JP2019511200A - ヒトインターロイキン−2に対する免疫刺激性ヒト化モノクローナル抗体及びその融合タンパク質 - Google Patents

ヒトインターロイキン−2に対する免疫刺激性ヒト化モノクローナル抗体及びその融合タンパク質 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトインターロイキン−2(hIL−2)に結合する抗体に関する。本発明は、より具体的には、hIL−2の特定のエピトープに特異的に結合するヒト化抗体、及びこのエピトープに結合した場合にhIL−2のCD25への結合を阻害する独特な能力を示すヒト化抗体に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒトインターロイキン−2(hIL−2)に結合する抗体に関する。本発明は、より具体的には、hIL−2の特定のエピトープに特異的に結合し、このエピトープに結合する場合に、CD25へのhIL−2の結合を阻害する独特の能力を示し、かつ、前記抗体とhIL−2との融合を示す、前記ヒト化抗体に関する。さらに本発明は、hIL−2との組合せにおける抗体のインビトロ及びインビボでの治療的適用、及び融合物のインビトロ及びインビボでの治療的適用に関する。
インターロイキン2(IL−2)は、転移性腫瘍に対する細胞傷害性リンパ球を強力に刺激することができるサイトカインである。しかし、IL−2はまた、自己免疫疾患の予防に重要な、いわゆるCD25CD4制御性T細胞(Treg細胞)も刺激することができる。重要なことに、Treg細胞は細胞傷害性リンパ球による抗腫瘍応答を著しく衰退させることができ、それゆえにIL−2の有益な抗腫瘍効果と多少なりとも拮抗する。さらに、臨床の抗腫瘍応答を達成するために必要な用量では、IL−2は有害な副作用を発揮するかもしれない。
IL−2を用いた免疫療法は1980年代初頭から、転移性黒色腫と及び転移性腎細胞癌の免疫療法のために使われてきており、それらの効能は、それぞれ1996年と1992年にFDAからの承認に至っている。高用量で投与されたIL−2は、これらの致死的転移性癌に罹患した患者の約17%の他覚症状率を示し、約6%〜9%において完全退行を示した一方で、これらの用量で投与されたIL−2は、低血圧、肺水腫、肝細胞障害、胃腸毒性、血管漏出症候群(VLS)及び全身浮腫といった毒性の副作用をしばしば引き起こした。さらに、前述のように、IL−2は免疫抑制性Treg細胞を活性化し、次に、抗腫瘍CD8T細胞及びNK細胞の活性を衰退させることができる。
ヒトIL−2はいくつかの改変体が存在し、そしてRosaliaら、Current Opinion in Chemical Biology 2014,23:39−46(非特許文献1)において記述されるように、改良されたインビボ特性を有するIL−2系化合物を見つけ出すために、様々なストラテジーがとられている。
Rosaliaら、Current Opinion in Chemical Biology 2014,23:39−46
しかしながら、適切な抗ヒトIL−2抗体が欠如しているため、この原理に基づいた治療は、患者への使用において、いまだ成功していない。
本開示は、一般に、ヒトIL−2の特異的エピトープに結合する抗体又はその断片に関し、障害の治療方法を含む、それらの調製及び使用のための方法に関する。
本明細書中に開示される抗IL−2抗体又はその断片は治療、予防、及び/又は、癌性障害(例えば、固形及び軟部組織腫瘍、及び血液学的腫瘍)及び感染症(例えば、慢性感染症)などの障害の診断に(単独で又は他の薬剤又は治療様式と組合せて)用いることができる。したがって、抗IL−2抗体又はその断片を含む組成物、並びに抗IL−2抗体又はその断片、又は抗IL−2抗体又はその断片を含む組成物を使用する癌及び/又は感染症を含む様々な障害を治療する方法が、本明細書に開示される。
第1の側面では、本開示は、配列番号109記載のヒトIL−2に結合する単離された抗体又はその抗原結合部分を提供し、前記抗体又はその抗原結合部分は、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域とHCDR1、HCDR2及びHCDR3とを含む重鎖可変領域を含み、LCDR1は配列番号122を含み、LCDR2は配列番号123を含み、LCDR3は配列番号21を含み、HCDR1は配列番号119を含み、HCDR2は配列番号120を含み、HCDR3は配列番号121を含む。
一実施形態では、第1の側面による単離された抗体又はその抗原結合部分であって、前記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号19、配列番号31、配列番号69、配列番号72、配列番号86及び配列番号90から成る群から選択されるLCDR1と、配列番号20及び配列番号32から成る群から選択されるLCDR2と、配列番号21に記載のLCDR3とを含む軽鎖可変領域と、配列番号4、及び配列番号13から成る群から選択されるHCDR1と、配列番号2、及び配列番号12から成る群から選択されるHCDR2と、配列番号3、配列番号36、配列番号39、配列番号42、及び配列番号45から成る群から選択されるHCDR3とを含む重鎖可変領域を含む。
さらなる実施形態では、第1の側面による単離された抗体又はその抗原結合部分であって、LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号19、20及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号31、32及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、配列番号19、20及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、配列番号13、12及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、配列番号31、32及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、配列番号13、12及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、配列番号69、20及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号31、32及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号69、20、及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び3;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号19、20、及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び36;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号69、20、及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2、及び36;、又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号19、20、21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び36;、及びLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号69、20、21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号4、2、及び36、である。
別の実施形態では、第1の側面により、単離された抗体又はその抗原結合部分であって、アミノ酸配列:VL、配列番号25;VH、配列番号7、又はVL、配列番号27;VH、配列番号7、又はVL、配列番号34;VH、配列番号7、又はVL、配列番号25;VH、配列番号15、又はVL、配列番号27;VH、配列番号15、又はVL、配列番号34;VH、配列番号15、又はVL、配列番号25;VH、配列番号17、又はVL、配列番号27;VH、配列番号17、又はVL、配列番号34;VH、配列番号17、又はVL、配列番号70;VH、配列番号7、又はVL、配列番号25;VH、配列番号37、又はVL、配列番号70;VH、配列番号37、又はVL、配列番号79;VH、配列番号7、又はVL、配列番号27;VH、配列番号37、又はVL、配列番号79;VH、配列番号37、又はVL、配列番号70;VH、配列番号17、又はVL、配列番号25;VH、配列番号49、又はVL、配列番号70;VH、配列番号49、又はVL、配列番号79;VH、配列番号17、又はVL、配列番号27;VH、配列番号49、又はVL、配列番号79;VH、配列番号49、に対して、少なくとも95%、例えば95%、96%、97%、98%、又は99%といった同一性を有する重鎖可変(VH)及び軽鎖可変(VL)領域を含む。
一実施形態では、第1の側面により、単離された抗体又はその抗原結合部分は、アミノ酸配列:VL、配列番号25;VH、配列番号7、又は、VL、配列番号27;VH、配列番号7、又は、VL、配列番号34;VH、配列番号7、又は、VL、配列番号25;VH、配列番号15、又は、VL、配列番号27;VH、配列番号15、又は、VL、配列番号34;VH、配列番号15、又は、VL、配列番号25;VH、配列番号17、又は、VL、配列番号27;VH、配列番号17、又は、VL、配列番号34;VH、配列番号17、又は、VL、配列番号70;VH、配列番号7、又は、VL、配列番号25;VH、配列番号37、又は、VL、配列番号70;VH、配列番号37、又は、VL、配列番号79;VH、配列番号7、又は、VL、配列番号27;VH、配列番号37、又は、VL、配列番号79;VH、配列番号37、又は、VL、配列番号70;VH、配列番号17、又は、VL、配列番号25;VH、配列番号49、又は、VL、配列番号70;VH、配列番号49、又は、VL、配列番号79;VH、配列番号17、又は、VL、配列番号27;VH、配列番号49、又は、VL、配列番号79;VH、配列番号49、を有する重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を有する。
先の実施形態により単離された抗体は、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103及び配列番号105から成る群から選択されるFcドメインを含むことができる。好ましい実施形態においては、単離された抗体は、配列番号93、配列番号101、配列番号103又は配列番号105に記載のFcドメインを含む。
特定の実施形態では、単離された抗体は、配列番号124に記載の軽鎖及び配列番号126に記載の重鎖、又は配列番号128に記載の軽鎖及び配列番号130に記載の重鎖を含む。
本発明の第2の側面によれば、アミノ酸K52、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、Q94、及びK96を含むヒトインターロイキン−2(hIL−2)エピトープに結合する単離された抗体又はその抗原結合断片が提供される。
一実施形態では、第2の側面による単離された抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸K52、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、Q94、及びK96に特異的に結合する。
第2の側面による単離された抗体又はその抗原結合性断片は、アミノ酸K52、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、Q94、及びK96に加えて、アミノ酸N50、N53、N91、L92、A93及びN97のいずれか一つ以上を更に含む、ヒトインターロイキン−2(hIL−2)エピトープに結合できる。
一実施形態では、第2の側面による抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸N50、K52、N53、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、N91、L92、A93、Q94、K96、及びN97に特異的に結合する。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を順に含む軽鎖可変領域、及びHCDR1、HCDR2及びHCDR3を順に含む重鎖可変領域を含み、LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号181、182及び183、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号279、280及び281、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号213、214及び215、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号213、214及び215、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号263、264及び265、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号213、214及び215、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号263、264及び265、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号149、150及び151、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号69、20及び21、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号197、198、及び199、;又はLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号197、198、及び199である。
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変(VH)及び軽鎖可変(VL)領域が、アミノ酸配列VL、配列番号243;VH、配列番号193、又はVL、配列番号391;VH、配列番号225、又はVL、配列番号243;VH、配列番号225、又はVL、配列番号275;VH、配列番号225、又はVL、配列番号275;VH、配列番号161、又はVL、配列番号70;VH、配列番号209、又はVL、配列番号243;VH、配列番号209に対して、少なくとも95%の同一性、例えば100%といった同一性を有する。
特定の実施形態において、単離された抗体は、配列番号195に記載の重鎖及び配列番号245に記載の軽鎖、又は配列番号227に記載の重鎖及び配列番号393に記載の軽鎖、又は配列番号227に記載の重鎖及び配列番号245に記載の軽鎖、又は配列番号227に記載の重鎖及び配列番号277に記載の軽鎖、又は配列番号163に記載の重鎖及び配列番号277に記載の軽鎖、又は配列番号211に記載の重鎖及び配列番号261に記載の軽鎖、又は配列番号211に記載の重鎖及び配列番号277に記載の軽鎖;のアミノ酸配列を有する重鎖及び軽鎖領域を含む。
本発明の第3の側面によれば、本発明の第1又は第2の側面による抗体、及び所望によるが、好ましくは、ヒトIL−2を含む組成物が提供される。
一実施形態では、第3の側面による組成物は、配列番号109に記載のヒトIL−2又は、配列番号110に記載のアルデスロイキン、好ましくは配列番号110に記載のアルデスロイキンから成る群から選択されるヒトIL−2を含む。
本発明の第4の側面によれば、本発明の第1又は第2の側面による抗体及びヒトIL−2を含む融合タンパク質が提供される。
一実施形態では、抗体及びヒトIL−2は、配列番号397、配列番号398、配列番号399、配列番号400、配列番号401、配列番号402、配列番号403、配列番号404、配列番号405、配列番号406、配列番号407、配列番号408、配列番号409、配列番号410、及び配列番号411、好ましくは配列番号405又は配列番号407から成る群から選択されるリンカー配列により結合される。
一実施形態では、融合タンパク質は、抗体のLCDR1がKabat定義による残基Y27及び残基D30を含み、かつ、残基Y27はGGリンカーでヒトIL−2の残基N97に結合され、残基D30は、配列番号412に記載のリンカーでトIL−2の残基K96残基と結合される、本発明の第1又は第2の側面による抗体を含む。
本発明の第5の側面によれば、医薬としての使用のために、本発明の第1又は第2の側面による抗体又はその抗原結合断片、又は本発明の第3の側面による組成物、又は第4の側面による融合タンパク質が提供される。
本発明の第6の側面によれば、医薬品の製造において使用するために、本発明の第1又は第2の側面による抗体又はその抗原結合断片、又は本発明の第3の側面による組成物、又は第4の側面による融合タンパク質が提供される。
本発明の第7の側面によれば、癌の治療に用いるために、本発明の第1又は第2の側面による抗体又はその抗原結合断片、又は本発明の第3の側面による組成物、又は第4の側面による融合タンパク質が提供される。
本発明の第8の側面によれば、本発明の第1又は第2の側面による抗体又はその抗原結合断片、又は本発明の第3の側面による組成物、又は融合本発明の第4の側面による融合タンパク質による癌の治療方法が提供される。
本発明の第9の側面によれば、本発明の第1又は第2の側面による抗体又はその断片、又は、第4の側面による融合タンパク質をコードすることができる核酸分子を含むベクターが提供される。
本発明の第10の側面によれば、本発明の第8の側面によるベクターを含む細胞が提供される。
本発明の第11の側面によれば、第1又は第2の側面によるヒトインターロイキン2(hIL−2)特異的モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を産生することができる細胞が提供される。
本発明の第12の側面によれば、本発明の第1又は第2の側面により、前記産生された抗体、又は本発明の第4の側面による融合タンパク質であることを特徴とする、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞株が提供される。
本発明の側面による抗体は、例えば それらは以下の特性の1つ以上を有するため、有効である。hIL−2に対する抗体の結合の際に、得られたmAb*hIL−2複合体は、もはやヒトIL−2レセプターアルファ(CD25としても知られる)に効果的に結合できず、表面プラズモン共鳴によって測定すると、遊離の(非複合体化)hIL−2へのヒトCD25の結合と比較して、mAb*hIL−2とヒトCD25との結合がバックグラウンドレベルに効果的に減少している。さらに、抗体は、ネズミIL−2に対する測定可能な交差反応性を示さない可能性がある。
図1は、実施例2で得られたプロロイキン(登録商標)/Fab−NARA1複合体の三次元構造の概要を提供する。 図2は、エピトープ残基のさらなる分析を提供する。X軸は、配列番号110に記載のアミノ酸配列及び番号付けを列挙する。Y軸の上側は、プロロイキン(登録商標)由来の対応する残基から4Å以内にあるNARA1−Fabの総原子数を示し、下側のY軸は、配列番号132に記載のNARA1−Fabへの結合の結果としてプロロイキン(登録商標)由来の対応する残基の減少した溶媒接触領域(Å)を示す。 図3は、NARA1−Fabによって認識される最も重要なエピトープ残基を示す。 図4は、プロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体とIL−2/CD25/CD122/CD132四次複合体とのオーバーレイを示す。 図5は、IL−2_C145A(PDB:3INK)、D10IL−2−ムテイン(「スーパーカイン」(Superkine):PDB:3QB1)、IL−2/CD25/CD122/CD132(PDB:2B5I)、及びプロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab由来のCヘリックスのオーバーレイを示す。 図6は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、低用量ヒトIL−2(IL−2LD)、高用量ヒトIL−2(IL−2HD)、又は指示されたモノクローナル抗体を用いて作製したIL−2/抗体複合体を投与されたマウスの脾臓由来の免疫細胞の数を示す。値を表14及び表15に示す。 図7は、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD8CD44CD122T細胞の代表的なブロモデオキシウリジン(BrdU)プロファイルを示す。 図8は、図6にあるとおり処理したマウスの脾臓由来のCD3NK1.1NK細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図9は、一実施形態による融合タンパク質を示す概略図である。 図10は、一実施形態による融合タンパク質を示す概略図である。 図11は、一実施形態による融合タンパク質のアラインメントを示す。 図12〜15は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来の内因性CD8T細胞、CD8CD44CD122T細胞、CD4T細胞、CD4CD25highFoxp3Treg細胞及びCD3NK1.1NK細胞の表現型の特徴付けを示す。 図12〜15は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来の内因性CD8T細胞、CD8CD44CD122T細胞、CD4T細胞、CD4CD25highFoxp3Treg細胞及びCD3NK1.1NK細胞の表現型の特徴付けを示す。 図12〜15は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来の内因性CD8T細胞、CD8CD44CD122T細胞、CD4T細胞、CD4CD25highFoxp3Treg細胞及びCD3NK1.1NK細胞の表現型の特徴付けを示す。 図12〜15は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来の内因性CD8T細胞、CD8CD44CD122T細胞、CD4T細胞、CD4CD25highFoxp3Treg細胞及びCD3NK1.1NK細胞の表現型の特徴付けを示す。 図16は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓から得た免疫細胞サブセットの数を示す。 図17は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓から得たCD8CD44T細胞対CD4CD25highFoxp3Treg細胞の比を示す。 図18は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD8T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図19は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD8CD44CD122T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図20は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD3NK1.1DX5NK細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図21は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD4T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図22は、実施例に従って、図6にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD4CD25T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図23は、実施例に従って、PBS、融合タンパク質L15、L20又はL25、又はヒトIL−2/NARA1複合体を投与されたマウスの脾臓由来の内在性CD8T細胞及びNK細胞の表現型の特徴付けを示す。 図24は、実施例に従って、図23にあるとおり処置したマウスの脾臓から得られた、指示された免疫細胞の細胞数を示す。 図25は、実施例に従って、図23にあるとおり処置したマウスの脾臓由来のCD8CD44CD122T細胞及びCD3NK1.1NK細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。 図26は、実施例に従って、ヒトIL−2/NARA1複合体の融合タンパク質のL15、L20又はL25又はヒトIL−2の滴定された用量で刺激されたCTLL−2細胞を使用したインビトロでの実験からのCTLL−2細胞増殖曲線を示す。 図27は、実施例に従って、ヒトIL−2/NARA1複合体、ヒトIL−2、又は融合タンパク質L15、L20又はL25の滴定された用量で刺激されたCTLL−2細胞のSTAT5リン酸化レベルを示す。
表の簡単な説明
表1は、本発明の実施形態に記載の抗IL−2抗体の概要である。
表2は、本発明の実施形態に記載のIL−2ムテインの概要である。
表3は、プロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体の構造統計を表す。
表4は、本発明の実施形態に記載のエピトープ及びパラトープの概要である。
表5は、本発明の実施形態に記載の可変重領域の概要である。
表6は、本発明の実施形態に記載の可変軽領域の概要である。
表7は、いくつかの実施形態に記載の抗体のpIデータを含む。
表8は、可変領域及び可変生殖系列領域の比較を含む。
表9は、本発明の実施形態に記載の構造改良された可変領域を含む。
表10は、本発明の実施形態に記載の可変軽鎖及び可変重鎖に関する情報を含む。
表11は、本発明の実施形態に記載の軽鎖CDRを含む。
表12は、本発明の実施形態に記載の重鎖CDRを含む。
表13は、本発明の実施形態に記載の最適化された可変軽鎖及び可変重鎖を含む。
表14は、VH変異配列の概要である。
表15は、VK変異配列の概要である。
表16は、プラスミド配列の概要である。
表17は、本発明の実施形態に記載の親和性成熟抗体の概要である。
表18は、第1セットの抗体の配列概要である
表19は、実施例に記載のELISA値の概要である。
表20は、実施例に記載のEC50値の概要である。
表21は、本発明の実施形態に記載の親和性成熟抗体のサブセットである。
表22は、表21に記載の抗体のサブセットの配列概要である。
表23は、結合親和性データを示す。
表24は、CD8T細胞増殖データを示す。
表25は、CD8T及びNK細胞増殖データを示す。
表26及び表27は、細胞数データを示す。
表28は、本発明の実施形態に記載のリンカー配列の概要である。
表29は、本発明の実施形態に記載の融合タンパク質の概要である。
表30は、CD8T及びNK細胞増殖データを表す。
表31は、CD8T、NK及びTreg細胞数データを表す。
表32及び表33は、細胞数データを示す。
表34は、細胞数データの比を示す。
表35及び表36は、融合タンパク質の軽鎖配列を示す。
表37は、融合タンパク質の概要である。
表38は、細胞数データを示す。
表39及び表40は、実施例に記載のEC50値を示す。
表41は、本発明の実施に有用な配列を含む配列表である。
詳細な説明
本開示は、ヒトIL−2に結合し、このサイトカインのインビボ機能に影響を及ぼす抗体及びその断片に関する。
本明細書で使用する「ヒトインターロイキン−2」又は「hIL−2」とは、本明細書において配列番号109に記載のとおり、UniProtID番号P60568のヒトIL−2(野生型又はwt)を意味する。本発明の様々な実施形態では、ヒト野生型IL−2の変異体、アイソフォーム、及び種同族体も含まれる。従って、本開示の抗体は、ある場合には、ヒト以外の種由来のIL−2と交差反応することがある。ある実施形態においては、抗体は、1つ又は複数のヒトIL−2タンパク質に完全に特異的なことがあり、若しくは非‐人交差反応性の他のタイプを示さないことがある。
「ムテイン」という用語は、インターロイキン−2タンパク質に対する特異的な置換がなされたポリペプチドを意味する。用語「IL−2ムテイン」は、投与様式及び治療に関して使用される場合、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ又はそれ以上のIL−2変異タンパク質を意味する。例えば、IL−2ムテインを用いた治療は、単一のIL−2ムテイン又は多重のIL−2ムテインの組合せによる治療を指していることがある。ヒトIL−2の一例は、WO2012/107417A1に開示されたwthIL−2と比較して3つの変異を有する、IL−2ムテインである。
プロロイキン(登録商標)(アルデスロイキン)は、当業者に周知のヒトwtIL−2の変異体の別の例であり、本明細書において配列番号110で表される。
本明細書で使用されるとおり用語「抗体」又は「IL−2に対する抗体」などは、IL−2エピトープと相互作用し(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布により)、IL−2のIL−2受容体アルファ(CD25とも呼ばれる)への結合を阻害する。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された、少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH領域及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができ、相補性決定領域(CDR)には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保護された領域が点在する。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置された3つのCDRと4つのFRから構成される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えばエフェクター細胞)及び古典的補体系の第一成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。用語「抗体」は、例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科動物抗体又はキメラ抗体を含む。抗体は、任意のアイソタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)若しくはサブクラスになりえる。
軽鎖及び重鎖の両方は、構造的及び機能的相同の領域に分割される。用語「定常」及び「可変」は、機能的に使用される。この点では、軽(VL)鎖部分及び重(VH)鎖部分の両方の可変ドメインが抗原認識と特異性を決定することが理解されよう。反対に、軽鎖(CL)及び重鎖(CH1、CH2又はCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的特性を与える。慣例により、定常領域ドメインの番号付けは、抗体の抗原結合部位又はアミノ末端から遠位になるにつれて大きくなる。N末端は可変領域であり、C末端は定常領域である;CH3ドメイン及びCLドメインは実際に重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端をそれぞれ含む。特に、用語「抗体」は、具体的にはIgG−scFvのフォーマットを含む。
本明細書で使用されるとおり抗体(又は単に「抗原部分」)の「抗原結合部分」という用語は、例えば、抗原又はエピトープ(例えばIL−2の一部)に特異的に結合する能力を保持しているタンパク質のような、抗体の完全長又は、1つ又は複数の断片を指す。
「相補性決定領域」(「CDR」)は、Kabatら、(1991)、“Sequences of Proteins of Immunological Interest”5版、アメリカ公衆衛生局、国立衛生研究所、ベテスダ、MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al−Lazikaniら、(1997)JMB273、927−948(“Chothia”番号付けスキーム)及びImMunoGenTics(IMGT)番号付け(Lefranc, M.−P.、TheImmunologist、7、132−136(1999)、Lefranc, M.−P.ら、Dev.Comp.Immunol、27、55−77(2003)(“IMGT”番号付けスキーム)によって記述されているものを含む、多くの周知のスキームのいずれかを用いて決定される境界を有するアミノ酸配列である。例えば、古典的なフォーマットの場合、Kabatのもとでは、重鎖可変ドメイン(VH)のCDRアミノ酸残基は31−35(HCDR1)、50−65(HCDR2)、及び95−102(HCDR3)と番号が付けられ、かつ、軽鎖可変ドメイン(VL)のCDRアミノ酸残基は、24−34(LCDR1)、50−56(LCDR2)、及び89−97(LCDR3)と番号が付けられる。Chothiaのもとでは、VHのCDRアミノ酸は、26−32(HCDR1)、52−56(HCDR2)、及び95−102(HCDR3)と番号が付けられ、かつ、VL中のアミノ酸残基は、26〜32(LCDR1)、50〜52(LCDR2)、及び91〜96(LCDR3)と番号が付けられる。Kabat及びChothiaの両方のCDR定義を組合せることにより、CDRは、ヒトVHでは、アミノ酸残基26−35(HCDR1)、50−65(HCDR2)、及び95−102(HCDR3)からなり、ヒトVLでは、アミノ酸残基24−34(LCDR1)、50−56(LCDR2)及び89−97(LCDR3)からなる。IMGTのもとでは、VHのCDRアミノ酸残基は約26〜35(CDR1)、約51〜57(CDR2)及び約93−102(CDR3)の番号が付けられ、かつ、VLのCDRアミノ酸残基は約27〜32CDR1)、約50−52(CDR2)及び約89−97(CDR3)(「Kabat」による番号付け)の番号が付けられる。IMGTのもとでは、抗体のCDR領域はプログラムIMGT/DomainGap Alignを用いて決定することができる。
「エピトープ結合ドメイン」又は「EBD」という用語は、標的エピトープ上の結合部位と(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布により)特異的に相互作用する抗原結合部分(例えば、抗体、若しくはエピトープ結合断片又はその誘導体)の部分をいう。EBDはまた、IL−2エピトープへ特異的に(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布により)相互作用する能力を保持する抗体の一つ以上の断片をいい、かつ、IL−2のIL−2受容体アルファ(CD25)への結合を妨げる。抗体断片の例としては、限定されないが、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、scFv断片;ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片;VH及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989)Nature341:544−546);並びに単離された相補性決定領域(CDR)が含まれるがこれに限定されない。
本明細書で使用されるとおり用語「エピトープ」は、免疫グロブリンに高親和性で結合することができる任意の決定基を指す。エピトープは、その抗原を特異的に標的とする抗体によって結合される抗原領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗体に直接接触する特定のアミノ酸を含む。最も頻繁には、エピトープはタンパク質上に存在するが、いくつかの例では、核酸のような他の種類の分子上に存在することがある。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含むことができ、かつ、特定の3次元構造特性及び/又は比電荷特性を有し得る。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、それらは組換え法を用いて、VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する一本のタンパク質鎖(Fv(scFv)一本鎖として知られる;例えばBirdら、(1988)Science242:423−426;及びHustonら、(1988)米国科学アカデミー紀要、85:5879−5883を参照)として作製されることを可能にする合成リンカーによって結合させることができる。
このような一本鎖抗体はまた、「断片」、「エピトープ結合断片」又は「抗体断片」という用語に包含されることが意図される。これらの断片は、当業者に周知の従来の技術を用いて得られ、そして、その断片は完全な抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。
抗体断片は、一対の抗原結合領域を形成する相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対のタンデムFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む一本鎖分子に組み込むことができ(Zapataら、(1995)Protein Eng.8:1057−1062;及び米国特許第5641870号)、かつ、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、及び抗イディオタイプ(anti−Id)抗体(例えば、本発明の抗体への抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む。
EBDは、また、当該技術分野(Hollinger及びHudson、(2005)Nature Biotechnology 23:1126−1136を参照)において周知の、v−NAR及びビス−scFv、単一ドメイン抗体、マキシボディー(maxibodies)、ユニボディー(unibodies)、ミニボディー(minibodies)、トリアボディー(triabodies)、テトラボディー(tetrabodies)、二重特異性一本鎖ダイアボディー、又は二つの異なるエピトープに結合するように設計された一本鎖ダイアボディーを含む。EBDは、抗体様分子又は抗体模倣物も含み、これに限定されないが、ミニボディー(minibodies)、マキシボディー(maxybodies)、Fn3に基づくタンパク質足場、Ankrinリピート(DARpinとしても知られている)、VASPポリペプチド、鳥類膵臓ポリペプチド(aPP)、テトラネクチン、アフィリリン(Affililin)、ノッチン(Knottin)、SH3ドメイン、PDZドメイン、テンダミスタット(Tendamistat)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、プロテインAドメイン、リポカリン、トランスフェリン及び特異的にエピトープに結合するクニッツ(Kunitz)ドメインが含まれ、それらは本発明の範囲内である。抗体断片は、フィブロネクチン3型(Fn3)のようなポリペプチドに基づく足場へ移植することができる。(フィブロネクチンポリペプチドモノボディーを記載する米国特許第6703199号参照)
本明細書で使用されるとおり語句「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体をいう(例えば、IL−2に特異的に結合する単離された抗体は、IL−2以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、IL−2に特異的に結合する単離された抗体は、他の種由来のIL−2分子のような他の抗原に対して交差反応性を有するかもしれない。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないかもしれない。
本明細書で使用されるとおり用語「一価抗体」は、IL−2のような標的分子上の単一のエピトープに結合する抗体をいう。
本明細書で使用されるとおり用語「二価抗体」は、少なくとも2つの同一のIL−2標的分子上の2つのエピトープに結合する抗体をいう。二価抗体は、標的IL−2分子を相互に架橋することもできる。「二価抗体」はまた、少なくとも2つの同一のIL−2標的分子上の2つの異なるエピトープに結合する抗体をいう。
用語「多価抗体」は、1価より多い価数を有する単一の結合分子を指し、「原子価」は、抗体構築物の分子あたりに存在する抗原結合部分の数として記載される。このように、単一の結合分子は、標的分子上の2つ以上の結合部位に結合することができる。多価抗体の例には、限定されないが、二価抗体、三価抗体、四価抗体、五価抗体などが含まれ、並びに、二重特異性抗体及び双極性抗体が含まれる。例えば、IL−2の場合、多価抗体(例えばIL−2双極性抗体)は、IL−2の2つのドメインに対してそれぞれ結合部分を有する。
多価抗体は、(例えば、細胞殺傷を仲介又は促進することによって、又は生体利用可能な物質の量を調節することにより)、生物学的効果を仲介するか、又は被験体の疾患又は障害を調節する。
用語「多価抗体」はまた、2つの別個のIL−2標的分子のための2つ以上の抗原結合部分を有する単一の結合分子をいう。例えば、IL−2標的分子及びIL−2でない第2の標的分子の両方に結合する抗体などである。一実施形態では、多価抗体は、4つのエピトープ結合ドメインを有する4価抗体である。4価の分子は、その標的分子上の各結合部位に対して二重特異性及び二価であることがある。
本明細書で使用されるとおり用語「双極性抗体」は、単一のIL−2標的上の2つの異なるエピトープに結合する抗体をいう。この用語はまた、少なくとも2つのIL−2標的の2つのドメインに結合する抗体、例えば4価双性抗体を含む。
本明細書で使用されるとおり用語「二重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なる標的(例えば、IL−2とIL−2ではない標的)上の2つ以上の異なるエピトープに結合する抗体をいう。
本明細書で使用されるとおり語句「モノクローナル抗体」又は語句「モノクローナル抗体組成物」は、アミノ酸配列が実質的に同一である、又は、同じ遺伝子源に由来する、抗体、二重特異性抗体などを含むポリペプチドをいう。この用語はまた、単一分子組成の抗体分子の調製物も含む。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示す。
本明細書で使用されるとおり用語「ヒト化抗体」又は用語「ヒト化抗IL−2抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含む。さらなるフレームワーク領域の改変は、ヒトフレームワーク配列内、及び別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列内で行われることがある。
本発明のヒト化抗体は、ヒト配列により、コードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム又は部位特異的変異誘発、又はインビボでの体細胞変異、又は安定性又は製造を促進するための保存的置換により導入された変異)を含むことがある。
本明細書中で使用されるとおり、語句「組換えヒト化抗体」は、ヒト化抗体を発現するように形質転換された宿主細胞由来、例えばトランスフェクトーマ由来の単離された抗体のように、組換え手段によって、調製、発現、作成又は単離されるすべてのヒト抗体を含み、かつ、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部又は一部を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製又は単離された抗体を含む。
本明細書で使用されるとおり用語「Fc領域」は、抗体の定常ドメインのヒンジ領域の少なくとも一部、CH3及びCH2を含むポリペプチドをいう。任意に、Fc領域は、いくつかの抗体クラスに存在するCH4ドメインを含み得る。Fc領域は、抗体の定常ドメインのヒンジ領域全体を含み得る。一実施形態では、本発明は、抗体のFc領域及びCH1領域を含む。一実施形態では、本発明は、抗体のFc領域及びCH3領域を含む。別の実施形態では、本発明は、抗体の定常ドメイン由来のCカッパ/ラムダ領域、Fc領域及びCH1領域を含む。一実施形態では、本発明の結合分子は、定常領域、例えば重鎖定常領域を含む。一実施形態では、このような定常領域は、野生型定常領域と比較して改変される。すなわち、本明細書で開示される本発明のポリペプチドは、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2又はCH3)及び/又は軽鎖定常領域ドメイン(CL)一つ以上に対する変更又は改変を含み得る。例示的な改変は、一つ以上のドメインにおける一つ以上のアミノ酸の付加、欠失又は置換を含む。そのような変化は、エフェクター機能、半減期などを最適化することを含むことがある。
本明細書で使用されるとおり、用語「結合部位」は、抗体又は抗原結合断片が選択的に結合するIL−2標的分子上の領域を含む。
用語「融合タンパク質」は、2つの別々のタンパク質の融合物であり、追加のリンカー配列を有することもあるが、有さないこともある。
用語「リンカー配列」は、2つのタンパク質を連結又は結合するために使用されるアミノ酸配列である。
一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質及び/又は巨大分子の複合混合物中の標的抗原上のエピトープに結合する。
本明細書で使用されるとおり、用語「親和性」は、単一抗原部位における抗体と抗原との間の相互作用の強さをいう。各抗原部位内で、抗体「アーム」の可変領域は、弱い非共有結合力を介して多数の部位で抗原と相互作用する;つまり、より相互作用があれば、より親和性は強くなる。本明細書で使用されるとおり、IgG抗体又はその断片(例えば、Fab断片)に対する「高親和性」という用語は、標的抗原に対する10−8M以下、10−9M以下、10−10M以下、10−11M以下、10−12M以下、又は10−13M以下のKDを有する抗体を指す。しかし、高親和性結合は、他の抗体のアイソタイプにより変化することができる。例えば、IgMアイソタイプに対する高親和性結合とは、10−7M以下、又は10−8M以下のKを有する抗体を指す。
本明細書で使用されるとおり、用語「親和性」は、抗体―抗原複合体の全体的な安定性又は強度の有益な尺度を指す。それは、3つの主要な因子:抗体エピトープ親和性;抗原と抗体の両方の価数;相互作用する部分の構造的配置により制御される。最終的に、これらの因子は、抗体の特異性、すなわち、特定の抗体が正確な抗原エピトープに結合する可能性を明らかにする。
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当技術分野で周知のいくつものエピトープマッピング技術を用いて同定することができる。例えば、分子生物学の方法におけるエピトープマッピングプロトコール、Vol.66(Glenn E.Morris,Ed、1996)Humana Press,Totowa,N.J.を参照。例としては、直線状エピトープは、例えば、固体支持体上に多数のペプチドを同時に合成し、ペプチドがタンパク質分子の一部に応答し、そして、ペプチドが支持体に付着している間に、ペプチドと抗体を反応させることによって、決定することができる。このような技術は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第4708871号;Geysenら、(1984)米国科学アカデミー紀要USA8:3998−4002;Geysenら、(1985)米国科学アカデミー紀要USA82:78−182;Geysenら、(1986)Mol.Immunol、23:709−715に記載される。同様に、立体配座エピトープは、例えば、X線結晶学及び二次元核磁気共鳴により、アミノ酸の空間的立体配座を決定することにより容易に同定される。上記のエピトープマッピングプロトコールを参照。タンパク質の抗原性領域は、例えば Oxford Molecular Group.から入手可能なOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて計算したもののように、標準的な抗原性及び疎水性プロットを用いて同定することもできる。このコンピュータプログラムは、抗原性プロファイルを決定するためには、Hopp/Woods法、Hoppら、(1981)米国科学アカデミー紀要USA78:3824−3828;そして、疎水性プロットには、Kyte−Doolittle technique、Kyteら、(1982)J.MoI.Biol、157:105−132;を用いる。
明細書及び特許請求の範囲で使用されるとおり、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の参考を含む。例えば、用語「a cell」は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
例えば、範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、及び分子量などのすべての数値指定は、0.1の増分で(+)又は(−)に変化する近似値である。必ずしも明記されているわけではないが、すべての数値表示の前に用語「約」が付されていることも理解されたい。また、必ずしも明示的ではないが、本明細書に記載されている試薬は単なる例であり、それらの等価物は当技術分野で周知であることも理解されるべきである。
本明細書で使用されるとおり、用語「アミノ酸」は、天然アミノ酸及び/又は非天然又は合成アミノ酸、並びにD及びL光学異性体、アミノ酸類似体及びペプチド模倣体のいずれかを指す。3つ以上のアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合、一般にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合、ペプチドは一般にポリペプチド又はタンパク質と呼ばれる。用語「バイオマーカー」又は「マーカー」は、本明細書では交換可能に使用される。バイオマーカーは、核酸又はポリペプチドであり、ポリペプチドの変異又は差次的発現の有無は、本発明に記載の抗IL−2抗体を含む任意の治療に対する感受性を決定するために使用される。例えば、タンパク質が、正常(非癌性)細胞又は対照細胞における同じタンパク質と比較して、翻訳後改変、産生、発現、レベル、安定性及び/又は活性において、欠損、変異、欠失、又は減少している場合に、癌細胞のバイオマーカーとなる。
用語「cDNA」は、相補的DNA、すなわち、逆転写酵素のような酵素を用いてcDNAに作られた細胞又は生物に存在するmRNA分子を指す。「cDNAライブラリ」は、細胞又は生物中に存在するすべてのmRNA分子の集合体であり、すべて逆転写酵素でcDNA分子に変換され、次いで「ベクター」(外来DNAの添加後に複製を続けることができる他のDNA分子)に挿入される。ライブラリについてのベクターの例は、バクテリオファージ(「ファージ」としても知られる)、細菌に感染するウイルス、例えばラムダファージが挙げられる。次いで、ライブラリは、目的の特定のcDNA(したがって、mRNA)についてプローブされ得る。
「細胞増殖性障害」という用語には、異常な細胞増殖及び/又は機能の分裂又は機能喪失を特徴とする正常な生理学的機能の調節不全が含まれるものとする。「細胞増殖性障害」の例には、過形成、新形成、化生、及び例えば、T細胞アポトーシスの調節不全を特徴とする、様々な自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されない。
「組合せ」は、一つの投薬単位形態において固定された組合せ、又は併用投与のことを指し、本発明の化合物と組合せパートナー(例えば、「治療剤」又は「補助剤」とも呼ばれる、以下に説明する別の薬剤)とは、同時に、又は時間間隔内で別々に投与することができ、特にこれらの時間間隔は、組合せパートナーが協力性、例えば、相乗効果を示すことを可能にする。単一の成分は、一つのキットに包装してもよいし、又は別々に包装してもよい。成分(例えば、粉末又は液体)の一方又は両方は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈してもよい。本明細書で使用される「同時投与」又は「併用投与」などの用語は、それを必要とする単一の被験体(例えば、患者)へ選択された組合せパートナーの投与を含むことを意味し、かつ、薬剤が同じ投与経路によって、あるいは同時に必ずしも投与されない治療レジメンを含むことが意図される。本明細書で使用される用語「薬学的組合せ」は、2つ以上の有効成分の混合又は組合せから得られ、かつ、有効成分の固定及び非固定の組合せの両方を含む製品を意味する。用語「固定された組合せ」は、有効成分、例えば、本発明の化合物と組合せパートナーとが、両方とも、単一のもの(single entity)の形態又は単一の投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。用語「固定されない組合せ」は、有効成分、例えば、本発明の化合物と組合せパートナーとが、別個のものの状態で、同時に、一斉に、又は特定の時間制限なしで連続して、患者に両方とも投与されることを意味し、このような投与により、患者の体内において、2つの化合物が治療的に有効なレベルとなることができる。後者は、カクテル療法、例えば3種以上の有効成分の投与にも適用される。
「遺伝子」は、転写及び翻訳された後に特定のポリペプチド又はタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリヌクレオチドをいう。ポリヌクレオチド配列は、関連する遺伝子のより大きな断片又は全長コード配列を同定するために使用され得る。より大きな断片配列を単離する方法は当業者に公知である。
「遺伝子発現」又は代替として「遺伝子産物」は、遺伝子が転写及び翻訳されるときに生成される核酸又はアミノ酸(例えば、ペプチド又はポリペプチド)を指す。
本明細書で使用されるとおり、「発現」は、DNAがmRNAに転写されるプロセス及び/又は転写されたmRNAが続いてペプチド、ポリペプチド又はタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
遺伝子に適用されるとおり、「示差的に発現される」とは、遺伝子又は遺伝子によってコードされるタンパク質産物から転写及び/又は翻訳されたmRNAの示差的産生を指す。示差的に発現される遺伝子は、正常細胞又は対照細胞の発現レベルと比較して、過剰発現又は過少発現され得る。しかしながら、本明細書中で使用されるとおり、過剰発現は遺伝子発現の増加であり、正常又は対照の細胞又は組織で検出されたものよりも、一般に、少なくとも1.25倍、若しくは少なくとも1.5倍、若しくは少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、あるいは、少なくとも4倍の発現である。本明細書中で使用されるとおり、過少発現は、遺伝子発現の減少であり、一般に、正常又は対照の対応の細胞又は組織で検出されたものより、少なくとも1.25倍、若しくは少なくとも1.5倍、若しくは少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、あるいは、少なくとも4倍、低い。「示差的に発現される」という用語はまた、癌細胞又は癌性組織における発現が検出されるが、対照細胞又は正常組織(例えば、非癌性細胞又は組織)における発現は検出されないことを指す。
遺伝子の高い発現レベルは、遺伝子の過剰発現又は遺伝子コピー数の増加のために起こり得る。遺伝子は、調節解除又はネガティブレギュレーターの不在のために、増加したタンパク質レベルに翻訳することもできる。最後に、遺伝子の高い発現は、タンパク質の安定化の増加又は分解の低下に起因して起こり得、タンパク質の蓄積をもたらす。
本明細書中で使用されるとおり、癌細胞の「阻害する」、「阻害すること」、又は「増殖を阻害する」又は「増殖を阻害すること」という用語は、癌細胞の増殖を遅らせ、中断させ、阻止させ、又は停止させることを指し、必ずしも癌細胞増殖の完全な排除を示すものではない。「阻害する」及び「阻害すること」などの用語は、2つの状態間の量的な差異を示し、少なくとも2つの状態間の統計的に有意な差異を指す。例えば、「癌細胞の増殖を阻害するのに有効な量」は、細胞の増殖速度が少なくとも統計的に有意に未処理細胞とは異なることを意味する。そのような用語は、本明細書において、例えば、細胞増殖率に適用される。
用語「単離された」は、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はその断片が、通常、自然に由来する構成成分、細胞及びその他のものから分離されたことを意味する。例えば、単離されたポリヌクレオチドは、通常、その天然又は自然環境に由来の、例えば、染色体上の、3’及び5’隣接ヌクレオチドから分離される。当業者には明らかであるとおり、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はその断片は、天然に存在するものと区別するために「単離」という用語を用いない。さらに、「濃縮された」、「分離された」又は「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はその断片は、その天然に存在する対応物と比較し、体積当たりの分子の濃度又は数が、「濃縮」バージョンにおいて多い、あるいは、「分離」バージョンにおいて少ないということにおいて、その天然に存在する対応物と区別可能である。
本明細書で使用されるとおり、用語「新生物細胞」、「腫瘍性疾患」、「新生物」、「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「癌」及び「癌細胞」(互換的に使用される)は、比較的、自律的な成長を示す細胞を指し、そのため、それらは、細胞増殖の制御の有意な喪失(すなわち、調節されていない細胞分裂)によって特徴付けられる異常な増殖表現型を示す。新生物細胞は悪性又は良性であり得る。「転移性細胞又は組織」は、細胞が隣接する身体構造に侵入し、破壊することができることを意味する。
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド又はその類似体のいずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、任意の機能を果たすことができる。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST又はSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、siRNA、shRNA、RNAi剤、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される、あるいは、当技術分野で公知の、様々な改変又は置換のいずれかを用いて、1つ又は複数の塩基、糖及び/又はリン酸で改変又は置換することができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの改変されたヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチド構造の改変は、存在する場合には、ポリマーのアセンブリの前又は後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断することができる。ポリヌクレオチドは、重合の後、例えば標識成分とのコンジュゲーションによりさらに改変することができる。この用語はまた、二本鎖分子及び一本鎖分子の両方を指す。特に明記しない限り、ポリヌクレオチドである本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態及び二本鎖形態を構成することが公知又は予測される各々の二つの相補的一本鎖形態の両方を包含する。
用語「ポリペプチド」は、用語「タンパク質」と互換的に用いられ、その最も広い意味で、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体、又はペプチド模倣体の化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合によって連結することができる。別の実施形態では、サブユニットは、例えば、エステル、エーテルなどの他の結合によって連結されてもよい。
ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド領域(又はポリペプチド又はポリペプチド領域)が、別の配列に対して、ある百分率(例えば、80%、85%、90%、95%、98%又は99%)の「配列同一性」を有することは、整列させたとき、2つの配列を比較すると、その百分率の塩基(又はアミノ酸)は、同じであることを意味する。このアラインメント及びパーセント相同性又は配列同一性は、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubelら、編、(1987)Supplement30、section7.7.18、Table7.7.1に記載される、当該分野で公知のソフトウェアプログラムにより決定されることができる。好ましくは、アラインメントのためにデフォルトパラメータが使用される。好ましいアライメントプログラムは、デフォルトパラメータを用いるBLASTである。特に、好ましいプログラムはBLASTN及びBLASTPであり、以下のデフォルトパラメータを使用する:遺伝コード=標準;フィルター=なし;ストランド=両方;カットオフ=60;期待=10;マトリックス=BLOSUM62;説明=50シーケンス;並べ替え=HIGHSCORE;データベース=非冗長。
腫瘍増殖を「抑制すること」又は腫瘍増殖の「抑制」は、本発明の化合物に記載の抗IL−2抗体と接触させることをしない腫瘍増殖と比較して、本発明に化合物に記載の抗IL−2抗体と接触させた場合の腫瘍細胞増殖の減少を示す。腫瘍細胞の増殖は、当技術分野で公知の任意の手段によって評価することができ、腫瘍の大きさの測定、腫瘍細胞が3H−チミジン取り込みアッセイを用いて増殖しているかどうかの決定、FDG−PET(フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影)イメージングによるグルコース取込みの測定、又は腫瘍細胞の計数を含むが、これらに限定されない。腫瘍細胞の増殖を「抑制すること」は、次の状態のいずれか又は全てを意味する:腫瘍成長の減速、遅延及び停止、並びに腫瘍の収縮。「被験体」、「個体」又は「患者」は、本明細書中では交換可能に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳類には、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、及びペットが含まれるが、これらに限定されない。
抗IL−2抗体
第1の側面において、本発明は、ヒトIL−2に結合する単離された抗体又はその抗原結合部分を提供し、前記抗体又はその抗原結合部分は、表11に記載のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域及び表12に記載のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合部分は、表6又は表10に記載の軽鎖可変領域及び表5又は表10に記載の重鎖可変領域を含む重可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、単離された抗体は、表10又は表13に示されるような可変軽鎖及び可変重鎖を含む。
別の側面では、本発明は、ヒトIL−2に結合する抗体又はその断片の変異体を提供する。したがって、本発明は、例えば、それぞれ表5及び表6に示す、重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列のいずれかの重鎖又は軽鎖のいずれかの親抗体の重鎖可変領域配列及び/又は軽鎖可変領域配列の非CDR領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%同一である(少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する)重鎖可変領域配列及び/又は軽鎖可変領域配列の非CDR領域のアミノ酸配列を有する抗体又はその断片を提供する。同様に、重鎖又は軽鎖のいずれかの親抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域配列の非伸長CDR領域のアミノ酸配列と少なくとも80%同一である重鎖及び/又は軽鎖可変領域配列の非伸長CDR領域のアミノ酸配列を有する抗体又はその断片が、本発明により提供される。好ましくは、重鎖及び/又は軽鎖可変領域配列の非CDR領域又は非伸長CDR領域のアミノ酸配列同一性は、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、及び最も好ましくは少なくとも95%、特に96%、より特に97%、さらにより特に98%、最も特定に99%であり、例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び100%である。
本開示はまた、重鎖及び/又は軽鎖定常領域、特にヒト重鎖及び/又はヒト軽鎖定常領域をさらに含む、ヒトIL−2に結合する抗体又はその断片を提供する。ヒト重鎖定常領域は、IgG1(IGHG1)、IgG2(IGHG2)、IgG3(IGHG3)、IgG4(IGHG4)、IgAI(IGHAl)、IgA2(IGHA2)、IgM(IGHM)、IgD(IGHD)、又はIgE(lGHE)、からなるヒト免疫グロブリンの群から選択されてもよいが、ヒト重鎖定常領域IgG、特にIgG1(IGHG1)が好ましい。ヒト軽鎖定常領域は、カッパ(kappa)又はラムダ(lambda)定常領域からなるヒト免疫グロブリンの群から選択されてもよいが、ヒトカッパ定常領域が好ましい。好ましい実施形態では、ヒトIL−2に結合する抗体又はその断片は、ヒトIgG1(IGHG1)重鎖定常ドメイン及びヒト軽鎖カッパ定常ドメインを含む。
フレームワーク領域又はCDR領域内で行われる改変のための付加又は代替において、本発明の抗体は、Fc領域内の改変を含むように、設計することができ、典型的には、1つ又は複数の抗体の機能的特性、例えば血清半減期、補体固定、Fcレセプター結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害性などを改変するよう、設計することができる。
さらに、本発明の抗体は、化学修飾することができ(例えば、1つ以上の化学的部分は抗体に結合させることができる)、又はそのグリコシル化を改変するように修飾することができる。
本発明は、結果的にインビボにおいて半減期が変化したIL−2に特異的に結合する抗体を提供する。
多くの因子は、インビボでのタンパク質の半減期に影響する。例えば、腎臓ろ過、肝臓での代謝、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)による分解、及び免疫原性応答(例えば、抗体によるタンパク質中和及びマクロファージ及び樹状細胞による取り込みなど)などがある。本発明の抗体及びその抗原結合断片の半減期を延長するために、様々なストラテジーをとることができる。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、reCODEPEG、抗体足場、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合リガンド、及び炭水化物シールドへの化学結合;アルブミン、IgG、FcRnなどの血清タンパク質に結合するタンパク質への遺伝子融合、及び転写;ナノボディー、Fab、DARPins、アビマー、アフィボディー及びアンチカリンのような血清タンパク質に結合する他の結合部分に(遺伝学的に又は化学的に)カップリングさせることによって;rPEG、アルブミン、アルブミンドメイン、アルブミン結合タンパク質、及びFcとの遺伝的融合によって;又は徐放性製剤、医療機器、又はナノキャリアへの組み込みによる。
インビボでの抗体の血清循環を延長するために、高分子量PEGのような不活性ポリマー分子は、抗体のN末端又はC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーション、又はリジン残基上に存在するイプシロンアミノ基を介して、多官能性リンカーを有して、又は有さずに、抗体又はその断片に結合することができる。抗体をペグ化するためには、抗体、その抗原結合断片を、典型的には、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体のようなポリエチレングリコール(PEG)と、一つ又は複数のPEG基が抗体又は抗体断片に結合するようになる条件下で反応させる。ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアルキル化反応又はアシル化反応によって行うことができる。本明細書で使用されるとおり、用語「ポリエチレングリコール」は、モノ(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、又はポリエチレングリコール−マレイミドなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されたPEGの形態のいずれかを包含することを意図する。一実施形態では、ペグ化される抗体は、グリコシル化された抗体である。生物学的活性の損失を最小限にするために、線状又は分枝状ポリマー誘導体化が使用される。コンジュゲーションの程度は、PEG分子の抗体への適切なコンジュゲーションを確実にするために、SDS−PAGE及び質量分析によって綿密にモニターすることができる。未反応PEGは、サイズ排除又はイオン交換クロマトグラフィーによって抗体−PEGコンジュゲートから分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者に周知の方法を用いて、例えば本明細書に記載のイムノアッセイによって、結合活性及びインビボ有効性について試験することができる。タンパク質をPEG化するための方法は、当技術分野で公知であり、本発明の抗体及びその抗原結合断片に適用することができる。例えば、ニシムラらによるEP 0 154 316、及びイシカワらによるEP 0 401 384を参照。これらの各々は、参考として援用される。
他の改変されたペグ化技術には、tRNAシンテターゼ及びtRNAを含む再構成された系を介して生合成タンパク質に化学的に特定された側鎖を組み込む再構成化学的直交指向性工学技術(ReCODE PEG)が含まれる。この技術は、大腸菌、酵母、及び哺乳類細胞の生合成タンパク質に30以上の新しいアミノ酸を組み込むことを可能にする。tRNAは、アンバーコドンを終止コドンから化学的に特定されたアミノ酸の取り込みをシグナルするコドンへ変換し、アンバーコドンが配置された任意の場所に標準アミノ酸を組み込む。
組換えペグ化技術(rPEG)も、血清半減期延長に使用することができる。この技術は、300−600アミノ酸の非構造化タンパク質テイルを既存の医薬タンパク質に遺伝的に融合させることを含む。このような非構造化タンパク質鎖の見かけの分子量は実際の分子量の約15倍であるため、タンパク質の血清半減期は非常に長くなる。化学的コンジュゲーション及び再精製を必要とする従来のPEG化とは対照的に、製造プロセスは非常に単純化され、生成物は均質である。
ポリシアル化は天然ポリマーポリシアル酸(PSA)を使用して活性寿命を延長し、治療用ペプチド及びタンパク質の安定性を改善する別の技術である。PSAはシアル酸(糖)のポリマーである。タンパク質及び治療ペプチド薬物送達のために使用される場合、ポリシアル酸はコンジュゲーションにおいて保護微小環境を提供する。これは、循環中の治療用タンパク質の活性寿命を延ばし、免疫系によって認識されることを防ぐ。PSAポリマーは人体に天然に存在する。それは、ある種の細菌によって取り入れられ、何百万年にもわたって、PSAポリマーで、壁を覆うように進化した。そして、これらの天然のポリシアル化された細菌は、分子模倣により身体の防御システムを覆うことができた。自然の究極のステルス技術であるPSAは、このようなバクテリアから大量かつ所定の物理的特性で容易に製造することができる。バクテリアのPSAは、人体のPSAと化学的に同一であるため、タンパク質と結合しても完全に非免疫原性である。
別の技術は、抗体に結合したヒドロキシエチルデンプン(「HES」)誘導体の使用を含む。HESは、ワキシートウモロコシデンプン由来の改質天然ポリマーであり、身体の酵素によって代謝されることができる。HES溶液は、通常、不十分な血液量を代用し、血液のレオロジー特性を改善するために投与される。抗体のヘキシル化は、分子の安定性を増加させることにより、並びに腎クリアランスを減少させることによって循環半減期の延長を可能にし、生物学的活性を増加させる。異なるパラメータ、例えばHESの分子量を変化させることにより、広範囲のHES抗体コンジュゲートをカスタマイズすることができる。
インビボで増加した半減期を有する抗体は、1つ又は複数のアミノ酸改変(すなわち、置換、挿入又は欠失)をIgG定常ドメイン又はそのFcRn結合断片(好ましくは、Fc又はヒンジFcドメイン断片)に導入することで、生成することもできる。例えば、PCT国際公開WO98/23289;PCT国際公開WO97/34631;及び米国特許第6277375号を参照。これらの各々は、参考として援用される。
さらに、抗体又は抗体断片をインビボでより安定にするために、又はインビボでより長い半減期を有するように、抗体をアルブミンにコンジュゲートさせることができる。これらの技術は当該技術分野において周知であり、例えば、PCT国際公開WO93/15199、WO93/15200、及びWO01/77137;及び欧州特許第EP413622号を参照。これらの各々は、参考として援用される。
半減期を増加させるためのストラテジーは、増大したインビボ半減期が望ましいナノボディー、フィブロネクチンベースの結合剤、及び他の抗体又はタンパク質において特に有用である。
別の実施形態において、抗体は、その生物学的半減期を増加させるように改変される。さまざまなアプローチが可能である。例えば、Wardの米国特許第6277375号に記載されるとおり、次の変異:T252L、T254S、T256Fの1つ又は複数を導入することができ、これらの各々は、参考として援用される。あるいは、Prestaらによる米国特許第5869046号及び第6121022号に記載されるとおり、生物学的半減期を増加させるために、抗体をCH1又はCL領域内で改変して、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取ったサルベージ受容体結合エピトープを含むことができ、これらの各々は、参考として援用される。
一実施形態では、本発明による抗体は、表1に記載の軽鎖及び重鎖を含む。
1、核酸、ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、本発明の抗IL−2抗体又はその一部を発現する細胞株を対象とする。本発明の抗体を産生する細胞株の作製及び単離は、当該分野で公知の標準的な技術を用いて達成することができる。CHO細胞株が好ましい(バージニア州マナッサスのAmerican Type Culture Collection、ATCCなどの公的な貯蔵所から入手可能)。
本発明の抗体を発現するために、原核及び真核発現系(例えば、酵母、バキュロウイルス、植物、哺乳動物及び他の動物細胞、トランスジェニック動物、及びハイブリドーマ細胞)及びファージディスプレイ発現系を含む、多種多様な宿主発現系を用いることができる。適切な細菌発現ベクターの一例はpUC119であり、適切な真核生物発現ベクターは、弱化dhfr選択系を有する改変されたpcDNA3.1ベクターである。
他の抗体発現系も当該分野で公知である。
本発明の抗体は、当業者に周知のとおり、宿主細胞中の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子の組換え発現によって調製することができる。組換えにより抗体を発現させるために、宿主細胞は、軽鎖及び/又は重鎖が宿主細胞で発現されるように、抗体の免疫グロブリン軽鎖及び/又は重鎖をコードするDNA断片を有する一つ又は複数の組換え発現ベクターで、形質転換、形質導入、感染などされる。重鎖及び軽鎖は、同じ又は異なる宿主細胞において発現され得る。好ましくは、組換え抗体は宿主細胞が培養される培地中に分泌され、そこから抗体を回収又は精製することができる。
抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、そのベクターを宿主細胞に導入するために、標準的な組換えDNA法が使用される。そのような標準的な組換えDNA技術は、例えば、Green及びSambrook(編)、分子クローニング;ラボラトリーマニュアル、第4版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、2012に記載される。
一実施形態では、本発明は、ベクター、好ましくは(これに限定されないが、)、プラスミド、組換え発現ベクター、酵母発現ベクター、又は本発明の抗IL−2抗体をコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルス発現ベクターを提供する。ベクターにおけるコード領域は、任意のサイズ又は含量のリンカー配列によって分離されてもよく、好ましくは、そのようなリンカーは、存在する場合、内部リボソーム侵入部位をコードするポリヌクレオチドである。
本発明の抗体を発現させるために、表41に記載のとおり、部分アミノ酸鎖をコードするDNAは、発現ベクターに挿入され、遺伝子が転写制御配列及び翻訳制御配列に作動可能に連結されるようにする。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。さらに、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗IL−2抗体の軽鎖及び/又は重鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端に作動可能にインフレームで連結されるように、抗IL−2抗体軽鎖及び/又は重鎖遺伝子は、ベクターにクローニングされることが可能である。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチドであり得る。
軽鎖及び/又は重鎖の発現のために、重鎖及び/又は軽鎖をコードする発現ベクターは、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクション、形質導入、感染などの、標準技術によって宿主細胞に導入される。原核又は真核宿主細胞のいずれかにおいて本発明の抗体を発現させることは理論的に可能であるが、真核細胞が好ましく、哺乳動物宿主細胞が最も好ましい。なぜなら、このような細胞は、適切に折りたたまれた免疫学的に活性な抗体を集成して分泌する可能性がより高いからである。
本発明の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞は、例えば、Urlaub及びChasin、米国科学アカデミー紀要USA77:4216−20、1980に記載のとおり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入される場合、抗体は、宿主細胞において抗体の発現を可能にするのに十分な時間、より好ましくは、当該分野で公知の適切な条件下で、宿主細胞において抗体の培養培地への分泌が増加するのに十分な時間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準的な精製方法を用いて、宿主細胞及び/又は培地から回収することができる。
IL−2変異体
本発明の特定の実施形態では、野生型(wt)のヒトIL−2が使用される。それはUniProtID番号P60568を有し、配列番号109として再現される。ヒトIL−2の別の例は、PCT国際公開WO2012/107417A1に開示されたIL−2ムテインであり、wthIL−2と比較して3つの変異を有する。アルデスロイキン(商品名プロロイキン(登録商標))は、当業者に周知のヒトIL−2の変異体の別の例であり、配列番号110により本明細書に表される。IL−2変異体の他の例は、表2に示すとおり、非アルファ(no−alpha)ムテイン及びIL−2スーパーカイン(Superkine)である。
IL−2/抗IL−2抗体の組み合わせ
一実施形態では、上記抗体又はその抗原結合部分は、上述のとおり、ヒトIL−2又はIL−2変異体と組み合わせられる。
この組み合わせは、IL−2:抗体結合部位が、1:1、2:1、又は他の割合を有する予め作製された混合物であり得る。
一実施形態では、抗IL−2抗体及びIL−2は、抗体の第一の注射、及びその後の抗IL−2抗体/IL−2の組み合わせの注射によって連続的に投与される。
別の実施形態において、抗IL−2抗体及びIL−2は、抗IL−2抗体/IL−2の組み合わせの第一の注射、及びその後のIL−2の注射によって、連続して投与される。
医薬組成物
本開示の医薬組成物は、併用療法で、すなわち他の薬剤と併用療法で投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の抗炎症剤又は別の化学療法剤と組み合わせた本開示に記載のIL−2抗体又はその断片を含み得る。併用療法で使用することができる治療薬の例は、以下の併用療法の項で詳述される。
本明細書中で使用されるとおり、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合する任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば注射又は注入による)に適していなければならない。一実施形態では、担体は皮下経路に適しているべきである。投与経路に依存する活性化合物、すなわち抗体、免疫抱合体、又は二重特異性分子は、化合物を不活性化し得る酸及び他の天然条件の作用から化合物を保護する材料で被覆され得る。
本開示の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒物学的作用を与えない塩を意味する(例えば、Berge、S.Mら、1977、J.Pharm.Sci、66:1−19参照)。このような塩の例としては、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などの非毒性無機酸に由来するもの、並びに脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの非毒性有機酸に由来するものを含む。塩基付加塩は、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属に由来するもの、並びにN、N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミンに由来するものを含む。
本開示の医薬組成物はまた、薬学的に許容される抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される酸化防止剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤:を含む。
本開示の医薬組成物において採用され得る適切な水性及び非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油、及び例えばオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、並びに界面活性剤の使用より維持することができる。
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のようなアジュバントを含有してもよい。微生物の存在の防止は、滅菌手順と、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など種々の抗菌剤及び抗真菌剤を含めることの両方により保証され得る。例えば、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射用医薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤の包含によってもたらされ得る。
薬学的に許容される担体は、滅菌注射溶液又は分散液の即時調製のために、滅菌水性溶液又は分散液及び滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本開示の医薬組成物におけるその使用が企図される。補充活性化合物も組成物に組み込むことができる。
治療用組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、例えば糖のような等張剤、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムのようなポリアルコールを組成物中に含むことができる。注射用組成物の長期吸収は、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を組成物中に含めることによってもたらされ得る。
安定なタンパク質(例えば、抗体)処方の開発に関するレビューは、Clelandら、1993、Crit.Reviews.Ther.Drug Carrier Systems10(4):307−377及びWeiWang 1999、Int.J.Pharmaceutcs 185:129−88で見ることができる。抗体についてのさらなる処方の議論は、例えば、Daugherty及びMrsny 2006、Advanced Drug Delivery Reviews 58:686−706;米国特許第6171586号、第4618486号、米国公開第20060286103号、PCT国際公開 WO06/044908、WO07/095337、WO04/016286、Colandeneら、2007、J.Pharm.Sci96:1598−1608;Schulman 2001、Am.J.Respir.Crit.Care Med、164:S6−S11及び他の既知の参考文献で見ることができ、これらの各々は、参考として援用される。
皮内又は皮下適用に使用される溶液又は懸濁液は、典型的には、次の成分:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩のような緩衝剤、及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような張度調整剤のうちの一つ以上を含む。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調節することができる。そのような調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は複数回投与バイアルに封入することができる。
滅菌注射溶液は、活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分の一つ又は組合せと共に、適切な溶媒中に必要な量で組み込み、次いで滅菌精密濾過することによって調製することができる。一般に、分散液は、本開示の抗体又はタンパク質を、基本的な分散媒体及び上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、予め滅菌濾過されたその溶液からの有効成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じる真空乾燥及び凍結乾燥(凍結乾燥)である。
一つの特定の実施形態では、本開示に記載の抗体は、バイアル中の液体製剤として投与された。バイアルあたりの薬物量は150mgであった。液体は、pH6.0±0.5で150mg/mLの抗体、4.8mMのL−ヒスチジン、15.2mMのL−ヒスチジンHCl 220mMのスクロース、及び0.04%のポリソルベート20を含有した。意図する用量の完全な除去を可能にするために、20%の過剰充填が加えられた。
治療及びその他の用途
本発明の抗体は、IL−2依存性病態生理を伴う障害の診断及び治療を含む多くのインビトロ及びインビボの診断的及び治療的有用性を有する。例えば、これらの分子は、IL−2依存性病態生理を伴う様々な障害を治療、予防及び診断するために、培養液中の、インビトロ又はエクスビボの、又は例えばインビボなどのヒト被験体の細胞に投与することができる。
したがって、一実施形態では、本発明は本明細書中に開示されるとおり、抗IL−2抗体の治療有効量を対象に投与することを含む対象における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。一実施形態では、本方法はインビボでの癌の治療に適している。一実施形態では、IL−2に対する抗体は、IL−2との組み合わせのように、IL−2と一緒に投与される。
IL−2に対する抗体が1つ以上の薬剤と組み合わせて投与される場合、その組み合わせは、いずれかの順序で、又は同時に投与することができる。
別の側面では、対象において、例えば、増殖状態又は障害(例えば、癌)、例えば固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変などを軽減又は改善して対象を治療する方法が提供される。
癌という用語は、組織病理学的タイプ又は侵襲性のステージに関係なく、あらゆるタイプの癌性増殖又は発癌プロセス、転移組織又は悪性に形質転換された細胞、組織又は器官を含むことを意味する。癌性疾患の例には、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、及び転移性病変が含まれるがこれらに限定されない。固形腫瘍の例には、悪性腫瘍を含み、例えば、肺、乳房、リンパ系、胃腸(例え結腸)、尿生殖路(例えば腎臓、尿路上皮細胞)、前立腺及び咽頭に影響を与えるものなど、様々な臓器系の肉腫、腺癌、及び癌腫などを含む。腺癌は、大腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸癌及び食道癌のような悪性腫瘍が含まれる。一実施形態において、癌はメラノーマであり、例えば進行期のメラノーマである。前述の癌の転移性病変は、本発明の方法及び組成物を用いて治療又は予防することもできる。
本明細書中に開示される抗体分子を用いて増殖が阻害され得る例示的な癌としては、典型的には免疫療法に応答する癌を含む。治療に好ましい癌の非限定的な例としては、メラノーマ(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば明細胞性癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺癌)、乳癌、結腸癌及び肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を含む。さらに、難治性又は再発性悪性腫瘍は、本明細書に記載の抗体分子を用いて治療することができる。
治療できる他の癌の例には、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部又は頸部の癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門癌、胃食道、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道、陰茎の癌、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)腫瘍、原発性CNSリンパ腫、腫瘍脈管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、例えばアスベストに起因するものを含む環境に起因する癌、及び前記癌の組み合わせを含む。
他の実施形態では、癌は血液悪性腫瘍又は癌であり、白血病又はリンパ腫に限定されないが、これらが含まれる。例えば抗IL−2療法は、例えばB細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)に限定されないが、これらを含む癌及び悪性腫瘍;例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)に限定されないが、これらを含む一つ以上の慢性白血病;さらに、例えば、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、毛状細胞白血病、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ増殖性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、骨髄性血液細胞の非効果的な産生(又は異形成)によって結びついた血液学的状態が、様々に寄せ集められたものである前白血病などに限定されないが、これらを含む血液癌又は血液学的状態;を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、リンパ腫(例えば、未分化大細胞リンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)は、ALK転座、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。
一実施形態では、癌は、肺癌(例えば非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば扁平及び/又は非扁平上皮組織構造を有するNSCLC))、メラノーマ(例えば進行性黒色腫)、腎癌(例えば腎細胞癌、例えば透明細胞腎細胞癌)、肝臓癌、骨髄腫(例えば多発性骨髄腫)、前立腺癌、乳癌(例えばエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、又はHer2/neuの一つ、二つ又は全てを発現しない乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌)、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌(HNSCC))、肛門癌、胃食道癌、甲状腺癌、子宮頸癌、リンパ増殖性疾患(例えば移植後リンパ増殖性疾患)又は血液学的癌、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、又は白血病(例えば骨髄性白血病)から選択される。
別の実施形態では、癌は、癌腫(例えば、進行癌又は転移性癌)、メラノーマ又は肺癌(例えば、非小細胞肺癌)から選択される。
一実施形態では、癌は肺癌であり、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)である。特定の実施形態では、肺癌、例えば非小細胞肺癌は、ALK再構成又は転位、例えばALK融合、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。
別の実施形態において、癌は炎症性筋線維芽細胞腫(IMT)である。特定の実施形態では、炎症性筋線維芽細胞腫瘍は、ALK再構成又は転位、例えばALK融合、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。
他の実施形態では、癌はNSCLCであり、NSCLCは、表皮成長因子受容体(EGFR)の異常な活性化、増幅、又は変異:の一つ以上によって特徴付けられる。特定の実施形態では、癌は、NSCLCであり、NSCLCは、EGFRエクソン20挿入、EGFRエクソン19欠失、EGFRL858R変異、EGFRT790M、又はそれらの任意の組み合わせを有することよって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、NSCLCは、EGFRのL858R及びT790M変異を有することよって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、NSCLCは、EGFRのエクソン20挿入及びEGFRのT790M変異を有することよって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、NSCLCは、EGFRのエクソン19欠失及びEGFRのT790M変異を有することよって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、NSCLCは、エクソン20挿入、エクソン19欠失、L858R変異、T790M変異、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるEGFR変異を有することよって特徴付けられる。
さらに別の実施形態において、癌は神経芽細胞腫である。
特定の実施形態では、神経芽細胞腫は、ALK転位又は転座、例えばALK融合、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。
本明細書に開示される方法及び組成物は、前述の癌に関連する転移性病変を治療するために有用である。
別の実施形態において、ウイルス感染、例えば慢性ウイルス性肝炎の有無にかかわらず、癌は肝細胞癌であり、例えば進行性肝細胞癌である。
別の実施形態では、癌は前立腺癌であり、例えば進行した前立腺癌である。
さらに別の実施形態において、癌は骨髄腫、例えば多発性骨髄腫である。
さらに別の実施形態において、癌は腎臓癌、例えば腎細胞癌(RCC)である(例えば、転移性RCC又は透明細胞腎細胞癌)。
一実施形態では、癌はメラノーマであり、例えば進行したメラノーマである。一実施形態では、癌は、他の療法に応答しない進行性又は切除不能な黒色腫である。他の実施形態では、癌はBRAF変異を有するメラノーマである(例えばBRAF V600変異)。
別の実施形態において、癌は炎症性筋線維芽細胞腫(IMT)である。特定の実施形態では、炎症性筋線維芽細胞腫瘍は、ALK再構成又は転座、例えばALK融合、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。
さらに別の実施形態において、癌は神経芽細胞腫である。特定の実施形態では、神経芽細胞腫は、ALK再構成又は転座、例えばALK融合、例えばEML4−ALK融合を有する、あるいは有するとして同定される。本明細書に開示される方法及び組成物は、前述の癌に関連する転移性病変を治療するために有用である。
併用療法
本開示の抗体又はその抗原結合部分は、単独の活性成分として、又は例えばアジュバントとして併用して、又は例えば、上述の疾患の治療又は予防のための免疫調節剤又は細胞傷害性又は抗癌剤などの他の薬物と組み合わせて、投与することができる。
1.例示的なSTINGアゴニスト
一実施形態では、組み合わせはSTINGアゴニストを含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、例えば、本明細書に記載の癌、例えば、固形腫瘍(例えば、乳癌、扁平上皮癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、軟部組織肉腫、メラノーマ、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮内膜癌 、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ性白血病(CLL)又はリンパ腫(境界域B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など)))などの癌を治療するために使用される。
いくつかの実施形態では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチドであり、例えば、プリン又はピリミジン核酸塩基(例えば、アデノシン、グアニン、ウラシル、チミン又はシトシン核酸塩基)を含む環状ジヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、環状ジヌクレオチドの核酸塩基は、同じ核酸塩基又は異なる核酸塩基を含む。
いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、アデノシン又はグアノシン核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、STINGアゴニストは、一つのアデノシン核酸塩基及び一つのグアノシン核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、二つのアデノシン核酸塩基又は二つのグアノシン核酸塩基を含む。
いくつかの実施形態では、STINGアゴニストは、改変環状ジヌクレオチドを含み、例えば、改変された核酸塩基、改変されたリボース、又は改変されたリン酸結合を含む。いくつかの実施形態では、改変された環状ジヌクレオチドは、改変されたホスフェート結合、例えばチオホスフェートを含む。
いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、2’、5’又は3’、5’リン酸結合を有する環状ジヌクレオチド(例えば、改変環状ジヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、リン酸結合の周囲にRp又はSp立体化学を有する環状ジヌクレオチド(例えば、改変された環状ジヌクレオチド)を含む。
いくつかの実施形態では、STINGアゴニストは、Rp、Rpジチオ2’、3’c−ジ−AMP(例えばRp、Rp−ジチオc−[A(2’、5’)pA(3’、5’)p])、又はその環状ジヌクレオチド類似体である。いくつかの実施形態では、STINGアゴニストは、米国特許出願公開第2015/0056224号(例えば図2cの化合物の例、例えば化合物21又は化合物22)に示される化合物である。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、c−[G(2’、5’)pG(3’、5’)p]、そのジチオリボースO−置換誘導体、又はPCT国際公開WO2014/189805及びWO2014/189806の図4に示される化合物であり、これらの各々は、参考として援用される。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、c−[A(2’、5’)pA(3’、5’)p]又はそのジチオリボースO−置換誘導体であるか、あるいはPCT国際公開WO2014/189805及びWO2014/189806の図5に示される化合物である。いくつかの実施形態において、STINGアゴニストは、2’−O−プロパルギル−環状−[A(2’、5’)pA(3’、5’)p](2’−O−プロパルギル−ML−CDA)又はPCT国際公開WO2014/189806の図7に示されている化合物であり、参考として援用される。
他の例示的なSTINGアゴニストは、例えばPCT国際公開WO2014/189805及びWO2014/189806、及び米国特許出願公開第2015/0056225号に開示されており、これらの各々は、参考として援用される。
2.例示的なPD−1インヒビター
一実施形態では、組み合わせは、抗PD−1又は抗PD−1リガンド(PD−L1)抗体分子を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、例えば固形腫瘍(例えば乳癌、扁平上皮癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、軟部組織肉腫、メラノーマ、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮内膜癌 、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ性白血病(CLL)又はリンパ腫(境界域B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など)))など、例えば本明細書に記載の癌を治療するために使用される。
抗PD−1抗体分子の例示的な非限定的な組合せ及び使用は、2015年7月30日に公開された「抗体分子からPD−1及びその使用」と題する米国特許出願第2015/0210769に開示され、全てが参考として本明細書に援用される。
一実施形態では、抗PD−1抗体分子は、BAP049−クローン−A、BAP049−クローン−B、BAP049−クローン−C、BAP049−クローン−D、又はBAP049−クローン−E;あるいは、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に記載されるとおり、若しくは、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1のヌクレオチド配列によってコードされる;あるいは、前述の配列のいずれかに実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性)のアミノ酸配列を含む、少なくとも一つ又は二つの重鎖可変ドメイン(任意に定常領域を含む)、少なくとも一つ又は二つの軽鎖可変ドメイン(任意に定常領域を含む)、あるいは両方を含む。抗PD−1抗体分子は、任意に、米国特許出願公開第2015/0210769号の表4に示されるとおり、重鎖、軽鎖、又はその両方由来のリーダー配列を含む。
さらに別の実施形態では、抗PD−1抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えば、BAP049−hum01,BAP049−hum02,BAP049−hum03,BAP049−hum04,BAP049−hum05,BAP049−hum06,BAP049−hum07,BAP049−hum08,BAP049−hum09,BAP049−hum10,BAP049−hum11,BAP049−hum12,BAP049−hum13,BAP049−hum14,BAP049−hum15,BAP049−hum16,BAP049−Clone−A,BAP049−Clone−B,BAP049−Clone−C,BAP049−Clone−D,又はBAP049−Clone−E;あるいは、米国特許出願公開第2015/0210769の表1に記載される、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1のヌクレオチド配列によってコードされる;あるいは、前述の配列のいずれかに実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性)のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ又は3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに別の実施形態では、抗PD−1抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示される、又は表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は総称してCDRのすべて)は、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に関連する、例えばアミノ酸置換又は欠失など、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ又はそれ以上の変化を有する。
さらに別の実施形態では、抗PD−1抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、1つ又は複数のCDR(又は集合的に全てのCDR)は、例えば米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に関連する例えばアミノ酸置換又は欠失など、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ又はそれ以上の変化を有する。特定の実施形態では、抗PD−1抗体分子は、軽鎖のCDR、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2及び/又はCDR3における1つ又は複数の置換を含む。一実施形態では、抗PD−1抗体分子は、軽可変領域の102位の軽鎖CDR3における置換を含み、例えば米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に記載の軽可変領域の102位のシステインからチロシン、又はシステインからセリン残基への置換(例えば改変されないマウス又はキメラの場合は配列番号16又は24、又は改変された配列の場合は、配列番号:34,42,46,54,58,62,66,70,74又は78のいずれか)を含む。
別の実施形態では、抗PD−1抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDR(又は集合的にCDRの全て)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は集合的にCDRの全て)は、例えば米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に関連する、例えばアミノ酸の置換又は欠失など、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の変化を有する。
一実施形態では、抗PD−1抗体分子は、下記を含む:
(a)それぞれ米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に開示される、配列番号4のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号5のVHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のVHCDR3を含む重鎖可変領域(VH);及び配列番号13のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号14のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号33のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL);
(b)それぞれ米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に開示される、配列番号1から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号2のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含むVH;及び配列番号10のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号11のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号32のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;
(c)それぞれ米国特許出願公開2015/0210769の表1に開示される、配列番号224のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号5のVHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含むVH;及び配列番号13のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号14のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号33のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;又は、
(d)それぞれ米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に開示される、配列番号224のVHCDR1アミノ酸配列;配列番号2のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含むVH;及び配列番号10のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号11のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号32のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL。
本明細書の以下の組み合わせでは、別の実施形態において、抗PD−1抗体分子は、それぞれ米国特許出願公開第2015/0210769号の表1に開示される、(i)配列番号1、配列番号4、又は配列番号224から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号2又は配列番号5のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列;を含む重鎖可変領域(VH)、及び(ii)配列番号10又は配列番号13のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号11又は配列番号14のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号32又は配列番号33のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
他の実施形態では、PD−1阻害剤は、ニボルマブ(Nivolumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)又はピディリズマブ(Pidilizumab)から選択される抗PD−1抗体である。
一実施形態では、抗PD−1抗体はニボルマブである。ニボルマブの代替名には、MDX−1106、MDX−1106−04、ONO−4538、又はBMS−936558が含まれる。いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号:946414−94−4)である。ニボルマブは、PD1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)及びPD1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8008449号及びPCT国際公開WO2006/121168に開示されている。一実施形態では、PD−1の阻害剤は、ニボルマブであり、本明細書に開示される配列を有する(又はそれと実質的に同一又はその類似の配列、例えば、指定された配列と少なくとも85%、90%、95%同一又はそれ以上の同一性の配列)。
いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体は、ペムブロリズマブである。ペムブロリズマブ(Lambrolizumab、MK−3475、MK03475、SCH−900475又はKEYTRUDA(登録商標);Merckとも呼ばれる)は、PD−1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブ及び他のヒト化抗PD−1抗体は、Hamid,O.ら(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134−44、米国特許第8354509号及びPCT国際公開WO2009/114335に開示される。
一実施形態では、PD−1の阻害剤は、例えば、米国特許第8354509号及びPCT国際公開WO2009/114335に開示されたペムブロリズマブであり、本明細書に開示された配列を有する(又はそれと実質的に同一又は類似の配列、例えば少なくとも指定された配列と85%、90%、95%同一又はそれ以上の同一性の配列)。
いくつかの実施形態では、抗PD−1抗体はピディリズマブである。ピディリズマブ(CT−011;Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピディリズマブ及び他のヒト化抗PD−1モノクローナル抗体は、PCT国際公開WO2009/101611に開示されている。
他の抗PD1抗体は、中でも、AMP514(Amplimmune)を含み、例えば米国特許第8609089号、米国特許出願公開第2010028330号及び/又は米国特許出願公開第20100114649号に開示される抗PD1抗体が含まれる。
いくつかの実施形態では、PD−1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD−L1又はPD−L2の細胞外又はPD−1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、PD−1阻害剤は、AMP−224(例えばPCT国際公開WO2010/027827及びWO2011/066342に開示される、B7−DCIg; Amplimmune社)であり、PD−1とB7−H1との間の相互作用をブロックするPD−L2 Fc融合可溶性受容体である。
3.例示的なTIM−3阻害剤
一実施形態では、この組み合わせは、TIM−3阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、この組み合わせは、例えば本明細書に記載の癌、例えば固形腫瘍(例えば乳癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮体癌、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、又はリンパ腫(例えば、辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫))などの癌を治療するために使用される。
一実施形態では、本明細書に記載の組み合わせは、TIM−3阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、この組み合わせは、癌を治療するために使用され、例えば本明細書に記載の癌、例えば固形腫瘍又は血液悪性腫瘍を治療するために使用される。
抗TIM−3抗体分子の例示的な非限定的な組合せ及び使用は、「TIM−3に対する抗体分子及びその使用」と題する2015年8月6日に公開された米国特許出願公開第2015/0218274号に開示され、その全体が本明細書に参考として援用される。
一実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、ABTIM3,ABTIM3−hum01,ABTIM3−hum02,ABTIM3−hum03,ABTIM3−hum04,ABTIM3−hum05,ABTIM3−hum06,ABTIM3−hum07,ABTIM3−hum08,ABTIM3−hum09,ABTIM3−hum10,ABTIM3−hum11,ABTIM3−hum12,ABTIM3−hum13,ABTIM3−hum14,ABTIM3−hum15,ABTIM3−hum16,ABTIM3−hum17,ABTIM3−hum18,ABTIM3−hum19,ABTIM3−hum20,ABTIM3−hum21,ABTIM3−hum22,ABTIM3−hum23;又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に記載の通り;又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4のヌクレオチド配列によってコードされる;又は、上記の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性のある配列);のアミノ酸配列を含む、少なくとも1つ又は2つの重鎖可変ドメイン(任意に定常領域を含む)、少なくとも1つ又は2つの軽鎖可変ドメイン(任意に定常領域を含む)、又は両方を含む。抗TIM−3抗体分子は、任意に、米国特許出願公開第2015/0218274号に示されるとおり、重鎖、軽鎖、又は両方からのリーダー配列を含み;又はそれと実質的に同一の配列を含む。
さらに別の実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えばABTIM3,ABTIM3−hum01,ABTIM3−hum02,ABTIM3−hum03,ABTIM3−hum04,ABTIM3−hum05,ABTIM3−hum06,ABTIM3−hum07,ABTIM3−hum08,ABTIM3−hum09,ABTIM3−hum10,ABTIM3−hum11,ABTIM3−hum12,ABTIM3−hum13,ABTIM3−hum14,ABTIM3−hum15,ABTIM3−hum16,ABTIM3−hum17,ABTIM3−hum18,ABTIM3−hum19,ABTIM3−hum20,ABTIM3−hum21,ABTIM3−hum22,ABTIM3−hum23;又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に記載の通り;又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4のヌクレオチド配列によってコードされる;又は、上記の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性のある配列);のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つ又は3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに別の実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ以上(又は集合的にすべてのCDR)は、国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ、又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。
さらに別の実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、国特許出願公開第2015/0218274の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ以上(又は集合的にすべてのCDR)は、国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ、又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。
特定の実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、軽鎖CDRにおける置換、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2及び/又はCDR3における1つ又は複数の置換を含む。
別の実施形態では、抗TIM−3抗体分子は、国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖の可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ以上(又は集合的にすべてのCDR)は、国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示される、又は、米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ、又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。
一実施形態では、抗TIM−3抗体分子は以下を含む:
(a)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号9から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号10のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含む重鎖可変領域(VH)、かつ、配列番号12のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号13のVLCDR2アミノ酸配列、配列番号14のVLCDR3アミノ酸配列からなる軽鎖可変領域(VL);
(b)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号3から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号4のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含むVH、かつ、配列番号6のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号7のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号8のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;
(c)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号9から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号25のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含むVH、かつ、配列番号12のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号13のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号14のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;
(d)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号3から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号24のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含むVH、かつ、配列番号6のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号7のVLCDR2アミノ酸配列及び配列番号8のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;
(e)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号9から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号31のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含むVH、かつ、配列番号12のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号13のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号14のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL;又は
(f)米国特許出願公開第2015/0218274号の表1〜4にそれぞれ開示される、配列番号3から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号30のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号5のVHCDR3アミノ酸配列;を含むVH、かつ、配列番号6のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号7のVLCDR2アミノ酸配列及び配列番号8のVLCDR3アミノ酸配列を含むVL。
例示的な抗TIM−3抗体は、米国特許第8552156号、PCT国際公開WO2011/155607、欧州特許EP2581113及び米国特許出願公開第2014/044728号に開示される。
4.例示的なLAG−3阻害剤
一実施形態では、組み合わせは、LAG−3阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、癌、例えば本明細書に記載の癌、例えば固形腫瘍(例えば、乳癌、扁平上皮癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、軟部組織肉腫、メラノーマ、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、又はリンパ腫(例えば、辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)))を治療するために使用される。
一実施形態では、本明細書に記載の組み合わせは、LAG−3阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、癌を治療するために使用され、例えば本明細書に記載の癌、例えば固形腫瘍又は血液悪性腫瘍を治療するために使用される。
抗LAG−3抗体分子の例示的な非限定的な組み合わせ及び使用は、「抗体分子対LAG−3及びその使用」と題する2015年9月17日に公開された米国特許出願公開第2015/0259420号に開示され、その全体が参照により本明細書に援用される。
一実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、BAP050−hum01,BAP050−hum02,BAP050−hum03,BAP050−hum04,BAP050−hum05,BAP050−hum06,BAP050−hum07,BAP050−hum08,BAP050−hum09,BAP050−hum10,BAP050−hum11,BAP050−hum12,BAP050−hum13,BAP050−hum14,BAP050−hum15,BAP050−hum16,BAP050−hum17,BAP050−hum18,BAP050−hum19,BAP050−hum20,huBAP050(Ser)(例えばBAP050−hum01−Ser,BAP050−hum02−Ser,BAP050−hum03−Ser,BAP050−hum04−Ser,BAP050−hum05−Ser,BAP050−hum06−Ser,BAP050−hum07−Ser,BAP050−hum08−Ser,BAP050−hum09−Ser,BAP050−hum10−Ser,BAP050−hum11−Ser,BAP050−hum12−Ser,BAP050−hum13−Ser,BAP050−hum14−Ser,BAP050−hum15−Ser,BAP050−hum18−Ser,BAP050−hum19−Ser,又はBAP050−hum20−Ser),BAP050−Clone−F,BAP050−Clone−G,BAP050−Clone−H,BAP050−Clone−I,又はBAP050−Clone−J;又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に記載のとおり;又は、米国特許出願公開第2015/025942号の表1のヌクレオチド配列によってコードされる;又は、上記の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%,85%,90%,92%,95%,97%,98%,99%又はそれ以上の同一性のある配列);のいずれかのアミノ酸配列を含む、少なくとも1つ又は2つの重鎖可変ドメイン(任意で定常領域を含む)、少なくとも1つ又は2つの軽鎖可変ドメイン(任意で定常領域を含む)又はその両方を含む。
さらに別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えばBAP050−hum01,BAP050−hum02,BAP050−hum03,BAP050−hum04,BAP050−hum05,BAP050−hum06,BAP050−hum07,BAP050−hum08,BAP050−hum09,BAP050−hum10,BAP050−hum11,BAP050−hum12,BAP050−hum13,BAP050−hum14,BAP050−hum15,BAP050−hum16,BAP050−hum17,BAP050−hum18,BAP050−hum19,BAP050−hum20,huBAP050(Ser)(例えばBAP050−hum01−Ser,BAP050−hum02−Ser,BAP050−hum03−Ser,BAP050−hum04−Ser,BAP050−hum05−Ser,BAP050−hum06−Ser,BAP050−hum07−Ser,BAP050−hum08−Ser,BAP050−hum09−Ser,BAP050−hum10−Ser,BAP050−hum11−Ser,BAP050−hum12−Ser,BAP050−hum13−Ser,BAP050−hum14−Ser,BAP050−hum15−Ser,BAP050−hum18−Ser,BAP050−hum19−Ser,又はBAP050−hum20−Ser),BAP050−Clone−F,BAP050−Clone−G,BAP050−Clone−H,BAP050−Clone−I,又はBAP050−Clone−J;米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に記載のとおり;又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1のヌクレオチド配列によってコードされる;又は、上記の配列のいずれかと実質的に同一の配列(例えば、少なくとも80%,85%,90%,92%,95%,97%,98%,99%又はそれ以上の同一性のある配列);のいずれかから選択される抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つ又は3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は集合的にすべてのCDR)は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。
さらに別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、又は3つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は集合的にすべてのCDR)は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6つ又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。特定の実施形態では、抗PD−L1抗体分子は、軽鎖のCDR、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2及び/又はCDR3における1つ又は複数の置換を含む。
別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖の可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDR(又は集合的にすべてのCDR)を含む。一実施形態では、CDRの1つ又は複数(又は集合的にすべてのCDR)は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるアミノ酸配列、又は、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、1つ,2つ,3つ,4つ,5つ,6又はそれ以上の変化、例えばアミノ酸置換又は欠失を有する。
一実施形態では、抗LAG−3抗体分子は:
(i)米国特許出願公開第2015/0259420号の表1にそれぞれ開示される、配列番号1、配列番号4又は配列番号286から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号2のVHCDR2アミノ酸配列;及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);、かつ、
(ii)米国特許出願公開第2015/0259420号の表1にそれぞれ開示される、配列番号10のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号11のVLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号12のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は:
(i)米国特許出願公開第2015/0259420号の表1にそれぞれ開示される、配列番号1、配列番号4又は配列番号286から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号5のVHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);かつ、
(ii)米国特許出願公開第2015/0259420号の表1にそれぞれ開示される、配列番号13のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号14のVLCDR2アミノ酸配列、配列番号15のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
一実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、配列番号1のVHCDR1アミノ酸配列を含む。別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、配列番号4のVHCDR1アミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、抗LAG−3抗体分子は、配列番号286のVHCDR1アミノ酸配列を含み、米国特許出願公開第2015/0259420号の表1にそれぞれ開示される。
いくつかの実施形態では、抗LAG−3抗体はBMS−986016である。BMS−986016(BMS986016とも呼ばれる;Bristol−Myers Squibb)は、LAG−3に結合するモノクローナル抗体である。BMS−986016及び他のヒト化抗LAG−3抗体は、米国特許出願公開第2011/0150892号、PCT国際公開WO2010/019570及びWO2014/008218に開示される。
5.例示的なCTLA−4インヒビター
一実施形態では、組み合わせは、CTLA−4阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、この組み合わせは、癌、例えば本明細書に記載の癌、例えば固形腫瘍(例えば、乳癌、扁平上皮癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、軟部組織肉腫、メラノーマ、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、又はリンパ腫(例えば、辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)))を治療するために使用される。
一実施形態では、本明細書に記載の組み合わせは、CTLA−4阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせは、癌を治療するために使用され、例えば、本明細書に記載の癌、例えば、固形腫瘍又は血液悪性腫瘍を治療するために使用される。
例示的な抗CTLA4抗体には、トレメリムマブ(Tremelimumab)(以前はチシリムマブ(ticilimumab)、CP−675,206として知られているPfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体);及びイピリムマブ(Ipilimumab)(MDX−010、CAS番号477202−00−9としても知られるCTLA−4抗体)を含む。
一実施形態では、組み合わせは、例えば本明細書に記載の抗PD−1抗体分子、及び例えばイピリムマブなどの抗CTLA−4抗体を含む。例示的な用量としては、約1〜10mg/kgの用量の抗PD−1抗体分子、例えば3mg/kgなど、及び抗CTLA−4抗体、例えばイピリムマブ約3mg/kgなどの用量である。
他の例示的な抗CTLA−4抗体は、例えば、米国特許第5811097号に記載され、これは参照により援用される。
6.例示的なGITRモジュレーター
一実施形態では、組み合わせは、アゴニスト又はアンタゴニストなどのGITRモジュレーターを含む。一実施形態では、GITRモジュレーターはアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、組み合わせは、癌、例えば、本明細書に記載の癌、例えば、固形腫瘍(例えば乳癌、扁平上皮癌、メラノーマ、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、軟部組織肉腫、メラノーマ、乳癌、食道癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、又は基底細胞癌)、例えば血液悪性腫瘍(例えば白血病(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、又はリンパ腫(例えば、辺縁帯B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)))を治療するために使用される。
例示的なGITRモジュレーターには、例えば、GITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)を含み、米国特許第6111090号、欧州特許第0920505B1号、米国特許第8586023号、PCT国際公開WO2010/003118及び2011/090754に記載のGITR融合タンパク質、又は、例えば、米国特許第7025962号、欧州特許第1947183B1号、米国特許第7812135号、米国特許第8388967号、米国特許第8591886号、欧州特許第1866339号、PCT国際公開WO2011/028683号、米国特許第8709424号、PCT国際公開WO2013/039954、PCT国際公開WO2013/039954号、米国特許出願公開第2014/0072566号、PCT国際公開WO2015/026684号、PCT国際公開WO2005/007190、PCT国際公開WO2007/133822、PCT国際公開WO2005/055808、PCT国際公開WO99/40196、PCT国際公開WO2001/03720、PCT国際公開WO99/20758、米国特許第6689607号、PCT国際公開WO2006/083289、PCT国際公開WO2005/115451、米国特許第7618632号、PCT国際公開WO2011/051726、PCT国際公開WO2004060319、及びPCT国際公開WO2014012479に記載の抗GITR抗体であり、これらの各々は、参考として援用される。
実施例
実施例1:マウス抗ヒトIL−2抗体NARA1の作製とスクリーニング
参照抗体、指定されたNARA1を、当業者に周知の方法に従って、誘導し、単離し、構造的に特徴付けした。
Balb/cマウスをフロイントアジュバント(F−5881、Sigma)中のヒト(h)IL−2(34−8029、eBioscience)を用いて、0日目、14日目(皮下)及び28日目(静脈内)に免疫化した。抗hIL−2抗体力価を調べるために、最初の免疫化の前に、かつ、すべての免疫化の後の9〜11日目に血清を回収した。35日目にマウスを安楽死させ、標準的な手順に従って脾臓細胞を回収した。脾細胞をポリエチレングリコール1500(10783641001、Roche)と5:1の比でミエローマ細胞と混合した。Balb/cマウスの腹腔洗浄から得られたフィーダー層を用いて、10%超低IgG FBS(16250、Life Technologies)、50μMメルカプトエタノール(313050、Life technologies)、1:100インスリントランスフェリンセレン(41400−045、Life Technologies)、2%IL−6条件培地、ペニシリン−ストレプトマイシン(15240、Life Technologies)、ゲンタマイシン(15750、Life Technologies)、及びヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT、H037、Sigma−Aldrich)を補充したIMDM選択培地(21980、Life Technologies)で、数日間クローンを培養した。そして、ELISA直接結合を用いて、並びにELISA競合を特異的に用いて、ポリクローナルをhIL−2結合についてスクリーニングし、希釈してモノクローナルクローンを得た。モノクローナルの増殖のために、HAT培地をヒポキサンチン−チミジン培地(HT、41065、Life Technologies)に置き換えた。次いで、供給業者の推奨(UFC9100、Merck Millipore)に従って、100kDa遠心フィルターユニットを用いてモノクローナルを濃縮した。ELISA競合を使用して、インビボで1.5μgのhIL−2と複合体化した200μl濃縮物を毎日4回、腹腔内注射を行い、用量依存性においての特異性について濃縮物をさらに試験し、続いて、T細胞サブセット及びナチュラルキラー(NK)細胞をフローサイトメトリーにより評価した。NARA1は、プロテインGアガロース(20398.ThermoFisher Scientific)を使用して、供給者の推奨に従って精製した。
NARA1の全長重鎖は配列番号115であり、NARA1の全長軽鎖アミノ酸配列は配列番号117である。
対応する可変領域、NARA1のVH及びVLアミノ酸配列は、配列番号111(可変重鎖)及び配列番号113(可変軽鎖)である。
NARA1の全長軽鎖及び重鎖ヌクレオチドコード配列は、配列番号116(リーダー配列を含む重鎖コード配列)及び配列番号118(リーダー配列を含む軽鎖コード配列)である。
NARA1の可変軽鎖及び重鎖ヌクレオチドコード配列は、配列番号112(可変重鎖コード配列)及び配列番号114(可変軽鎖コード配列)である。
NARA1のCDR領域は、Kabatシステム(Kabat.EAら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健福祉省、NIH出版番号91−3242、Zhao&Lu 2009、Molecular Immunology 47:694−700も参照)を用いて描写される。CDR領域がKabatの定義に従って描写されている場合、読みやすさのために、以下ではそれぞれHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、LCDR3と呼ぶ。NARA1のCDR領域は:配列番号4に記載のHCDR1、配列番号2に記載のHCDR2、配列番号3に記載のHCDR3、配列番号19に記載のLCDR1、配列番号20に記載のLCDR2、配列番号21に記載のLCDR3である。
実施例2:NARA1の結晶構造
(1)材料と方法
プロロイキン(登録商標)(アルデスロイキン)として当業者に一般的に知られ、抗体NARA1のFab断片に結合する、ヒトインターロイキン2変異体(配列番号110)の複雑な構造を決定した。得られたプロロイキン(登録商標)上の残基の番号付けは、wtIL−2の番号付けに従って与えられる。
以下に詳述するように、プロロイキン(登録商標)とwthIL−2との間の配列の相違に関係なく、プロロイキン(登録商標)はhIL−2の構造解析の有効なモデルである。
エピトープを決定するために、X線結晶学を用いて上記複合体の原子分解構造を解析した。X線結晶学は、抗体及びその抗原との複合体を含む生体分子の構造データを生成するために日常的かつ広く使用されている技術である(Adamsら,(2013) Annual Review Biophysics 42:265−287;Garman,(2014) Science 343:1102−1108;Joachimiak, (2009) Current Opinion Structural Biology 19:573−584)。
抗原、プロロイキン(登録商標)は、賦形剤と共に凍結乾燥粉末として商業的に入手可能である(プロロイキン(登録商標)約1mgは、約50mgのマンニトール、0.18mgのドデシル硫酸ナトリウム、0.173mgのリン酸二水素ナトリウム及び0.89mgのリン酸水素二ナトリウムと混合される)。複合体形成のために使用する前に、逆相HPLCによってプロロイキン(登録商標)を精製して賦形剤を除去した。
NARA1のFab断片(NARA1−Fab)は、全長抗体をパパイン切断し、続いてプロテインAクロマトグラフィーによって生成した。簡潔には、6.5mlの全長NARA1(pH7.0の90mM塩化ナトリウムを含む50mMクエン酸緩衝液中9mg/ml)を5mM DTT及び590ug パパイン(Roche)と混合した。切断反応を室温で16時間維持し、15mMの56mM E64溶液(Roche)を添加することによって停止させた。次いで、切断溶液を25mM Tris、25mM NaCl、pH8.0で10倍に希釈し、5カラム容量の25mM Tris、25mM NaCl、pH8.0で平衡化した5mlプロテインAカラム(GE Healthcare)にロードした。Fab断片はローディングスルー画分で得られ、Fc断片はプロテインAカラムに結合させて得た。
複合体を形成するために、HPLC後のプロロイキン(登録商標)粉末を5.5mg/mlの濃度でHOに溶解した。6.6mgプロロイキン(登録商標)を過剰に、11.5mgのNARA1 Fab断片溶液に滴下した。遠心分離を使用して、現在の条件下で沈殿した過剰のプロロイキン(登録商標)を除去した。次いで、複合体を、25mM Tris、25mM NaCl、pH7.4のランニングバッファーを有するSuperdex 200 10x300(GE Healthcare)を用いたゲル濾過によって精製した。
ゲル濾過後のプロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体を14mg/mlに濃縮し、シッティングドロップのような蒸気拡散法によりスクリーニングした。
タンパク質溶液をリザーバ緩衝液と1:1で混合して、0.4μlの総容量とした。実験をPhoenixロボティックシステム(Art Robbins Instruments)を用いて設定し、19CでRockImagerホテル(Formulatrix)に保存され、自動的に画像化した。20%w/vポリエチレングリコール3350及び0.2M硝酸ナトリウムの条件下で、スクリーニングの4日後に結晶を回収した。結晶を、10%グリセロールを含むリザーバ緩衝液で低温保護し、データ収集の前に液体窒素中でフラッシュ凍結した。回折データを、0.99998ÅのX線放射波長を使用するPilatus画素検出器を備えたビームラインPX−IIのSwiss Light Source(Villigen、スイス)で収集した。
データセットはXDSとXSCALE(バージョン2010年12月6日)で処理され、構造は、IL−2の検索モデルとしてタンパク質データバンクエントリー”3INK”を、Fab断片の検索モデルとしてタンパク質データバンクエントリー”3TTI”を用いて、プログラムPHASERによる分子置換方法により解析された。反復モデルの構築及び改良は、プログラムCoot(結晶学的オブジェクト指向ツールキット)及びAUTOBUSTER(Bricogneら,2011)を用いて実施した。全ての図はプログラムPyMOL(Molecular Graphics System; DeLano Scientific:Palo Alto、CA; http://www.pymol.org)を用いて作成した。
エピトープ残基は、NARA1のFab断片中の任意の原子から4Å以内にあるプロロイキン(登録商標)由来の残基として決定され、さらにCCP4プログラムCONTACT及びAREAIMOL(Collaborative Computational Project、Number 4、version 6.4.0)によって確認される。同様にパラトープ残基は、プロロイキン(登録商標)の任意の原子から4Å以内にあるNARA1−Fabの残基として決定される。
(2)結果
プロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体は、単位格子寸法a=201.8Å、b=36.2Å、c=88.7Å、α=90°、β=102.9°、γ=90°を有する空間群C121において〜1.95Åで解析された。構造の詳細な統計情報については、表3を参照。各非対称単位には、一つの複合分子が存在する。
(3)エピトープ及びパラトープ解析
図1は、実施例1で得られたプロロイキン(登録商標)/Fab−NARA1複合体の三次元構造の概要を提供する。NARA1のFab断片の軽鎖をA、NARA1のFab断片の重鎖をBとして示し、NARA1−Fabによって認識されるエピトープ残基をD、プロロイキン(登録商標)をCと示し、変異C145Sを示す。
図2は、エピトープ残基のさらなる分析を提供する。X軸は、配列番号110に記載のアミノ酸配列と番号付けとを列挙する。Y軸の上側は、プロロイキン(登録商標)からの対応する残基から4Å以内にあるNARA1−Fabの総原子数を示し、Y軸の下側は、NARA1−Fabに結合した後の減少した溶媒接近可能領域(Å)を示す。
実施例1で用いたプロロイキン(登録商標)は、C145Sの変異を含む。図1に示すように、C145Sはエピトープ領域から遠い。さらに、実施例1のプロロイキン(登録商標)と、CD25、CD122、及びCD132(PDB:2B5I)との複合体中のwthIL−2由来のCα原子との間のCα原子の重ね合わせは、0.447ÅのRMSDを示し、これは、変異が全体的な構造を妨害しないことを示す。したがって、C145S変異を有するプロロイキン(登録商標)は、wthIL−2の構造解析のための有効なモデルである。
hIL−2は4−ヘリックスバンドルタンパク質であり、4つのヘリックスはそれぞれN末端からC末端へA、B、C及びDと名付けられる。図1に示すNARA1−Fabによって認識されるエピトープは、図2に示すように、立体配座エピトープであり、2つの領域にまたがる:1つの領域(N50−K63)は、ループ及びショートへリックスを含み、へリックスAとBを連結し、他の領域(N91−N97)はループを含み、へリックスBとCとを連結する。
NARA1−Fab由来の相互作用するパラトープ残基と共に、エピトープ残基を表4に概要する。全てのエピトープ残基の中で、図2に示すArg58は、NARA1−Fabとの結合のための最も重要なエピトープ残基である。これは、この残基はNARA1−Fab由来の42個の相互作用する原子を単独で有し、NARA1−Fabへの結合の結果として減少した総溶媒接近可能領域の17.7%を占めるためである。さらに、Arg58は、図3に示すように、それぞれHCDR1中のGlu35と、LCDR3由来のAsp100との2つの強い塩橋を形成する。Arg58はまた、LCDR3由来のTyr100の芳香環とπ−作用相互作用を形成する。NARA1−Fabとの結合にはK52、K52,P54,K55,T57,T61,F62,K63,Q94,及びK96の残基も重要であると考えられる。それは、それら全てがNARA1−Fab由来の5原子かそれ以上と相互作用し、図2に示すとおり、減少した溶媒接近可能領域は30Åを超えるためである。
図3は、NARA1−Fabを認識する最も重要なエピトープ残基としてArg58を例示する。Aはプロロイキン(登録商標)を表し、Bは重鎖を表し、Cは軽鎖を表す。関係する残基は分枝として示す。
(4)NARA1−Fab結合特性
図4は、IL−2/CD25/CD122/CD132四次複合体とのプロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体のオーバーレイを示す。四次複合体構造は、PDBに登録の「2B5I」から用い、淡いシアンの画像DはwthIL−2、赤色の画像BはCD122、青色の画像CはCD132、及び緑色の表面AはCD25を表す。プロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体構造において、wthIL−2でオーバーレイされたシアンの画像Dはプロロイキン(登録商標)を表し、マゼンタの画像Eは重鎖を表し、黄色の画像Fは軽鎖を示す。
図4に示す2つの複合体の構造オーバーレイは、NARA1−FabがCD25に対して直接的競合を形成するが、CD122/CD132に対しては直接的競合を形成しないことを明らかに示しており、これはIL−2/NARA1複合体がpro−Treg活性よりもpro−Tエフェクター細胞活性を主に示すという観測と一致する。
(5)四次複合体と同様の立体配座をとるNARA1−Fabと複合体化したプロロイキン(登録商標)のCヘリックス
図5は、IL−2_C145A(PDB:3INK)、スーパーカイン(Superkine)(PDB:3QB1)、IL−2/CD25/CD122/CD132(PDB:2B5I)及びプロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab由来のCヘリックスのオーバーレイを示す。
IL−2中のヘリックスCとCD122との間の極性界面は、2つの部分の間の結合において重要な役割を果たす((Wangら (2005) Science 310:1159−1163)。2012年、Levinらは、IL−2変異体であるスーパーカイン(Superkine)のみが、四次複合体のそれと同様の立体配座をとるヘリックスCを有し、スーパーカイン(Superkine)はwtIL−2より、から215倍までのCD122に対する高い結合親和性を示すことを示した(Levinら,(2012) Nature 484:529−533)。ヘリックスCにおけるそのような立体配座の変化は、立体配座安定化に関連し、CD122への結合についてのエネルギーペナルティーが減少することが観察された。図5に示すように、NARA1−Fabと複合体化したプロロイキン(登録商標)からのヘリックスCの立体配座も、スーパーカイン(Superkine)及びIL−2/CD25/CD122/CD132四次複合体において観察されるものと同様であり、それゆえ、プロロイキン(登録商標)/NARA1−Fab複合体は、hIL−2 wtよりもCD122に対して高い結合親和性を示す可能性がある。
実施例3:マウスモノクローナル抗体NARA1のヒト化
ヒトCDR移植アクセプターフレームワークの結合特性を実質的に保持及び/又は向上させる、ヒトのアクセプターフレームワークの選択、逆変異、及び変異を含む抗ヒトIL−2マウス抗体NARA1のヒト化が記載される。
ヒト化のプロセスは、当該分野において十分に記載されている(Jonesら 1986,Queenら 1989,Riechmannら 1988, Verhoeyen,Milstein及びWinter 1988)。ヒト化という用語は、非ヒト抗体の抗原結合部位、例えば、マウス由来の抗体が、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト生殖細胞系列配列(Retterら 2005)への転移として説明される。抗体をヒト化する主な論理的根拠は、ヒト抗体の免疫原性応答を発症するリスクを最小限にすることにある(Rebelloら 1999)
抗原結合部位は、相補性決定領域(CDR)(Chothia及びLesk 1987、Kabatら 1991)及びCDRの外側の部位、すなわち、結合に直接的又は間接的に影響を及ぼす可変ドメイン(VL及びVH)のフレームワーク領域にある部位を含む。結合に直接影響し得るフレームワーク残基は、例えば、CDR2とCDR3との間に位置する、いわゆる「外側」ループ領域に見出され得る。間接的に結合に影響を及ぼす残基は、例えば、いわゆるVernierゾーン(Foote及びWinter 1992)に見出される。それらはCDR立体配座を支持すると考えられる。フレームワーク領域中のヒト生殖細胞系列配列に対し、最終的なヒト化抗体の偏差の数を最小にするために適切なアクセプターフレームワークを選択する場合、これらのCDRの外側の位置が考慮される。
1.親和性成熟の配列最適化
特定のアミノ酸配列モチーフは、グリコシル化(すなわちNxS/T、P以外の任意のx)、遊離システインの酸化、脱アミド化(例えばNG)又は異性化(例えばDG)のような翻訳後改変(PTM)を受けることが知られる。CDR領域に存在する場合、これらのモチーフは、産物の均一性を高めるために、部位特異的変異誘発によって理想的に除去される。
親和性成熟のプロセスは当技術分野で十分に記載されている。多くのディスプレイシステムの中で、ファージディスプレイ(Smith 1985)及び酵母のような真核細胞上のディスプレイ(Boder E.及びWittrup K.(1997)、コンビナトリアルポリペプチドライブラリのスクリーニングのための酵母表面ディスプレイ、Nat Biotechnol、15(6)、pp 553−7)は、抗体−抗原相互作用を選択するために最も一般的に適用されるシステムであると思われる。これらのディスプレイシステムの利点は、それらが広範囲の抗原に適しており、選択の厳密さを容易に調整できることである。ファージディスプレイでは、scFv又はFab断片を表示することができ、酵母ではさらに全長IgGを表示することができる。これらの一般的に適用される方法は、107を超える多様性を有するより大きなライブラリから所望の抗体変異体を選択することを可能にする。より多様性の低いライブラリ、例えば103は、マイクロ発現及びELISAによってスクリーニングすることができる。
非標的又はランダム抗体変異体ライブラリは、例えばエラープローンPCR(Cadwell及びJoyce 1994)によって生成され得、非常に単純であるが時には限定されたアプローチを提供し得る。別のストラテジーは、抗体候補のCDR指向性多様化である。1つ又は複数のCDRの1つ又は複数の位置は、例えば縮重オリゴ(Thompsonら 1996)、トリヌクレオチド変異誘発(TRIM)(Kayushinら 1996)又は当技術分野で知られている任意の他の方法を用いて特異的に標的化することができる。
2.発現プラスミドの作製
ホモサピエンスのコドン最適化を含み、ヒト化VL及びVHドメインをコードするDNA配列をGeneArt(Life Technologies Inc.Regensburg、Germany)で注文した。GeneArt由来ベクターから、哺乳類細胞における分泌に適した発現ベクターへカットアンドペーストすることにより、VL及びVHドメインをコードする配列をサブクローニングした。重鎖及び軽鎖を個々の発現ベクターにクローニングして、共トランスフェクション(co−transfection)を可能にした。発現ベクターの要素は、プロモーター(サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサープロモーター)、分泌を促進するシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子)、原核生物におけるエピソーム複製及び複製を可能にする要素(例えば、SV40起源及びColE1又は当技術分野で公知の他のもの)及び選択(アンピシリン耐性遺伝子及びゼオシンマーカー)を可能にする要素を含む。
3.ヒト化抗体候補の発現及び精製
SV40ラージT抗原(HEK293−T ATCC11268)を恒常的に発現するヒト胚性腎臓細胞は、ヒト化及び/又は最適化されたIgGタンパク質の一過性発現のための好ましい宿主細胞系の一つである。トランスフェクションは、トランスフェクション試薬としてPEI(ポリエチレンイミン、MW25.000 linear、Polysciences、USA Cat.No.23966)を用いて行う。PEIストック溶液は、900mlの細胞培養グレードの水に室温(RT)で1gのPEIを注意深く溶解することによって調製される。PEIの溶解を促進するために、溶液にHClをpH3〜5に添加することにより酸性化し、続いてNaOHで最終的に7.05のpHに中和する。最後に、容量を1Lに調整し、溶液を0.22μmフィルターで濾過し、分取し、さらに使用するまで−80℃で凍結する。解凍後、分取は、−20℃で3回まで再凍結を行うことができるが、−20℃で長期間保存してはいけない。HEK 293T細胞は、細胞のトランスフェクション及び増殖のためのノバルティス独自の無血清培地、及び生産/供給培地としてのExCell VPRO無血清培地(SAFC Biosciences,USA,Cat.No.24561C)を用いて培養する。一過性トランスフェクションのために調製された細胞は、懸濁培養において培養される。小規模(<5L)のトランスフェクションのために、細胞を、5%CO2の加湿インキュベーター内で、オービタルシェーカー(100〜120rpm)上でコーニングシェイクフラスコ(Corning、Tewksbury、MA)で増殖する(シードフラスコ)。種培養物中の細胞は指数増殖期(細胞密度は5x10と3x10/mLの間)に維持されなくてはならなく、かつ、トランスフェクションのため>90%の生存率を示されなければならない。この範囲外の細胞密度は、希釈後のラグ期又はトランスフェクション効率の低下のいずれかをもたらす。小規模(<5L)トランスフェクションのために、細胞の分取では、種培養液から取り出し、ノバルティス無血清培地で最終体積の36%中に1.4x10細胞/mLに調整する。DNA溶液(1Lトランスフェクションにおいて、溶液1:0.5mgの重鎖発現プラスミド及び0.5mgの軽鎖発現プラスミド)を、最終培養体積の7%中に1mg/L(最終体積)へDNAを希釈することによって調製し、続いて穏やかな混合する。細菌汚染を防ぐために、この溶液を0.22μmフィルター(例えば、Millipore Stericup)を用いて濾過する。その後、3mg/L(最終体積)のPEI溶液を、また最終培養体積の7%中で希釈し、穏やかに混合する(溶液2)。両方の溶液を室温(RT)で5〜10分間インキュベートする。その後、溶液2を穏やかに混合しながら溶液1に加え、室温でさらに5〜15分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を細胞に添加し、細胞の培養を4〜6時間続ける。最後に、総生産体積の残りの50%は、ExCell(登録商標)VPRO無血清培地を添加することによって達成される。トランスフェクション後11日間細胞培養を継続する。4℃で20分間、4500rpmの遠心分離(Heraeus(登録商標)、Multifuge 3S−R、Thermo Scientific、Rockford、IL)により培養物を回収する。回収された細胞上清を、ステリックアップフィルター(0.22μm)で滅菌濾過し、さらなる処理が行われるまで4℃で保存する。
精製は、新たに消毒した(0.25M NaOH)HiTrap ProtA MabSelect(登録商標)SuRe、5mlカラムを使用して、冷却キャビネット中、4℃において「AKTA 100 explorer Air」クロマトグラフィーシステムで行った。カラムを5CVのPBS(Gibco、Life Technologies、Carlsbad、CA)で平衡化し、次いで滅菌濾過した上清(2L)を4.0ml/分でロードした。カラムを8CVのPBSで洗浄して結合していない試料を溶出し、5CVのPBSで再度洗浄した。抗体を5CVの50mMクエン酸塩、70mM NaCl pH3.2で溶出した。溶出液を3mlの画分に集めた;画分をプールし、1M Tris HCl pH10でpH7に調整した。該プールをプールし、滅菌濾過し(Millipore Steriflip、0.22um)、OD280nmを分光光度計ND−1000(NanoDrop)で測定し、そして、タンパク質濃度を配列データに基づいて計算した。溶出液を凝集(SEC−MALS)及び純度(SDS−PAGE、LAL及びMS)について試験した。必要であれば、第二の精製工程のために、第一の精製からのプールを新たに消毒した(0.5M NaOH)SPX(Hi Load 16/60 Superdex 200グレード120mL(GE−Helthcare))にロードした。カラムをPBSで平衡化し、1ml/分のPBS緩衝液で実施し、溶出液を1.2mlの画分に集め、第一の精製工程について記載したとおり分析した。
したがって、表5に示されるとおり、3つのヒト化可変重鎖領域;VH1、VH3及びVH5が生成した。
また、表6に示されるとおり、3つのヒト化可変軽(カッパ)領域;VK1、VK2及びVK3が生成した。
実施例4:構造改訂されたヒト化
実施例2の結晶構造NARA1/hIL−2の結果を用いて、ヒト化設計を改良した。
同一性は、実施例3の最初のヒト化配列と最も近い生殖系列との間で計算された。これとは別に、等電点(pI)を重鎖及び軽鎖について計算した。
結果を表7及び以下に示す.
このデータに基づいて、構造VH3及びVK3を改良することが決定され、その結果、表9に示されるとおり生成された配列が得られた。VH3はが選ばれたのは、構造情報により配列を改良された生殖細胞系が、77%から85%までヒト鋳型との同一性のパーセンテージを増加させるのに寄与したためである。
pIが4.7から5.0に増加したためにVK3が選択された。(VK1は既に5.3であり、VK2では構造情報によりpIを増加させないため、VK3に決定した)。
これらの6つの可変重鎖及び軽鎖領域に基づいて、表10の概要に従って配列番号103で表されるとおりN297A点変異を有するヒトIgG1 Fcドメインを用いて9つの抗体を生成した。
任意のFcドメインを用いて、当業者に知られているように、さらなる抗体を生成することができる。特に考えられるFcドメインは、配列番号93に記載の非Fc改変ヒトIgG1、配列番号95に記載のヒトIgG2、配列番号97に記載のヒトIgG3、配列番号99に記載のヒトIgG4、配列番号101に記載のLALA変異で改変されたヒトIgG1 Fc、配列番号103に記載のN297A変異で改変されたヒトIgG1 Fc、配列番号105に記載のDAPA変異で改変されたヒトIgG1 Fcである。
好ましい実施形態によれば、Fcドメインは配列番号93に記載のヒトIgG1であり、さらにより好ましい実施形態によれば、Fcドメインは配列番号103に記載のN297A変異で改変されたヒトIgG1 Fcである。
特定の実施形態によれば、抗体104343の完全軽鎖配列は配列番号124に記載されており、完全な重鎖配列は配列番号126に記載される。別の特定の実施形態によれば、抗体104348の完全軽鎖配列は、配列番号128に記載されており、完全重鎖配列は配列番号130に記載される。
実施例5:構造最適化
実施例2の結晶構造NARA1/hIL−2の結果を使用して、CDRにおける特定のアミノ酸残基をさらなる構造最適化のために同定した。特に、LCDR1ではいわゆるDG部位が同定され、並びにHCDR3では別のDG部位が同定された。驚くべきことに、これらの部位におけるいくつかの変異はヒトIL−2に対する親和性を劇的に低下させるが、他の変異は親和性にほとんど又は全く影響を及ぼさない。
複合体の構造をPyMOL又はMOEのようなモデリングソフトウェアを用いて分析し、そして、さらなるヒト化のためヒト化配列とヒト鋳型との間の同一性のパーセンテージを増加させるために、抗原と密接に接触しない(すなわち、抗原から4オングストローム以上の)CDRループ上の残基を選択していた。
Kabat定義により得られた軽鎖(カッパ)CDRを表11に示す。
Kabatの定義により得られた重鎖CDRを表12に示す。
VH5変異D98Eは耐性を示したが、D98S及びD98Qは驚くほど耐性を示さなかった。変異G99Aも耐性を示した。VK1については、変異D28Qは耐性を示したが、驚くべきことに変異G29Aは耐性を示さなかった。
本発明者らの非結合理論によれば、VHD98アミノ酸及び/又はVLD28アミノ酸をアミノ酸A、G又はTで置換することにも耐性を示すことが可能であった。また、VH G99アミノ酸又はVL G29アミノ酸をアミノ酸T又はSで置換することにも耐性を示すことが可能であった。
これらの最適化された可変重鎖及び軽鎖領域に基づいて、N297A点変異を有するヒトIgG1 Fcドメイン及び表13の概要に従う可変軽鎖及び可変重鎖領域を用いて、12個の最適化された抗体を生成した。
任意のFcドメインを用いて、当業者に知られているように、さらなる抗体を生成することができる。特に考えられるFcドメインは、配列番号93に記載の非Fc改変ヒトIgG1、配列番号95に記載のヒトIgG2、配列番号97に記載のヒトIgG3、配列番号99に記載のヒトIgG4、配列番号101に記載のLALA変異で改変されたヒトIgG1 Fc、配列番号103に記載のN297A変異で改変されたヒトIgG1 Fc、配列番号105に記載のDAPA変異で改変されたヒトIgG1 Fcである。
好ましい実施形態によれば、Fcドメインは配列番号93に記載のヒトIgG1であり、さらにより好ましい実施形態によれば、Fcドメインは配列番号103に記載のN297A変異で改変されたヒトIgG1 Fcである。
1つの具体的な実施形態によれば、抗体104348_VH5D98E_VK1D28Qの完全重鎖配列は配列番号229に記載され、完全軽鎖配列は配列番号395に記載される。
実施例6:親和性成熟
ヒト化NARA1(104348_VH5D98E_VK1D28Q)は、酵母表面上のFabとして親VH(配列番号49)及びVK(配列番号70)をクローニング及び発現することから始まる複数の段階に基づく、親和性成熟プロセスの出発点として用いられ、かつ、ビオチン化プロロイキン(登録商標)の最適かつ準最適な結合濃度決定に用いられた。
要するに、親又は野生型(WT)VH(配列番号49)配列及びVK(配列番号70)配列を、VHのカルボキシル末端と軽鎖のカルボキシル末端を伴うβ−アミロイド(APP−タグ)のインフレーム由来の6アミノ酸タグとを有するaga2配列のインフレームを含む酵母ディスプレイベクターにおいてFabとしてクローニングした。このタグの検出は、表面上のFabの発現レベルの視覚化を可能にするが、これは当業者に周知である。酵母におけるベクターの電気穿孔(Benatuil L.ら.(2010)、非常に大きなヒト抗体ライブラリの生成のための改良された酵母形質転換法、Protein Eng Des Sel.,23(4),pp.155−9)の後、細胞をCMグルコースブロスマイナスウラシル中で増殖させた。誘導時に、指数関数的に増殖する7.8E+4個の酵母細胞を誘導培地(CMガラクトースブロスマイナスUra/0.05%グルコース)7mlで洗浄し、細胞を4000rpmで10分間スピニングしペレット化した。ペレットを誘導培地(1E+7細胞/ml)に再懸濁し、シェーカーで22℃にて16時間(HR)増殖させた。誘導された酵母細胞(4E+7)を、4℃の予め冷却した遠心分離機において、13000rpmで1分間の遠心分離によって回収した。ペレットを1mlのFACS緩衝液(PBS+0.5%BSA)に再懸濁し、続いて4℃の予め冷却した遠心分離機で13000rpm、1分間遠心分離することによって細胞を洗浄した。酵母ペレットを1ml FACS緩衝液に再懸濁し、50μlを、FACS緩衝液で希釈(0nm/0.02nM/0.05nM/0.15nM/0.45nM/1.3nM/4nM/12nM/36nM/100nM/333nM/1μM)した様々な濃度のビオチン化プロロイキン(登録商標)を含む12本の管に移した。酵母をローターで室温(RT)にて1時間インキュベートし、上記に記載のとおり1mlのFACS緩衝液で2回洗浄し、ペレットを、抗APPマウスモノクローナル抗体を含む200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。ローターで室温において30分間インキュベートした後、酵母を1mlのFACS緩衝液で2回洗浄し、ペレットを200μlの標識緩衝液(アロフィコシアニン(APC)−コンジュゲート化ストレプトアビジン/フィコエリトリン(PE)標識抗マウス抗体/FACS緩衝液)に再懸濁した。ローター上でRTにて30分間インキュベートした後、細胞を1mlのFACS緩衝液で2回洗浄し、500μlの冷FACS緩衝液に再懸濁し、FACSチューブのキャップを通して濾過した。FACS分析まで試料を暗所に保持した。FACS分析のゲーティング法は、PEシグナル(酵母の表面上のFab発現のレベル)及びAPCシグナル(ビオチン化プロロイキン(登録商標)の結合)が単一酵母細胞(一重項)について測定されるように選択された。酵母の表面上のFabへのビオチン化プロロイキン(登録商標)の結合は、PEシグナル及びAPCシグナルの両方において陽性であったFACSプロットにおける事象として視覚化することができた(データ示さず)。予想通り、高濃度のビオチン化プロロイキン(登録商標)(1μM−12nM)と酵母をインキュベートすると、PEとAPCの両方で多数の陽性の事象が検出された。この濃度範囲を最適濃度範囲とみなした。4nM及び1.3nMのビオチン化プロロイキン(登録商標)を有する酵母のインキュベーションは、結果としてPEシグナルと同様のレベルであったが、APCシグナルの劇的な低下は、ビオチン化プロロイキン(登録商標)が酵母の表面上のFabに結合しなかったことを示した。この濃度範囲は準最適濃度と考えられた。1.3nM(0.45nM/0.15nM/0.05nM/0.02nM)未満のビオチン化プロロイキン(登録商標)濃度でインキュベートした酵母は、APCシグナルのバックグラウンドレベルを示し、これはビオチン化プロロイキン(登録商標)がFabに結合していないことを示した。
次のステップでは、GeneMorph II Random Mutagenesis Kit(Agilent、カタログ番号200550)を使用し、エラープローンPCR(Cadwell R.及びJoyce G.(1994). Mutagenic PCR.PCR Methods Appl.,3(6),pp.136−40.)によって、VH(配列番号49)及びVK(配列番号70)は、個々にランダム変異誘発した。これにより、親VK(VKp)(配列番号70)と対になる変異誘発されたVH(VHep)からなるFab又は親VH(VHp)(配列番号49)と対になる変異誘発されたVK(VKep)からなるFab、どちらかを発現する2つの酵母ライブラリが生成された(Benatuilら.2010)。一回目の選択では、酵母ライブラリ(VHep/VKp及びVHp/VKep)と親(VHp/VKp)発現酵母の両方を誘導し、上記に記載される手順を用いて最適な濃度(10nM)のビオチン化プロロイキンで、FACS染色した(1E+9 VHep/VKp及びVHp/VKep:1E+7 VHp/VKp)。PE及びAPCの両方に対して陽性である少なくとも80,000個の酵母細胞を、1mlのCMグルコースブロスマイナスウラシルを含む15mlファルコンチューブでFACS選別した。この選択は、酵母の表面の機能的Fabの発現の富化を可能にする。
一回目からFACS選別酵母を増殖させた後、二回目の選択を行った。VHp/VKp、VHep/VKp及びVHp/VKepを発現する酵母を、ビオチン化プロロイキン(登録商標)、10nMビオチン化プロロイキン(登録商標)(最適濃度)又は2nMビオチン化プロロイキン(登録商標)(準最適濃度)なしでインキュベートし、上記に記載のとおりFACS染色した。以前に観察されたように、10nMのプロロイキン(登録商標)を用いたVHp/VKpを発現する酵母のインキュベーションは、PE及びAPCの両方について有意な数の陽性の事象の検出をもたらした。酵母のVHp/VKepライブラリの発現についても同様の結果が得られた。興味深いことに、この濃度では、APCシグナルはVHep/VKpライブラリではるかに強力であったが、PEシグナルは、VHp/VKp及びVHp/VKepを発現する酵母で観察されたものに相当した。このことはより多くのビオチン化プロロイキン(登録商標)は、酵母の表面上に発現されたFabに結合したことを示唆している。この傾向は、酵母を準最適濃度のビオチン化プロロイキン(登録商標)とともにインキュベートした場合にさらに顕著になった。これらの条件下で、VHp/VKp発現酵母及びVHp/VKep発現酵母の両方は、PE及びAPCの両方に対して陽性であった事象は少なかったが、VHep/VKp発現酵母はPEのレベルは同等であったが、APCのレベルははるかに高く示した。これらの知見に基づいて、2nMのビオチン化プロロイキン(登録商標)とインキュベートしたVHep/VKpライブラリを発現する酵母はすべて、PE及びAPCの両方について陽性であり、前に記載したとおりFACS選択した。10nMビオチン化プロロイキン(登録商標)とともにインキュベートしたVHp/VKepを発現する酵母ライブラリについても同様のことを行った。
2つのライブラリを増殖させた後、酵母ペレットをザイモリエイス(Zymolase)(Zymoresearch、Catalog#E1004)でプレインキュベーションし、続いて、ミニプレップスピンカラム(Qiagen、Catalog#27106)を用いてプラスミドを回収して、プラスミドを酵母から抽出した。回収したプラスミドを細菌に電気穿孔し、選択プレート上で増殖させた。単一コロニーを採取し、96ウェルプレート中で一晩増殖させた後、製造元手順(Macherey−Nagel、Catalog#740616.24)に従ってNucleospin 96 Plasmid Core Kitを用いてプラスミドを単離した。プラスミドを配列決定し分析した。VH変異は表14にまとめられる。
観察された変異は、親IgG1哺乳動物発現ベクター(表16)への様々な組み合わせ(表14のVH配列番号及び表15VK配列番号)でクローニングした。
続いて、表17に見られるとおり、35個の独特な抗体を生成するVH及びVKの野生型又は変異型のいずれかをコードするプラスミドのトランスフェクションマトリックスを設計した。Fugene(登録商標)HD(プロメガ、カタログ#E2311)を製造業者の手順に従って用いて、プラスミドを、6ウェルプレートで増殖させたHEK293F細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に上清を採取し、プロテインA/HPLC(Holenstein F.ら.(2015)、抗体を含む未精製哺乳動物細胞培養ブロスの自動収穫及び2段階精製、J Chromatogr A.,1418,pp.103−9)を用いて上清中の抗体力価(内部プロセスコントロール、IPC)を決定した。
抗体の配列を表41に示し、以下の表18に概要する。
続いて、ELISAを用いて上清中に存在する抗体のhIL−2結合効率を測定した。
要するに、ELISAプレート(Maxisorp 96ウェルブラックマイクロタイタープレート)を4℃で100μL/ウェルのプロロイキン(登録商標)(5μg/ml PBS)で一晩被覆した。プレート洗浄器(BioTek)を使用して、ELISAプレートをTBST(1×TBS/0.05%Tween 20)で1回洗浄した。350μl/ウェルのブロッキング緩衝液(0.22μmで濾過したTBS/1Xカゼイン(Vector laboratories 10X solution#SP−5020))を添加することによってプレートをブロックし、穏やかに攪拌しながら室温で2時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液を除去した後、プレート洗浄機を用いてプレートをTBSTで1回洗浄した。上清をブロッキング緩衝液中で1:2に希釈し、50μlをELISAプレートの指定のウェルに移した。各試料は3つのELISAプレート上に存在した。3つのプレートを穏やかに撹拌しながら室温でインキュベートした。2時間のインキュベーション後、100μl/ウェル検出抗体(TBST/ヤギポリクローナルHRP結合抗ヒトFab2;Dianova/Jackson ImmunResearch、カタログ番号109−036−006)を添加する前にプレートの1つをTBSTで3回洗浄した。検出抗体を添加する前に、他の2枚のプレートを毎時3回で4時間又は毎時3回で12時間、TBSTで洗浄した。緩やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートした後、ウェルを洗浄緩衝液で3回洗浄し、100μl/ウェルのBM ChemiLuminesence ELISA基質(POD)(Roche Diagnostics#11582950001)を添加する前に、プレートを、ペーパータオルを何枚も重ねた上で軽くたたいて乾燥させた。発光シグナルは、暗所で5分間インキュベートした後に測定した。35抗体のELISA値を表19に示す。すべてのELISA値は、2回の測定に基づく平均値である。
導入された変異のほとんど(例えば、抗体番号:8/11/12/13/15/16/20/28/30/31)は、親抗体(抗体番号:1)と比較して同等又はより低い力価を示したが、結合効率は劇的に改善した。12時間の過度の洗浄の後でさえ、いくつかの変異体は依然として高レベルの結合を示した(例えば、抗体番号:12/13/15/20/28)。種々の抗体をランク付けするために、上清を系列希釈し、結合親和性をELISAによって決定した。
EC50値は、当業者に周知の標準的な方法に従って、プロテインA/HPLCによって決定された力価を用いて計算した。結果を表20に概要する。
結合効率及び変異の表現に基づいて、7つの抗体のパネル(表21)が選択され、発現させ、精製し(Holensteinら.2015)、さらに特徴付けした。
選択された抗体の配列を表41に示し、以下の表22に概要する。
実施例:7結合親和性
1.酵素免疫測定法(ELISA)
候補をスクリーニングするために、当業者に周知のELISAを使用した。
ELISAプレート(Corning)をPBS中10μg/mLのヒトIL−2(プロロイキン(登録商標))で4℃にて一晩被覆した。プレートをPBSTで6回洗浄し、次いで1%BSA/PBST中で2時間ブロックした。ブロッキング及び洗浄の後、抗ヒトIL−2抗体を、1%BSA/PBST中で11ポイント希釈シリーズのプレート上に加え、2時間インキュベートした。その後、プレートを再度洗浄し、続いて、抗マウスIgG−ビオチン化(NARA1)又は抗ヒトIgG−ビオチン化(ヒト化抗体)のいずれかの検出抗体と共に1%BSA/PBSTにおいて、1:10000希釈において2時間インキュベートした。次いで、プレートを再び洗浄し、1%BSA/PBS中のストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼと共に45分間インキュベートした。洗浄後、基質(R&D Systems)をプレートに添加し、停止溶液を添加して3分後に酵素反応を停止させた。プレートを、波長補正を540nmに設定して、450nmのマイクロプレートリーダーによって読み取った。
全プロセスは室温で行った。
3つの独立したELISA実験の平均を表23に示す
2.溶液平衡滴定(SET)アッセイ
5つのヒト化抗IL−2抗体及び抗IL−2(NARA1)マウスIgG2aのIL−2タンパク質に対する親和性(K)を決定し、かつ、比較するために、当業者に周知のSETアッセイを行った。
溶液平衡滴定(SET)アッセイは、強い結合に対する抗体−抗原相互作用親和性(K)の測定を可能にする。この技術は、相互作用パートナーのいずれかの固定化又は標識化を必要とせず、強い相互作用に適している(K=pMから低いnM範囲)。
平衡に達するまで、一定濃度の抗体の混合物(予想されるK以下の濃度)を適切な濃度範囲(Kに十分に下及び十分に上)で抗原と共にインキュベートする。遊離抗体結合部位の量は、混合物を抗原被覆プレート上に移して短時間インキュベートすることによって決定される。遊離抗体は結果的にプレートに結合し、検出抗体で検出される。得られたシグナルを抗原濃度に対してプロットする。Kは非線形曲線適合によって正確に決定される。
(1)材料及び方法
以下の抗体を使用した:
・anti−IL−2(NARA1)−mIgG2a:8.7mg/ml,150kDa,58.00μM
・anti−IL−2−hsIgG1 104340 (キメラNARA1抗体):4.25mg/ml,150kDa,28.33μM
・anti−IL−2−hsIgG1 104343:3.69mg/ml,150kDa,24.60μM
・anti−IL−2−hsIgG1 104347:4.03mg/ml,150kDa,26.87μM
・anti−IL−2−hsIgG1 104348:2.71mg/ml,150kDa,18.07μM
・anti−IL−2−hsIgG1 104349:3.29mg/ml,150kDa,21.93μM
抗原
・IL−2(プロロイキン(登録商標)):1.00mg/ml,15.33kDa,65.24μM
・IL−2(WT):0.15mg/ml,15.55kDa,9.65μM
検出抗体
・MSDスルホ標識ヤギ抗ヒト抗体、Meso Scale Discovery、カタログ番号R32AJ−5
・MSDスルホ標識ヤギ抗マウス抗体、Jackson IR、カタログ番号115−005−071
計測器とソフトウェア
・Discovery Workbenchソフトウェアによって制御されるMSD SECTOR Imager 6000
・XLfitによるデータ処理、MS Excelアドインソフトウェア
アッセイプレート
・SECTOR Imager 6000用標準384ウェルプレート、Meso Scale Discovery Cat#L21XA
・ポリプロピレン384ウェルプレート、Greiner Cat#781280
試薬
・ウシ血清アルブミン(BSA)、VWRカタログ番号422351S
・リン酸緩衝食塩水(PBS)10x、Teknova Cat#P0195
・MSDリードバッファT 4x、Meso Scale Discovery Cat#R92TC−1
・トリス緩衝食塩水(TBS)20x、Teknova Cat#T1680
・Tween−20, VWR Cat#437082Q
緩衝液
・ブロッキング緩衝液:1×PBS+5%(w/v)BSA
・コーティング緩衝液:1×PBS
・試料緩衝液:1xPBS+0.5%(w/v)BSA+0.02%(v/v)Tween−20
・洗浄緩衝液:1xTBS+0.05%(v/v)Tween−20
・リードバッファ:1xMSD リードバッファ
試料緩衝液で抗原の22系列2倍希釈液を調製した。一定濃度の抗体を添加した。
抗原及び抗体濃度を以下に示す。60μlの各抗原:抗体混合物の体積を、384ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート(PP MTP)に二重に分配した。試料緩衝液は陰性対照として、及び陽性対照のような抗原を含まない試料(Bmax)として、用いた。プレートを密封し、室温(RT)で一晩(o/n)インキュベートした。384ウェル標準MSDアレイプレートを、2μg/mlのIL−2でo/nでコーティングした。洗浄緩衝液で3回洗浄した後、プレートを50μl/ウェルのブロッキング緩衝液でRTにて1時間ブロックした。洗浄後、30μl/ウェルの量の抗原:抗体混合物をPP MTPから被覆MSDプレートに移し、RTで20分間インキュベートした。さらなる洗浄ステップの後、30μlの試料緩衝液中の検出抗体(1:2000に希釈)を各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。MSDプレートを洗浄し、35μl/ウェルのリードバッファを添加し、5分間インキュベートした。ECLシグナルは、MSD SECTOR Imager 6000で測定した。
(2)結果
SETの結果を表23に示す。試験したすべての抗IL−2抗体は、低pM範囲(IL−2重量は示さず)でIL−2タンパク質と同様の親和性を示した。
表23に見られるとおり、ほとんどのヒト化抗体は、NARA1と同様のヒトIL−2との結合親和性を有する。しかしながら、驚くべきことに、いくつかのヒト化抗体は、より低い結合親和性を有し、これは104347の場合である。
実施例8:インビトロでのIL−2 /抗IL−2 mAb複合体の評価
PBMC由来CD8 T細胞増殖アッセイにおいて、ヒト化抗IL−2抗体の活性をNARA1と比較した。
バフィーコートからFicoll後に陰性の磁気分離によって単離したヒトCD8 T細胞を、5%ヒト血清を補充した完全RPMI培地に100000細胞/ウェルに播種した。抗IL−2抗体単独(0.5μg/ml)又はIL−2(プロロイキン(登録商標);0.1μg/ml)+抗IL−2抗体(0.5μg/ml)を2:1のモル比で用いて37℃で48時間刺激した。細胞は、最後の16時間、3 H−チミジンでパルスし、回収し、そしてβ−カウンターで増殖を測定した。実験は3回実施し、抗体単独のカウントは非刺激細胞のバックグラウンドシグナルレベルと同等であった。
表24に見られるとおり、ほとんどのヒト化抗体は、インビトロでのヒトCD8 T細胞増殖の誘導に関してNARA1と同様の能力を有する。
別の方法では、いくつかのヒト化抗IL−2抗体の活性を、ヒトPBMC由来CD8 T及びNK細胞における7日間の増殖アッセイで評価した。Ficoll密度勾配遠心分離によってバフィーコートから精製したヒトPBMCを磁気ビーズ陰性選択に付して、CD8T及びNK細胞を単離した。細胞をCellTraceバイオレット増殖キットで標識し、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640培地に50000細胞/ウェルで96U底プレートに播種した。次いで、細胞をhIL−2又はhIL−2/抗IL−2 mAb複合体(2:1モル比、10倍系列希釈)で刺激し、37℃で7日間インキュベートした。増殖は、FACSによって測定したCellTraceバイオレットの組み込みによって評価した。実験は3回実施し、2回の独立した実験から平均EC50値を計算した。
実施例9:インビボでのIL−2 /抗IL−2 mAb複合体の評価
CD8T細胞、CD4T細胞、及びNK細胞の数を、以下に記載するように、IL−2/抗IL−2mAb複合体を投与したWT C57BL/6マウスで測定した。並行して、ブロモデオキシウリジン(BrdU)を用いてCD8T細胞及びNK細胞の増殖レベルを評価した。
(1)材料及び方法
次の抗体を用いた:104340(キメラNARA1抗体)、104343,104347,104348,104349,104341。
プロロイキン(登録商標)IL−2を使用した。
この実験は二重に行った;初回はヒト化104341を含まなかった。
マウスは、1.5μg(低用量;LD)又は20μg(高用量;HD)のhIL−2、又はhIL−2/モノクローナル抗体(それぞれ1.5μg及び15μgであり、1:1のモル比に相当する)の4回の連続注射を受けた。最後の注射の日、飲料水中に0.8mg/mlの5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)を24時間与えた。
翌日、マウスを屠殺し、脾臓及びリンパ節(LN)をフローサイトメトリーによって分析した。これを行うために、標準の手順に従ってLN及び脾臓の単細胞懸濁液を調製し、2%ウシ胎児血清(FCS)、2mM EDTA及び蛍光色素結合抗体のPBSを用いてフローサイトメトリー分析のために2*10個の細胞を染色した(下記参照)。2つの異なる染色を行った:最初の染色は、CD4CD25フォークヘッドボックスP3(FoxP3)T調節細胞を同定及び定量するために行った。この目的のために、FoxP3染色緩衝液を使用し、サプライヤーの推奨(eBiosciences、00−5523−00)に従って、次のマーカー:CD25、CD8a、CD4、CD3、FoxP3へる蛍光色素結合抗体を使用して、単一細胞懸濁液を染色した。
第二の染色は、特定の細胞サブセットの細胞増殖を同定及び定量するために行われ、増殖した細胞を染色するために蛍光色素結合抗BrdU抗体が使用された。BrdU染色は、FITC BrdUキットを使用して行われ、そしてサプライヤーの推奨(BD Pharmingen、51−2354 AK)に従い、次のマーカー:CD44、CD8a、CD4、NK1.1、CD3、CD122、Brduへ蛍光色素結合抗体を使用して行われた。
データは、当業者に周知のBecton Dickinson LSR Fortessaフローサイトメーターを用いて収集した。
(2)結果
細胞数データの結果を表26及び表27に示す。
表26及び表27に見られるとおり、IL−2と複合体化した抗体104343,104347,104348,104349及び104341は、インビボでCD8及びNK細胞を刺激することができる。
また、図6は、マウスの脾臓で得られた免疫細胞の数を示す。 プロットした値を表23及び表24に示す。図7は、マウスの脾臓におけるCD8CD44CD122 T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。図8は、マウスの脾臓におけるCD3NK1.1 NK細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。
これらの結果から、IL−2と組み合わせたキメラNARA1抗体104340のようなヒト化抗体104343,104348,104349及び104341は、CD8 T T細胞及びNK細胞を優先的に刺激することができると結論することができる。これは、ヒト化104347抗体の場合ではない。
実施例10:リンカーを用いたIL−2 /抗IL−2 mAb融合タンパク質の作製
実施例2の結晶構造NARA1/hIL−2の結果を用いて、NARA1重鎖及び軽鎖N末端領域をhIL−2に連結する方法が特定されている。
複合体の構造をPyMOL又はMOEのようなモデリングソフトウェアを用いて分析した。hIL−2のC末端が抗体の抗原結合部位の反対側にあることが観察されたので、連結にリンカーが必要とされた。得られる融合タンパク質は、IL−2、続いてリンカー領域、続いて抗体重鎖領域で構成される。リンカー領域は、少なくとも60オングストローム(Å)の距離をカバーしなければならず、したがって、様々なリンカーの長さ及び組成も、最適な接続のために設計及び試験されることがある。
融合分子はまた、IL−2、続いてリンカー、続いて抗体の軽鎖でもあり得る。このタイプの融合において、リンカー領域は少なくとも50オングストローム(Å)の距離をカバーしなければならず、したがってここでもいくつかのリンカーの長さ及び組成が最適な接続のために設計及び試験されることがある。
抗体重鎖又は軽鎖の配列は、配列番号93によって表されるヒトIgG1 Fcドメイン及び表10に報告されるとおりの可変ドメインを用いて生成された抗体のいずれかであり得る。
IL−2配列は、配列番号109で表されるwt IL−2又は配列番号110で表されるアルデスロイキンであり得る。
IL−2のC末端及び抗体重鎖又は軽鎖のN末端残基を接続するために使用できるリンカー配列を表28に報告する。
表29に従い、2つの特異的融合タンパク質が生成された。
実施例11:IL−2/抗IL−2 mAb融合タンパク質の作製
複合体NARA1/hIL−2の構造は、IL−2のNARA1抗体の重鎖又は軽鎖への包埋を誘導するために使用されている。抗体のLCDR1及び残基K96とN97の間のhIL−2ヘリックスB及びヘリックスCを連結する領域は、さらなる工学のために使用される領域として見なすことができる。LCDR1は、Y27dとD28との間、及びG29とD30との間で開かれ、Kabatの定義に従って番号付けされた。hIL−2はK96とN97の間で開かれた。図9参照。
抗体のLCDR1の残基D28G29をGsに置き換えた。hIL−2の新しいN末端N97は、GGGリンカーを介してLCDR1 Y27dの新しいC末端に連結される。hIL−2 C末端K96は、GGGGリンカーを介してLCDR1 N末端D30に接続される。図10を参照。hIL−2の2つの元のN末端及びC末端は一緒に接続されており、すなわちIL−2−T153 C末端残基はIL−2 N末端残基P22に直接融合される。図11は、IL−2及び抗体VL配列がどのように融合されるかの概略図である。
得られた融合タンパク質を107351と指定した。
この工学的手順により、hIL−2はNARA1抗体の軽鎖に完全に埋め込まれた。この埋め込みは、表10に報告されるとおりヒト化配列のいずれかを用いることによって行うことができる。HIL−2を軽鎖に埋め込むために使用されるリンカーの配列及び長さは、グリシン(G)の1〜10の反復であることがあり、融合が、LCDR1 Y27d及びhIL−2 N97、LCDR1 D30及びhIL−2 K96がリンカー配列を介さずに直接的に接続されていることも試験されることがある。hIL−2の番号付けは、配列番号109に報告されるとおり全長配列を指す。配列番号110で表されるアルデスロイキン中の対応する残基も、包埋手順に使用することができる。
実施例12:IL−2/抗IL−2 mAb融合タンパク質の活性
いくつかのIL−2/抗IL−2 mAb融合タンパク質の活性を、ヒトPBMC由来CD8 T細胞及びNK細胞における7日間の増殖アッセイで評価した。
Ficoll密度勾配遠心分離によってバフィーコートから精製したヒトPBMCを磁気ビーズ陰性選択に付して、CD8T細胞及びNK細胞を単離した。細胞をCellTraceバイオレット増殖キットで標識し、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640培地に50000細胞/ウェルで96U底プレートに播種した。次いで、細胞をhIL−2又はhIL−2/抗IL−2 mAb複合体(2:1モル比、10倍段階希釈)で刺激し、37℃で7日間インキュベートした。増殖は、FACSによって測定したCellTraceバイオレット組み込みによって評価した。実験を3回実施し、3つの独立した実験から平均EC50値を計算し、表30に示す。
25又は35残基のリンカー配列を用いたIL−2/抗IL−2 mAb融合タンパク質は、NK細胞増殖及びCD8 T細胞増殖に対してそれぞれ活性がなく制限されている。対照的に、ヒト化NARA1抗体の軽鎖に移植されたIL−2/抗IL−2 mAb融合タンパク質は、CD8 T細胞増殖を活性化するのにIL−2単独と同様に強力であり、IL−2よりも強力であり、NK細胞増殖を刺激するIL−2よりも強力である。
その後、続いて融合タンパク質をインビボで評価した。マウスに107351(360μg/kg、720μg/kg又は1440μg/kg)又はPBSの単回投与を受け、注射の96時間後にマウスを屠殺した。脾細胞を、標準的な手順に従ってフローサイトメトリーにより分析し、結果を表31に概要する。
融合タンパク質107351は、用量依存的様式において、インビボで調節性T細胞の非常に制限された活性化を伴うCD8及びNK細胞の堅牢な増殖を誘導することができる。
実施例13:インビボでのIL−2/抗IL−2 mAb複合体の評価(ヒト化及びアフィニティー成熟ヒト化抗hIL−2抗体)
IL−2/抗IL−2 mAb複合体のインビボでの効果を評価するために、2つの実験的アプローチを行った。最初の実験では、以下に記載するとおり、IL−2/抗IL−2 mAb複合体の2回の注射を受けたWT C57BL/6マウスにおいて、CD8T細胞、CD4T細胞、及びNK細胞の数を決定した。第2の実験では、IL−2/抗IL−2mAb複合体の単回注射後に、BrdUを用いてCD8T細胞、CD4T細胞及びNK細胞の増殖レベルを評価した。
(1)材料及び方法
以下の抗体を用いた:NARA1,104348,106260,108923,108924,108925,108926,108929及び108930。
プロロイキン(登録商標)IL−2を使用した。
最初の実験では、1.5μgのhIL−2及びhIL−2/モノクローナル抗体(モル比1:1に相当する15μg)の1日目及び3日目に2回の注射をマウスに与えた。5日目にマウスを屠殺し、脾臓及びリンパ節(LN)をフローサイトメトリーで分析した。これを行うために、LN及び脾臓の単細胞懸濁液を標準的なプロトコールに従って調製し、フローサイトメトリー分析のために、2%ウシ胎児血清(FCS)、2mM EDTA及び蛍光色素結合抗体とともにPBSを用いて、2−3*10個の細胞を染色した。染色は、CD4CD25フォークヘッドボックスP3(FoxP3)T調節細胞(Tregs)を同定及び定量するために行った。この目的のために、FoxP3染色緩衝液を使用し、サプライヤーの推奨(eBiosciences、00−5523−00)に従い、次のマーカー:CD25、CD8a、CD44、CD122、NK1.1、DX5、CD4、CD3、FoxP3に対して蛍光色素結合抗体を使用して、単一細胞懸濁液を染色した。
第二の実験では、1.5μgのhIL−2及びhIL−2/モノクローナル抗体(1:1のモル比に相当する15μg)の単回注射をマウスに与えた。同時に、BrdUを0.8mg/mlの飲料水中に与えた。翌日(注射及びBrdU後24時間)、染色は、特定の細胞免疫サブセットの細胞増殖を同定及び定量化するために行われ、増殖した細胞を染色するために蛍光色素結合抗BrdU抗体が使用された。BrdU染色は、FITC BrdUキットを使用し、サプライヤーの推奨(BD Pharmingen、51−2354 AK)に従って、次のマーカー:CD44,CD8a,CD4,NK1.1,CD3,CD122,Brdu,CD4に対して蛍光色素結合抗体を使用して行われた。
データは、当業者に周知のBecton Dickinson LSR Fortessaフローサイトメーターを用いて収集した。
(2)結果
細胞数データの結果を表32及び表33に示す。
表32、表33及び表34に見られるとおり、IL−2と複合体化した抗体104348,106260,108923,108924,108925,108926,108929及び108930は、インビボでCD8T細胞及びNK細胞を優先的に刺激することができる。
また、図12〜15は、内在性CD8,CD8CD44CD122,CD4T細胞、Treg細胞及びNK細胞の表現型の特徴付けを示す。図16〜17は、マウスの脾臓で得られた免疫細胞サブセットの数を示し、表32、表33及び表34のプロットされた値を示す。図18〜22は、マウスの脾臓におけるT細胞、CD3NK1.1DX5NK細胞、CD4及びCD4CD25T細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。これからわかるとおり、IL−2と複合体化したヒト化抗体104348,106260及び親和性成熟ヒト化抗体108923,108924,108925,108926,108929及び108930は、インビボでCD4及びCD4CD25T細胞より、CD8T細胞(特にCD8CD44CD122T細胞)及びNK細胞の増殖レベルを増強させた。
これらの結果から、hIL−2(プロロイキン(登録商標))と混合した場合、親NARA1抗体(105192)と同様のヒト化抗体104348,106260及び親和性成熟ヒト化抗体108923,108924,108925,108926,108929及び108930は、CD8T細胞及びNK細胞を優先的に刺激することができる。
実施例14:NARA1に基づく融合タンパク質の発現プラスミドの作製
ヒトIL−2(pORF−hIL−2 プラスミド、Invivogen、porf−hIL−2)及びNARA1の軽鎖をコードするDNA配列をカットアンドペーストによりサブクローニングし、標準的なクローニング技術(フュージョンポリメラーゼ、Finnzymes、F−530S、を用いたPCR増幅/アセンブリ)を用いて、プライマー内に目的のリンカー(例えば、表35、表36、及び表37に示す15,20又は25アミノ酸リンカー)を付加する。得られたPCR産物を、哺乳類細胞における分泌に適した発現ベクターに切断してペーストで挿入した。hIL−2に融合したNARA1の重鎖及びNARA1の軽鎖を、個々の発現ベクターにクローニングして、同時トランスフェクションを可能にした。発現ベクターの要素は、プロモーター(サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサープロモーター)、分泌を促進するシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子)、原核生物におけるエピソーム複製及び複製を可能にする要素(例えば、V40オリジン及びColE1又は当技術分野で公知の他のもの)及び選択(アンピシリン耐性遺伝子及びゼオシンマーカー)を可能にする要素を含む。
実施例15:NARA1に基づく融合タンパク質の発現及び精製
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、IgGタンパク質の一過性発現のための好ましい宿主細胞系の1つである。トランスフェクションは、トランスフェクション試薬としてPEI(ポリエチレンイミン、MW 25.000 linear、Polysciences、USA Cat.No.23966)を用いて行う。PEIストック溶液は、900mlの細胞培養グレードの水に室温(RT)で1gのPEIを注意深く溶解することによって調製される。PEIの溶解を促進するために、溶液を、HClをpH3−5に添加することで酸性化し、続いてNaOHで中和して最終pHを7にする。最後に、容量を1Lに調整し、溶液を0.22μmフィルターで濾過し、分注し、さらに使用するまで−80℃で凍結する。CHO細胞は、補助剤としてヒポキサンチンナトリウム及びチミジン(HT、41065012、Invitrogen)、L−グルタミン(17−605C、Lonza)及び抗生物質−抗真菌剤(15240062、ThermoFisher)を用いたPower CHO−2D培地及びProCHO−4培地(増殖及びトランスフェクションのための無血清培地、それぞれ12−770Q及び12−029Q Lonza)を使用して培養される。一過性トランスフェクションのために調製された細胞は、150rpmでシェーカー上の懸濁培養において培養される。種培養物中の細胞は、指数関数的増殖期(1.5x10と3x10/mLの間の細胞密度)で維持されるべきであり、トランスフェクションのために> 98%の生存率を示すべきである。この範囲外の細胞密度は、希釈後にラグ期又はトランスフェクション効率の低下のいずれかをもたらす。トランスフェクションのために、細胞の分注は、種培養液から取り出され、Power CHO−4無血清培地で最終容量の50%で2x10細胞/mLに調整される。150mM NaCl溶液中でDNAを希釈することにより、DNA溶液(IL−2に融合された重鎖及び軽鎖の1:1モル比に調整された、全DNA=100mlスケールについて125μg)を調製する。次に、PEI溶液(100mlスケールで0.5ml)をDNA溶液に加える。混合物を撹拌し、室温で10〜12分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を細胞に添加し、細胞の培養を3〜4時間続ける。最後に、総生産量の残りの50%を、Power CHO−2D無血清培地を添加することによって得る。トランスフェクション後4〜6日間細胞培養を続ける。4℃にて4700rpmで45分間の遠心分離により培養物を回収する(Heraeus(登録商標)、Multifuge 3S−R、Thermo Scientific、Rockford、IL)。回収された細胞上清を、ステリックアップフィルター(0.22μm)で滅菌濾過し、2.5mM ETDA及びアジ化ナトリウム(0.01%)と共に4℃でさらなる処理まで保存する。
精製は、4℃でプロテインGアガロース(20397、Thermo Scientific)を用いて行った。したがって、IL−2のC末端がNARA1の軽鎖のN末端に15,20又は25アミノ酸長のグリシン−セリンリンカーで融合された3つの融合タンパク質が、表36に示されるとおり生成された。NARA1の重鎖は同じままである(配列番号115)。
実施例16:インビボでのNARA1系融合タンパク質の評価
以下に記載するとおり、L15、L20、L25、又はIL−2/NARA1を投与されたWT C57BL/6マウスにおいて、CD8T細胞、CD4T細胞、及びNK細胞の百分率及び数を決定した。並行して、ブロモデオキシウリジン(BrdU)を用いてCD8 T細胞及びNK細胞の増殖レベルを評価した。
(1)材料及び方法
次の抗体及び融合タンパク質を使用した:NARA1、L15、L20及びL25。
組換えヒトIL−2(Teceleukin(登録商標))を使用した。
hIL−2/モノクローナル抗体(2:1のモル比に対応するNARA1,10μg)、L15、L20、L25(活性の点で対応するIL−2量)又はPBSとともに、マウスに2μg(20,000IU)でhIL−2の3回連続注射を与えた。最後の注射の日に、BrdUを0.8mg/mlにて飲料水中に入れ、24時間与えた。翌日、マウスを屠殺し、脾臓及びリンパ節(LN)をフローサイトメトリーによって分析した。これを行うために、標準手順に従ってLN及び脾臓の単細胞懸濁液を調製し、2%ウシ胎児血清(FCS)、2mM EDTA及び蛍光色素結合抗体を有するPBSを用いてフローサイトメトリー分析のために210個の細胞を染色した(以下参照)。
2つの異なる染色を行った:最初の染色は、CD4CD25フォークヘッドボックスP3(FoxP3)T調節細胞を同定及び定量するために行った。この目的のために、FoxP3染色緩衝液を使用し、サプライヤーの推奨(eBiosciences、00−5523−00)に従って、次のマーカー:CD25、CD8a、CD4、CD3、FoxP3に対する蛍光色素複合抗体を用いて単一細胞懸濁液を染色した。
第二の染色は、特定の細胞サブセットの細胞増殖を同定及び定量するために行われ、増殖した細胞を染色するために、蛍光色素結合抗BrdU抗体が使用された。BrdU染色は、FITC BrdUキットを使用し、サプライヤーの推奨(BD Pharmingen、51−2354 AK)に従い、以下のマーカー:CD44、CD8a、CD4、NK1.1、CD3、CD122、Brduに対する蛍光色素結合抗体を使用して行われた。
データは、当業者に周知のBecton Dickinson LSR Fortessaフローサイトメーターを用いて収集した。
(2)結果
細胞数データの結果を表38に示す。
表38に見られるとおり、融合タンパク質L15、L20及びL25は、インビボでCD8T細胞及びNK細胞を刺激することができる。
また、図23は、内因性CD8T細胞及びNK細胞の表現型の特徴付けを示す。図24は、マウスの脾臓で得られた免疫細胞の数を示し、表38のプロットされた値を示す。図25は、マウスの脾臓におけるCD8CD44CD122 T細胞及びCD3NK1.1NK細胞の代表的なBrdUプロファイルを示す。
これらの結果から、ヒトIL−2と組み合わせにおいて、NARA1系融合タンパク質は、親NARA1抗体と同様に、CD8T細胞及びNK細胞を優先的に刺激することができると結論することができる。
実施例17:インビトロにおけるNARA1系融合タンパク質の評価
ヒトIL−2に応答するCTLL−2ネズミ細胞系を用いた細胞増殖アッセイにおいて、NARA1系融合タンパク質の活性をNARA1及びIL−2単独と比較した。
hIL−2、又はhIL−2/NARA1複合体(モル比2:1)、L15、L20又はL25(対応するIL−2量)を用いて、CTLL−2細胞を96ウェルプレート(10000細胞/ウェル)に播種し、37℃で48時間のインキュベーション後に増殖を評価した。増殖は、WST−1(Sigma−Aldrich)を細胞に少なくとも4時間添加し、続いてiMarkマイクロプレートリーダーで450nmにて読み取ることによって評価した。
実験を二重に行い、表39は得られたEC50値を示す。
表39に見られるとおり、NARA1系融合タンパク質は、hIL−2及びhIL−2/NARA1と比較して、インビトロでCTLL−2細胞増殖を誘導する能力を有するが、より低い程度で誘導する能力を有する。
また、図26は、得られた増殖曲線を示す。
ヒトIL−2に応答するCTLL−2マウス細胞株を用いたSTAT5リン酸化(P−STAT5)アッセイにおいて、NARA1系融合タンパク質の活性をNARA1及びIL−2単独と比較した。96ウェルプレートにCTLL−2(200000細胞/ウェル)を播種し、hIL−2 hIL−2/NARA1複合体(モル比2:1)、L15、L20又はL25(対応するIL−2量)を用いて刺激した。15分の刺激後にSTAT5のリン酸化を評価し、pSTAT5特異的mAb(BD Biosciences)で細胞内染色を用いて検出した。
実験を二重に行い、表40は得られたEC50値を示す。
また、図27は得られたリン酸化レベルを示す。観察されるように、CTLL−2細胞のような高CD25レベルを発現する細胞上で得られるインビトロでの効果は、IL−2又はIL−2/NARA1よりも、L15、L20及びL25で細胞を刺激するとより低くなる。この差は、短時間(例えば、P−STAT5の刺激15分間)で、より顕著である。実際、最短のリンカー:L15をもつIL−2は短時間で細胞の刺激を可能にするNARA1に容易に解離することがある。一方、融合L20及びL25については、IL−2はNARA1に長く結合したままであり、CTLL−2細胞の刺激を妨げる可能性がある。
配列表
本発明を実施するための有用なアミノ酸及びヌクレオチド配列を表41に示す。本出願の本文全体にわたって、明細書の記載(例えば表41)と配列表との間に相違がある場合、明細書の記載が優先する。

Claims (31)

  1. 配列番号109に記載のヒトIL−2に結合する単離された抗体又はその抗原結合部分であって、前記抗体又はその抗原結合部分は、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域と、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域とを含み、LCDR1は配列番号122を含み、LCDR2は配列番号123を含み、LCDR3は配列番号21を含み、HCDR1は配列番号119を含み、HCDR2は配列番号120を含み、HCDR3は配列番号121を含む、前記抗体又はその抗原結合部分。
  2. 前記抗体又はその抗原結合部分が、
    配列番号19、配列番号31、配列番号69、配列番号72、配列番号86及び配列番号90からなる群から選択されるLCDR1;
    配列番号20及び配列番号32からなる群から選択されるLCDR2;
    配列番号21に記載されているとおりのLCDR3
    を含む軽鎖可変領域;と
    配列番号4及び配列番号13からなる群から選択されるHCDR1;
    配列番号2及び配列番号12からなる群から選択されるHCDR2;
    配列番号3、配列番号36、配列番号39、配列番号42、及び配列番号45からなる群から選択されるHCDR3を含む重可変領域;と
    を含む、請求項1に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  3. LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び3である、又は、
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号31、32及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号13、12及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号31、32及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号13、12及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号69、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号31、32及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号69、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び3である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び36である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号69、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び36である、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19、20、21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び36である、又は、
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号69、20、21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4、2及び36である、
    請求項1又は2に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  4. 重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域が、アミノ酸配列:
    VL、配列番号25;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号79:VH、配列番号49
    と少なくとも95%の同一性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  5. 重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域が、アミノ酸配列:
    VL、配列番号25;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号15、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号34;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号7、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号37、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号25;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号17、又は
    VL、配列番号27;VH、配列番号49、又は
    VL、配列番号79;VH、配列番号49
    を有する、請求項4に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  6. 配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103及び配列番号105からなる群より選択されるFcドメインを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の単離された抗体。
  7. 配列番号93、配列番号101、配列番号103又は配列番号105に記載のFcドメインを含む、請求項6に記載の単離された抗体。
  8. 配列番号124に記載の軽鎖及び配列番号126に記載の重鎖を含み、又は配列番号128に記載の軽鎖及び配列番号130に記載の重鎖を含む、請求項7に記載の単離された抗体。
  9. アミノ酸K52、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、Q94及びK96を含むヒトインターロイキン−2(hIL−2)エピトープに結合する、請求項1〜8のいずれかに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
  10. 抗体又はその抗原結合性断片が、アミノ酸K52、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、Q94及びK96に特異的に結合する、請求項9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
  11. エピトープが、アミノ酸N50、N53、N91、L92、A93及びN97のいずれか1つ以上をさらに含む、請求項10に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
  12. 抗体又はその抗原結合断片が、アミノ酸N50、K52、N53、P54、K55、T57、R58、T61、F62、K63、N91、L92、A93、Q94、K96及びN97に特異的に結合する、請求項11に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
  13. 配列番号109に記載のヒトIL−2に結合する単離された抗体又はその抗原結合部分であって、前記抗体又はその抗原結合部分が、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を順次含む軽鎖可変領域と、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を順次含む重鎖可変領域とを含み、
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号181、182及び183であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号279、280及び281であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号213、214及び215であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号213、214及び215であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号263、264及び265であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号213、214及び215であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号263、264及び265であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号149、150及び151であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号69、20及び21であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号197、198、及び199であり、又は
    LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、それぞれ配列番号231、232及び233であり、かつ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号197、198、及び199である、
    前記抗体又はその抗原結合部分。
  14. 重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域が、アミノ酸配列:
    VL、配列番号243;VH、配列番号193、又は
    VL、配列番号391;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号243;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号275;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号275;VH、配列番号161、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号209、又は
    VL、配列番号243;VH、配列番号209
    と少なくとも95%の同一性を有する、請求項13に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  15. 重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域が、アミノ酸配列:
    VL、配列番号243;VH、配列番号193、又は
    VL、配列番号391;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号243;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号275;VH、配列番号225、又は
    VL、配列番号275;VH、配列番号161、又は
    VL、配列番号70;VH、配列番号209、又は
    VL、配列番号243;VH、配列番号209
    を有する、請求項14に記載の単離された抗体又はその抗原結合部分。
  16. 配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103及び配列番号105からなる群から選択されるFcドメインを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の単離された抗体。
  17. 重鎖領域及び軽鎖領域がアミノ酸配列:
    重鎖配列番号195及び軽鎖配列番号245、又は
    重鎖配列番号227及び軽鎖配列番号393、又は
    重鎖配列番号227及び軽鎖配列番号245、又は
    重鎖配列番号227及び軽鎖配列番号277、又は
    重鎖配列番号163及び軽鎖配列番号277、又は
    重鎖配列番号211及び軽鎖配列番号261、又は
    重鎖配列番号211及び軽鎖配列番号277
    を有する、請求項15に記載の単離された抗体。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体と、任意にヒトIL−2とを含む組成物。
  19. ヒトIL−2が、配列番号109に記載のヒトIL−2又は配列番号110に記載のアルデスロイキンからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
  20. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体とヒトIL−2とを含む融合タンパク質。
  21. 抗体及びヒトIL−2が、配列番号397、配列番号398、配列番号399、配列番号400、配列番号401、配列番号402、配列番号403、配列番号404、配列番号405、配列番号406、配列番号407、配列番号408、配列番号409、配列番号410及び配列番号411からなる群から選択されるリンカー配列によって連結される、請求項20に記載の融合タンパク質。
  22. リンカー配列が配列番号405又は配列番号407である、請求項21に記載の融合タンパク質。
  23. 抗体のLCDR1がKabat定義による残基Y27及び残基D30を含み、残基Y27がヒトIL−2の残基N97とGGリンカーで結合され、かつ、残基D30は、ヒトIL−2の残基K96残基と配列番号412に記載のリンカーで結合される、請求項20に記載の融合タンパク質。
  24. 医薬として使用するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項18〜19のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  25. 医薬品の製造において使用するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項18〜19のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  26. 癌治療に使用するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項18〜19のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  27. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体、又は請求項18〜19のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質を投与することによる、癌を治療する方法。
  28. 請求項1〜17にいずれか1項に記載の抗体又はその断片、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードし得る核酸分子を含むベクター。
  29. 請求項28に記載のベクターを含む、細胞。
  30. 請求項1〜17のいずれか1項に記載のヒトインターロイキン−2(hIL−2)特異的モノクローナル抗体又はその抗原結合断片、又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質を産生することができる細胞。
  31. 前記産生された抗体が請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体又は請求項20〜23のいずれか1項に記載の融合タンパク質であることを特徴とする、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞株。
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