JP2020016789A - 光学膜とその製造方法 - Google Patents

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【課題】光学特性および耐擦傷性に優れた光学膜とその製造方法を提供する。【解決手段】基材上に形成されている多孔質膜を含む光学膜。前記多孔質膜の表面の一部にフッ素化合物を担持した緻密膜を有しており、前記緻密膜の前記多孔質膜の表面に対する面積占有率が30%以上70%以下であり、前記緻密膜の膜厚が10nm以上30nm以下であり、前記光学膜の屈折率が1.32以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、光学特性および耐擦傷性に優れた光学膜とその製造方法に関する。
従来、光学素子の光入出射界面での反射を抑えるために、屈折率の異なる光学膜を数十から数百nmの厚みで単膜あるいは複数膜として積層した反射防止膜を形成することが知られている。これら反射防止膜を形成するためには、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法やディップコート、スピンコート等の湿式成膜法が用いられる。
反射防止膜の表層に用いられる材料としては、透明で屈折率が低い材料である、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの無機材料や、シリコーン樹脂、非晶質フッ素樹脂などの有機材料が知られている。
近年、膜内に空隙を形成した多孔質の酸化ケイ素やフッ化マグネシウムを用いることで反射防止膜の屈折率を更に下げることにより、光学素子の反射率をより低く抑えることが可能となった。例えば、屈折率1.38のフッ化マグネシウムの薄膜内に30体積%の空隙を設けることによって屈折率を1.27まで下げることができる。
ただし、光学部材の表面に設ける反射防止膜のような基材表面に形成する膜として多孔質膜を用いる場合には、表面から油分等の汚れが多孔質である膜内に侵入して不織布等による拭き取りが困難になることがある。そのため、多孔質膜からなる反射防止膜の表面にフッ素樹脂を付着させて撥水性(撥油性)を高めることにより、油分等の汚れが膜内に侵入するのを防止することが提案されている(特許文献1)。
特開2017−54125号公報 特開2015−31910号公報 特開2016−109999号公報 特開2012−76967号公報
特許文献1に記載された光学部材のように、多孔質膜からなる反射防止膜の表面にフッ素樹脂を付着させることは、油分等の汚れが膜内に侵入するのを防止するという点では有効である。しかしながら、特許文献1に記載された光学部材では、別の問題として、表面に設けられた反射防止膜が多孔質膜からなるため密度が小さいことから膜の耐擦傷性が十分ではなく、ワイパーなどで表面を拭いたりすると膜が削れて反射防止性能が低下してしまう惧れがあることがわかった。
一方、特許文献2には、透明基材フィルムの表面に二酸化ケイ素からなるハードコート層と特定のフッ素化合物からなる低摩擦層を積層して設けると、表面の摺動性が上がり耐擦傷性が向上することが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された(二酸化ケイ素からなる)多孔質膜上にフッ素樹脂の代わりに引用文献2に示されるような摺動性を上げるフッ素化合物を付与した場合には、表面に付与されたフッ素化合物が多孔質膜中に拡散されてしまい、表面の摺動性は上がらず、耐擦傷性が向上することもなかった。また、良好な摺動性が得られるまでフッ素化合物の添加量を増やした場合には、多孔質膜の空隙がフッ素化合物により被覆され光学特性が低下してしまった。
本発明は、このような背景技術における問題に鑑み、低屈折率とするために用いられた多孔質膜を含みながら、耐擦傷性にすぐれる光学膜を提供するという課題を解決しようとするものである。
本発明は、基材上に形成されている多孔質膜を含む光学膜であって、該多孔質膜の表面の一部にフッ素化合物を担持する緻密膜を有しており、前記緻密膜の前記多孔質膜の表面に対する面積占有率が30%以上70%以下であり、前記緻密膜の膜厚が10nm以上30nm以下であり、前記光学膜の屈折率が1.32以下であることを特徴とする光学膜を提供するものである。
本発明によれば、優れた光学特性と耐擦傷性とを併せて有する光学膜を提供することができる。
実施例4で作製した光学膜を示す概略断面図である。 実施例1で作製した光学膜を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[光学膜]
図1及び図2は、本発明の光学膜の一実施形態を模式的に示す概略断面図である。
本発明の光学膜1は、基材7の上に形成されていて、多孔質膜4を含み、その多孔質膜4の表面の一部にフッ素化合物6を担持した緻密膜5を有する。
多孔質膜4は、好ましくは、ナノ粒子2とバインダー3を含んでおり、この場合、バインダー3がナノ粒子2同士あるいは基材7とナノ粒子2とを結合させ、ナノ粒子間あるいは基材7とナノ粒子2との間に空隙が形成されている。この空隙が存在することで、本発明の光学膜は低い屈折率を示すことになる。
多孔質膜4の表面の一部には緻密膜5が存在する。ここで「緻密膜」とは、多孔質ではない(隙間なく詰まっている)膜という程度の意味であるが、より具体的な定義を以下に述べる。緻密膜5はフッ素化合物6を担持しており、そのフッ素化合物6が存在することで本発明の光学膜1に良好な摺動性を与えている。従って、上に述べた「緻密膜」の定義を実質的な観点からいうと、膜が担持している当該フッ素化合物6が侵入可能な空隙を実質的に有しないとき、その膜は「緻密膜」であるということができる。
本発明の光学膜は、光学レンズ、光学ミラー、フィルター、光学フィルム等の光学部材に用いられる。これらの中でも、光学レンズに反射防止膜として用いられることが好ましい。すなわち、本発明の光学膜の好ましい実施形態は、透明基材である光学レンズ上に形成された反射防止膜である。以下、本発明の光学膜1の構成要素である多孔質膜4、緻密膜5、フッ素化合物6、並びに、光学膜1の構成要素ではないが、その存在基盤である基材7について、順次詳述する。
(多孔質膜4)
多孔質膜4は、ナノ粒子2を含んだ膜である。ナノ粒子2を含む膜の例としては、上に述べた特許文献1(特開2017−54125号公報)に記載の酸化ケイ素の中実粒子を鎖状につなげた鎖状粒子膜、特許文献3(特開2016−109999号公報)に記載の中空酸化ケイ素粒子膜、特許文献4(特開2012−76967号公報)に記載のフッ化マグネシウム微粒子を含む分散液を用いて得られる多孔質膜等が挙げられる。
ナノ粒子2は、平均粒子径が10nm以上80nm以下であることが好ましく、12nm以上60nm以下であることがより好ましい。ナノ粒子2の平均粒子径が10nm未満の場合には、粒子間、粒子内いずれの空隙も小さくなり過ぎて屈折率を下げることが難しい。また、平均粒径が80nmを超える場合には、粒子間の空隙の大きさが大きくなるため、大きなボイドが発生しやすく、また粒子の大きさに伴う散乱が発生するため好ましくない。
ここでナノ粒子2の平均粒子径とは、各粒子の平均フェレ径の個数平均値である。この平均フェレ径は透過電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理することによって測定することができる。画像処理は、Image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理ソフトを用いて行うことができる。所定の画像領域において、必要であれば適宜コントラスト調整を行い、粒子測定によって各粒子の平均フェレ径を測定し、その平均値を算出して求めることができる。
ナノ粒子2は、真円状、楕円状、円盤状、棒状、針状、鎖状、角形等のいずれの形状であっても良く、粒子内部に空孔を有する中空粒子であっても良い。多孔質膜4の空隙率を高めると低屈折率化できるので、ナノ粒子は、図1に記載されるような中空粒子又は図2に記載されるような鎖状の粒子が50wt%であることが好ましく、80wt%であることがより好ましい。
中空粒子は、内部に空孔を有し、前記空孔の外側をシェルが覆っている粒子である。空孔に含まれる空気(屈折率1.0)によって、中空粒子は空孔を有しない粒子に比較して膜の屈折率を効果的に下げることができる。空孔は単孔、多孔どちらでも良く適宜選択することができる。中空粒子のシェルの厚みは、粒子径(平均フェレ径)の10%以上50%以下であることが好ましく、20%以上35%以下であることがより好ましい。シェルの厚みが粒子径の10%未満であると、粒子の強度が不足するため好ましくない。またシェルの厚みが粒子径の50%を超えると、屈折率の低下効果が顕著には現れないため好ましくない。
一方、鎖状の粒子は、複数個の粒子が鎖状もしくは数珠状に連なった粒子である。膜となってもその鎖状もしくは数珠状の連なりは維持されるため、単一球形粒子を用いた時に比較して多孔質膜4の空隙率を上げることができる。その上、1個1個の粒子は小さくできるので大きなボイドは発生し難い。1本の鎖状の粒子中に連なる粒子の数は2個以上10個以下、好ましくは3個以上6個以下である。連なる粒子の数が10個を超えると、大きなボイドが発生し易くなり、光学膜の耐摩耗性が低下する。鎖状粒子のような短径と長径を持った粒子の粒径は短径を粒径とする。
ナノ粒子にはTiO、ZnO、ZrOなどの金属酸化物を、ナノ粒子中またはナノ粒子表面に導入することができる。
多孔質膜4は膜厚が80nm以上200nm以下であることが好ましく、100nm以上160nm以下であることがより好ましい。膜厚が80nm未満だと耐摩耗性が得られ難く、200nmを超えると反射率を下げるのが難しくなる。
多孔質膜4の空隙率は、30%以上70%以下であることが好ましい。空隙率が30%未満だと屈折率が十分に下がらず、高い反射防止効果が得られないときがあり、70%を超えると粒子間の空隙が大きくなり過ぎて耐摩耗性が低くなる。
多孔質膜4の屈折率は、十分な反射防止効果を得るためには、1.19以上1.32以下であることが好ましく、1.22以上1.30以下であることがより好ましい。
また、ナノ粒子2を含む多孔質膜4には、バインダー3が含まれているのが好ましい。バインダー3は膜の耐摩耗性、密着力、環境信頼性によって適宜選択することが可能であるが、ナノ粒子2との親和性が高いものが望ましい。たとえば、酸化ケイ素鎖状粒子膜には、酸化ケイ素バインダーを用いるのが好ましい。
バインダー3の含有量は、多孔質膜4に対して5wt%以上30wt%以下であることが好ましく、10wt%以上30wt%以下であることがより好ましい。
(緻密膜5)
本発明において緻密膜5を構成する材料の例としては、酸化ケイ素バインダー、ポリ酢酸ビニルとその共重合樹脂、エチレン−酢酸共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリ乳酸樹脂等の溶剤可溶性樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。
緻密膜5の材料は多孔質膜4との密着力や環境信頼性によって適宜選択することが可能で、多孔質膜4を構成するバインダー3と同じ材料を使うことも可能である。ただし、その場合には多孔質膜4との親和性が高くなることから、緻密膜5を塗工する際に多孔質膜4へ拡散しやすくなり、多孔質膜4の表面に留まりづらくなるので、緻密膜5の塗工方法や塗料に使用する溶媒等には十分に留意する必要がある。
緻密膜5の多孔質膜4の表面に対する面積占有率は30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上65%以下であることがより好ましい。面積占有率が30%未満だと多孔質膜の表面に存在するフッ素化合物6の密度が低すぎて耐擦傷性が低くなり、面積占有率が70%より大きいと光学膜1の屈折率が1.32を超えてしまうため、あまり好ましくない。
緻密膜5の膜厚は10nm以上30nm以下であることが好ましく、15nm以上25nm以下であることがより好ましい。膜厚が10nm未満だと膜が平坦にならず、また膜厚が30nm以上だと光学膜1の屈折率が1.32を超えてしまうため、いずれも好ましくない。
緻密膜5の表面の平坦性はJIS B0601(1992)に規定される算術平均粗さ(Ra)が3nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましい。緻密膜5の表面の算術平均粗さが3nmよりも大きい場合には、ワイパーなどで擦った時に接触するフッ素化合物の量が少ないため摺動性が十分ではなく、十分な耐擦傷性が得られない。
(フッ素化合物6)
本発明において、緻密膜5に担持されるフッ素化合物6の好ましい例としてはパーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレンや六フッ化プロピレンの各種共重合体、フルオロアルキルペンダント基を有する各種ポリマーが挙げられる。
本発明において、フッ素化合物6は緻密膜5との親和性が高いことが好ましく、緻密膜5と共有結合や水素結合などの化学結合を形成するものがより好ましい。さらに、フッ素化合物6はポリマーブラシと呼ばれる単分子膜構造を有するものが好ましい。
(基材7)
本発明の光学膜がその上に形成される基材7としては、ガラス、樹脂などを用いることが可能である。また、その形状は限定されることはなく、平面、曲面、凹面、凸面、フィルム状などのいずれであっても良い。
基材7と塗工面との間に、高屈折率層及び中屈折率層などを単層あるいは複数層有していてもよい。高屈折率層、中屈折率層としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウムなどを挙げることができる。
また、基材と塗工面との間には、機械強度を上げるためのハードコート層や導電性を有する層を設けてもよい。
これらの高ないし中屈折率層や機能性を有する層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などを用いて形成することができる。
[光学膜の製造方法]
本発明の光学膜1の製造方法について、その一例を説明する。
(多孔質膜4の形成方法)
本発明の光学膜1の製造方法は、レンズなどの光学部材である基材7の表面に、好ましくは、ナノ粒子2がバインダー3で結合した多孔質膜4を形成する形成工程を有する。なお、多孔質膜4は基材7の表面に直接形成してもよいし、ハードコート層や導電層を介して形成してもよい。
多孔質膜4は、乾式法と湿式法のいずれを用いて形成しても良いが、簡便に多孔質膜4を形成できる湿式法を用いることが好ましい。多孔質膜4を湿式法で形成するには、ナノ粒子とバインダーを含む塗料を調製して、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などにより塗工すればよい。
多孔質膜4を形成するための塗料は、少なくともナノ粒子2と、バインダー3と、溶媒とを含むものであることが好ましい。そして、このような塗料を20℃以上30℃以下の成膜温度で基材上に塗布することにより多孔質膜を形成することが好ましい。このとき塗料は、成膜温度における粘度が1.3mPa・s以上2mPa・s以下であることが好ましい。塗料の粘度がこの範囲であると、ナノ粒子間の隙間へのバインダーの浸透性が良くなるため均一なボイドを含んだ膜を形成することができる。ナノ粒子間の隙間にバインダー3を浸透させる為には塗料の粘度は低いほどよいが、粘度の低い塗料にするためには低粘度の溶媒を用いる必要がある。そして、低粘度の溶媒は一般に蒸気圧が高いため成膜時の乾燥速度が速く、スジやムラが発生しやすいため、塗料の粘度が低すぎるのも問題が多い。よって、成膜時における塗料の粘度が1.3mPa・s以上2mPa・s以下となるように溶媒を選択することが好ましいのである。塗料の粘度は、ナノ粒子の表面状態、濃度、バインダーの分子構造、分子量、濃度及び溶媒によって決定されるので、これらを考慮して上記範囲の粘度となるように塗料を調製すればよい。
塗料に用いる溶媒としては、ナノ粒子、バインダーとの親和性が良好なものを適宜選択することが可能である。親和性が低い溶媒であるとバインダーが相溶しないか、あるいは塗料として相溶していたとしても、成膜中に分離を起こして白化現象を生じる。溶媒としては、沸点が100℃以上200℃以下であり、粘度が2mPa以下のものを用いることが好ましい。好適な溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、2−エチル−2−ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどがある。
塗料に含まれる溶媒の含有量は95.0wt%以上98.5wt%以下、好ましくは96.0wt%以上98.0wt%以下であることが好ましい。ただし、塗布方法や塗布条件により、所望の平均膜厚を得るためには溶媒の含有量を適宜調整すべきであり、この範囲に制限されることはない。
塗工方法としては、特に限定されることはなく、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法など液状塗料の一般的な塗工方法を用いることができる。ただし、レンズ基材の表面に反射防止膜を形成する場合のように均一な膜厚に形成することが特に要請される場合は、塗料をスピンコート法で塗工することにより成膜することが好ましい。
塗工後は塗膜の乾燥を行う。乾燥には乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず且つナノ粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。基材と光学膜1の熱膨張係数の違いがあり、高温の乾燥で光学膜1の剥がれや割れが発生しないように一般的には200℃以下の温度を用いることが好ましい。塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返しても良い。
(緻密膜5の形成方法)
多孔質膜4の表面に緻密膜5を形成するには、乾式法と湿式法のいずれを用いてもよいが、簡便に緻密膜5を形成するには湿式法を用いればよい。湿式法では、緻密膜を構成する材料を溶媒で溶解し適宜希釈して濃度を調整したものを塗料として調製し、これをスプレーコート法やスピンコート法あるいはインクジェット法で塗工することにより多孔質膜上に緻密膜を形成することが可能である。別の基材上に形成した塗膜を転写する方法を用いてもよい。
本発明の光学膜では、緻密膜5は多孔質膜4の表面の一部に存在するように(面積占有率が30%以上70%以下となるように)形成される。緻密膜の面積占有率は、塗料中の膜材料の濃度と滴下量(スピンコート法の場合)やスプレー時間(スプレーコート法)あるいは吐出量(インクジェット法の場合)といった膜材料の付与量とを変えることで調整することができる。
また、緻密膜5を形成する際には、多孔質膜4に付着したときの粘度により、多孔質膜4への染み込み具合が変わってしまう。塗料の粘度が低すぎると多孔質膜4内部に拡散してしまい、好ましくない。また、粘度が高すぎると多孔質膜4の表面で緻密膜5の塗料が塊になってしまい、ヘイズが高くなるため、やはり好ましくない。好ましい形態は、膜5の材料が多孔質膜4の表面でとどまり、多孔質膜4の表面の凹部を平坦化した形態である。
緻密膜5の塗膜を形成した後は塗膜の乾燥を行う。乾燥には乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず且つナノ粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。多孔質膜4を形成する場合と同様に、基材7と光学膜1の熱膨張係数の違いがあるため、高温の乾燥で光学膜1の剥がれや割れが発生しないように、一般的には200℃以下の温度で乾燥することが好ましい。成膜回数は通常1回が好ましいが、乾燥と成膜を複数回繰り返しても良い。
(フッ素化合物6の担持方法)
多孔質膜4上に緻密膜5を形成した後、この表面にフッ素化合物6を担持させる(付着する)には、フッ素化合物6の溶液をスピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スリットコート法、印刷法やディップコート法など通常用いられる方法で塗工すればよい。フッ素化合物の溶液に用いる溶媒は、当該フッ素化合物との相溶性の高い溶媒を選択することが好ましい。フッ素化合物の溶液に用いる好ましい溶媒の例としては、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロカーボンなどのフッ素含有有機溶媒、またはそれらの混合溶媒、あるいはそれらと他の有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。溶液中のフッ素化合物の濃度は0.05wt%以上1wt%以下であることが好ましい。
緻密膜5上に付与されたフッ素化合物は、緻密膜5を通り抜けることなく、その表面上に担持され、良好な摺動性を発現させることで、光学膜1の耐擦傷性の向上に寄与する。一方、緻密膜5が形成されていない部分に付与されたフッ素化合物6は、多孔質膜4の表面に付与されて表面の空隙から多孔質膜内に一部侵入するため、必ずしも良好な摺動性を十分に発現させるのに役立つわけではない。しかしながら、本発明の光学膜では、多孔質膜4の表面の30%以上70%の領域に緻密膜5が存在するため、全体としては十分に良好な摺動性を発現させることになる。
フッ素化合物の溶液を塗工した後は塗膜の乾燥を行う。乾燥は乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。やはり、高温の乾燥で光学膜1の剥がれや割れが発生しないように一般的には200℃以下の温度で乾燥することが好ましい。
以下、実施例により本発明の光学膜の作製を具体的に説明する。ただし本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
(塗料の調製)
(1)鎖状SiO粒子を含む塗料1の調製
中実SiO粒子が鎖状につながった鎖状SiO粒子の2−プロパノール(IPA)分散液(日産化学工業株式会社製 IPA−ST−UP(登録商標)、粒子径40〜100nm;動的光散乱法・固形分濃度15wt%)中の2−プロパノールの大部分を、エバポレーターで1−プロポキシ−2−プロパノール(シグマ製)に置換することで、鎖状SiO粒子の1−プロポキシ−2−プロパノール分散液を作製した。溶媒の比率は2−プロパノール:1−プロポキシ−2−プロパノール=7.5:92.5であった。
テトラエトキシシラン(TEOS、東京化成工業株式会社製)18.5gと、触媒水としてTEOSに対して10当量の0.1wt%ホスフィン酸16.0gとを合わせ、20℃の水浴中で60分間混合攪拌してバインダー溶液1を作製した。
上で作製した鎖状SiO粒子の1−プロポキシ−2−プロパノール分散液251.3gに、上で作製したバインダー溶液1を32.8g(バインダーを形成するために必要な成分を酸化物換算で0.5wt%)添加し、更に、鎖状SiO粒子の固形分濃度を酸化物換算で4.3wt%にするために、1−プロポキシ−2−プロパノールを174.5g、乳酸エチルを546.5g添加し、60分間攪拌して鎖状SiO粒子を含む塗料1を調製した。調製した塗料1中の溶媒の比率は、1−プロポキシ−2−プロパノール:乳酸エチル=40:60とした。
(2)中空SiO粒子を含む塗料2の調製
中空SiO粒子の2−プロパノール(IPA)分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア1110、平均粒径55nm、固形分濃度20.50wt%)6.00gを1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)28.17gで希釈することで、中空SiO粒子を含む塗料(固形分濃度3.60wt%)2を調製した。動的光散乱法による粒度分布測定(マルバーン社製 ゼータサイザーナノZS)により、粒径が55nmの中空SiO粒子が分散していることを確認した。
(3)中空MgF粒子を含む塗料3の調製
イソオクタン100g、界面活性剤としてビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)10g、水7gを合わせて1時間攪拌し、9nmの水粒子(液滴)が分散した油中水型ミセルが形成された溶液(分散液)を作製した。
得られた溶液に、フェニルメチルエーテル中に5wt%濃度でテトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケート(TBAT)を混合した溶液3gとAOT1gを加え、TBATを油層に溶解した。さらにフェニルメチルエーテル中に1wt%濃度でマグネシウムエトキシドを混合した溶液3gとAOT1g加えて混合した後、60℃で1時間攪拌して、フッ化マグネシウムを合成した。
前記フッ化マグネシウムが合成された溶液にエタノール40mlを加えて親水性溶媒と疎水性溶媒に分離した。前者を取り出して乾燥させたものを、走査透過電子顕微鏡で観察したところ、粒子径が10nmの中空粒子を確認した。前記中空粒子を10mlのテフロン(登録商標)AF2400中に分散させた。
(4)SiOバインダー塗料4の調製
1−エトキシ−2−プロパノール(キシダ化学株式会社製)7.7gに、テトラエトキシシラン(TEOS、東京化成工業株式会社製)26.0gと、触媒水としてTEOSに対して10当量の0.01M希塩酸22.5gとを添加し、60分間混合攪拌した。さらに60℃のオイルバス中で40分間攪拌することによってバインダー溶液1を調製した。その後、最終的に酸化ケイ素の固形分濃度が1.0wt%になるように1−エトキシ−2−プロパノールと2−エチルブタノールを加えた。バインダー溶液中の1−エトキシ−2−プロパノールと2−エチルブタノールの比率は3/7とした。
(5)SiOバインダー塗料5の調製
最終的な酸化ケイ素の固形分濃度が1.2wt%になるように1−エトキシ−2−プロパノールと2−エチルブタノールを加えた以外は、(4)と同様の処理を行った。
(6)SiOバインダー塗料6の調製
最終的な酸化ケイ素の固形分濃度が1.5wt%になるように1−エトキシ−2−プロパノールと2−エチルブタノールを加えた以外は、(4)と同様の処理を行った。
(7)SiOバインダー塗料7の調製
最終的な酸化ケイ素の固形分濃度が0.5wt%になるように1−エトキシ−2−プロパノールと2−エチルブタノールを加えた以外は、(4)と同様の処理を行った。
(評価)
(8)光学膜1の膜厚の測定
分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用い、波長380nmから800nmまで測定し、解析から膜厚を求めた。
(9)光学膜1の屈折率の測定
分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用い、波長380nmから800nmまで測定した。屈折率は波長550nmの屈折率とした。以下の基準で低屈折率性を評価した。
A:屈折率が1.30以下のとき
B:屈折率が1.32以下のとき
C:屈折率が1.32より大きいとき
(10)光学膜1の耐擦傷性の評価
AR−30(小津産業株式会社製)を用いて膜の表面を150g/cmで10往復こすったあと、目視で傷を確認した。目視で傷が見えなければ、膜の表面を200g/cmでこすって傷を確認した。傷が確認できるまで、荷重を50g/cmずつ増やしてこの評価を繰り返し、傷が確認できない最大の荷重により以下の基準で耐擦傷性を評価した。
A:最大荷重が300g/cm以上のとき
B:最大荷重が200g/cm以上のとき
C:最大荷重が200g/cm未満のとき
(11)緻密膜5の面積占有率の算出方法
(前処理)
金属スパッタ装置(108Act、Cressington社製)を用い、サンプル表面に30mA、50秒でAu−Pdコートをおこなった。
(観察)
FE−SEM(Sigma500VP、カールツァイスマイクロスコピー社製)を用いて、2万倍で表面観察を行った。加速電圧は3kVとした。観察箇所のSE像を撮影したあと、観察箇所が重ならないように観察場所を移動し、再び撮影をおこなった。この作業を縦に2枚、横に3枚の画像が得られるように繰り返した。得られた画像をImage−Pro Plus(メディアサイバーネトティクス社製)のソフトウェアで以下の手順で処理をした。
(1)画像部を選択した。
(2)「最適合わせこみ」を実施した。
(3)空間フィルタ(ソーベル)を適用した。
(4)ローパスフィルタ(3×3)を実施した。その時の条件は、回数:2回、強さ:10を適用した。
(5)緻密膜のある場所(暗い色)を選択して、面積比を測定した。(検出サイズ:10〜10倍)
(6)(1)〜(5)を画像の枚数分実施し、得られた面積比の平均を出した。
2万倍の画像は縦12μm、横15μmであったため、縦に2枚、横に3枚の画像を並べた面積は、840μmとなる。本発明においてはこの面積を単位面積とした。
(12)緻密膜5の膜厚の求め方
下記のような処理条件で前処理と観察をおこなった。
(前処理)
観察サンプルにカーボン膜およびPt−Pd膜をコートした。
カーボン膜コート:エノモトAV製 NC−5Turbo(60秒×6回)
Pt−Pd膜コート:日立製 E−1030(15mA、60秒×4回)
(観察)
FIB加工:FEI製 Nova600(FIB加工:30kV)
断面STEM観察:日立製 S−5500(加速電圧:30kV)
(膜厚算出方法)
観察から得られた断面の20万倍のDF像をImage−Pro Plus(メディアサイバーネトティクス社製)のソフトウェアで以下の手順で処理をした。
(1)8ビットの画像に変換した。
(2)Thresholdで2値化した。
(3)得られた画像から、緻密膜5にあたる部分の距離を測定し、倍率から厚さを計算した。
(4)場所を変えて10か所測定し、その平均値を厚さとした。
(13)算術平均粗さRaの求め方
SPM(L−trase&NanoNaviII,SIIナノテクノロジー社製)で観察サンプル表面を観察し、緻密膜5が成膜されている部分を測定した。測定後、成膜部分を選択し、Raを測定した。
(実施例1)
実施例1では、直径(φ)30mm、厚さ0.5mmのSi基材に、鎖状SiO粒子を含む塗料1を適量滴下し、3500rpmで20秒スピンコートを行なうことで、基材上に鎖状SiO粒子からなる多孔質膜を形成した。形成した鎖状SiO粒子からなる多孔質膜上にSiOバインダー塗料4を40秒間スプレーで塗工した。さらに、フッ素化合物溶液(株式会社フロロテクノロジー製 FG−5083SH 固形分濃度0.10wt%)を0.06ml滴下し、1000rpmで20秒スピンコートを行なったあと、2000rpmで10秒スピンコートを行なった。その後、熱風循環オーブン中で120℃20分間加熱することで、鎖状SiO粒子の多孔質膜上に緻密膜が部分的に存在し、さらに緻密膜の上にフッ素化合物が付着した膜(図2)を形成した。
その結果、屈折率が1.290、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は42%、膜厚は22nmであった。この光学膜の耐擦傷性は250gであった。各種評価結果を表1にまとめた。
また、XPSによる膜の深さ方向成分分析から膜の表面にフッ素が集中しており、膜の表面から浅い部分に炭素が多く見られることから、多孔質膜上にフッ素化合物が存在していることが確認された。
(実施例2)
実施例2では、SiOバインダー塗料4のスプレー時間を80秒に変えた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.316、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は68%、膜厚は24nmであった。この光学膜の耐擦傷性は300gであった。
(実施例3)
実施例3では、SiOバインダー塗料4のスプレー時間を30秒に変えた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.274、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は32%、膜厚は18nmであった。この光学膜の耐擦傷性は200gであった。
(実施例4)
実施例4では、鎖状SiO粒子を含む塗料1の代わりに中空SiO粒子を含む塗料2を使用した以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.280、膜厚100nmの光学膜(図1)を作製した。また、緻密膜の面積占有率は40%、膜厚は20nmであった。この光学膜の耐擦傷性は200gであった。
(実施例5)
実施例5では、中空MgF粒子を含む塗料3を4000rpmで20秒間スピンコート塗工した。形成した中空MgF粒子からなる多孔質膜上にSiOバインダー塗料4を40秒間スプレー塗工した。更に、フッ素化合物溶液(株式会社フロロテクノロジー製 FG−5083SH 固形分濃度0.10wt%)を0.06ml滴下し、1000rpmで20秒スピンコートを行なったあと、2000rpmで10秒スピンコートを行なった。その後、熱風循環オーブン中で120℃20分間加熱することで、中空MgF粒子の多孔質膜上に緻密膜が部分的に存在し、さらに緻密膜の上にフッ素化合物が付着した膜を形成した。
その結果、屈折率が1.319、膜厚120nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は34%、膜厚は22nmであった。この光学膜の耐擦傷性は250gであった。
(実施例6)
実施例6では、フッ素化合物溶液(株式会社フロロテクノロジー製 FG−5083SH 固形分濃度0.10wt%)の代わりに、SFコートKS14A(AGCセイケミカル社製)を用いた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.310、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は40%、膜厚は24nmであった。この光学膜の耐擦傷性は250gであった。
(実施例7)
実施例7では、SiOバインダー塗料4の代わりに、SiOバインダー塗料5を用いた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.318、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は32%、膜厚は30nmであった。この光学膜の耐擦傷性は250gであった。
(比較例1)
比較例1では、SiOバインダー塗料4のスプレー時間を100秒に変えた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.335、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は75%、膜厚は22nmであった。この光学膜の耐擦傷性は350gであった。
(比較例2)
比較例2では、スプレー時間を20秒に変えた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.265、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は10%、膜厚は22nmであった。この光学膜の耐擦傷性は150gであった。
(比較例3)
比較例3では、フッ素化合物溶液の塗工を実施しない以外は実施例2と同じ条件で処理をした。鎖状SiO粒子の多孔質膜上に緻密膜が部分的に存在しているが、その上にフッ素化合物の膜は形成されていない。その結果、屈折率が1.290、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は68%、膜厚は24nmであった。この光学膜の耐擦傷性は100gであった。
(比較例4)
比較例4では、SiOバインダー塗料4の代わりに、SiOバインダー塗料6を用いた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.328、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は32%、膜厚は38nmであった。この光学膜の耐擦傷性は200gであった。
(比較例5)
比較例5では、SiOバインダー塗料4の代わりに、SiOバインダー塗料7を用いた以外は実施例1と同様の条件で処理をした。その結果、屈折率が1.265、膜厚100nmの光学膜を作製した。また、緻密膜の面積占有率は68%、膜厚は8nmであった。この光学膜の耐擦傷性は100gであった。
実施例1−7と比較例1−5の条件及び結果を以下の表1にまとめた。
本発明の光学部材は、光例えばカメラやビデオカメラをはじめとする撮像機器、もしくは液晶プロジェクターや電子写真機器の光走査装置をはじめとする投影機器に利用することが可能である。
1 光学膜
2 ナノ粒子
3 バインダー
4 多孔質膜
5 緻密膜
6 フッ素化合物
7 基材

Claims (20)

  1. 基材上に形成されている多孔質膜を含む光学膜であって、該多孔質膜の表面の一部にフッ素化合物を担持した緻密膜を有しており、前記緻密膜の前記多孔質膜の表面に対する面積占有率が30%以上70%以下であり、前記緻密膜の膜厚が10nm以上30nm以下であり、前記光学膜の屈折率が1.32以下であることを特徴とする光学膜。
  2. 前記多孔質膜の厚さが、80nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光学膜。
  3. 前記多孔質膜の厚さが、100nm以上160nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光学膜。
  4. 前記緻密膜の前記多孔質膜の表面に対する面積占有率が、40%以上65%以下である特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学膜。
  5. 前記緻密膜の膜厚が、15nm以上25nm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学膜。
  6. 前記緻密膜の表面の算術平均粗さが、3nm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに1項記載の光学膜。
  7. 前記緻密膜の表面の算術平均粗さが、2nm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光学膜。
  8. 前記多孔質膜が、ナノ粒子とバインダーを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光学膜。
  9. 前記ナノ粒子の平均粒子径が、10nm以上80nm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の光学膜。
  10. 前記ナノ粒子の平均粒子径が、12nm以上60nm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の光学膜。
  11. 前記ナノ粒子が、中空粒子または鎖状の粒子であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の光学膜。
  12. 前記ナノ粒子が中空粒子であり、該中空粒子のシェルの厚みが平均粒子径の10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の光学膜。
  13. 前記フッ素化合物が、単分子膜構造を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の光学膜。
  14. 前記光学膜の屈折率が、1.30以下であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の光学膜。
  15. 前記光学膜が、透明基材上に形成された反射防止膜であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の光学膜。
  16. 前記透明基材が、レンズであることを特徴とする、請求項15に記載の光学膜。
  17. 少なくともナノ粒子とバインダーと溶剤を含有する第1の塗料を基材の表面に塗工して第1の膜を成膜する工程と、該第1の膜を乾燥して多孔質膜を形成する工程と、該多孔質膜の表面の一部に膜材料と溶剤からなる第2の塗料を塗工して緻密膜を形成する工程と、該緻密膜の表面上にフッ素化合物を担持させる工程を有することを特徴とする光学膜の製造方法。
  18. 前記緻密膜を形成する工程において、前記第2の塗料中の膜材料の濃度と該塗料の付与量を調整することにより、前記緻密膜の前記多孔質膜の表面に対する面積占有率を30%以上70%以下とすることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の膜を成膜する工程を、20℃以上30℃以下で行うことを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記第1の塗料の成膜時における粘度が1.3mPa・s以上2mPa・s以下である請求項19に記載の方法。
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