡工程では、上記原料調製工程で得られた水系液体媒体に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させて水系液体媒体中に気泡が多数存在する状態(発泡水系液体媒体)にする。この攪拌、発泡工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の樹脂発泡体の原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
・発泡用気体
攪拌、発泡工程で水系液体媒体に混合される発泡用気体は、樹脂発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる樹脂発泡体の発泡倍率及び見掛けの密度が決まる。
樹脂発泡体の見掛けの密度を調整するためには、所望の樹脂発泡体の見掛けの密度と、樹脂発泡体の原料の体積(例えば、樹脂発泡体の原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な樹脂発泡体の原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
・発泡温度、発泡条件
本形態にかかる樹脂発泡体の製造方法で使用される発泡方法としては、発泡体の製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、例えば、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。
メカニカルフロス法は、水系液体媒体を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気を水系液体媒体に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、水系液体媒体と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した見掛けの密度の樹脂発泡体を得ることができる。
水系液体媒体と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1~10分、好ましくは2~6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
・成形
以上のようにして発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
・加熱工程
加熱工程は、成形された発泡水系液体媒体中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1~3時間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡水系液体媒体中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、樹脂発泡体の内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態にかかる樹脂発泡体では、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、樹脂発泡体中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、攪拌、発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた樹脂発泡体中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた樹脂発泡体中では連続気泡となる。また、本形態においては、樹脂発泡体中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であってもよく、あるいは、全ての気泡が連続気泡であってもよい。
硬化剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の硬化(架橋)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した硬化剤により原料同士が架橋され、硬化した樹脂発泡体が形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を硬化(架橋)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を硬化(架橋)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80~150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
図1は、表皮層表面に垂直な断面の写真である。図1に示すように、連続気泡を有する発泡体層の表面に、連続気泡を含む表皮層が形成される。発泡体形成工程において、発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)をPET製シート上に供給し、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形されることにより、PET製シートダイに接触する発泡体層の表面が変質して表皮層を形成する。図2には、表皮層表面の法線方向から観察した表皮層表面の写真を示した。図2によれば、表皮層表面に連続気泡が到達していることが理解できる。
この表皮層に含まれる連続気泡の一部は、表皮層の表面に到達しており、外気を透過する。そのため、後述するゾル溶液充填工程において、常圧下で、ゾル溶液は、この連続気泡を介して前記発泡体内部に充填することが可能となる。
3-1-1-4.裁断
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
3-1-2.水分散性樹脂を原料としない場合の発泡体形成工程
本実施形態にかかる発泡体の材質としては、特に限定されないが、難燃性、耐熱性の観点からシリコーン樹脂、シリコーンゴムが好適である。
以下に、シリコーン樹脂、又はシリコーンゴムを用いた発泡体形成工程の例について説明する。
3-1-2-1.シリコーン樹脂を用いる場合の発泡体形成工程
3-1-2-1-1.原料
3-1-2-1-1-1.シリコーン樹脂
シリコーン樹脂発泡体原料は、特に限定されないが、含有される成分の反応により発生する水素ガスで発泡するシリコーン樹脂を原料として用いることができる。
この水素ガスにより発泡させることができる原料としては、自己発泡反応タイプの液状シリコーン樹脂が挙げられ、この液状シリコーン樹脂であれば、主剤と硬化剤との2液を混合し、撹拌することにより反応が開始され、短時間のうちに反応が進行し、効率よく、シリコーン樹脂発泡体を形成することができる。
シリコーン樹脂発泡体原料としては、原料配合のうちの主剤がアルケニル基を有するシロキサン化合物であり、硬化剤がSi-H基を有するシロキサン化合物である。これらのシロキサン化合物の付加反応により、水素ガスが発生し、シリコーン樹脂発泡体が形成される。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、ビニル基が好ましい。
3-1-2-1-1-2.その他の成分
前記2液の混合攪拌の効率を高めるため、発泡剤、界面活性剤、粘度調整剤、乳化剤、希釈剤等、その他の添加剤を必要に応じて用いることができる。
また、反応には、周期表の第8~10族の遷移金属及びその錯体が触媒として使用することができ、白金化合物が好適である。これらの触媒により反応が促進され、シリコーン樹脂発泡体をより効率よく形成することができる。
さらに、シリコーン樹脂発泡体原料には、付加反応を制御するための不飽和アルコール類、含窒素化合物、リン系化合物等の反応制御剤、シリコーン樹脂発泡体の物性を向上させるためのシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の充填剤などの各種の添加剤等を配合することもできる。
3-1-2-1-2.原料調製
以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
主剤と、硬化剤との配合量は、特に限定されず、発泡体の物性値に応じて決めることができるが、例えば、主剤と、硬化剤の配合比を、100:0.1~100:50とすることができ、100:1~100:30が好ましく、100:5~100:20がより好ましい。
3-1-2-1-3.発泡
・撹拌、発泡工程
攪拌、発泡工程では、上記原料調製工程で得られた液状の樹脂発泡体の原料混合物をミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
・成形
以上のようにして発泡した樹脂発泡体の原料混合物は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形される。
・加熱工程
加熱工程では、原料の硬化(架橋)反応を進行及び完了させる。シリコーン発泡体原料は、室温(例えば、20~30℃)でも反応させることができるが、加熱して反応を促進することが好ましい。具体的には、上述した硬化剤により原料同士が架橋され、硬化した樹脂発泡体が形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を硬化(架橋)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を硬化(架橋)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、30~200℃とすることができ、30~170℃とすることが好ましく、加熱時間は1時間程度とすればよい。加熱速度は、室温から緩やかに昇温させることが好ましく、反応温度は広い温度範囲で管理することができる。
また、この発泡工程・加熱工程において、発生した水素が樹脂発泡体原料を抜ける際の通り道が、樹脂発泡体の内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態にかかる樹脂発泡体では、この水素が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、樹脂発泡体中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。
ここで、攪拌、発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた樹脂発泡体中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた樹脂発泡体中では連続気泡となる。また、本形態においては、樹脂発泡体中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であってもよく、あるいは、全ての気泡が連続気泡であってもよい。
本実施形態においても、図1に示すような連続気泡を有する発泡体層の表面に、連続気泡を含む表皮層が形成される。発泡体形成工程において、発泡した水系液体媒体(発泡水系液体媒体)をPET製シート上に供給し、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の樹脂発泡体の厚みに合わせたシート状等に成形されることにより、PET製シートダイに接触する発泡体層の表面が変質して表皮層を形成する。図2の様に、表皮層表面に連続気泡が到達していることが理解できる。
この表皮層に含まれる連続気泡の一部は、表皮層の表面に到達しており、外気を透過する。特に、連続気泡樹脂発泡体の通気度量が10cm/cm・sec.以上の場合、後述するゾル溶液充填工程において、常圧下で、ゾル溶液は、この連続気泡を介して前記発泡体内部に充填することが可能となる。
3-1-2-1-4.裁断
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
3-1-2-2.シリコーンゴムを用いる場合の発泡体形成工程
3-1-2-2-1.原料
3-1-2-2-1-1.シリコーンゴム
シリコーンゴム発泡体原料は、特に限定されないが、生ゴム(高重合度ジオルガノポリシロキサン)であるアルケニル基を有するシロキサン化合物と、Si-H基を有するシロキサン化合物、有機過酸化物、及び有機発泡剤の混合物である。これらのシロキサン化合物の付加反応、又はアルケニル基を有するシロキサン化合物と有機過酸化物の反応により架橋し、有機発泡剤の分解により、シリコーンゴム発泡体が形成される。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、ビニル基が好ましい。
3-1-2-2-1-2.有機発泡剤
有機発泡剤は、分解温度が50~250℃であり、シリコーンゴム中で、加熱により分解し気体を発生させ、シリコーンゴム発泡体を形成させるものである。有機発泡剤の分解温度が50℃未満では、貯蔵安定性や取り扱い性に劣り、250℃を超えると、成形性や生産性に劣る。
有機発泡剤としては、分解温度が50~250℃で、分解温度以上の温度に加熱されると分解して窒素ガスもしくは炭酸ガスを発生させるものであれば特に制限されず、例えば、アゾビスイソプチロニトリル、1,1’―アゾビス(1―アセトキシ―1―フェニルエタン)、アゾジカルボンアミド等のアゾ系化合物;ジニトロソペンタメチレンテ卜ラミン、N,N-ジメチル-N,N-ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物等が挙げられる。これらの化合物は分解温度以上の温度に加熱されると分解して窒素ガスもしくは炭酸ガスを発生する。また、これらの有機発泡剤に尿素や有機酸のような調整剤を併用して発泡温度を調整することができる。
これらのうちでも、成形性や取り扱い性の観点から、分解温度が80~200℃の有機発泡剤が好ましく用いられる。有機発泡剤の配合量は、アルケニル基を有するシロキサン化合物100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
3-1-2-2-1-3.有機過酸化物
有機過酸化物は、発泡時に架橋をさらに進行させて、より強度の優れたシリコーンゴム発泡体にするものである。有機過酸化物としては、分解温度が有機発泡剤の分解温度以上であれば特に制限されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p―クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ビス(t―ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサン、2,5―ビス(t―ブチルパーオキシ)―2,5―ジメチルへキシン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4―t―ブチルシクロへキシル)―パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
これらの有機過酸化物は、用いられる有機発泡剤の分解温度により適宜選択されるが、成形性や取り扱い性の観点から、該分解温度より10~60℃高いことが好ましい。有機過酸化物の配合量は、アルケニル基を有するシロキサン化合物100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
3-1-2-2-1-4.その他の成分
シリカ粉末、金属炭酸塩、クレイ、タルク、マイカ、酸化チタン等の補強性無機充填剤、シリコーンオイル等の加工助剤、カーボンブラック等の導電性充填剤、顔料、粘度調整剤、酸化防止剤等、その他の添加剤を必要に応じて用いることができる。
また、反応には、周期表の第8~10族の遷移金属及びその錯体が触媒として使用することができる。白金化合物を好適に用いることができる。これらの触媒により反応が促進され、シリコーンゴム発泡体をより効率よく形成することができる。
3-1-2-2-2.原料調製
原料調製では、以上説明したような各原料を混合することで、表皮付き連続気泡樹脂発泡体の原料混合物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、万能混練機、ニーダー等の混合手段によって均一に混練して調製することができる。
また、発泡や触媒に関与する成分を混練したマスターバッチやベースコンパウンド等を予め別々に調製し、使用直前にこれらを混合して使用してもよい。
3-1-2-2-3.発泡
・成形
均一な厚さのシ一卜状や三次元形状等のシリコーンゴム発泡体とする方法としては、押出成形、カレンダー成形、モールド成形等の成形方法が挙げられる。
・加熱
以上のようにして得られた樹脂発泡体原料を有機発泡剤の分解温度以上の温度で加熱処理することで、表皮付きシリコーンゴム発泡体が得られる。加熱処理の温度は、有機発泡剤の分解温度以上であれば特に制限されないが、該分解温度より50~150℃高い温度が好ましい。加熱処理の方法としては、オープン等で加熱処理する方法が挙げられる。
3-1-2-2-4.表皮層形成工程
前述の発泡体形成工程にて、連続気泡を有する発泡体層の表面に、連続気泡を含む表皮層が形成されていない、又は表皮層の形成が不十分でエアロゲルの脱落が容易な場合、次工程であるゾル溶液充填工程の前に、発泡体に表皮層を形成させることができる。
本工程における表皮層の形成方法としては、例えば、連続気泡を有する発泡体層の熱プレス機や熱ロール機による加熱処理を挙げることができる。表皮層の形成条件は、材質などによって適宜選択することができるが、例えば、加熱した熱プレス機を用いて、連続気泡を有する発泡体層をプレス処理することで、連続気泡を有する発泡体層の表面に表皮層を形成することができる。プレス条件の例としては、プレス機を250℃に加熱し、圧力を200kg/cmかけて、5分間プレスする条件を挙げることができる。
3-1-2-2-5.裁断
得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を所定のサイズに加工することができる。裁断面には、連続気泡構造の気泡が露出する。この露出した気泡から、前記ゾル溶液が充填される。
以上の発泡体形成工程により、連続気泡を有する表皮層が形成された、表皮付き連続気泡樹脂発泡体が得られる。
3-2.ゾル溶液充填工程
以下には、本発明の好適例であるシリカエアロゲルの製造方法を一例として詳細を説明するが、本発明は、シリカエアロゲルにのみ限定されるものではない。
3-2-1.ゾル溶液の原料
シリカエアロゲルのシリコーン原料として、シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体やケイ酸アルカリ金属塩を用いることができ、水系溶媒に混合してゾル溶液とする。
シリコーン原料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。シリコーンアルコキシドやその誘導体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシランオリゴマー、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、モノヘキシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げることができる。前記シリコーン原料は、複数を組み合せて用いることができる。複数を用いる場合には、その組み合わせ及び配合比率は、目的に応じて選択することができる。
シリコーン原料の加水分解には、水と、水に相溶性を有し、シリコーン原料を溶解する溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、シクロヘキサンジオール等の芳香族ジオール又は脂環式ジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノペンタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン等の多価アルコール、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン原料を効率良く加水分解するためには、反応系に予め触媒を添加しておくことが好ましい。触媒としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、例えば、酸性触媒としては、ギ酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、炭酸、リン酸等が、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属酸化物及び/又は水酸化物、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、アニリン、1,5-ナフタレンジアミン等の脂肪族及び/又は芳香族アミン、アンモニア、2価金属のナフテン酸、2価金属の水酸化物などが挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3-2-2.充填方法
ゾル溶液の充填方法は、常圧下、又は減圧下で行われる限りにおいて、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した方法により得られた表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、減圧下で、調製したゾル溶液に完全に含浸することで充填する方法等が挙げられる。特に、通気度量が10cm/cm・sec.以上の場合、常圧下での充填が可能である。
具体的には、ゾル溶液を、テトラメトキシシラン(以下TMOSとする):メタノール:水:触媒(アンモニア)をモル比1:7.2:4:0.01で混合したゾル溶液を例にすると、セパラブルフラスコ内に発泡体を設置し、徐々に前記ゾル溶液を導入することで、発泡体を完全にゾル溶液内に浸漬し、ゾル溶液を発泡体に充填することができる。そのままゲル化まで2~3時間放置する。
連続気泡発泡体中に残存する、未反応の水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の反応性官能基は後述する疎水化処理剤と反応する場合がある。反応性官能基が多量に存在すると湿潤ゲルの疎水化反応を阻害する恐れがあるため、ゾル溶液充填工程の前工程にて、連続気泡発泡体中に残存する反応性官能基を不活性化してもよい。反応性官能基の不活性化方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
3-3.ゲル化
前記発泡体に充填されたゾル溶液は、ゾル-ゲル反応によって、TMOSが水、触媒により加水分解され、ゾル状態を経て、湿潤ゲルを形成する。ここで湿潤ゲルとは、ゲル化後のゾル溶液の残液等の液体を含んだまま固体状になったものを示す。
シリコーンアルコキシドもしくはその誘導体の加水分解によるゾル-ゲル反応により前記発泡体内の連続気泡内部に湿潤ゲルが形成される。
本発明においては、湿潤ゲルを形成した後に、湿潤ゲル中の水や未反応物を除去する工程を有してもよい。この工程で用いられる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、アセトニトリル等が挙げられる。湿潤ゲルが充填された発泡体を、前記溶媒に浸漬し、数回溶媒を新しいものに入れ替えることで、工程が完了する。
本発明においては、親水性を持つシラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有する疎水化処理剤によって、シリカエアロゲル表面のOH基を疎水化する工程を有してもよい。該疎水化処理剤は、シラノール基に対して反応する官能基と疎水基を有するものを用いる。シラノール基に対して反応する官能基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、及び水酸基が挙げられる。疎水基としては、例えばアルキル基、フェニル基、及びそれらのフッ化物等が挙げられる。疎水化処理剤は、上記官能基及び疎水基を、それぞれ1種のみを有してもよいし、2種以上を有してもよい。例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等の有機シラン化合物が挙げられ、これ以外にも、酢酸、蟻酸、コハク酸等のカルボン酸や、メチルクロリド等のハロゲン化アルキル等の有機化合物が挙げられる。疎水化処理剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明において、エアロゲルと連続樹脂発泡体の密着性を上げて、エアロゲルの脱落を抑制するために、カップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、エアロゲル表面のシラノール基と、連続樹脂発泡体に残存する水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の反応性官能基の両方と反応できるものであれば特に制限されず、任意の好適なカップリング剤を使用することができる。本発明にかかるカップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが好適で、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
3-4.乾燥工程
本発明においては、湿潤ゲルを乾燥させる乾燥工程を含む。乾燥方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。湿潤ゲルを乾燥させる場合には、シリカエアロゲルが壊れ難いため、超臨界流体乾燥が好ましい。超臨界流体乾燥としては、例えば、80℃、20MPa程度の条件で溶媒の全部を、この溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換しながら除去する方法が挙げられる。
4.エアロゲル複合材の用途
本発明にかかるエアロゲル複合材は、断熱性能が高く、粉落ちが少なく、形状追従性に優れていることから、プラント配管に巻きつけて使用する断熱材、熱電素子に貼り付けて熱の拡散を防ぎ発電効果をあげる断熱材、各種電池の筐体等に断熱材を組付け電池性能を安定させる断熱材及び各種車両で生じる廃熱を利用するための装置に用いられる断熱材への使用が見込まれる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
(水分散性樹脂を原料とする場合の実施例)
<水分散性樹脂分散体>
・水分散性樹脂分散体1
ポリエーテルカーボネート系ウレタンエマルジョン(安定分散型水分散性樹脂;析出率0.8%)、pH8、固形分60%
・水分散性樹脂分散体2
アクリロニトリル・アクリル酸アルキルエステル・イタコン酸共重合体(安定分散型水分散性樹脂;析出率4.9%)、pH9、固形分60%
・水分散性樹脂分散体3
アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス(不安定分散型水分散性樹脂;析出率33%)、pH11、固形分40%
<アニオン性界面活性剤>
・アニオン性界面活性剤1(牛脂由来のアルキルスルホコハク酸ナトリウム)、
分散媒;水、pH9.4、固形分30%
・アニオン性界面活性剤2(ステアリン酸アンモニウム)
分散媒;水、pH11、固形分30%
・アニオン性界面活性剤3(オレイン酸カリウム石鹸)
分散媒;水、pH11.2、固形分30%
<硬化剤>
疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5、3量体)
<加硫系ペースト>
10質量部の硫黄、6質量部のチアゾール系加硫促進剤、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、及び3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
<破泡抑制剤>
トリメンベース(ユニロイヤル社製)
<ゲル化剤>
ケイフッ化ナトリウム
<ゲル素原料>
テトラメトキシシラン(信越化学工業社製)
<溶媒>
・溶媒1
メタノール(和光純薬工業社製)
・溶媒2 イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
<触媒>
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
・実施例1
(樹脂発泡体・原料調製)
水分散性樹脂分散体1のウレタンエマルジョンを主剤として使用し、主剤100質量部に対し、3質量部のアニオン性界面活性剤1、3質量部のアニオン性界面活性剤2 、6質量部の硬化剤を混合して樹脂発泡体原料とした
特に、この実施例1の樹脂発泡体は、以下の架橋構造を有する。上記硬化剤は、具体的には2官能の脂肪族イソシアネートであり、架橋剤として機能する。この脂肪族イソシアネートと水は、反応して、ウレア結合を有する分子鎖となる。ウレア結合及び、エマルションに含まれるウレタン結合は、有極性の結合である。従って、脂肪族イソシアネートと水とが反応して生成されたウレア結合からなる分子鎖が、ウレタンエマルジョン中の上記ウレタン結合を含む高分子鎖の間に侵入すると、その極性によりウレタン結合とウレア結合が電気力により結合し、この電気力による疑似的な架橋構造が形成される。
(発泡体形成工程)
調製した樹脂発泡体原料に空気を加えて発泡させ、離型処理したPETフィルム(厚み38μm)上にキャスティングし、ドクターナイフを用いて成膜した。ドクターナイフは、後述する加熱後の発泡体の厚みが2mmとなるように設定した。
得られた膜状の樹脂発泡体を、80℃のオーブンで、1時間加熱して、水分を完全に乾燥させ、表皮付き連続気泡樹脂発泡体を得た。
(ゾル溶液調製)
テトラメトキシシランを主剤として使用し、主剤1モルに対し、7.2モルのメタノール、4モルのイオン交換水、0.01モルの触媒を混合してゾル溶液とした。
(ゾル溶液充填工程)
前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、表皮層を付けたまま、セパラブルフラスコに収納できる大きさに裁断して収納した。調製したゾル溶液を表皮付き連続気泡樹脂発泡体が完全に浸漬するまで加えて、常圧下で3時間静置し、湿潤ゲルが充填された表皮付き連続気泡樹脂発泡体を得た。
得られた前記湿潤ゲルが充填された表皮付き連続気泡樹脂発泡体をエタノールに浸漬し、撹拌しながらエタノールを繰り返し交換し、溶媒置換を24時間行った。次に、ゲル表面を疎水化するため、ヘキサメチルジシラザンのエタノール溶液(濃度20質量%)中に浸漬し、撹拌しながら疎水化処理を24時間行った。
(乾燥工程)
ゲル表面が疎水化された前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を、80℃、20MPaの二酸化炭素中に含浸させ、超臨界流体乾燥を12時間行って、実施例1のエアロゲル複合材を得た。
・実施例2
水分散性樹脂分散体として、アクリルエマルジョンである水分散性樹脂分散体2を主剤として使用し、主剤100質量部に対し、3質量部のアニオン性界面活性剤1、3質量部のアニオン性界面活性剤2、3質量部の硬化剤を混合して樹脂発泡体原料とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。実施例1と同様に実施例2のアクリレート基も有極性基であり、電気的に結合する疑似的架橋構造を有する。
・実施例3
水分散性樹脂分散体として、ゴムラテックスである水分散性樹脂分散体3を主剤として使用し、主剤100質量部に対し、7.6質量部の加硫系ペースト、0.2質量部のアニオン性界面活性剤3、0.4質量部の破泡抑制剤、10質量部のゲル化剤を混合して樹脂発泡体原料とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例1
実施例1のエアロゲル複合材の表皮層をスライスして、取り除いたものを、比較例1とした。スライス後のエアロゲル複合材の厚みは1mmであった。
・比較例2
発泡体形成工程において、加熱温度を120℃とした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
(水分散性樹脂を原料としない場合の実施例)
<シリコーン樹脂発泡体原料>
シリコーン樹脂1:ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:XE18-C1103(A)) 白金触媒含有
シリコーン樹脂2:ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:NI-0539(B))
発泡助剤:フルオロ変性シリコーンオイル
<シリコーンゴム発泡体原料>
シリコーン樹脂3:ビニル基を有するポリオルガノシロキサン
シリコーン樹脂4:ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
プロセスオイル:両末端シラノ一ル基含有直鎖状ポリジメチルシロキサン
有機発泡剤:1,1’―アゾビス(1 ―アセトキシ― 1―フェニルエタン)
有機過酸化物:2,5―ビス(t―ブチルパーオキシ)―2,5-ジメチルへキサン
シリカ:表面をへキサメチルジシラザンで処理されたシリカ
白金触媒:(メチルシクロペンタジェニル)卜リメチル白金
<ゲル素原料>
テトラメトキシシラン(信越化学工業社製)
<溶媒>
・溶媒1
メタノール(和光純薬工業社製)
・溶媒2 イオン交換水、電気抵抗率1×1010Ω・cm以上
<触媒>
25%アンモニア水(和光純薬工業社製)
・実施例4
(樹脂発泡体・原料調製)
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:13で混合し、シリコーン樹脂発泡体原料とした。
(発泡体形成工程)
調製した樹脂発泡体原料に空気を加えて発泡させ、離型処理したPETフィルム(厚み38μm)上にキャスティングし、ドクターナイフを用いて成膜した。ドクターナイフは、後述する加熱後の発泡体の厚みが2mmとなるように設定した。
得られた膜状の原材料を150℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させ、表皮付きのシリコーン樹脂発泡体を得た。
得られたシリコーン樹脂発泡体について、実施例1と同様にして、ゾル溶液調製、ゾル溶液充填、乾燥を行い、実施例4のエアロゲル複合材を得た。
・実施例5
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:18で混合し、100質量部のシリコーン樹脂1に対し、1質量部の発泡助剤を加えた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・実施例6
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:5で混合した以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・実施例7
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:18で混合し、180℃で、1時間加熱して硬化させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・実施例8
100質量部のシリコーン樹脂3に対し、1質量部のシリコーン樹脂4、1質量部のプロセスオイル、3質量部の有機発泡剤、1質量部の有機過酸化物、30質量部のシリカ、0.01質量部の白金触媒を混合してシリコーンゴム発泡体原料とした。調製したシリコーンゴム発泡体原料をシート状に成形し、200℃のオーブンで2時間加熱して完全に硬化させ、連続気泡シリコーンゴム発泡体を得た。得られた連続気泡シリコーンゴム発泡体を熱プレス機にて250℃、5分間処理することで、シリコーンゴム発泡体に表皮層を形成させた。
・比較例3
実施例4のエアロゲル複合材の表皮層をスライスして、取り除いたものを、比較例3とした。スライス後のエアロゲル複合材の厚みは1mmであった。
・比較例4
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:23で混合した以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例5
原材料を200℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例6
シリコーン樹脂1と、シリコーン樹脂2を、質量比を100:23で混合し、100質量部のシリコーン樹脂1に対し、1質量部の発泡助剤を加え、原材料を120℃で、1時間加熱して硬化反応を完了させた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例7
熱プレス機で加熱しなかったこと以外は、実施例8と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例8
発泡体をスライダー社製のメラミンフォームを用いた以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
・比較例9
発泡体をブリジストン社製の除膜加工した軟質スラブストックポリウレタン樹脂発泡体とした以外は、実施例4と同様にしてエアロゲル複合材を得た。
<評価>
以下の評価を各実施例及び比較例について行った。
(通気度量の測定)
各実施例及び比較例の通気度量を以下の方法で測定した。
通気度量の測定は、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」に準拠して、織布通気度試験機(東洋精機工業社製:KM-404P)を用いて測定した。評価基準を下記に、評価結果を表1~表3に示した。
◎:通気度量が25cm/cm・sec.以上
○:通気度量が10cm/cm・sec.以上25cm/cm・sec.未満
△:通気度量が0.5cm/cm・sec.以上10cm/cm・sec.未満
△△:通気度量が0.1cm/cm・sec.以上0.5cm/cm・sec.未満
×:通気度量が0.1cm/cm・sec.未満
(平均セル径の比測定)
各実施例及び比較例のエアロゲル複合材のRA及びRBを以下の方法で求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD-500)を用いて、表皮層の法線方向からのセル写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage-ProPLUS(MediaCybernetics社製、6.3ver)を用いて、SEM画像を読み取り、コントラストでセルを認識するため、コントラストを調節した。次に、画像処理でセルの形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各セル径を算出し、RAとした。
表皮層表面に垂直な断面についても、同様にセル写真を撮影し、RBを求めた。
各実施例と比較例の測定結果を表1~表3に示した。
(見掛けの密度の測定)
各実施例及び比較例の見掛けの密度を以下の方法で測定した。
見掛けの密度の測定は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して、測定した。測定結果を表1~表3に示した。
(熱伝導率の測定)
各実施例及び比較例の熱伝導率を以下の方法で測定した。
熱伝導率の測定は、JIS A1412-2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法)」に準拠して、熱伝導率測定装置(英弘精機社製:HC-72)を用いて測定した。測定結果を表1~表3に示した。
(粉落ち評価)
各実施例及び比較例の粉落ち性を以下の方法で評価した。
各実施例及び比較例のエアロゲル複合材を10mm×50mmの試験片に加工した。スコット型揉み試験機(東洋精機製作所製)を用いて、試験片間隔を20mm、ストローク間隔40mm、圧縮荷重200gfとして1200回(往復速度120回/分)揉んだ前後の試験片重量から粉落ち率を算出した。粉落ち率(%)は(試験前重量(g)-試験後重量(g))/試験前重量(g)×100で計算した。粉落ち率が大きいほど、エアロゲルの脱落が多いことを示す。評価基準を下記に、評価結果を表1~表3に示した。
◎:粉落ち率が2%以下
○:粉落ち率が2%超5%以下
△:粉落ち率が5%超10%以下
×:粉落ち率が10%超
また、各実施例及び比較例の粉落ち性試験前後での熱伝導率の変化率を以下の方法で評価した。
粉落ち性評価前後での試験片を前述の熱伝導率測定装置を用いて測定し、試験前後での熱伝導率の変化率を算出した。熱伝導率の変化率(%)は(試験後の熱伝導率(W/m・K)-試験前の熱伝導率(W/m・K))/試験前の熱伝導率(W/m・K)×100で計算した。評価基準を下記に、評価結果を表1~表3に示した。
○:熱伝導率の変化率が25%以下
△:熱伝導率の変化率が25%超50%以下
×:熱伝導率の変化率が50%超
(柔軟性評価)
各実施例及び比較例の柔軟性(屈曲性)を以下の方法で評価した。
柔軟性の評価は、JIS K7171:2016「プラスチック-曲げ特性の求め方」に準拠して、評価した。評価基準を下記に、評価結果を表1~表3に示した。
○:試験片が割れなく折れ曲がる
×:180度以下の屈曲で割れる
(難燃性評価)
実施例4~7及び比較例3~9について、難燃性を以下の方法で評価した。
難燃性の評価は、IEC60695-11-10 B法、ASTM D3803に準拠して、UL94∨垂直燃焼試験を行った。評価基準を下記に、評価結果を表2及び表3に示した。
◎:各試験片の燃焼時間10秒以下、燃焼+グローイング時間30秒以下、滴下物による綿着火 なし(燃焼性分類∨-0相当)
○:各試験片の燃焼時間30秒以下、燃焼+グローイング時間60秒以下、滴下物による綿着火 なし(燃焼性分類∨-1相当)
△:各試験片の燃焼時間30秒以下、燃焼+グローイング時間60秒以下、滴下物による綿着火 あり(燃焼性分類∨-2相当)
×:各試験片の燃焼時間30秒超、燃焼+グローイング時間60秒超、滴下物による綿着火 あり
(耐熱性評価)
実施例4~7及び比較例3~9について、耐熱性(高温時の寸法安定性)を以下の方法で評価した。
耐熱性の評価は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準拠して、評価した。具体的には、150℃に保持した熱風循環式乾燥機の中に、実施例4~7及び比較例3~9のエアロゲル複合材を設置し、22時間加熱を行い、厚みの加熱前後の寸法変化率を算出した。評価基準を下記に、評価結果を表2及び表3に示した。
◎:加熱前後の寸法変化率が5%以下
○:加熱前後の寸法変化率が5%超10%以下
△:加熱前後の寸法変化率が10%超15%以下
×:加熱前後の寸法変化率が15%超
(評価結果)
実施例及び比較例の性能を評価した。表1~表3にその結果を示した。これらの結果から、本発明の効果が理解できる。
Figure 0007274302000001
Figure 0007274302000002
Figure 0007274302000003

Claims (12)

  1. 連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体において、
    前記表皮層は、前記表皮層の表面に到達する連続気泡を含み、
    前記表皮層の表面を、前記表皮層の表面の法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000~1/2であり、
    前記表皮層は、前記発泡体層の表面が変質して形成された、前記発泡体層と一体の層であり、
    前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の連続気泡内部に、エアロゲルを含む、エアロゲル複合材。
  2. 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム、シリコーン樹脂の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエアロゲル複合材。
  3. 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の厚みが、0.03mm~50.0mmである、請求項1又は2に記載のエアロゲル複合材。
  4. 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体の通気度量が、0.5cm/cm・sec.以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材。
  5. エアロゲル複合材の製造方法であって、
    前記製造方法は、
    連続気泡を有する発泡体層と、前記発泡体層の対向する二つの表面に形成された通気性を有する表皮層とを、有する表皮付き連続気泡樹脂発泡体を用い
    常圧下、又は減圧下において、エアロゲルの原料であるゾル溶液を前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体に充填するゾル溶液充填工程と、
    前記充填されたゾル溶液を湿潤ゲルにするゲル化工程と、
    前記湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを、含み、
    前記表皮層の表面を、前記表皮層の表面の法線方向から観察した連続気泡の平均セル径RAと、前記表皮層の表面と垂直な断面における前記発泡体層の連続気泡の平均セル径RBと、の比(RA/RB)が、1/1000~1/2であり、
    前記表皮層は、前記発泡体層の表面が変質して形成された、前記発泡体層と一体の層である、エアロゲル複合材の製造方法。
  6. 前記エアロゲル複合材の製造方法は、
    原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
    前記原料が、水分散性樹脂と、アニオン性界面活性剤とを、含む水系樹脂分散体であることを特徴とする、請求項5に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  7. 前記アニオン性界面活性剤の配合量が、前記水系樹脂分散体の樹脂固形分の配合量を100質量部とした場合に、1~10質量部である、請求項6に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  8. 前記水系樹脂分散体が、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ゴムラテックスのうち、少なくとも1つを含む、請求項6又は7に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  9. 前記エアロゲル複合材の製造方法は、
    原料から前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程をさらに含み、
    前記原料が、アルケニル基を有するシロキサン化合物を含む、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  10. 前記表皮付き連続気泡樹脂発泡体を作製する工程は、シリコーン発泡体原料の反応時に発生する水素ガス、又は、有機発泡剤、により発泡させることを特徴とする、請求項9に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  11. 前記エアロゲルが、シリカエアロゲルである、請求項5~10のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
  12. 前記乾燥工程が、超臨界流体乾燥を含む、請求項5~11のいずれか一項に記載のエアロゲル複合材の製造方法。
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